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長門×ハルヒ 着付け

「振袖の着方が分からない、教えて」
SOS団初詣の予定の連絡を電話でしたとき、有希がそう言った。あれ?有希って、
浴衣の着付けはできたはずよね.
「調べて見ると、浴衣と振袖の着方が違った、なのでそのまま適用できない」
有希なりに調べたようだ.でも、それだけでは分からなかったみたい。
「振袖は持っているの?」
「用意した、」
でも用意したって、ひょっとして…
「部室で鍋を食べたとき、あなたが初詣と着物の関連について論じた。だから、
必要だと思って用意した」
…ここは私にみてもらいたくて、とか言って欲しいところだけど、私が言ったから
用意した、で許してあげる。
「じゃあ、初詣の前に、私が着付けてあげるわ、それでいい?」
「それで覚えられると思う」
有希のことだから、本当にそれで着付けができるようになってしまうのだろう.
有希に着物を着せることができるのは、今回だけになりそうだ。ちょっと、いや、
かなり残念だ。
そう思いつつ電話を切って、ようやく私はあることを思い出した.有希に言わせれば、
「うかつ」なのだろう。
夏休みの浴衣のときもそうだったが、私は、着物類の着付けができない.
結局、私は、冬休みの前半を振袖の着付けを覚えるのに費やした.


元旦は、いいお天気になった.集合時間は午後にしておいたので、朝にお雑煮を食べ、
親から貰うものをもらって、すぐに有希のマンションにむかった。
もちろん、私は振袖を着ている.ここ数日の練習の成果だ.
そして、それを誰よりも先に、有希に見てもらいたかったから。
髪も纏め上げて、かんざしで止めた.こんなときだけは、切らなければよかったと
思うだから、人間とは勝手なものだ。
有希の髪は…私より短いから、どうまとめればいいだろう。
有希のマンションの入り口で、テンキーを叩いて呼び出しボタンを押す.
部屋のインタフォンの受話器の前で待っていたのか、すぐに有希が出た.
「入って」
いつもの平坦な声だけど、私には、嬉しそうな様子がわかる.
エレベータで上がると、有希の部屋のインタフォンを押した.それと同時に扉が開く.
「あけましておめでとう、有希」
「待ってた」
制服姿の有希が、私を迎え入れた.お正月から制服というのが、なんか有希らしい。
部屋の中に私を導く有希の後姿に、ちょっとした違和感を感じた.
「有希、髪を伸ばした?」
セーラーカラーに届く事のなかった有希の後ろ髪が、襟を少しばかり超えていた.
みくるちゃんほどではないが、私より長いかもしれないくらい.
「着物を着るときは髪をまとめるもの。だから、まとめられるくらいに伸ばした」
有希が振り返って、私をじっと見る。
「へん?」
「そんなことないわよ。かわいいから、このまま伸ばしたら?」
春の頃の私や、みくるちゃんくらいに髪を伸ばした有希を想像してみる。かわいい。
でも、鍋をやったときとか、髪を伸ばしてる雰囲気がなかった。つまり、有希は髪が
伸びるのが早い方らしい.
「これは、今だけ」
学校が始まったらまた切っちゃうの?もったいない。
「まとめてないのを見せるのはあなただけ」
有希が、ほんのすこしだけ微笑んだような気がした.


まずはちゃぶ台の前に座ると、有希がお茶を出してくれた.
そういえば、わざわざ振袖を着てきたのに、まだ有希の感想を聞いていなかった.
「有希、私の振袖姿を見て感想とかないの?」
「着方を覚えるのは大変だった?」
「そうね、さすがの私でもこの数日で着こなせるようになるのは大変…」
あ、言ってしまった.有希と約束した時点で、着付けができなかったこと。
有希は私の横に座ると、
「私のため?」
「違うわ」
そういうと、有希の表情が、ちょっとだけ寂しそうになった.
かまをかけられたお返しのつもりだったけど、やりすぎたみたい。
「有希の振袖姿が見たいのと、有希に私の振袖姿を見てもらいたいのと、だから、
有希のためでなくて、有希と、私と、二人のためよ」
有希が、くっついてきて私を見上げる.
「嬉しい」
これも、ほんの少しだけの笑顔.でも、その笑顔から、わたしはつい目をそらした。
「でも、正直に言うと、自分で着物を着るのはできるようになったんだけど、誰かに
着物を着つけるのはやったことがないのよ。だから、うまく着せてあげられるか、
あまり自信がないの」
有希が、まわりこんできて、私を覗き込む.さっきの、私だけにわかる笑顔のままだ。
「それでも、あなたの手で着せてほしい」

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最終更新:2009年01月10日 11:51
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