明日は、校内の部やサークルが部員勧誘をやっていいことになっている日だ.
SOS団としては、宇宙人未来人異世界人などなど、レアな人材であれば、
いつでも入れてあげるるわよ。
でも、座してひっかかるのを待つのも効率が悪いじゃない。
2年生になったことだし、今年はみくるちゃんに何を着せて、私が何を着てやろうか、
そんなことを考えながら部室の扉を開いた.今日はキョンが掃除当番、古泉君が私用、
みくるちゃんが進学補習なので、私が有希の次の一番乗りのはずだ。
「…」
いつもどおり、本を抱えて一人で奥に座っていた有希が、私をじっと見た.
「ねえ有希、今度の団員募集、何着てやるのがいいと思う?」
有希のリクエストで決めてもいいかな。そう思って聞いてみる。
「バニー」
即答だった。でも、去年は何度もバニーを着たし、別のがいいんじゃない?
「バニー」
それは、有希が見たい、ということ?すると、有希はとんでもないことを
言い出した.
「バニー、わたしも着る」
えっと、それは、その、有希は文芸部の部員勧誘があるでしょう?
「朝比奈みくるには着せた」
それは、人目を引くにはみくるちゃんの方がよさそうだったからよ。けっして
有希が考えているような意図はないわ。
「朝比奈みくるには、着せた」
有希は、一見すると無表情だった.でも、目は、じっと私を見ている。
私には、有希の表情が読み取れた。明らかに、みくるちゃんに妬いている.
「今度はわたしが、あなたと一緒にバニーを着る」
ごめんなさい、有希のサイズのバニースーツは用意してないのよ、というのは言い訳。
白状しよう、実は頭の中で、何度も有希にバニースーツを着せている。
だから、そんなかわいいものをキョン他男どもの目に晒すなんてする気に
なれなかったのが本当のところ。
「わたしのなら、用意している」
いつのまにか、有希は本を置いて、私の前に立っている。こんな至近距離でそんな
ことを言われたら、一緒にバニーガールを着る誘惑に負けそうだ.
「すいません、遅れちゃいまし…」
みくるちゃんが、部室の扉をひらいた。ナイスタイミングよ、みくるちゃん。
有希が、目だけ動かしてみくるちゃんを一瞥する.やはり、今日の有希は、妬いてる。
「ごめんなさぃ、教室に忘れ物思い出しましたぁ」
おびえた様子で、みくるちゃんは忘れ物~忘れ物~という謎の歌を歌いながら、
出ていってしまった.
「最初は、あなたに見せる」
みくるちゃんに対抗して、やきもちを妬いている有希を前に、私は嬉しいのだか、
困惑しているのだか、自分でもわからなくなってきた.
空気が読めないキョンが来るのを待ち遠しく思ったのは、これが初めてのような
気がする.
最終更新:2009年01月10日 11:53