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長門×ハルヒ お買い物

今日の部室での活動も、有希がハードカバーを閉じたことでお開きになった。
明日の土曜日にやる市内探索についての打ち合わせが終わったとき、有希が
本をぱたんと閉じたのだ.
みくるちゃんは有希と私を見てから、なぜか逃げるように、キョンはそれを
追いかけるように、古泉君はなぜか暖かい笑顔を残してで、順番に帰っていく.
これで、今日も、有希と二人だけの時間がはじまる。
「そういえば、有希って一人暮らしだけど、どんなものを食べてるいるの?」
「カレー」
あっさりした返事だった.
「他には?」
「カレー」
「カレーばかりだと栄養偏るわよ.もっといろんなものを食べないと」
「色々食べている」
有希がそう言うので、もう少しつっこんで聞いてみる。そのいろいろとは、
つまりは各種のレトルトカレーや缶入りカレーのブランドのことだった.
「もう、だめじゃない、他に色々食べないと体によくないのよ」
「わりと平気」
市内探索のときとか、カレー以外のものも食べているから、カレーしか食べられない
訳じゃないわよね.私は、ここでいいことを思いついた.
「じゃあ、今日は私が晩ごはんつくってあげる、いいわね」
有希は、私の顔をじっと見ていた.どう返事すればいいのか迷っているみたい.
「私の料理は嫌なの?」
有希が迷った時点で、すこしだけ面白くなかった.有希は、こういうとき、餌を
もらうときの子犬みたいに尻尾を振る子ではない。だけど、私がつくるんだから、
迷うことなんかないじゃない。そうやってしばらくにらめっこが続いてから、有希は、
「つくってほしい」
次は、私が作ってあげるっていったら、すぐにそう返事するのよ.そう言ってから、
私たちは、連れ立って文芸部室を後にした.



学校からそのまま、有希がいつも食材(つまり、レトルトや缶入りのカレーだ)を買う
スーパーに、二人で行った。そこは、小売もやっている業務用スーパーだ。
たしかに、この素っ気無い店の雰囲気、有希は好きそうね。
業務用のカレーの缶や業務用のレトルトパックばかりカートに乗せようとする有希に、
家庭用サイズの肉や野菜のパックを買わせるのは一仕事だった.
次は、業務用サイズを置いていない普通のスーパーに、有希を連れて行こう。
でも、こうやって二人で買い物していると、すごく楽しい.同じカートを二人で
押して、店の中をまわっただけなのに、私は幸せな気分になっていた。
「これも」
「だから、それは今日は、なしよ」
どさくさ紛れに業務用カレーの一番大きい缶をカートに載せようとした有希の手を
つかんで止める。
有希は、いつものポーカーフェイスだけど、ものすごくばつが悪そうな目で私を
見た.
「今晩はあなたの料理を食べる.これは、明日の朝食と夕食」
「朝からカレー?」
「わりと」
それはよくないわ。うん、私が作った料理の次に食べる食事がカレーなんて、
許されることではないと思う.
「明日の朝も作ったほうがよさそうね」
言ってから気がついた.私は、有希が相手のときは、ものすごく迂闊になるようだ。
これって、遠まわしに「今晩は泊まるからね」と言っているようなものじゃない。
そして有希は、私が相手のときは、ものすごく察しがよいようだ。
「使用可能な布団は、一つしかない」
いくら迂闊な私でも、その意味はすぐに分かった。それはつまり、そういうことよね。
「…わたしと一緒に寝るので、かまわないのなら、いい」
決定的な一言.私の心は、これから有希のためにご飯をつくって、一緒に食べるという
重要なイベントをを置き去りにして、どこかに飛んで行きそうになっていた.
でもね、そんなときでもあなたのことはちゃんと見ているのよ、有希。
「今日はカレーの缶はなしよ」
有希が、その間にこっそりとカレーの缶をカートに載せようとしている手を、
私はつかんで止めた。

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最終更新:2009年01月10日 12:02
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