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長門×ハルヒ 涼宮ハルヒの願望

「ん・・・あれ、もうこんな時間?」
私はいつの間にか、部室で居眠りをしてしまったようだ。外はすっかり日が暮れて、闇に包まれている。
さっきまで目の前でキョンと古泉君がオセロやってて、みくるちゃんが流しで湯飲みを洗っていて、有希は相変わらず読書してて・・・。そう言えば、なぜか突然、強烈な眠気に襲われたのを思い出した。確かに昨日、しっかり睡眠を取ったはずなのに。
「おはよう」
傍の椅子に腰掛けていた有希が、パタンと本を閉じて言った。
「起きるまで待っててくれたのね・・・みんなはどうしたの?」
「帰った」
「はぁ?何よそれ!団長のあたしを放置するとはいい度胸よね。いいわ、明日きっちり締め上げてやる」
「何度も起こしたが、起きないので諦めた。私はとりあえず様子を見るために残ることにした」
「だからって女の子二人学校に残していなくなるわけ!?冗談じゃないわ。みくるちゃんと古泉君が用事あるのは聞いてたけど、キョンまで私を置いていくなんて・・・雑用係の自覚が足りないようね」
「妹の誕生日と言っていた。さすがに引き止めるのは不適切と判断して帰ってもらった」
「あ、そう。妹ちゃんね・・・フン」
私はイライラが消えず、カバンをつかみ、乱暴に椅子を引いて立ち上がった。
「あぁもう、気分悪いわ。早く帰りましょ」
「・・・」
有希は無言でうなずくと、本を棚に戻した。

真っ暗な廊下を歩く私達。そういえば、有希と二人っきりになったのは初めてだ。
「先生達も帰ったのかな、まったく、いい加減ねこの学校は。いつか事件起きるんじゃないかしら?」
「大丈夫、あまり心配するとストレスになる」
「あぁ、それもそうね」
「それより明日、現代社会の小テストがある」
「あぁ、あんなの別に勉強しなくたって楽勝でしょ。キョンは苦労しそうだけど」
「彼は本気を出して努力すれば、結果は違う」
「何よ、あいつの肩持つわけ?」
「そうじゃない。普段の彼を分析して出した結論」
「て言うかさ、もっと普通に喋りなさいよ。わざと難しく言ってるように聞こえるんだけど」
「これが標準の会話方法。別に意識しているわけではない」
「あぁ、そうなの・・・」
考えて見れば、有希も含め、よくここまで個性的な面々が集まったものだ。これも私の日ごろの行いがいいからだろう。

有希と世間話をしながら、表に出た。
と言っても、ほとんど私が一方的に話し、有希は相槌を打つことが多かった。
こんなに可愛くて、頭も良くて、運動神経もいいのだから、愛想がよければ校内の男が奪い合うかな。
「ねぇ有希?」
「何」
「今までさ、人を好きになったことってある?」
「ない」
「じゃあ、告白されたことは?」
「ない」
「・・・小さい頃って、どんな子供だったのよ?」
「変わらない」
(うーん・・・会話が続かないわね)
私は頭を軽く掻いた。

「・・・ねぇ?」
今度は有希のほうから話しかけてきた。
「ん、何?」
「うちに、来て欲しい」
「えぇ、今から?」
「頼む」
「いきなりすぎるわよ・・・あのね有希、ものには順序ってものがあるの。私にだって帰る家があるのよ」
「何とかならないだろうか」
私を見上げて言う。透き通った真水のような瞳は、私を吸い込んでしまいそうだ。
「・・・分かった。今日は特別よ」
「感謝する」
この子は本当によく分からない。だが、団員の悩みを放っておくようでは団長失格だ。私は有希の後について行くことにした。

「入って」
「お邪魔しまーす」
この辺では一、二を争う高級マンションだ。有希って結構お嬢様なんだな。
「あぁもう、殺風景ね。親御さんは?」
「いない」
「・・・せめてカーテンくらい買いなさいよね!着替えるとき丸見えよ」
「・・・」
何も返事をすることなく、台所のほうへ歩いていく有希。
「この季節にコタツなんていらないでしょ・・・あぁもう、暑い!エアコン入れるわよ!」
本当に、どこかずれている。何とかと天才は紙一重と言うが、有希も例外ではないのだろうか。
そんなことを考えていると、有希がグラスに入ったお茶を持ってきた。
「・・・飲んで」
「さすが有希、ちゃんと氷まで入れるなんて気が利くじゃない」
さっきまで考えていたことは取り消し。やはり有希は私の参謀として必要な存在だ。
「ぷはー!やっぱりこの時期は冷たい麦茶に限るわね」
「そう」
「あ、そう言えば話したいことって何なのよ?珍しいじゃない」
思いっきり有希の顔を覗き込んでやる。でも反応ナシ。ちょっと残念。
「・・・貴方の願望」
「ん?」
「貴方は今、満たされていない」
「何言ってんの?そりゃ、よくつまんないって言ってるけど・・・」
「心の中から湧き上がる欲望を満たしたい」
「は?意味わかんないんだけど?ちゃんと説明しなさいよ!」
「貴方は最近、今まで以上に、状況の変化や、特異なものの出現を望むようになった。だが思うように満たされず、怒りや不満が蓄積されている。その証拠に、貴方は最近、いつも不機嫌そうにしている」
「・・・ちょっと有希、何が言いたいの?」
「貴方は自分の中に蓄積されたものを解消してしまいたい。でもそれは普通のやり方では満足できない」
「だから、一体何を・・・」
「結論を述べると、今から貴方と私が性行為をする」

「は?」
私はただ呆然として、有希の顔を見つめていた。
相変わらず表情を全く変えることなく、私を見つめている。
「さっきから言ってる意味全くわかんないんだけど、何?私が有希とレズ関係になることを望んでるって言いたいわけ?冗談じゃないわ!何を根拠に言ってるのよ?残念だけど、私はノーマルなの。そういう気はさらさらありませんから」
一気にまくし立てた。何の反応も見せないことは予想通りだったが、有希がとった行動は完全な想定外。私の足に自分の足を絡めてきて、スカートの中に入り込んできた。
「ちょ・・・有希、やめなさいって!」
「・・・」
有希は私から目を逸らすことはない。その瞳からは何の感情も読み取ることは出来ない。下着の上から、指で執拗に責められ続けている。
「何・・・すんのよ・・・いい加減に、ひゃっ!」
「少しずつ貴方の体が正直になり始めている」
「そんな・・・私は・・・んっ」
もう、どうにもならなかった。私は目の前にいる少女に支配されている。有希の指の動きに理性は少しずつ崩され始めた。
「貴方は、常に人の上にいた。ありとあらゆる面で、他人より優れていた。心のどこかで誰かの支配下に置かれたいと言う欲望が芽生え始め、選ばれたのが、私」
「な、何言ってるのあんた・・・」
「今私達がいるのは、現実世界とは異なる場所。貴方の欲求が満たされたら、この空間は自然に消滅し、貴方はまた日常へと帰っていく」
「は・・・?」
「・・・・・・楽しみましょう」
私は荒い息遣いで有希を眺めていた。そしていつの間にか、コタツの上に顔を突っ伏していた。
「有希・・・これは、夢なの?」
「似たようなもの。端的に言えば、夢をリアルに体感している」
「ふ・・・それならやってみなさいよ。あんたに私が満足させられるなら・・・」
口ではこう言っても、もう私の体は熱を出したように熱い。執拗な足指の責めを甘受し続け、有希の言うことを受け入れたいと言う欲望のほうが強くなっていた。
その時、有希の足指の動きが止まり、こたつから抜け出してきた。私の背後に腰を下ろすと、胸を鷲掴みにされた。
「あぁ・・・」
「貴方とこの場所ですることは、現実世界に何の影響も与えない。ここは夢の中・・・私達だけの秘密」
有希の顔が私の前に現れ、互いの唇がゆっくり重なり合った。
(有希・・・キス上手い)
長いキスが続き、淫靡な音だけが聞こえる。
「ん・・・有希・・・」
「貴方は何もしなくていい・・・任せて、私に・・・」
なんだか急に有希が愛しく思えて、胸元に思いっきり顔を埋めた。
(すごく、いい匂い・・)
もう、何も考えたくない。溶けてなくなってしまうほど抱かれたい。
有希は静かに、私を抱きしめた。

「あっ・・・有希・・・」
ベッドの上で少しずつ制服を脱がされながら、有希の舌と手で、敏感なところを探り当てられ、強く責めたり、果てそうになる直前で止められたりしている。私の下着は体にぴったりと張り付いてしまった。
私の荒い息遣いと、有希の唇や舌で責められる卑猥な音だけが響き、完全に彼女の支配下に置かれてしまった。
「あぁ・・・うっ・・・あ・・・」
「・・・・・・」
無表情な彼女は私の体を貪るように責め続け、私にとどまることの無い快楽を与えてくれる。
「有希・・・お願い・・・私、もう・・・」
「・・・」
有希は私の言いたいことを察したらしく、指の動きが急に早くなった。
私はあっという間に果ててしまった。
「はぁ・・・ふぅ・・・」
「可愛い」
有希は私の頬に手を当て、じっと私のほうを見た。
「確実に異性の関心を引く」
「・・・」
「貴方はもっと魅力的になれる」
「・・・有希」
私は有希を抱き寄せ、強引に唇を奪った。
「・・・抱いて、お願い」
「期待に沿えるよう努める」
互いの口を唾液の糸が結んでいた。

「ん・・・あっ・・・有希…」
私は無言で私の肌に舌を這わせる有希を、ただ眺めることしか出来ない。ベッドの上で身を捩じらせる私を、時々、氷のような冷たい目で見上げる。その顔に表情は全くない。
「有希ぃ・・・ん・・・ハァッ・・・」
何度呼びかけても返事は無い。私はただ、彼女にされるがまま。彼女の冷たい手と口に全てを支配され、その感触がたまらなくて、押し殺したはずの声が漏れ続けている。

有希の透き通るように白い肌は、この世のものとは思えないほど滑らかで瑞々しい。
互いの肌を重ね合わせ、貪るように口付けを繰り返し、果て続けた。
有希が私を心まで満たしてくれる。

なんで、私、こんな事望んだのかな。
私は、普通が嫌、非日常が体験したいだけ。
私は変態じゃない。絶対に違う・・・。

気がつけばベッドのなかで有希を抱きしめながら、余韻に浸っていた。
本当にこの子は肌が綺麗。ちょっと嫉妬してしまいそうだ。
「ねぇ有希」
「何?」
「本当に良かったの?こんなことして・・・」
「貴方の願望が満たされたなら、私は別に構わない」
一点の曇りも無い目で私を見つめながら言う。
「そう・・・」
さらに強く有希を抱きしめてみた。さすがに苦しいのか、うっ、と声を漏らした。
(私って、一体何なんだろう・・・)

(・・・ん?)
気がつくと私は座布団を枕にして、床の上で制服を着たまま横になっていた。どうやら居眠りをしてしまったようだ。
「起きた?」
「んぁ?」
どうやらまだ、完全に目が覚めていないようだ。
「・・・あれ?なんであたし、有希の家にいるの?」
「授業中に居眠りした分を写しに来た。終わったら疲れたのか、そこで寝ていた」
(そうか・・・確かキョンも書いてなかったのよね)
「ねえ・・・今何時なの?」
「まだ慌てるような時間じゃない」
外を見て見ると、まだ日は沈んでいない。
良かった。かなり遅い時間になったと思っていたのに。
「なんだ、まだ大丈夫ね・・・じゃあ、あたし帰るわ」
「わかった」
「ありがとう有希!また明日!!」
私は玄関まで行くと、手早く靴を履いて外へ飛び出した。

なぜかは分からないが、いつもより有希を身近に感じた。
明日もきっと、退屈な一日だろう。だが、なぜか嫌な気分にはならなかった。

日常の中に、目には見えない、非日常への入り口がある気がする。

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最終更新:2009年02月11日 10:25
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