【種別】考察 【時点】12話
12話の歩道橋のシーンで、シマ指令との会話で不機嫌になってどこかへ行ってしまったシズノの心情考察。 端から見ると、予期せぬ事故により高校生の元彼を新たな彼女に取られ、ご機嫌斜めな元彼女というよくある構図に見える。
しかし考えてみよう。 人類が滅ぼされたのが年表によると約40年前、量子サーバーにデータを保存したのがその直前だとすると、現在のシズノは見た目は17歳でも精神年齢的(この場合の精神年齢というのは精神の成熟度合いのことを指す)には60歳近いことになる。 シマ司令も、容姿は若いが精神年齢的にはシズノ同様60歳近い。だからやたらと落ち着いていて、指令の職にも就けているとは考えられないだろうか。
ただし、キョウはこの二人とは異なる。 なぜなら一度ロストし、リブートしているからである。 シズノにとって悲劇なのは、リブート時に彼の記憶が封印されてしまった事である。 セレブラント時代の記憶を封印するというのは、今まで積み上げてきた経験値をも封印する、 つまり精神年齢を16歳時に戻すことになるのではないだろうか。 そうだとするなら、シズノとキョウの間には精神年齢的に40歳ほどの開きができてしまったことになる。 シズノからしてみればキョウがいきなり幼稚化したことと同義であり、かなりのショックを受けたはずだ。
シズノとキョウがどれくらい長い間一緒にいたのかは分からないが数ヶ月の間柄というわけではないだろう。 少なくともガンナーとウィザードという命を預け信頼できる相方で、現時点のキョウとリョーコとの仲よりは深い関係 (キス以上夫婦未満の関係だと考えられる。02話参照)であったのは間違いない。 加えてシズノからすればキョウは自分を暗闇から救ってくれた存在でもある(11話)。 そんなパートナーが一瞬にしていなくなったのだ。 しかも相手は精神的に若返り、自分との過去の記憶も戻っていない。 シズノだけが年老いたまま置いてけぼりにされた状態ともいえる。 「彼は生まれ変わったのよ」(11話)というシズノの台詞があるが正にその通り。 容姿や本質は同じでもキョウはシズノの知る人とは全く違った人間になったのである。 そのことから顔を背けたいと思ってもセレブラントである限りキョウとは一緒にやっていかなければならない。 これはシズノにとっては大変辛いことではなかろうか。
このようにただでさえ未練たらたらなのに、畳み掛けるように急速に仲を深めていくキョウとリョーコの二人。 しかも唯一の自分の指定席だったキョウのウィザードの権利すら取られる始末(これは予想)。分かっていても耐え難い光景だろう。 そりゃ嫉妬もしますわw
では、何故シズノはもっと積極的にキョウにアプローチをかけないのか? そんな性格じゃない、キョウとの事は過去として割り切ろうとしているなど理由は幾つもあると思うが、 最も大きいものはキョウが自分と関わらない方が幸せであると考えていることであろう(自分は不幸を呼ぶ魔女だとも言っている(11話)) キョウの幸せのためなら、自分は身を引いてもいい、キョウの記憶も戻らない方がいいとすら考えてる可能性もある。
それでも「今でも愛している」(11話)という健気さ。報われないヒロインの典型ですねw 今後キョウの記憶が戻るのはまず間違いないであろう。その時、悲劇のヒロインから脱却できるのか。今後のシズノの活躍を期待せずにはいられない。
※データ人間の時間感覚や精神構造が普通の人間の場合と同じだと考えていいのかは疑問。 また、上の考察には私見がかなり入っているのであしからず。