ウィザード(クラス)

表:ウィザード
レベル 習熟ボーナス 特徴 初級魔法修得数 一日の呪文数
1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 +2 呪文発動、秘術力の回復 3 2
2 +2 秘術の伝統 3 3
3 +2 3 4 2
4 +2 能力値上昇 4 4 3
5 +3 4 4 3 2
6 +3 秘術の伝統の特徴 4 4 3 3
7 +3 4 4 3 3 1
8 +3 能力値上昇 4 4 3 3 2
9 +4 4 4 3 3 3 1
10 +4 秘術の伝統の特徴 5 4 3 3 3 2
11 +4 5 4 3 3 3 2 1
12 +4 能力値上昇 5 4 3 3 3 2 1
13 +5 5 4 3 3 3 2 1 1
14 +5 秘術の伝統の特徴 5 4 3 3 3 2 1 1
15 +5 5 4 3 3 3 2 1 1 1
16 +5 能力値上昇 5 4 3 3 3 2 1 1 1
17 +6 5 4 3 3 3 2 1 1 1 1
18 +6 呪文体得 5 4 3 3 3 3 1 1 1 1
19 +6 能力値上昇 5 4 3 3 3 3 2 1 1 1
20 +6 得意呪文 5 4 3 3 3 3 2 2 1 1

彼女の地位を示す銀のローブを身にまとったエルフは、目をとじて戦場の騒擾を締め出し、静かな詠唱を始める。彼女の前で指先が踊り、呪文が完成するや、その指先から敵の戦列に向けて小さな火の玉が発せられ、爆発して大火となって兵士たちを飲み込む。
自らの仕事を確認、再確認を繰り返しつつ、1人の人間が剥き出しの石床に入り組んだ魔法の円陣をチョークで描き、それからすべての描線と優雅なカーブに沿って鉄の粉を振り撒いている。円陣が完成すると、彼は長い魔法の呪文を唱え始める。円陣の内部空間に1つの穴が開き、別次元から硫黄のような臭いがふっと流れ込む。
ダンジョンの交差点の床にしゃがみ込み、1人のノームが神秘的なシンボルが刻み込まれたひと握りの小さな骨を放り投げ、それらに向けて2~3語のパワーある言葉をぼそぼそと呟く。映像をはっきりと見るために目を閉じた彼は、ゆっくりと頷き、それから目を開いて左側の通路を指差した。
ウィザードは至高の魔法の使い手であり、彼らが発動する呪文によって1つのクラスに定義され統合されている。宇宙に充満するかすかな魔法の波動を引き出すウィザードは、爆発する火の呪文、アーチを描く電撃、気付かれることのない欺き、そして精神支配の圧倒的な力をもたらす呪文を発動する。彼らの魔法は他の次元界からモンスターを召喚し、未来を覗き見し、死した敵をゾンビに変えたりする。彼らの最強の呪文はある物質を別のものに変え、天空から流星を呼び下ろし、別の世界へ通じるポータルを開く。

秘術の学徒

荒々しいものから神秘的なものまで、形態や機能はさまざまな魔法のパワーは、その神秘を体得せんと欲する学問の徒を惹き付ける。ある者は神々のごとく、現実そのものを改変したいと熱望する。典型的な呪文の発動には、いくつかの奇妙な言葉、素早いジェスチャー、そしてときにひとつまみやひと塊の特別な物質を必要とするのだが、こうした表面的な構成要素は何年にも及ぶ見習い期間と数えきれないほどの時間の勉強を積み上げた末に獲得される専門知識のかすかな表出に過ぎない。
ウィザードは彼らの呪文のために生き、そして死ぬ。他のあらゆることは二次的なものに過ぎない。彼らは実験と経験を積むことによって新しい呪文を学ぶ。また彼らは他のウィザードや、古代の書物や碑文、そして魔法に染まっている古代のクリーチャー(フェイなど)からそれらを学ぶこともできる。

知識の誘惑

ウィザードの生活が世俗的であることは少ない。普通の生活を送っているものの中でウィザードに最も近いものとしては、賢者や図書館や大学の講師としての仕事が近く、多元宇宙の秘密を他者に講義するのだろう。他のウィザードは占い師としてサービスを提供したり、軍隊に仕えたり、あるいは犯罪や支配権を求めたりしている。
しかし知識とパワーの誘惑は、ほとんど冒険心のないウィザードすらも、安全な図書館や研究室を飛び出して、遺跡や廃墟と化した都市へと向かわせるほどのものである。大部分のウィザードは、古代文明の彼らの仲間たちは、時代の流れの中で失われてしまった魔法の秘密を知っていたと信じており、それらの秘密を解き明かすことが、現代に存在するあらゆる魔法をしのぐパワーへの道を開くものとなると信じている。

ウィザードの作成

ウィザードのキャラクターの作成には、最低でも1つの特別な出来事によって色付けられる背景物語が求められる。君のキャラクターが初めて魔法と接触したのはどのようにしてだったのか? 君がそれに対する適性を有していることはどのようにして見出されたのか? 君は天性の才能を持ち合せていたのか、それとも単に猛勉強と絶え間ない練習によってそれを手に入れたのか? 君は魔法の基礎を学ぶに当たって、魔法的なクリーチャーと出会ったか、あるいは古代の書物に出会ったかしたのか?
君を勉学の人生から引っ張りだしたのは何であったのか? 初めての魔法の知識の味わいが君にさらなる知識への欲望をもたらしたのであろうか? 他のいかなるウィザードによっても略奪されたことがない秘密の知識の宝庫があるという噂を聞いたのであろうか? もしかすると、君は新たに発見した自らの魔法の技能を危険に直面することによって試してみたいという暑い欲求を持っているだけなのかもしれない。

簡単作成

君は下記の推奨方法を使うことで簡単にウィザードを作成できる。第一に、【知力】を最も高い能力値とするべきであり、ついで【耐久力】か【敏捷力】を高くする。第二に、賢者の背景を選ぶ。第三に、ライト、メイジ・ハンド、レイ・オヴ・フロストの初級魔法を選んで、加えて呪文書には下記の1レベル呪文を選ぶ:バーニング・ハンズ、チャーム・パースン、メイジ・アーマー、マジック・ミサイル、シールド、スリープ。

クラスの特徴

ウィザードとして、君は下記のクラスの特徴を得る。

ヒット・ポイント

ヒット・ダイス:ウィザード・レベル毎に1d6
1レベル時のヒット・ポイント:6+【耐久力】修正値
より高いレベルの時のヒット・ポイント:2レベル以降のウィザード・レベル毎に1d6(あるいは4)+【耐久力】修正値

習熟

防具:なし
武器:ダガー、ダーツ、スリング、クオータースタッフ、ライト・クロスボウ
道具:なし

セーヴィグ・スロー:【知力】、【判断力】
技能:〈医術〉、〈看破〉、〈宗教〉、〈捜査〉、〈魔法学〉、〈歴史〉から2つ選ぶ

装備

君は下記の装備に、背景によって与えられる装備を加えたものを持ってゲームを開始する。
  • (a)クオータースタッフ、あるいは(b)ダガー
  • (a)呪文構成要素ポーチ、あるいは(b)秘術の焦点具
  • (a)学者パック、(b)探険家パック
  • 呪文書


呪文発動

Spellcasting
秘術魔法の学問の徒として、君は自らの真のパワー最初の輝きを示す呪文が収められた、一冊の呪文書を持っている。呪文発動に関する一般的なルールについては第10章、ウィザード呪文のリストについては第11章参照。

初級魔法

Cantrips
1レベル時、君はウィザード呪文リストから3つの初級魔法を選択してそれを修得している。より高いレベルになると、「表:ウィザード」の「修得初級魔法」の項目に示されている通りに、君は自分で選択して追加のウィザード初級魔法を学んでいく。

呪文書

Spellbook
1レベル時、君は自分が選択した1レベル・ウィザード呪文6つが含まれた呪文書を持っている。
呪文書に初級魔法は含まれていない。

呪文の準備と発動

Preparing and Casting Spells
「表:ウィザード」には、1レベルおよびそれ以上のレベルにおいて、呪文を発動するために君が持っている呪文スロットの数が示されている。これらの呪文の1つを発動するには、その呪文のレベルと同じかそれ以上のスロット1つを消費しなければならない。大休憩を取り終えたときには、消費した呪文スロット全てを回復する。
君はウィザード呪文リストの中から、発動することができるウィザード呪文のリストを君の呪文書から選んで準備する。そうする際、君は【知力】修正値+君のウィザード・レベルに等しい数のウィザード呪文(最低でも1つの呪文)を選択する。この呪文は君が呪文スロットを持っているレベルのものでなければならない。
たとえば、君が3レベル・ウィザードであるなら、4つの1レベル呪文と2つの2レベル呪文スロットを持つ。【知力】が16であるなら、君の準備している呪文のリストには1レベルか2レベルを任意の組み合わせで君の呪文書から選んだ6つの呪文を含むことができる。もし1レベル呪文のマジック・ミサイルを準備したなら、君はそれを1レベルか2レベルのスロットを使って発動することができる。呪文の発動によって、準備してある呪文のリストからそれが除外されることはない。
大休憩を取り終えたとき、君は準備してある呪文のリストを変更できる。ウィザード呪文の新しいリストを準備するには、呪文書を見て勉強し、呪文を発動するのに行なわなければならない詠唱とジェスチャーを記憶することに時間を費やす必要がある:君のリストにある各呪文について、呪文レベル毎に最低でも1分を要する。

呪文発動能力

Spellcasting Ability
【知力】が君のウィザード呪文の呪文発動能力である。君は自らの呪文を熱心な勉強と記憶を通して学ぶためである。君はウィザード呪文が君の呪文発動能力を参照するときにはいつでも、【知力】を使用する。加えて、君の発動するウィザード呪文のセーヴィング・スロー難易度を決めるときや、それを使って攻撃ロールを行なうときにも、【知力】を使用する。
呪文セーヴ難易度=8+習熟ボーナス+【知力】修正値
呪文攻撃修正値=習熟ボーナス+【知力】修正値

儀式発動

Ritual Casting
その呪文に儀式の補足が付いており、その呪文が君の呪文書に書き込まれているなら、君はウィザード呪文を儀式として発動することができる。君はその呪文を準備しておく必要はない。

呪文発動の焦点具

Spellcasting Focus
君はウィザード呪文用の呪文発動時の焦点具として、秘術の焦点具(第5章に説明されている)を使用できる。

1レベル以上の呪文を修得する

Learning Spells of 1st Level and Higher
君がウィザード・レベルを獲得するごとに、君は自身の呪文書に自ら選択したウィザード呪文2つを加えることができる。これらの呪文それぞれについて、「表:ウィザード」に示されている、君が有している呪文スロットのレベルのものでなければならない。冒険の間に、君は自分の呪文書に加えることができるそれ以外の呪文を発見することがあるかもしれない(「呪文書」のサイドバー参照)。

秘術力の回復

Arcane Recovery
君は呪文書を勉強することで、自らの魔法のエネルギーのいくばくかを回復する術を学んでいる。1日1回、君が小休憩を取り終えたとき、消費してしまった呪文スロットを回復することができる。この呪文スロットは、そのレベルの合計が君のウィザード・レベルの半分以下(端数切り上げ)でなければならず、こうしたスロットのいずれも6レベル以上であってはならない。
たとえば、君が4レベル・ウィザードであるなら、呪文スロット2レベル分までを回復できる。君は2レベル呪文スロット1つを回復するか、あるいは1レベル呪文スロット2つを回復するか、どちらかが可能である。

秘術の伝統

Arcane Tradition
2レベルに達したとき、君は秘術の伝統1つを選び、8つの呪文系統の1つを通して魔法の実践を行なう:幻術、召喚術、死霊術、心術、占術、変成術、防御術、力術。このクラスの説明の最後にこれら全てについて説明してある。
君のこの選択は、2レベル、6レベル、10レベル、14レベル時に君に特徴を与えてくれる。

能力値上昇

Ability Score Improvement
4レベル、8レベル、12レベル、16レベル、19レベルに達したとき、君は自分が選択した1つの能力値を2上昇させるか、あるいは自分が選択した2つの能力値をそれぞれ1上昇させることができる。通常の場合と同様、この特徴を使って能力値を20よりも高く上昇させることはできない。

呪文体得

Spell Mastery
18レベルになると、君の特定の呪文に対する熟練の度合いは著しい段階に達し、君はそれらを回数無制限で発動することができるようになる。呪文書の中から1レベル呪文1つと2レベル呪文1つを選ぶこと。君はこれらの呪文を準備しているとき、呪文スロットを消費することなく、最低レベルの呪文として発動することができる。もしいずれかの呪文をより高いレベルで発動したいのであれば、通常通りに呪文スロットを消費しなければならない。
8時間の学習に時間を費やすことで、選択した呪文の1つあるいは両方を、同じレベルの別の呪文と入れ替えることができる。

得意呪文

Signature Spells
20レベルに達すると、君は2つの強力な呪文をすっかり体得し、それらをほとんど労せずして発動できるようになる。呪文書にある3レベル・ウィザード呪文2つを、得意呪文として選ぶこと。君はこれらの呪文を常に準備しており、君が準備しておくことができる呪文数の勘定にいれないで良く、さらにこれらのどちらの呪文も、呪文スロットを消費することなく、3レベルとして1回だけ発動できる。発動したときには、小休憩か大休憩を取り終えるまでは再びそのように使用することはできない。
もしいずれかの呪文をより高いレベルで発動したいのであれば、通常通りに呪文スロットを消費しなければならない。

秘術の伝統

ARCANE TRADITIONS
魔道の学習とは、古の技であり、始原の定命の者たちによる魔法の発見にまで遡る技である。それはD&D世界にしっかりと確立されたもので、その複雑な学問に捧げられたさまざまな伝統がある。
多元宇宙における最も一般的な秘術の伝統は、魔法の系統を中心として展開されるものである。何世代もかけてウィザードたちは何千もの呪文を目録に載せて来て、それらを第10章で説明しているように、系統と呼ばれる8つの分類に当て嵌めてきた。
いくつかの次元界では、これらの伝統は文字通り学派になっている。別の場所では、これらはより学問的な分野となっており、ライバルの学部はより多くの学生と財源を求めて競合している。自分自身の塔に孤独に暮らしつつ弟子を鍛えているウィザードですら、学習の道具として系統に分かれた魔法の部門を利用している。なぜなら、各系統の呪文には異なるテクニックの体得が必要とされるためである。

幻術系統

召喚術系統

死霊術系統

心術系統

占術系統

変成幻術系統

防御術系統

力術系統


出展:『Player's Handbook』

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最終更新:2016年09月11日 22:03