国富中村古墳


  • 直径約30mの円墳。
   全長9.3m以上の横穴式石室を持ち、2002年の発見当時、
   後世の侵入の形跡を持たない未盗掘古墳だった。

  • 玄室無いの家形石棺は蓋石が三つに割られ、副葬品も壊した状態でばら撒かれていた。
   土砂の堆積状況から、これらの状況は埋葬から十数年後に、二度に渡って行われたと見られる。

  • 石棺内には、特定の一ヶ所にリンを高濃度で検出、石室に入った際、骨を一ヶ所に集めたと見られる。

  • また、石室内に飲食や調理用の土器が安置されていたが、これらは埋葬時ではなく、
   埋葬から十数年以内の時期に副葬品の破壊と共に行われたと見られ、
   当時の葬送儀礼の一端を知る手掛かりとなる可能性がある。
   (研究者の中には、これを黄泉国神話のヨモツヘグイと関連させる見方もある)
  • ただし、たとえば畿内の藤ノ木古墳などでは同じ未盗掘でもこういった副葬品破壊の形跡はなく、
   出雲地方独特の儀礼であった可能性もあると云々。

(読売新聞 2012年9月12日朝刊)
最終更新:2012年09月13日 00:31