- 近世までで知られているガラスには二種類あった。中国で製法が知られた鉛ガラスと、
西欧で知られたソーダガラスに分かれる。
- 鉛ガラスは、熱した壺に鉛を入れ、硫黄を加えて炭火で溶かし、
溶けたところで硅石粉末と硝石粉末を入れ、飴状にしたもの。
『和漢三才図会』他、
江戸時代の日本の文献に載っているガラス製法はすべてこちらに当たる。
(また、ガラスを硝子と書くのも、材料に硝石があるから。この製法では、硝石を加えないと透明にならないという)
- ソーダガラスは、柏やブナなどの木の灰に、苛性ソーダ、砂を加えて作る。
- ソーダガラスは西欧で2000年前から知られていたが、鉛ガラスは16世紀後半の発明と見られる。
そのため、たとえば『天工開物』にはガラスに関する記述が無い。
- 鉛ガラスはソーダガラスに比べ、屈折率が高く、透明度も高い。また、重さも鉛ガラスの方が若干重い。
弾いた時の音も鉛ガラスの方がよく響くという。
さらに、切子細工をするのにも鉛ガラスの方が適しているという。
逆に、溶着して複雑な形を作るのはソーダガラスの方が適している。
- ちなみに、幕末まで「ガラス」という呼び方は定着しておらず、「硝子」と書いて「ビードロ」と読んでいた由。
『和漢三才図会』にも同様の振り仮名がふられている。
- また、切子細工の呼称「ギヤマン」は、金剛石(ダイヤモンド)でカットする事から、
「ダイヤモンド」のオランダ語「diamant」が転じた呼び名である模様。
参考文献
最終更新:2013年11月14日 04:55