コショウ

  • コショウ科コショウ属のつる性植物、およびその果実を原料とする香辛料のこと。

  • 香辛料としてのコショウは、殺菌力が高く、肉類の保存や調理に有用なため、古代ヨーロッパで珍重された。


  • 収穫した実を数日間堆積した後、そのまま天日乾燥させたものが黒コショウ。
   それに対し、外皮が柔らかくなるまで水に曝したあと、外皮をはがして乾燥させたものが白コショウ。





  • 元々、ヨーロッパで「ペッパー」と呼ばれていたのは同じコショウ属の植物「ロングペッパー」で、
   その後コショウが伝わるに従いペッパーがコショウを指すようになったとか。

  • その他、「ピンクペッパー」と呼ばれる香辛料もあるが、これは西洋ナナカマドの果実を酢漬け、
   もしくは乾燥させたもので、コショウとは無関係。

  • 一方、九州などで使われる調味料「柚子こしょう」はこしょうと名前に入っているがコショウベースではなく、
   トウガラシを荒刻みし、ユズの皮と塩を入れてすりつぶし、軽く熟成させたもの。
   九州やいくつかの地域では、トウガラシをコショウと呼ぶ場合があるためこのような名前となった。



  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』に、黒コショウができる理由に関する記述がある。
   それによればシドンの国(現レバノンサイダ)の国境域にセラストと呼ばれる
   雄羊の角を持った蛇がおり、その動物がこの地方に豊富にあるコショウを守っている。
   人間はコショウの収穫の為に木々に火を放ち、そのせいでコショウは自然の色から変色して黒コショウになるのだ、と云々




      参考文献

『スパイスなんでも小事典』
『炭素文明論』佐藤健太郎
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス


最終更新:2016年11月12日 06:03