- プリニウス『博物誌』第十一巻に、アリは自分たちのうちで死んだものを埋める唯一の現存動物である、と記載されている。
インドの巨大アリ
- ヘロドトス『歴史』をはじめ、諸書に記される巨大なアリの話がある。
インドの北よりの方面に棲むもので、大きさは「犬よりは小さいが狐よりは大きい」ほどで、
このアリが掘りあげた砂に金が含まれているため、この地のインド人はこの砂を求めて無人地帯に出かけるのだとか。
- アッリアノス『インド誌』には、アレクサンドロス大王に派遣されてインド沿岸を航行したネアルコスもまた、
このアリそのものは見ていないものの、このアリのおびただしい数の皮殻が
マケドニア軍の陣営に持ち込まれたのを見たと語ったという。
- プリニウス『博物誌』第十一巻にもこの巨大なアリの話がある。
その記述によれば、これらのアリはダルダエと呼ばれる北インド地域にある地下の洞窟から金を運び出しており、
ネコのような色をしていて、大きさは
エジプトオオカミくらいであるという。
夏の暑い天候の時にはアリたちは穴に隠れているので、その間にインド人たちはこのアリたちが掘り出した金を
こっそり盗み取るのだという。
また、エリュトラエという地域の
ヘラクレス神殿内にインドアリの角が飾られており、見せ物の一つであったという。
- ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』では、セレウキアからエジプトへ向かう途中の島に
「ミルミドン蟻」というのがおり、子犬ほどの大きさで六本脚、体の中心はまるで大エビで、犬の歯を持ち、
黒く、土から掘り出した金を溜めこんでいる、人間や動物を捕えると骨まで貪り食い、
移動は敏速でまるで飛んでいるかのようである、という。人々は命がけでこのアリから金を奪っているとか。
参考文献
『歴史(上)』ヘロドトス
『アレクサンドロス大王東征記(下)』アッリアノス
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス
最終更新:2016年11月13日 03:33