- イギリス中世の英雄叙事詩『ベーオウルフ』に登場する巨人。
弟を殺したことで神に放逐されたカインの血筋はその後様々な悪霊怪物を生み出したとする。
- 『ベーオウルフ』作中では、デネ(デンマーク)王フロースガールの屋敷を襲いその家臣たちを殺して苦しめたが、
ベーオウルフによって討ち取られる。
- 『ベーオウルフ』第十二節に、グレンデルはその魔力によって剣などの刃物による攻撃が無効となっている、とする記述がある。
- 同作中では、グレンデルとその母が住まうのは沼の底にある洞窟。
ベーオウルフはここでグレンデルの母にあたる女怪と戦うが、持ち込んだ名剣フルンティングも刃が立たないところ、
洞窟内にあった、巨人が造った巨大な剣を抜き放ち、これによって巨人に勝利。同時に
洞窟内でこと切れていたグレンデルの首級も手に入れるが、グレンデルを斬ったことでこの剣の刃は
垂氷のように溶けてしまい、ベーオウルフは剣の柄とグレンデルの首級を持ち帰る。
この剣の柄には、かつて巨人族が洪水によって滅ぼされた時(旧約聖書における
ノアの方舟の逸話にある洪水)の
情景が彫られていたという。
(zsphereコメント:旧約聖書において、カインとアベルの話は
洪水神話より前。従ってカインの末裔がデンマークで
暴れるためには、ノアが方舟で生き延びた洪水を巨人たちのうちいくらかも、どうにか生き延びていなければならない道理。
『ベーオウルフ』で巨人たちの棲み処が沼の底に設定されているのもそうした連想か。
また、巨人が造った巨大な剣が出てくるところも興味深い。 →
巨人と製鉄)
参考文献
『ベーオウルフ』
最終更新:2016年10月19日 05:19