白山妙理権現

  • 東日本に多く分布する白山神社の祭神。白山比咩命。


  • 858年(天安二年)、比叡山麓の日吉山王神社の上七社の一つ、
   客人社として白山社が祀られる。
   『平家物語』「願立」の段に、「客人と申すは、白山妙理権現にておはします」とあり、白山中宮(長滝白山神社)とは父子の仲であるとする。


  • 客人社の客人権現は遊郭にも祀られており、大田南畝『奴凧』に
   「青楼にて客人権現の宮を信ずるのもをかし。山王廿一社の
    客人権現は女神也。青楼に女客は入らぬもの也」とある。



  • きえはつる 時しなければ こしじなる 白山の名は雪にぞありける(『古今和歌集』四一四)

  • 『枕草子』八十七段で、清少納言と他の女官が、庭に作った雪山がいつまでもつか
   あて比べをする話の中、雨が降って雪が消えそうな際に、清少納言が
   「白山の観音、これ消えさせ給ふな」と祈ったという話を載せる。
   (この時代既に、都の貴族の間でも、雪といえば白山だったことが知られる)

   鵜河寺が白山の末寺であった事から、八月十二日に白山中宮(長滝白山神社)の神輿が比叡山に登った際、
   北から都へ雷が鳴り響き、白雪が降って大地を埋めたと『平家物語』「鵜河軍」の段にある。
   (zsphereコメント:真夏に雪を降らせるという圧巻のキャラ立ちっぷり。これが中世の神様の真骨頂であるw)


  • 「薮田嘉一郎によると、「近江の高島郡にある水尾(三尾)神が
    古代の越の国である加賀国に現じて白山権現となった」と
    園城寺では伝えている」と『青銅の神の足跡』で谷川健一氏が書いているが。
(zsphereコメント:さすがにこれだけでは何とも。裏をとる必要がありそう)



      参考文献

『白の民俗学へ』前田速夫
『青銅の神の足跡』谷川健一
『平家物語(一)』



最終更新:2013年07月05日 17:56