イワシ

  • 女房言葉では「おむら」「むらさき」と呼ばれる。
   『本朝食鑑』に、塩粕漬のイワシの肉が紫黒色であるから、
   もしくは摂関藤原氏の服色が紫であるので、その美味を賞したものとする。

  • アイヌ語でも、この種を「イワシ」と呼ぶ。

  • 味は良いのだが、あまりに数多く獲れるため卑しまれるという。
   イワシの語源を「卑し」とする説もある。

  • イワシの頭は邪を払う、という説が陰陽家の間で信じられていた。
   これは、生臭みが強いので邪が近寄れないためとする。

  • 『和訓栞』に、紫式部がイワシを食べた話が載る。
   夫が外出したので、式部はイワシを焼いて食べるが、帰宅した夫は匂いで気づき、
   下賤なものを食べる式部をたしなめる。それに対して、
   「日の本に はやらせ給ういわしみず まいらぬ人はあらじとぞおもう」
   と詠んだという話(イワシと、石清水八幡宮をかけている)

(『世界大博物図鑑2 魚類』荒俣宏)



最終更新:2011年10月12日 10:54