登録日:2011/04/18(月) 10:33:20
更新日:2023/12/05 Tue 23:51:19
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『ちびまる子ちゃん おこづかい大作戦』とは、1990年12月7日に発売された
ゲームボーイ用のゲームソフト。発売元はタカラ(現タカラトミー)。
国民的人気アニメのゲーム化第一作で、人気絶頂の時に発売されたので購入者は実に20万を数えたという。
が、ウキウキ気分でプレイした犠牲者たちは地獄を見ることに……。
さて、本作の目的はまる子を操作してミニゲームをクリアしながらお金を集め、デパートで5つの品物を買い集めることだ。
品物の合計金額は10000円強だが、原作の設定(まる子のおこづかいは1日30円)に合わせたのか、初期所持金はたったの30円。しかも所持金は最大500円(まる子カードというアイテムを使えば1000円)と上限が低く、貯金が重要となってくる。
なお、貯金と所持金がともに0円になるとゲームオーバー。
見落としがちなトラップとして、買い物をした結果、所持金と貯金が0になってもその場でゲームオーバーとなる。
つまり、うっかり品物を所持金と貯金がぴったりになる金額で買ったらゲームオーバー直行。手元に必ず10円でもいいから残しておかねばならないのだ。
そしてお金が手に入るミニゲームだが、4つの種類があって、
- サイコロ
- スロット
- 坊主めくり
- ビッグオアスモール
の4種。
まる子「この4つのミニゲームを見て……すぐある予感が走った……。この勝負運否天賦だ……おそらく愚図が堕ちていく……。勝つのは強運を持つもの……」
そう、このゲームの本質、それはカイジも真っ青のギャンブルゲーである。
お金を集めるためには、町の住人やまる子の祖父である友蔵とミニゲームという名のギャンブルを繰り広げ、自らの強運のみを武器にして生き残らなければならない。ギャンブルなので挑むにはもちろん掛け金が要る。当然、負ければお金も少しずつ減っていく。
これだけならたいした問題ではない。著しい運ゲーとはいえ根気があればクリアできそうなものである。
そんな考えのプレイヤーを待ち構えているのは、このゲームの難易度更に上げる鬼畜仕様である。
まる子「ひどい……! ひどすぎるっ……! こんな話があるかっ……!
命からがら……やっとの思いで帰宅したのに……お母さんっ……! あいつがもぎ取ってしまった……!
せっかくの……今までの苦労……費やした時間……すべてをっ……!」
なんと、自宅に帰った際ランダムでお母さんが待ち構えていることがあり、出会ってしまったが最後、所持金全てを取り上げられてしまう。
しかも警告や兆候などの類は一切無く、家に入るまでいるかどうかが全く判らない、完全な運任せ仕様。
あの帝愛すら寒気を覚えるであろう、厳しすぎるとりたてである。
自宅では勝てば1000円もらえる友蔵とのゲームが遊べるが、それが終わった時や、メニューを開いて閉じた時に襲撃してくることすらある。
なおその際の台詞は常に一定。自宅内のメニュー開閉でも「あんたどこ行ってたの?!」と言われるし、所持金が僅か10円でも「あんたどーしたのそのお金!お母さんが預かってあげるからよこしなさい!」である。
貯金が無い場合、ここでゲームオーバー。最初からやり直しとなる。もちろん貯金の無い初帰宅の時に遭遇すれば即ゲームオーバー。
この時の「あんた おにだね……」というまる子のセリフが全てを物語っているだろう。
福引きで当てた景品を持っていれば所持金を奪われずに済むが、福引きなので手に入るかはこれまた運次第。
さらに、福引きをするには当然福引券が必要だが、そもそも福引券自体じゃんけん勝負に勝つとたまに貰えるという仕様で、景品を手に入れるには、じゃんけん勝負と福引きという二重のハードルを越えなければならない。
そしてここまで苦労して手に入れた景品でやり過ごしても、メニュー開閉したら再襲撃されてそれまでの苦労が水の泡と化すこともある。
スタッフはどれだけプレイヤーを運ゲーの極致へ挑ませようとしているのか……。
しかし貯金には手を出されないので、それさえちゃんとしていれば致命的な被害は受けない……と思われた。
まる子「貯金に手を出されることはない……! 今度こそ……!」
ナレーション(※CVは立木文彦、キートン山田、木村匡也をご自由にお選びください)
「ギャンブルではこういう考え方が一番危ない」
「まさに地獄に直結する道」
「貯金に手を出されないという読みはまさに泥沼」
「嵌まっている……! すでに泥中 首まで……!」
まる子「お母さん…丸尾君…腐ってやがる…!お前らっ……!それでも人間かっ……!」
このゲームは一度ギャンブ……ゲームをした相手とはすぐに再戦できない仕様になっており、再戦するには「たまちゃん」のカードを使う必要がある。
町中を駆けずり回って上手く金を巻き上……勝利を重ねたとしても、一周だけでは目標金額には到底届かないため、攻略には前述のカードが必要不可欠となる。
しかしこのカードは、攻略上必須アイテムと言えるのに、ミニゲーム「じゃんけん」で勝つと1/5で手に入るという徹頭徹尾超運ゲー仕様。もしも引けなければ、最悪、詰み状態になってリセットするしかなくなる場合も……。
さらに、「たまちゃん」以外には「まる子」「おじいちゃん」「おかあさん」「丸尾君」のカードが存在し、「まる子」は上述の通り所持金の上限アップ、「おじいちゃん」と「おかあさん」は後述の「気力」上昇と有用。
だが、「丸尾君」のカードは、引くと貯金が半額になってしまうという、凶悪なお邪魔カードである。
一応お母さん襲来は「突然現れた母がお金を預かるという名目で没収する」という演出があるが、こちらはどういう理屈か一切不明。というかいつの間に、そしてどうやってまる子の家に侵入したんだ君は。
ただ貯金箱に触れた瞬間「お金が減っている!」というメッセージが表示されるだけである。
カードの効果とはいえ、こんな汚れ役を担わされる丸尾君は災難だが、それ以上に災難なのはもちろんプレイヤーである。
そもそも他のギャンブルを行う際には「気力」が1つ以上必要という仕様のため、手っ取り早く気力を上げる方法はじゃんけんをするしかないが、ここでも丸尾君のカードとエンカウントする可能性があるという隙の無い仕様となっている。
一応対策手段はあり、「丸尾君」のカードが発動するのは家の貯金箱に触れた瞬間という仕様を利用すればいい。「丸尾君」のカードを引いてしまったらデパートに行って散財してしまえば被害は最小限に抑えられるのだ。
しかし、後半になれば買える品物も減っていくので、数多のプレイヤーが鬼畜眼鏡に貯金をゴリゴリ削られていった。
そして最後にこのゲームを超絶難易度に押し上げているのは、
まる子「なんだっ……! このゲームはっ……! セーブできねえじゃねえかっ……! 通るかっ……! こんなもん……!」
この超絶難易度でセーブすら許されない一発勝負。
"ゲームは人生と同じ、リセットできないものなので大切にしてください"というメッセージなのか、あるいは技術不足でセーブ機能を搭載できなかったのか。そして製作陣には手加減という名のセーブ機能も無かったようだ。
この全方位において隙の無い運ゲーおよび
クソゲーっぷりのせいで、誰が呼んだか
『GB版マインドシーカー』『賭博黙示録マルコ』などという物騒な渾名が定着した。
後者の渾名については「ちびまる子ちゃん」自体が、世間一般ではファミリーアニメとして認知こそされているが、
まる子を含んだ登場人物が全体的に灰汁が強く、子供ゆえの無垢な行動が結果的に酷い事になったブラックな回も多々ある為、別ベクトルではあるがブラックな世界観である某漫画(後述)とのイメージが妙に合致するために、この渾名が定着したのだろう。
なお、エンディングはというと……
まる子「うれしいねぇ。あたしゃしあわせもんだよ。ばんざーいばんざーい!」(大意)
以 上 で あ る 。
すぐにタイトル画面に戻るので戦犯リスト、もといスタッフロールも流れない。
余韻もクソもねえ(´・ω・`)
他にも『ちびまる子ちゃん』のゲームはいくつかリリースされたが、そのいずれもコレを超えていない。売り上げでも酷さでも。ていうか超えてたまるか。
というか本作が希代のクソゲーになっただけで、後発タイトルはいずれも普通に遊べる。『ちびまる子ちゃん』のゲーム全てが地雷というわけではないので安心しよう。
また、本作の悪評が広まりきったがゆえに、後発のゲームもそう見られがちになってしまっている一面があるのは否定できない。
ちなみに
『賭博黙示録マルコ』の渾名の由来は『
賭博黙示録カイジ』だが、同作の連載が始まったのはこのゲームの発売から6年後の1996年だった。人気シリーズになった『カイジ』だが、もしかして本作は時代を先取りしていた……?
……そして、時は流れて2021年。原作の舞台である昭和もゲームが発売された平成も過ぎ去りし令和の世に、この全方位クソゲーに途中で吐きそうになりながらも果敢に立ち向かった勇者有志達の手により、とある攻略法が編み出された。
それは、
まる子「人は人を救わない……なぜなら……人は人を救わなくても……その心が痛まないからっ……!」
まる子「なら……期待するなっ……!他人に……!」
まる子「自分だっ……! 自分……!自分を救うのは……自分だけ……!」
……もちろん良い子の(?)我らがまるちゃんが本当にそんなことをしでかしているわけではない。正確には、あくまで「そう見える行動を取ると所持金が増える」ということ。
断っておくが、よしんば賽銭箱の外に落ちていたものだったとしても、落ちているお金をネコババした時点で立派な犯罪である。子供のやったことだから、では済まされない。
ともかく詳しく説明すると、神社にてお賽銭を納めずに神頼みを繰り返すとたまに10円を入手することがある。
賽銭箱の近くで拾えるからには、恐らくはそこから外れて落ちたお金だろう。だが、無限に拾えるのでどう見ても賽銭箱からネコババしているようにしか見えないのだ。
で、これを何度か繰り返して50円まで貯めたら、神社の近くにある駄菓子屋でお菓子を買い「気力」を2つ増やせる。
これによりじゃんけんで「丸尾君」カードとエンカウントする確率を極力下げつつ「気力が高ければ高いほどミニゲームでの賞金が増える」仕様を利用してお金を稼ぎやすくする、という一石二鳥の攻略法が成立したのである。
まあ、焼石を握った時点で大火傷していることには変わらないが。
あん、追記・修正してよん、イケズ。