コンゴ民主共和国

登録日: 2015/05/08 Fri 22:32:36
更新日:2024/04/30 Tue 22:35:25
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コンゴ民主共和国とは、アフリカ南部にある国。
アルジェリアに続いてアフリカ大陸で第2位の面積を擁し、世界全体でも第11位の面積を擁する広大な国家である。
北は中央アフリカ、北西にコンゴ共和国、東にタンザニア、ブルンジ、ルワンダ、北東に南スーダン、ウガンダ、
南にザンビア、南西にアンゴラと国境を接し、西は大西洋と面する。首都はキンシャサ。

概要

正式名称はフランス語で「République Démocratique du Congo」英語表記は「Democratic Republic of the Congo」。
この他、スワヒリ語、コンゴ語、リンガラ語、ルバ語が国語として制定されており、
コンゴ語では「Repubilika ya Kongo ya Dimokalasi」、リンガラ語では「Republiki ya Kongó Demokratiki」(似ているようだが助詞の数とアクセントが異なる)
ルバ語では「Ditunga dia Kongu wa Mungalaata」、スワヒリ語では「Jamhuri ya Kidemokrasia ya Kongo」となる。
日本語では「コンゴ民主共和国」や「DRコンゴ」と表記される。1971年から97年までの間は、「ザイール共和国」(仏:République du Zaïre)と名乗っていた。
ちなみにその前はと言うと何と「コンゴ共和国」。そう、お隣と同じ名前なのである。
流石にこれだと区別がつかないので、当初はコンゴ共和国を「コンゴ(ブラザビル)」、現コンゴ民主共和国を「コンゴ(レオポルドビル*1)」と読んでいた事もあった。
というかこのふたつは隣接している。(世界でもここだけ)


独立直後から、コンゴ動乱、クーデター、さらには周辺国の介入を許したりと昔から何かとゴタゴタの絶えない国である。
なんもかんも宗主国のベルギーが悪い。

最近話題となったエボラ出血熱はこの国で見つかった。1977年にエボラ川で発見されたためつけられたのだが、元々は現地の言葉で「白い水」という意味であるらしい。……なんとも皮肉な話である。

またこの国を語る上で外せないのがレイプの多さである。毎年40万人以上の女性がレイプされているというにも関わらず、なんと政府は見て見ぬふりをするありさまで、
挙句の果てにはこの現状を世界に伝えようとした人を大統領が「国の恥だから黙ってろ(#^ω^)」と脅す始末。そのおかげで昼は平穏な生活をしていても、夜になると安全地帯に逃げざるを得ないのである。

コンゴ紛争で周辺の国との関係はあまりよくない。特に東部のルワンダやウガンダとは未だに険悪であり、前述のレイプ被害が多発しているのは東部諸州である。


産業

産業は火山帯で地下資源に恵まれた土地を生かした鉱業が盛んである。
鉄鉱、石炭といったものからウラン、ラジウム、ダイヤモンド、金銀…など様々な鉱物が豊富に存在する。
中でもコバルトは全世界の半分以上がこの国に存在する。
さらに海には海底油田も。
資源的にはかなり恵まれた立地で、その輸出が国の経済を支えている。
しかしそれさえも紛争の原因になっているのが悲しい…


自然

自然環境や絶滅危惧動物の生態に関しては重要なキーを持つ国である。
サバンナあり、火山あり、大河と滝あり、氷河のある高山あり、狭いがとの接地面あり、そして熱帯に位置し雨も多いためアマゾンに次ぐ広さの熱帯雨林もあり。
そんな起伏に富んだ地域柄のため、ライオンゾウやキリンやカバといったアフリカお馴染みの動物は勿論、ジャングルに住む珍しい動物達の貴重な住処がある。

その中の一つがコンゴ民主共和国の固有種であるボノボ。
チンパンジーの仲間であるが、希少とされるチンパンジーの中でも更に希少な種である。
チンパンジーより体格が華奢だが、性をコミュニケーションとして使うことで争いを鎮める温厚な平和主義者で、一説にはチンパンジーよりも知能が高い・人間に最も近い類人猿とも言われている。
性の対象と行動は幅広く、雄雌の間だけでなく、雄同士・雌同士もあり、乱交や年齢も多種多様。

他にも心優しい類人猿・ゴリラの生息地や世界三大珍獣オカピの保護区や国立公園があり、その内5つが自然に関する世界遺産となっている。
人間の紛争や経済事情によって自然環境も危機に立たされていることには変わりない
(紛争区域の拡大や鉱業、焼畑による環境の悪化、ゴリラの虐殺、乱獲による野生のキタシロサイの絶滅、保護していたレンジャーが殺されたり治安の悪化で逃げ出してしまったり…)
が、どうにか立ち直って欲しいものである。


文化

近年両コンゴで「サップ(SAPE)」「サプール(SAPEURS)」というファッション文化が注目を集めている。
簡単に言えばエレガントな装いとステップ街を歩こう!という単純なものだが、自分たちだけではなく市民の人々までをも勇気づけるエンターテイナーとして注目を集めているそうだ。イギリスのデザイナー、ポールスミスもファッションの参考にしたと言われている。
コンゴの厳しい状況の中でも「武器を捨て、エレガントな装いする」が理念であり、彼らは何カ月分ものお給料を費やしておしゃれを楽しんでいるのだ。


その他

ドラえもん のび太の大魔境」の「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」及び「バウワンコ王国」があるのはこの国の中。
「ジャングル大帝」の舞台のジャングルはこの国の東、ウガンダとの国境近くにある。

1974年、ベトナム戦争徴兵問題や公民権運動の絡みで王座を奪われたモハメド・アリが全盛期のジョージ・フォアマンとの世界戦を行ったのがキンシャサ。
全盛期をとうに過ぎたとの風評だったアリがフォアマンを破ったため「キンシャサの奇跡」と言われるようになった伝説の試合である。
キンシャサの観客はアメリカのバックアップを受けた当時の権力者モブツに対し非常に反感が強かったため、アメリカに逆らいなお名誉を取り戻そうとするアリに熱狂的な声援を送った。
その時に送られた声援「アリ!ボマイェ!(Ali bomaye!)」は日本でもこの試合が中継されたことや、
アリとの交流があったアントニオ猪木の登場曲・炎のファイターに「イノキボンバイエ」というフレーズにアレンジされ印象的に使われたため割と有名。
しかし、アリの戦い方は全盛期のヘビー級史上最速と言われた華麗なスタイルではなく、防御して防御して致命の一発を差し込むスタイルになっており、
ハードパンチャーのフォアマン相手に被弾上等のスタイルで挑んだことは、このスタイルを続けたことと相まってパーキンソン病を発症する原因となったと言われる。
ちなみにボンバイエの元になったこのボマイェはこの国で話されているリンガラ語で
「殺っちまえ」、「奴を殺せ」等の意味である。


ムネオハウスでお馴染み? の鈴木宗男の秘書を務めていたジョン・ムウェテ・ムルアカや、
エルギャラクティコと呼ばれたレアル・マドリードにおいて、中盤の底で献身的な守備で魅せたクロード・マケレレの母国である。
他にも、元宗主国であるベルギーの代表にはFWロメル・ルカクらコンゴ民主共和国にルーツを持つ選手が割といる。
日本だと、北海道日本ハムファイターズの万波中正選手の父親がコンゴ人のハーフである。

政治家では前述のモブツ大統領と彼を追い出したローレン・カビラ大統領等悪名高い人物が多いものの、
独立当初は欧米の勢力を排除してアフリカ人の自立を訴えたルムンバ首相のような熱意あふれる政治家もいたのだ。
旧ソ連では彼の名を称えた「パトリス・ルムンバ国際大学」という学校が設立されている…が、どうやらテロの温床になっている様子。
天国のルムンバが見たら何というだろうか…




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最終更新:2024年04月30日 22:35

*1 首都・キンシャサの旧名