遠月茶寮料理學園

登録日:2021/01/12 (火曜日) 15:42:08
更新日:2024/02/28 Wed 11:57:51
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そこは日本屈指の料理学校…

卒業到達率10%以下の超絶エリート校だぜ


遠月茶寮料理學園(とおつきさりょうりょうりがくえん)とは『食戟のソーマ』に登場する料理学校の名称。


●目次



【概要】

主人公・幸平創真が通うことになった日本屈指の名門料理学校。通称「遠月学園」。
正式名称が長いため、作中ではもっぱら「遠月学園」「遠月」と呼ばれる。
学校としての歴史も長く、創真達の代は92期生となり、食に関するあらゆる業界に強い影響力を持ち、食に携わる者で遠月の名を知らない者はいないといわれる。

最高責任者である学園総帥は代々薙切家の人間が務める仕来りがあり、総帥を頂点に以下の部門に分かれている。
各部門 詳細
教育部門 物語の舞台となる「遠月学園」の運営
生産部門 食材の管理・流通を担う
観光部門 遠月リゾート」として十数軒の高級ホテルや旅館の運営
研究部門 デンマークを拠点に美食の総合研究機関「薙切インターナショナル」を統括
その他 海外部門・広報部門・総務部門など

作中の舞台となる教育部門の「遠月学園」は中等部・高等部の中高一貫校で、学習内容は料理の基礎技術や食材の知識だけでなく、栄養学、公衆衛生学、栽培概論、経営学など多岐にわたる。
実習系の授業は食材やジャンルのテーマごとに料理を創作する授業と決められた料理を制限時間内に完成させる授業の2種類がある。
また校内の調理室は生徒が自習できるよう授業で使用する時間帯以外は開放されており、食材を持参して利用申請をすれば誰でも自由に使うことができる。
ちなみに体育など普通の学校の授業も存在し、大学のように生徒が授業ごとに教室を移動する「教科センター方式」を採用している他、校歌もきちんとあり、卒業すれば高校課程の単位が取得できる。


【特色】

料理人版『虎の穴』とも言える非常に厳しい少数精鋭教育が特徴で、「99%の生徒は1%の生徒の才能を磨くための捨て石である」という考えの下、毎年高等部1年に進級する1000人近い生徒のうち2年生に進級できる者は100人未満と全体の一割にも満たず*1、そこから3年生に進級するのは更に1割程度の人数となり、卒業までたどり着く者はわずか十数人しかいないという過酷さで、ほんの僅かに規定の評価に達しなかったり課題を1回クリアできなかっただけで容赦なく退学にされるなど退学率が半端ないほど高い。
つまり丼研の主将のような冴えないキャラや名もなきモブキャラであっても高等部2年生というだけで強者という扱いになる

また長い歴史とその徹底した実力主義から料理業界に絶大な影響力と信頼度を誇り、「例え退学・中退したとしても学園に在籍したという履歴があるだけで料理人として箔がつき、卒業まで至れば一生料理界のスターダムを歩めるという」とも言われている*2
広大な敷地面積を有し学内には様々な施設がある。
学園の運営のほか、富士山と芦ノ湖を望むリゾート地に「遠月リゾート」というブランド名で十数軒の高級ホテルや旅館を経営している。数少ない卒業生の中にはここで働く者もいる。

料理人としての腕さえあれば家柄や出自等に一切関係無く、幸平創真やアルディーニ兄弟のように実家が下町の食堂だったり、葉山アキラのような海外のスラム出身の孤児であっても在学し続ける事が許されると言うのが基本方針だが、長い歴史を持つ名門学園であることから生徒の多くは一流・老舗料理店や卸売業等を行う食産業の御曹司・令嬢といった富裕層が大多数を締める。
そのため多くの生徒は程度の差はあれ庶民文化を見下しているなど典型的なエリート意識が高い者が多い上に虚栄心が非常に強く、生徒同士で激しく競わせようとする学校方針もあり、同級生同士であっても敵視して見下し合ったり、蹴落とし合いをする生徒が多数いる。
つまり『強者に優しく弱者に厳しい』学校。


【教育機関としての問題点】

これだけなら単なる名門料理学校なのだが、実は教育機関としてはあまりにも杜撰な体制が多くみられる。

評価基準

まず生徒の評価基準は料理の腕のみを絶対視されるのだが、学問・スポーツと同様に生徒の料理人としての成長速度は個人で異なるにもかかわらず、現時点での能力のみを評価対象としており、田所恵のような大器晩成型の生徒の可能性をまるで評価しようとせず、将来的に料理人としての才能が開花する可能性があるにもかかわらず、「その時結果を出せなければ即アウト」と将来性が全く評価の対象外となっている。
更に退学した生徒に関しては、就職先や転校先を工面するなどのアフターケアが全く行われず、完全放置となっている。
えりなが序盤に語っていたのだが、一時でも遠月に身を置いたという肩書きは、一応は料理人にとって決して小さなステータスでは無い、むしろ料理関連の仕事に就くにあたっては非常に大きなアドバンテージとなる。
その為退学になった生徒の再出発には困らないだろうが、どう足掻いても「遠月に入学するほどの腕はあったが卒業までは至らなかった」以上の存在になる為のリカバリーが出来ない事に変わりはない。

実力者の横暴を止める手段がない

実はこの学校には一般の学校のような生徒指導や企業によくある監査機関が存在しない
そのため初期の美作昴のように料理の腕が高ければ、性格に問題があっても高評価を受けてしまう。
酷い時には下記の十傑メンバーのように実力者側の私情で気に入らない相手を能力の有無に関わらず追い込んだり、研究会の方針を変えるといった強権・横暴を止める手段が殆どなく、美食を追い求めるあまり、人間性の構築に必要な教育(普通の学校でいう道徳)が疎かになってしまっている傾向がある。
更に後述の薊政権以前に同じことがあったかは不明だが、生徒間で行われる伝統的な決闘である「食戟」において、審査員を買収するという普通ならアウトな行いも買収した者を倒さない限り処罰されることはない*3

生徒の退学等を即決する権利を持っている人間が多すぎる上にその基準が曖昧である

上記2つが複合した結果の様なものだが、退学等の処分を決定できる権限を持つ者が単純に多すぎる。
本来、高校における退学処分というのは何度も会議を経た後で校長が決定を下すことで初めて執行される重大な処分である。
だがこの学校の場合校長どころか、常勤の教師はおろか合宿のために雇われた臨時講師にさえその権限が付与される上に、その基準は各講師が主観で決定しており、しかもそれを下すタイミングや基準には制約がない*4
課題がこなせなければ即退学というのは百歩譲って入学の段階で同意を前提としていることだとしても、講師の機嫌を損ねる様な行為をすれば課題とは関係ないところでその講師の一存で退学を決定されてしまうというのは常識から考えればあり得ない事態というか、そもそも社会組織が成立する訳がない事態である。

主人公の幸平創真とヒロインの1人である田所恵の両名に至っては、試験官*5が前者については単なる負け惜しみ、後者については自分のルセットを弄った*6という理由から、味としては十分なものを出しておきながら入試の落第や退学処分を決定したことがあり、しかもそれについて何らかのペナルティや罰則が課せられたという描写は一切ない。
と言うかむしろ、二人共最終的には明らかに善玉としてのみ扱われている。

早い話、一部の気難しい講師にあたった場合、退学処分を回避するためには料理が出来ること以上にその講師の個人的な地雷をたった一回の課題をこなす間だけで見極めて回避する必要がある=エスパーレベルのコミュ力が必要という有様だったのである。
事実えりなは創真とは薊という共通の敵が登場するまでは険悪な関係であり続けたし、四宮が恵の処分を撤回したのも彼女がその後の食戟で出した料理の味がたまたま四宮に母親の記憶を思い出させトラウマを癒す様なものだったからに過ぎない。
つまり退学宣告が個人的事情なら、退学の撤回すら個人的事情である。
これはもう美味かどうかでさえなく、単に試験官の個人的な信念や思想・信条に合うかどうかの次元の話でしかない。

条件を満たせば生徒にも他の生徒を退学にする権限が与えられる。

実はこの退学決定権限は条件を満たした一部の生徒にも与えられる
その条件とは下記の食戟における対価で相手の退学を要求し、なおかつ勝利することである。
そうなれば教師に相談なく敗者を退学にすることさえ可能となっており、例えば「相手の所属研究会のメンバー全員(約30人)の退学」を賭けた食戟に勝利した場合、30人もの生徒を一度に退学にできることになる。
特に十傑メンバーの中でもエリート意識の強い者やその者の派閥に属する生徒達は個人的な私情で食戟を繰り返し、研究会の方針を強引に変更したり施設を潰して自分専用の施設を建設しようとすることなど最早日常茶飯事となっている。
こんな有様では、もはや実力主義とさえ呼べるかも疑問である。


このように実力主義を名目にそうした負の面を長年押し込めてきた結果、作中で行われた学園祭「月饗祭」最終日にて、当時の十傑メンバーの過半数が薙切薊の思想に賛同し、学園総帥を失脚させ薊を新総帥に迎え入れるというクーデターを起こす事態が勃発。
そして薊主導で強権的かつ大規模な学園改革が行われ、成績下位の生徒達も次々と薊の思想に賛同したことで学内のレベルや外部からの信用も少しずつだが低下していってしまった。

その後創真や薙切えりなを筆頭とした反逆勢力が薊政権に勝利し、学園の実権を奪い返した事でえりなを総帥、創真を十傑第一席とし、新たな遠月として再スタートを切るのであった。


【関連用語】

【食戟】

生徒間で生じた争いごとの決着を付けるために執り行われる学園伝統の料理対決(決闘)。
基本的に生徒同士で行われることが殆どだが、在校生と卒業生の間で食戟が行われた前例もある。

食戟に挑む者は自身の立場に見合った「対価」を差し出さす必要があり、勝者は相手が「対価」を得ることができるが、敗者はその「対価」を剥奪されて学園内の地位や権限を失う。ちなみに決着がつかなかった場合は後日に再試合が行われる。
基本的に「対価」はなんでもいいが、当然相手側の了承が必要なため、それなりに重要なものをかける必要があり、作中では「自身の退学」「包丁*7」「相手(もしくは相手の所属研究会)が保有する土地・所有物」などが出てきている。
食戟を実施するには、以下の3つが必須条件とされる。
  • 正式な勝負であることを証明する認定員
  • 奇数名の判定者
  • 対戦者両名の勝負条件に関する合意

また、「素材の調達も料理人としての技量のうち」という理由から、使用する食材や調理器具などは全て対戦者が自腹で用意しなければならない。
作中では専らどちらかの得意ジャンルとなる料理が対決テーマとなっているが、これは双方の合意によるもので、基本的にテーマは双方の得意ジャンルの中間となるように決めることが多い。
また食戟の勝敗や日時、互いが賭けた条件や作った料理は全て公式に記録され、食戟管理局に保管される。

ちなみに作中での食戟は毎回VIP席まである大規模な会場に司会と大勢の観客を入れて行われ、格闘技イベントのようなエンタメ性を全面に押し出した演出が施されているが、これは対戦者が学園内の実力者だったり有名人であるためで、毎回大掛かりな会場というわけではない*8

  • 連隊食戟(レジマン・ド・キュイジーヌ)
1対1ではなく団体対抗による変則的食戟。
所謂団体戦と同じで、両陣営の任意の者同士が勝ち抜き戦方式で勝負し、最後まで残った側が勝利となる。相手チームを全滅させなければならない=どれだけ相手チームの人数を削って白星を稼ごうと、いずれは必ず大将格の首を獲れなければ意味がない為、所謂捨て大将といった戦術が意味をなさないのが特徴*9
陣営の人数は同じである必要はない。やろうと思えば人海戦術も可能。ただ、劇中では1ー50の食戟なんかも行われていた事や、後述のチームワークを考えるとレベル的に足並みが揃わないメンバーを入れても有効にならない事を考えると数を揃えればいいものでも無いだろう。
また、普通の食戟と違い仲間の調理を手伝うことが認められる。しかし、実際のところこのチームワークが生きてくる場面は多くない。
というのも、他人の料理を手伝えば当然自分の料理への集中力は落ちてしまうし、そもそもその場で出されたお題に対して仲間がどういう皿を描くか理解していないと適切な協力ができない。ましてや己の技術を研磨し一芸を極めに極めた十傑レベルとなると仲間の協力は邪魔にしかならない
一方逆にお互いが描く皿の完成図が正しく共有されているならば、仲間との協力は決してひとりでは辿り着けない皿の完成へ導く事も可能となる。劇中でもこのチームワークの差が大きく勝敗を左右した。

総じて料理人個々の実力が最も重視されるのは通常の食戟と変わらないものの、メンバーの組み合わせや采配次第では実力的に大きく上回る格上を纏めて討ち取れる可能性がある食戟であるとも言える。


【遠月十傑評議会】

学園において、高等部の上位生徒10名で構成される委員会。通称「十傑」。
組織図では学園総帥の直下に位置する学園の最高決定機関で、学園の持つ権力と財力の一部を手中にしている存在で、十傑の発言は教師よりも強い権限を持つ
メンバーは主に「秋の選抜」の本戦出場経験者から選ばれている。
また十傑入りすると学園の公務のも行うことになり、公務で海外に行くこともある
紀ノ国や一色のような一部の例外はあるが基本的に数字が小さい程実力が高く格も高い

十傑の選定に関わる評価基準は、授業成績・合宿などの行事で上げた実績・学園への貢献度など多岐に亘るが、特に「食戟の戦績」が最重視され、女木島のように地位に興味がなくても挑まれた食戟を片っ端から受けまくった結果、十傑入りした例もある。
席次を賭けた食戟により順位は変動するが、逆に言えば席次を賭けなければ十傑でない者が食戟で十傑に勝っても十傑になれるわけではない。
それぞれが得意とする料理ジャンルは異なるが、全員得意分野とする料理の技量は並外れて高く、元十傑の城一郎いわく「一芸を極めに極めまくった連中」とのこと。
おまけに得意分野の料理をより活かすために得意分野以外の食材・料理にも精通していることが多いため*10、食戟で勝利することは極めて困難である。

またただでさえ獲得の難しい十傑の中でも第一席の獲得は特に難しく、女子生徒で第一席経験者は学園の長い歴史でも数えるほどしかいないとされ、第一席獲得者は月天の間に肖像画が飾られる。

十傑入りすることで以下のように強大な権限を行使できるようになる。
  • 料理の為ならば遠月の莫大な予算を使い放題
  • 出版された部数が少ない数世紀前の希少なレシピやオークションで数百万確実な古典料理書などにも簡単にアクセス可能
  • 日本中の職人が喉から手が出る程欲しがる食材、調理器具、設備が最新だろうが高級だろうが望むだけ入手可能

…といった具合に、『料理が全て』な学園において、「研鑽の為なら全てが許される」程で、行使出来る権限はかなり大きく、席次が上になればなる程増大していく。

ただし、権力には当然それに見合う義務と実力が必要となる。十傑は期末試験等のハードルが一般生徒より高く設定されたり、強烈なハンデを背負わされ、十傑同士で連携しないと突破できないような難易度で試験に挑まされる。
事実、創真達の2年時の1学期末試験では海の家で3日以内に売上300万出す事となったが、十傑のみ廃屋が宛てがわれ、結果その店の手入れ・修繕から始めるハメとなった。

一方で、「十傑の過半数が賛同さえすれば、学園の運営方針変更や学園総帥の交代でさえも出来る」という、とんでもなく危険な側面を持ち合わせている。
これは現在に至るまで一度もそのような事態が発生した事が無い故のシステムだったが、作中において、えりな、一色、久我、女木島の四人を除くメンバーが利害一致によって賛同した結果、料理界屈指の危険人物と目されている薙切薊が薙切仙左衛門を追い落とす形で学園を乗っ取る事態を招いてしまう事になった。
更に対象外と見なされていたえりなを除く非賛同者の3人は、薊の権限と賛同した十傑の意向(竜胆だけは最後まで反対した)によって十傑からの除名処分が下され、この時点で遠月の最高権力である十傑も、完全に中枢美食機関寄りの方針となった。
空席となった3つの枠は十傑入りをかけたサバイバルによって埋められたが、同時に複数のメンバーが上位の席次に昇格している。

その後創真やえりなら反逆勢力が連体食戟において薊政権に勝利し、学園の実権を奪い返した事でえりなを総帥、創真を十傑第一席とし、新たな十傑メンバーが選出された。

以下作中での十傑一覧
物語開始時 中枢美食機関編成時 えりな就任後
総帥 薙切仙左衛門 薙切薊 薙切えりな
第一席 司瑛士 司瑛士 幸平創真
第二席 小林竜胆 小林竜胆 一色慧
第三席 女木島冬輔 茜ヶ久保もも 久我照紀
第四席 茜ヶ久保もも 斎藤綜明 葉山アキラ
第五席 斎藤綜明 鏑木祥子 黒木場リョウ
第六席 紀ノ国寧々 紀ノ国寧々 薙切アリス
第七席 一色慧 叡山枝津也 タクミ・アルディーニ
第八席 久我照紀 白津樹利夫 叡山枝津也
第九席 叡山枝津也 葉山アキラ 紀ノ国寧々
第十席 薙切えりな 薙切えりな 田所恵
*11

【極星寮】

遠月学園の学生寮。管理人は大御堂ふみ緒。
20年ほど前は「黄金期」とされ、才波城一郎や堂島銀といった十傑の生徒が全てこの寮の生徒だった時期もあったといい、当時は食戟で土地を奪っては敷地面積を増やし、暖房設備の投資なども賄うようになり、極星寮だけで独立採算制(城一郎曰く「独立国家」)を取るようになった。そのため現在の学園事務職員はこの寮の存在を知らなかった。

しかし、現在では大半の生徒はマンションを借りて生活しており、利用する者はほとんどおらず、「変わり者の巣窟」と呼ばれる。
作中では創真たち数人の1年生と、唯一の2年生である一色がここで寝泊まりしている。3年生は一人もいない。
また学生寮であるにもかかわらず男女共用で、男子と女子の個室が交互に並び、浴室も1つしかない。

【秋の選抜】

毎年2学期の初めに開催される高等部1年生の選抜メンバーが競い合う、遠月学園伝統の美食の祭典。創真の学年で第43回目が開催されている。
宿泊研修までの成績と将来性から候補者が抽出され、十傑による絞り込みで最終的に60名が選出される。
審査員は学園理事や出資者など美食業界の重鎮たちが務める。十傑は基本的に選抜本戦出場者から選ばれる傾向がある。
また、本戦出場者の8名は下記の実地研修終了後、十傑メンバーとの顔合わせである「紅葉狩り会」が行われる。
  • 予選
事前に告知されたお題に沿って2つのブロックに分かれ、各ブロックの上位4名の計8名が「月天の間」で行われる本戦に出場できる。
しかし名の知れた食通である審査員を満足させられる生徒はごく僅かで、10点未満が当たり前で、70~80点台が出れば良いほうであり、90点台はほとんどない。
  • 本選
対戦は抽選で、各カードごとに別々のお題がランダムで決められるが、双方の合意があれば、食戟を行うこともできる。
トーナメント方式ではなく、1回戦終了後に組み合わせは再抽選される。
決勝戦は毎年「秋が旬の食材」がテーマとされ、審査は総帥を含む遠月学園各部門のトップ3名が持ち回りで務める。
ちなみに各試合は昼間に行われるが、決勝のみ日没後に行われ、「月天の間」の天井を展開して月が見えるようにする。

【月饗祭】

学園祭。
開催期間は5日間で約50万人が訪れ、各地でツアーも組まれ、各国のVIPまでやって来るという大規模なフードイベントで、毎日学内には無料の巡回バスが回り、VIPは学園内の宿泊施設や遠月リゾートがフル稼働で歓待しているため、学園側は宿泊費だけで大黒字になると言われている。

学生は許可を得れば個人・団体で模擬店を出店できるが、模擬店以外にも食材をモチーフにしたヒーローショーが行われたり料理関連の書籍が販売されるブースもある*12
出店場所は会場内の以下の3つのエリアで、より良い出店場所を巡り生徒間で食戟が頻発する。
模擬店で赤字を出せば退学となるが、中等部の生徒は学園の講師の監督・指導の下でクラスごとに出店し、純利益をだせる計画を立てるように指導される。生徒達は毎年月饗祭で経験やノウハウを身に着け、個人・研究会での出店に挑戦していくため、よほど無茶な商売をしない限り赤字が出ることはない。フードチケット(松1万円、竹1000円、梅500円)は購入制で、その日の夕方にエリア毎の売上ランキングが発表される。
以下出店場所となるエリア
  • 目抜き通りエリア
正面入り口から道なりに続く大通り。
仮設テントが数多く並び、全期を通じて最も人通りが多く賑わう。模擬店の出店場所としては最も人気のエリアとされる。

  • 中央エリア
授業で使われる調理棟が集中しているエリア。
仮設テントでは提供しにくい専門的な料理や特殊な設備が必要なジャンルの模擬店が多く集まる。
店舗の大きさも自由に設定可能で、中華料理研究会のような大所帯の研究会などもこのエリアを使用することが多い。
客層の都合上、売上を出すには回転率が求められるこのエリアで、自身の性格からスタッフを雇えずキッチンホール合わせてワンオペでやるしかないので回転率を絞らなければ店を回せない司が、どうやって5日連続売上1位を叩き出したのかは永遠の謎

  • 山の手エリア
平均客単価が最も高い高級志向エリア。
隠れ家的な建物が点在し、それらをレストランとして使用する。逆に言えば料理人としての知名度が無ければ集客は極めて困難とされる。
十傑メンバーは基本的にこのエリアに出店する。他のエリアが閉店した後の夜間も営業しており、山の手エリアの客はそのまま敷地内か遠月リゾートに宿泊するため、提供する料理はコースディナーが多い。

中枢美食機関(セントラル)

薙切薊の教育メソッドの根幹を為す機関。薊の総帥就任後に創設される。
総帥と十傑評議会を頂点とし、メンバーは薊が選定した生徒達でアザミの花の紋章を身につける。人数は十傑6人を含め30人未満程度。

メンバーは今まで通り自由に料理をすることが許されるが、それ以外の学生はセントラル側が考案した料理を徹底的に叩き込まれ、自由な料理を許されない。
薊は「誰もが十傑レベルの料理をすることが出来、退学者も出さない」と美食の「理想郷(ユートピア)」と謳い、賛同者を集めるようになる。

成績上位だったり自身の料理スタイルを確立している生徒達にとっては受け入れ難い内容だが、上記の通り料理人としての成長速度を無視したり実力者に権力を与えまくっていたこれまでの学園の教育方針の方が問題があるため、成績下位の生徒や料理人としての成長が遅く正当な評価を受けられなかった者達にとっては「従ってさえいれば誰でも十傑レベルのアイデア・技術・レシピが得られる」ため瞬く間に多くの生徒が賛同している。

しかし学園講師のシャペルは「創造を許される者」と「模倣を強いられる者」とに分かれる「暗黒郷(ディストピア)」と称している。
実際にセントラルの教育を受けた生徒は中等部のモブですら短期間で十傑レベルの料理を作れるまでになっているが、あくまで教えられたことをそのまま実行しているだけに過ぎないため、調理過程において「何故このタイミングでこの(食材の)処理を行うのか」というような疑問に関しても考えることはせず、「授業で言われたから」と済ませてしまう等弊害が生じている。*13
当然作り手の創意工夫など存在しないため、その中等部生の皿を食べたジャペルは皿としての完成度や味の良さは認めつつも「何を食べても薊の顔しか浮かんでこない」と評価していた。食べても食べても中年男性の顔が浮かんでくる料理が果たして本当に美味しいのかは謎
その後は連隊食戟で敗れ薊が退陣したことで機関も解散される。

  • 残党狩り
薊政権反対派の各ゼミ・研究会と「中枢美食機関」とで行われる食戟の通称。会場はABCDの4会場で数日に渡り行われる。
当初は叡山が審査員を買収して勝利を収めるという八百長で反対派の対抗心をへし折ろうとしたが、彼が創真に敗れたことで八百長計画が頓挫し、一色が十傑として以下の薊政権に対する研究会・ゼミ等の解体撤回を賭けた食戟にて不正が行われないよう以下のルール(通称「一色ルール」)を薊に認めさせる。
  • 第一項(食戟の開戦)
解体撤回を望む研究会・ゼミ等は中枢美食機関に対し食戟を挑むことができる。
中枢美食機関側は食戟を必ず受けなければならない。
  • 第二項(対決テーマ等)
事前に研究会・ゼミ側と中枢美食機関側で協議。
  • 第三項(勝敗条件等)
研究会・ゼミ側が勝利すればその団体は存続。逆に中枢美食機関側が勝利すれば団体は解体。薊政権に従うものとするが、この命令に従わない場合は退学となる。
  • 第四項(審査員の選定)
審査員は研究会・ゼミ側・中枢美食機関側のどちらからも中立公正な遠月外部者とする。
審査員は国内の調理協会やフード関連理事会等の会員からランダムに奇数名を選定し、選定されてから食戟当日まで、審査員と研究会・ゼミ・中枢美食機関は接触してはならない。
仮に接触があった場合、勝負は無効・再勝負となる。

【その他】

  • 宿泊研修
高等部の1年生全員が参加する強化合宿。遠月リゾートホテルの1つ「遠月離宮」を会場として行われる。
料理に関する課題が毎日出され、低評価を受けたり合格基準に達しなかった生徒は即刻退学を言い渡される。
合宿の講師陣は、料理界の第一線で活躍している学園の卒業生たちも含まれ、遠月リゾートのスタッフ、リゾートが提携する食材の生産者とその家族が審査員を務めることもある。
実は卒業生側は生徒の卒業後のリクルートも兼ねており、在校生の品定めができるメリットがある。
なお、課題の合否基準は審査を担当する卒業生に一任されており、担当者によっては「匂いの残る整髪料を使用した」、「情報交換・助言禁止の課題において助言をもらった」というだけで退学にされることもあり(後者は助言した方とされた方双方が退学にされている)、講師側が合格者を絞るために敢えて課題で使用する食材の中に劣化している食材を混ぜていることもある*14上、食材の劣化をカバーするために指定のレシピと異なる調理を行った者も事情を考慮せずに退学にされる場合もある。

しかもその試験の内容は良質な食材が必ず全員に一定数は行き渡るようなやり方ではなく、出遅れて先に食材を取られるようなノロマは要らないというもの。
つまり、試験が始まった瞬間に足の速い奴が良質な食材を全部かっぱらって独占してしてしまっても一切咎められることはない。*15
食材を見極める目利きがあろうが、料理の腕が抜群であろうが、愚図な奴は退学にされる。
作中では開始と同時に「痛ってえなどけよっ!!」「ざけんな殺すぞっ」「邪魔だオラァ!」という、まともな客が聞いたら即座に店を出ること必至な罵声が飛び交いながら、オイルショックでトイレットペーパーに群がる映像を彷彿とさせる、料理人とは思えない醜い食材の奪い合いが起きており、田所は肘で突き飛ばされて転倒する暴力まで振るわれているが、相手は一切咎められていない
厨房でドタバタ走ったりすると床の汚い飛沫やゴミが跳ね上がって衛生面とか最悪になるけど、遠月の料理人にはそんなの関係ないのである。
確かに客を長時間待たせるような料理人は三流だと言っても過言ではないだろうが、食材を選ぶ程度の僅かな時間すら許さないのはもはや客ではなく、ただのクレーマーではなかろうか…

  • 遠月リゾート
遠月学園の観光部門。現在のトップは遠月OBの堂島銀。
富士山と芦ノ湖を望むリゾート地において、十数軒の高級ホテルや旅館を経営する。

  • 研究会
テーマごとに料理を研究する団体。
一般的な部活動のような団体でエリート意識の強い生徒が多い名門校の割には丼物研究会や郷土料理研究会など庶民的な料理を研究する団体もある。
なお、一定の成果を出していない会は取り潰される。

  • ゼミ
学園講師の下、料理に関してより専門的な研究を行う団体。
「料理の研究」という点では研究会と共通しているが、部活動のような研究会に対してこちらはスパイスの科学的な研究や料理に関する古典文献の分析など大学の研究室のようにより専門性の高い高度な研究活動を行っている。
そのため参加は基本的に高等部2年生からとなっているが、葉山や丸井など1年生のうちからゼミに参加している生徒もいる。

  • 薙切インターナショナル
遠月の研究部門。
美食学と分子料理を牽引した総合研究機関。薙切アリスの父親である薙切宗衛がデンマークを本拠地として設立した。現在のトップはアリスの母・薙切レオノーラ。
分子ガストロノミーに基づいた最新の調理技術をはじめ、味覚・嗅覚のメカニズムを探求する大脳生理学をも包括しているという。

  • 実地研修(スタジエール)
秋の選抜終了後、高等部1年の生徒達が外部のさまざまな料理関連の施設へ派遣されるカリキュラム。
実施期間は1か月で、生徒たちは各自4か所の派遣先にて1か所につき1週間の研修を受ける。
行き先は高級料理店から食品メーカー、公的機関など多岐にわたり、実践の空気を学ぶ正式な授業の一環とされ、そこで気に入られてそのまま就職する生徒も多いが、遠月学園への信頼があって研修生を受け入れているため、問題を起こせば退学になることもある。
各派遣先には遠月学園の教員が生徒の働きを観察し、合否を判定する*16
合格基準は1週間の研修で「目に見える実績」を残すことが条件で、現場に変化を与えるだけでなく「現場から何かを奪って帰ること」がスタジエールの意図とされている。

  • 遠月スポーツ
学園の校内新聞。通称「遠スポ東スポではない」。
新聞部がほぼ毎日発行し、学内とその周辺のあらゆる情報を網羅し、食戟や秋の選抜などの公式行事の特集、一流シェフへのインタビュー記事、トリビアな情報などが掲載される。

  • 進級試験
高等部1年の2学期末に行われるイベント。
開催地は北海道で南端から開始し、学園が所有する豪華寝台列車「つきかげ」を使い北へと移動を続けながら各地で6つの試験をクリアしていく。
ルートは任意またはランダムで分岐しするが、最終試験は共通で礼文島で行われる。
北へ移動することから「ツールドノール」とも呼ばれる。
遠月の進級試験だけあり試験も相当厳しいが*17、創真達の代はは薊政権の方針で薊の授業で習った調理法を実践すればクリア可能となる(薊政権に従わない者は露骨なハンデが与えられ容赦なく排除される)。

  • 学期末試験
高等部2年1学期の期末試験。
生徒達は海・山・川の3コースに振り分けられ、10人1組で3日間の期限で課題をこなす。
ちなみに十傑メンバーは1組にまとめられるが、他の生徒よりも厳しい条件が課せられる。
例として創真達の学年の海コースは海の家を経営し、3日間で300万円を売り上げることがノルマとされる中、十傑メンバーはビーチの隅のボロ小屋を使用することになった。


【余談】

遠月学園の極端なまでの教育システムは最早蠱毒にも通じるものがあるが、ジャンルや程度は異なるものの遠月学園と類似した選抜・育成スタイルは実はいくつか登場している。
以下その一例

前者は設立当初、腕に自信がある野心家の料理人たちが、研鑽の過程で様々な料理人や店に道場破り同然の味勝負を挑んで打ち負かし、鍛え直すという名目で傘下に加え、勢力を拡大する武闘派集団だった。
日本中の料理店を軒並み傘下に収め、天下統一は目前と思われた矢先、ある料理人にトップの味皇が敗北。これをきっかけに、一部料理人・支援者の離反が起こり、解体寸前に追い込まれる。
味皇の兄が後釜(二代目味皇)に就き、組織を再編成することで事なきを得るが、居場所を失った初代味皇は表舞台から姿を消した。
50年後、二代目が病気で一線を退くと、初代は自分同様、人知を超えた料理の腕を持つ青年を三代目味皇に就任させ、実権を掌握。
  • 味勝負に負けたり、ミスをした料理人を問答無用で追放する
  • 尊大でエリート意識が強い料理人が蔓延する
など料理会を悪い意味で原点復帰させてしまう。
後者は、初代味皇の懐刀だった味将軍が「腕が未熟、もしくは怠け者の料理人を鍛え直す」目的で立ち上げた組織。
その方法は、目を付けた店の近くに同じジャンルの料理店を建て、客を全て奪い経営難に陥らせ、傘下に加えるというもの。
アニメ版の味皇料理会は原作での二代目が創設者となっており、長兄の死を巡って袂を分かった弟(原作での初代味皇)が組織したのが味将軍グループとなっている。

作中に登場する悪の組織で前者は後者の分派に当たる。
どちらも料理による世界征服のため、過酷な修行・勝負を強いている。
入ったら基本的に外には出ることはできず、ひたすら料理の腕を磨く。
多くの者は厳しい修行で傷だらけの体になり、場合によっては、病気によって味覚を失ったり、最悪に至る。
修行の中に『料理組手』というものがあり、料理よりリアルファイトが得意な武闘派も多数生まれる
こうして生き抜いてきた者は『麟厨師』・『朱雀厨師』と呼ばれる。
更にその上に『五虎星』・『鳳凰八仙』が君臨する。

作中の舞台である名門進学校「椚ヶ丘中学校」において、成績不振者や素行不良者を特別強化クラス「3年E組」としてひとまとめにし、学校全体であらゆる面で徹底的に差別させる*18ことで残りの生徒達に「E組のようにはなりたくない」という優越感と緊張感を持たせて学業を効率化させ、成績をより向上させる狙いがある。
つまり「少数のエリートを育成するために多数を犠牲にする」遠月学園とは逆に「多数のエリートを育成するために少数を犠牲にする」スタイルだが、脱落者は完全放置の遠月とは異なり「2学期期末試験までの定期テストで学年50位以内に入り、尚かつ元のクラス担任が許可すればE組から脱却できる」という一応の救済措置はあるが、差別待遇と劣悪な環境から、極わずかな例外を除いて脱却できる者は少ない*19

作中で最強と謳われる高校野球の名門校で、全国各地に散らばるスカウトが有望な選手を多数集めている。
野球部員は体育科扱いとなり、新入生はスカウトなども含めた「推薦組」「特待生組」、実技試験と学科試験を受けて入学した「セクション組」に分けられ、特待生組を除き離島にある三軍養成施設「夢島」での育成に専念されるが、実は高校のパンフレットには二軍から上の施設しか紹介されていないなど夢島の存在は伏せられており、余りに過酷なトレーニングや厳しい罰則から毎年多くの者が脱落している。
数ヶ月間の過酷なトレーニングをクリアし試験に合格することでようやく二軍昇格となるが、二軍から一軍に昇格できる者は極僅かでそこからレギュラー入りするのもほんの一握りの選手だけと高校野球版遠月とも言うべき学校で、一応は普通の授業もある遠月と異なり野球部員は授業を一切受けずに24時間365日野球漬けの生活を送ることになる
最大の特徴としてトレーニングや試合運びは独自に考案されたマニュアルに沿って行われることで、マニュアル外は例外なく認められない。
これは無名校時代に一人のエースに頼り切った結果、その選手が身体を壊して他界してしまったことの反省点から考案され、世間では「マニュアル野球」と呼ばれているが、本塁打を打っても無表情で平静な態度やプロのように頻繁に投手を代える戦法はあまり評判が良くなく、普通科を受験する生徒が年々減少傾向にある。
また多くのプロを輩出しているが、プロとなってからの成績に特筆すべきものを残した所謂「超一流」の選手もいないのも特徴。

三代目〜四代目水影の時代に霧隠れの里の忍者アカデミーの卒業試験として行われていた行為。
この試験の特筆すべき点は、対象がまだ忍の資格を持たない子供である点で、結果的に合格者が全体の半数にまで減ってしまうにもかかわらず、その試験の残虐さや里の閉鎖性、合格者の多くが実力者として名を馳せたことも相まって、当時の霧隠れは「血霧の里」と恐れられていたが、本編の10数年前に桃地再不斬が受験生全員を皆殺しにした事件を契機に改変が行われ、作中の時代では廃止されている。
なお、木ノ葉隠れの里志村ダンゾウが率いていた暗部養成部門「根」でも感情を殺す訓練と正規メンバー選出を兼ねて二人一組で殺し合いをさせていたが、正規の忍部隊よりも人員の少ない私兵部隊でそんなことをやりまくっていたため、慢性的な人員不足になり、結果里の孤児院への恫喝や薬師カブトの離反等後々まで尾を引く要因を招いている。

カキン帝国で行われるの王位継承の儀式。
カキン帝国王家に代々伝わる儀式であり初代国王が蠱毒に発想を得て子孫繁栄の為に遺した念能力、および儀式。
人間の頭を模した壺に王子がその血を一滴注ぎ、中央の穴に手を入れ「王になりたい」という意思を念じると、壺から妖精のような念獣が出現。
「守護霊獣」の卵をその口に押し入れることで儀式の準備が終わる。
そしてその後は「王位継承戦」という名目の、王子同士で行うバトルロイヤル兼生き残りサバイバルレースに移行する。
なおこの儀式の真意や守護霊獣に関する情報は王子達には一切伝えられない。
つまりカキン王家の真の姿とは、先祖代々王族同士で念を用いた情け容赦ない殺し合いと騙し合いを繰り広げ「強い王」を選別してきた一族。
人道的観点はともかく、群雄割拠する国々の中で小国であったカキン国が、王家の断絶もなく今日まで発展してきた一因と言える。

「天才がなぜ天才なのか」を解明し人為的に天才を創り出すとんでもない計画。
計画が始動したのは数百年前、計画の舞台となる箱庭学園がまだ黒箱塾と呼ばれる私塾だった頃で、その当時は「試験管計画」と呼ばれていた。
実はこの計画はまだ未完成であり、不知火を代表とする数十の財団から国家軍部に至るまでが出資者となり戦時中からバブル最盛期以降もその研究は絶え間なく続けられており、現在では箱庭学園時計塔の地下研究施設で研究が続けられている。
研究の過程で「天才を作り出すカリキュラム」が完成した暁には箱庭学園に通う全校生徒にそれらを適用するという目論見があり、そうなった場合には王土曰く、「被験者(全校生徒)の98%は『壊れる』」ことを想定していた。

作中に登場する大国の一つであるダイヤモンド王国を影で牛耳る魔導学者モリスが主導する実験で人工的に生み出された国の秘密兵器。
先天的に魔力の強い子どもたちを選出して厳しい競争・訓練を行い、最終的には殺し合いをさせて生き残った者に魔力を高める魔導具を取り付ける実験と人体改造を行う。
人体改造と同時に洗脳も行われるため、多くの者が精神状態がかなり不安定になったり攻撃的な性格となっている。
このような実験の背景には国王の危篤や資源不足*20という国の困窮も起因している。

人間を対象とした蠱毒
作中全体で暗躍する謎の組織『』の構成員である「もう一人の十鬼蛇ニ虎」が25年程前に弟子達を対象に行っていた。
人間1人が3ヶ月生き抜くのにギリギリの量の水・食料・空気しかない完全な密室に複数の弟子達を閉じ込めて殺し合せ、生き残った者を正式な弟子とするという常軌を逸した内容で、加納アギト呂天はその生き残りとされる*21
弟子達は房に入る際に腕輪を付けられるが、この腕輪で生死をモニタリングされている。
また密室がある建造物は地中のかなり深い場所に存在しており、片原滅堂が施設の捜索を行った際には重機数台がかりで発掘作業を行っていた。
オリジナルの武術が登場することはあるが魔法などのSF要素ゼロの格闘漫画においてガチの蠱毒が登場した数少ない例。

全国から優秀なFW高校生を300人集め、1人になるまであらゆるテストを与えて磨き上げ、日本のW杯優勝を見据えた計画。
参加者はリタイアすると永久にサッカー日本代表になる権利を失うが、上位5人はU-20日本代表に組み込まれ、U-20世界代表との試合を行う。
フットボール新入職員のアンリと、アンリが外から招いた絵心が中心となり企画が動いているが、問題ありまくりな内容や実態がない実績から他の連合職員やマスコミには当然の如く受け入れられていない。

物語の主な舞台となる学園。
入学には運営元であるベネリットグループ傘下企業の推薦が必要となり、それ故に企業間のヒエラルキーや宇宙居住者(スペーシアン)地球居住者(アーシアン)の対立構造など、学外の社会や経済情勢がそのまま持ち込まれているせいか、血気盛んな生徒が多い。
また生徒達はベネリットグループ御三家の名を冠した寮と地球出身者の寮など複数の寮に振り分けられる
そして最大の特徴はモビルスーツ同士による「決闘」が推奨され、生徒間で揉め事を起こした際は決闘委員会の立会いの下で決闘により白黒を付けるのが慣例となっており、勝者は敗者に自身の要求を通すことができる。
基本的に勝敗の決定は相手モビルスーツのブレードアンテナを折った方が勝者、つまり頭を潰せば勝ちというガンダムファイト式ルールだが、MSや整備スタッフは自ら用意する必要があり、必然的に豊富な資金を持つ企業をバックに持つ生徒が有利で決闘中の相手陣営への妨害工作も黙認されているなど勝負内容が料理ではないことを除けば「食戟」と全く同じシステムとなっている
なお決闘王者は「ホルダー」と呼ばれ、その証として白を基調とした特殊な制服とパイロットスーツを纏う事を許され、理事長の娘であるミオリネの婚約者となる権利が与えられる。
これは例え女性がホルダーになってしまったとしても全く関係無い。全く関係無い。大事な事なので2回言いました。
ミオリネ曰く「こっちじゃ全然アリよ。」





追記・修正は編入試験に合格してからよろしくお願いします。




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最終更新:2024年02月28日 11:57

*1 創真の一学年上の世代では、高等部に進学した812名のうち2年生に進級できたのは76名とされる。

*2 遠月の生徒というだけで料理人や食産業関係者から一目置かれるが、古い仕来りを重視する部門の中には例え遠月の生徒であっても学生という理由で快く思われない場合もある。

*3 もっともこの買収は食戟自体の形骸化、陳腐化の為に実行されており、仮に以前からこのような行為が行われてたのだとしたらとっくに食戟という伝統は廃れていたであろう事から、流石に薊政権以前から行われていた可能性は低いだろう。

*4 具体的に言うと、四宮小次郎が合宿の課題云々とは無関係に整髪料の匂いが料理の香りを霞ませるという理由からモブ生徒の退学処分を決定している。また、料理についても試験官が納得がいくものを時間内に作れればOK=チャンスが何度でもある場合と、提出可能なのが一回限りの場合が、講師でまちまちである

*5 創真は薙切えりな、恵は四宮小次郎

*6 それをしてはならないという事前注意が為されていたという描写はなく、当時の四宮に過去のトラウマによる”自分に逆らう者、自分が決定したものを変える者は敵であり排除しなければ店が潰れる”という他者不信があっただけである。要は個人的な執着という私情に過ぎず、恵の料理そのものの出来に至っては四宮自身さえ認めている

*7 料理人にとって包丁は魂同然であるため、実際はかなり重い対価となる

*8 丼研の主将が過去に立ち食いそば研究会と食戟を行った際には、観客は一人もおらず審査員の他には食材の匂いを嗅ぎつけた野良犬くらいしか集まらなかったという。

*9 ただし誰であれ料理を作る以上は心身の消耗は避けられない為、相手の人数を削り大将格の出撃回数や出撃率を増やす事はそれだけ別のメンバーが相手の大将格を討ち取る可能性を上げることにはなるので、白星が見込めないメンバーがより強い敵とぶつかる事にそれなりの意味はある

*10 フードコンサルティングをメインに活動する叡山は裏を返せばあらゆる分野に精通しているからこそ500件を超えるコンサル業を行えるわけであり、竜胆が得意とする希少食材には肉や魚介などあらゆる種類が含まれ、齋藤は魚介を活かすために必要なあらゆる副食材にも精通している。

*11 えりな就任後記載のメンバーは、厳密に言えば創真達の2年生夏時点でのメンバー。というのもえりな就任後は創真が自身の席次を賭けた食戟をオープンにした事、他の十傑もそれに従ったのか席次の奪い合いが頻繁に行われたらしい描写がある事(少なくとも葉山、黒木場、アリスは確実に席次を奪い合っている)、連隊食戟の勝者の一人であったはずの美作が十傑内に居ないことから、えりな就任直後~2年生夏までの間に顔触れが変わっている可能性がある。

*12 ファンの間で伝説とされる料理漫画が初版で全巻揃っているらしい。

*13 もっともこの落とし穴は薊政権以前からの十傑の一人ですら嵌っていた落とし穴なので、薊政権外であっても自身で思考して研鑽出来ない者には関係なく嵌る落とし穴でもある

*14 一応「匂いのある整髪料使用は食材の香りを霞ませるから」、劣化食材混入は「冷静さを欠いて目利きを怠る者をふるい落とす」という理由がある。

*15 『良質な食材を選びぬいてそれに合わせた調理法を見る』という試験の性質を考えるなら人数に合わせて使用する個数を制限し、その中に紛れている良質な食材は一定数用意しておき、必ず全員に行き渡るようにするべきである。だが作中にそういうルールは存在しておらず、「食材を取るのは完全にフィジカル頼みの早い物勝ち」「お前がノロマなのが悪い」で一蹴されている。

*16 研修先での生徒は電話での会話やネット掲示板に投稿した内容までチェックされており、仮に問題を起こさなくてもそのような面で問題ありと判断されれば即刻不合格・退学にされる。

*17 創真達の1学年上の91期生は190名のうち76名が退学している。

*18 E組校舎は学食もなければトイレも汚く、E組の生徒は部活動禁止、各種学校行事も低待遇で参加、附属の椚ヶ丘高校への内部進学もできない(一応外部受験をして進学するという裏技紛いの方法はある)など。

*19 単行本には成績優秀に僅かに届かなくても生活態度等に極めて優れた部分があると認められた場合は成績優秀者と同等の資格が得られると記載されているが、これは実際のところ多額の寄付金を払うことで特例として認められる模様。

*20 ダイヤモンド王国は国土の多くが荒地や鉱山ばかりで緑などの自然が少ないという。

*21 アギトは終了前に片原滅堂に救出されているため、出奔扱いとなっている。

*22 独自ルールとして試合は3点先取、交代無制限、3分だけ指導者ストライカーが出場できる