ヴァン・アークライド

登録日:2021/10/16 (土) 23:54:04
更新日:2024/01/28 Sun 18:02:44
所要時間:約 20 分で読めます





俺は警察でも遊撃士でもない。

あくまで自分の流儀を貫くだけだ。

黒でも白でも、灰色ですらない、

(あおぐろ)い狭間の領域で。




ヴァン・アークライドとは『英雄伝説 黎の軌跡』の主人公である。




【概要】


カルバード共和国の首都、イーディスに存在する旧市街に住んでいる、青みがかかった黒髪の青年。
旧市街のとある物件の二階にて「アークライド解決事務所」を経営してており「裏解決屋(スプリガン)」という裏稼業をやっている。
年齢は24歳であり、作中の主人公としては《C》ケビンに次ぐ年齢。物語開始時点の年齢ではケビンより上である。続編の「黎の軌跡Ⅱ」開始の時点で年齢が25歳になっており、1月~2月辺りが誕生日だと思われる。
メインキャラを見ても終盤で師であるベルガルドが加入するまでは一行で最年長であり、このため他人(特にアーロン)から「おじさん」または「オッサン」呼ばわりされることが多々あり、その度に傷ついている。
かつての主人公たちが物語開始時は準遊撃士新米捜査官士官学院生徒と右も左も分からないひよっこだった事に対し、既に裏解決屋として経験を積んだ大人の主人公と言える。

飄々とした言動を多用しており、裏解決屋というグレーすぎる仕事をしている所為でクールでドライ、それでいてシビアな面も存在する。
……のだがそれ以上に大の甘党でサウナ好きの車狂い
難色を示すような依頼人相手でも高級スイーツを出されれば掌返しをする、事あるごとに他人をサウナの道(本人曰く「サ道」)に引きずり込もうとする、車関連の話題になると鬱陶しいオタクのように語りだすなど妙に子供っぽい。誰が呼んだか24歳児。それぞれに関して造詣も深く、プロでも知らなかった知識でアドバイスをし、新作のスイーツ造りに貢献したことも。
スイーツを食べると基本的にヴァンの食レポが始まるのでアーロンなどはいつもウザがっている。
+ 例えばサウナ上がりにミルクジェラートを食べると……


そう……冷たくて、甘くて、美味しい。
ただそれだけだ。

奇をてらった味付けもなく、
特におしゃれな見た目でもない。

単に基本を忠実に押さえただけの
ミルクジェラート。

だからこそ、この場に相応しい!

冷たくて、甘くて、美味しいだけという
シンプルな奥深さ――人生にも通じるところがある。

湯上がりの体にさわやかな風を吹き込む、
究極の癒しが濃縮されたようなひと時。

この瞬間のために生きているんじゃないか?
――コイツを食べる時はいつもそう思うんだ。

(うーん、ヴァンさんの事だから
 本気で言ってそうな気も……)



本人曰く甘党になったのはエレインのせいらしい*1
とはいえ同じく食べていたルネは甘党になっていないので貴方自身の性向だと思うと彼女にはツッコまれている。
それに加えて幼いころはそこまでではなかったので、エレインはおそらく引き取られた先で何かあったのだと考えている様子だが……
自前の導力車も所有しており、好きなメーカーはインゲルト。愛車もインゲルト社製ピックアップトラック《ナイトブレイカー》1204年モデル。
因みに今所有している車は二代目で初代はある人物に壊されてしまった。
調整やカスタムも手ずから行っており、曰く「そこいらの高級車より金をかけている」とのこと。
特にフロントと足回りを重点的に弄っているようだが、アニエスとフェリはよく理解できなかった(フェリは凄いのはわかったけどよく理解出来なかっただけだが、アニエスはヴァンの「女は車がマスト」という言葉は「そういう女性ばかりじゃないと思います」と否定していても「車種や馬力は見向きもしない」という部分は内心で「でも確かにどうでもいいかも……」とバッサリ)ので拗ねてしまった。……いいもんいいもん。男のロマンが理解されなくたって。
市内の移動にも使っているが他の町に出張する時もこれに乗って移動するので、アークライド解決事務所の移動手段と言える。
当初は5人乗りだったが作中でカスタムを行い8人乗りになった。
余談ではあるが歴代の主人公たちが組織の移動手段としていたものは大なり小なりとはいえ例外なく壊れているのだが……ヴァンさんの愛車(二代目)の運命はいかに。*2
+ ネタバレ注意
やっぱり壊されました☆
「黎の軌跡Ⅱ」第三部のDルートにおいて襲撃者から逃れるために車を走らせたものの、待ち受けていたカシムのビームを食らって中破してしまった。
ヴァンは愛車が傷物になったとカシムに恨み言をぶつけるものの、その後襲い掛かる怒涛の展開にそうも言っていられない状況になってしまう……。
のだが、この襲撃自体ゲネシスによる「巻き戻し」によって無かったことにされたためヴァンさんの愛車はめでたく無事になりました。
良かったね、ヴァンさん。


車には趣味の中でも特にミラをかけているようであり、バイトがだいぶ増えてバイト代を多く払う事になっても浮いたミラで車のエアロパーツを拡張する計画なども立てていた。
カトルなどからはストレートにダメな大人と呆れられ、アニエスさんが引き締めてあげないと駄目かもとまで言われている。
これに関してなんと周囲の誰も意義を申し立てることはなく、アニエス本人すらそんな気がしてきましたと呆れてしまうほどでありヴァン本人すら何も言い返せていない
運転技術もプロのレーサーも注目するほどの腕前で、首都には走り屋の仲間がいる。このため作中では時たまレーシング対決に興じることも。
また映画鑑賞も趣味の一つであり、ジャンルは問わずなんでも見るタイプ。本職であるジュディスやゴッチ監督も感心するほどの知識も持っている。

職業柄、表裏問わずかなりの情報通でありクロスベルの再事変や帝国の呪いと不死者といった過去作における最重要案件も完全にではないにせよある程度は把握しており、仲間内に説明することもしばしば。他にも法律、経済、資格関係、国際情勢などにも詳しく、教会の聖典に関する知識もある。
というよりも「《剣仙》だのマルドゥックの動きだの知りたくもない情報が入ってきやがる」と愚痴をこぼしたこともある。
流石にその道のプロ、専門家達には劣るものの、知識の幅の広さという意味では作中でも屈指の人物である。

面倒見もよく、(後に依頼料を請求することもあるが)危機に陥っている人間がいれば我が身を厭わずに助けに入るなど義理人情にも厚い。
また上述の通り既に裏解決屋として経験豊富な人物なので、他の大人たちから導かれるのではなく、経験が浅いアニエスやフェリといった仲間を先達として導く場面が多々ある。
ヴァン自身は「他人との貸し借り」を重視するギブアンドテイクな生き方を心掛けているらしい。
しかし、自分にとって大切な人間のためならば何が何でも助けようとする一方で仲間達からの助けを求めようとせず、どこか他人を遠ざけようとする面を見せている。
アーロン曰く「自分達には与えるばかりで恩を返させようともしない」
続編である「黎の軌跡Ⅱ」ではこの悪癖は大分改善され、自分から助けを求めるシーンが増えている。が、完全には直り切っておらず……。

他人からのボケにもよくツッコミを入れる苦労人気質。でも好物について語りだす時は逆にボケに回ることも。
また幼馴染のエレイン曰く「年上の同姓限定で受けがいい」らしく、目上の人間から可愛がられることも多いとか。
後述する裏解決屋の業務内容から彼を毛嫌いする人間も少なからず存在し、それについてはヴァン自身も反論することなく受け入れている。
だがそれ以上に彼に助けられた人間も多く、ヴァンと関わりの深い人間からは好感を抱かれることが多い。
ユメを始めとした子供たちや近隣の住民とも気さくに接しており、大抵は慕われたり頼られている模様。
物語が進むにつれ、そんな彼に恩義を感じると共にどこか危うさを感じる点を心配され、彼の意思を無視した上で事務所に押し掛ける形でどんどん仲間が増えていくことになった。
本人は一人のほうがよかったと言っているが、彼の兄貴分やユメから見ると以前よりも生き生きしてたり楽しそうに見えるらしい。


なんつうか小姑が倍々で増えていってる感じだぜ……

なにか言いました?

いえ、なんでもないです。

実はアニエスと同じく、嘗ては共和国きっての名門校ことアラミス高等学校のOB。
そこで後述する二人の幼馴染と偶然にも再会し、ドタバタ満載の学校生活を送ることとなった。
部活には所属せず、「何でも屋」として各部の助っ人に入ることで小遣いを稼いでいたらしい。
学校をサボっては近くにあるパティスリーこと「アンダルシア」に通い詰めては新作スイーツを堪能し、エレインに見つかっては怒られるといった日々を繰り返していた模様。
他にも学藝祭ではゲリライベントや出し物を敢行して過去最高の大盛り上がりを見せ、一躍伝説となった。*3
こんな風にまさに「悪ガキ」と評されながらも充実した学園生活を送っていたらしいが、二年生に進級して早々にエレインが生徒会長になったのを見届けた直後、謎の自主退学をして行方を眩ませてしまったらしい。



【裏解決屋として】


旧市街の二階にある建物に事務所を構えており、事務所に直接依頼を持ってくるか街中にある掲示板の裏に「4spg(For Sprigganの意)」と依頼内容を書いたメモを張り付けることで依頼を受けてけている。
それでいて「警察やギルドなど表の勢力に頼れない事情を持ち、それでいて筋の通った依頼」であることが引き受ける条件となっている。*4
事件の解決方法をプレイヤーに委ねられることがあり、その選択によってLAWGRAYCHAOSの何れかの属性(アライメント)が増加する。
基本的には誠実、正直に話すような選択ならLAW
黒月などの裏の処遇に任せるとGRAYCHAOSに振れやすい。
これ自体に正解はなく、依頼の評価やエンディングなどには関わらないので自分の心に従って選択しよう。
可能ならば全てを満遍なく増加させておくと良いことがあるかも…?

その条件から依頼人には純粋な善人から犯罪者まで存在しており、過去の依頼人の中にはなんとシリーズでお馴染みの結社までもが存在している
このため、その依頼内容もお使い程度の他愛ないものから犯罪に繋がりかねない違法スレスレなものまで多岐に渡り、正直真っ当な商売とは言い難い。
当然ながら警察やギルドと言った秩序を重んじる勢力からは問題視されており、上記のヴァンを嫌う人間とは大抵警察やギルドの関係者である。

ただしあくまで引き受けるか否かはヴァンの判断次第。
依頼人と直接会ってみて信用できそうだと思えば引き受けるし、逆にあからさまな悪人や悪事に加担するような依頼内容であれば断ることもある。
ヴァン自身も「グレーではあるがブラックではないつもり」と語っており、依頼人の正体や依頼内容の真相次第によっては依頼の途中であっても柔軟に対処する。*5
基本料は一時間1000ミラ、依頼内容によっては各種手数料も加わるため本人も言っているがギルドに頼むより割高な方。

しかし、相手の事情を汲んで幾らか料金を差っ引くことも多々あるなど他人には結局甘くしてしまう傾向にある。*6
各地方への出張業務も受け付けており、このためカルバード国内の様々な地方の知識も豊富。
物語の流れとしては「イーディスにて4spgを回収しながらの日常パート→各地へ出張するメインパート→次の章へ」という形になる。
また章の終わりには出張業務の報酬が入ることになるが、数日間の業務に対する報酬の割には良くて一万ミラ超えるくらいと妙にしょっぱい。

これは、助手たちへのバイト代や家賃、愛車の整備費や部品代などのほか、嘗てヴァンを拾い、育ててくれた孤児院に報酬の殆どを寄付しているからという理由がある。
彼からの寄付のお蔭で未だに孤児院は何とか経営できているという。因みに自分が寄付をしているということは孤児院にも知らせておらず、「From spg」という名義で寄付を行っている。
また自分の性である「アークライド」とは当時自分を拾ってくれた院長の名を拝借したものである。


この通り「裏」の人間であるため、人脈は幅広い。
様々な情報屋やCID(中央情報局)、前述のMK社などにまで顔が利き、培ったコネを最大限に活かして事態の解決に当たることも。
ヴァン自身は手広くやるつもりはなかったらしいが物語が進むにつれその人脈は広がっていき、最終的には共和国大統領や他国の王族とまで繋がる始末。
それでも受けた依頼内容に文句や難色を示すことはあれど最終的にはキッチリ果たすなど、冒頭の台詞通り「自分の流儀を貫く」ことに拘っている人物でもある。
このため裏解決屋としてのヴァンに救われた人物は多く、その殆どが彼に感謝と恩義、好感を抱いている。
元々ヴァンも危険な目に遭わせたくは無いと助手を雇うつもりはなかったが、アニエスを始め彼と関わった人間が押しかけ続けた結果、大所帯となった。
章ごとのエピソードが終わる度、事務所の上の空き部屋を埋めていく仲間達と何も聞かされてないヴァンの嘆きで〆るのがお約束である。

また、意図してかどうかは知らないが解決事務所のメンバーは、クロスベル警察の一部署である特務支援課に深く関わったメンバー構成やポジションが似通っている所がある。

エリィ・マクダエル → アニエス・クローデル(清楚で真面目な優等生。ついでに目を引くくらいのボイン。
キーア・バニングス → フェリ・アルファイド(世間知らずだが天真爛漫で素直な少女)
ランディ・オルランド → アーロン・ウェイ(ちょいワルだが面倒見が良く、周囲の人間を引きつける兄貴分。あと赤毛。
ノエル・シーカー → リゼット・トワイニング(職務に忠実かつ、サポートも万能にこなすやり手の美人)
ティオ・プラトー → カトル・サリシオン(クールかつ導力技術に精通している。また境遇も似通っている。非人間の相棒に導力ドローンのFIOとXEROSがいる点も共通。)
リーシャ・マオ → ジュディス・ランスター(表向きは芸能活動に勤しみつつ、裏稼業を受け継ぐ家系)
セルゲイ・ロウ → ベルガルド・ゼーマン(貫禄のある大人で、事務所メンバーの最年長にして顧問的役割)
アレックス・ダドリー → ルネ・キンケイド(眼鏡をかけた銃手かつ、有能な国家公務員)
アリオス・マクレイン → エレイン・オークレール(剣術の達人であるA級遊撃士)
ワジ・ヘミスフィア&ヴァルド・ヴァレス →セリス・オルテシア&リオン・バルタザール(星杯騎士団のメンバーで皮肉屋のリオンと短気なセリスのコンビ)
シャーリィ・オルランド→シズナ・レム・ミスルギ(破天荒で周囲を振り回す猟兵。尚、八葉一刀流の関係者という点はアリオスとも共通)


些かこじつけの部分もあるがこうしてみるとアークライド解決事務所の面々は
特務支援課の『ロイド・バニングス』と『ランディ・オルランド』の経験値&年齢がもしも入れ替わっていら?
というIFとして見てみると面白いかもしれない。


因みに事務所の真下はビルの大家さんでもあるポーレットが経営するビストロ「モンマルト」。
そこから朝昼晩一回ずつに賄いが提供される。
三階は賃貸物件となっており、アニエス以外の押しかけバイト達はそこを借りて暮らしている(ヴァン自身は事務所で寝泊まりしている)。

以下、終盤のネタバレ。
+ プレイ後に見ることをオススメします
ヴァンの選択によっては本当に相手を殺すことになる。
既に何人も手にかけてきたと語るヴァン。
悪人といえど死ぬべき人間だったのか…それとも生きて償うべきだったのか。
人生とは、己の選択を信じて進むしかないのだ。


【戦闘力】

戦闘においてはマルドゥック社(以下MK社と呼称)から提供された武装である『撃剣(スタンキャリバー)』と『零式勁術(ゼロ・ストライク)』という格闘術を使用。
これらを組み合わせることであらゆる状況に対応可能とのことだが、扱いが難しいので広まっていないらしい。
『撃剣』には刃が付いていないが*7万が一の裏技で真剣と同じ切れ味を持たせることも可能であり、それには人体を容易く貫いてしまう程の威力がある。*8
この『撃剣』を用いたテスター契約を結んでおり、その関係で担当サービスコンシェルジェのリゼットとは度々連絡を取り合っており、使用しているザイファに搭載されたホロウコアのAIこと「メア」もMK社の提供。
なお最新型の戦術オーブメントであるXiphaも警察には「あくまで導力ネット用」などと言っているが当然のように戦闘でも使用している。

またMK社とテスター契約を結ぶ際に警備主任にしてフェリーダの兄ことカシム・アルファイドから戦術指南されたこともある。
グンター・バルクホルンから伝授され、東方三大流派の一つである『崑崙流(こんろんりゅう)』を修めており、それも組み合せた戦い方が主。

実力もそれなりで適当なゴロツキや猟兵程度ならば相手にもならない。達人クラスでもそれなりに喰い下がれる腕前を持つ。
しかしそれ以上にヴァンを象徴するものが冷静さと頭脳、そして勘の鋭さ。
どんな事態になっても冷静に状況を分析し、持ち前の頭脳で突破口を見つけ出す。話術も巧みで相手を上手いこと言いくるめさせて情報を引き出したり、半ば騙すような形で相手を誘導するなどずる賢くも要領よく立ち回っている。
そして不穏な気配が漂っていればそれを《嗅覚》として感じ取れるほどに勘が鋭い。これで危機回避したり、追跡に気付いたりとヴァンの生命線の一つとなっている。


【性能】


主人公らしく使いやすいクラフトが揃っておりコインバレットは敵の攻撃力を下げたうえでヘイトを稼ぐこともできる。
PT人数の少ない序盤はヴァンでヘイトを稼いで敵をひきつけ、アニエスのアーツなどでまとめて攻撃するのもあり。
攻撃を受ける機会が多いのでガードスターターやオートクレストを使えるようにしておくと戦いやすい。
追撃でとどめを刺すフェイタルランサーや、味方がダメージを負った時に反撃するリベンジアローなどのシャードスキルが組みやすいのも特徴。
ドライブラインは三つしかクオーツがセットできないが、ヴァンはクラフト主体で戦うことが多いのであまり気にならないだろう。
またヴァンの場合は専用のホロウコアであるメアの性能がとても優秀なので、装備している場合はSブーストは積極的に使っていきたい。
特定の戦闘ではグレンデルに変身できるが、圧倒的な攻撃性能となるので使用可能な場合は積極的に狙っていきたいところ。

【Xipha】

QUARTZ LINE
WEAPON    
SHIELD
DRIVE
EXTRA

【クラフト】

黎の軌跡

  • スタンスラッシュ→マグナスラッシュ
    消費CP:30 物理攻撃【威力:C→C+/範囲:扇M】駆動解除&側面特攻
    CP消費量も少ないため、複数匹まとめて攻撃すると使用したCPを回収可能なお手軽さがウリ。側面特攻を活かせる場所を探してウロウロする裏解決屋の姿は少々情けない?裏解決屋をナメてんじゃねぇぞ。
  • コインバレット
    消費CP:20 魔法攻撃【威力:D+/範囲:扇直線】攻撃力低下&ヘイトUP
    複数の10ミラコインを指弾の要領で打ち出す。スタンスラッシュと同じく消費CPを回収しやすい、しかし範囲がかなり狭いのが難点。
    上手く立ち位置を調整して敵を多く巻き込みたい。
  • エリアルバスター→レイジングバスター
    消費CP:50 物理攻撃【威力:B→B+/範囲:円形M】遅延・小&背面特攻→遅延・中&背面特攻
    遅延効果で行動順を遅らせることが出来る。だがCP消費が結構重いので連発するのは向いてない。他の仲間との連携し、敵の行動を遅らせれば確実にチェインを伸ばせるタイミングなどで使いたい。強化されると遅延が中に強化される。
  • 煉気吼
    消費CP:40 自己強化【補助/範囲:自分】練気&行動時HP回復
    自身を強化しつつそのまま連続行動を可能とする。雑魚戦はフィールドアクションで先手を取ったらこれで減ったHPを回復しつつSクラフトで瞬殺してしまおう。
  • 蒼破崩拳
    消費CP:70 物理攻撃【威力:A+/範囲:直線M】スロウ
    ベルガルドから教わった格闘術により全力の崩拳を叩き込む。威力は高めだが範囲もやや狭く、やはり消費CPが少々重い。側面が取れる状況ならスタンスラッシュの方が良いだろう。
  • ヴァンダライズレイド
    消費CP:100 物理攻撃【威力:S+/範囲:円形LL】
    Sクラフト。撃剣を上空へ放り投げてから崑崙流の功夫を練った怒涛の乱打を敵陣に叩き込み、落ちてきた撃剣で一閃する。エステルの桜花無双撃と同じ乱打タイプだがターゲットは単体ではなく、ほぼ戦場全体の敵を巻き込める。アップデートでモーションとカメラワークが大幅に変更されて、とてもカッコよくなったと好評である。

黎の軌跡Ⅱ

  • 蒼天反照(そうてんはんしょう)
    消費CP:100 物理攻撃【威力:SS/範囲:単体】物理&魔法ダメージ
    新たにヴァンが習得するSクラフト。
    己の身の裡に潜むヴァグランツ=ザイオンの何らかの力を行使しているらしく発動時には漂泊の魔王のシルエットが一瞬だけ浮かぶ。
    剣を逆手に持ち直して気息と共に精神を整え、溜め込んだ気を剣として解き放って敵を一刀でブッた斬る。
    範囲が単体でヒット数も少ないが最大の特徴は物理&魔法ダメージという点。つまりジュディスのグリムキャッツ状態のように魔法攻撃の追加ダメージが発生するので、他の威力SSのSクラフト以上のダメージを叩きだせる。
    グレンデル版は『洸天反照(こうてんはんしょう)』となり効果範囲が円Sになっている。



魔装鬼(グレンデル)


ヴァンに宿った新たなる力。
物語序盤、危機に陥ったヴァンに対しアニエスが彼を守ろうと駆け寄った瞬間、彼女が所有していた装置ことゲネシスとヴァンが所有していたホロウコアであるメアが謎の暴走を引き起こし、溢れ出た高密度のシャードが身に纏わりつく。それこそがグレンデルである。
グレンデルになるためにはヴァンが危機に陥り、それに反応したゲネシスが光ってヴァンやその関係者以外の動きを止める位相空間を展開する。
その後、単なるAIアプリでしかないはずの「メア」が半ば実体化して飛び出し、ヴァンに「悪夢を纏うか否か」と問いかける。
そして「悪夢を纏う」と答え、メアが「悪夢を纏え(テイク・ザ・グレンデル)」と唱えることでシャードを纏い、グレンデル化が完了する。

通常の人間よりも一回り大きく、細身ながらも黒い獣のような鎧を纏ったような姿となる。
この際ヴァンも「ヲヲヲヲヲヲンンンッ!!!」と獣のように吠える。
グレンデル化した際は全ての能力が跳ね上がっており、戦い方も徒手空拳が主体になるなどまさに獣のような荒々しく、それでいて圧倒的な力を振るう。
変身中のヴァンに対するS.C.L.Mは全ての攻撃がグレンデルによる強力な追撃に変化する為、変身中のボス戦は如何にヴァンと仲間の攻撃を連携させるかが鍵。

序盤までは章の大ボス相手にしか使用できず、イベントバトルに近い形になるが、後に技術顧問としてアークライド解決事務所に加入したカトルが解析を行うことに。
それによってゲネシスを持ったアニエスがそばにいることで自由に変身できるようになった。
と言ってもメア曰く何らかの危険があるらしく、結局は一部の強敵相手のみでしか使えない。*9

「黎の軌跡」における最大の謎の一つでもある。



【人間関係】



上記の通りヴァンは裏解決屋として幾つもの人脈を作り上げており、各方面に顔が利く。
中でも記者にして情報屋でもあるディンゴ・ブラッドとは彼が裏解決屋を始めた頃からの付き合い。
最初は若かったこともあって彼に突っかかってばかりだったヴァンだが、彼の面倒見の良さや様々なアドバイスを経て丸くなっていき、やがては情報屋としては誰よりも信頼するようになった。

ヒロインであるアニエスは初めてのバイトにして助手。彼女が訪ねてきたことで新たな“軌跡”(ものがたり)が始まった。
裏の世界に関わらせたくはないと遠ざけるつもりだったが、結局は押し切られてしまい、未だにゲネシス捜索の依頼人でもあるということで常に行動を共にすることになる。
様々な依頼や事件に巻き込まれる中、自分の事情に悩む彼女に対しヴァンは様々なアドバイスをしたり、時には体を張ってまで守るまどして彼女の力になっていくと同時にアニエスに大きな影響を与えることになる。
しかしアニエスにとって初めての出張業務であるフェリの依頼を受けた際に、改めてバイトを続けるかどうかを問いただした。*10
ヴァンの流儀の色に染まってしまうのではないかと心配していたようだったが、アニエスは「大丈夫です、染まりはしませんから」とはっきり告げる。
自分ならではの色でヴァンを支えて寄り添うことはできると正式にアルバイトを継続することになった。
この時に誓ったアニエスのヴァンの色に染まらない事と、自分ならではの色でヴァンを支えて寄り添う事は物語上で大きな意味を持つことになった。
ヴァン自身もだんだんとアニエスの事を信頼するようになり、終盤のとある局面で単独行動をとりたいと言ってきた彼女を理由も聞かずに許可している。
やがてアニエスからは好意を寄せられるようになっていくがヴァンはまだ気付ていない模様。
続編である「黎の軌跡Ⅱ」では当初の目的である「オクト=ゲネシスすべての奪還」を成し遂げた時にはアーロンに煽られてうやむやにできなくなったが、自分からアニエスにアルバイト継続を願い出ている。*11
上記のような行動を取っていた頃のヴァンでは考えられないことだが、後述通りアニエスから影響を受けていたことが大きいのかもしれない。
ちなみに真っ当な助手の募集で雇ったのはアニエスのみとなる。


格闘技の師匠であるグンター・バルクホルンことベルガルド・ゼーマンは今でも尊敬の対象であり、ヴァンにしては珍しく常に敬語かつ最大限の敬意を以て接する数少ない相手。
ヴァン曰く「常識人のように見せかけて滅茶苦茶な人」だったがそれでもヴァンにとっては感謝してもし足りない人物である。
物語開始の時点で既に亡くなっていると聞かされていたが……?


元執行者であるレン・ブライトは嘗ての依頼人であり、彼女がまだ幼く、そしてヴァンが駆け出しの半人前だった頃に彼女を匿ったことがある。
当時の彼をレンは「ぶっきらぼうで、実力も足りなかったが一緒に足掻いて大切な人と一緒になる道を示してくれた」、「『子猫』だった私が今の『私』になるきっかけをくれた人」と評しており、その時の恩から全幅の信頼を寄せている数少ない人間となっている。
アニエスに裏解決屋を紹介したのもレンであり、ある意味で「黎の軌跡」の物語が始まるきっかけを作った人物とも言える。
勿論ヴァンもレンの事はしっかりと覚えており、彼女がアラミスに入学したことも把握していた。また、レンが生徒会長になった一件の裏でディンゴと共に陰ながら協力していたらしい。
再会して以降はレンも様々なサポートを提供してくれることになり、解決事務所の大きな助けになっている。
その一方でヴァンとの再会では嬉しそうにしていたり、アニエスをからかうためとは言えヴァンの腕に抱き着いたりと明らかに他の異性には見せない行動を幾つも見せている。……まさか、ね?


「創の軌跡」でも登場したスウィン・アーベルとナーディア・レインも嘗ての依頼人。
「庭園」から脱走している二人を匿い、逃亡の手助けを行った。
この時の恩義から割と素直なスウィンは勿論、実は猜疑心の塊であるナーディアからも割と懐かれている。
ヴァンもまた二人を信頼しており、「黎の軌跡Ⅱ」で再会した際には自分が首都を留守にする間、二人に裏解決屋代行を任せた。


サルバッドでの事件を解決して以降、ニナ・フェンリィやラム監督、サルバトーレ・ゴッチ監督を始めとした今を時めく映画業界の有名人とも交友を持つようになる。
特にゴッチ監督とは初対面の時点で映画談義で盛り上がり、スケベ親父で知られるゴッチを気に入らせた。
そのため個人的な4spgを出したり、ヴァンに代役を頼んだり、逆にヴァン達が窮地に陥っていれば彼らの力になったりと公私ともに親しくなっている。


そしてヴァンを語る上で何よりも欠かせないのが二人の幼馴染、A級遊撃士エレイン・オークレールとCIDの情報分析官ルネ・キンケイドである。
二人とも幼少の頃にとある街で出会って以降仲良く遊んでおり、その後ヴァンがとある事情で彼らの元を去ってしまったが数年を経て二人の幼馴染と再会することになる。

ルネはヴァンの一つ上の兄貴分と言ったところで昔から悪ガキコンビとして度々エレインを困らせていた。
互いに憎まれ口を叩き合いながらも相性は抜群で、再会するなりハイタッチを交わすなど相棒と言った関係。因みにルネの方は名前で呼ばれる度に「名前で呼ぶなっ」と返すのがお約束となっている。
本編開始より3年前にヴァンと再会しておりその際に彼が「裏解決屋」を始めたことを知った。
当然多少は困惑したものの結局は認めており、時にはCIDとしてヴァンを利用しながらも裏では幼馴染として彼の力になっている。


逆にエレインとは現在は微妙な関係になってしまっており、作中で3年ぶりに再会した時もヴァンは内心「流石にやり辛ぇな」と思っていた。
彼女の事を明確に避けていたようであり、バイト初日にアニエスも感じていたが遊撃士協会などに近寄らなかったのはエレインの存在が大きい。*12
同じくエレインのほうもヴァンとの距離感をうまくつかめず、冷たい態度やそっけない態度を取ってしまうことが多い。
一応彼が首都で裏解決屋をしているのは知っており住処も掴んでいたのだが、自分からは会いに行こうとしなかった。*13
ヴァンの「自分一人だけが背負って分かち合わせもしない在り方」を認められないと思っている。
しかしエレインもヴァンを心配しているのは確か。ヴァンもエレインを嫌っているわけではないのはゲームをプレイすればすぐにわかる。
それに加えていざとなれば抜群のコンビネーションを見せるなど二人の繋がりは今でも強いまま。
そんな二人の過去に一体何があったのだろうか……。




【黎の軌跡にて】


「モンマルト」でのモーニングを終え、ソファで寝転がっていた時にアニエスが「曾祖父の遺品である導力器を取り戻して欲しい」という依頼を持ち掛けてきたことで彼の軌跡が動き出す。
警察や遊撃士に相談したほうがいい内容だと助言を送りながらも、引き下がらない彼女の熱意に折れて依頼を引き受けることに。限定ケーキに釣られたわけじゃない、いいね?
ヴァンは彼女を伴いながら裏解決屋として捜索を開始し、イーディスの様々な地区を回っていく。
そんな中で近年勢力拡大してきたというマフィア「アルマータ」とのゲネシス争奪戦やエレインとの再会、ゲネシスとメアが引き起こした「グレンデル化」という謎の現象というトラブルもあったものの、なんとか一つ目のゲネシスを確保して無事に依頼を達成する。
アニエスは彼を危険に巻き込んでしまった迷惑料も込みで五万ミラを差し出そうとしたがヴァンは理由を付けて一万ミラに抑え、加えて今後もゲネシスを求めて一人無茶をするであろう彼女を助けるために「情報提供を対価に残りのゲネシス捜索を引き受ける。ついでに追加報酬も一切受け取らない」という条件で彼女を手助けすると申し出た。
当然ながらこれはアニエスだけが得をする申し出であり、彼女は驚き戸惑ってしまう。
しかし時にはずる賢く、けれども夜明け前の暗がりのような優しさで寄り添ってくれるヴァンの姿勢に恩義以上のものを感じたアニエスがバイトに志願。
始めは断るも想像以上の押しの強さに根負けしてしまい、初のアルバイトとして雇うことに。

更には物語が進むにつれて各地方への出張業務に追われるようになり、そうした中でフェリーダやアーロン、リゼットやジュディスと言った仲間達と出会い、これまた事務所に無理矢理押しかけられてどんどんバイトを増やしていくことになる。
しかし様々な依頼を引き受けていく中でアルマータとの対立も激化し、やがてヴァンに纏わりつく様々な疑問と向き合うことになる。
一体ヴァンの過去に何があったのか? 彼は何故他人を思いやる優しさを持ち合わせながらも他人を遠ざけようとするのか? そしてヴァン・アークライドとは何者なのか?


アルマータや自らの運命に一先ずの決着をつけた後、ヴァンはそれぞれの事情から一旦メンバーと別れ、自分はまた裏解決屋としての日々へと戻ることに。
しかし、グレンデル化と言った謎や残りのゲネシスの行方、なによりヴァン自身に纏わりついた問題はまだ残ったまま。
その問題が再び表に出てきた時に自分はまた同じ決断をしてしまうかもしれない。
それでも「諦めの悪すぎる連中が放ってくれねぇ」とようやく身に沁みたようで「今度はもう少し考えるさ」とアニエスとも約束している。



【黎の軌跡Ⅱにて】


仲間達が一旦事務所から離れてしまい、唯一首都にいるアニエスも学藝祭の準備でバイトの回数が減って元のハードボイルドな一匹狼生活に戻った……と本人は思っているが周りからすれば寂しそうにしていたらしい。
実際にいつもは依頼人が来る時間帯ではない朝っぱら*21にドアがノックされた際にはバイト日でもないのにアニエスが来たと思ったほど。
そんな中、エレインから「紅黎い魔装鬼が猟奇的殺人事件を起こしている」という情報を受け、自身が最重要容疑者として挙げられつつあることを知らされる。
さすがに冤罪で捕まるわけにはいかないと腰を上げることに。


魔装鬼の調査や4spgなどを経てエレインとの拗れた距離感の改善を実感しつつ、遂に件の魔装鬼が出現するであろうポイントの特定に成功。
現地へ赴き、遂に問題の紅黎い魔装鬼こと《グレンデル=ゾルガ》に変身する黒コートの人物と対峙する。
しかし、《グレンデル=ゾルガ》の力は圧倒的でありエレインとのコンビネーションも歯が立たず、アニエスがいないため自身がグレンデルになることも出来ない。
そうこうしている内に自分を庇ったエレインが《グレンデル=ゾルガ》によって目の前で殺される。
エレインを殺されたことで怒りに我を忘れ、ヴァンはゾルガに挑みかかるもやはり敗北。
アニエスとルネの救援も後一歩のところで間に合わず、二人の目の前で胸を刺し貫かれて殺害されてしまった。

だがその直後、アニエスの絶望に応えたかのようにゲネシスが「巻き戻し」を行い、ヴァンとエレインはアニエスと出会った地点までタイムリープされることに。
その時はまだ「巻き戻し」に対する認識が曖昧だったこともあり、アニエスに声を掛けるが助けを求めることはできなかった。
しかしアニエスのほうがヴァンの内心を察してルネと共に合流。4人で《グレンデル=ゾルガ》と戦う展開に変化する。
更にはスウィンとナーディアが救援に駆けつけたこともあって《グレンデル=ゾルガ》を撃退、死の運命を回避した。

その後は《グレンデル=ゾルガ》や彼が持つ「第八のゲネシス」のコア部分、そして各地に散らばる第八のゲネシスの外郭を探し求めて共和国中を奔走。
首都を留守にする間は、スウィンとナーディア、アニエスに首都での裏解決業務を任せることに。
何度も襲い掛かる理不尽な死の運命を「巻き戻し」によって回避しながら戦い抜き、暗躍するハーウッドやガーデンマスターらを退けて遂に第八のゲネシスの奪還に成功した。
すべてのゲネシスを取り戻すことに成功したはいいものの、全てのゲネシスが光を失って沈黙するという釈然としない結果に終わったが気持ちを切り替え、嘗て自分が通っていたアラミス高等学校の学藝祭のアドバイザーを解決事務所の仲間達と共に務めることに。
ちなみにゲネシスが揃った事で一応アニエスからの依頼は達成となり彼女がアルバイトを続ける口実が無くなってしまい、それをアーロンに指摘された時は……


あー、なんだ。
この事務所も、誰かさん達のせいで各方面ですっかり有名になっちまってな。
非常に不本意だが、手が足りねぇ。助手の募集をし続けるくらいには。
それに――最初の“交換条件”がまだ果たされてねぇのも確かだ。
わかってねぇことも山ほどある――メアや、グレンデルとの関係も含めて。
その辺が片付かないうちに依頼達成とは、完全には言えないんじゃねぇか?

となんと自分の方からアニエスにアルバイトの継続を持ちかけている。
なお本当に非常に不本意だったかどうかは彼の表情を見ればわかるだろう。


ヴァンさん……
……ふふっ、そうでした。確かに気になることばかりですよね。
アルバイトと合わせて――今後ともよろしくお願いします……!

ああ――こちらこそだ。

こうしてアニエスはアルバイトを続けることになった。
アニエスが事務所に残ることになったのはメンバーではないエレインやルネなども良かったと思うほどだった。
ちなみにヴァンが自分から助手を募集して雇ったのはアニエスだけだったりする。


ところで助手の募集だっけ? 私も改めて応じさせてもらおうと――


却下だ却下――っ!!


なおその際にシズナが助手に立候補した際には食い気味で却下している。人手が足りないとは何だったのか。
一人で背負い込む癖はまだ直っていないものの自分の事は諦めることは無くなっている。
前作の序章ではアニエスに庇われた際に「俺なんかのために」と思っていたが、今は「諦めかけていた自分自身を何としても手放したくない」と思えるようになっている。
これはアニエスがありえないくらいの意志の強さで自分の筋を通し続けて、欲しいものをつかみ取ってきたことなどの影響を受けている。
特にヴァンが一度消えた際に迷うことなく立ち上がったことや、世界を揺るがしかねない存在に真正面から啖呵を切った事などは想像すらしていなかったらしい。
そんなアニエスの強さに少なからず引っ張られてきた所があると本人は言っている。


そしていよいよ迎えた学藝祭当日、ヴァンは相方の女性*22と一緒に楽しみながら初日の目玉である特別ステージを観劇中、彼は途中一人でこっそりと抜け出す……。

+ 最後まで見届けられないのは勿体ねぇが……ま、後で映像で見せてもらうかね。

実は学藝祭に向かう直前、ヴァンの元にこれまで何度も警告を促してきた《C》なる人物から「16:30、トリオンタワー前に来られたし」という呼び出しを受けていた。
今までの情報からこの《C》こそが「《グレンデル=ゾルガ》に変身する黒コートの人物」であるとヴァンは察しており、これを4spgと受け取った上で決着をつけるために向かったのである。
仲間達には学藝祭を楽しんでもらうために誰に告げず、たった一人で。*23

タワー前に到着し、メアの力を借りて入り口となる空間に入り込むことに成功したがそこでニナ・フェンリィと彼女が率いる隠密僧兵たちと出くわす。
ヴァンの方は彼女の正体がアシュラッド達《外法狩り》を行う典礼庁側の人間であると気付いていた上で自らが決着をつけるために彼女と問答を交わす。
当初は外法認定した《C》を滅するために訪れたニナだったが、さすがに外法認定していないヴァンを誅するわけにはいかず、彼に後を任せる形で最終決戦の舞台への入り口を開いた上でその場は退いた。

――しかしその直後、ニナと入れ替わるようにしてアークライド解決事務所の仲間達とその協力者たちが姿を現した。
実は仲間達は最初からヴァンの様子がおかしいことに気付いていたのだ。
そのためステージ中も彼の様子を気に掛けていたところ、やはり一人でこっそり出ていったためルネの車を借りて追いついたというわけである。
完全に撒いたと思っていたヴァンは驚き慄いている中、また一人で抱え込むという悪癖を直していなかったことに怒り悲しんだアニエスの涙交じりのマジギレ説教を受けてしまい、猛省する羽目に。
今度は素直に仲間達に助力を請い、最終決戦の舞台ことゲネシスが作り出した空間《オクトラディウム》を突き進む。

そして遂に、最奥部にて黒コートの人物と対面を果たす。
ヴァンの方は既に黒コートの人物の正体に気付ており、彼の存在を確定させるためにも自身の推理を述べる。

今朝の呼び出しのメールを受け取った時点で「黒コートの人物=《C》である」こと。
この《C》はエレボニア帝国の内戦の首魁たる初代でもクロスベル再事変の裏で暗躍した二代目でも、ましてやゲネシスを生み出したクロード(C)・エプスタイン博士でもない事。
思わせぶりながらも警戒心を抱かせ、敢えて直接答えを告げないことでヴァン達の成長を促すための絶妙な文章の作り方。
その配慮から感じられる「二つの分野のプロとしての流儀」。
ヴァンの知る中では、そんな小憎らしい配慮が出来る人物は一人しかいなかったが今までその可能性はあり得ないと切り捨てていた。
何故なら、ヴァンが考えるその人物はとっくにこの世を去っていたからである。
だがこれまでの騒動で革命で活躍した思想家の亡霊やシャード体で人物を再現できるという事実を目の当たりにして前提は変わった。この前提があれば、死者すらも候補に入ってしまうのだから。
極めつけは彼が用いた《C》の意味。尤もこれ単体に意味はなく、自身の本当のイニシャルを隠すための中間としてのミーニングであると。
Cの前後、それはBとDをイニシャルに持つ者。
ここまで告げると、ヴァンはコインを取り出して弾く。帽子の下に覆われた正体を暴き出すために―――。

+ 正体を明かしてもらうぜ――



ディンゴ(D)ブラッド(B)!!



ヴァンのコインによって弾かれた帽子、その下にあったのは嘗てヴァンが最も信頼していた情報者にしてルポライター。
自身が犯した罪を償うために一人、ジェラールを追い続け、その末に命を落としたはずの男――ディンゴ・ブラッドであった。

実はあのクレイユ村の事件にてジェラールの凶行を止めきれないことに激しい罪の意識を抱いたことが災いし、導力ネットを介してその場を観測していた「人の罪を観測する第八のゲネシス」のコアに意識データをAI化された上で取り込まれてしまっていたのである。
そのためこの場にいるディンゴはあくまで本人ではなく、第八のゲネシスによって再現された「代行者」に過ぎず、第八のゲネシスの作動原理に基づいて動くための存在となってしまった。
それでもAI化されながらも導力ネットを介して《C》としてヴァン達をサポートしていたがガーデンマスターが第八のゲネシスを手にしてしまったことで彼の手先である《グレンデル=ゾルガ》として操られる羽目になってしまったというのが真相である。

ヴァン達の活躍でガーデンマスターは倒され、彼が第八のゲネシスを用いて行った「最悪の三日間」で起きた「罪」は無かったことにされた。
だが第八のゲネシスの動作原理である「罪の観測」はこの時点でまだ終わっておらず、無かったことにされたはずの、「最悪の三日間」で起きた「全ての罪」を現実の物として確定させるために「巻き戻し」を行うヴァン達を倒すべく呼び寄せたのである。
そしてディンゴ自身、第八のゲネシスの一部と化していたためにそれを止めることが出来ない。それを阻止するにはヴァン達に自分を倒してもらうしかない。
やりきれない思いを抱えながらも掛け替えのない今を守るため、そして彼からの4spgを果たすため、ヴァン達はディンゴ・ブラッド――《グレンデル=ゾルガ》との最終決戦に臨んだ。

死闘の末、ヴァンは《グレンデル=ゾルガ》の必殺技を打ち破り、逆に自身の必殺技である「洸天反照」を叩き込んで遂に勝利。
ディンゴはようやく第八のゲネシスから解放され、多くの仲間達やとある人物が呼び寄せたマリエルと共に以前は立ち会えなかったディンゴの最期を見届けたのだった。







全てを乗り越え、ヴァン達は学藝祭の最終ステージになんとか間に合わせることに成功。
事務所の仲間達や懐かしい顔ぶれが飛び入り参加した最後のダンスを見届けた。
その夜、後夜祭でフォークダンスを踊る仲間達の傍らでアニエスと会話を交わす。
学藝祭についても「悔しいが俺達の時以上だった」と絶賛したが、アニエスからは「みんなの勝利でいいかと」と返された。
件の手記の最後の一文である「すべてが終わる」が示す危機はまだ終わっていないこと、ゲネシスに隠された秘密、それらに密接に絡んでいるメアとグレンデルとの関係。
それらを事務所の仲間達と共に改めて乗り越えていこうと決意を新たにする。
と、同時にアニエスが顔を赤らめながらこう告げた。





勝算が無かったとしても、いつかこの想いを、大切な人に――

そんな一歩を踏み出せる、勇気を。



っ………


さすがのヴァンもアニエスの想いに気付いたような素振りを魅せながらも仲間達に呼ばれ、共に踊るべく駆けていくのだった。
エンディングではベルガルドとも再会、アニエスが買ってきたスイーツをシズナに盗られてキレるなど慌ただしくも充実した日々を過ごしている模様。
すべての決着は次回作――黎の軌跡Final Chapterへと持ち越されることになった。



【余談】

黎の軌跡のタイトル画面やイベントなどで流れる「黎き狭間の中で」はヴァンから見た世界をイメージした曲名となっている。




ふふっ、ヴァンさんの項目もますます追記・修正されて賑やかになりそうですね

まったくもって不本意だがな

……はぁ、ハードボイルドな項目だった日々が懐かしいぜ。

…………………………

“元々そこまでじゃ”とか思ってねぇか……?

い、いえ、そんなことは……

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最終更新:2024年01月28日 18:02

*1 幼少期にエレインが実家である製菓会社から持ち出したお菓子をヴァンとルネにホイホイ食べさせたとか

*2 空の軌跡でエステルたちが乗っていたアルセイユ。碧の軌跡で特務支援課が使っていた導力車。閃の軌跡でⅦ組が乗っていたカレイジャス、カレイジャスⅡ、メルカバ。どれも使用不能になったことがある

*3 「黎の軌跡Ⅱ」ではとあるクエストで当時の台本を見ることが出来るが、相当ハチャメチャな内容だった

*4 違法スレスレまたは普通に違法な案件や、違法ではないが大事にせず内々で済ませたい案件、緊急性が低いため警察やギルドに頼むと後回しになってしまう案件など事情は様々。

*5 依頼人に危険が及ぶと発覚すればなるべく守れるように配慮したり、依頼人が悪人だった場合は捕縛して警察に引き渡すこともある。

*6 例としてアニエスが依頼料として五万ミラも差し出そうとした時は、彼女が学生であることと依頼者本人を巻き込んでしまったことを理由に一万ミラ程度にまで押さえている。

*7 ヴァンは警察に護身用の特殊警棒と説明した

*8 この裏技の仕組みは明言されていないが撃剣は零式勁術と組み合わせることやスタンスラッシュの説明文からおそらくは“勁”を纏わせているのだと推測できる

*9 使用できる相手には戦闘に入る際、「テイク・ザ・グレンデルが限定解禁されました」というメッセージが表記される

*10 この依頼の最後にヴァンは介錯に近い形とはいえ人の命を奪っている。つまりバイトを続けるということは、アニエスは今後もこういう場面に立ち会ってしまう可能性があるということ。

*11 アニエスは今後も無料で捜索を手伝うというヴァンの条件では申し訳がないという口実でアルバイトを始めたので、全てのゲネシスが揃ったらアルバイトを続けられる口実が無くなってしまう。

*12 作中でエレインとヴァンが話す機会があるが、彼女曰く4年間誰かさんが避けていたらしい。

*13 ルネも「会いに行ったらどうだ?」と言っているが「……いまさらそんなこと」と拒否している。

*14 因みにルネは既に交際相手がおり、エレインに対して恋愛感情は抱いていなかったという。リア充め。

*15 自分もいろいろあったがエレインも実家の事で悩んでいた

*16 要するに幼馴染の二人に先に話せということ

*17 魔王を目にしたベルガルドがこう表現したが、実際は元々七十二体いた悪魔に五柱の魔王が加わり、その一体が「漂泊の魔王」である。

*18 リオン曰く「読むと精神がガリガリ削られるとのこと

*19 「黎の軌跡」時点でこの写本を読まされるスチルがあるのだがぼかされており、続編の「黎の軌跡Ⅱ」にてようやく鮮明なスチルが描かれた

*20 スプリガン手帳にもアニエスのものらしき言葉で記入されている

*21 と言っても朝の10時ごろ

*22 アニエスとエレインのどちらかを選択する。途中で切り替えることも可能

*23 本人曰く「玉砕するつもりはなく、様子見程度だった」とのこと