“龍装”チュリス

登録日:2022/01/10 Mon 20:06:59
更新日:2023/10/17 Tue 18:06:12
所要時間:約 13 分で読めます





“龍装”チュリスに先導され戦場に降り立つ蒼き団長。


果敢に戦うその姿は「神」とも「魔王」とも呼ばれた。
*1

“龍装”(ドルガン)チュリス》は、デュエル・マスターズのクリーチャーである。


まえがき

革命ファイナル。指定クリーチャーの攻撃時に交代で場に出る『革命チェンジ』を持つクリーチャーは環境で大きく結果を残し、
侵略と並んでデュエル・マスターズのスピードを一気に押し上げる存在となった。

中でも《蒼き団長 ドギラゴン剣》は革命チェンジで登場すると場に6コスト以下になるように多色をばらまけることから、
たった1体で3体分の打点を生成できることもあり、このクリーチャーにチェンジできるチェンジ元として、
スピードアタッカーを持つ5コスト以上のドラゴンの価値は上がっていた。
火で赤ければ、効果そのものがしょっぱい《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》でさえ採用率が高まり、
無理やりスピードアタッカーを持たせられる《スクランブル・チェンジ》は《メガ・マナロック・ドラゴン》の脅威を更に押し上げた。

しかしその次のシリーズはデュエル・マスターズ
前シリーズ最終盤でドラゴンが絶滅したため、プレイヤーたちはドギラゴン剣のキーパーツ規制もあり、
スピードでは《ヘブンズ・フォース》採用型バイク
長期戦では《ベイB ジャック》入りソリティアや《時の法皇 ミラダンテXII》《音精 ラフルル》のロックデッキに対抗しにくくなり、
今後バスターデッキの使用率は下がると考えていた。
ドラゴンギルド判明後も、
そこまで高スペックなドラゴンギルドが不在のためプレイヤーたちはあまり騒いでいなかった。

《“龍装”チュリス》登場までは……。

概要

“龍装”チュリス R 火文明 (5)
クリーチャー:ドラゴンギルド/ビートジョッキー 5000
B・A・D2(このクリーチャーを、コストを2少なくして召喚してもよい。そうしたら、このターンの終わりにこのクリーチャーを破壊する)
スピードアタッカー
DMRP-04魔 「デュエル・マスターズ 新4弾 誕ジョー!マスター・ドルスザク!!〜無月の魔凰〜」で登場したドラゴンギルド/ビートジョッキー
《熱血龍 バクアドルガン》の化石を身にまとったネズミであり、そちらに習ってか5コストSAのドラゴンという基本性能はそのまま維持している。

しかしこのクリーチャーの真価は、その5コストSAを3コストで召喚できる点にある。
革命チェンジがない頃であれば、「ゆーて1打点でそのターンの終わりに破壊されるんじゃろ?」となるが、
この時点ではドギラゴン剣が存在しており、それまで机上論では存在したものの要求値の高い「3t目ドギラゴン剣」が、
間の革命チェンジ中継役を必要とせずに素で出せるようになり一気に現実的なものとなった。

言うまでもなく、新章でドラゴンが絶滅したと聞かされ、その後のドラゴンギルドもドラゴンデッキでの実用性が小さかった中で
突如として生み出されたこのクリーチャーはプレイヤーに衝撃を与えた。
公式も想定していないどころかむしろTwitterで関係者各位が『ドギラゴン剣と一緒に使うと強いぞ!』と猛プッシュ。
スクランブル・チェンジ》の前例を目の当たりにしたプレイヤーたちからは当初こそ驚きと困惑が見られ、
「こんなカードを出しても大丈夫か?」と騒がれることになる。

しかし発売されてみると、だんだんDMPたちも冷静になってくる。
発売から2ヶ月経った頃には《裏切りの魔狼月下城》《単騎連射 マグナム》《音精 ラフルル》が纏めて規制されており、
いわゆるコントロール型の【カウンターバスター】はやや下火になると予想されていた。
コントロールならば《真・龍覇 ヘブンズロージア》や《音精 ラフルル》を失ったとはいえ《時の法皇 ミラダンテXII》もいるし、
かといって速度勝負なら【ビートジョッキー】だの【レッドゾーン】だのといったデッキが存在した。
無論ドギラゴン剣がそれしきで死ぬわけではないが、その肝心の強みと言える展開力という部分において、
《“龍装”チュリス》はむしろ動きを阻害すると思われたのである。
【3tドギラゴン剣速攻(成長ドギラゴン剣)】の難点は、あまりに早く出すことに拘るあまり手札がカツカツになること。
かといってマナもいい感じに多色を置けるわけでもなく、悠長に手札補充なんてしていたら
バイクに轢殺されたり相手のロック準備が整ってしまうだろう。
《異端流し オニカマス》などのメタクリーチャーの存在もあり、もともと一強でもなかった【ドギラゴン剣】の優位はさらに崩れてきていた。
そして《“龍装”チュリス》自身はかつての《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》とことなり、
単色であるがゆえにドギラゴン剣とチェンジしたあと、自分を出して追加打点にすることも出来ない。
よってプレイヤーからはだんだん、「ドギラゴン剣はそこまで焦って出さなくてもいいカード」
「そこまでいうほど大暴れしないのではないか、直前の評は過大評価だったのでは?」
「ぶっちゃけいうほど相性いいわけでもない」とこのカードを壊れ扱いする人は減ってきた。
実際有名プレイヤーでも「寄せて専用デッキ組まないといけないが、組むほど強いカードではない」という意見が上がっていたのである。

そして発売直後、『デュエル・マスターズ全国大会2017』が開かれた。
これは直前の規制(2018年3月1日)からわずかばかりの2018年3月11日開催。
トップ4のうち、優勝、準優勝、そして4位入賞は【赤青ドギラゴン剣】であった。
当たり前だがこの3人によって《“龍装”チュリス》は計12枚も使用された。


誰がどう見ても大暴れである。


この状況になった理由は大きく分けて2つ。
1つは、ここで活躍した【赤青ドギラゴン剣】というデッキは、もともと【赤青ブランド】というデッキから着想を得たものである。
“罰怒”ブランド》はコスト軽減であるため、《異端流し オニカマス》に引っかからない。
そこで、《異端流し オニカマス》に引っかからない《プラチナ・ワルスラS》をサブプランとして仕込んである。
これで除去でも引ければドギラゴン剣を出すための除去もできるし、出来なければそのまま打点を確保して殴ればいい。
ミラーマッチやレッドゾーン対面は、自分たちも《異端流し オニカマス》を採用すればいいだけなので、問題なし。
そしてそれ以外の敵は《“龍装”チュリス》からドギラゴン剣に繋げばいい。

そして2つ目の理由。この時点でダメージを受けたのはドギラゴン剣だけではない。
【モルト NEXT】【ロージアミラダンテ】【ジョーカーズ】【赤青ブランド】【青黒ハンデス】【知新ジャスティス】【緑単ループ】【白緑メタリカ】とありとあらゆるデッキがこの時期の規制で主要パーツを失ってしまっていた。
そして【シャコガイル】などのデッキが存在していたものの、
《“龍装”チュリス》→ドギラゴン剣の速度についてこれる者はどこにもいなかった。
加えて《月光魔人オボロカゲロウ》のドロー効果で十分に展開役を引き込めていたため、早すぎて息切れすることが少なかった。
……なお、オボロカゲロウがデッキに入れられるようになったのは、《“龍装”チュリス》のおかげでデッキスロットが空いたため。寄せるどころか《“龍装”チュリス》のおかげで自由度が上昇したのである。

後にドギラゴン剣は《勝利のアパッチ・ウララー》を失い、弱体化する……と見せかけて
《守護炎龍 レヴィヤ・ターン》を新たに迎え入れて暴れまわった末、殿堂入りに。
これまで既にドギラゴン剣に関わったという理由だけで、
メガ・マナロック・ドラゴン》《スクランブル・チェンジ》《単騎連射 マグナム》《音精 ラフルル
《裏切りの魔狼月下城》《次元の霊峰》《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》《プラチナ・ワルスラS》
《勝利のアパッチ・ウララー》と様々なカードがとばっちりで殿堂入りを果たしており*2
《“龍装”チュリス》もドギラゴン剣の身代わりで殿堂入りさせられると見られていたが、
ドギラゴン剣のほうが殿堂入りする結果となった。

残った《“龍装”チュリス》は職場を失う……と思いきや、
《龍の極限 ドギラゴールデン》や《シン・ガイギンガ》《武闘世代 カツキングJr.》といった残った革命チェンジドラゴンと組み、
【赤単革命チェンジ】を構成。
特に《シン・ガイギンガ》は【赤青ドギラゴン剣】の実質的なリペアとしての【赤青シン・ガイギンガ】のキーカードとなり、
《“龍装”チュリス》の活躍は止まらなかった。
更に十王篇では《百鬼の邪王門》の登場で【赤黒ドギラゴン剣】が強化され、再び《“龍装”チュリス》→ドギラゴン剣のペアが環境に。
そしてその後DMBD-15 「レジェンドスーパーデッキ 蒼龍革命」に、ドギラゴン剣のリメイクカード、
《蒼き守護神 ドギラゴン閃》が収録され、同じデッキに《“龍装”チュリス》も無事再録。
そしてその後【赤青ノヴァ】や【ラッカノヴァ】、【赤黒ノヴァ】といったデッキで活躍し、
その後も【5cノヴァ】【シータノヴァ】【リースノヴァ】【ステロイドノヴァ】【成長ノヴァ】【赤白ノヴァ】と
相方のドギラゴン閃が前世の如くデッキタイプを増やしていく中で、その相方として八面六臂の活躍を見せた。
プレイヤー間でも、「ドギラゴン剣はハムスターよりネズミを選んだ」などと話題になる。

更にその後《ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイム》の登場でメタクリーチャーも焼かれてしまい、いよいよ止めるカードがなくなってしまう。
そして結局、ドギラゴン剣と同じことの繰り返しになるのを恐れたか、2022年1月1日付で殿堂入り。
ドラゴンギルド初の殿堂入りと相成った。ビートジョッキーとしては4例目。
ただし他のビートジョッキーの殿堂入りが《“轟轟轟”ブランド》《BAKUOOON・ミッツァイル》《MEGATOON・ドッカンデイヤー》と
ビートジョッキーの強さをより理不尽にしてのそれに対し、
《“龍装”チュリス》はビートジョッキーデッキでは全くと言っていいほど採用されず、
ビートジョッキーであることでB・A・Dを手に入れたドラゴン、という扱いになってしまっている。


関連カード

蒼き団長 ドギラゴン剣 LEG 火/自然文明 (8)
クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍/ハムカツ団 13000
革命チェンジ:火または自然のコスト5以上のドラゴン
T・ブレイカー
自分の多色クリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
ファイナル革命:このクリーチャーが「革命チェンジ」によって出た時、そのターン中に他の「ファイナル革命」をまだ使っていなければ、コストの合計が6以下になるよう、進化ではない多色クリーチャーを好きな数、自分のマナゾーンまたは手札から選び、出す。
公式がプッシュしていた組み合わせであり、デザイナーズコンボ。
ドギラゴン剣が殿堂入りするころには、『《“龍装”チュリス》はこいつに引導を渡しに来たのではないか』とまで言われるように。
しかし一応、手札に戻った《“龍装”チュリス》が単色で追加打点にできないなど欠点もあり、
それが故に発売前~発売直後は過小評価にも寄与することに。

蒼き守護神 ドギラゴン閃 LEG 光/火文明 (8)
クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍/ハムカツ団 13000
革命チェンジ:光または火のコスト5以上のドラゴン
ブロッカー
T・ブレイカー
自分のターンの終わりに、自分の多色クリーチャーをすべてアンタップする。
ファイナル革命:このクリーチャーが「革命チェンジ」によって出た時、そのターン中に他の「ファイナル革命」をまだ使っていなければ、自分の山札の上から4枚を表向きにする。その中から進化ではない多色クリーチャーを、コストの合計が6以下になるように好きな数選び、出す。残りを好きな順序で山札の下に置く。
相棒が蘇った姿。好きに準備できる手札・マナゾーン参照から準備が難しいデッキトップ4枚、
スピードアタッカー付与から警戒付与とかなり調整された形にはなったものの、
《“龍装”チュリス》視点ではぶっちゃけ強化。
《ヘブンズ・フォース》の一発プレミアム殿堂もあり、ドギラゴン閃の《“龍装”チュリス》への傾倒は凄いものであった。

熱血龍 バクアドルガン P(UC) 火文明 (5)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 4000
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それがドラゴンなら、自分の手札に加える。そうでなければ、山札の一番下に置く。
《“龍装”チュリス》の名前の由来。バクアドルガンの化石を身にまとったのが《“龍装”チュリス》である。
やはり5コストSAドラゴンであり、《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》のリペアとして起用されたこともある。
背景ストーリー上で死んでなお化石としてドギラゴン剣と組み続けるというのはある種の運命でもあるように思える。

龍装者 バルチュリス UC 火文明 (5)
クリーチャー:ドラゴンギルド/ビートジョッキー 4000
自分のクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーが自分の手札にあり、その攻撃がこのターン2度目のクリーチャーによる攻撃で、このターン自分の《龍装者 バルチュリス》をバトルゾーンに出していなければ、攻撃の後、このクリーチャーをバトルゾーンに出してもよい。
スピードアタッカー
《バルケリオス・ドラゴン》の化石を身にまとったネズミ。
こいつの登場で、ドギラゴン剣は《“龍装”チュリス》を超える2tキルまで囁かれるようになったが、
《“龍装”チュリス》がそうだったように、バルチュリスも早出しのメリットを捻出出来ず一旦過小評価される。
しかしその後は《“龍装”チュリス》とバルチュリスの8枚体制はドギラゴン剣デッキの基本となる。
ハムカツ団とはなんだったのだろうか……。



“龍装”チュリスに先導されアニヲタWiki(仮)に降り立つ蒼きWiki篭り。果敢に編集するその姿は「追記」とも「修正」とも呼ばれた。

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最終更新:2023年10月17日 18:06

*1 画像出典:Twitter イラストレーターKIYA氏 @kiya_9 2021年12月14日投稿 https://twitter.com/kiya_9/status/1470716443121844231?s=20&t=AyTTo8pUz0g6VOhDQFLz5g ©Wizards of the Coast/Shogakukan/Mitsui-Kids

*2 もっとも、《次元の霊峰》と《勝利のアパッチ・ウララー》、《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》はドギラゴン剣がいなければ殿堂入りにはならなかっただろうが、他のカードは単体性能が既に強すぎるのでドギラゴン剣がいなくても殿堂入りは免れないという意見は強い。イーヴィル・ヒートも、そもそもドギラゴン剣と同弾に封入した時点で公式は狙って出していると考えられ、とばっちりと強く主張できるのは《次元の霊峰》と《勝利のアパッチ・ウララー》くらいである。