JR貨物

登録日:2022/12/26 Mon 12:35:02
更新日:2024/01/03 Wed 20:45:05
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日本貨物鉄道(にっぽんかもつてつどう)(JR貨物)とはJR7社の内貨物輸送を担当している鉄道会社である。本社所在地は東京都渋谷区。
コーポレートカラーはコンテナブルー


会社概要

1987年4月1日の国鉄分割民営化と共に設立。
JR旅客会社(JR北海道JR東日本JR東海JR西日本JR四国JR九州)はそれぞれ日本の一部地域のみを管轄としているが、JR貨物は「日本貨物鉄道」の名の通り貨物輸送関連なら日本全国を担当している。
しかし経営基盤が弱いためJR北海道・JR四国と同じく鉄道建設・運輸施設整備支援機構の支援を受けている。

主な事業内容は鉄道による貨物輸送。運ぶ物は人間以外ならほぼ何でも。例えば食料品や衣類、石油、果ては鉄道車両など。
他にも鉄道用地跡を再開発した場所を中心とする不動産事業も行っている。

発足当初の貨物輸送は高速道路や空港の整備や国鉄時代のスト権ストによる信頼失墜により利用が減少傾向となり、長らく赤字続きだったが近年は環境への負荷の少なさやトラックドライバーの不足といった点から鉄道貨物が見直され、2016年に黒字となり以降も順当に収益を伸ばしつつある。また、不動産部門が収益を上げており、副業がメインになりかけている点はJR九州に近い。

鉄道事業者ではあるが路線はほとんど保有しておらず、基本的には第二種鉄道事業者として他のJR・第三セクター事業者に線路使用料を支払って列車を運行している。
中には第一種鉄道事業者として保有する路線(JR貨物直属の路線)も存在するが数はかなり少なく、また貨物線であるため原則として旅客列車は運行されていない。どれぐらい少ないかというとJR貨物が第一種鉄道事業者路線として保有する日本全国の路線全てを足しても計10路線、距離にして計35.3kmにしかならないというレベル

国鉄民営化の時点で貨物部門の経営基盤が弱いことが分かっていたため、民営化の際には「アボイダブルコストルール」というものが制定された。これは線路を借りる際JR貨物が線路使用料として他社に支払う金額は貨物列車が走ったことによる損失分(線路の磨耗など)のみで、それ以外の理由でJR貨物の負担は発生しないというもの。JR貨物が線路使用料を支払ってもその収入は結局線路の補修費用に消えるため、貨物列車が走っても旅客会社にとっての利益はプラスマイナス0である。
この制度が存在しなければ間違い無くJR貨物はグループ全体で赤字になっているため、日本の物流が成り立つためには非常に重要な制度なのである。これは元々赤字のJR北海道であっても例外ではない
しかし、問題は新幹線開業に伴い第三セクター化した路線の会社で、経営が厳しめな第三セクター会社にとってJR貨物からの線路使用料は貴重な収益源なのだが、この制度があれば第三セクターがやっていけないし、無ければJR貨物がやっていけないという問題が生じる。
そこでアボイダブルコストルールにより支払いが免れる分をJR旅客会社が新幹線による利益を充てる形で解決している。

また、貨物向け路線として全国各地に存在する臨海鉄道はJR貨物に加え、沿線の自治体と利用する企業等と共同出資しており関連会社として機能している。
JR貨物が保有する株は国鉄から引き継いだ物。国鉄が所有していなかったのは、国鉄の路線扱いで整備すると法律絡みで面倒だったからである*1

鉄道貨物の特徴

貨物輸送の手段というと鉄道の他には自動車・船舶・航空と様々な手段がある。では、その中で鉄道貨物にはそもそもどのようなメリットがあるのかを紹介する。

  • 1.1人で沢山運べる
貨物列車は最大26両まで貨車を繋げることが出来る。貨車1両につき12フィートコンテナ(最小サイズのコンテナで5トンまで積める)を5個載せられるので、1本の列車で運べるコンテナの数は5個×26両分で130個となる。では、これだけの荷物をトラックで運ぼうとしたらどうなるか。10トントラック65台が必要になるのだ。しかも、トラックは性質上1台につき1人ドライバーが必要となる。それに対し貨物列車の場合たった1人の運転手でこれだけの荷物を運べるのだ。これは単に効率がいいだけではなく近年問題となっているトラックドライバーの不足にも対応出来るものである。

  • 2.時間通りに運べる
海外からの日本の鉄道への評価点といえば、真っ先に時間の正確性が挙げられるだろう。それは貨物列車でも同じで、列車は決められた速度とダイヤで定刻通り運行される。渋滞なんてものとは無縁である。しかも、重大な事故が発生するリスクも非常に低い。
それでも遅れる時は他の列車のトラブルに巻き込まれて遅れるが…。特に様々な路線を経由する以上遅れに巻き込まれるリスクもそれなりに高まる。

  • 3.環境に優しい
機関車でも自動車でも船でも大きな機械を動かせば、地球温暖化の一因となる二酸化炭素が放出される(電気動力の場合は発電の過程で)。
しかし、鉄道の場合輸送単位当たりの二酸化炭素排出量*2船舶と比較して約半分、自動車と比較した場合10分の1となり、環境への負荷は非常に小さいのだ。
企業が環境に優しい物流に取り組んでいることを示す活動として「エコレールマーク」というものがあり、輸送ルートの内鉄道貨物での輸送が一定割合以上の商品はエコレールマークが付く。これで企業は環境への配慮がアピール出来、消費者はこれが付いた商品を積極的に購入することで環境に配慮した消費者となれる。特に見付けやすいのは、アルフォートやプチといったブルボンのお菓子。スーパーに行ったら確認してみよう。

このようなメリットから鉄道への輸送切り替え(モーダルシフト)を推進している。
ちなみに日本国外だと旅客より貨物の方が収益が大きい国もある。例としては国土が巨大な米国が挙げられる。
米国において貨物事業は民間で行われていることが多いが、全国規模での旅客は民間で維持するのが難しいため米国政府が出資する全米鉄道旅客公社(通称アムトラック)がそれを担っている。
旅客列車も各鉄道会社の線路を借りて運行する形を取っており、日本とは逆の状況となっている。

一方、デメリットもある。

  • 1.鉄道沿線にしか運べない
当然列車は線路が無ければ走れない。よって鉄道貨物が機能するのは鉄道沿線のみであり、鉄道が無い地方、鉄道があっても貨物列車の運行されていない地域へは運べない。

  • 2.小回りがきかない
理由としては半分1と被るが、人が駅からでないと列車に乗れないのと同じで貨物だって線路があっても駅が無ければ積み降ろし出来ない。
そして、荷物を運び始める場所と目的地は必ず駅と近いとは限らない。しかも、貨物駅は旅客駅と比べて数も限られている。そこで結局駅までと駅からの輸送にはトラックに頼らざるを得ず、積み替えの必要も出てくる。

このように鉄道輸送はメリットもデメリットもある。そこで他の輸送手段と協力し、それぞれのメリットとデメリットを互いに補完し合ううことでより効率的な物流が可能となるのだ。
鉄道貨物は中~長距離の大量輸送に強く、自動車貨物は短距離の輸送に強いのだ。

鉄道貨物の利用者と恩恵

旅客鉄道とは異なり、企業の物流担当者でも無い限りJR貨物を日常的に利用している人なんていないだろう。駅で貨物列車を見かけることはあれど、馴染みの無い存在と思っている人も多いはず。
しかし、誰しも実は知らず知らずの内にJR貨物の恩恵を受けているのだ
例えば夕食のためカレーの材料を買いに行ったとする。スーパーに着いてジャガイモやタマネギを購入する。国産のものを選びたいからと北海道産の野菜を選んだ。そこで、そもそもこの野菜はどうやって北海道から都市部まで運ばれて来たかということを考える。答えは貨物列車だ。
貨物列車は長距離の大量輸送に強いと述べたが、野菜は性質上「生産地と大消費地(要するに都市部)は離れている」「都市部ではとにかく大量に消費される」「生鮮食品である以上出来るだけ早く運びたい」という特徴があるが、これに最適なのが鉄道輸送である。船なら沢山運べるがそれなりに時間はかかってしまい(更に内陸部の生産地から港まで運ぶ方法や時間も考慮する必要がある)、トラックなら一度に運べる量が少なく都市部での大量の需要は満たせない。そもそも北海道から本州へ行くには津軽海峡を渡る必要があり結局船に頼る必要がある。
しかし、貨物列車の場合1回の運行でトラック65台分も運べ、津軽海峡も青函トンネルを通ってすぐに渡ることが出来る。時間も長くて2日程度で着ける。

これはあくまで一例だが、他にも貨物列車で運ばれるものは沢山ある。ガソリンが届くのも宅配が届くのも、実は貨物列車のおかげということもある。
尚、北海道において野菜の収穫シーズンになれば列車の積み荷が全部1種類の野菜なんてこともある。見た目では分からないが、編成いっぱいにタマネギを満載した列車が毎年運行されている。

これらのケースでも鉄道輸送を依頼しているのは、あくまで小売店より先の企業。鉄道輸送を企業が大々的に利用することはあっても個人で直接的に利用することは出来ないんじゃ……と思うかもしれないが、実はコンテナ1個単位で、単発での利用が可能
運ぶ物と代金さえあれば、企業としての利用は勿論個人が私用で使ってもOK。ニーズによっては日本石油輸送などの運送会社が仲介することもある。
鉄道貨物は性質上目的地が遠い程コスパが良くなるため、距離次第ではトラックオンリーよりも安くなる。
一番分かりやすいのは引っ越し。コンテナは最小サイズでも軽自動車ぐらいなら余裕で収まる、庭に置く倉庫より一回り大きいサイズなので、単身者や人数の少ない小規模な家族なら家具や衣類などを全て運ぶとしても、コンテナ1個で足りるだろう。他にも宅配便では扱えないような大型・大量の荷物にも有効。
コンテナの中身はトラックの荷台と同じで固定器具があるだけのシンプルな空間で、収まりさえすれば基本何でも運べる。
別に駅まで荷物を運ぶ必要は無く、コンテナをトラックに載せて家まで来てくれる。目的地でも同様。
更に発駅と着駅でコンテナをそれぞれ最大5日*3ずつ、計10日分無料で預かってくれるサービスもある。これを利用すれば余裕を持って準備が出来るし指定した日に確実に届く。
また、コンテナは目的地に着くまできっちり封印され、誰にも開けられることはないため安全性も高い。
しかし、これらを生かせるのはかなり長距離の移動であり、あまり近すぎるとトラックで輸送した方が安くて早いこともあるので注意。目安としては500km程度(東京~大阪間)以上なら鉄道貨物の検討が視野に入る。
長距離の引っ越しを予定している方は候補に入れてみてはどうだろうか。場合によっては万単位での節約が可能。

コンテナにはただの倉庫のようなシンプルなものだけでなく、大型トラックの荷台のようなサイズのものや冷蔵・冷凍が可能なものなど様々なサイズや機能を持ったタイプも存在するため、積み荷の特徴に合ったものを選ぶことが出来る。

運行形態

そもそも貨物列車は線路があればどこでも走れる訳ではない。貨物列車に使われる機関車というものは、1両だけで大量の貨車を牽引するためのパワーを出さなければならないので、鉄道車両の中でも特に重量がある。
元々機関車の走行を想定して作られた路線ならいいが、そうでない路線に機関車を通してしまうと線路が耐えられない。また、貨物列車は急な勾配にも弱い。そのため貨物列車が走れる路線はある程度決まっているのだ。

貨物列車だって列車の一種である以上、運行のシステム自体は旅客列車と根本は似通っている。運ぶものが人から物に置き換わっただけである。
依頼者(企業や個人)は「荷主」と呼ばれ、荷主がJR貨物に輸送を依頼し、JR貨物との見積りで最適な輸送方法を検討する。そして荷主が代金を支払うことでJR貨物は指定された駅から駅まで物を運ぶ。また、発送地~発駅・着駅~目的地まではトラックで輸送する。(コンテナ輸送の場合)
以上が主な流れ。システム自体は我々が普段利用する宅配や郵便に代金がかかるのと理屈は同じ。

駅に掲出されている訳ではないが、貨物列車にもダイヤもきちんと決められており、旅客列車の合間に決められた時間に走っている。寝台列車が下火になった現在だが、物流にそんなことは関係無い、むしろやらないといけないので夜にもガンガン走っている。
貨物列車用の時刻表は市販されており、買えば自由に閲覧可能。一応荷主向けということだが、実態はほぼ鉄道ファンの撮影ガイドブック。

列車は基本的にJR貨物が保有する車両や乗務員で運行されるが、過去には旅客会社の機関車や乗務員により運行される列車も存在した。旅客会社の車両による運行については、ブルートレインなど定期の客車列車が多く存在した時期にはそれなりに見られたが、機関車牽引による旅客列車が下火になり旅客会社が保有する機関車が減少したことから消滅した。旅客会社への運行委託については、乗務員の派遣が効率的でない地域を周辺に行われていたものの、徐々に解消され末期は予讃線伊予西条~松山貨物間でのみ行われていたが、2022年3月18日のダイヤ改正で廃止された。
逆にJR貨物の機関車や乗務員が旅客列車の運行を行うこともあった。

次に車両だが、基本的には車両やコンテナはJRが貸してくれるのでレンタル料と送料を支払えばいい。
しかし、物を運ぶこと自体が仕事の運送会社や、常に大量の原料が必要だったり出来上がった製品を輸送したりする必要がある製造業などは、一々借りるよりも自社でコンテナや車両を発注して自社の財産として保有した方が効率がいいため、企業によってはそれらを自前で保有している。勿論列車の運行自体はJR貨物が行う。
JR貨物以外が保有するものは貨車なら「私有貨車」、コンテナなら「私有コンテナ」と呼ばれる。更に私有貨車/コンテナであれば機能や構造、サイズなど自社のニーズや貨物の特徴に合わせた車両の発注が可能。冷蔵機能を持たせる、石油や化学薬品など普通の貨車/コンテナでは運べない物専用の構造にするといったことも可能。また、最低限車両やコンテナの管理に必要な表記さえ入ればデザインも結構自由なため、自社のロゴやキャッチフレーズを入れて軽い宣伝も可能。

貨車に直接貨物を積み込む形なら「車扱(しゃあつかい)輸送」、コンテナによる輸送なら「コンテナ輸送」と呼ばれる。
中でも巨大な貨物を輸送する車扱貨物は「特大貨物」と呼ばれる。これは大物車による輸送と甲種輸送が該当する。大物車は後述し、甲種輸送については項目参照。

貨物駅の中にはオフレールステーション(ORS)・新営業所という列車が発着しない駅がある。駅とは言うが、早い話はコンテナの集配基地である。ORSへ持ち込まれたコンテナ貨物は最寄りの列車が発着する駅までトラックで運ばれ、そこで列車へ積み替えられる。

車両

主な車両は勿論機関車と貨車。
動力は先頭の機関車に集約され、貨車には一切動力は無い。これは「動力集中方式」と呼ばれ、編成全体に満遍なく動力が存在する旅客列車で主に使われる「動力分散方式」と対になるものである。
貨物列車に採用される理由は、主に「重い物の牽引に向いている」、「1つの車両に沢山載せられる」、「貨物列車は様々な路線を経由する必要があり、機関車を変えるだけで電化方式が異なる路線や非電化路線にも対応出来る」、「編成の自由度が高い」などという点が挙げられる。
また、機関車は本線上で列車を牽引するだけでなく、駅構内で編成の組み換えたり貨車を別の線路に移動させたりする「入換」という運用も存在する。中には本線上での牽引よりも入換を重視した形式や、そもそも本線上での運用を想定しない入換専用の形式も存在する。

一部形式・列車では2機以上の機関車を連結し牽引する「重連運転」というものが行われる。
複数の機関車で牽引するためそれだけ牽引のパワーが強くなり、より重いものを牽引したり急勾配区間に対応したり出来るようになる。しかし、機関車が増えるとそれだけ線路使用料も増加するため、最近では動軸を増やし単機で重連相当のパワーが出せる形式への置き換えが進んでいる。
基本的に重連運転は、先頭の機関車と後ろの機関車が無線等で連絡を取り合いながら息を合わせて行われるが、その分運転にはテクニックを要する。そこで、重連運転を行う前提に開発された一部形式はジャンパ栓というケーブルで機関車同士を電気的に接続し、先頭の機関車から後ろの機関車も同時に操作する「重連総括制御」が可能となっている。重連総括制御なら自動で後ろの機関車の動きもリンクするため操作性は単機とほぼ同じとなり、運転の難易度も下がる。
但し、重連総括制御が出来ない形式や機関車の間に貨車を挟む編成では重連総括制御は使用出来ない。
前述した動軸を増やした機関車の台頭に伴い貨物所属で重連運転を行う形式は現役ではEF64のみとなっており、またDF200などは重連総括制御が出来ないが重連運用が一部存在する。

一部の機関車およびコンテナでは、90年代後半から正式ロゴとは異なる「JRF」のロゴを使用していたが、
2017年よりロゴの削除が開始されている。また、これに合わせてコンテナはワインレッドのカラーリングに変更されるようになった。

なお、同社の車両動向は2010年を最後に鉄道雑誌への掲載がなくなり、新車の導入や廃車といった具体的な内容を知ることが非常に難しくなった。車両動向については現在、公式に発表される事業計画や貨物時刻表を参考にするしかない。

形式区分

機関車は「EF210」「DD51」といったアルファベットと数字で形式が書かれているが、アルファベットと数字の意味は次の通り。
  • 1文字目のアルファベット
動力方式を示す。架線から電気を取って走るなら電気機関車、ディーゼルエンジンで走るならディーゼル機関車、バッテリーとディーゼルエンジンで走るならハイブリッド機関車。
E 電気機関車(Electric)
D ディーゼル機関車(Diesel)
H ハイブリッド機関車(Hybrid)
(アルファベット無し) 蒸気機関車(JR貨物には在籍せず)

  • 2文字目のアルファベット
動力と直結した車輪である動軸数を示す。動力と直結しておらず直接回転しない車輪の数はノーカウント。
B 2軸
C 3軸(JR貨物には在籍せず)
D 4軸
E 5軸
F 6軸
H 8軸(7軸のGは過去にも存在しない)

  • 数字
機関車の具体的な種類を示す。電気機関車かディーゼル機関車か、国鉄時代の形式かJR発足後の形式かで法則が異なる。

区分は次の通り。国鉄民営化時点で消滅していた・現在までそもそも使用されたことが無い区分は省略。

国鉄時代の電気機関車
50~69 直流用(最高速度85km/h以下)
70~79 交流用(最高速度85km/h超)
80~89 交直流用(最高速度85km/h超)
90~99 試作機

JR発足後の電気機関車
200~290 直流用(交流電動機)
500~590 交直流用(交流電動機)
800~890 交流用(交流電動機)

国鉄時代のディーゼル機関車
10~49 最高速度85km/h以下
50~89 最高速度85km/h超
90~99 試作機

JR発足後のディーゼル機関車
200~290 電気式*4(交流電動機)
500~790 液体式

ハイブリッド機関車
300~390 シリーズ方式/同期電動機

形式名の後に更に数字が付く*5が、これは番台とその番台で何番目に製造されたかを示す。番台による違いは製造時期や投入路線に合わせた仕様変更(寒冷地向けの耐寒性強化や都市部向けの防音性強化など)などで、性能は微妙に異なるが根本的な仕様は同じなマイナーチェンジと考えて構わない。
900番台のみ一律で試作機に割り当てられている。
これらを踏まえると、「EF210-334」は「JR発足後に開発された動軸数6の直流用電気機関車であるEF210形300番台として34番目に製造された機関車」ということになる。

以下、現行の車両と過去の車両を紹介する。☆マークのあるものは国鉄から継承した形式。貨車については形式が多すぎるため、大まかな分類のみ記載。

現行車両

直流電気機関車

  • ☆EF64
勾配路線用の形式。
0番台と側面が特徴的な1000番台の2種類が存在し、現在運用されているのは後者のみ。
全機愛知機関区に配属され、中央西線伯備線などで運用中。

  • ☆EF65
こちらは平地向け形式。
ブルートレインから貨物まで何でもこなせる電気機関車のスタンダード。
最近は数を減らしているが、北は宇都宮線高崎線、南は高松までの太平洋側で幅広く活躍中。

  • ☆EF66
東海道本線・山陽本線の貨物列車の高速化のために開発された形式。
製造当初は試作形式として開発されたためEF90という形式名で、量産化にあたりEF66と改められた。
0番台は電気機関車としては珍しいシャープなフォルムから鉄道ファンからの人気は非常に高く、今では考えにくいことだが当時のファンは誰もがブルートレインを牽引させてみたいと夢見ていたのだ。
そしてその夢は1985年3月のダイヤ改正で実現することとなる。
0番台最後の現役機であった27号機は原型にも近く非常に注目されていたが、2022年3月に定期運用を離脱。その後も希に運用に入ることも。
JR発足後には外見をリファインさせた100番台が登場。現在稼働している大半はこれで、その見た目から鉄道ファンから「サメ」と呼ばれている。
0番台は1969年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

  • EF210
EF65・EF66の後継機として開発され1996年に試作機が登場。1997年より運用開始。
現在の貨物列車が運用される直流区間は大体これが走っている。
JR貨物としては初めて車両愛称が設定され、岡山機関区に配置されたことから「ECO-POWER 桃太郎」の愛称を持つ。
側面には当初はロゴのみ描かれていたが、2020年より新規に桃太郎とお供のイラストが描かれるようになった。
2013年より導入された300番台はEF67の後継機としての機能を持ち、山陽本線八本松~瀬野間の勾配区間(通称:瀬野八)用の補機としても運用可能。従来機と異なりブルー1色の車体に黄色い帯が入っているのが特徴。
なお、従来機の100番台も検査時に300番台に似せたカラーリング(帯は白)への変更が開始されている。

  • EH200
2002年より運用開始。
EF64の後継機として開発された形式。「ECO-POWERブルーサンダー」の愛称を持つ。
Hの名の通り8つの駆動軸を持ち、その大きな見た目通りのハイパワー機で、EF64の問題点であった重連運転を解消し、単機で重連分のパワーを出すことが可能。
後述のH級機関車2種もそうだが、車体は長すぎるので中央で分割している。そのため見た目は片運転台の機関車2機が背中合わせで重連しているように見えるがこれでも2つの車体で1機扱い。
長らく東日本地区でのみ運用されていたが、2022年より中央西線~東海道本線稲沢駅まで運用範囲が拡大された。

交直流電気機関車

  • ☆EF81
関西~青森を結ぶ日本海縦貫線直通用として、三電源に対応できる機関車として開発された。
当初は北陸地区のみで使用されたが、国鉄末期から運用範囲が拡がり、ブルートレインから小規模貨物まで仕事を選ばない。

JR発足後は東日本・西日本・九州・貨物に配置され、このうち貨物は追加で新製を行った。
現在は九州地区でのみ使用されており、関門海峡用で塩害対策のために無塗装ステンレス製となった300番台とJR貨物が新造した500・450番台が運用中。

  • EF510
EF81の後継機として開発され、2004年より運用開始。「ECO-POWERレッドサンダー」の愛称を持つ。
EF210の基本設計を踏襲しているため本来試作機に充てられる900番台は存在せず、本形式は1号機が実質試作機扱いで、「先行量産機」と呼ばれており、レッドサンダーのロゴが存在しないのが識別点。
500番台は元々JR東日本が寝台特急『北斗星』『カシオペア』のEF81置き換え用に導入したもので、北斗星牽引機は24系客車に似た青色塗装、カシオペア牽引機は銀色塗装*6で、それぞれ流れ星マークが描かれた(マークは貨物導入時に消去)。
寝台特急の廃止後、わずか7年あまりでJR貨物に払い下げられることになったが、これは元々JR貨物に売却する前提で導入されたため。
JR貨物は融資を受けている関係上EF81を置き換えたくても自由に機関車が製造出来無かった。そこでJR東日本が発注し、数年使った上で「中古車」として安く売ることになったからである。
EF81の後継機なので主に日本海縦貫線で運用されるが、2015年からは中京地区や中国地区まで運用範囲が拡大された。一方、関東地区では寝台列車の廃止後に運用が無くなったため、イベント時を除いて見ることが出来なくなってしまった。
2021年からは九州地区用の300番台が登場し、2023年より本格的に導入される予定。こちらも九州地区で運用されているステンレス機関車を彷彿させる銀色塗装となっている。

  • EH500
2000年より運用開始。
東北地区のED75の後継機として開発され、桃太郎の対になる存在として「ECO-POWER金太郎」の愛称を持つ。
国鉄時代に製造されたEH10以来となるH級機関車。
首都圏~函館の貨物列車は電化方式の違いから途中で何度か機関車の付け替えを行う必要があり、その手間を省くため全区間を単独で走破出来るようにするために開発された。
901号機、1次形~3次形の4段階のマイナーチェンジを重ねており、それぞれ塗装やライトの位置が異なるので簡単に見分けることができるが、大半は最終形となる3次形である。
製造当初は首都圏~北海道のみの運用だったが、2007年より一部が九州地区に転属し関門海峡での運用を開始。後に福岡方面へも運用範囲が拡大した。
2016年からは北海道新幹線の開業に伴い海峡線・青函トンネルを経由しての運用はEH800に譲り、北の運用範囲は青森までに縮小された。その代わり運用に余裕が出来たため、秋田貨物駅や相模貨物駅への乗り入れ運用が新たに設定された。
この他、緊急時の試験として東海エリアや日本海縦貫線にも入線実績がある。
このように運用範囲を見て「あれ?」と思った方もいるだろう。その通り、本形式は金太郎伝説で知られる足柄地区とは一切縁が無い

交流電気機関車

  • ☆ED76
九州島内用の電気機関車の決定版として、東北地区向けに使用されていたED75をベースに開発された。
0・1000番台はそれまでの九州の電気機関車と同じく非貫通であるが、北海道向けに開発され貫通扉を設置した500番台が存在する。
JR貨物には0・1000番台が引き継がれ、発足初期には青いツートンの試験塗装車も存在した。
今後はEF510に置き換えられる予定。

  • EH800
2014年より運用開始。
JR貨物初の新形式交流電気機関車で、北海道新幹線開業に伴う青函トンネルの昇圧に対応するために開発された。
従来青函トンネル内の架線電圧は20000Vだったが、新幹線は25000Vの電圧が必要なため青函トンネルもそれに合わせ25000Vに昇圧された。これでは従来の在来線車両が走行出来なくなるため、新幹線との共用区間でも牽引出来る複電圧仕様となった。
導入経緯の関係上、本形式は鉄道建設・運輸施設整備機構の補助を受けて開発されている。
運用範囲は五稜郭~東青森間で、EF210形以降の新形式電気機関車としては唯一愛称が存在しない。
また、過去には京都鉄道博物館での出張展示が行われたこともある。

直流電車

  • M250系
2004年より運用開始。
モーダルシフト推進のため開発された日本の鉄道史上初となる動力分散方式の貨物用形式。「スーパーレールカーゴ」の愛称を持つ。
動力分散方式であるため機関車ではなく、「電車」に分類されている。但し、動力は編成の両端に集約されており、動力車は先頭車と2両目のみで後は全て付随車(無動力の中間車)である。
貨物の積載はコンテナで行い、前側2両は運転席と機関室以外がコンテナの積載のため凹型にくり抜かれたような独特な外見をしている。
貨物用車両だが、動力分散方式の電車ということもあり130km/hという特急列車並のスピードで運用されており、列車は全て佐川急便による貸切列車となっている。
そのため、先頭部には佐川急便社名が入ったヘッドマークが付いている。
2005年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

液体式ディーゼル機関車

  • ☆DE10
蒸気機関車置き換えのために開発され、旅客列車に貨物列車、入換と何でもござれな形式。
汎用性の高さから全国鉄車両の中で唯一国鉄からJR7社全てに継承された形式でもあり、各地の臨海鉄道にも同形式および国鉄・JRからの払い下げ車両が導入された。
JR貨物では東北から九州まで幅広く配置され、主に構内入換に使用されるが本線上で列車を牽引する運用も一定数存在する。
老朽化によりHD300およびDD200による置き換えが進められている。

  • ☆DE11
DE10とほぼ同仕様だが、こちらは入換用形式。
一部車両は都市部での防音対策として台車部分に変態カバー覆いが付いているのが特徴。
別形式と言ってもマイナーチェンジ同然なので見た目はDE10とほぼ同じだが、DE10と比べるとかなり影が薄い。
入換用だが甲種輸送や米軍の燃料輸送列車といった本線上の運用も存在した。2022年に本線上での運用はほぼ消滅し、現在は相模地区で入換用としてひっそり活躍中。しかし、それ以降も稀に代走として甲種輸送などを牽引することがある。

  • DB500
2017年より運用開始。
HD300ではオーバースペックな小規模な駅での入換用に開発された形式。JR発足後の車両としては初のB級機関車。
見た目は完全に構内入換専用のスイッチャーだが、ただの機械扱いのスイッチャーとは異なりDB500の形式名が示す通りれっきとした鉄道車両扱い。そのため理論上駅を出て自力で本線上での走行も可能。
今のところは下関駅・西大分駅・延岡駅でしか見られないちょっとレアな車両。

電気式ディーゼル機関車

  • DF200
1993年より運用開始。
老朽化や力不足が目立ってきたDD51の後継機として開発された形式。「ECO-POWERレッドベア」の愛称を持つ。
JR発足後初となるディーゼル機関車の新形式。
F級の大きな車体が示す通りパワーが強く、DD51では重連運転が必要な運用も単機でこなせる(それでも一部DF200の重連運用が存在する)。

当初は北海道にのみ配置されていたが、2016年より100番台の一部を関西本線のDD51置き換え用として都市部向けに防音対策を強化した200番台に改造し、愛知機関区に転属させた。
重量の関係上、当初は末広橋梁*7を通る四日市港線での運用はしばらく無かったが、試運転の上2019年より運用を開始した。
201号機は2023年1月23日より関西本線沿線地域をあしらったラッピング車両となり、一般公募により「Ai-Me(アイミー)」の愛称がついた。ネーミングは「愛知・三重」から。
試作車の901号機は機器の仕様が異なり、乗務には専用の講習が必要となるため現在は専ら函館貨物駅構内の入換用となっている。
2013年よりJR九州にもクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の牽引機として7000番台が導入された。基本設計は同じだが、アルファロメオを思わせるフロントマスクなど、客車に合わせた独自のデザインとなっている。
1994年鉄道友の会ローレル賞受賞。

  • DD200
2017年より運用開始。
本線で使用されるDE10・DE11の置き換え用として開発された。
性能的にはEF210とDF200の応用で、それぞれと機器を共通化することでコスト削減を図っている。
DE10・DE11と同じ前後非対称のボンネット形だが、やたらと角張った外見が特徴。
見た目は先に登場したHD300そっくりだが、連結器周りの塗り分けが異なる。
JR貨物所属機は日本各地の貨物駅で入換を行い、一部本線上での列車の牽引運用も存在する。
2021年よりJR九州および京葉臨海鉄道・水島臨海鉄道といった他社にも同形式の導入が開始された。

ハイブリッド機関車

  • HD300
2011年より運用開始。
入換運用に使用されるDE10・DE11の後継機として開発された。
史上初の蓄電池とディーゼルエンジンの両方を持つハイブリッド機関車で、本形式より初めて「H」の分類記号が設定された。
電気式ディーゼル機関車としての機能に加えリチウムイオンバッテリーを搭載し、回生ブレーキによって減速時にロスするはずのエネルギーを回収し、バッテリーに充電することが可能。
頻繁に発進と停止を繰り返す入換用機関車にハイブリッド式はピッタリで、待機時間も含めた1日の運用でDE10と比較すると消費エネルギー・騒音・排ガスが軽減された。
構内入換専用形式のため、連結器回りがトラ柄になっているのも特徴。
…しかし、製造費が非常に高額で現状は東京貨物ターミナル駅や吹田貨物ターミナル駅など、入換の頻度が多い駅への投入が優先されている。
2012年鉄道友の会ローレル賞受賞。

貨車・その他

貨車の形式名は「コキ104」「ワム80000」のようにカタカナと数字で形式が書かれているが、カタカナの意味は以下の通り。数字にはこれといって法則性は無いが国鉄時代の形式番号はやたらインフレしている。

  • 1文字目のカタカナ
貨車の用途を示す。詳しい意味は後述。基本的には貨車の構造や貨物の種類の頭文字から取られる*8*9

  • 2文字目のカタカナ
積載重量(貨車の自重+貨物を最大まで積載した際の重量)を示す。車掌車など貨物の積載を目的としない貨車(事業用貨車)には付かない。
記号 積載重量
(無し) 13t以下
14~16t
17~19t
20~24t
25t以上
全て並べると「ムラサキ」になるが、これは偶然ではなく語呂がいいからこうなっているのである。

  • 緩急車
車掌が乗務し、ブレーキを掛けられる車両であることを示す。但し現在の貨車には存在しない。
緩急車には積載重量記号の後に「フ」の記号が付く(例:コキフ50000)。

営業用貨車
  • コンテナ
コンテナ車に積載され、トップリフターという作業車で駅に置いたりトラックと載せ替えたり出来る。コンテナが登場するより前に活躍していた有蓋車など車扱用貨車はトラックと載せ替えるには中身を直接運んで移し替える必要があったが、コンテナの場合中身を出さずとも容器ごと移し替えることが出来るため非常に効率がよい。そのためコンテナは車扱貨物の殆どを置き換えることになった。
色は国鉄時代の黄緑6号に白帯→青22号(コンテナブルー)→コンテナレッドと変遷しており、現在貨物が保有するコンテナの色は原則コンテナレッド。
形式は「30D」「UR19A」など数字とアルファベットで示される。
先頭にUがあれば私有コンテナ、数字の前にアルファベットがあれば用途や構造が特殊なコンテナ(用途や構造によってアルファベットは異なり、アルファベットが無いものはシンプルな倉庫のような有蓋コンテナ)、数字はコンテナの容量(無蓋コンテナのみ床面積)、最後のアルファベットはコンテナ固定器具の種類を示す。国際的に運用される海上コンテナは国際規格の形式名が使用されている。

  • コンテナ車
用途記号:コ(ンテナから)
コンテナを積載するための車両。
現在は12フィートコンテナを5個積めるサイズが一般的。
陸上自衛隊訓練学校にも輸送訓練の教材として廃車になったコンテナ車が置かれているとか。

  • タンク車
用途記号:タ(ンクから)
石油や薬品などの液体やセメントなど粉末状の貨物を運ぶための車両。
液体を詰めればブレーキを掛けた際に中身の液体が揺れて車体の振動し、事故の恐れがあるため内部にはそれを防ぐために「防波板」というものが取り付けられている。
ガソリン用タンク車であるタキ43000の内ステンレス製のもの(タキ143645)は1両しか存在しない激レア車両。銀色の車体がよく目立つので、関東地区で石油列車を見かけたら探してみよう。

  • 長物車
用途記号:チ(ンバー(「材木」を意味する英語)から)
長い平台車。
長物車は本来色々積めるが、現在はほぼレール輸送用区分と化している。レール輸送用車両はレールを固定するためのラックが付いている。
それ以外にも自衛隊の資材輸送にも使われる汎用タイプも存在。ズラッと積まれた装甲車は圧巻。

  • 大物車
用途記号:シ(ュウリョウ(大物車の旧称の「重量運搬車」)から)
その名の通り大型の貨物を運ぶための車両。
主に変圧器の輸送に使われる。勿論貨車自体も巨大。
大物車内で更に分類が存在し、長物車の強化版と言える「底床式(A梁)」・空の時は一体化しているが貨物を積載する際には車体を前後に分割し、その間に貨物を挟み込むように吊るす「吊り掛け式(B梁)」・貨物を梁で囲い、梁の間に引っ掛ける「落とし込み式(C梁)」・台車部分が折れ曲がるようになった平台車の「分割底床式(D梁)」に分けられる。
積み荷は大きいだけでなくあまりにも重すぎて車輪が4つ程度だと線路にかかる負荷が大きく、1箇所にかかる負荷を分散させるため12以上もの車軸を持つのも特徴。そのため走行時には凄まじいジョイント音*10が発生する。
見かける機会が少ないためイメージしにくいかもしれないが、アニヲタ的にはヤシマ作戦で変圧器を運んでいた車両といえば通じるだろうか。作中に登場した車両はシキ880という形式名で、架空の車両。吊り掛け式である。

  • ホッパ車
用途記号:ホ(ッパから)
鉱石やセメントなど粒・粉状の貨物を運ぶための車両。
車体の底が開く構造になっており、貨物の積み込みは上部から行い、中身を取り出す際には専用のピットの上で車体底部を開きピットに落とす。
派生で石炭専用区分の「石炭車(用途記号:セ)」も存在した。基本的な特徴はホッパ車と同じ。1998年に全廃された。

  • 車掌車(事業用貨車)
用途記号:ヨ(シャシウから)
蒸気機関車が主流だった頃は貨物列車にも原則車掌が乗務することになっており、車掌は車両の点検や事故時の列車防護を行っていた。車掌車はその車掌が乗務するための車両である。
車内にはトイレやストーブも完備され、デッキにはブレーキがある。ただし、トイレは冬の間は使用禁止だったらしい。
ディーゼル機関車や電気機関車の普及後は、車両や保安設備の性能向上により車掌車が連結される列車は減っていき、1985年には一部を除き完全に廃止された。
廃車となった車両はその頑丈な構造もあってか、無人駅の駅舎に流用されたものも多くそれで見たことある人も多いだろう。
その後は貨物列車においては、大物車や甲種輸送といった特大貨物の監視用にのみ使用されるようになった。
JR貨物には車掌車としては最も新しい形式であるヨ8000のみ継承された。ご丁寧にヤシマ作戦でもちゃんと使用されていた。

過去の車両

直流電気機関車

  • ☆ED62
中央本線用のED61だったが非力だったので、飯田線に左遷するための改造を施して誕生した形式。
飯田線は線路規格が低くED61のままでは飯田線での運用が出来ないため、元々あった台車の間に車輪を追加して1箇所にかかる負荷を下げることで飯田線に入線出来るようにしている。貨物用機関車ながらお召し列車を牽引した経験あり。
追加された車輪は1つだけで、一輪車のような形状の台車という機関車らしからぬ台車構造になっている。
1997年の飯田線の貨物列車廃止に伴い全機運用を離脱し、その後はJR東海の客車を使った団体列車を牽引することがあったも2002年に完全引退。3両保存されていたがだんだん数を減らしていき、結局2021年に最後の生き残りの17号機が解体された。

  • ☆EF61
国鉄の近代大型直流用電気機関車であるEF60の高速版として開発された形式。
旅客列車牽引用に各種仕様を変更したが、ブルートレイン以外は電車化が決定したため0番台の製造は18両に留まった。
その後、セノハチ補機であるEF59の置き換えのため、EF60を改造した200番台が登場した。
前面に貫通扉が設置されて外見が大きく異なるほか、東京側先頭部にはデッキも設置され、走行中に補機の切り離しが可能。
しかし、重連運用を行うと脱線する可能性があるという問題が発覚し改造は途中で打ち切られ、単機限定運用であることから運用可能な列車も限られていたため完全にEF59を置き換えることは出来なかった。
200番台となっているのは、0番台からの改造車に100番台の区分を予定していたため(前述の理由から改造は中止となっている)。
JRに承継されたのは200番台のみで、EF67形100番台に置き換えられ1991年に引退。

  • ☆EF67
瀬野八用機関車の近代化を目的として登場した。
EF59形置き換え用として登場した0番台と、EF61形200番台置き換え用として登場した100番台の2種類に分別される。
0番台がEF60形、100番台がEF65形からの改造車である。
直流電気機関車だが、広島県の県花である紅葉をイメージした赤11号*11の塗装を纏っている。
勾配に耐え得るだけの粘着力を確保するため、日本の電気機関車としては初めて電機子チョッパ制御を採用。それまでの各形式では運用が限定されていたが、本形式の導入で柔軟な運用が可能となった。
0番台は走行中に切り離しが可能な仕様だったが、走行中の切り離しは2002年に廃止された。
EF210の導入により2013年より0番台に廃車が発生。2015年からは100番台の廃車も始まり、2022年3月29日に全機引退。
トップナンバーの1号機と最後の現役機の105号機が広島車両所で保存されている。

  • EF200
1992年より運用開始。
1600tの貨物列車牽引用に開発されたJR貨物初の新形式機関車。
デビュー当初は「INVERTER HI-TECH-LOCO」のロゴマークが付けられていた。
とにかくハイパワーが特徴で、定格出力は従来最強だったEF66(3900kw)の約1.5倍となる6000kw。最大でコンテナ車32両分に相当する1600tを120km/hで牽引可能。また、日本の電気機関車としては初のVVVF制御、日本の鉄道車両としては、大阪市交通局長堀鶴見緑地線70系に次いで2例目となるシングルアーム式パンタグラフなどの最新技術をふんだんに盛り込んだ意欲的な仕様である。
しかし、フルパワーを出してしまうと変電所がダウンすること、バブル崩壊で貨物需要そのものが低下したことから結局EF66程度の出力で運用され、コストの問題もあり21両までしか増備されなかった。
その後、1号機が2008年の火災事故がきっかけで2011年に廃車となり、残りについても製造元の日立製作所が機関車製造から撤退し、修理が困難となり引退が決定。
2019年3月28日に全機が運用を離脱し、性能の割に不遇な生涯だった。
901号機が故郷の日立製作所水戸工場で、10号機が広島車両所で保存されている。
1993年鉄道友の会ローレル賞受賞。

交直流電気機関車

  • EF500
1990年より運用開始。
川崎重工業が試作した形式で、EF200と同様「INVERTER HI-TECH-LOCO」のロゴマークを持つ。
EF200と同時期に開発されており、EF200の交直流版といった仕様で定格出力も6000kw。なのでフルパワーを出すとやはり変電所が落ちる。
しかし、運用範囲的にこの性能ではオーバースペックすぎることもあり量産はされなかったが、EF500で得られたデータはEH500やEF510の開発に生かされることになった。
1994年以降使用されなくなり2002年に廃車されたが、現在も広島車両所で保管されている。

  • ED500
1992年より運用開始。
EF500が微妙だったことを受け日立製作所が提案し、開発された形式。
JR貨物の新形式では初にして唯一のD級電気機関車で、扉部分だけ赤であとは真っ黒というこれまでに無い塗装が印象的。
所有権は日立のままでJR貨物に貸与され東北地区で試験に供された。
1994年まで試験は行われたが、軽量なことから空転が頻発し本来のスペックが出せないと判断されたことから日立に返却され、量産化には至らなかった。
そして、ED500の製造を最後に日立製作所は機関車製造から撤退した。
廃車後も日立製作所水戸工場で保管されていたが、2016年に解体された。

交流電気機関車

  • ☆ED75
常磐線の交流電化に伴いED71の後継機として、広範囲での運用を想定して開発された形式。
汎用性の高さから東北地区のほか、北海道や九州にも導入された。
国鉄末期からEF81の運用拡大及び老朽化に伴い廃車が開始された。
JR貨物所属車は輸送力増強のため、廃車後に国鉄清算事業団入りしていたものを買い取り、車籍を復活させたものがある。
その後EH500の増備により廃車が進行し、2012年3月17日に引退。

1028号機は車体にED75と描かれ、かつてJR東日本が運行していたジョイフルトレイン「スーパーエクスプレスレインボー」の牽引機に似たデザイン*12となっていた。

そしてJR貨物のED75を語るにあたり外せないのが1039号機だろう。
1039号機はED75のラストナンバー機として製造され、国鉄民営化時にはJR東日本に継承された。その後普通客車列車が無くなり保留車となったが、若い車両であることからJR貨物に売却。しかし故障でまた保留車に…。しばらく放置されたが、EH500の不調や雪害により車両が不足したため復活。だが2010年には定期運用を外れる。惜別プレートが付けられたことから今度こそ引退と思われたが何と2011年3月に復活。
再起を果たすがわずかその数日後の2011年3月11日、あの歴史的災害が発生する。そう、東日本大震災だ。1039号機は92列車として常磐線浜吉田~山下でコンテナ列車を牽引中、地震に見舞われる。そして津波が発生し、列車は津波に呑まれた。津波の直撃を受け貨車は流されたが、何と1039号機は微動だにしなかった。乗務員は津波が来た時は機関車の中におり、機関車が津波に耐えたお陰で乗務員も無事だった。その後乗務員は近くの民家に避難し、やがて二度目の津波を1039号機を襲うがこれにも耐えた。民家に避難した乗務員も無事だった。津波の直撃で多くの鉄道車両が押し流される被害を受けた中、この津波に屈しない姿から一時は復興のシンボルとして保存も検討されたが、結局解体された。波乱万丈な生涯を送り、最後は一人の命を守り抜きその役目を終えたED75 1039の勇姿をどうか忘れないでほしい。

  • ☆ED79
国鉄が最後に開発した電気機関車で、勾配の多い青函トンネルを有する海峡線専用機として開発された形式。
0・100番台はED75の改造でJR北海道に継承されたが、JR貨物は輸送力増強のために50番台を新製した。
50番台は0・100番台と比べて前面窓がやや傾斜しているのが特徴。
EH500への置き換えが進み2015年に引退。

液体式ディーゼル機関車

  • ☆DD51
従来のディーゼル機関車の問題を解決し、全国の非電化区間に多く残っていた蒸気機関車を置き換えるために開発された形式。
デビュー当初は人気のあった蒸気機関車を置き換える存在で、どんどん増備されたことから鉄道ファンからは「赤豚(赤い塗装から)」「文鎮(凸形の見た目から)」「ダメデゴイチ(DD51の形式名と蒸気機関車の代表的形式のD51の愛称から)」などと揶揄されていた。
従来のディーゼル機関車は出力や価格などに問題があり、それらを解消したのが本形式。
また、幹線からローカル線まであらゆる路線での貨物・旅客運用を想定して開発された形式でもあり、このような理由から649両も製造され、最盛期には四国以外の日本各地で活躍した。
JR貨物発足後も日本各地で活躍したが貨物列車の廃止や、老朽化により活躍の場を減らし、2021年に全機が運用を離脱した。

そして、JR貨物のDD51の功績として外せないのが東日本大震災時の石油輸送。
地震と津波で仙台の石油コンビナートや道路、普段貨物列車が運行される東北本線の線路が破壊されたことから被災地にはガソリンや灯油などの供給が完全に絶たれ、暖房や自動車・重機の動力として使用する燃料が枯渇した。石油が無ければ瓦礫撤去の重機や救急車、支援物資の運搬のトラックも動かせず、3月の東北はまだ寒さも強いため暖房が欠かせないと石油の確保は死活問題。
そこでJR貨物は急遽自社が受けた被害が大きかった中*13、被害の無かった路線を経由し被災地へ石油を運ぶ列車の運行を決定。しかし、列車の運行には旅客会社との調整も必要で、機関車・貨車も用意しなければならずしかも普段は貨物列車が運行されない路線であることから、そこで貨物列車(しかもより重量のある石油貨物*14)の運行が可能かの調査も必要……と問題が多かった。そのため、当時廃車が進行していた日本海側でも走行可能なタキ38000を至急検査を通し再度使用出来るようにした上で震災発生から8日後、政府からの要請より3日という異例のスピードで列車の運行が開始され、横浜から新潟・青森経由で盛岡まで向かう列車が運行された。
これで何とか被災地へ石油は届いたが、青森経由では東北南部への輸送が出来ないため続いて比較的被害の少なかった路線である磐越西線*15を復旧させ磐越西線経由で郡山へ向かう列車が計画された。磐越西線は非電化路線であるため、そこで急遽召集されたのがDD51。前述の列車の削減や置き換えで余剰が発生していたことや、ローカル線での運用を想定していた形式であることからDD51は適任だった。
しかし、乗務員の被災もあり磐越西線でDD51を運転出来る乗務員は1人しかいなかったため、DD51の教習が可能な愛知機関区で臨時で教習を開き、人員を確保した。
門司・吹田・愛知と日本各地からかき集められた8機*16のDD51は2機ずつペアを組み、3月26日よりDD51による臨時石油列車の運行が始まった。一番列車が雪で立ち往生し、JR東日本のDE10の助けを受け3時間も遅れつつも磐越西線での運行は成功した。1日タンク車計20両を郡山まで運ぶという一大プロジェクトは4月17日まで行われた。
このことは『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』という絵本にもなった。
そして2018年に発生した西日本豪雨で山陽本線が不通になった際にも、伯備線・山陰本線山口線という普段貨物列車が運行されないルートを経由しての迂回貨物が運行され、この時抜擢されたのもDD51。
被災地の復旧のため全力を尽くし、ライフライン復旧を努めたJRや運送会社の方々やDD51の活躍を忘れてはならない。それだけ「物が届く」ということは大切なことであり、それを日頃から影で支え、いざとなれば全力で動く人がいるのである。

貨車・その他

  • 無蓋車
用途記号:ト(ラックから)
鉱物や材木など濡れてもいい物を運ぶための屋根の無い車両。『きかんしゃトーマス』の事故の元凶と言えば通じるだろうか(勿論日本じゃそんなことは無いが)。
JR貨物にもある程度継承されたが、コンテナやトラックへの切り替えで数を減らしていった。しかし、どうしてもそれらへの切り替えが出来なかった東邦亜鉛の亜鉛輸送のため2021年まで小名浜~安中間でトキ25000が運用されていた。

  • 有蓋車
用途記号:ワ(ゴンから)
普通のトラックと同じで、貨物を雨風から守りつつ運べる車両。見た目は車輪の付いた箱。
用途や構造は至ってシンプルだが、それだけに運べる貨物の種類も多かったことから無蓋車と同じく多数の車両が在籍した。JR貨物には主にワム80000が継承された。
コンテナの普及後は前述の理由からコンテナへの置き換えが進み、JR発足後は主にロール紙などの製紙業関連の輸送のために使われた。しかしコンテナ輸送への切り替えにより活躍の場を減らし、岳南鉄道乗り入れの紙輸送貨物を最後に2012年に引退した。
数は少ないがJR発足後に誕生した形式も存在する。製紙用木材チップ輸送用に積み込みのためワム80000の屋根をくり抜いた有蓋車と呼べるのかすら怪しいワム80000 480000番台、鉄道用の台車に道路用のトレーラーを直接載せ、台車から降ろしてトレーラーヘッドを繋げばそのまま道路を走れる「デュアル・モード・トレーラー(略称:DMT)」ワ100*17といった変わり種が多かった。

  • 車運車
用途記号:ク(ルマから)
自動車を積載するための車両。
自動車工場で作られた新車をディーラーや輸出港へ運ぶものと、トラックを中身の荷物ごと運ぶ「ピギーバック輸送」に使用するものの2タイプが存在した。
前者はJR発足後も車運車による貨物輸送を行った自動車メーカーは日産自動車のみであり、それも1996年に全廃され、後者はバブル景気によるトラックドライバー不足や交通渋滞から活躍が期待されたが、バブル崩壊後は需要減少やドライバー不足の緩和、トラックを貨車に載せる手間、貨物運賃には中身の貨物だけでなくトラックの分まで加算されてしまうなどの問題から2000年に廃止された。この間の1992~1996年の短い期間だけだがタンクローリー版も存在した。

  • 客車
実はJR貨物にも客車が存在した。マニ30だ。
客車といっても「荷物車」という分類で、国鉄・JRの規定上客車扱いだが車内の殆どは荷物の積載スペースであり実態はほぼ有蓋車。但し警備員の添乗スペースが存在する。詳細は項目参照。

保有路線

第一種鉄道事業路線を記載。
殆どがある路線の支線扱いで、完全に独立した路線は非常に少ない。

現有路線

管轄 路線名 区間 営業キロ 備考
東北支社 奥羽本線 土崎~秋田港 1.8km 貨物線であるが2017年より秋田港へ寄港するクルーズ客船利用客向け列車が運行されている(定期旅客列車の設定は無い)。
そのため秋田港駅はそれなりにしっかりしたホームや駅舎が存在する。
他にも団体専用列車だが秋田港のイベント利用者向け列車が運行されることもある。
仙石線 陸前山下~石巻港 1.8km
関東支社 羽越本線 酒田~酒田港 2.7km
信越本線 上沼垂信号所~東新潟港 3.8km 焼島~東新潟港は休止中。
東海支社 東海道本線 山王信号所~名古屋港 6.2km この名古屋港駅は名古屋市営地下鉄名港線の名古屋港駅とは別物。
読みも「なごやみなと」と異なる。
2024年4月1日廃止予定。
関西本線 四日市~塩浜 3.3km
関西支社 新湊線 能町~高岡貨物 1.9km 現在も運行されるJR貨物の第一種鉄道事業路線としては唯一の支線扱いではない独立した路線。
東海道本線 吹田貨物ターミナル~大阪貨物ターミナル 8.7km
関西本線 平野~百済貨物ターミナル 1.4km
九州支社 鹿児島本線 香椎~福岡貨物ターミナル 3.7km

廃止路線

管轄 路線名 区間 営業キロ 廃止日 備考
北海道支社 根室本線 釧路~浜釧路 3.8km 1989年8月1日
東北支社 男鹿線 男鹿~船川港 1.8km 2002年1月1日
塩釜線 陸前山王~塩釜埠頭 4.9km 1997年4月1日 支線扱いでない独立した路線。
仙石線 石巻港~石巻埠頭 2.9km 1999年11月1日
関東支社 東北本線 田端信号所~北八王子 4.0km 2014年7月1日
信越本線 上沼垂信号所~沼垂 1.8km 2010年3月25日
関西支社 東海道本線 東灘信号所~神戸港 3.4km 2003年12月1日
北陸本線 敦賀~敦賀港 2.7km 2019年4月1日
大阪環状線 境川信号所~浪速 2.3km 2006年5月1日
宇部線 居能~宇部港 2.2km 2006年5月1日
九州支社 鹿児島本線 福岡貨物ターミナル~博多港 4.1km 1998年4月1日
門司港~外浜 0.9km 2008年9月5日 廃止後2009年4月26日より平成筑豊鉄道が「門司港レトロ観光線」として旅客営業を開始。
日豊本線 日向市~細島 3.5km 1993年12月1日
小波瀬西工大前~苅田港 4.6km 2016年10月1日


追記・修正はタキ143645を目撃してからお願いします。

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最終更新:2024年01月03日 20:45

*1 国鉄路線として開通するには鉄道敷設法に基づいた手続きが必要だったため。これでは迅速な整備が難しいので第三セクターを作って整備する体裁にしたのである。

*2 貨物1トンを1km運ぶのにどれだけの二酸化炭素が放出されるかという指標。

*3 駅に着いた日も含めば6日。

*4 ディーゼルエンジンで得られたエネルギーを直接動力にするのではなくそれで発電機を稼働させ、そこから得られた電気で走行するディーゼル機関車。

*5 JR発足以降の形式なら形式名との間にハイフンが入る。

*6 ただし、実際の運用では逆の客車を牽引することもあった。

*7 四日市駅から伸びる貨物線に架かる橋で、現在の日本で唯一現在も稼働している鉄道可動橋である。

*8 過去には頭文字以外から取られることもあった。

*9 余談だが国鉄時代に消滅した区分である「豚積車(文字通り家畜の豚を積載するための車両)」の記号は「ウシ」から取られた「ウ」になっているというややこしい事態になっていた。理由は元々牛などを運ぶ家畜車から豚専用の区分を独立させようとした際に元々ある家畜車の記号を「カ」から「ウ」に変更し、新たに製造した豚積車に「カ」を充てようとしたが元々ある家畜車が多すぎて書き換えるのが大変だと判断され、家畜車の記号はそのままにし新記号の「ウ」が豚積車に回されたため。

*10 車輪がレールの継ぎ目を通過した時に出る「ガタンゴトン」という音。そのため車輪の数が多い程沢山音が鳴る。

*11 急行形気動車の窓回りに使用される塗装。

*12 EF65形とEF81形が存在し、現在もEF81形は現役で稼働している。

*13 JR貨物は震災で車両だけでも前述のED75 1039を含む機関車5両、貨車96両、無数のコンテナが廃車となるという被害を受けている。当然他にも職員や車両以外の設備への被害も存在する。

*14 「1両当たりに入れる石油の量を減らせばいいのでは」と思うかもしれないが中身が中途半端だと防波板が破損する可能性があるためタンク車は空か満タンでしか運行出来ない。

*15 それでもそれなりの被害を受けており、数年間貨物列車が運行されていなかった磐越西線が今も貨物列車に耐えられるかも確かめる必要があった。

*16 特に吹田からやって来た5機の内3機は廃車予定だったものを一旦廃車を取り止め召集した。

*17 後述のピギーバック輸送と似ているがピギーバック輸送が貨車の荷台部分にトラックを載せ、トラックは中身の荷物共々積み荷扱いであるのに対しDMTはトレーラー部分が貨車の車体扱いで、鉄道用の台車とトレーラー部分が荷台を介さず直接ドッキングする。つまり車体部分は鉄道車両でもあり自動車でもあるということ。しかし、台車に積み降ろしする手間や鉄道車両でも自動車でもあることから二重に課税されることから試作のみに終わった。