ドナルドダック

登録日:2023/06/09 Fri 09:35:00
更新日:2024/04/25 Thu 20:43:47
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Who's got the sweetest disposition?
(一番やさしい心の持ち主は誰かな?)

One guess. Guess who!
(誰だか当ててみて!)




ドナルドダック(Donald Duck)は、アヒルをモチーフとしたディズニーキャラクターである。フルネームは「ドナルド・フォントルロイ・ダック(Donald Fauntleroy Duck)」

KINGDOM HEARTSシリーズにおけるドナルドについては、『ドナルド&グーフィー(キングダム ハーツ)』を参照。


●目次





【概要】

アヒルを擬人化させたキャラクターで、おなじみ「ミッキー&フレンズ」の一人。ミッキーマウスグーフィーらの親友でもある。恋人にデイジーダックがいる他、数多くの親戚も登場する。

短気でせっかちな彼の日常はハプニングの連続。その名人芸とも言えるリアクションの数々によって今日まで多くの観客や視聴者に笑いを届けてきた、ミッキーと肩を並べるスーパースターである。

フルネームは『ドナルド・フォントルロイ・ダック(Donald Fauntleroy Duck)』だが、ミドルネームが登場する機会は滅多にない他、『三人の騎士の伝説』の最終回によれば、本人もこのフルネームを気に入っていないらしい。

誕生日はスクリーンデビュー日である6月9日。『ドナルドの誕生日』では3月13日生まれとされているが、ディズニーキャラクターの誕生日は基本的に「スクリーンデビュー日」とされているため、現在では6月9日が正式な誕生日である。


【歴史】

1934年6月9日公開の『シリー・シンフォニー』シリーズ第45作短編アニメーション映画かしこいメンドリでスクリーンデビュー。この作品では脇役としての登場(主役はドナルドやピーター・ピッグにトウモロコシ収穫の手伝いを頼もうとしたメンドリ)だったが、その独特なキャラクターから徐々に人気を集める。

同年8月11日には『ミッキーの芝居見物』でミッキーマウスと初共演。

1937年1月9日にはドナルド初主演作『ドナルドのメキシカン・ドライブ』*1が公開。以降、1940~50年代にかけて年8作ほどのペースで短編が制作されるようになり、ドナルドの短編シリーズはこの時期のディズニー短編シリーズのメインとなっていた*2。その作品数はミッキー主演の短編シリーズを遥かに上回るほど。
ドナルドとグーフィーがダブル主演を務める短編も全6作が制作された。

1943年1月1日公開『総統の顔』が第15回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞*3
第二次世界大戦中のディズニーはプロパガンダ色の強い作品を多く製作していた背景もあり、この時期のドナルドは職業軍人という肩書きを持った主役として登場することが多かった。ちなみに後年製作された「わんぱくダック夢冒険(ダックテイル)」でも海軍に入るため甥っ子3人をスクルージに預けている。

デビュー75周年を迎えた2004年8月9日、ハリウッドの殿堂「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム」入りを果たす。大通りに彼の名が刻まれた星形プレートが埋め込まれた。




【特徴】

◆外見

羽毛の色は全身白。くちばしと足の色は黄色。目の色は水色に描かれる。

初登場時は頭が小さく首長で実際のアヒルに近いデザインだったが、徐々に現在お馴染みの顔立ちへと変わっていった。

基本的に青いセーラー帽(1930年代頃は白)と青いセーラー服を着ている。蝶ネクタイの色は当初は黒だったが、1980年代から赤へ変わっている。
下半身は何も着ていない。その割には服が脱げるとわざわざ下半身の局部を隠す仕草をするが。

大きな尻を振って歩く姿がチャーミング。アヒル故に翼で空を飛ぶことはできないが、『ミッキーの山登り』では尻の羽を回転させて飛行するという妙技を披露したことがある。

身長は不明だが、ミッキーよりやや低い。


◆性格

日本語吹替版における一人称は「僕」だが、ポニー版・バンダイ版の頃は「俺」「俺様」なども使用していた。

趣味は釣り、ゴルフ。甥っ子のために食事やおやつを作ってやるなど料理が得意らしい。

好物は『クワック・パック』によればピーナッツバター入りガーリックトースト。

主演作品でも何度か言及されている通り、重度の気短かで癇癪持ち。少しでも理不尽な事が起きたりイタズラをされたり揶揄われたりすると瞬時に頭に血が上り激怒する。
グーフィーのように前提からして間違った行動で失敗を招くというケースは少ないが(作業をする上で正しい知識や手順は熟知していることが多い)、上記の流れで冷静さを欠くと通常ではありえないミスを繰り返して悪循環に陥ってしまう…という負の連鎖にハマりがちになる。
最終的に我慢が限界に達すると暴走を始め、破壊衝動に駆られ自ら全てを台無しにしてしまうか、完全に思考停止匙を投げてヤケクソ気味に無茶な行動に出ることも少なくない。

口癖は「もう怒ったぞ!」で、よくこれを言いながら片手を前に突き出しもう片手を振り子のように回しながら飛び跳ねる独特のファイティングポーズを取る。関時男吹替版ではよく「トサカに来た!」と言っている。

まともに行動していても災難が降りかかることも珍しくない不幸体質の持ち主。
不器用な面を見せるパターンと言えば、作品でドナルドと「敵対」する様々な「モノ」たちの反発によるものが多く、一概に不器用で辛抱強さの足りないドナルドに問題があるとも言い切れない部分もある。
時計を修理すればゼンマイが拳をうならせるがごとくドナルドをコテンパンにし*4、空気の抜けたタイヤ1個を直そうとすれば全部が一斉にパンクし*5、尻にラバーカップが食いつけばなかなか抜けず散々振り回され…*6
彼に従順な無機物はディズニーワールドに存在しないと言っていいだろう。

神経質かつ几帳面な性格でもあり、目の前にある問題を単一的な手段で処理にかかろうと行動して余計ドツボに嵌るなど融通が利かない部分もある。『ミッキーマウス クラブハウス』で毎回「マウスケツール」を言い間違えるグーフィーには必ずツッコミを入れ訂正する(ミッキーらはスルーすることが多い)。
だが、そのような神経質な行動も大抵は裏目に出るのがお約束。

そんなドナルドも最大の短所である短気な気質を矯正しようと努め、苦労の末に癇癪を治してみせたことがある。もっともこれは「短気な性格を治すまで会いたくない」とデイジーに言われてしまったことが発端だが。

他者によって散々な目に遭う作品ではあまり目立たないものの、少々自己中な性格。勝手気ままな行動で相手の怒りを買い報復されるというストーリーも多い。
また自慢屋でもあり、ヒューイ・デューイ・ルーイなど自分より格下を相手に特技や技術力を得意気に披露したがる癖がある。また、相手が自分より下手だったり失敗するとバカにしたように笑うなど意地悪なところも。このような言動はまず敗北フラグと見て間違いない。

そんなわけで敵が多く、叔父、甥っ子、チップとデール、蜂は彼を見るなり攻撃をしてくる始末である。

ただドナルドも決して負けてばかりではなく、勝利を収めることも多い。例えば、ヴィランズであるピートには高確率で勝利を収めていたり(ただドナルドの悪運っぷりにピートが振り回されてて痛い目に遭ってしまうというピートに落ち度はあまりないパターンが多いが…)、甥っ子たちがいたずらの度が過ぎたり、相当油断していたりしてる場合もドナルドにお仕置きを受けたりしている。熊のハンフリーはかなりドジで不幸体質である故に、毎回ドナルドにしてやられてしまっている。他にもヤギやサメなどの凶暴な動物に対して怒りが頂点に達した場合、渾身の一撃を喰らわせて勝利している(この時その反動で首や腕が一瞬ぐにゃぐにゃになっている)。それでもチップとデールや蜂のスパイクに勝ったことはなく、良くて円満解決で終わってるので、小動物との相性は良くないと言えよう。

ふてぶてしいように見せかけて実はかなりの小心者で、幽霊や怪物の類は苦手としている。また、怒りっぽくても喧嘩に自信があるわけではないため、目の前に強者が立ちはだかるとすぐさま逃げ腰になる。『ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士』ではこの臆病な気性が強調されており、ピート隊長から「銃士隊になれない理由」として指摘されてもいる。

ある作品では何の落ち度もない完全被害者、またある作品では悪どい行動が仇となる自業自得オチだったりと、同じやられ役でも彼の立ち位置は様々である。

『わんぱくダック夢冒険』およびリブート版『ダックテイルズ』ではしばらく離ればなれになる甥っ子たちを見守るという立場として大人びた性格となっている。

あまりにも激しいリアクションや不器用で短気、ビビリな性格も手伝って、周囲からはいじられキャラのような扱いを受けることも多い。ドナルド本人はこの損な扱いを快く思っていないようだが、何だかんだで仲間たちからは愛されているようだ。


◆声

(※原語版・日本語吹替版の歴代声優については後述の「担当声優」を参照)


牛「悪いんだけどね。アンタ何言ってんのかわかんないのよね(イケボ」

グワヷワワ¥○&?$△¥○&♪×△#$!!!

ドナルドといえば何と言っても、一度聞いたら耳から離れないグワグワとやかましいアヒル声。

『ドナルドの夢の声』では、この聞き取りづらい声を理由に訪問販売先の客から理不尽な仕打ちを受け、最終的には人語を美声で話す力を得た牛にまで上記のように馬鹿にされていた。本人にとってもこの声は悩みの種らしく、この時は声のせいで仕事がうまくいかないことをデイジーに打ち明けていた。

ドナルド主演映画・出演作品やDVDソフトのレビューではほぼ必ずと言っていいほど「ドナルドが何を言ってるのかわからない」「字幕必須」という感想が散見されるぐらいには、一発で台詞を聞き取るのはなかなか難しい。
近年の作品ではまだ聞き取りやすくなった方であるが、当時の音響設備の事情から旧作では本当に何を言っているのかわからない作品も珍しくない。
ディズニー公式も自覚していないわけではなく、DVDソフト『ドナルドダック・クロニクル』シリーズのジャケット裏面には「キャラクター特性を活かした声質を表現したために、聞き取りにくい部分がございます。ご了承ください」と記してある。この声なくして「ドナルドダック」というキャラクターは成立しないのである。

そんなドナルドのアヒル声も、前述の『ドナルドの夢の声』や『ドナルドのジレンマ』、『気みじかドナルド』などの一部作品で、ふとしたことで美声に変わることがある。
綺麗な声を手に入れた際には、迷うことなく「この声でデイジーにプロポーズしよう」と考えていた。




【関連キャラクター】

●ミッキーマウス
お馴染み世界のスーパースターであるネズミ。
ドナルドとは親友というよりも悪友的な関係だが、仲が悪いというわけでもなく、いざという時は積極的に協力し合う。
『ミッキーの大演奏会』『ミッキーの魔術師』などミッキーたちを邪魔するライバルとして登場することもあるが、やがてグーフィーも交えて3バカ3人で時計台の清掃、消防隊、造船技師など様々な活動をする作品が多く作られるようになった。

かつて腕白で過激な言動も多かったミッキーは、人気・知名度が上がるにつれ「子供たちにとっての模範」という側面を求められるようになる。こうして優等生と化したミッキーがかつて持っていたやんちゃ気質は、新たに誕生したドナルドへと引き継がれたのだった*7
今日び広く知られている短気で俗っぽい三枚目な「ドナルドダック」というキャラクター形成に深く関与した存在でもあるのだ。

主演作品数でこそミッキーを圧倒するものの、やはり「ディズニーの顔」として君臨し、自分よりも有能で品行方正なミッキーに嫉妬する一面も時折見せる。
『ミッキーマウス・クラブ』では、オープニング主題歌「ミッキーマウス・マーチ」でミッキーの名前をコールする部分で耳を塞ぎながら自分の名前を叫んでいた。
『ミッキーマウス・ワークス』では、オープニングのラストで毎回あらゆる手段でタイトルを『DUCK WORKS』に変えたり、主演が自分であると虚偽の文言を表示させようとしていた(いずれも必ず失敗に終わる)。どうやらミッキーよりも格上かつ真の主役に見られたい欲はまだまだ尽きないらしい。
『ハウス・オブ・マウス』の「みんなミッキーが好き」では、同じくミッキーをライバル視するモーティマー・マウスの誘いに乗り2人がかりでミッキーを陥れようとするも、良心の呵責に苛まれ結局ミッキーを裏切ることができなかった。
いけ好かない部分はあっても何だかんだで良き友達のようだ。

●グーフィー
ミッキーも含め3人組で主役を務めることも多い。「KINGDOM HEARTSシリーズ」での名コンビとしても有名である。
短気でせっかちなドナルドとは反対にマイペースで温厚な性格故に、しばしば衝突も絶えないが何だかんだでお互い相性は良いらしい。そのグーフィーによっても散々な目に遭うが、悪気があってやっているわけではないためか、チップとデールや三つ子とは異なり特に仕返しをしようとはしない。

●チップとデール
イタズラ好きなシマリスのコンビでドナルドの天敵その1。
ドナルドとは長年に渡り2vs1の激戦を繰り広げてきた宿敵同士であり、圧倒的勝率を収めている。
(※チップ&デールとドナルドダックの対決も参照)

●ホセ・キャリオカ&パンチート
ドナルドの友人で、「三人の騎士」を結成している。リオ・デ・ジャネイロ出身・オウムのホセは『ラテン・アメリカの旅』、メキシコシティ出身・雄鶏のパンチートは『三人の騎士』でそれぞれスクリーンデビュー。『三人の騎士』ではドナルドの誕生日を祝いにプレゼントに紛れて彼を訪ね、3人で空飛ぶ絨毯に乗ってメキシコ各地を旅する。
その後もTVシリーズ『三人の騎士の伝説』などトリオによる活躍が何度か描かれている。

●アラクアン・バード(アラカン鳥)
『三人の騎士』と『ジャングルのおどけ者』、『メロディ・タイム』に登場する鳥。
普段はジャングルに住んでいるため、別名「ジャングルのピエロ」と言われている。
破天荒な性格とはっちゃけた言動でドナルド(『メロディ・タイム』ではホセも…)を翻弄する。


◆ダックファミリー

ドナルドには恋人・デイジーの他、多くの親戚からなるアヒル一族『ダックファミリー』がいる。その人数は家系図でグッズが作れるほど。
全てを挙げるときりがないので、ここでは主要キャラのみを記述する。

●デイジーダック
ドナルドのガールフレンド。
何かとロクな目に遭わないドナルドを気遣ったり励ましたりしているが、強気な性格もあって喧嘩になることもしばしばである。回によっては彼女がドナルドにとって最大の天敵と化す場合も少なくない。
「ドンナ・ダック」としてスクリーンデビューを果たした当初はかなりヒステリックな性格で、自身のドジを笑ったドナルドをボコボコに張り倒していた。
だが、近年の作品では以前よりもカップルとしての仲は良好。ウェイター役のグーフィーからも「似た者同士、お似合いのカップル」と評価されたことも。

●ヒューイ・デューイ・ルーイ
ドナルドの天敵その2。
ドナルドの姉であるデラ・ダック*8の3つ子。つまりドナルドの甥っ子にあたる。
普段はドナルドを「ドナルドおじさん」と呼び慕っているが、3人揃ってイタズラ好きかつ好奇心旺盛。ドナルドも彼らをちびっ子として見くびっている節がある他、一方的にちょっかいをかけることもあるため、これがきっかけでイタズラの応酬に発展するのがお決まりとなっている。
ただし根は素直であるため、少々度が過ぎた場合はドナルドに謝罪することもある。また、誕生日には内緒で葉巻煙草を贈ろうと計画したこともあるが…。
ドナルドもイタズラっ子な3人には厳しく、時として大人げない仕返しをすることもあるが、愛情は持っているようだ。

●スクルージ・マクダック
ドナルドとデラの母・ホーテンス・マクダックの兄(すなわちドナルドの伯父)で、世界一の大富豪。『わんぱくダック夢冒険』では主役として登場する。
ドナルドほどではないが彼同様やや短気。
ドナルドと直接共演する機会は少ないものの、コミック作品では多くの掛け合いが見られる。『ミッキーマウス!』のエピソード「僕は君」では、チップ・デール、甥っ子、ミツバチのスパイク共々ドナルドを袋叩きにしていた(理由は『貸した1ドルを返さないから』)。

●ルードヴィッヒ・フォン(ヴォン)・ドレイク教授
(コミック版の設定によれば)スクルージの妹・マチルダ・マクダックの夫。作品によって設定は変わる場合があるがドナルドの親戚であることは確かで、様々なメカなどの開発に明け暮れるマッドサイエンティスト天才発明家。
元はディズニーのTV番組で司会者のような役としての出番がメインだったが、徐々にミッキー&フレンズの作品にも顔を出すようになる。
特に『ミッキーマウス・ワークス』や『ミッキーマウス クラブハウス』では準レギュラーで頻繁に登場。あらゆる発明品を披露するがこれらによって騒動を招くことも多い。
ドナルドはしばしば発明品の実験台にされている。

●ガス・グース
ドナルドのおば・ファニー・クット(アヒル)と夫・ルーク・ザ・グース(ガチョウ)の息子。すなわちドナルドのいとこにあたる食いしん坊のガチョウ。アヒルではないのだが一応「ダックファミリー」に含まれる。
『食いしん坊がやってきた』でデビュー。突然ドナルドの家に上がり込み、彼の食事はおろか家中の食料を食べ尽くしてしまう。
外見は紳士風だが、ドナルドが制するのも構わず目についた食べ物を残らず平らげようとする図太さはドナルドもお手上げするほど。なお、ファニーは彼を「少食」として紹介していた。
人語を話さず、クラクションのような鳴き声を発する。
「ハウス・オブ・マウス」では、クラブの調理係として登場。料理の腕は確かだがつまみ食い癖が玉に瑕である。




【担当声優】

◆英語版

  • クラレンス・ナッシュ(初代:1934年~1985年)
  • トニー・アンセルモ(二代目:1985年~)
  • ダニエル・ロス(三代目:2017年~)
  • サム・クワスマン(代役:1987年)
  • ルシー・テイラー*9(『ダックテイルズ』幼少期)

◆日本語吹替版

  • 坊屋三郎(初代:1950年代)
  • 藤岡琢也(二代目:1950年代)
  • 肝付兼太(三代目:1950年代)
  • 山崎唯(TBS版『ファン・アンド・ファンシー・フリー』、東京ディズニーランド『ミッキーマウス・レビュー』*10
  • 関時男(ポニー版・バンダイ版)
  • 緒方賢一(日本テレビ『ミッキーマウスとドナルドダック』)
  • 富山敬(テレビ東京『わんぱくダック夢冒険』)
  • 龍田直樹(アニメの王国*11
  • 山寺宏一(1989年以降のブエナ・ビスタ版)
  • 小坂知裕(パブリック・ドメインDVDシリーズ)

◆担当声優に関するエピソード

●クラレンス・ナッシュ


トニー・アンセルモ:ダッキーはこんな大変なことを楽にこなしていたって言うの?

ジャック・ハンナ*12とんでもない、それどころかたまに気絶していたさ。


かつてロサンゼルスのラジオ局・KHJのラジオ番組「The Merrymakers」でものまねDJとして名を馳せていたクラレンスは、その技術に注目したアドールミルク社の誘いを受け、宣伝目的で声を使った広報活動の仕事を始めるようになる。その活躍ぶりが偶然ディズニーの目に留まり、ドナルドの声優オーディションに参加、役を獲得したという。

デビュー作『かしこいメンドリ』以降、ドナルドのやかましく短気で非常に個性たっぷりな声の形成に大いに貢献。この功績や彼自身のドナルドに対する思い入れの深さもあり、「ダッキー」という愛称で呼ばれていた。ミッキーやグーフィーの一部声優が安定していなかった中、クラレンスは51年もの間休止期間を挟むことなくドナルドを演じ続けた。

クラレンスによるドナルドの声は、海外では現在もなお最も広く知られ、彼ほど精巧な技術力がなければ表現できない演技は多いとの呼び声が高い。ウォルト・ディズニーからも高い評価と信頼を得ていた。
トニーも彼とスタジオの建物内で初めて出会った時、ドナルドの声で挨拶されて「一発で誰だかわかった」衝撃を語ったことがある。

ドナルド以外にもヒューイ・デューイ・ルーイの声も長年演じていた他、初期作品群のみデイジーの声も担当していた(1945年以降、グロリア・ブロンデルなど女性声優に交代)。

1985年に白血病により入院。以前から交友関係があり、ドナルドのものまねをよく披露していたトニー・アンセルモに自身の後任を託した。
クラレンスは発病時から自分亡き後の「ドナルドの未来」を憂いており、その頃から趣味でドナルドの声真似をしていたトニーを後継者として接するようになっていった。亡くなる半年前までは、度々彼の仕事場を訪れ、ドナルドの役を引き継ぐためにドナルドの技術や心理的なクイズめく話題を出していたという。
トニー自身は彼から可愛がってもらっていた自覚こそあったものの、それらが先を見据えての行動であるとまでは考えもしなかったと語っている。

1985年2月20日、80 歳で死去。1983年公開『ミッキーのクリスマスキャロル』が遺作となった。
山寺宏一も含めてドナルドの声の元祖と言えば彼である。

●トニー・アンセルモ

元はディズニーアニメーション映画のアニメーターとして勤務していた。入社当初からクラレンスと親交が深く、よくドナルドの声真似を披露するなどしていたため大変気に入られていた。ドナルドの声は研究を重ねるにつれクラレンスから大いに評価されるようになっていったものの、その時点では声を似せられるだけでドナルドの個性を把握しきれていなかったと語っている。
1985年、ドナルドの生誕50周年イベントにクラレンスが白血病に伴う入院につき欠席したことを知ったトニーは急遽彼の病室を訪ねる。彼はその時クラレンスから「ドナルドの声を頼む」と引き継ぎの意志を告げられたという。以前までクラレンスが自身の仕事場に顔を出してはドナルドに関するクイズを出していた様子を楽しみながらも怪訝に感じていたトニーだったが、この時初めて彼の真意を知ることとなった。
突然引き継ぎの意向を伝えられ困惑したトニーはクラレンスに「生き続けてくれ」と答えたものの、その思いも虚しくクラレンスは間もなく息を引き取った。

その後、正式にドナルドの二代目声優に就任。『ハウス・オブ・マウス』などではヒューイ・デューイ・ルーイも演じている。
しかし20年代に入るとトニーもそこそこ高齢になったためか、後継者探しをいくらか始めているようで、並行して他にも数名担当している。
彼曰く、どんなに長い言葉でも言いづらいということはないが、「r」を含む言葉は例え短くても発声が困難と語る(「ルール」など)。

●関時男

80年代生まれにとってはポニー版・バンダイ版における関演じるドナルドの声が最も馴染み深いのではないだろうか。
アドリブを多く交えた演技や「トサカに来た!」などの言い回し、一人称に「俺様」を使う点など関の演技は原語版とはまた別の親しみやすいキャラクターを与えた。怒声を捲し立てるシーンでのマシンガントークも印象深い。
昔の役者仲間からはドナルドダックをやっていた男、として紹介されることもある。
ちなみにドナルド降板後も、彼が所属する劇団昴の俳優で吹き替えが固められた「不思議の国のアリス」で、チェシャ猫役を続投。各種ゲームではその演技が聞ける。

●山寺宏一

山寺がブエナ・ビスタ版初代としてドナルド役を担当するようになったのは1989年頃のこと。それ以前は、先述した関をはじめとする声優らが原語版でのガーガー声とは異なる濁声で日本語吹替を行ってきたが、日本語版制作がブエナ・ビスタに移行してからは、オリジナルに極力近い声質や演技で吹替を行うことが求められるようになった。

松本梨香の協力を受け、山寺は新しい日本語版ドナルドの声を開発。最初は複数の声優がオーディションを受けていたものの、最終的には山寺1人が残り6回もの審査を受けた。彼は後年、「今までに受けた中でも忘れられないオーディションだった」と語っている。

しかしながら、英語と日本語とでは発音や母音・子音の関係性が全く異なることから、ドナルドボイスでは言いづらいワードが非常に多く、アフレコの際には翻訳家やディレクターと相談しながら言いやすい台詞に変えている。

山寺はクラレンスによる演技を見事なまでに忠実に再現しつつ日本語版ドナルドを30年以上に渡り演じてきた。その高度な演技はディズニー本社からも高く評価され、自身の名前とドナルドのイラストが文字盤に描かれた特製の腕時計と原画が贈られている。

『ドナルドの夢の声』などで聞ける美声と化したドナルドの声は原語版ではレスリー・デニソンが演じている一方、日本語版では山寺が兼役で演じている。中の人が同じなだけにその声のギャップからなるインパクトは絶大である。

長年演じてきたドナルドであるが、山寺は「何年やっていてもずっと難しい僕の強敵」と語っている。


【余談】

  • ヘリウムガスを吸った時に声が甲高くなる現象は「ドナルドダック効果」または「ドナルドダックボイス現象」と呼ばれている。

  • スウェーデンでは、選挙で投票したい候補者・政党がいない、あるいは単に投票する気がない場合に「ドナルドダック党」という架空の政党に投票することができる。総選挙においてはドナルドダック党は毎回一定の票数を得ており、ドナルド本人も候補者としてある程度の票を獲得している。

  • オレゴン大学では1947年からマスコットキャラクターとしてドナルドが起用されている。これは、オレゴンに野生のアヒルが多く生息していることや、それにちなんでオレゴン大学や在学生・所属スポーツチームは「ダックス」という愛称で呼ばれていることにちなんで起用されたもので、現在も「オレゴン・ダック」というニックネームで親しまれている。

  • ドナルド生誕65周年を迎えた1999年には、THE ALFEEよりドナルドの生誕を祝したテーマソング『D.D.D! 〜Happy 65th Anniversary for Donald Duck〜』がディズニーに提供された。
    この楽曲はBEMANIシリーズの大御所であるpop'n musicの知る人ぞ知る派生作品AC『ミッキーチューンズ』とGBC『ディズニーチューンズ』に収録されていた。THE ALFEEのメンバーである高見沢の楽曲はその後もアーケード本編作品『ラピストリア』にてふなふなふなっし~が収録されているのだが、同曲を語る際にpop'nの過去の収録楽曲として本曲の名前が挙げられる事がある。

  • ウォルト・ディズニーは、ドナルドを「クラーク・ゲーブル」*13に匹敵する存在だと評しており、時々「ゲーブル」という愛称で呼んでいた。




Who writes all the bad Items?
(問題ある項目をみんな追記・修正してしまえるのは?)

No one…
(いるわけないか…)
グワワワワッ!!

but Donald Duck!
(ドナルドダック以外にね!)
Yeah!
(そうさ!)


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最終更新:2024年04月25日 20:43

*1 ただし公式にはミッキーの短編映画シリーズとして扱われている。

*2 それ以前のメインだったミッキーの短編シリーズは、年1、2作程度に制作ペースが減少していた。

*3 これが現状ドナルド短編唯一のアカデミー賞受賞作となり、テーマソングも大ヒットしたのだが、内容が内容だけに滅多に表に出ることが無い。ディズニーのプロパガンダアニメを集めたDVD集「Walt Disney Treasures: On the Front Lines」や「ドナルドダック・クロニクル Vol.2限定保存版(北米版のみ)」に収録された事はあるがどちらも日本未発売な上にプレミアが付いて現在入手困難である。哀れ…

*4 『ミッキーの大時計』。

*5 『ぼろぼろタイヤ』。

*6 『ミッキーの引越し大騒動』。

*7 しかしながら、『ミッキーマウス・ワークス』、『ミッキーマウス!』など90年代以降のTVシリーズでは、初期のやんちゃな性格に近いミッキーが登場する機会が増えている。

*8 三つ子の初登場回では、三つ子の母はドナルドの姉の『ダンベラ・ダック』という設定だったが、ダックテイルズにてデラ・ダックが三つ子の母として紹介されたため、設定が変更されたと思われる。また、公式の紹介ではいまのところ『Sister』としか言われていないので、妹の可能性もある

*9 『ミッキーのクリスマスキャロル』から『ミッキーマウス ミックス・アドベンチャー』までミニーマウス、一部作品でヒューイ・デューイ・ルーイを演じていた。

*10 2009年5月25日クローズ。

*11 時期不明。

*12 かつてウォルト・ディズニー・プロダクションに所属していた。監督・原画・脚本などで多くのドナルド作品に携わった。

*13 第二次世界大戦前後の時代を代表するビッグスターと呼ばれるアメリカの映画俳優。