サクラローレル(競走馬)

登録日:2023/07/04 Tue 05:08:48
更新日:2024/03/24 Sun 20:09:03
所要時間:約 6 分で読めます





一緒に見たい夢がある。

──JRA・ヒーロー列伝No.41


サクラローレル(Sakura Laurel)とは日本の元競走馬

メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』にも登場しているが、そちらでの扱いは当該項目参照。
サクラローレル(ウマ娘 プリティーダービー)


目次

【データ】

誕生:1991年5月8日
死亡:2020年1月24日
享年:29歳
父:レインボウクエスト
母:ローラローラ
母父:Saint Cyrien
調教師:境勝太郎→小島太 (美浦)
主戦騎手:小島太→横山典弘
馬主:さくらコマース
生産者:谷岡牧場
産地:静内町
セリ取引価格:-
獲得賞金:6億2,689万円 (中央)
通算成績:22戦9勝 [9-5-4-4]
主な勝鞍:96'有馬記念・天皇賞(春)
タイトル:96'年度代表馬・最優秀5歳以上牡馬

【誕生】

1991年5月8日生まれの栃栗毛の牡馬。父レインボウクエスト、母ローラローラ。
サクラローレルの父レインボウクエストは、1985年に行われた第64回凱旋門賞の優勝馬。
母ローラローラは元はフランスの生れで、戦績は6戦1勝とパっとしないものの、その血統にはSaint Cyrienなど欧州の名馬が名を連ねていた。
ローラローラが早期に引退したのも「あまり走らせすぎて消耗させると繁殖牝馬としての将来に悪影響があるかもしれないから」という理由だった。
そんなローラローラは、まずフランスで繁殖入り。
レインボウクエストとの子供を受胎したまま日本の谷岡牧場に買い取られたため、日本でレインボウクエストとの子供を産み落とした。
後のサクラローレルである。

サクラローレルの母ローラローラは、名義上は谷岡牧場ではなく(株)さくらコマースの社長である全演植氏の所有馬だった為、産まれた仔馬は当然のように(株)さくらコマースに売却され、境勝太郎厩舎へと預託された。
欧州の名馬の血を引くサクラローレルは、デビュー前から周囲から期待されていたものの、生まれつき身体が弱く成長も遅かった為、競走馬としてデビューするまでに4歳まで待たねばならなかった。

【戦績】

満を持して1994年1月に中山競馬場の4歳新馬戦芝1600mでデビュー。出走したレースでは1番人気だったのだが前に出ることが出来ず9着と大敗してしまう。
3戦目に挑んだ4歳未勝利戦でようやく勝利を得たのだが、その後2勝目を得るにはさらに3戦を要した。
ダービートライアルの青葉賞ではエアダブリンの3着と好走してみせ見事ダービーへの出走権を得た…のだが、
右後肢の球節炎発症によりダービーを回避することとなってしまう。その後夏は休養にあてられた。

秋に再始動してからは条件戦に挑む日々が続く中、11月の比良山特別、12月の冬至Sと2連勝。
そして翌年になって挑んだ中山金杯で見事勝利。サクラローレルで初の重賞勝利となった。
2月の目黒記念でも2着と好走し、陣営はこのまま春の天皇賞へ駒を進める選択をした…のだが。

春天に向けての追い切り中、両前脚骨折という大怪我に見舞われてしまったのだ。

これは春天どころか競走能力喪失となってもおかしくなかったのだが、懸命な治療により、どうにか一命を取り留めることはできた。
普通なら多くのサラブレッドはここで競走馬を引退となるが、陣営はローレルの秘めた能力を信じ現役続行を選択。

1年ぶりに復帰、あっという間に現5歳になってしまったサクラローレルの始動戦は中山記念。
主戦鞍上だった小島太氏がローレルの休養中に騎手を引退したため、この年から横山典弘氏に乗り替わることとなる。
いざレースが始まると、9番人気の下馬評にもかかわらず3コーナー目から前に出始め、最終直線で全馬を差し切り見事勝利。
384日空けて挑んだレースにもかかわらず怒涛の末脚を披露したのだった。

次走となったのは…前年諦めた天皇賞(春)。
このレースには、同期の三冠馬であり一時は精彩を欠きながらも前哨戦の阪神大賞典で勝利を挙げたばかりのナリタブライアン
さらにはその阪神大賞典でブライアンとの一騎打ちを演じたマヤノトップガンの姿もあった。
彼らはそれぞれ94年と95年の年度代表馬でもあり、人々の注目はこの2頭に向けられていた。

レースにおいてはサクラローレルが中団にてナリタブライアンの近くを追走。ナリタブライアンは先行するマヤノトップガンを追うかたちで2周目の向こう正面から動き出す。
最終直線ではナリタブライアンがマヤノトップガンを下し、先頭となっていた…が、外側後方から駆け抜けてきたのは、2頭の後ろを確保していたサクラローレル。


「サクラローレル来た 横山典弘だ! かわすのか! かわった!! またサクラだ!
 またサクラが満開になる京都競馬場! サクラが満開だ!サクラローレル!」

そのままナリタブライアンを抜き去り、2馬身半の差をつけて1着に躍り出た。
初のGⅠ勝利にして、怪物と呼ばれた三冠馬を見事下してみせたのである。
その後は身体のこともあり無理はさせられないと判断、秋まで休養をとることとなる。

秋は天皇賞(秋)から有馬記念のプランが組まれ、秋天へと出走。
サクラローレルは1番人気を背負いスタート…したはよかったが、出遅れた上に馬郡に突っ込んで前に出にくくなってしまうなど横山氏が騎乗ミスを犯しこれが祟ったか3着に。
境氏はこの結果に「これなら俺が乗った方がマシだ」とダメ出しをしていた。…とはいえ、ミスが重なっても3着というのは負けてなお強しである。

そんなことがありつつも続いて挑んだ有馬記念。
サクラローレルの他にマヤノトップガン、マーベラスサンデーヒシアマゾンといった実力派も顔を見せていた。
肝心のレースでは最終直線に入ったところで先頭争いをしていたマヤノトップガンとマーベラスサンデーを外から差し切り、2馬身半差をつけて勝利。

「サクラローレルが抜け出した! サクラローレルだ!サクラローレルです!!
 グランプリ史上、初めてサクラの名前が刻まれます!」

サクラローレルは鞍上と調教師と馬主にとって初めての有馬記念をもたらした馬となったのである。
そして、春天を勝った馬が有馬記念を勝ったのは1989年のイナリワン以来史上10頭目であり、
且つナリタブライアンなどの強豪を下したことが評価され、1996年の年度代表馬に選出されたのだった。

97年には軽い骨折が判明し休養しつつ、連覇を狙うべく春天へと直行するが、マヤノトップガンにリベンジを許す形となった。
そして、この年サクラローレルが向かわんとしていたのが、フランスで行われる世界最高峰のレース、凱旋門賞。
鞍上は武豊氏に決まり、8月へフランスへとわたり9月に前哨戦となるフォワ賞に出走。

…しかし、レース中に最終直線で後退し9着に。レース後の検査により大きな故障が発生していたことが明らかとなる。
ちなみに故障の原因についてはすでに定年引退していた境勝太郎が「現地の装蹄師がローレルに合わないテツ(蹄鉄)を打ったからだ」と言っており、それがまことしやかに囁かれることが多かった。
が、現地に同行していたスタッフの小島良太はこれを否定しており、「97年秋のロンシャンはほとんど雨が降らなくて、馬場が異常に硬かった。だから馬にとっては脚を挫きやすい危険極まりないコースだった」と述べている。
予後不良と見做された現地の獣医師により安楽死の確認がとられ、フランス語の分からないスタッフが同意してしまったことであわや処置されかけるが
フランス語が分かるスタッフが大慌てで「ローレルを殺す気か!?」とそれを制止し事なきを得る。
これを以ってサクラローレルの競走馬生命は終わりを告げ、日本へ帰国後、中山競馬場にて引退式が行われた。

【引退後】

引退後は北海道で種牡馬となり、何度か牧場を移りつつ12年まで種付けを行っていた。
GⅠ勝利馬は出ていないが、京成杯馬ローマンエンパイア、アルゼンチン共和国杯などを勝ったサクラセンチュリーといった重賞勝利馬が存在している。
種牡馬を引退した後は最後の仕事場であり同期サクラエイコウオー等他のサクラ軍団の馬もいる新和牧場で余生を過ごした末、2020年1月24日に老衰により天国へ旅立った。享年29歳(現年齢)。

【創作作品での登場】

サクラ軍団の一員として度々登場。
フランス遠征直前には「フランス語の勉強をサボっていた事がコジマフトシにバレて慌てて勉強する羽目になる」という、史実における顛末を考えると微妙にシャレになってない一幕も。

ナリタブライアン、マヤノトップガン、マーベラスサンデーといった面々が初期から居たため、登場希望として名前が挙がることは多かった。
アプリ1周年のタイミングで登場が発表され、さらにローレル主役のコミカライズ『スターブロッサム』も発表。
特定の1人にフィーチャーしたコミカライズは過去にポシャった案件はさておきドラマ性・知名度共に申し分ないオグリキャップ以来の案件であり、破格の待遇と言える。
なお、『スターブロッサム』の内容は冒頭からフランス挑戦を意識させる描写になっており、史実準拠で進む筋書きで「最後」まで描くとすればどういうラストになるのかは注目されるところ。
キャラとしては体質の弱さにも挫けずに頑張ってきた健気で明るい清純派お姉さんなのだが、ナリタブライアンに対しては一方的に激しい憧れ・拘り・執着を見せるのが特徴的。



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最終更新:2024年03月24日 20:09