スクルフィル自治国

2023/07/10 水晶戦争関連の記述を修正
2023/07/09 国旗追加

2023/05/16 水晶戦争の記述予定枠確保

スクルフィル自治国 Autonomous Scul Phill

南半球の超大国、クランダルト帝国の属国のひとつ。女王が国を治める君主国家だ。
小国ながら、独自のクリスタル技術を持つことにより高度な自治権を与えられているという。

 
帝国領のさらに北に位置する、エクナン半島がスクルフィル自治国の領土。
古くからクリスタルが多く算出され、スクルフィルの民がクリスタル技術を手にしたのもそのおかげといってもよいだろう。


国旗
公用語 スルクフィリ語
首都 サルァミン都
最大の都市 サルァミン都
通貨 クライ水晶貨
国歌 山の麓に
民族構成 スクルフィル系 80%

キャラクター・パレット

1:系 2~3:系 4~6:系

概要

クランダルト帝国の属国ですが、クリスタル技術を独占しており、帝国科学アカデミーをもうならせる不思議な魔導力を恐れられ
他の自治国と比べてかなりの自治権を持つ国家です。同じような境遇の国家としてが南パンノニア自治国ありますが、
南パンノニアには耳目省による監視の目が行き渡っているのに対し、スクルフィル自治国には総督府が置かれているのみです。
国民も独立意識が強く、母国を一独立国家として認識しているようです。

 

国政

属国なれどスクルフィルなり
君主制を採用している王国です。
代々女王が治める国として知られ、女王は『スクルフィル・ナ・スタル』の名前を受け継ぐ伝統が残っています。
惑星パルエの長大なタイムスケールから見てもスクルフィルの王国はかなり古参といってもよく、周辺民族からも一目置かれている高貴な王族で知られています。
この特異性と、同国の魔導力を巧みに外交に活かすことで帝国の属国ながら高度な自治権を有するに至っているというのが通説です。
クランダルト帝国によって総督府が置かれていますが、その建物自体が王宮の一部となっているのがまさにスクルフィルの"やり方"を象徴していると言っても良いでしょう。

政治体制
議会に相当するのが"王室会議"と呼ばれるもの。
選挙はなく、議員は王室関連者から有能で博識なものが定期的に選ばれます。
議会は国民に公開され、国民は3年に1回の投票により議員を退場させる権限を持ちます。王政民主主義に片足突っ込んだような、すこし妙な政治体制が特徴です。
いわゆるシビリアンコントロールの概念はなく、むしろ英雄と讃えられるような軍民が国民から人気のようです。
それもそのはず、スクルフィルの歴史は戦いの歴史でもありました。

女王セスティア
ラスティフロントで便宜上設定している"現在"、つまり590年台では"セスティア・スクルフィル・ナ・スタル"が国政を担っています。
代々保守的な傾向が強かったスクルフィルですが、南北の膠着した戦争がいつまでも続くわけがないとし、
来たる大崩壊に備えて自国産業の近代化と教育に力を入れた名君として名を馳せます。
 

地勢

住みよい気候
スクルフィル自治国があるエクナン半島は、"オシデントのゆりかご"とも称される好条件の気候と土壌、比較的豊かな植生に恵まれていました。
これはクラッツ寒帯林から南風に吹かれてやってくる涼しい空気の流れと、オシデント海の暖流から生み出される温かい気流、そしてジェット気流が複雑に絡み合い
温暖で適度な湿度と降雨をもたらしているものです。しかし、この地はもともと砂漠だったので土壌自体はまだまだ貧弱です。
そんな「あともう少し良ければ」というスクルフィルの国土に存在する戦略資源こそ「クリスタル(ラジネル晶)」でした。

クリスタルの埋蔵世界一
クリスタルはスクルフィル自治国で照明や動力源として使われています。
クリスタルは他国ではほぼ産出せず、加工/運用知識を持つのはスクルフィルの民だけです。
あまりに異質な技術系統が育ったので、古代技術に一定の知識のあるアーキル連邦や技術立国メル=パゼル共和国でさえ理解に苦しんでいるようで、ここ最近彼らはとうとうクリスタル研究を投げ出したようです。
このアドバンテージを最大限に活かすべく、スクルフィル自治国のクリスタル技術は門外不出とされています。

そもそもクリスタルとは
クリスタルは、浮遊機関の発する緑色のエネルギーが結晶化したものです。ラジネル晶とも呼ばれます。
アーキル連邦が何気なく使っている浮遊機関が実はクリスタル技術と近縁だった、というのは皮肉です。
浮遊機関は宙に浮くので、クリスタルにも浮遊力が詰まっているのかと考えがちですが、どちらかと言うとクリスタルには純粋なエネルギーが詰まっていると言ったほうが良いです。
このクリスタルや浮遊機関に使われている"エネルギー"は、高純度のエネルギーに結びつこう、同調しようとする声質を持っているので
浮遊機関を搭載した空中艦(もっぱらアーキル艦隊)が近づくと、機関はたちまち浮力を失い(エネルギーが昇華する)沈んでしまいます。
浮遊機関の発光部は不安定なので水に触れると暴発しますが、クリスタルは高度に洗煉されているので水をかけても問題ありません。
でも注意、火にかけると醜い石になってしまいます。
余談ですが、オデッタ人民国の古い地層にはクリスタルの原石が多く残っているようです。かれらもおそらくクリスタルの運用法を解明していたのでしょう…

 

歴史

スクルフィル自治国は、旧文明崩壊以後の新生パルエ文明では古参勢に相当します。
オデッサによって率いられたオーヂット帝国が滅亡した後、一部のオデッタ人がエクナン半島に到達し、クリスタル技術を伝えたと言われています。
スクルフィル人は過去に六王湖の諸民族を討伐し、エクナン半島に連行(エクナン捕囚)したりしています。
クリスタル技術はあっても、有力な空中艦隊を持たないスクルフィルは近隣国から調達した装備を改修し、独自流に改良、ミルフィーユのようないやらしい防衛戦を張って死闘を繰り広げました。
この帝国との戦いを決したのは、クリスタルの力でした。
クリスタルの発する波長が帝国軍の生体器官を狂わせ、帝国は大混乱に陥ります。
当然クリスタルを知らないクランダルティンはスクルフィルを魔女の使いと恐れましたが、同時にメンツが潰れるのを良しとしませんでした。
そこにつけ込み、「じゃあ属国になってあげてもいいよ、でも攻めないでね」と交渉したのがスクルフィルの外交のうまさと言ったところでしょう。スクルフィルが属国となる条約が締結されたもののその内容はほとんど対等なものであり、帝国の属国の中でも破格の高待遇を与えられました。
とはいえ実はスクルフィルも被害甚大で、王都の防衛戦力もほぼ底をついていたそうです。
外交とクリスタル、これこそスクルフィルの根幹にあるものだったのです。

南北停戦後

晴れて帝国から独立したスクルフィルは各国から旧式装備を譲り受け軍の近代化に成功し、冷戦期には自国で航空機を開発するまでになりました。
しかしこの頃になっても帝国の威厳の影は消えず、スクルフィルの女王は帝国の顔を伺いながらの外交しか行えず、国民や政治家の不満は高まっていきました。
そんな中エクナン半島の目と鼻の先にあるスクレン諸島を巡ってメル=パゼル共和国と大きく揉めてしまいます。もともとスクレン諸島にはクリスタル関連の民族伝説があり、スクルフィルにとって歴史的に重要な場所でした。しかし直接支配することはなく、あくまでも認識するのみにとどめていました。
メルパゼルも同地に関心を持ち、南北戦争中にカノッサへ向かう帝国軍の補給船に対する攻撃基地としてスクルフィルの黙認のもと運用されていました。
このような経緯もあり、スクレン諸島はメルパゼルとスクルフィル両国の影響を色濃く受けており、南北停戦後も所有権が明確に示されることはありませんでした。

しかし665年以降サンクトウラスノルクス大学地質学調査部が偶然大量のドブルジャガスを発見したことによりメルパゼルが大規模な投資を始めると、状況は一変します。ドブルジャガスは産出国の限られる重要な戦略資源であり、自国の軍艦の多くにこのガスを利用していたメルパゼルにとって、スクレン諸島の戦略的価値が急激に高まったのです。
これを受けたスクルフィルは諸島のメルパゼルによる独占を許さず撤退を要求しますが、メルパゼルは過去の協定に基づく正当な開拓であるとして断固譲りませんでした。
実はスクルフィルは、過去に領土問題で女王が帝国に譲歩した結果、民衆の大規模なデモ行動が発生した過去があり、今回は強気に出ざるを得なかったのです。
対するメルパゼルの頑なな態度に対し、スクルフィル国内では徐々に急進的な意見が台頭するようになります。

そうして666年7月、スクルフィルの空中警部艇がメルパゼル洋上調査船に威嚇射撃する事件が起き、両国の緊張はエスカレートしていきました。
翌年4月には同諸島にてスクルフィル人警備員とメルパゼル人警備員の銃撃戦が発生し、怪我人が出る事態に。さらに過激派の現地民がメルパゼル湾岸警備隊を差し退けて同地域にスクルフィル国旗を立てる事件も同時に発生。
一連の流れを受けたメルパゼルはスクルフィルの世論が過激化しつつあることを認識しましたが、本格紛争を避けるため同地に増強されたのは最小限で、とてもぼ桜栄出来るとは思っていません。
そんな中新しく首相に就任したナカセ・ナガトモは外務大臣にリヒト・トセを据えて対スクルフィル外交交渉を一任しました。スクレン諸島の要塞化も検討されましたが予算の都合上却下され、スクレン諸島をスクルフィルから租借する案が採用されました。しかしそもそも領有権の所在が決まっていない土地を租借することにスクルフィル側のカフィロ外務大臣は激怒し交渉は失敗。
この時スクルフィルの実権はナダル宰相が握っていたのですが、彼直々に空軍総司令官ファン大将に命令を下し、メルパゼルに対する本格的な武力行使の計画が策定されることとなりました。
後に言われる、水晶戦争の幕開けです。

水晶戦争

この交渉の後もスクルフィルは主権問題解決のため話し合いの席を設けましたが、メルパゼル側は終始時間稼ぎを行い会議は並行線だったため、交渉は決裂したと見なされました。
「メルパゼルに解決の意思がない場合、交渉を諦め自国の利益のため今後あらゆる手段を取る」という警告がスクルフィルから発せられましたが、メルパゼルも警告で応酬したため、話し合いによる解決の道は永遠に閉ざされてしまいました。
そして668年3月20日にスクルフィルはメルパゼルに宣戦布告し、ここに戦端が開かれました。

この戦争でスクルフィルは増強した空軍を用いて防備の薄いスクレン諸島を早期に奪取し、長大な航続距離を持つ航空機でメルパゼルに対しゲリラ的な攻撃を仕掛けます。
双方が航空母艦を持ち対艦ラケーテを運用する大規模な会戦が勃発しました。
しかし、最後の会戦でスクルフィル空軍が機能を喪失する頃には、女王の復権を求める一派はリューリア協商に講和の仲介を依頼し、政府転覆の動きが起き始めます。
最終的にメルパゼルが航空優勢とスクレン諸島を確保し、スクルフィルにて民衆デモが発生しナダル宰相が辞任に追い込まれたことで両国は講和に傾きました。
両国が戦意を喪失しつつあることを察した周辺国は戦争の早期解決を求め始め、パンノニアに至ってはメルパゼルに対しドブルジャガス関連の経済制裁をチラつかせました。そして668年9月19日に最後の拠点マリミドリ飛行場が陥落したことをきっかけにリューリア協商の仲介のもと和平交渉が開始され、9月20日に復権したスクルフィル女王が戦争終結を宣言し、スクレン諸島は正式にメルパゼルの領土となりました。

ナダル宰相の辞任によって講和の翌年スクルフィル・ナ・スタル28代が女王として正式に即位し、スクルフィルは立憲君主制に移行しました。
敗戦したスクルフィルは軍事的、経済的な損害が大きく、講和を仲介したリューリア協商に加盟し、経済的援助のもと国内の復興に努めました。
戦後スクレン諸島はメルパゼルの戦前を上回る大規模投資により目覚ましい発展を遂げることになります。

スクルフィルの大まかな5つの区画
鉱山区 クリスタルを採掘する
加工区 加工職人の仕事場
城下区 貴族や大体の国民が住んでいる
第一農場区 主に畑など
第二農場区 主に畜産など

最終更新:2023年07月10日 10:30