ふたば系ゆっくりいじめ 1225 外の世界でデビュー

外の世界でデビュー 18KB


現代 独自設定 東方キャラ出演 虐待描写自体は薄め


「ゆっくりしていってね!」
 突如現れた巨大なゆっくりれいむとゆっくりまりさ。
 大きさは、ドスまりさよりも遙かに大きく、底部から頭頂までが10メートルには達し
ている。
 それでも、人間たちは最初、ドス種の突然変異か何かであろうと考えた。要するに馬鹿
でかい饅頭であろう、と。
 この二個の巨大饅頭が出現したのは、とある郊外の街。
 物珍しさに、人々が集まってきた。
 それだけ巨大なので、危険性を考える者もいなかったわけではないのだが、どんなにで
かいといってもそれはどう見ても「ゆっくり」であった。
 大半の人間は、ゆっくりを恐れない。
 通常の種は当然として、ドスまりさすらそうである。
 巨体とドススパークという武器を持つドスまりさをリーダーにして、ゆっくりたちが人
間に反抗したり或いは協定を結ぼうとしたりしたのは今は昔であった。
 既に、ゆっくりたちは人間に徹底的に叩かれ、管理下に置かれ、完全な上下関係を構築
したのちに「共存」関係となっていた。
 各地には、ドスまりさを長とした「群れ」があり、それらがゆっくりは人間に逆らって
はいけないことなどを子供に教育している。無論、強制されたもので、その教育カリキュ
ラムには人間の手が入っていた。
 不満はあったが、仕方ないことと諦めていた。諦めずに、少しでも反抗的な態度をとっ
たものはそれこそゴミのように殺された、殺されたというより、処理された、と言った方
が正確だ、というぐらいにあっさりとやられた。
 言うことを聞いていれば居住していい場所を与えられて、ある程度の自治を許されるの
だから御の字だと、ドスたちは思っていた。もちろん、ドスたちがそういう考えになるま
でに凄まじい数のドスが永遠にゆっくりさせられていた。
 人間に明らかに害になると見なされたドスとゆっくりの掃滅が済んだあと、人間たちの
中でも生き残ったゆっくりへの扱いについては色々な意見があった。
 ゆっくりは全て殺せ、絶滅させろ! と叫ぶ者たち。
 これは、人間が本腰を入れていない頃に、ドスまりさのドススパーク等に脅かされた人
間たちが多かった。この際、全てやってしまえというわけだ。
 ゆっくりを保護すべきだ。もう殺してはいけない! と叫ぶ者たち。
 これは、いわゆる愛護派である。彼らは、敵対する姿勢を見せるドスとゆっくりを殺す
ことにすら難色を示したような人間なので、皆殺しなど到底承服できなかった。
 この両者の議論は熱を帯びて注目を浴びたが、声がでかいから目立っていただけであり、
決して多数派ではなかった。
 そして、結局落ち着いたのは、敵対するゆっくりは殺して、従順なゆっくりはある程度
保護する。というところであった。その保護の中に、敵対の芽を摘む教育を含むのは既述
の通りである。
 そんなわけで、人々はここ最近、人間に従順なゆっくりばかりを見てきていたために、
その辺の感覚が麻痺していたのかもしれない。
「ゆっくりとぶよ!」
「ゆっくりとぼうね!」
 だから、巨大れいむとまりさが、そう言うが早いか飛び上がり、自分たちの上に落下し
てきた時には呆然としていた。
「ゆっ! ゆっくりとまるよ!」
「ゆっくりとまったね!」
 れいむとまりさは、人間たちの頭上、つまり空中で停止した。
 人々はほっと胸を撫で下ろす。そして、あのままあいつらが落ちてきたら、自分たちは
タダでは済まなかっただろう、と思うと恐慌をきたして逃げ惑った。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってもいいのよ!」
 そんな人間たちを尻目に、巨大ゆっくりたちは、ゆっくり特有のにへらっとした笑みを
こぼした。
 それは、人間の管理統制下に置かれて制限されたゆっくりに甘んじているゆっくりたち
が久しく見せたことのない、とてもゆっくりした笑顔であった。
 巨大ゆっくり二個出現の報はすぐさま広まり、人間はとりあえずとっ捕まえて調べよう
という結論に達した。
 だが、大きな網を被せたところ、逃げられた。
 網の目はそこそこ細かく、とても巨大ゆっくりが抜けられるものではない。それにも関
わらず、逃げられた。
 まずまりさの方に網を被せた。
「ゆっ、ゆっくりとらわれたよ」
「ゆっ、とらわれまりさはゆっくりできないね」
 さて、次はれいむに、と捕獲チームが取り掛かろうとしたところ、まりさが網から抜け
た。
 遠くから見ている者には、本当にするりと抜けたようにしか見えなかった。その者たち
は一様に信じられないという顔をしたが、間近で見ていた者たちはさらにそんな顔であっ
た。
「ゆっくりところてん」
 まりさがそう言いながら、まさにところてんのように体を寸断されつつ網を抜けたのだ。
 抜けたそばから、断たれた箇所はくっついて、遠目にはまったく網がないかのようにす
り抜けたようにしか見えなかった。
「おお、ところてんところてん」
「なつばはやっぱりところてん」
 呆然としつつも、人間たちは、とにかく予定されていた行動を咄嗟に再開し、今度はれ
いむに網を被せた。
「ゆっくりうにょーんってするよ」
 だがれいむは、穴の一つをすり抜けた。
 小さな穴に、れいむの体が縮こまって入っていき、あっさりと抜けたのだ。
「ゆっくりぬけたよ!」
「せつめいしよう、れいむははりのあなでもうにょーんしてとおりぬけることができるの
だ」
 常識ってなんだろう、という根本的な疑問を発せざるを得ない不可解な生き物というか、
もう既に生き物なのかなんなのかわかんない物体に、捕獲チームは撤退するしかなかった。
 巨大ゆっくりたちは、人間がいなくなると、
「ゆっくりしていってね!」
 と言いつつ、人間のいる方へとやってきた。跳ねたりするのではなく、すいーと空中を
飛んでくるのだから不気味極まりない。
 とりあえずちょっと弱らせろ、ということになり、対ドス用のチームが呼ばれた。
 長射程ライフルによって、からから弾と呼ばれるゆっくりにとっては猛毒に等しい辛味
成分で作られた弾を撃ち込んだ。なにしろ馬鹿でかいので面白いように当たった。
「おお、げきからげきから」
 しかし、全く堪えていないのであった。
 さらに、捕獲チームの者の証言から、どうもあいつらの中身は餡子ではないということ
が判明し、そもそもあれはゆっくりなのかどうかというレベルでの疑問が噴出した。
 巨大ゆっくりたちの行動は以後も変わらなかった。人がいる方へいる方へとやってきて、
人間がなんらかのちょっかいを出すと、どことなく嬉しそうに、ゆっくり○○だよ、とか、
おお、○○、○○、と言った感じのお決まりの台詞を吐いてにへらっと笑っているのだ。
 人間側の対応もエスカレートしていった。とにかくまったく効果がないのでエスカレー
トせざるを得ない。
 戦車が出撃した時、大半の人間はとうとうこれで終わりだ、と思った。
 あまりにも不可解な物体の対応に疲れ果てた人々は、捕獲して調査をとかいう気持ちよ
りも、とにかくさっさと始末してしまえという気持ちになっていた。
 戦車の主砲が火を噴いた。
 弾は、巨大れいむに当たり、れいむの右上、全体の約四分の一にあたる部分が消し飛ん
だ。
 そしてその際にその中身が黒く見えるものの、餡子ではないというのがはっきりとした。
なんだかわからぬが、強いて言えば、ただの闇であった。
 しかし、とにかくれいむの体を欠損させることができた。やはりさすがに戦車の主砲に
はかなわぬらしい。人々は安堵した。
 だが、異変はすぐに起こった。
 れいむの欠けた部分は決して消えて無くなったわけではなく、小さくなって飛び散って
いたが、その小さな欠片がもごもごと変形し、小さなれいむになったのだ。
「ゆっくりはじけたよ!」
「おお、なかまがたくさん」
「ゆっくりしていってね!」
 その小さな――と言っても、いわゆる普通のゆっくりれいむと比べたらやや大きいが―
―れいむたちは、がやがやと騒いでいたが、やがて巨大れいむが、
「ゆっくりもどってね」
 と言うと、我先にと空を飛んでれいむの欠損部分へと殺到した。
 接触すると、すぐさま小さなれいむたちは巨大れいむの体の一部へと戻り、ものの一分
程度で巨大れいむは完全に元通りになった。
 人間は絶望した。
 核兵器――。
 その選択肢を思った者も少なくなかったが、しかし、果たしてアレは本当にそんな大そ
れたものを使うべき存在なのであろうか、という逡巡もなお残っていた。
 とりあえず、巨大ゆっくりたちは好き勝手に動き回って人間を驚かせているものの、ま
だ死者は出ていない。
 既に十分にパニックは起こっているが、これで死人が出る、つまりあいつらが人を殺す
のだ、ということがはっきりすれば収拾不能の大パニックが起こるであろう。
 人間の恐慌ぶりを横目で見つつ、人間によって群れの統率を任されていたドスまりさた
ちは、様子をうかがっていた。
 そして、突如現れた巨大ゆっくりたちに恐ろしい人間の兵器ですら効果が無いようだと
知ると、遂に立ち上がった。
 ドスたちは、現在の境遇に満足していたわけではなく、反抗する機会があれば反抗した
かった。しかし、そんな機会など未来永劫訪れるはずもないと思っていた。
 今こそ好機到来、これを逃せばこれほどの好機は二度とないのではないか、というぐら
いの好機であり、それゆえその蜂起は拙速なのは否めなかった。
 人間に群れを任されている長ドスのうち、実に八割が立ち上がった。残りの二割は、人
間への恐怖から、その巨大なゆっくりとやらも、結局は自分たちのように人間が本気を出
したらやられてしまうだろうと思ったものや、そもそも、人間の兵器が通用しないという
ような情報を信じなかったもの等であった。
 とあるドスが、群れのものを前に演説する。
「ゆっくりしないでたちあがるよ! ゆっくりするための戦いだよ!」
「「「ゆーっ!」」」
 群れのゆっくりたちが、それに応える。
「にんげんさんの武器もきかない、ドスよりも大きなれいむとまりさは、きっとゆっくり
の神様に違いないよ。にんげんさんが、あまりにゆっくりをいじめてゆっくりさせないか
ら怒って助けに来てくれたんだよ!」
 と、まあ、不可解な物体二個については、ゆっくりの多くはこのように解釈していた。
「それじゃあ、行くよ!」
「「「えいえい、ゆぅーっ!」」」
 ドスまりさを先頭に、口に棒などの武器をくわえたゆっくりたちが続く。どこの群れで
も大同小異な出来事があり、ゆっくりたちの解放戦が始まっていた。
 人間たちは、対応に戸惑い、とりあえず逃げた。政府も避難勧告を出した。
 ドスたはたちは口々に、あの巨大ゆっくりは自分たちの味方であると言っていた。とり
あえず真偽不明のため、そうであることを考えると下手に手を出して、あの巨大ゆっくり
を刺激するのはまずい、ということでとられた処置だった。
「やったよ! ゆっくりプレイスを取り戻したよ!」
「ゆっくりできるよ!」
「ゆっくりしていってね!」
「かみさまのおかげだよ!」
「ゆわーい、ゆっくち! ゆっくち!」
「こっちにごはんがたーくさんあるよ!」
「ゆっ! ほんちょだ!」
「みんなでむーしゃむーしゃしようね!」
 街を占領したゆっくりたちは大喜びで、鍵の閉まっていない家に入っておうち宣言した
り、スーパーなどの店の商品を食べ散らかしてゆっくりした。
 なにしろ、寿命の短いゆっくりである。
 人間の管理下に置かれる前に生きていたゆっくりなど、長命のドスを除いて死に絶えて
いる。
 人間から与えられるゆっくりではなく、自分たちで好き勝手にするゆっくり。これこそ
が「本当のゆっくり」である、とゆっくりたちは興奮していた。
 だが、この巨大ゆっくり騒動。唐突に終わりを迎える。
 どうにもならぬ事態に、今更ながら、あの巨大ゆっくりと交渉しようということになり、
政府の人間が巨大ゆっくりに近付いて声をかけた。
「君たちの目的はなんだ?」
「ゆっくり世の中にカオスをふりまくよ」
「おお、カオスカオス」
「……君たちの中身は、なんなんだ?」
「れいむの中身はれいむだよ」
「まりさの中身はまりさだよ」
「……」
「強いていえばカオス」
「おお、カオスカオス」
 対応にあたった人間は、カオスなんてもんじゃねえぞ、と思いつつ、さらに一番重要な
質問をさらりと切り出した。
「今、ドスまりさに率いられたゆっくりたちが反乱を起こしている。それらは皆、君たち
は自分たちの味方だと言っているが、それは本当なのかい?」
「れいむは群れないよ」
「おお、孤高孤高」
「……つまり、仲間じゃないんだね?」
「れいむの仲間はまりさだけだよ」
「まりさの仲間はれいむだけだよ」
「「おお、仲間仲間」」
「……そうか」
 だとすると、ドスたちが勝手にそう思い込んでいるだけか、ハッタリであろう。懸念の
一つが解消されて、人間はほっとした。
 しかし、もう一つの、最大の懸念が残っている。
 言うまでもない、この巨大ゆっくりどもである。こうして話してみると、それほどの敵
意は感じられないのだが、なにしろ何を考えているのかわからず、ちょっとやそっとの攻
撃では効果が無い。
「君たちは、どこから来たんだ? どこかの山奥にでもいたのかい?」
 そもそも、こいつらはなんなのか。それを探るのも、その人間の重要な任務であった。
「れいむたちは、神社のそばに住んでいるんだよ」
「今日は外の世界にデビューしたんだよ」
「外の世界? ここのことか」
 人間が訝しげに呟いたその時、空が割れた。
 そうとしか思えなかった。空間に亀裂が入りそれがぱっくりと開いたのだ。
 それを間近で見たその人間は、その時見た幾つかのことを、全て白昼夢と考えようとし
たが、それは確かに彼の目の前にあった。
 空間の裂け目、そしてそこから無数の目に見えるような何かがこちらを見つめていた。
 ぞっとした次の瞬間、その裂け目にひょいと現れたものに、彼はさらにぞっとした。
 一見、女であった。どこかの民族衣装だろうか? 妙な服を着て金髪で帽子をかぶり扇
子を持っている。
 その扇子によって顔の下半分が隠れていたが、見えている上半分だけで、それが絶世と
言っていい美しさなのはすぐわかった。
「迷惑かけたわね。すぐ連れて帰るから」
 落ち着いた声が、扇子の向こうから聞こえてくると、巨大れいむとまりさは見えざる力
で引っ張り上げられて空間の裂け目に引きずり込まれていった。
「ゆっくり強制送還されるよ! ゆっくりできないよ!」
「ゆっくり楽しんでいただけましたでしょうか?」
 巨大ゆっくりたちは、そんなことを言いながら裂け目に消え、裂け目もまた、すぐに閉
じてしまい、あとには、何もない空間だけが残された。
 呆然としている人間のところへ、少し離れたところから事態を見守っていた人々が駆け
寄ってくる。
 その足音、声は聞こえていたが、彼は裂け目のあった空間を凝視し続けていた。
「……靴下食べたい」
 一瞬垣間見た怪異に魅入られた彼は、遂に生涯を独身で過ごした。

「まったく、どうやって外の世界に行ったのよ」
「ゆっくりにふかのうはないよ!」
「強いていうならカオスロードから!」
 キリッとした顔で言う巨大れいむとまりさに、扇子を持った美女はため息をついた。
 こことは別の幻想の郷に住まうスキマ妖怪の彼女は、ただでさえ神クラスの力を持つ者
がひしめくあちらの世界でトップクラスの実力者であったが、このカオスの使者を標榜す
る、知り合いによく似たでっかい顔型生物のことは持て余し気味であった。
「まあ、とにかく、もう行ったら駄目よ。みんな全然楽しんでなかったでしょ」
「ゆぅ……ゆっくりできないよ」
「デビュー戦なのに散々な結果だよ!」
 一応、この連中の目的は……容易に信じられぬことだが、カオスを振りまいてみんなを
楽しませることである。
「まあ、あんだけ大騒ぎになったのに死人が出てないのはさすがね」
「死んだらみんなドン引きだよ!」
「おお、ころさずころさず」
 キリッとした顔のれいむとまりさに、美女は苦笑する。
 実は、あちらの世界では、こいつらはそこそこ人気があったりする。
 既述のごとく、神クラスの力を持つ者すら普通に住んでる世界なので、こいつら程度の
ものならば人間もそう怖がらないし、あんまり度を外すようだと、こいつらによく似た顔
をした巫女やら魔法使いが異変扱いしてボコる。
 で、そのボコられているのを見て他の連中はそこそこ楽しんでいるのである。
「外の世界の人たちもゆっくりしてほしいよ」
「ゆっくりしていってね!」
「はいはい、あんたらがいなくなって、ゆっくりしてるでしょうよ」

 だがしかし、人間たちはまったくゆっくりしていなかった。
 多くの目撃者がいるものの、空間がいきなり裂けてそこに巨大ゆっくりが飲み込まれた
という話は見ていない者には受け入れにくい話だった。映像を撮るべくカメラが回ってい
たのだが、どれもこれも、その部分だけが何も映っていないのだ。
 巨大ゆっくりと会話した者の証言で、巨大ゆっくりに呼応するように起こったドスまり
さたちの反乱は、実はドスたちが勝手に巨大ゆっくりを味方と思い込んでのことだと判明
したのは大きな収穫であった。
 ゆっくりに家を追われて避難していた人々から、いったいいつまでこの状態が続くのか
と不満と不安の声が上がっており、政府はドスまりさたちの味方でないにしても、またあ
の巨大ゆっくりが現れるかもしれないので、それに注意しつつ、ゆっくりの反乱鎮圧に踏
み切った。
「むーしゃむーしゃ、しあわせー」
「ゆっくりおひるねするよ、ゆぴぃ~」
「れいみゅのいもうちょ、ゆっくちうまれてにぇ!」
「まりしゃのいもうちょ、きゃわいいのじぇ~、はやくすーりすーりしたいのじぇ~」
「ゆーゆゆー、ゆーゆゆー、ゆーゆーゆー、おちびちゃんたち、ゆっくりうまれてね」
 ゆっくりたちは、思い思いにゆっくりしていた。
 頭から茎を生やしたものが多い。
 人間の管理下では、厳しい子作り制限があり、それを超えたものは容赦なく間引きされ
た。しかも、今後そのようなことをしないように、親の目の前で或いは親自身に引導を渡
させることもあった。
 人間からの解放は、まずなによりも自分で好きな時に好きなようにゆっくりすることで
あったが、その内でも、好きなだけ子供を産むことはその最たるものとゆっくりたちは思
った。
 人間が置いていった食べ物がたくさんあり、食料の心配は無かった。
「よし、やれ」
 声が聞こえた。
「ゆ?」
 茎に十匹もの小さな命を宿したゆっくりれいむは、その声の方を見た。
 人間がいた。
 だが、もう人間は恐れる存在ではない。
 れいむは、ゆっくりしていた。
 教育によって人間がいかに恐ろしいものか叩き込まれていたはずなのに、そんな記憶は
既に薄れつつあった。
 人間が持っているのは、銃という道具で、あれを使うことによって人間はドスまりさす
ら簡単に殺してしまうのだと教え込まれたはずなのに――。
 そのれいむは幸福であった。
 一発目の銃弾で中枢餡を破壊されて、ゆっくりしたまま死んだのだから。
 人間が反撃してきた、という知らせはすぐに長のドスまりさのところへ届いた。
「みんな、ゆっくり戦うよ! がんばっていれば、かみさまが助けに来てくれるよ!」
 ドスは自ら先頭に立って、人間が出たという方向へ向かって跳ねた。
「いた!」
 人間の姿を見つけたドスは、ドススパークを撃とうとした。
「てーっ!」
 だが、その暇は無かった。無数の銃弾がドスの体に突き刺さった。しかもそれは全てか
らから弾であった。ドスといえど数発撃ち込まれれば苦しんでのたうちまわるそれを数十
発。
「い、いだいぃぃぃぃ!」
 通常のドスハントならば、ここまでからからを撃ち込んだら、後はドスが死ぬのを待つ
ばかりである。
 しかし、今日は通常ではなかった。とにかく速やかに反乱を起こしたゆっくりを殲滅せ
よとの命令を受けているのだ。
 バズーカ――対戦車ロケット砲が火を吹いて、ドスまりさは四散した。
「撃て!」
 人間たちは、全く容赦がなかった。決して油断するなとも厳命されている。ドスまりさ
が死んだ後も、銃弾をばらまいて残ったゆっくりを殺していった。
「やべ!」
「いぢゃ!」
「おちびぢゃ!」
 悲鳴を上げきる暇も無い。オーバーキルもいいところである。
 ゆっくりは大体「ゆっくり○○するよ」などと、何を言うにもまずゆっくりと言うこと
が多い。
 だから、断末魔としてはゆっくりの言いかけの「ゆっぐ!」というのが一番多かった。
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
「ゆっぐ!」
 銃声に混じって、絶え間なく声が上がる。
「みんながんばってね! もうすぐかみさまが助けに来るよ!」
 どのドスまりさも、そう言って皆を鼓舞した。しかし、頑張ろうにも、頑張りようがな
いほどに人間の攻撃は性急で強力であった。
 皆を鼓舞していた当のドスまりさ自身が、真っ先に的にかけられて死んでいく。
 そしてかみさまは助けに来ないと絶望したゆっくりたちに、人間から講和の申し出が来
る。
 皆殺しを覚悟せざるを得なかったゆっくりたちは否応なしにそれを受けた。
 ゆっくりたちに荒らされたよりも、ゆっくりを攻撃した際の流れ弾が家屋等に与えた損
失の方が大きいと知った人間たちは、あの巨大ゆっくりも現れないようなので方針を変え
たのだ。
 九死に一生を得た……つもりだった講和に応じたゆっくりたちは、人家の無い場所に集
められて、コスト的にも効率的に処理された。
 そして、このことで、どのように教育をしても、奴らは機会あれば背くのだという認識
に達した人間たちからの締め付けはさらに厳しくなり、与えられるゆっくりももはや最低
限の慈悲と言ったレベルにまで落ちたのであった。

                                    終わり


 カオスと言ったらFF1のラスボスなのるまあきだよ。ゆっ。

 前回つけんの忘れた過去作品



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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • このゆっくりどもは何が不満だったんだろうなぁ。人間に逆らいさえしなければ、山や森で問題無く暮らしていけるのに。
    すっきり制限たって、全くガキが作れないわけじゃないだろ。気まぐれに虐待虐殺されてた頃より遥かにましなはずなのに。 -- 2012-09-20 00:34:20
  • ごちゃごちゃ抜かしてんじゃねぇこのダラズが! -- 2011-09-02 03:39:34
  • でも紫様のおぱんつならちょっと舐めたいかも -- 2010-12-03 01:44:42
  • 東方厨ってこええなぁ
    死ねばいいのに -- 2010-12-02 14:21:43
  • 罪袋がいっぱいいるこわい -- 2010-08-16 19:55:17
  • 紫んの靴下だと!?私には最高のあまあまだぞ!!それをゆっくりせずにこっちに寄越せ!!早くしてね!!グズは嫌いだよ!!
    ダメならパンツでも良いよ!!私は正常だよ!! -- 2010-07-14 03:47:47
  • ゆかりんは少女臭だよ。少女臭の良さがわからないなんて病院で精密検査してこい。きっと脳に悪性の腫瘍がある。 -- 2010-07-13 23:45:55
  • 紫様登場。紫様の靴下は食べたくないよ。だって、くさ...ピチューン -- 2010-07-12 07:40:24
最終更新:2010年05月25日 13:53
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