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エネミー・ゼロ - (2015/10/09 (金) 16:43:11) の1つ前との変更点

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「[[修正依頼]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。 ---- *エネミー・ゼロ 【えねみー・ぜろ】 |ジャンル|インタラクティブ・ムービー|CENTER:&image(http://www.famicom.biz/all/catalogue/4974365091323.jpg,height=160)&amazon(B000092P5Q)|~| |対応機種|セガサターン&br()Windows 95/98|~|~| |発売・開発元|ワープ|~|~| |発売日|【SS】1996年12月13日&br()【Win】1998年11月28日|~|~| |価格|【SS】6,800円(税抜)&br()【Win】9,800円(税抜)|~|~| |廉価版|サタコレ:1997年12月11日/2,800円(税抜)|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|~| |ポイント|''ガチで生きるか死ぬかの高難易度''&br()限りなくクロに近い名作のパクリ疑惑&br()シナリオには疑問符&br()飯野''「プレデターもエイリアンも知らなかった」''|~|~| **ストーリー -貨物宇宙船ヴィークル・ジ・アキの女性乗組員ローラが主人公。ローラの乗る宇宙船は地球への帰途にあり、航海は長年に渡るため乗組員はコールドスリープされていたが、宇宙船に非常事態が発生し、ローラは目覚める。非常事態の原因は、生物兵器として利用するために乗組員にも知らされず輸送されていた「エネミー」と呼ばれる宇宙生物が、檻から脱走したためであった。次々とエネミーに殺されてゆく乗組員たち。プレイヤーは、透明で目に見えない「エネミー」と戦いながら宇宙船内を探索し、脱出するのが目的。 --エネミー・ゼロのテーマとして「デジタルの悲しみ」という宣伝文句が連発されていたが、実はこれ自体がある重要な設定のネタバレとも言える。 **インタラクティブ・ムービー -当時ゲームにムービーを挿入することは一般的になっていたが、エネミーゼロでは『Dの食卓』を踏襲し、室内を探索するシーンを全て3DCGのムービーで構成している。一歩歩く度にムービー再生。物を取ったり調べる度にまたムービー再生という具合。ある意味進化したLDゲームみたいなもの。 --実質的にはアクションアドベンチャーゲーム。しらみつぶしに探索する必要があるにも関わらず、かなりだるい。 -移動・戦闘は3DRPGの迷宮とFPSの動きを合わせたような感覚。 **高い難易度 -前述の通り、エネミーは透明で目に見えない。生体反応を感知し音で知らせるVPSによって、プレイヤーは音でエネミーの前後左右の位置、距離を探知する。エネミーが複数いる場合はそれぞれ同時に音が出るので聞き分けることが必要。 -プレイヤーの武器はエネルギー銃。構えた後にボタン長押しで貯めて、離すと撃つ。 --…だが、このエネルギー銃は極端に射程が短く、エネミーをギリギリまで真正面に引きつけて撃つ必要がある。その上溜めが長すぎても短すぎても不発になるので溜め始めるタイミングも見計らう必要がある。 --成功すれば一撃でエネミーを倒すことができるが、こちらもエネミーに攻撃されれば即死する。一度外してしまえば2発目を撃つか逃げることは初心者には難しい。まさに「生きるか死ぬか」のやりとりである。死亡すればゲームオーバー。 -初期のエネルギー銃は撃つたびにエネルギーを消費し、エネルギーが無くなると特定の場所にあるガン・チャージャーで充電する必要がある。 --その上、難易度ノーマルにおいてはエネルギー銃の弾数は最多でも5と心もとなく、ハードモードだとさらに''入手時は残弾ゼロ、さらに全ての銃の最大弾数が少なくなると、高難易度に追い討ちをかける''。 --生き残るためには必然的にしょっちゅう充電に戻ることになるのだが、このチャージャーの設置場所はあまり多いとはいえず、シナリオの進行具合によっては充電のためだけに長い距離をエネミーに怯えながら進んだり戻ったりしなければならない。 ---その「装弾数5発の銃」は最初期に手に入るのだが、序盤のイベントでなんと''敵の襲撃で落としてしまう。''幸いストーリーを進めていけばすぐに次の銃が手に入るのだが、その次の銃は''最初の銃から最大弾数が減っており、最大3発しか装填できない。''ハードでは泣く子も黙る''装弾数1。''とことんシビアである。 --エネミーはマップを切り替えるたびに無限に出現するので、いちいち倒しているとすぐ切れる。敵を倒すだけでなく、戦闘を回避するスキルも求められる。 --ゲーム後半では、「見えるエネミー」が登場。見えるエネミーは小さなイモムシのような姿をしており、姿が見える上に銃をさほどチャージしていなくても殺せる。しかし、こいつらは''逆に数で押してくる。''当然、VPSにも反応する。 --そのため、後半はVPSはほとんど''耳元で鳴り止まない。''それに加えて、今までの通常エネミーの数も増える。発狂モノの難易度である。見えないエネミー、あるいは見えるエネミーしかいない階層はまだいいものの、混在する階層では常に緊張と集中を強いられる。 ---さらに厄介なことに、後半はマップの大半が細い通路で構成されており、ほぼ''「戦闘を回避できなくなる」。''そのためか、救済措置として終盤にはチャージの必要がない弾数無限の銃が手に入る。それでもキツい。 -セーブはボイスレコーダーにローラが録音するという設定で行われるのだが、セーブまたはロードするたびにバッテリーを消費し(ちなみにセーブで4、ロードで2消耗)、バッテリーが尽きるとセーブもロードもできなくなる。ゲームオーバーまたはリセットしてロードするだけでも消費するので、何度もやり直すということはできない。 --このようにプレイヤーをさんざんバッテリー切れの恐怖に怯えさせた上で、ストーリー上終盤で命綱のVPSのバッテリーが尽き、絶望することに…という演出もある。 --もちろん、このボイスレコーダーのバッテリーも難易度によって初期残量が全然違う。ハードモードだとなんと''16''しかない。 -難易度が高すぎるため、ストーリーの核心を見ることができなかったプレイヤーにクソゲーの烙印を押されることに。 -サタコレ版、PC版では難易度を下げたモードもある。 **良い点 -戦闘の緊張感。たった一体の敵と戦うだけでプレイヤーがこれほど心臓バクバクさせるゲームは他に無い。 --日常生活でも「耳元で電子音が聞こえてくる」という重病プレイヤーも出た。 -戦闘だけではなく音にはこだわっていて、室内のノイズまで再現している。基本的にゲーム中のBGMはないが、マイケル・ナイマンのピアノがイベント要所を盛り上げてくれる。 -「[[エヴァンゲリオン>新世紀エヴァンゲリオンシリーズ]]のように世界観を作り込みたかった」という細かい設定。ゲーム内の端末に表示される情報などかなり作りこまれている。 --それだけに要所要所の作り込みのあらは惜しまれる。 -ナイマンのBGMは素晴らしく、要所要所でゲームの雰囲気を引き立ててくれる。 **悪い点 -一部の微妙な演出。 --イベント(特に悲観的なシーン)がいちいちくどいので、見ていてウンザリしてしまう。 --終盤の自分も寄生されていたことが発覚するシーンがいろいろ不自然(前述したくどいシーンの一つでもある)。 --ムービーのテンポが一部悪いところがある。 --ラストの小型艇で脱出するムービー。カタパルトを疾走するわけだが、やたら長い上に曲がりくねっていてあまりに不自然。ジェットコースターじゃあるまいし。 ---しかも船の外観からして、あのクソ長く蛇行ばかりの通路が収まりきれるわけがない。 -室内では移動、調べる、全ての行為がムービーとなり、スキップする事は出来ない。テンポが悪く、イライラを感じる場面も少なくない。 --前述したガン・チャージャーによる銃のエネルギーチャージにもムービーがいちいち挿入される。銃のチャージは頻繁に行う必要があるので、かなりイライラ。 -やや超展開な場面もある。 --主人公が無口でキャラが掴みにくく感情移入もしにくい(一応、無口なのには設定上の理由があるのだが)ため、理解に手間取る。 -走るとやたらと視界が上下に揺れる。酔うこと必死。 -しかしこのゲーム最大の問題は、''あまりにも既存の作品に酷似している部分があるところであろう。'' --「謎の生物を捕獲し地球に持ち帰ろうとするものの、生物は恐ろしい力で乗組員たちに牙を剥き、乗組員と謎の生物の戦いが始まる…」~ これだけのあらすじからもわかるように、ストーリーの骨子はかの有名なリドリー・スコットの『エイリアン』もろそのままである。 ---あらすじのみならず、導入部の1シーンにおいて宇宙服のヘルメットにコンソールパネルの光が映り込む等、『エイリアン』そのままの演出まで用いられている。 --ネタバレになるが、乗組員の中に混じった人型のアンドロイド、船を自爆させ脱出艇で生還など、無印エイリアンとの類似点は多い。 --「ステルスを用いるエイリアン」という設定は『プレデター』『禁断の惑星』を思い起こさせる。もっともエネミーは狩猟民族でも誰かの妄念の具現でもないが。 **その他 -作品の良し悪しよりワープ社長・飯野賢治氏の言動で有名になってしまった。 --当時、PSソフトの出荷はSCEが完全に管理していたのだが、PS版『Dの食卓』では当初ワープに約束した出荷本数を大幅に下回る本数しか出荷しなかった。3DOからの移植と言う事で需要を大きく見誤ったのと、増産の速度を過信したためであったが、結果として年末商戦で売り切れが続出、販売機会を大きく損失してしまう。これによりワープはSCEへ強い不信感を持つ事となった。 ---この意趣返しとして、当初はプレイステーションで発売する予定だった本作は、プラットフォームをセガサターンに変更する事となったのだが……なんとそれを&bold(){SCE主催の「プレイステーションエキスポ」で}PSのマークがSSのそれにモーフィングする挑発的演出で発表してしまった。 --飯野氏もコラムを書いていた「ゲーム批評」の誌上で本作が酷評され、飯野氏は連載を取りやめた。 --また、飯野氏は本作のパクリ疑惑に対し、「パクリではない」「『エイリアン』や『プレデター』を知らなかった」という稚拙な弁解をした。 --これらの飯野の言動により、それまで飯野側についていたファンの多くを失う結果となってしまった。 -1997年7月18日には映像の無い音だけの作品『リアルサウンド ~風のリグレット~』を発売したが、「10点満点か評価不能か」発言とともにさらに物議をかもすことに。 -ムービーのキャラの口ぱくがアヒル口に見えるのがネタにされる。 -余談だが、飯野はナイマンをホテルの一室で約6時間かけて口説き、このゲームのサウンドを担当させたらしい。 -クリーチャーデザインは「牙狼-GARO-」「仮面ライダー電王」で有名な韮沢靖…''ナイマンといい、無駄に豪華スタッフ。'' エネミーの全体像なんてちょっとしか見る機会がないのに…。 -宇宙船の外観は人間の心臓をイメージした独特のものであり、血管などをあしらった四つのタワーに宇宙船の機能が分散しているという設定は劇中でも生きている。 -一部で有名ではあるが、この作品には''『20万円限定版BOX』''という恐らく業界No.1の値段を誇る限定版が存在する。注文は電話のみ、20個限定で値段はもちろん''20万6000円''(消費税3%込み) --限定版に関しては''飯野賢治氏が直接購入者の自宅に出向いて手渡し''と言う物で、2tトラックの荷台に飯野氏とスタッフの皆さんと限定版を載せて各地の購入者の家を回っていたとの事。 --[[こちらのブログ>http://blog.livedoor.jp/all_neogeo/archives/51101620.html]]で''"購入時の様子、中身の一部、限定BOXの外観"''を確認することが出来る。 |CENTER:&image(http://livedoor.blogimg.jp/all_neogeo/imgs/b/6/b6bf438e.JPG,height=160)幻の限定BOX|
「[[修正依頼]]」に修正依頼が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。 ---- *エネミー・ゼロ 【えねみー・ぜろ】 |ジャンル|インタラクティブ・ムービー|CENTER:&image(http://www.famicom.biz/all/catalogue/4974365091323.jpg,height=160)&amazon(B000092P5Q)|~| |対応機種|セガサターン&br()Windows 95/98|~|~| |発売・開発元|ワープ|~|~| |発売日|【SS】1996年12月13日&br()【Win】1998年11月28日|~|~| |価格|【SS】6,800円(税抜)&br()【Win】9,800円(税抜)|~|~| |廉価版|サタコレ:1997年12月11日/2,800円(税抜)|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|~| |ポイント|''ガチで生きるか死ぬかの高難易度''&br()限りなくクロに近い名作のパクリ疑惑&br()シナリオには疑問符&br()飯野''「プレデターもエイリアンも知らなかった」''|~|~| #contents(fromhere) ---- **概要 故・飯野賢治が手がけた、独自のジャンル「インタラクティブ・ムービー」を自称するゲーム。~ 彼及び彼が立ち上げたゲーム会社「ワープ」の代表作である『Dの食卓』を発展させたかのような内容で、性質としてはアクションアドベンチャーに近い。~ **ストーリー >宇宙を航行する貨物宇宙船ヴィークル・ジ・アキ。ジ・アキは地球への帰途にあり、航海は長年に渡るため乗組員はコールドスリープされていたが、宇宙船に非常事態が発生し、搭乗する船員は強制的にスリープを解かれてしまう。~ 船員の一人であるの女性乗組員ローラもコールドスリープから目覚め、状況を把握するために他の乗組員と連絡を取ろうとする。~ しかし船内の回線は不調で、誰とも連絡を取ることができない。ローラは唯一映像がつながった船員・パーカーと連絡を取ろうとするが、パーカーは全く姿の見えない謎の「なにか」に惨殺されてしまう。~ 非常事態の原因は、生物兵器として利用するために乗組員にも知らされず輸送されていた「エネミー」と呼ばれる宇宙生物が、檻から脱走したためであった。~ 次々とエネミーに殺されてゆく乗組員たち。ローラはジ・アキの状況を把握するため、エネミーが徘徊する船内の探索に臨む。 **特徴・ゲームシステム -''インタラクティブ・ムービー'' --本作のマップはリアルタイムレンダリングの3DCGで描かれたジ・アキ船内の通路と、プリレンダムービーのCGで構成された各船員の個室内や特定の船室内部に分かれている。後者は『Dの食卓』を踏襲し、室内を探索するシーンを全て3DCGのムービーで構成している。 --視点は主人公であるローラの一人称で、特定のムービーでのみローラの全身像を見ることができる。 --後者の室内探索は形式としてはLDゲームに近く、室内の移動や何かを調べるたびに対応したムービーが流れる。移動や探索のたびに若干のロードを挟むので、レスポンスは遅い。 -''戦闘'' --戦闘はリアルタイムレンダの3DCGで描かれたジ・アキ船内のみで行われ、序盤のあるイベントを過ぎると出現する「エネミー」を、所持するエネルギー銃で倒すことができる。 --だがエネミーはオープニングで示されている通り''一切姿を見ることはできず、''プレイヤーは敵の生体反応を感知し、音で知らせる''「VPS(VEXX Positioning System)」''を装備することでエネミーの位置を知ることができる。 --VPSは「プレイヤーに対するエネミーの位置」によって異なる音階の音を出し、「プレイヤーとエネミーの距離」に応じて音の間隔が狭まる。至近距離になるとVPSはブザーを発する。エネミーが複数出現すればエネミーの数に応じて異なる音が複数鳴るため、プレイヤーはエネミーの位置関係を把握することが難しくなる。 --プレイヤーの武器はエネルギー銃。構えた後にボタン長押しで貯めて、離すと撃つ。このエネルギー銃は極端に射程が短く((具体的には「VPSのブザーが鳴る距離」が目安。))、エネミーをギリギリまで真正面に引きつけて撃つ必要がある。その上溜めが長すぎても短すぎても不発になるので溜め始めるタイミングも見計らう必要があるという、かなり癖のあるシロモノである。 --エネルギー銃は命中すれば一撃でエネミーを倒すことができるが、こちらもエネミーに攻撃されれば(触れられれば)即死し、ゲームオーバーとなる。銃を外す~溜めすぎて不発になってもギリギリ仕切りなおす余裕はあるが、相当慣れないと難しく、基本的には''「銃を外す≒死ぬ」''と考えてよい。まさに「生きるか死ぬか」のやりとりである。 --エネルギー銃には弾数があるがプレイヤーが予備のエネルギーを携行することはできず、マップの各所にある「ガン・チャージャー」でエネルギーを補充する必要がある。エネミーはマップを切り替える毎に復活するため、エネルギー銃の仕様もあっていちいちエネミーを倒して回る訳にはいかない。&br()生き残るためには、「エネミーをうまく避けて進む」技術と判断も求められる。 -''その他'' --セーブはボイスレコーダーにローラが録音するという設定で行われるのだが、セーブまたはロードするたびにバッテリーを消費し((セーブで4、ロードで2消耗))、バッテリーが尽きるとセーブもロードもできなくなる。ゲームオーバーまたはリセットしてロードするだけでも消費するので、何度もやり直すということはできない。 --このようにプレイヤーをさんざんバッテリー切れの恐怖に怯えさせた上で、ストーリー上終盤で命綱のVPSのバッテリーが尽き、絶望することに…という演出もある。 --もちろん、このボイスレコーダーのバッテリーも難易度によって初期残量が全然違う。ハードモードだとなんと''16''しかない。 **賛否両論点 -''COLOR(red){極悪な難易度}'' --前述の通り、エネミーとの戦闘は''常に命がけ''。撃破はシビアな上、ゲームを進めても「エネミーとの戦いを楽にするような装備・アイテム」は終盤の無限エネルギー銃(後述)くらいしか出現しないため、''ゲーム全体を通じてシビアなゲームバランスは全く変動せず、むしろ難しくなっていく''。 --命綱となるVPSもあくまで「エネミーを感知できるようにする」だけで、具体的にどの位置に敵がいるかは自分である程度推測して動く必要がある。また複数エネミーがいればその分複数の音が鳴るため、確実に混乱する。 --もう一つの命綱・エネルギー銃もかなり頼りなく、前述の通り至近距離でしか役に立たない上弾数も少ない。基本となる難易度ノーマルでさえエネルギー銃の弾数は最多でも5と心もとなく、ハードモードだとさらに''入手時は残弾ゼロ、さらに全ての銃の最大弾数が少なくなると、高難易度に追い討ちをかける''。&br()マップを切り替えるとエネミーが復活するという仕様も相まって、初期の[[探索系のバイオハザード>バイオハザードシリーズ]]のような感覚でプレイしていると確実に弾が切れてジリ貧になる。 --生き残るためには必然的にしょっちゅう充電に戻ることになるのだが、このチャージャーの設置場所はあまり多いとはいえず、シナリオの進行具合によっては充電のためだけに長い距離をエネミーに怯えながら進んだり戻ったりしなければならない。 --「装弾数5発の銃」は最初期に手に入るのだが、序盤のイベントでなんと''敵の襲撃で落としてしまう。''幸いストーリーを進めていけばすぐに次の銃が手に入るのだが、その次の銃は''最初の銃から最大弾数が減っており、最大3発しか装填できない。''ハードでは泣く子も黙る''装弾数1。''とことんシビアである。 --ゲーム後半では、「見えるエネミー」が登場。見えるエネミーは小さなイモムシのような姿をしており、姿が見える上に銃をさほどチャージしていなくても殺せる。しかし、こいつらは''逆に数で押してくる。''当然、VPSにも反応する。 --そのため、後半はVPSはほとんど''耳元で鳴り止まない。''それに加えて、今までの「見えないエネミー」の数も増える。見えないエネミー、あるいは見えるエネミーしかいない階層はまだいいものの、混在する階層では常に緊張と集中を強いられる。 ---さらに厄介なことに、終盤はマップの大半が細い通路で構成されており、ほぼ''「戦闘を回避できなくなる」。''そのためか、救済措置としてチャージの必要がない弾数無限の銃が手に入る。それでもキツい。 -この鬼畜めいた難易度のせいでクリアできなかったプレイヤーも多く、ストーリーの核心に辿りつけなかったプレイヤーからは「難易度調整が狂っているクソゲー」の烙印を押されることに。 --一応この難度の高さからか、ディスクの中には本編とは関係ない「トレーニング」を収めたものが入っており、それで独特な戦闘に慣れたり、練習することはできる。&br()ワープ側もこのユーザーの声は認識していたのか、サタコレ版、PC版では難易度を下げたモードが実装された。 **問題点 -''ムービーの演出'' --特定のシーンで挿入されるムービー(イベント)は演出のテンポが悪く、見ていてウンザリしてしまう。特に悲痛なシーンは「くどい」という意見も。 --終盤の自分も寄生されていたことが発覚するシーンがいろいろ不自然(前述したくどいシーンの一つでもある)。 #region(ネタバレ注意) -ラストは脱出用の小型艇を使って脱出する。その際にもムービーが挿入されるのだが、小型艇用のカタパルトはやたら長い上に曲がりくねっていて、''まるでジェットコースターである。''ここで「脱力してラストの緊張感が削がれた」「台無し」というプレイヤーも。 -ジ・アキのサイズ的にも、あんな蛇行だらけのカタパルトが収まるはずがない。設定的にも矛盾している。 #endregion -''インタラクティブ・ムービー'' --前述したように、本作は『Dの食卓』のシステムを踏襲し室内では移動、調べる、全ての行為がムービーとなり、スキップする事は出来ない。『Dの食卓』の既プレイ者なら察しがつくと思うが、移動や注目のたびに一定のロードを挟むためテンポは最悪で、イライラを感じる場面も少なくない。 --ムービーは(当時としては)なかなかのクオリティで最初こそ見応えはあるものの、だんだんダレてくる。 --前述したガン・チャージャーによる銃のエネルギーチャージにもムービーがいちいち挿入される。銃のチャージは頻繁に行う必要があるので、かなりイライラ。 --プリレンダCGは当時としてはなかなかのクオリティだが、『Dの食卓』同様、人間のモデリングはまだ粗さ・固さがある。特にムービーのキャラの口パクがアヒル口に見えることは当時からネタにされた。 -''ストーリー'' --詳しくは後述するが、基本的にはリドリー・スコットの『エイリアン』をやや劣化しつつなぞっている。『エイリアン』を先に見てしまっていると、全く新鮮味は感じられない。 --身も蓋もないことを言えば''劣化コピー''と言ってしまっても差し支えない。一部の超展開な場面など『エイリアン』から劣化している部分もある。 --主人公・ローラが無口でキャラが掴みにくく感情移入もしにくい(一応、無口なのには設定上の理由があるのだが)ため、理解に手間取る。 -''名作のパクリ疑惑'' --しかしこのゲーム最大の問題は、''あまりにも既存の作品に酷似している部分があるところであろう。'' --「謎の生物を捕獲し地球に持ち帰ろうとするものの、生物は恐ろしい力で乗組員たちに牙を剥き、乗組員と謎の生物の戦いが始まる…」~ これだけのあらすじからもわかるように、ストーリーの骨子はかの有名なリドリー・スコットの『エイリアン』もろそのままである。 --あらすじのみならず、導入部の1シーンにおいて宇宙服のヘルメットにコンソールパネルの光が映り込む等、『エイリアン』そのままの演出まで用いられている。 --ネタバレになるが、乗組員の中に混じった人型のアンドロイド、船を自爆させ脱出艇で生還など、シナリオの重要な面もエイリアンからコピーされてしまっている。 --「ステルスを用いるエイリアン」という設定も『プレデター』『禁断の惑星』を思い起こさせる。シナリオ・設定に関してはさながら''「有名なエイリアン系映画のキメラ」''とでも例えられる状態であり、独自性は皆無。 -走ると''やたらと視界が上下に揺れる''。慣れないうちは酔うこと必死。 **評価点 -''戦闘'' --ハードな難度を好むコアゲーマーからは、本作のシビアさを支持する声もあり、一概に「クソ」と断じられたわけではない。 --「音で敵との位置関係を把握し、超至近距離で『やるかやられるか』のやりとりをする」というシステムの独自性は高く、一部のゲーマーからはこの緊張感が評価された。中盤~終盤では文字通り''「心臓が破裂しそうな緊張感」''を味わえる。&br()これほどの緊張感を味あわせてくれるゲームは他にはないだろう。 -音声に関するこだわりは評価されている。室内の微細な環境音やノイズなどはゲームの「雰囲気作り」に強く貢献しており、「不可視の敵に囲まれながらの命がけの探索行」というゲーム内容に非常にマッチしている。 --基本的にゲーム中のBGMはないが、マイケル・ナイマンのピアノがイベント要所を盛り上げてくれる。 -「[[エヴァンゲリオン>新世紀エヴァンゲリオンシリーズ]]のように世界観を作り込みたかった」という細かい設定。ゲーム内の端末に表示される情報などかなり作りこまれており、室内探索はだるいものの「ゲームの本筋と関係ない場所を調べるのも楽しい」という声もある。 --ストーリーも''『エイリアン』の存在を考えなければ''、決して「ひどい」と言えるほどの内容ではない。終盤のVPSの電池切れから、デビッドの導きにより探索艇を目指すラストシーンの流れは「ベタだが悪くはない」という意見もある。 **総評 アクションアドベンチャーというジャンルの中でも屈指の難易度の高さを''「クリアさせる気のない狂った難易度調整」''と取るか、''「緊張感を楽しませてくれるシビアなバランス」''と取るかで極端に評価が別れる難しい作品。~ 一見パクリのつぎはぎにも見える設定や探索のダルさなど問題は多く決して良作とは言い難いが、シビアで手応えのある戦闘システムは本ゲーム唯一無二の特徴であり、そこさえ楽しめれば人によっては名作に化ける可能性があるかもしれない。 **その他・余談 -作品の良し悪しよりワープ社長・飯野賢治氏の言動で有名になってしまった。 --当時、PSソフトの出荷はSCEが完全に管理していたのだが、PS版『Dの食卓』では当初ワープに約束した出荷本数を大幅に下回る本数しか出荷しなかった。3DOからの移植と言う事で需要を大きく見誤ったのと、増産の速度を過信したためであったが、結果として年末商戦で売り切れが続出、販売機会を大きく損失してしまう。これによりワープはSCEへ強い不信感を持つ事となった。 ---この意趣返しとして、当初はプレイステーションで発売する予定だった本作は、プラットフォームをセガサターンに変更する事となったのだが…なんとそれを&bold(){SCE主催の「プレイステーションエキスポ」で}PSのマークがSSのそれにモーフィングする挑発的演出で発表してしまった。 --飯野氏もコラムを書いていた「ゲーム批評」の誌上で本作が酷評され、飯野氏は連載を取りやめた。 --また、飯野氏は本作のパクリ疑惑に対し、「パクリではない」「『エイリアン』や『プレデター』を知らなかった」という稚拙な弁解をした。 --これらの飯野の言動により、それまで飯野側についていたファンの多くを失う結果となってしまった。 -1997年7月18日には映像の無い音だけの作品『リアルサウンド ~風のリグレット~』を発売したが、「10点満点か評価不能か」発言とともにさらに物議をかもすことに。 -飯野はナイマンをホテルの一室で約6時間かけて口説き、このゲームのサウンドを担当させたらしい。 -クリーチャーデザインは「牙狼-GARO-」「仮面ライダー電王」で有名な韮沢靖…''ナイマンといい、無駄に豪華スタッフ。'' エネミーの全体像なんてちょっとしか見る機会がないのに…。 -宇宙船の外観は人間の心臓をイメージした独特のものであり、血管などをあしらった四つのタワーに宇宙船の機能が分散しているという設定は劇中でも生きている。 -一部で有名ではあるが、この作品には''『20万円限定版BOX』''という恐らく業界No.1の値段を誇る限定版が存在する。注文は電話のみ、20個限定で値段はもちろん''20万6000円''(消費税3%込み) --限定版に関しては''飯野賢治氏が直接購入者の自宅に出向いて手渡し''と言う物で、2tトラックの荷台に飯野氏とスタッフの皆さんと限定版を載せて各地の購入者の家を回っていたとの事。 --[[こちらのブログ>http://blog.livedoor.jp/all_neogeo/archives/51101620.html]]で''"購入時の様子、中身の一部、限定BOXの外観"''を確認することが出来る。 |CENTER:&image(http://livedoor.blogimg.jp/all_neogeo/imgs/b/6/b6bf438e.JPG,height=160)幻の限定BOX|

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