「キテレツ大百科」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

キテレツ大百科 - (2024/01/04 (木) 13:46:19) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*キテレツ大百科 【きてれつだいひゃっか】 |ジャンル|アクション|&amazon(B003NZSA7O,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2641/836/kireteru.jpg,width=160)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |発売日|1990年2月23日|~| |定価|5,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|キテレツなグラフィック・世界観&br;足を引っぱる仲間&br;&bold(){……うっ!}|~| |>|>|CENTER:''[[藤子不二雄シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **あらすじ >ある日、夢の中で遊ぶことができる道具「夢見鏡」を発明したキテレツ。~ みよちゃんを誘おうと出かけた留守中のところにトンガリとブタゴリラが現われ、弄った挙句に夢見鏡を壊してしまう。~ 壊れた夢見鏡は暴走し、戻ってきたキテレツ達もろとも、その場にいた全員を悪夢の世界へ引きずりこんでしまった。~ キテレツは発明品を作り仲間達を助け出す為に冒険に出る。 **概要 藤子・F・不二雄作の漫画及びアニメ「キテレツ大百科」をゲーム化した作品。~ 原作では御先祖様・キテレツ斎の「奇天烈大百科」を元に不思議な発明品を作り騒動を巻き起こす発明少年・木手英一(通称キテレツ)と、相棒・コロ助の活躍が描かれている。~ 原作アニメは人気を博し、氏の代表作「ドラえもん」に次ぐ長寿番組となった事でも有名である。 **特徴 -このゲームはAボタンでジャンプ、踏みつけで敵をやっつける、Bボタンで発明(後述)した道具を使う、という基本操作の、一見オーソドックスなアクションゲームである。しかしいざプレイしてみると、まさに「奇妙奇天烈」な世界観と、高い難易度が嫌でも目につく。 --横スクロールアクションだが、縦スクロールも用意されている。パスワード(平仮名8文字)やコンティニューも実装されている。 ***アクションゲームとしての特徴 -発明 --キテレツが主人公というわけで、ゲーム中でアイテムを発明するという要素があり、特定の場所で特定の発明品を作り出す事が出来る。 --発明の際には道中で集めたゴールドが必要になる。内容はボタンを連打する(なぜかゲーム中では「れんしゃ」と表記)だけの簡単なもの。早く連打すればゴールドが節約できる。 ---当時はボタンを連打することを連射(れんしゃ)と表現することが一般的であった(高橋名人の16連射など)ため適切な表記といえる。 --発明品はそこそこバリエーションがある。 --最初に発明するのはなんと&bold(){「キテレツじごく」(正式名称)}。ヒントメッセージを一つ一つ聞いていたら最初に聞くことになるであろうコロ助の台詞''「まず キテレツじごくを つくるナリよ!」''のインパクトは絶大。 -キテレツじごく --これを開発する事で、ステージをクリアした際にパスワードを教えてもらえるようになり、更に死亡時にコンティニューが出来る。余程アクションに自信があるか縛りプレイでもしていない限り必須の発明品である。 --凄まじいインパクトだが、これ自体は原作第28話「地獄へいらっしゃい」に登場する発明品「地獄」((地獄を模したテーマパーク))から引用されているので、一応原作要素である。 --コンティニューもただのコンティニューではなく、地獄の閻魔様からライフを借りる形式になっている。借りることのできるライフは最大9。9個借りた状態でライフが0になるとコンティニュー不可でゲームオーバー。闇魔様のライフを借りる数で0を選択してもゲームオーバー。 ---「借りている」のでちゃんと返さなくてはならない。ステージをクリアした際、ライフを借りたままだった場合には地獄に行ってライフを返す画面になる。 ---ライフを返す際は自身の所持ライフから支払う。自分の所持ライフが0になるまで返すことは出来ない。 ---ライフを借りていない状態、又はライフを全部返した直後ならパスワードを教えてもらえるが、逆に言うと&bold(){ライフを借りているとパスワードを教えてもらえない}。借りている状態でエンディングを迎えると…。 --キテレツ地獄は発明せずに進めることも可能。パスワードもコンティニューも封印した一種の%%マゾ%%縛りプレイが楽しめる。 -ヒントメッセージ --マップにある、特定のテレビや電話の上でしゃがむと、ヒントメッセージが表示される。 --普通はゲームを進めるうえでのヒントなのだが、途中には発売元であるエポック社の野球盤の宣伝が混じっている。 ---ベン(勉三さんの飼い犬)はこのためだけに登場する((勉三さんはこのゲーム中には登場しない。))。 --このヒントで聞ける、コロ助の謎のメッセージが有名。 ---「ここから でるためには さんそクリームを つくるナリ。そして、ブロックに さかさに・・・・・・・''うっ!''」 ---以降、コロ助からのメッセージが無い事を考えると恐らく敵に見つかって捕まってしまったのだろうが、あのコロ助があまりに唐突に呻くものだから多くのプレイヤーに強烈な印象を残した。 -穴に落ちても一発アウトとはならず、いくらかライフを失って特定のポイントまで戻るようになっている(勿論、ライフが少ない状態で落ちれば地獄行きorゲームオーバー)。場所によっては結構な距離を戻されたりする。 -天井張り付き --本作では↑ボタンを押しながら天井に張り付く事ができる。夢の世界だからなのか、重力も逆転する。 --場が悪いと''逆さ状態で地面の穴へ大ジャンプすると何故かミスをする''というシュールな場面が拝めることも。 -仲間について --道中で助けた仲間は行動を共にするようになり、キテレツの操作に少し遅れて同じ行動をするようにしてついてくる。最大で3人行動。 --ライフは共通。キテレツ以外にもキテレツ同様に当たり判定があり、キテレツ以外がダメージを受けた場合でもライフは同じように減少する。 ---穴に落下した場合もキテレツが落ちた時と同様の処理となる。 --セレクトボタンを押すと、キテレツのもとに仲間を瞬時に移動させることができる。ほぼ必須のコマンドである。 --キャラ毎の性能差などはなく、キャラの切り替え等も不可能。 ***グラフィック・世界観について -1回しか出現しない敵キャラ、意味のない置物、目に優しくない背景、謎の巨大顔面などなど、随所に見られるシュール過ぎる意匠。こだわりは感じられるものの、ファンタジーを目指したはずが意図せずしてあさっての方向にイっちゃった感が強い。 -最初に救出することになるみよちゃんは巨大化させられて家の中に閉じ込められている。如意光を発明して元の大きさに戻せば普通に戻るが、家の窓一面に張り付く[[巨大みよちゃんの顔>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2641/2921/KITERETU0014.jpg]]は、はっきり言って気持ち悪い。 -ラスボス前、キテレツ斎様から「一番大切なもの」として「勇気」を与えられ、最終決戦に向かう。それで手にするのがなぜか&bold(){剣}。キテレツ斎様、この剣の名前が「勇気」なのですか? -ラスボスに捕まっているトンガリが何故か上半身裸(に見える)。トンガリは共に行動するシーンも、エンディングを除いて会話するシーンもないため地味((ブタゴリラは一度だけラスボスの情報を与えてくれる。))。 ---- **問題点 ''ゲームバランス面の問題'' -とにかく仲間が邪魔 --上記のシステム説明を読めばわかる通り、''ほぼ全ての場面で仲間はただの足手まとい''である。 ---基本的にキテレツに追従するのだが、ちゃんとついてこないことも多い。例えば、ジャンプして足場に登る際にキテレツに届かなかったり、余計な慣性が働いてキテレツが穴の前で停止したら仲間は余分に前進して落ちていったり…。 ---敵が突っ込んでくるのに対しても仲間がいると非常にタイミングを取りづらい。一部には踏んで倒す事が出来ず避けるしかない敵もいるのだが、仲間のせいで被弾してしまう事も多い。 --これが原因で難易度が非常に高い。特に三人で行動する面や強制スクロール面、重力反転を利用して縦に長いマップを登っていく面は地獄。縦型の面ではキテレツを中心にスクロールするため、コロ助が取り残されると強制的にミスになってしまう。 ---強制縦スクロールステージでは足場は狭く天井にダメージを受ける針が大量に設置されており、''少しずれた行動をしたコロ助が被ダメージを受けて穴に落下、もしくはキテレツと全く違う箇所に着地してしまい詰み''という状態が当たり前に発生する。そこまで行った事のあるプレイヤーであれば忘れられない難所だが、''そもそもそこまで行く前に諦めたプレイヤーも多い''。 --一応、仲間がいれば取れる大量のライフがあったりと、仲間がいる事の利点もなくはないが、いて助かったと思う事はほぼない。 --仲間の扱いの問題点さえなければクソゲー判定は免れたと思われる程、これだけで難易度をとんでもなく上げている。 -上下反転操作が事故死の原因になりやすい --他のアクションゲームでもある物なので、おおよそそれを想像すれば分かると思うが、上下反転状態でのアクションは事故の元になりやすい。よくある仕様の通り、空に落ちればもちろん穴に落ちた扱いである。 ---加えて本作の場合、仲間の存在がこの問題をさらに大きくしている。ただでさえややこしくなりやすい操作で、ほんの少しの操作ミスで仲間が空に落ちていく事もよくある事である。 -雑魚敵の踏みつけ判定が厳しめ --基本的に踏みつけて倒すのだが、当たり判定は厳しく踏んだつもりが体当たりになっておりダメージを受けることもしばしば。 ---発明品を武器として使える場面もあるが、全体からするとごく一部。 ''演出面の問題'' -踏みつけてもその弾みで高く飛ぶことなどはできず、効果音も地味で爽快感があまりない。 -しゃがみながら移動できるが、その際のモーショングラフィックがなんとも%%キモい%%不気味。 --狭いところを通る時にはグラフィックが潰れたようになるのだが、これがまたなかなかキツい絵だったりする。 --更に動く足場と天井に丁度良く挟まれると[[仮面ライダー倶楽部>仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランド]]よろしく1マスの大きさも用意。 --人によっては面白いと捉えられるかもしれないが。 -発明はコインが無くなるまでに連打をこなせば成功。単調である。 --効果については何の説明もないので使って試すしかない。 --その割に、発明品はマップを切り替えると消えてしまうため持ち越せない。種類が豊富なだけに何だか勿体無く感じてしまう。 --尤も、「かべぬけふく(壁をすり抜けられる)」や「にょいこう(敵に当てると小さくなりダメージを受けなくなる)」が使い放題では、それはそれでバランス崩壊を招いてしまうが。 //通り抜けについては「火の鳥」の鏡のように限定すれば良かったと思われる。 -ステージクリアについて --クリアした際に流れるBGMが合っていない。初見ではショッキングなイベントでも起きるのかボスが出現するのかと身構える事間違いなし。通常はポジティブな曲調であるべきだが、これはむしろ逆。直後にキテレツ地獄に立ち寄れるのだが、そこのBGMも「G線上のアリア」のアレンジで重く暗い雰囲気なので連続で聞かされると普通に怖い。 --パスワードを取得できるのはよいが、HPが低い場合はその条件で再開するので不利、更にハートを借りているとパスワードの取得が出来ないので非常に辛い。 -道中ボスが単調 --ラスボス以外のボスの倒し方は全て同じなのでマンネリズムを抱かせる。どのボスも、体力まで同じ。 ---仲間キャラでも攻撃する事は可能だがむしろ上記で述べた仕様により当たり判定のデメリットの方が大きい。 --またラスボス一歩手前のボスには他のボスとは違い、再戦するはめになるトラップがあるので回避しなければならない。 ---それが仲間の方に当たったら悲惨である。 --一方、メトロノームの形状をしたボスのみ、ボス戦BGM無しでメトロノームのSEのみが流れるという妙なこだわりもあったりする。 -エンディングにツッコミどころが多い --まず、エンディング曲が道中ステージBGMの使い回し。どちらをどちらに流用したかは不明だが、残念感が強い。 --エンディングでは仲間と共に家の中に入っていくのだが、何故か背景の雲が、''主要キャラ達のグラフィックを白と青にしただけのもの''。連続して配置されているので不気味。ステージ道中ではしっかり表現できていたのだがなぜかここだけ手抜きである。 ---加えて、FCでよく起きるちらつきを避けるためなのか、''仲間が地面に埋まっている''。仲間が家の中に入り、ちらつきが起き無くなるタイミングで埋まっていた仲間が地面から歩いているキャラの後ろにワープ、という処理を3人分繰り返す。見ていて非常に不安を感じる処理である。 -エンディングでのコロ助のセリフも酷い。 #region(エンディングについて) --「もとはといえば、ブタゴリラがわるいナリ!ブタゴリラはもういちどキテレツじごくへいくべきナリ!」 ---確かにブタゴリラは「夢見鏡」を壊して今回の騒動を起こした張本人ではあるが、ラスボス対決前にヒントをくれたり、最後にきちんと謝罪をしていたりする。 ---なお、ブタゴリラは一度もキテレツ地獄へ行ってはいない((ブタゴリラがキテレツの後ろをついていく場面はないため、一緒に地獄にライフを借りに行ったり、パスワードを聞きにいったりはしていない))。「壊れた夢見鏡の世界」か何かを言わせようとして間違えたのだろう。 --また、アクションシーンでは足手まとい以外何でもなかったくせにまるで大活躍したかのように誇らしげに語り、%%同じく足手まといの%%みよちゃんには褒められて照れる。 --エンディングでコロ助にイラっときた人は多いだろう。%%お前がもう一度キテレツ地獄に行け%%。 ---世間では可愛らしいマスコットキャラクターという認識の強いコロ助だが、アニメでも早とちりやわがままな面が強調されることがあり、こういった言動は原作通りではある。とはいえ、原作通りでも本作のゲーム性をクリアした後では許したくはない言動である。 #endregion -説明書はプレイに必須 --上下反転や仲間のおびき寄せ、情報収集方法等、説明書を見ないと分からない事が多い。当時は説明書に必要な情報が乗っている事が多かったので、これ自体そこまで問題というわけではない。ただ、ソフトむき出しで中古販売される事やソフトだけ友人から借りるという事も多かったため、最低限の事すら分からず意味不明なままゲームを投げたプレイヤーも数多くおり、必要以上にクソゲー扱いされてしまう事も多かった。 ---- **賛否両論点 -作中の世界観 --夢の世界が舞台といえどあまりにも風変わりな仕上がりになっている。 --キテレツじごくではライフを借りている場合とそうでない場合でBGMと閻魔様の態度が180度違うのも芸が細かい((バッハの「G線上のアリア」をバックに急に敬語になる閻魔様は実にシュール。))。 ---- **評価点 -キテレツじごくのおかげでギリギリのラインで難易度の緩和が行われている。 --パスワードのおかげで1ステージずつ進めていくことが可能。 --ライフを借りて返さない状態ではパスワードを聞けないのがつらいが、いっそ割り切ってライフを借りた状態でクリアまでの手順をある程度試行錯誤し、ライフを借りなくてもクリアできる手順を確立できれば次のパスワードを確保できる。 ---こういったプレイを繰り返す事で少しずつではあるが先に進める事が出来る。 --ゲームスタートした後、まず踏むことになるモニターで他と違い「↓」を示すため初見プレーヤーが見落とす事がないようになっている。 -原作要素は多い --発明品は、キテレツ地獄、如意光、酸素クリーム、壁抜け服など原作でもおなじみのものが多数登場、勿論効果も原作通り、アイコンも表示される。そのエリア内に限り使用は無制限、持越しは不可。 --BGMにはキテレツの主題歌の成分が含まれている。また、発明品を完成させた際はアニメ版で発明品を出す時のおなじみのBGMが流れる。 -BGMはバリエーション豊富。 --決して質は悪くなく、奇天烈に壊れた夢の世界の雰囲気に合っている。 --軽快なものもあれば、「トラウマになる」という声も上がるほどのおどろおどろしいものも。 -敵の種類は豊富で、一体毎に名前も設定されている。 --エンディングで全キャラの名前が紹介される。見た目通りの安直な名前もあれば、妙にセンスを感じる名前もある。 -ゲーム性 --ステージは市街地や水中や森や遺跡などバリエーションが多い。 --重力反転を利用したアクションは幅が広く自由度が高い。 ---本作は横スクロールばかりではなく縦方向ステージもあり、ちょっと難しいが一気に落下して行くのは何とも言えない爽快感はある。 ---- **総評 「夢の中の世界」という設定とはいえ、原作とはかけ離れたあまりに現実的にありえない世界観に加え、「仲間が加わることによって、もともと高かった難易度がさらに上昇する」という理不尽さが、このゲームをクソゲーと呼ばせている要因である。 とはいえ、高難度と言ってもまともなプレイが成り立たない程の凶悪さでは決してなく、パスワードの実装などの配慮もきちんとなされている。~ 仲間の操り方を覚えてしまえば、それなりな難しさを持ったジャンプアクションゲームとなることや、慣れると不思議と惹かれてしまう世界観もあいまって、コアなファンも存在するようだ。~ さすがに本来のキテレツ大百科の視聴者、読者層にマッチングしていたかは微妙だが、人によっては良くも悪くも評価が変わるゲームとも言える。 独特過ぎる世界観で賛否両論点が強く、仲間の扱いの悪さからクソゲーになっているが腕前がそこそこあってそういう問題点に目を瞑れる原作ファンなら選択の余地はあるだろう。 ---- **余談 -実は原作やアニメにもこのゲームに似た世界観が登場する話があるので、一概に原作を無視しているとは断言できない節もある。 --原作ではカオスな四次元空間に迷い込んでしまう「冥府刀」という話、アニメにも四次元の世界へ行く話があり、このゲームに負けず劣らずの恐怖心を想起させる雰囲気や演出が施されている。 ---この点を踏まえれば、''キテレツを題材にしたゲーム''としてみれば的外れと言う訳でもない。 -下から叩くとコインを出すブロック・雑魚敵「''すーぱーまりも''」など、一部に[[あのゲーム>スーパーマリオブラザーズ]]の影響が見て取れる。
*キテレツ大百科 【きてれつだいひゃっか】 |ジャンル|アクション|&amazon(B003NZSA7O,image=https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2641/836/kireteru.jpg,width=160)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |発売日|1990年2月23日|~| |定価|5,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|キテレツなグラフィック・世界観&br;足を引っぱる仲間&br;&bold(){……うっ!}|~| |>|>|CENTER:''[[藤子不二雄シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **あらすじ >ある日、夢の中で遊ぶことができる道具「夢見鏡」を発明したキテレツ。~ みよちゃんを誘おうと出かけた留守中のところにトンガリとブタゴリラが現われ、弄った挙句に夢見鏡を壊してしまう。~ 壊れた夢見鏡は暴走し、戻ってきたキテレツ達もろとも、その場にいた全員を悪夢の世界へ引きずりこんでしまった。~ キテレツは発明品を作り仲間達を助け出す為に冒険に出る。 **概要 藤子・F・不二雄作の漫画及びアニメ「キテレツ大百科」をゲーム化した作品。~ 原作では御先祖様・キテレツ斎の「奇天烈大百科」を元に不思議な発明品を作り騒動を巻き起こす発明少年・木手英一(通称キテレツ)と、相棒・コロ助の活躍が描かれている。~ 原作アニメは人気を博し、氏の代表作「ドラえもん」に次ぐ長寿番組となった事でも有名である。 **特徴 -このゲームはAボタンでジャンプ、踏みつけで敵をやっつける、Bボタンで発明(後述)した道具を使う、という基本操作の、一見オーソドックスなアクションゲームである。しかしいざプレイしてみると、まさに「奇妙奇天烈」な世界観と、高い難易度が嫌でも目につく。 --横スクロールアクションだが、縦スクロールも用意されている。パスワード(平仮名8文字)やコンティニューも実装されている。 ***アクションゲームとしての特徴 -発明 --キテレツが主人公というわけで、ゲーム中でアイテムを発明するという要素があり、特定の場所で特定の発明品を作り出す事が出来る。 --発明の際には道中で集めたゴールドが必要になる。内容はボタンを連打する(ゲーム中では「れんしゃ」と表記((当時はボタンを連打することを連射(れんしゃ)と表現することが一般的であった(高橋名人の16連射など)ため適切な表記といえる。)))だけの簡単なもの。早く連打すればゴールドが節約できる。 --発明品はそこそこバリエーションがある。 --最初に発明するのはなんと''「キテレツじごく」(正式名称)''。ヒントメッセージを一つ一つ聞いていたら最初に聞くことになるであろうコロ助の台詞''「まず キテレツじごくを つくるナリよ!」''のインパクトは絶大。 -キテレツじごく --これを開発する事で、ステージをクリアした際にパスワードを教えてもらえるようになり、更に死亡時にコンティニューが出来る。余程アクションに自信があるか縛りプレイでもしていない限り必須の発明品である。 --凄まじいインパクトだが、これ自体は原作第28話「地獄へいらっしゃい」に登場する発明品「地獄」((地獄を模したテーマパーク))から引用されているので、一応原作要素である。 --コンティニューもただのコンティニューではなく、地獄の閻魔様からライフを借りる形式になっている。借りることのできるライフは最大9。9個借りた状態でライフが0になるとコンティニュー不可でゲームオーバー。闇魔様のライフを借りる数で0を選択してもゲームオーバー。 ---「借りている」のでちゃんと返さなくてはならない。ステージをクリアした際、ライフを借りたままだった場合には地獄に行ってライフを返す画面になる。 ---ライフを返す際は自身の所持ライフから支払う。自分の所持ライフが0になるまで返すことは出来ない。 ---ライフを借りていない状態、又はライフを全部返した直後ならパスワードを教えてもらえるが、逆に言うと''ライフを借りているとパスワードを教えてもらえない''。借りている状態でエンディングを迎えると…。 --キテレツ地獄は発明せずに進めることも可能。パスワードもコンティニューも封印した一種の%%マゾ%%縛りプレイが楽しめる。 -ヒントメッセージ --マップにある、特定のテレビや電話の上でしゃがむと、ヒントメッセージが表示される。 --普通はゲームを進めるうえでのヒントなのだが、途中には発売元であるエポック社の野球盤の宣伝が混じっている。 ---ベン(勉三さんの飼い犬)はこのためだけに登場する((勉三さんはこのゲーム中には登場しない。))。 --このヒントで聞ける、コロ助の謎のメッセージが有名。 ---「ここから でるためには さんそクリームを つくるナリ。~ そして、ブロックに さかさに・・・・・・・''うっ!''」 ---以降、コロ助からのメッセージが無い事を考えると恐らく敵に見つかって捕まってしまったのだろうが、あのコロ助があまりに唐突に呻くものだから多くのプレイヤーに強烈な印象を残した。 -穴に落ちても一発アウトとはならず、いくらかライフを失って特定のポイントまで戻るようになっている(勿論、ライフが少ない状態で落ちれば地獄行きorゲームオーバー)。場所によっては結構な距離を戻されたりする。 -天井張り付き --本作では↑ボタンを押しながら天井に張り付く事ができる。夢の世界だからなのか、重力も逆転する。 --場が悪いと''逆さ状態で地面の穴へ大ジャンプすると何故かミスをする''というシュールな場面が拝めることも。 -仲間について --道中で助けた仲間は行動を共にするようになり、キテレツの操作に少し遅れて同じ行動をするようにしてついてくる。最大で3人行動。 --ライフは共通。キテレツ以外にもキテレツ同様に当たり判定があり、キテレツ以外がダメージを受けた場合でもライフは同じように減少する。 ---穴に落下した場合もキテレツが落ちた時と同様の処理となる。 --セレクトボタンを押すと、キテレツのもとに仲間を瞬時に移動させることができる。ほぼ必須のコマンドである。 --キャラ毎の性能差などはなく、キャラの切り替え等も不可能。 ***グラフィック・世界観について -1回しか出現しない敵キャラ、意味のない置物、目に優しくない背景、謎の巨大顔面などなど、随所に見られるシュール過ぎる意匠。こだわりは感じられるものの、ファンタジーを目指したはずが意図せずしてあさっての方向にイっちゃった感が強い。 -最初に救出することになるみよちゃんは巨大化させられて家の中に閉じ込められている。如意光を発明して元の大きさに戻せば普通に戻るが、家の窓一面に張り付く[[巨大みよちゃんの顔>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2641/2921/KITERETU0014.jpg]]は、はっきり言って気持ち悪い。 -ラスボス前、キテレツ斎様から「一番大切なもの」として「勇気」を与えられ、最終決戦に向かう。それで手にするのがなぜか''剣''。キテレツ斎様、この剣の名前が「勇気」なのですか? -ラスボスに捕まっているトンガリが何故か上半身裸(に見える)。トンガリは共に行動するシーンも、エンディングを除いて会話するシーンもないため地味((ブタゴリラは一度だけラスボスの情報を与えてくれる。))。 ---- **問題点 ''ゲームバランス面の問題'' -とにかく仲間が邪魔 --上記のシステム説明を読めばわかる通り、''ほぼ全ての場面で仲間はただの足手まとい''である。 ---基本的にキテレツに追従するのだが、ちゃんとついてこないことも多い。例えば、ジャンプして足場に登る際にキテレツに届かなかったり、余計な慣性が働いてキテレツが穴の前で停止したら仲間は余分に前進して落ちていったり…。 ---敵が突っ込んでくるのに対しても仲間がいると非常にタイミングを取りづらい。一部には踏んで倒す事が出来ず避けるしかない敵もいるのだが、仲間のせいで被弾してしまう事も多い。 --これが原因で難易度が非常に高い。特に三人で行動する面や強制スクロール面、重力反転を利用して縦に長いマップを登っていく面は地獄。縦型の面ではキテレツを中心にスクロールするため、コロ助が取り残されると強制的にミスになってしまう。 ---強制縦スクロールステージでは足場は狭く天井にダメージを受ける針が大量に設置されており、''少しずれた行動をしたコロ助が被ダメージを受けて穴に落下、もしくはキテレツと全く違う箇所に着地してしまい詰み''という状態が当たり前に発生する。そこまで行った事のあるプレイヤーであれば忘れられない難所だが、''そもそもそこまで行く前に諦めたプレイヤーも多い''。 --一応、仲間がいれば取れる大量のライフがあったりと、仲間がいる事の利点もなくはないが、いて助かったと思う事はほぼない。 --仲間の扱いの問題点さえなければクソゲー判定は免れたと思われる程、これだけで難易度をとんでもなく上げている。 -上下反転操作が事故死の原因になりやすい --他のアクションゲームでもある物なので、おおよそそれを想像すれば分かると思うが、上下反転状態でのアクションは事故の元になりやすい。よくある仕様の通り、空に落ちればもちろん穴に落ちた扱いである。 ---加えて本作の場合、仲間の存在がこの問題をさらに大きくしている。ただでさえややこしくなりやすい操作で、ほんの少しの操作ミスで仲間が空に落ちていく事もよくある事である。 -雑魚敵の踏みつけ判定が厳しめ --基本的に踏みつけて倒すのだが、当たり判定は厳しく踏んだつもりが体当たりになっておりダメージを受けることもしばしば。 ---発明品を武器として使える場面もあるが、全体からするとごく一部。 ''演出面の問題'' -踏みつけてもその弾みで高く飛ぶことなどはできず、効果音も地味で爽快感があまりない。 -しゃがみながら移動できるが、その際のモーショングラフィックがなんとも%%キモい%%不気味。 --狭いところを通る時にはグラフィックが潰れたようになるのだが、これがまたなかなかキツい絵だったりする。 --更に動く足場と天井に丁度良く挟まれると[[仮面ライダー倶楽部>仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランド]]よろしく1マスの大きさも用意。 --人によっては面白いと捉えられるかもしれないが。 -発明はコインが無くなるまでに連打をこなせば成功。単調である。 --効果については何の説明もないので使って試すしかない。 --その割に、発明品はマップを切り替えると消えてしまうため持ち越せない。種類が豊富なだけに何だか勿体無く感じてしまう。 --尤も、「かべぬけふく(壁をすり抜けられる)」や「にょいこう(敵に当てると小さくなりダメージを受けなくなる)」が使い放題では、それはそれでバランス崩壊を招いてしまうが。 //通り抜けについては「火の鳥」の鏡のように限定すれば良かったと思われる。 -ステージクリアについて --クリアした際に流れるBGMが合っていない。初見ではショッキングなイベントでも起きるのかボスが出現するのかと身構える事間違いなし。通常はポジティブな曲調であるべきだが、これはむしろ逆。直後にキテレツ地獄に立ち寄れるのだが、そこのBGMも「G線上のアリア」のアレンジで重く暗い雰囲気なので連続で聞かされると普通に怖い。 --パスワードを取得できるのはよいが、HPが低い場合はその条件で再開するので不利、更にハートを借りているとパスワードの取得が出来ないので非常に辛い。 -道中ボスが単調 --ラスボス以外のボスの倒し方は全て同じなのでマンネリズムを抱かせる。どのボスも、体力まで同じ。 ---仲間キャラでも攻撃する事は可能だがむしろ上記で述べた仕様により当たり判定のデメリットの方が大きい。 --またラスボス一歩手前のボスには他のボスとは違い、再戦するはめになるトラップがあるので回避しなければならない。 ---それが仲間の方に当たったら悲惨である。 --一方、メトロノームの形状をしたボスのみ、ボス戦BGM無しでメトロノームのSEのみが流れるという妙なこだわりもあったりする。 -エンディングにツッコミどころが多い --まず、エンディング曲が道中ステージBGMの使い回し。どちらをどちらに流用したかは不明だが、残念感が強い。 --エンディングでは仲間と共に家の中に入っていくのだが、何故か背景の雲が、''主要キャラ達のグラフィックを白と青にしただけのもの''。連続して配置されているので不気味。ステージ道中ではしっかり表現できていたのだがなぜかここだけ手抜きである。 ---加えて、FCでよく起きるちらつきを避けるためなのか、''仲間が地面に埋まっている''。仲間が家の中に入り、ちらつきが起き無くなるタイミングで埋まっていた仲間が地面から歩いているキャラの後ろにワープ、という処理を3人分繰り返す。見ていて非常に不安を感じる処理である。 -エンディングでのコロ助のセリフも酷い。 #region(エンディングについて) --「もとはといえば、ブタゴリラがわるいナリ!ブタゴリラはもういちどキテレツじごくへいくべきナリ!」 ---確かにブタゴリラは「夢見鏡」を壊して今回の騒動を起こした張本人ではあるが、ラスボス対決前にヒントをくれたり、最後にきちんと謝罪をしていたりする。 ---なお、ブタゴリラは一度もキテレツ地獄へ行ってはいない((ブタゴリラがキテレツの後ろをついていく場面はないため、一緒に地獄にライフを借りに行ったり、パスワードを聞きにいったりはしていない))。「壊れた夢見鏡の世界」か何かを言わせようとして間違えたのだろう。 --また、アクションシーンでは足手まとい以外何でもなかったくせにまるで大活躍したかのように誇らしげに語り、%%同じく足手まといの%%みよちゃんには褒められて照れる。 --エンディングでコロ助にイラっときた人は多いだろう。%%お前がもう一度キテレツ地獄に行け%%。 ---世間では可愛らしいマスコットキャラクターという認識の強いコロ助だが、アニメでも早とちりやわがままな面が強調されることがあり、こういった言動は原作通りではある。とはいえ、原作通りでも本作のゲーム性をクリアした後では許したくはない言動である。 #endregion -説明書はプレイに必須 --上下反転や仲間のおびき寄せ、情報収集方法等、説明書を見ないと分からない事が多い。当時は説明書に必要な情報が乗っている事が多かったので、これ自体そこまで問題というわけではない。ただ、ソフトむき出しで中古販売される事やソフトだけ友人から借りるという事も多かったため、最低限の事すら分からず意味不明なままゲームを投げたプレイヤーも数多くおり、必要以上にクソゲー扱いされてしまう事も多かった。 ---- **賛否両論点 -作中の世界観 --夢の世界が舞台といえどあまりにも風変わりな仕上がりになっている。 --キテレツじごくではライフを借りている場合とそうでない場合でBGMと閻魔様の態度が180度違うのも芸が細かい((バッハの「G線上のアリア」をバックに急に敬語になる閻魔様は実にシュール。))。 ---- **評価点 -キテレツじごくのおかげでギリギリのラインで難易度の緩和が行われている。 --パスワードのおかげで1ステージずつ進めていくことが可能。 --ライフを借りて返さない状態ではパスワードを聞けないのがつらいが、いっそ割り切ってライフを借りた状態でクリアまでの手順をある程度試行錯誤し、ライフを借りなくてもクリアできる手順を確立できれば次のパスワードを確保できる。 ---こういったプレイを繰り返す事で少しずつではあるが先に進める事が出来る。 --ゲームスタートした後、まず踏むことになるモニターで他と違い「↓」を示すため初見プレーヤーが見落とす事がないようになっている。 -原作要素は多い --発明品は、キテレツ地獄、如意光、酸素クリーム、壁抜け服など原作でもおなじみのものが多数登場、勿論効果も原作通り、アイコンも表示される。そのエリア内に限り使用は無制限、持越しは不可。 --BGMにはキテレツの主題歌の成分が含まれている。また、発明品を完成させた際はアニメ版で発明品を出す時のおなじみのBGMが流れる。 -BGMはバリエーション豊富。 --決して質は悪くなく、奇天烈に壊れた夢の世界の雰囲気に合っている。 --軽快なものもあれば、「トラウマになる」という声も上がるほどのおどろおどろしいものも。 -敵の種類は豊富で、一体毎に名前も設定されている。 --エンディングで全キャラの名前が紹介される。見た目通りの安直な名前もあれば、妙にセンスを感じる名前もある。 -ゲーム性 --ステージは市街地や水中や森や遺跡などバリエーションが多い。 --重力反転を利用したアクションは幅が広く自由度が高い。 ---本作は横スクロールばかりではなく縦方向ステージもあり、ちょっと難しいが一気に落下して行くのは何とも言えない爽快感はある。 ---- **総評 「夢の中の世界」という設定とはいえ、原作とはかけ離れたあまりに現実的にありえない世界観に加え、「仲間が加わることによって、もともと高かった難易度がさらに上昇する」という理不尽さが、このゲームをクソゲーと呼ばせている要因である。 とはいえ、高難度と言ってもまともなプレイが成り立たない程の凶悪さでは決してなく、パスワードの実装などの配慮もきちんとなされている。~ 仲間の操り方を覚えてしまえば、それなりな難しさを持ったジャンプアクションゲームとなることや、慣れると不思議と惹かれてしまう世界観もあいまって、コアなファンも存在するようだ。~ さすがに本来のキテレツ大百科の視聴者、読者層にマッチングしていたかは微妙だが、人によっては良くも悪くも評価が変わるゲームとも言える。 独特過ぎる世界観で賛否両論点が強く、仲間の扱いの悪さからクソゲーになっているが腕前がそこそこあってそういう問題点に目を瞑れる原作ファンなら選択の余地はあるだろう。 ---- **余談 -実は原作やアニメにもこのゲームに似た世界観が登場する話があるので、一概に原作を無視しているとは断言できない節もある。 --原作ではカオスな四次元空間に迷い込んでしまう「冥府刀」という話、アニメにも四次元の世界へ行く話があり、このゲームに負けず劣らずの恐怖心を想起させる雰囲気や演出が施されている。 ---この点を踏まえれば、''キテレツを題材にしたゲーム''としてみれば的外れと言う訳でもない。 -下から叩くとコインを出すブロック・雑魚敵「''すーぱーまりも''」など、一部に[[あのゲーム>スーパーマリオブラザーズ]]の影響が見て取れる。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: