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本ページではアーケードゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』とオムニバスソフト『サムライスピリッツ 六番勝負』の二つについて紹介しています。 ---- #contents ---- *サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【さむらいすぴりっつ てんかいちけんかくでん】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B000BX2Q62)| |対応機種|アーケード(ATOMISWAVE)|~| |販売元|SNKプレイモア|~| |開発元|悠紀エンタープライズ|~| |稼動開始日|2005年9月14日|~| |移植|プレイステーション2:2006年1月26日/6,800円(税別)|~| |廉価版|2007年1月25日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2014年11月19日/1,000円(税込)|~| |レーティング|CERO:B|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D侍魂シリーズの集大成だが異色&br()話題の中心はいろは&br()残虐演出は皆無&br()声優陣ほぼ全て入れ替え(六番勝負では復活)&br()現在の2Dシリーズ最終作|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズリンク>サムライスピリッツシリーズ]]''| **概要 -江戸時代を舞台とした武器による真剣勝負という世界観、一撃必殺の威力を持つ強斬りを主軸とした緊張感ある駆け引きなどで人気を博した格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』シリーズ。本作はそのシリーズの「最終作」として発売された集大成的な作品。 --通称は『天下一''剣''客伝』から一文字取った「剣サム」。なお「天サム」は『[[''天''草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』のことを指すので注意。 -今まで2D作品に登場したキャラクターは黒子とパピー以外全員が登場。初期の作品で登場し削除されたキャラクターもドットを変えて再登場し、更に本作オリジナルの新キャラクターも登場。使用可能なキャラクターは35人にもなっている。 -キャラクター選択後に「スピリッツ」を選択する。 --「怒」「真」「斬」「天」「零」「剣」の6種類あり、怒から零はそれぞれ『サムライスピリッツ』『[[真サムライスピリッツ>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[サムライスピリッツ零]]』を模したシステムとなっている。 --「剣」は本作オリジナルで、サムスピのアイデンティティであった「怒りゲージ」を廃し、攻撃するとゲージが溜まっていくなど異色のシステム。 -歴代キャラ総出演という点で『KOF'98』や『2002』、バージョン入り乱れで戦えるという点で『ハイパーストリートファイターII』のような、所謂「お祭りゲー」のクオリティを期待したシリーズファンは多かったことだろう。 しかし…。 **本作の象徴「いろは」 -新キャラクターの一人「いろは」が「サムライスピリッツの集大成」という背景をそっちのけでプレイヤーの人気を掻っ攫って行くことに。 --その見た目を一言で言えば「和風エロメイド」、外見通りにある青年((開幕演出の「こちらを向いて」三つ指を立ててお辞儀をするという動きから察するに、ある青年=「いろはをプレイヤーキャラに選んだプレイヤーのこと」というメタ演出になっているのではないかと言われている。))を「旦那様」と呼んで仕えている。モチーフは昔話「鶴の恩返し」であり、その正体は鶴の化身である。 ---更にゲーム中でも、彼女のステージだけBGMが''演歌''になる。歌手には伊吹友里氏を起用しており、歌詞もいろはに合わせて考えられており、非常に存在をプッシュされている。 --詳細は後述するが性能は優秀で、本作屈指の強キャラ。 --CVは''アダルトゲーム界で''有名な新堂真弓氏。実に位置付けが良く分かる人選である。 ---家庭用の初回版特典に彼女のフィギュアがついたり、携帯電話向けに彼女が主役のゲームが作られたり、サムライスピリッツの代表キャラクターとして他の作品に客演登場したり…と、サムスピというゲームそのものの見方を捻じ曲げるほどの魔力を持ったキャラクターとなった。その結果として他の女性キャラクターが割を食う形に。 ---『クイーンズゲイト』のモデルに選ばれ、更にPSPソフト『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも出演。他にもミナとチャムチャムが出演している。 -ちなみに他の新キャラクターたちはことごとく空気。アメリカ大統領候補だったりカラクリ人形だったり''お祭りおじさん''と個性は強いのだが…。 **ゲームバランス -あまり良くない。むしろ前作よりも悪化してしまった感じがある。起き攻めや受け身狩りのし易さとそれらへの対抗策、後述の強スピリッツや有利なシステム・バグの相性の部分が総じて大きいため、弱いキャラクターは誰に対しても万遍なく弱く、強いキャラクターはとことん強い傾向にある。 -強キャラ --所謂「5強」は真鏡名ミナ・いろは・天草四郎時貞・風間火月・緋雨閑丸。最近の研究では飛び引っ掻きとパクパク・ガブルの組み合わせによる避けにくいガード不能を仕掛けられるチャムチャムも強キャラに食い込みそうな勢い。 --いろはは2段ジャンプを標準装備している上、空中でも出せる飛び道具も持っていて、空中制御の利きにくいサムスピのセオリーを覆す立ち回りができる。地上でも長くて速い蹴り攻撃により、接近戦で相手の攻撃を潰しつつ先手を取りやすい。 ---更に武器飛ばし技が投げ技であるため後述のバグを活かし易く、読んでダウン回避をした相手を狩ることもできる。火力の増加に加えて大幅に有利な展開に持ち込みやすい。防御面は体力が低めなものの無敵対空もあるため、それでも強い。 --真鏡名ミナは圧倒的なシューティングゲーム性能を持ち相手を寄せ付けない戦い方が特徴。それでいて火力もかなり高め。おまけに秘奥義と武器飛ばしを絡めた極めてガードしにくい上下択、ガード不能まで持っており逆転性も充分。 ---キャラコンセプト上、接近戦は苦手なはずなのだが、なぜか近距離技の判定がやたらと強いため、そこまで苦手とは言い難い。おまけに画面橋から一気に中央まで移動する脱出技さえ持っている。一部キャラ(外道や骸羅など)は体力を犠牲にして画面端に追い詰めても、ちょっと読み違えただけで簡単に逃げられてしまい、可哀相になるほど。 ---前作までで目立っていた防御力の薄さは、ゲーム全体の火力の低下により結果的に補われている。 --天草四郎時貞はほぼ出し得の「汝、暗転入滅せよ」だけで勝てそうな勢い。 ---高速で空中から突進してくる上、ガード方向を左右に揺さぶれ、当たるとダウン→起き攻めで再度「汝、暗転入滅せよ」→またダウン、以下ループ。一部キャラは壁を背にしていてもめくられる理不尽性能。因みに空中からの突進タイミングは操作側から調整可能。従って一度空中に留まるところを攻撃しようとすると逆にこちらが食らう羽目に。 ---ガードに成功しても極めて反撃しにくく、確定反撃のないキャラクターがいるのはおろか、ちょっと反撃に躊躇すると逆にガードした側が攻撃を喰らってしまう始末。体力勝ちしているときはそのまま空中で待機できるなど、いろいろぶっ壊れている。 ---それを抜きにしても数々の絡め手を持ち、逢魔ヶ時の表裏揺さぶりからの裂戒掌崩しなども強力。遠・近二つのモード切り替えがやや面倒だが、逆に言えばどの距離でも戦え、立ち回りも万全。 --風間火月は僅かな隙と引き換えに各種必殺技を強化する「炎災」が強力。これの3段掛けを連斬キャンセル必殺技でほぼ確実にぶち込めるため、高火力と安定性の高さが光る。連斬自体がリーチ長め、隙無し、投げ無敵ありと元々高性能な連斬が他キャラよりも更に優れた性能を持つ。 ---無敵技こそ持たないが、起き攻めの強いこのゲームにおいてそれを無効化する独自技「炎返し」を持つため、守りも悪くない。 --緋雨閑丸はシリーズ恒例狂落斬の強力な一発とこのゲームでは貴重な無敵対空、素早い踏み込みと中下段の崩しによる火力と守りと立ち回りの高すぎるバランスを持った器用万能キャラ。 ---そもそも本作では意図的に無敵技を少な目に調整されており、数えるほどのキャラしか持っていない。しかし彼は一人だけ3つも所持している。 ---狂落斬以外の単発火力はそこまで高くないものの、コンボの締めに使う技がどれも強制ダウンなのでターンを握ったまま継続しやすい。 -弱キャラ --我らがダークヒーローの''牙神幻十郎は一気に最弱候補''に。 ---全体的に技の硬直が長くなり、火力も低下、主力技の一つであるコマンド投げ「雫刃」が失われてしまった点などが挙げられる。 ---後に挙げられる声優の変更によりドスの効いた渋く重い声もやたらとギャーギャーわめく小悪党めいたものになってしまった。 --前作主人公の徳川慶寅、新キャラの大統領候補アンドリュー、タムタムも最弱候補。 ---これらのキャラはとにかく火力が低く、対空が貧弱。差し合いも辛く、起き攻めに対しての対抗策が少なかったり食らい判定が大きい等の特徴が共通している。 -バグを含めた、理不尽な戦法が多い。 --代表的なバグとして、『追い打ち攻撃を受けた後の起き上がりに投げられ判定があるため、コマンド投げを重ねられると確定してしまう』、『画面が暗転静止している時も飛び道具は止まらずに動き続ける(=予めガードしていないと当たってしまう)』『ある条件を満たすと、ダウン追い討ちの飛び道具の攻撃力が一閃に化ける(通称:境地一閃)』などがある。 ---上記のいろはやミナはこれらを利用した武器飛ばし確定状況が作り出しやすく、格差をさらに広げる一因となっている。 --これまでのシリーズに比べると火力が減った代わりに、起き攻めが非常に強い傾向にあり、不利な読み合いを強いられる局面が多い。そういったキャラクターを相手に一度転んでしまうと「ずっと相手のターン」にされて負けてしまう可能性が高い。 -スピリッツ間の格差 --特殊なシステムのないスタンダードなものほどメリットが少ない。スピリッツはそれぞれゲージの溜まり方や特殊行動、技の基本威力等が違うのだが… --怒はゲージ技が出せないが一度だけ攻撃に耐えて(所謂スーパーアーマー)強斬り以上の威力を叩き出す超斬りが可能に、ゲージが溜まると攻撃力が二倍近くに超強化される。怒りMax、剣気最大、後の先(カウンター)の超斬りの威力は正に星の屑 --真は一度だけ秘奥義が使え、短時間だけ無敵になるぬいぐるみ化が可能。ゲージ技が武器飛ばし技から武器破壊技となり、相手の素手時間が必然的に長くなる。また前転、後転を使用可能。 --斬は空中でのボタン入力でわずかな時間だけ空中ガードが可能。地上で避け・回り込みと任意に怒り溜めが可能になり、残り体力僅かで常時ゲージMaxとなる。 --天は各種ゲージ技や必殺技に繋げたり、ゲージを溜めることのできる連斬と避け・回り込みが可能になり、コンボ拒否の怒り爆発と一閃も可能に。 --零は前転・後転に加えて一定条件下で相手の速度を減少させる無の境地と天と同じく怒り爆発と一閃が可能になる。 --剣はゲージがストック性に、各種避けに残像が付き、それに攻撃を当てさせることで見切りゲージが溜まり、それが体力を超えると秘奥義が可能に(使用後は初期値に戻る)ゲージを一定値消費して中下段問わず防ぎ削りも無効の完全ガードが使用可能。 ---この内、隙が少なく各種必殺技やゲージ技に繋げやすい連斬と設置技が裏回りで表裏二択の攻撃手段に化ける天、防御関係が充実しておりゲージがストック制になりゲージ技が格段に当てやすくなる剣が強スピリッツとされている。 ---本来シリーズではゲージ技は被ダメでのみゲージが増え、かつ時間制限のある怒り状態でのみ出せる。ゲージ技は当てると大ダメージに加えて相手の武器を落とし、当てた後の状況が大幅に有利になるのでゲージ技が当てやすいというのは非常に大きなアドバンテージとなる。どちらのスピリッツも攻撃によってゲージが増え、ゲージ技を当てやすい機会が増えるのである。 ---従って、これらのスピリッツと相性の良いキャラがとことん強くなってしまっている。零は無の境地がそこそこ強いものの、それ以外の怒、真、斬は選ぶメリットがほぼなくガチ対戦ではほぼ使われない。 -CPU戦の難易度はシリーズの中でも低い。 --『零』及び『零SPECIAL』がかなりの高難易度だった事に対する反省なのか、CPUの強さはマイルドになっている。 --飛脚がアイテムを投げ入れる要素が復活。食べ物による体力回復や、爆弾によるガード崩しが可能。 --スピリッツシステムの影響もあって「(プレイヤー側が)できる事が多い」のも難易度低下の一因と言える。 --中ボスは天草、ミヅキ、斬紅郎、我旺のいずれかが現れるが、裏コマンドで好きな相手を選択可能。 --ラスボスは広範囲かつ多段ヒットする必殺技を多く持つが、そこまで理不尽な超反応ではない。 **シリーズ異色の特徴 -数々の残虐表現で物議を醸した『零SPECIAL』からの反動と、本作の根幹のストーリーが江戸幕府の御前試合になっていたり、開発中のタイトルが「サムライスピリッツ祭」と言うのもあってか、演出ががらりと変わってしまった。 --ダメージ演出は血飛沫一つ飛ばない仕様に。そのせいか家庭版の対象年齢もBに下がった。 --ステージの雰囲気も陰鬱なものから一転、人の賑わう明るいものに変更されている。一応、初代や『真』にも、そのようなステージが無いわけでもないのだが…。 --サムライスピリッツの象徴的なナレーション「いざ、尋常に」が外人訛りになるという妙な演出も。 --ただし、これはシリーズでも特定のキャラの声優がナレーションを担当しているというのもあり、それが今回の声優変更と重なってしまっただけという見方もできる(斬九郎無双剣→覇王丸 天草降臨→柳生十兵衛等。おそらく今作はガルフォード)。 --キャラクターイラストも『零』で担当していたたっくん氏が再び担当しているが、今までの作品に比べると色調が非常に明るく彫りが薄いため違和感が激しい。 -ゲーム性の大きな変化。 --サムスピなのに一撃のダメージが少ない。特に強斬りは体力の1/3、怒り状態ならキャラクターによっては5割位は減らせるのが普通なのだが、今回はせいぜい1/4。 ---その代わりに連続技が入りやすく、ジリジリした差し合いも少ない近年の一般的な格闘ゲームに近いものとなっている。 ---例外的に「怒」スピリッツの固有システムである「超斬り」は従来の大斬りのような威力を発揮する。 --ゲーム性がころころ変わるシリーズとは言え、サムスピの醍醐味と言えば「一撃必殺のバッサリ感」や「差し合い重視のゲームバランス」と言った声が大きく、その根幹を揺るがす様な変化は古参プレイヤーの怒りを買う事になった。 ---逆に、普通の格ゲープレイヤーからは「どんどん攻めていけて楽しい」と好評の声があり、賛否両論。 -パラレルワールドという設定とはいえ、全体的にEDが無茶苦茶。一応「そのキャラが満足のいく結果を得る」という点は共通しているが…。 --過去作の設定無視だったり(リムルル、右京など)、ギャグ同然(炎邪・水邪・おちゃ麿呂など)だったりする。 --曖昧な関係が続いていたガルフォードとナコルルが、ナコルル・羅刹ガルフォード・パピーEDで結ばれたのは物議を醸しだした。 ---一応、リムルルや通常ガルフォードEDでは結ばれてはいないのだが… --一方で、ミヅキや羅刹丸や腐れ外道などの一部の悪役キャラクターのEDはキャラクターに合っているとは言え、非常に陰惨。 --ただし、破沙羅やミナと言った今まで報われなかったキャラクターにはハッピーエンドが用意されているため、一概に悪いとは言えない。 ---意外な部分では、アースクェイクや我旺は偉大な功績を挙げる大人物となる。 ---おちゃ麿呂のEDでは、ポリサムシリーズに登場したある人物が裏で活躍している事が示唆されている。 --そもそものストーリーが「徳川の力で優勝者の望みをなんでも一つ叶える」というものなので、過去作の設定や結末を持ち出すのは野暮であるともいえる。 -声優はほぼ全キャラクター入れ替え。具体的に言うと炎邪、水邪、夢路以外全員。 --一部では『零SPECIAL』騒動のせい、スケジュールのせい、本作はパラレルワールドだから、作風の一新も兼ねてなど多数の噂もあるが真偽は不明。 --担当声優はアイムエンタープライズ所属が多く、キャラクターのイメージに沿わないというわけでもない。リムルル役の釘宮理恵氏などはうまくハマっている。 ---だが、声がキャラクターのイメージを形作っていたと言っても過言ではない幻十郎やナコルルも変更されたのはファンにとっては厳しいものがある。 --後述するPS2・Wiiの『六番勝負』収録版では、一部のキャラクターを除き、『零SPECIAL』以前のCVにも変更可能になった。 **評価点 -集大成だけあって何といっても登場キャラクターの多さ。初期の作品で登場した面々を含め全42名という大ボリュームはファンには嬉しい。更にバランスが良くないとはいえ6種類のスピリッツの組み合わせもあり、同じキャラでもいろいろな楽しめ方ができる。 **総評 -なかなかやりがいがあるゲームだが、「(当時は)シリーズ完結作」と銘打たれていたのもあり、いろいろと賛否が絶えないゲームになった。 -なお、結局本作から約2年後に新作として『サムライスピリッツ閃』の稼働が始まったため、完結作とはならなかった。 --『閃』は久々の3D作品のため、本作が2D作品として最後である事は変わってないのだが。 -「いろは」にばかり話題が集中し、悠紀エンタープライズの%%斜め上な%%センスが必要以上に現れた。 --ちなみに悠紀エンタープライズは後に''あの''『アルカナハート』((スク水ランドセル小学生の大道寺きら、裸Yシャツのアンジェリア・アヴァロンなど、ぶっ飛んだキャラクターが登場している全キャラ女性の格闘ゲーム。大半は制服なり礼服なり、フォーマルな格好のキャラクターなのだが…。))を開発する会社である。今となっては''その片鱗は既に現れていた''と言わざるを得ない((後に開発を担当した部署は「エクサム」として独立し、以降の格闘ゲームは全てそちらから発売している。))。 ---- **家庭用移植 -プレイステーション2版(2006年1月26日発売、SNKプレイモア) --唯一の単体移植にあたる。PS2オリジナルの隠し要素としてボスキャラクター用の「魔」、動物キャラクター用の「獣」、エディットでシステムを変えられる「祭」の追加スピリッツや、新たな追加キャラクター(羅刹ガルフォード、黒子、パピー、裏ミナなど、主に既存キャラクターの別バージョン)が使用できるサプライズがある。 --後にベスト版も発売された。……が、現在買うならば後述の六番勝負の方が良いだろう。 -2014年11月19日よりPS3向けゲームアーカイブスで本作(PS2単体版)が配信されている。単体版準拠のため、六番勝負版の追加要素は無い。 ---- *サムライスピリッツ 六番勝負 【さむらいすぴりっつ ろくばんしょうぶ】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B0018TNQEE)|&amazon(B0025VKKKC)|&amazon(B0019TYKFM)| |対応機種|プレイステーション2((『NEOGEOオンラインコレクション』の一ラインナップ。))&br()Wii|~|~|~| |発売元|SNKプレイモア|~|~|~| |開発元|Terminal Reality|~|~|~| |発売日|2008年7月24日|~|~|~| |定価|4,800円(税別)|~|~|~| |廉価版|【PS2】NEOGEOオンラインコレクション THE BEST&br()2009年6月18日/1,980円(税別)|~|~|~| |判定|なし|~|~|~| |ポイント|2Dサムスピシリーズ総集編&br()ネオジオ版旧作5本+剣サム改良版&br()ハブられた零スペ|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズリンク>サムライスピリッツシリーズ]]''| |>|>|>|>|CENTER:[[''NEOGEOオンラインコレクションシリーズリンク''>NEOGEOオンラインコレクションシリーズ]]| **概要(六番勝負) 江戸時代を舞台とした剣戟格闘ゲーム『サムライスピリッツ』2Dシリーズから~ 『[[初代サムライスピリッツ>サムライスピリッツ]]』『[[真>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[斬紅郎無双剣>サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[天草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[零>サムライスピリッツ零]]』『天下一剣客伝』の6作を収録したオムニバス作品。~ 何故か『[[零SPECIAL>サムライスピリッツ零SPECIAL]]』のみ収録されていない((『絶命奥義』を始めとする残虐表現が原因でネオジオ移植にあたり、一騒動起きた事が原因とされている。詳しくは当該項目を参照。))((一応、オープニングデモに当作でのBGMが使われているなど全く無視されているわけでもない。))。 **特徴(六番勝負) -『初代』から『零』まではネオジオ版のベタ移植を収録。 --さらにプラクティスモードやキャラクターカラーエディットも新たに収録されている。 --BGM音源もオリジナルとアレンジのどちらかに変更可能。 -『天下一剣客伝』のみ、基板がネオジオ互換のMVSでなくATOMISWAVEであるためか、''AC版ではなくPS2版からの移植''となっている。&br()そのため、PS2単品版の追加要素(スピリッツやキャラクター)を全て収録。 --さらに、''PS2単品版の隠し要素は最初から解禁済み''になっている上に、独自の追加要素として、オプションにて''キャラクターボイスを『零SPECIAL』以前の旧CVに変更可能になった。''また、このボイスは流用ではなく新規収録の物である。 ---ただし一部のキャラクターには無いなど問題がある((4作目から登場した風間兄弟には存在するのに、2作目からのチャムチャム、および3作目からの緋雨閑丸と花諷院骸羅には何故か無い。また、『零』から登場したキャラクターには旧CVが収録されていないのだが、リムルルは『零・零SP』でCVを担当した生天目仁美氏が担当している。)) -PS2版はマルチマッチングBBによるオンライン対戦に対応(現在は終了)。 --ちなみに、上記の単品版とはオンラインサーバーが当初は別々であった。 -Wii版はオンライン非対応の代わりに、Wiiリモコンの動作感知を使ったミニゲームを収録。 --また、Wii版はクラシックコントローラやネオジオスティック2だけでなくリモコン横持ちとヌンチャクでも遊ぶことができる。 ---「遊べないことはない」レベルなので、クラコンかスティック推奨ではあるのだが。 ---特に『天下一剣客伝』ではリモコンの動作感知をも操作に組み込まれているため、コマンド入力が一番し辛くなってしまっている。 **好評点(六番勝負) -コストパフォーマンスが非常に良い。 --5,000円台でシリーズ6本が遊べられるのはかなりお得。廉価版の定価はさらに半額以下の破格の値段である''2,000円台''。 --また、旧作についても移植度が特に高いネオジオ版である事も好評。 ---これはネオジオ以外でのハードによる移植版がスペック上の都合などから劣化点を含んでしまっている事も大きい。 ---さらに言うと、『零』はバーチャルコンソールなどでネオジオ版の配信もされていない。 --もっとも現在は品薄なのか、PS2廉価版でも中古価格が初版の定価とほぼ同じとなっている。それを顧みてもお得であるが。 **不評点(六番勝負) -『天下一』がPS2版ベースなのに対し、『初代』~『零』までは基本的にネオジオ版のベタ移植であるため、過去の家庭用版での追加要素が無い事。 --これが影響するのはボスキャラクターの使用可否で、以前の家庭用では使えたボスキャラクターが今作では使えない。&br()例えば『初代』は天草、『真』はミヅキ、『天』は斬紅郎、『零』は夢路・三九六・我旺が使用不可。 ---特に『零』については同ハードのPS2で単体版が過去に発売されており、そちらでは夢路と三九六が使用可能になっていたため劣化と取られることも。&br()また、今作『六番勝負』収録の『零』はBGMをアレンジに切り替えても一部楽曲がオリジナルのままになっているという不具合がある。&br()ただしPS2版『零』はロード時間が長いという問題点があったが、『六番勝負』では改善されている。 -2Dサムスピシリーズのうち、『零スペシャル』のみが未収録である事。 --シリーズの中で極めて優秀な対戦バランスを持っていると評されるだけに未収録なのが惜しまれる。 --作品自体は未収録だが、本作には同作のOP曲を始め、一部のBGMが収録されている。 **その他(六番勝負) -上記で挙げた通り本作は事実上、過去のPS2版『天下一剣客伝』の完全版に相当する。 --しかしPS2版剣サムから2年弱しての発売である上に、上記のとおりPS2版単体には無い追加要素や旧作5本込みなどがあるため、既にPS2版剣サムを買った人からは苦言が出る事となった。 -何故かWii版のみ廉価版が発売されていない。 --ただし、上述のとおり現在は両機種とも市場価格がほぼ変わらなくなっている。 -海外版の『SAMURAI SHOWDOWN ANTHOLOGY』は、2009年にPSP版も発売されている。 --当初は日本でもPSP版の発売予定があったものの、最終的には発売中止となった。 --なお、当初は海外版の公式サイトに『零スペシャル』の画面写真が告知されていたことがあり、一時期収録が噂されたが、実際の製品版ではやはり収録されなかった。 **総評(六番勝負) 零スペシャルが入ってないなどの指摘はあるが、やはりシリーズのほとんどを1本でプレイできるのは大きい。シリーズに興味を持ち、初めて触れるなら迷わず購入な一作といえるだろう。~
本ページではアーケードゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』とオムニバスソフト『サムライスピリッツ 六番勝負』の二つについて紹介しています。 ---- #contents ---- *サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【さむらいすぴりっつ てんかいちけんかくでん】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B000BX2Q62)| |対応機種|アーケード(ATOMISWAVE)|~| |販売元|SNKプレイモア|~| |開発元|悠紀エンタープライズ|~| |稼動開始日|2005年9月14日|~| |移植|プレイステーション2:2006年1月26日/6,800円(税別)|~| |廉価版|2007年1月25日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2014年11月19日/1,000円(税込)|~| |レーティング|CERO:B|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D侍魂シリーズの集大成だが異色&br()話題の中心はいろは&br()残虐演出は皆無&br()声優陣ほぼ全て入れ替え(六番勝負では復活)&br()現在の2Dシリーズ最終作|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズリンク>サムライスピリッツシリーズ]]''| **概要 -江戸時代を舞台とした武器による真剣勝負という世界観、一撃必殺の威力を持つ強斬りを主軸とした緊張感ある駆け引きなどで人気を博した格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』シリーズ。本作はそのシリーズの「最終作」として発売された集大成的な作品。 --通称は『天下一''剣''客伝』から一文字取った「剣サム」。なお「天サム」は『[[''天''草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』のことを指すので注意。 -今まで2D作品に登場したキャラクターは黒子とパピー以外全員が登場。初期の作品で登場し削除されたキャラクターもドットを変えて再登場し、更に本作オリジナルの新キャラクターも登場。使用可能なキャラクターは35人にもなっている。 -キャラクター選択後に「スピリッツ」を選択する。 --「真」「斬」「天」「零」「剣」の6種類あり、怒から零はそれぞれ『サムライスピリッツ』『[[真サムライスピリッツ>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[サムライスピリッツ零]]』を模したシステムとなっている。「剣」は本作オリジナルで、サムスピのアイデンティティであった「怒りゲージ」を廃し、攻撃するとゲージが溜まっていくなど異色のシステム。 --「怒」:ゲージ技は全て出せないが、一度だけ攻撃に耐え(所謂スーパーアーマー)強斬り以上の威力を叩き出す『超斬り』が使用可能に。また他のスピリッツより怒ゲージによる攻撃力補正が大きく、溜まると攻撃力が二倍近くに超強化される。 ---怒りMax、剣気最大、後の先(カウンター)の超斬りの威力は凄まじく、『サムライスピリッツ零』を彷彿とさせる。 --「真」:一度だけ秘奥義が使え、短時間だけ無敵になるぬいぐるみ化が可能。ゲージ技が武器飛ばし技から武器破壊技となり、相手の素手時間が必然的に長くなる。また前転、後転を使用可能。 --「斬」:空中でのボタン入力でわずかな時間だけ空中ガードが可能。地上で避け・回り込みと任意に怒り溜めが可能になり、残り体力僅かで常時ゲージMaxとなる。 --「天」:連斬と避け・回り込みが可能。 ---連斬は始動技からタイミングよくボタンを入力していくことで連続ヒットし、キャンセルして各種ゲージ技や必殺技に繋げたり、最後まで出し切って怒りゲージを溜めることができる。コンボ拒否の『怒り爆発』とそこからの『一閃』も使える。 --「零」:前転・後転に加え、一定条件下で相手の速度を減少させる『無の境地』と、天と同じく怒り爆発』と『一閃』が使用可能。 --「剣」:怒りゲージではなく、ストックゲージになる。各種避けに残像が付くようになり、それに攻撃を当てさせることで別の「見切りゲージ」が溜まっていく。見切りゲージが体力を超えると秘奥義が使える様になる(使用後は初期値に戻る)。ゲージを一定値消費して「中下段問わず防ぎ、削りも無効」の『完全ガード』が使用可能。 -歴代キャラ総出演という点で『KOF'98』や『2002』、バージョン入り乱れで戦えるという点で『ハイパーストリートファイターII』のような、所謂「お祭りゲー」のクオリティを期待したシリーズファンは多かったことだろう。 しかし…。 **本作の象徴「いろは」 -新キャラクターの一人「いろは」が「サムライスピリッツの集大成」という背景をそっちのけでプレイヤーの人気を掻っ攫って行くことに。 --その見た目を一言で言えば「和風エロメイド」、外見通りにある青年((開幕演出の「こちらを向いて」三つ指を立ててお辞儀をするという動きから察するに、ある青年=「いろはをプレイヤーキャラに選んだプレイヤーのこと」というメタ演出になっているのではないかと言われている。))を「旦那様」と呼んで仕えている。モチーフは昔話「鶴の恩返し」であり、その正体は鶴の化身である。 ---更にゲーム中でも、彼女のステージだけBGMが''演歌''になる。歌手には伊吹友里氏を起用しており、歌詞もいろはに合わせて考えられており、非常に存在をプッシュされている。 --詳細は後述するが性能は優秀で、本作屈指の強キャラ。 --CVは''アダルトゲーム界で''有名な新堂真弓氏。実に位置付けが良く分かる人選である。 ---家庭用の初回版特典に彼女のフィギュアがついたり、携帯電話向けに彼女が主役のゲームが作られたり、サムライスピリッツの代表キャラクターとして他の作品に客演登場したり…と、サムスピというゲームそのものの見方を捻じ曲げるほどの魔力を持ったキャラクターとなった。その結果として他の女性キャラクターが割を食う形に。 ---『クイーンズゲイト』のモデルに選ばれ、更にPSPソフト『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも出演。他にもミナとチャムチャムが出演している。 -ちなみに他の新キャラクターたちはことごとく空気。アメリカ大統領候補だったりカラクリ人形だったり''お祭りおじさん''と個性は強いのだが…。 **ゲームバランス -あまり良くない。むしろ前作よりも悪化してしまった感じがある。起き攻めや受け身狩りのし易さとそれらへの対抗策、後述の強スピリッツや有利なシステム・バグの相性の部分が総じて大きいため、弱いキャラクターは誰に対しても万遍なく弱く、強いキャラクターはとことん強い傾向にある。 -強キャラ --所謂「5強」は真鏡名ミナ・いろは・天草四郎時貞・風間火月・緋雨閑丸。最近の研究では飛び引っ掻きとパクパク・ガブルの組み合わせによる避けにくいガード不能を仕掛けられるチャムチャムも強キャラに食い込みそうな勢い。 --いろはは2段ジャンプを標準装備している上、空中でも出せる飛び道具も持っていて、空中制御の利きにくいサムスピのセオリーを覆す立ち回りができる。地上でも長くて速い蹴り攻撃により、接近戦で相手の攻撃を潰しつつ先手を取りやすい。 ---更に武器飛ばし技が投げ技であるため後述のバグを活かし易く、読んでダウン回避をした相手を狩ることもできる。火力の増加に加えて大幅に有利な展開に持ち込みやすい。防御面は体力が低めなものの無敵対空もあるため、それでも強い。 --真鏡名ミナは圧倒的なシューティングゲーム性能を持ち相手を寄せ付けない戦い方が特徴。それでいて火力もかなり高め。おまけに秘奥義と武器飛ばしを絡めた極めてガードしにくい上下択、ガード不能まで持っており逆転性も充分。 ---キャラコンセプト上、接近戦は苦手なはずなのだが、なぜか近距離技の判定がやたらと強いため、そこまで苦手とは言い難い。おまけに画面橋から一気に中央まで移動する脱出技さえ持っている。一部キャラ(外道や骸羅など)は体力を犠牲にして画面端に追い詰めても、ちょっと読み違えただけで簡単に逃げられてしまい、可哀相になるほど。 ---前作までで目立っていた防御力の薄さは、ゲーム全体の火力の低下により結果的に補われている。 --天草四郎時貞はほぼ出し得の「汝、暗転入滅せよ」だけで勝てそうな勢い。 ---高速で空中から突進してくる上、ガード方向を左右に揺さぶれ、当たるとダウン→起き攻めで再度「汝、暗転入滅せよ」→またダウン、以下ループ。一部キャラは壁を背にしていてもめくられる理不尽性能。因みに空中からの突進タイミングは操作側から調整可能。従って一度空中に留まるところを攻撃しようとすると逆にこちらが食らう羽目に。 ---ガードに成功しても極めて反撃しにくく、確定反撃のないキャラクターがいるのはおろか、ちょっと反撃に躊躇すると逆にガードした側が攻撃を喰らってしまう始末。体力勝ちしているときはそのまま空中で待機できるなど、いろいろぶっ壊れている。 ---それを抜きにしても数々の絡め手を持ち、逢魔ヶ時の表裏揺さぶりからの裂戒掌崩しなども強力。遠・近二つのモード切り替えがやや面倒だが、逆に言えばどの距離でも戦え、立ち回りも万全。 --風間火月は僅かな隙と引き換えに各種必殺技を強化する「炎災」が強力。これの3段掛けを連斬キャンセル必殺技でほぼ確実にぶち込めるため、高火力と安定性の高さが光る。連斬自体がリーチ長め、隙無し、投げ無敵ありと元々高性能な連斬が他キャラよりも更に優れた性能を持つ。 ---無敵技こそ持たないが、起き攻めの強いこのゲームにおいてそれを無効化する独自技「炎返し」を持つため、守りも悪くない。 --緋雨閑丸はシリーズ恒例狂落斬の強力な一発とこのゲームでは貴重な無敵対空、素早い踏み込みと中下段の崩しによる火力と守りと立ち回りの高すぎるバランスを持った器用万能キャラ。 ---そもそも本作では意図的に無敵技を少な目に調整されており、数えるほどのキャラしか持っていない。しかし彼は一人だけ3つも所持している。 ---狂落斬以外の単発火力はそこまで高くないものの、コンボの締めに使う技がどれも強制ダウンなのでターンを握ったまま継続しやすい。 -弱キャラ --我らがダークヒーローの''牙神幻十郎は一気に最弱候補''に。 ---全体的に技の硬直が長くなり、火力も低下、主力技の一つであるコマンド投げ「雫刃」が失われてしまった点などが挙げられる。 ---後に挙げられる声優の変更によりドスの効いた渋く重い声もやたらとギャーギャーわめく小悪党めいたものになってしまった。 --前作主人公の徳川慶寅、新キャラの大統領候補アンドリュー、タムタムも最弱候補。 ---これらのキャラはとにかく火力が低く、対空が貧弱。差し合いも辛く、起き攻めに対しての対抗策が少なかったり食らい判定が大きい等の特徴が共通している。 -バグを含めた、理不尽な戦法が多い。 --代表的なバグとして、『追い打ち攻撃を受けた後の起き上がりに投げられ判定があるため、コマンド投げを重ねられると確定してしまう』、『画面が暗転静止している時も飛び道具は止まらずに動き続ける(=予めガードしていないと当たってしまう)』『ある条件を満たすと、ダウン追い討ちの飛び道具の攻撃力が一閃に化ける(通称:境地一閃)』などがある。 ---上記のいろはやミナはこれらを利用した武器飛ばし確定状況が作り出しやすく、格差をさらに広げる一因となっている。 --これまでのシリーズに比べると火力が減った代わりに、起き攻めが非常に強い傾向にあり、不利な読み合いを強いられる局面が多い。そういったキャラクターを相手に一度転んでしまうと「ずっと相手のターン」にされて負けてしまう可能性が高い。 -スピリッツ間の格差 --特殊なシステムのないスタンダードなものほどメリットが少ない。スピリッツはそれぞれゲージの溜まり方や特殊行動、技の基本威力等が違うのだが… ---この内、隙が少なく各種必殺技やゲージ技に繋げやすい連斬と設置技が裏回りで表裏二択の攻撃手段に化ける「天」、防御関係が充実しておりゲージがストック制になりゲージ技が格段に当てやすくなる「剣」が強スピリッツとされている。 ---「ゲージは被ダメでのみ増え、かつ時間制限のある怒り状態でのみゲージ技が出せる」のが旧作であった。当てると大ダメージに加えて相手の武器を落とし、後の状況で非常に大きなアドバンテージを得ることができる。どちらのスピリッツも攻撃によってゲージが増えるため、必然的にゲージ保持時間が長くなり、狙える機会が増えるのである。 ---従って、これらのスピリッツと相性の良いキャラがとことん強くなってしまっている。「零」は無の境地がそこそこ強いものの、それ以外の「怒」「真」「斬」は選ぶメリットが少なく、ガチ対戦ではほぼ使われない。 -CPU戦の難易度はシリーズの中でも低い。 --『零』及び『零SPECIAL』がかなりの高難易度だった事に対する反省なのか、CPUの強さはマイルドになっている。 --飛脚がアイテムを投げ入れる要素が復活。食べ物による体力回復や、爆弾によるガード崩しが可能。 --スピリッツシステムの影響もあって「(プレイヤー側が)できる事が多い」のも難易度低下の一因と言える。 --中ボスは天草、ミヅキ、斬紅郎、我旺のいずれかが現れるが、裏コマンドで好きな相手を選択可能。 --ラスボスは広範囲かつ多段ヒットする必殺技を多く持つが、そこまで理不尽な超反応ではない。 **シリーズ異色の特徴 -数々の残虐表現で物議を醸した『零SPECIAL』からの反動と、本作の根幹のストーリーが江戸幕府の御前試合になっていたり、開発中のタイトルが「サムライスピリッツ祭」と言うのもあってか、演出ががらりと変わってしまった。 --ダメージ演出は血飛沫一つ飛ばない仕様に。そのせいか家庭版の対象年齢もBに下がった。 --ステージの雰囲気も陰鬱なものから一転、人の賑わう明るいものに変更されている。一応、初代や『真』にも、そのようなステージが無いわけでもないのだが…。 --サムライスピリッツの象徴的なナレーション「いざ、尋常に」が外人訛りになるという妙な演出も。 --ただし、これはシリーズでも特定のキャラの声優がナレーションを担当しているというのもあり、それが今回の声優変更と重なってしまっただけという見方もできる(斬九郎無双剣→覇王丸 天草降臨→柳生十兵衛等。おそらく今作はガルフォード)。 --キャラクターイラストも『零』で担当していたたっくん氏が再び担当しているが、今までの作品に比べると色調が非常に明るく彫りが薄いため違和感が激しい。 -ゲーム性の大きな変化。 --サムスピなのに一撃のダメージが少ない。特に強斬りは体力の1/3、怒り状態ならキャラクターによっては5割位は減らせるのが普通なのだが、今回はせいぜい1/4。 ---その代わりに連続技が入りやすく、ジリジリした差し合いも少ない近年の一般的な格闘ゲームに近いものとなっている。 ---例外的に「怒」スピリッツの固有システムである「超斬り」は従来の大斬りのような威力を発揮する。 --ゲーム性がころころ変わるシリーズとは言え、サムスピの醍醐味と言えば「一撃必殺のバッサリ感」や「差し合い重視のゲームバランス」と言った声が大きく、その根幹を揺るがす様な変化は古参プレイヤーの怒りを買う事になった。 ---逆に、普通の格ゲープレイヤーからは「どんどん攻めていけて楽しい」と好評の声があり、賛否両論。 -パラレルワールドという設定とはいえ、全体的にEDが無茶苦茶。一応「そのキャラが満足のいく結果を得る」という点は共通しているが…。 --過去作の設定無視だったり(リムルル、右京など)、ギャグ同然(炎邪・水邪・おちゃ麿呂など)だったりする。 --曖昧な関係が続いていたガルフォードとナコルルが、ナコルル・羅刹ガルフォード・パピーEDで結ばれたのは物議を醸しだした。 ---一応、リムルルや通常ガルフォードEDでは結ばれてはいないのだが… --一方で、ミヅキや羅刹丸や腐れ外道などの一部の悪役キャラクターのEDはキャラクターに合っているとは言え、非常に陰惨。 --ただし、破沙羅やミナと言った今まで報われなかったキャラクターにはハッピーエンドが用意されているため、一概に悪いとは言えない。 ---意外な部分では、アースクェイクや我旺は偉大な功績を挙げる大人物となる。 ---おちゃ麿呂のEDでは、ポリサムシリーズに登場したある人物が裏で活躍している事が示唆されている。 --そもそものストーリーが「徳川の力で優勝者の望みをなんでも一つ叶える」というものなので、過去作の設定や結末を持ち出すのは野暮であるともいえる。 -声優はほぼ全キャラクター入れ替え。具体的に言うと炎邪、水邪、夢路以外全員。 --一部では『零SPECIAL』騒動のせい、スケジュールのせい、本作はパラレルワールドだから、作風の一新も兼ねてなど多数の噂もあるが真偽は不明。 --担当声優はアイムエンタープライズ所属が多く、キャラクターのイメージに沿わないというわけでもない。リムルル役の釘宮理恵氏などはうまくハマっている。 ---だが、声がキャラクターのイメージを形作っていたと言っても過言ではない幻十郎やナコルルも変更されたのはファンにとっては厳しいものがある。 --後述するPS2・Wiiの『六番勝負』収録版では、一部のキャラクターを除き、『零SPECIAL』以前のCVにも変更可能になった。 **評価点 -集大成だけあって何といっても登場キャラクターの多さ。初期の作品で登場した面々を含め全42名という大ボリュームはファンには嬉しい。更にバランスが良くないとはいえ6種類のスピリッツの組み合わせもあり、同じキャラでもいろいろな楽しめ方ができる。 **総評 -なかなかやりがいがあるゲームだが、「(当時は)シリーズ完結作」と銘打たれていたのもあり、いろいろと賛否が絶えないゲームになった。 -なお、結局本作から約2年後に新作として『サムライスピリッツ閃』の稼働が始まったため、完結作とはならなかった。 --『閃』は久々の3D作品のため、本作が2D作品として最後である事は変わってないのだが。 -「いろは」にばかり話題が集中し、悠紀エンタープライズの%%斜め上な%%センスが必要以上に現れた。 --ちなみに悠紀エンタープライズは後に''あの''『アルカナハート』((スク水ランドセル小学生の大道寺きら、裸Yシャツのアンジェリア・アヴァロンなど、ぶっ飛んだキャラクターが登場している全キャラ女性の格闘ゲーム。大半は制服なり礼服なり、フォーマルな格好のキャラクターなのだが…。))を開発する会社である。今となっては''その片鱗は既に現れていた''と言わざるを得ない((後に開発を担当した部署は「エクサム」として独立し、以降の格闘ゲームは全てそちらから発売している。))。 ---- **家庭用移植 -プレイステーション2版(2006年1月26日発売、SNKプレイモア) --唯一の単体移植にあたる。PS2オリジナルの隠し要素としてボスキャラクター用の「魔」、動物キャラクター用の「獣」、エディットでシステムを変えられる「祭」の追加スピリッツや、新たな追加キャラクター(羅刹ガルフォード、黒子、パピー、裏ミナなど、主に既存キャラクターの別バージョン)が使用できるサプライズがある。 --後にベスト版も発売された。……が、現在買うならば後述の六番勝負の方が良いだろう。 -2014年11月19日よりPS3向けゲームアーカイブスで本作(PS2単体版)が配信されている。単体版準拠のため、六番勝負版の追加要素は無い。 ---- *サムライスピリッツ 六番勝負 【さむらいすぴりっつ ろくばんしょうぶ】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B0018TNQEE)|&amazon(B0025VKKKC)|&amazon(B0019TYKFM)| |対応機種|プレイステーション2((『NEOGEOオンラインコレクション』の一ラインナップ。))&br()Wii|~|~|~| |発売元|SNKプレイモア|~|~|~| |開発元|Terminal Reality|~|~|~| |発売日|2008年7月24日|~|~|~| |定価|4,800円(税別)|~|~|~| |廉価版|【PS2】NEOGEOオンラインコレクション THE BEST&br()2009年6月18日/1,980円(税別)|~|~|~| |判定|なし|~|~|~| |ポイント|2Dサムスピシリーズ総集編&br()ネオジオ版旧作5本+剣サム改良版&br()ハブられた零スペ|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズリンク>サムライスピリッツシリーズ]]''| |>|>|>|>|CENTER:[[''NEOGEOオンラインコレクションシリーズリンク''>NEOGEOオンラインコレクションシリーズ]]| **概要(六番勝負) 江戸時代を舞台とした剣戟格闘ゲーム『サムライスピリッツ』2Dシリーズから~ 『[[初代サムライスピリッツ>サムライスピリッツ]]』『[[真>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[斬紅郎無双剣>サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[天草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[零>サムライスピリッツ零]]』『天下一剣客伝』の6作を収録したオムニバス作品。~ 何故か『[[零SPECIAL>サムライスピリッツ零SPECIAL]]』のみ収録されていない((『絶命奥義』を始めとする残虐表現が原因でネオジオ移植にあたり、一騒動起きた事が原因とされている。詳しくは当該項目を参照。))((一応、オープニングデモに当作でのBGMが使われているなど全く無視されているわけでもない。))。 **特徴(六番勝負) -『初代』から『零』まではネオジオ版のベタ移植を収録。 --さらにプラクティスモードやキャラクターカラーエディットも新たに収録されている。 --BGM音源もオリジナルとアレンジのどちらかに変更可能。 -『天下一剣客伝』のみ、基板がネオジオ互換のMVSでなくATOMISWAVEであるためか、''AC版ではなくPS2版からの移植''となっている。&br()そのため、PS2単品版の追加要素(スピリッツやキャラクター)を全て収録。 --さらに、''PS2単品版の隠し要素は最初から解禁済み''になっている上に、独自の追加要素として、オプションにて''キャラクターボイスを『零SPECIAL』以前の旧CVに変更可能になった。''また、このボイスは流用ではなく新規収録の物である。 ---ただし一部のキャラクターには無いなど問題がある((4作目から登場した風間兄弟には存在するのに、2作目からのチャムチャム、および3作目からの緋雨閑丸と花諷院骸羅には何故か無い。また、『零』から登場したキャラクターには旧CVが収録されていないのだが、リムルルは『零・零SP』でCVを担当した生天目仁美氏が担当している。)) -PS2版はマルチマッチングBBによるオンライン対戦に対応(現在は終了)。 --ちなみに、上記の単品版とはオンラインサーバーが当初は別々であった。 -Wii版はオンライン非対応の代わりに、Wiiリモコンの動作感知を使ったミニゲームを収録。 --また、Wii版はクラシックコントローラやネオジオスティック2だけでなくリモコン横持ちとヌンチャクでも遊ぶことができる。 ---「遊べないことはない」レベルなので、クラコンかスティック推奨ではあるのだが。 ---特に『天下一剣客伝』ではリモコンの動作感知をも操作に組み込まれているため、コマンド入力が一番し辛くなってしまっている。 **好評点(六番勝負) -コストパフォーマンスが非常に良い。 --5,000円台でシリーズ6本が遊べられるのはかなりお得。廉価版の定価はさらに半額以下の破格の値段である''2,000円台''。 --また、旧作についても移植度が特に高いネオジオ版である事も好評。 ---これはネオジオ以外でのハードによる移植版がスペック上の都合などから劣化点を含んでしまっている事も大きい。 ---さらに言うと、『零』はバーチャルコンソールなどでネオジオ版の配信もされていない。 --もっとも現在は品薄なのか、PS2廉価版でも中古価格が初版の定価とほぼ同じとなっている。それを顧みてもお得であるが。 **不評点(六番勝負) -『天下一』がPS2版ベースなのに対し、『初代』~『零』までは基本的にネオジオ版のベタ移植であるため、過去の家庭用版での追加要素が無い事。 --これが影響するのはボスキャラクターの使用可否で、以前の家庭用では使えたボスキャラクターが今作では使えない。&br()例えば『初代』は天草、『真』はミヅキ、『天』は斬紅郎、『零』は夢路・三九六・我旺が使用不可。 ---特に『零』については同ハードのPS2で単体版が過去に発売されており、そちらでは夢路と三九六が使用可能になっていたため劣化と取られることも。&br()また、今作『六番勝負』収録の『零』はBGMをアレンジに切り替えても一部楽曲がオリジナルのままになっているという不具合がある。&br()ただしPS2版『零』はロード時間が長いという問題点があったが、『六番勝負』では改善されている。 -2Dサムスピシリーズのうち、『零スペシャル』のみが未収録である事。 --シリーズの中で極めて優秀な対戦バランスを持っていると評されるだけに未収録なのが惜しまれる。 --作品自体は未収録だが、本作には同作のOP曲を始め、一部のBGMが収録されている。 **その他(六番勝負) -上記で挙げた通り本作は事実上、過去のPS2版『天下一剣客伝』の完全版に相当する。 --しかしPS2版剣サムから2年弱しての発売である上に、上記のとおりPS2版単体には無い追加要素や旧作5本込みなどがあるため、既にPS2版剣サムを買った人からは苦言が出る事となった。 -何故かWii版のみ廉価版が発売されていない。 --ただし、上述のとおり現在は両機種とも市場価格がほぼ変わらなくなっている。 -海外版の『SAMURAI SHOWDOWN ANTHOLOGY』は、2009年にPSP版も発売されている。 --当初は日本でもPSP版の発売予定があったものの、最終的には発売中止となった。 --なお、当初は海外版の公式サイトに『零スペシャル』の画面写真が告知されていたことがあり、一時期収録が噂されたが、実際の製品版ではやはり収録されなかった。 **総評(六番勝負) 零スペシャルが入ってないなどの指摘はあるが、やはりシリーズのほとんどを1本でプレイできるのは大きい。シリーズに興味を持ち、初めて触れるなら迷わず購入な一作といえるだろう。~

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