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本ページではアーケードゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』とオムニバスソフト『サムライスピリッツ 六番勝負』の2つについて紹介しています。 ---- #contents ---- *サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【さむらいすぴりっつ てんかいちけんかくでん】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B000BX2Q62)| |対応機種|アーケード(ATOMISWAVE)|~| |販売元|SNKプレイモア|~| |開発元|悠紀エンタープライズ|~| |稼動開始日|2005年9月14日|~| |移植|【PS2】2006年1月26日/6,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】2007年1月25日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス&br;2014年11月19日/1,000円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D侍魂シリーズの集大成だが異色&br()話題の中心はいろは&br()残虐演出は皆無&br()声優陣が総入れ替え(六番勝負で復活)&br()現在の2Dシリーズ最終作|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| ---- **概要 江戸時代を舞台とした武器による真剣勝負という世界観、一撃必殺の威力を持つ強斬りを主軸とした緊張感ある駆け引きなどで人気を博した格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』シリーズ。~ 本作はそのシリーズの「最終作」として発売された集大成的な作品。~ 通称は『天下一''剣''客伝』から一文字取った「剣サム」((「天サム」は『サムライスピリッツ ''天''草降臨』のことを指すので注意。))。 今まで2D作品本編に登場したキャラクターは黒子とパピー以外全員が登場((あくまで本編に登場したキャラのみであり、クロスオーバー作品で2Dドット化された色やアスラは残念ながら参戦できなかった。))。~ 初期の作品で登場し削除されたキャラクターもドットを変えて再登場し、さらに本作オリジナルの新キャラクターも登場し、使用可能なキャラクターは35人にもなっている。~ 歴代キャラ総出演という点で『KOF'98』『2002』『ハイパーストリートファイターII』のような、いわゆる「お祭りゲー」のクオリティを期待したシリーズファンは多かったことだろう。 ---- **ゲーム内容 -これまでの怒りゲージは「スピリッツゲージ」という名称になり、各スピリッツ(後述)の漢字一文字がゲージの端に付く。 -剣気ゲージは続投。スピリッツにより基本値とスピリッツゲージMax時の上限増加量が異なる。 -ボタンはA~Eの5つあり、Aが弱斬り、Bが中斬り、Cが強斬り、Dが蹴り、Eが特殊(回避など)。 -キャラクター選択後に「スピリッツ」を選択する。~ 「''怒''」「''真''」「''斬''」「''天''」「''零''」「''剣''」の6種類あり、怒から零はそれぞれ『サムライスピリッツ』『[[真サムライスピリッツ>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[サムライスピリッツ零]]』を模したシステムとなっている。「剣」は本作オリジナル。 #region(各スピリッツ詳細) --「''怒''」:避けなどの特殊行動がなくゲージ技も出せないが、一度だけ攻撃に耐え(いわゆるスーパーアーマー)強斬り以上の威力を叩き出す「超斬り」が使用可能に。またゲージMAXによる剣気増加が非常に大きく、溜まると攻撃力が二倍近くに超強化される。 ---怒りMAX、剣気最大、後の先(カウンター)の超斬りの威力は凄まじく、『サムライスピリッツ零』を彷彿とさせる。 --「''真''」:試合毎に一度だけ秘奥義が使え((後述の「剣」スピリッツ時とは違い、体力や怒りゲージ等の条件制約は一切なし。ただし、コマンドが「真」スピリッツ専用のものになり、長く難しくなる。))、短時間だけ無敵になるぬいぐるみ化が可能。ゲージ技が武器飛ばし技から武器破壊技となり、替わりの武器が現れるまで時間がかかるので相手の素手時間が必然的に長くなる。また、伏せ・下段避け・前転・後転を使用可能。 --「''斬''」:空中での特殊ボタン入力でわずかな時間だけ空中ガードが可能。地上で避け・回り込みと任意に怒り溜めが可能になり、残り体力僅かで常時ゲージMaxとなる。 --「''天''」:連斬と避け・回り込みが可能。 ---連斬は始動技からタイミングよくボタンを入力していくことで連続ヒットし、キャンセルして各種ゲージ技や必殺技に繋げたり、最後まで出し切ってゲージを溜めることができる。コンボ拒否の「怒り爆発」とそこからの「一閃」も使える。 --「''零''」:特殊行動は、飛び込み・伏せ・下段避け・前転・後転。一定条件下で相手の速度を減少させる「無の境地」と、天と同じく「怒り爆発」と『一閃』が使用可能。 --「''剣''」:ゲージが他と大きく異なり、攻撃することで溜まり、MAXになっても時間経過での初期化がないストック制となる。その代わりMAXでも剣気がほとんど上昇しない。回避動作(後方スライド・伏せ・下段避け)に残像が付き、これに相手の攻撃が重なると「見切り」が成立し一瞬相手の動きが止まる。見切り成立で体力バーと重なった秘奥義ゲージが上昇し、体力が秘奥義ゲージ以下なら秘奥義が使える様になる(使用後は初期値に戻る)。ゲージを一定値消費して「中下段問わず防ぎ、削りも無効」の「完全ガード」が使用可能。 #endregion ---- **評価点 -集大成だけあって何といっても登場キャラクターの多さ。初期の作品で登場した面々を含め全42名という大ボリュームはファンには嬉しい。さらにバランスが良くないとはいえ6種類のスピリッツの組み合わせもあり、同じキャラでもいろいろな楽しみ方ができる。 -''CPU戦の難易度がシリーズの中でも低い'' --『零』及び『零SPECIAL』がかなりの高難易度だった事に対する反省なのか、CPUの強さはマイルドになっている。 --飛脚がアイテムを投げ入れる要素が復活。食べ物による体力回復や、爆弾によるガード崩しが可能。 --スピリッツシステムの影響もあって「(プレイヤー側が)できる事が多い」のも難易度低下の一因と言える。 --中ボスは天草、ミヅキ、斬紅郎、我旺のいずれかが現れるが、裏コマンドで好きな相手を選択可能。 --ラスボスは広範囲かつ多段ヒットする必殺技を多く持つが、(たまに超反応をしてくるが)全体的に見るとそこまで理不尽なボスではない。やりこんでいって隙をつくことができれば、勝率はグンと上がるため程よい難易度と言える。 //これ問題点か?難易度が高くなったならともかく、ヌルゲーになったわけでもないのに低くなった事を問題点とするのは如何なものか //むしろ評価点だと思うので、こちらに移行しました ---- **賛否両論点 ''本作の象徴「いろは」''~ -新キャラクターの1人「いろは」が「サムライスピリッツの集大成」という背景をそっちのけでプレイヤーの人気を掻っ攫って行くことに。 --その見た目を一言で言えば「和風エロメイド」であり、外見通りにある青年((開幕演出の「こちらを向いて」三つ指を立ててお辞儀をするという動きから察するに、ある青年=「いろはをプレイヤーキャラに選んだプレイヤーのこと」というメタ演出になっているのではないかと言われている。))を「旦那様」と呼んで仕えている。モチーフは昔話「鶴の恩返し」であり、その正体は鶴の化身である。 ---更にゲーム中でも、彼女のステージだけBGMが''演歌''になる。歌手には伊吹友里氏を起用しており、歌詞もいろはに合わせて考えられており、非常に存在をプッシュされている。 --詳細は後述するが性能は優秀で、本作屈指の強キャラ。 --CVは''アダルトゲーム界で''有名な新堂真弓氏。実に位置付けが良く分かる人選である。 ---家庭用の初回版特典に彼女のフィギュアがついたり、携帯電話向けに彼女が主役のゲームが作られたり、サムライスピリッツの代表キャラクターとして他の作品に客演登場したり…と、『サムスピ』というゲームそのものの見方を捻じ曲げるほどの魔力を持ったキャラクターとなった。その結果として他の女性キャラクターが割を食う形に。 ---『クイーンズゲイト』のモデルに選ばれ、さらにPSPソフト『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも出演。他にもミナとチャムチャムが出演している。 -ちなみに他の新キャラクターたちはことごとく空気。アメリカ大統領候補だったりカラクリ人形だったり''お祭りおじさん''だったりと個性自体は強いのだが…。 ''なぜか1人だけ扱いの悪い三九六''~ -今作は「御前試合の優勝者は願いが叶う((一応、優勝者に対する幕府からの褒賞として「大願成就」があるという設定なのだが、物騒だったりスケールが大き過ぎたりと幕府の手に負えない願いが多過ぎるせいか、実際に幕府が願いを叶えるために動くシーンはそれほどない。))」という設定を下敷きにしているため、基本的にエンディングでは操作キャラクターの願いが叶う展開となる。 --悪役サイドの連中でも「世界を滅ぼす(天草など)」「みんなを食う(腐れ外道)」という物騒な願い事が成功し、アースクエイクでさえ「宝目当てで魔界行き」とバッドエンドかと思いきや「奇跡的に生還し大金持ちになった」と当人にはめでたい最後なのだが、なぜか萬三九六のみ「優勝したのは寝込んだ際の夢でした」というがっかりオチ。 ---確かに彼も悪役キャラの1人だが、上述した通りそういったキャラも願いを叶えているので余計に目立つ形となってしまった。 ---- **問題点 ''あまりよくないゲームバランス''~ -むしろ、前作よりも悪化してしまった感じがある。 --起き攻めや受け身狩りのし易さとそれらへの対抗策、後述の強スピリッツや有利なシステム・バグの相性の部分が総じて大きいため、弱いキャラクターは誰に対しても万遍なく弱く、強いキャラクターはとことん強い傾向にある。 #region(強キャラ) -''強キャラ'' --いわゆる「5強」は真鏡名ミナ・いろは・天草四郎時貞・風間火月・緋雨閑丸。最近の研究では「飛び引っ掻き」と「パクパク・ガブル」の組み合わせによる、避けにくいガード不能を仕掛けられる「チャムチャム」も強キャラに食い込みそうな勢い。 --いろはは2段ジャンプを標準装備している上、空中でも出せる飛び道具も持っていて、空中制御の利きにくいサムスピのセオリーを覆す立ち回りができる。地上でも長くて速い蹴り攻撃により、接近戦で相手の攻撃を潰しつつ先手を取りやすい。 ---更に武器飛ばし技が投げ技であるため後述のバグを活かし易く、相手にそれを防ぐために受け身を強制させて有利な展開にできる。ゲージがストックされる剣スピリッツと非常に相性が良い。防御面は体力が低めという弱点はあるものの、無敵対空を持っているためそれでも強い。 --真鏡名ミナは圧倒的なシューティングゲーム性能を持ち相手を寄せ付けない戦い方が特徴。それでいて火力もかなり高め。秘奥義と武器飛ばしを絡めた極めてガードしにくい上下択、ガード不能まで持っており逆転性も充分。 ---キャラコンセプト上接近戦は苦手なはずなのだが、なぜか近距離技の判定がやたらと強いため、実戦ではそこまで苦手とは言い難い。おまけに画面端から一気に中央まで移動する脱出技さえ持っている。一部キャラ(外道や骸羅など)は体力を犠牲にして画面端に追い詰めても、ちょっと読み違えただけで簡単に逃げられてしまい、可哀相になるほど。こちらも秘奥義が条件次第だが何度も使える剣スピリッツとの相性が良い。 ---前作までで目立っていた防御力の薄さは、ゲーム全体の火力の低下により結果的に補われている。 --天草四郎時貞はほぼ出し得の「汝、暗転入滅せよ」だけで勝てそうな勢い。 ---高速で空中から突進してくる上、ガード方向を左右に揺さぶれ、当たるとダウン→起き攻めで再度「汝、暗転入滅せよ」→またダウン、以下ループ。一部キャラは壁を背にしていてもめくられる理不尽性能。因みに空中からの突進タイミングは操作側から調整可能。従って一度空中に留まるところを攻撃しようとすると逆にこちらが食らう羽目に。 ---ガードに成功しても極めて反撃しにくく、確定反撃のないキャラクターがいるのはおろか、ちょっと反撃に躊躇すると逆にガードした側が攻撃を喰らってしまう始末。体力勝ちしているときはそのまま空中で待機できるなど、いろいろぶっ壊れている。 ---それを抜きにしても数々の絡め手を持ち、逢魔刻の表裏揺さぶりからの戒烈掌崩しなども強力。遠・近二つのモード切り替えがやや面倒だが、逆に言えばどの距離でも戦え、立ち回りも万全。キャラ性能が高いためにどのスピリッツでもその強みを生かせる。 --風間火月は僅かな隙で各種必殺技を強化する炎をストックする「災炎」が強力。これの3段掛けを連斬キャンセル必殺技で連続技としてぶち込めるため、高火力と安定性の高さが光る。火月は連斬始動技がリーチ長め、隙無し、投げ無敵ありと優遇されており、元々高性能な連斬が他キャラよりも更に優れている。「火月と言えば天スピリッツ、天スピリッツと言えば火月」というのは剣サムプレイヤーの共通認識といえる。 ---無敵技こそ持たないが、起き攻めの強いこのゲームにおいてそれを無効化する独自技「炎返し((災炎ストックを犠牲にして、ダウン中に爆発を起こし当たった相手を吹っ飛ばせる。))」を持つため、守りも悪くない。 --緋雨閑丸はシリーズ恒例狂落斬の強力な一発と、このゲームでは貴重な無敵対空、素早い踏み込みと中下段の崩しによる「火力と守りと立ち回りの高すぎるバランス」を持った器用万能キャラ。 ---本作は意図的に「無敵技を少な目に調整」されており、数えるほどのキャラしか持っていないのだが、彼は''3つも''所持している。ここまで無敵技を持っているのは一人だけ。 ---狂落斬以外の単発火力はそこまで高くないものの、コンボの締めに使う技がどれも強制ダウンなのでペースを握ったまま継続しやすい。こちらも天草と同じくキャラ性能自体が高いため、どのスピリッツとも相性が良い。 #endregion #region(弱キャラ) -''弱キャラ'' --我らがダークヒーローの''牙神幻十郎は一気に最弱候補''に。 ---全体的に技の硬直が長くなり、火力も低下、主力技の一つであるコマンド投げ「雫刃」が失われてしまった点などが挙げられる。 ---後に挙げられる声優の変更によりドスの効いた渋く重い声もやたらとギャーギャーわめく小悪党めいたものになってしまった。今作で演じた大川透氏は実力派の声優なのだが、演技指導が悪かったのだろうか…? --前々作『零』では最強クラスだった徳川慶寅や新キャラの大統領候補アンドリュー、一部でカルト的人気を持つタムタムも最弱候補。 ---これらのキャラはとにかく火力が低く、対空が貧弱。差し合いも辛く、起き攻めに対しての対抗策が少なかったり食らい判定が大きい等の特徴が共通している。 #endregion -''バグを含めた、理不尽な戦法が多い'' --代表的なバグとして、「追い打ち攻撃を受けた後の起き上がりに投げられ判定があるため、コマンド投げを重ねられると確定してしまう」「画面が暗転静止している時も飛び道具は止まらずに動き続ける(=予めガードしていないと当たってしまう)」「ある条件を満たすと、ダウン追い討ちの飛び道具の攻撃力が一閃に化ける(通称:境地一閃)」などがある。 ---上記のいろはやミナはこれらを利用した武器飛ばし確定状況が作り出しやすく、格差をさらに広げる一因となっている。 --これまでのシリーズに比べると火力が減った代わりに、起き攻めが非常に強い傾向にあり、不利な読み合いを強いられる局面が多い。そういったキャラクターを相手に一度転んでしまうと「ずっと相手のターン」にされて負けてしまう可能性が高い。 ---以前のシリーズまであった移動起き上がりや時間差起き上がりがなくなり、ダウン時間が大幅に増加。間合いやタイミングの調整や、設置技や自己強化技を使用する時間が十分にある。さらにゲーム全体で無敵技を持つキャラがかなり少なく、割り込まれる心配が少ない。 ---2種類ある受け身を取ったとしても、投げか打撃どちらかに無防備な性能である。ダウン側がどんな行動をしても明確な不利を背負わされるので理不尽に感じられることも少なくない。 -''スピリッツ間の格差'' --特殊なシステムのないスタンダードなものほどメリットが少ない。スピリッツはそれぞれゲージの溜まり方や特殊行動、技の基本威力等が違うのだが… ---この内、隙が少なく各種必殺技やゲージ技に繋げやすい連斬と設置技が裏回りで表裏二択の攻撃手段に化ける「天」、ゲージがストック制になるため、ゲージ技が格段に当てやすくなる上に防御関係が充実している「剣」が強スピリッツとされている。 ---ゲージを使う「武器飛ばし技」を当てると大ダメージに加えて相手の武器を落とし、後の状況で非常に大きなアドバンテージを得ることができる。「ゲージは被ダメでのみ増え、かつ時間制限のある怒り状態でのみゲージ技が出せる」のが旧作であったが、制約が大きい為狙える時間が限られがちであった。 ---しかし「天」と「剣」はどちらのスピリッツも攻撃によってゲージが増えるため、必然的にゲージ保持時間が長くなり、狙える機会が増えるのである。 ---従って、これらのスピリッツと相性の良いキャラがとことん強くなってしまっている。「零」はやはりストック制の無の境地がそこそこ強いものの、それ以外の「怒」「真」「斬」は選ぶメリットが少なく、ガチ対戦ではほぼ使われない。 -''演出面の傾向の変化'' --数々の残虐表現で物議を醸した『零SPECIAL』からの反動と、本作の根幹のストーリーが江戸幕府の御前試合になっていたり、開発中のタイトルが「サムライスピリッツ祭」と言うのもあってか、演出ががらりと変わってしまった。 ---ダメージ演出は血飛沫一つ飛ばない仕様に。そのせいか家庭版の対象年齢もBに下がった。 ---エフェクト類も半透明処理がかけられるなどしており、従来の作品とは雰囲気が大きく異なる。 --ステージの雰囲気も陰鬱なものから一転、人の賑わう明るいものに変更されている。一応初代や『真』にもそのようなステージはあったが、今作はほぼ全てのステージがこのような雰囲気のため目立っている。 --サムライスピリッツの象徴的なナレーション「いざ、尋常に」が外人訛りになるという妙な演出も。 ---擁護すると、これはシリーズでも特定のキャラの声優がナレーションを担当しているというのもあり、それが今回の声優変更と重なってしまっただけという見方もできる((斬紅郎無双剣 ⇒ 覇王丸 天草降臨 ⇒ 柳生十兵衛等。おそらく今作はガルフォード。))。 --キャラクターイラストも『零』で担当していたたっくん氏が再び担当しているが、今までの作品に比べると色調が非常に明るく彫りが薄いため違和感が激しい。 -''ゲーム性の大きな変化'' --サムスピなのに一撃のダメージが少ない。特に強斬りは従来の作品では体力の1/3、怒り状態ならキャラクターによっては5割位は減らせるのが普通なのだが、今作では多くてもせいぜい1/4。 ---その代わりに連続技が入りやすく、ジリジリした差し合いも少ない近年の一般的な格闘ゲームに近いものとなっている。 ---例外的に「怒」スピリッツの固有システムである「超斬り」は従来の大斬りのような威力を発揮する。ただしこちらは隙も大きくリスクが高いシステムとなっている。 --ゲーム性がころころ変わるシリーズとは言え、サムスピの醍醐味と言えば「一撃必殺のバッサリ感」や「差し合い重視のゲームバランス」と言った声が大きく、その根幹を揺るがす様な変化は古参プレイヤーからの落胆を受ける事になった。 ---逆に、普通の格ゲープレイヤーからは「どんどん攻めていけて楽しい」と好評の声があり、賛否両論。 ---- **総評 格闘ゲームとしての出来は良くなかなかやりがいがあるゲームなのだが、それまでのシリーズと雰囲気が大きく異なる事や粗いバランス面など無視できない点も多く目立っている。~ 当初「シリーズ完結作」と銘打たれていたのもあり、いろいろと賛否が絶えないゲームになった。 ---- **余談 -本作から約2年後に新作として『サムライスピリッツ閃』の稼働が始まったため、結局シリーズ完結作とはならなかった。 --もっともその『閃』は久々の3D作品のため、本作が「純粋なドットグラフィックの2D作品として最後」である事は変わってないが。 --その後、2019年6月27日発売の『[[SAMURAI SPIRITS>SAMURAI SPIRITS (2019)]]』(AC/PS4/One/Switch/Win)はグラフィックこそ3Dだが、システム面に関しては2Dのシステムを踏襲した、いわゆる「2.5Dタイプ」になっており、タイトルも初代と同じということから原点回帰の一作となっている。 -「いろは」にばかり話題が集中し、悠紀エンタープライズの%%斜め上な%%センスが必要以上に現れた。 --ちなみに悠紀エンタープライズは後に''あの''『アルカナハート((スク水ランドセル小学生の大道寺きら、裸Yシャツのアンジェリア・アヴァロンなど、ぶっ飛んだキャラクターが登場している全キャラ女性の格闘ゲーム。大半は制服なり礼服なり、フォーマルな格好のキャラクターなのだが…。))』を開発する会社である。今となっては''その片鱗は既に現れていた''と言わざるを得ない。 ---開発を担当した部署は後に「エクサム」として独立し、以降の格闘ゲームは全てそちらから発売している。 ---- **PS2版 -SNKプレイモアより2006年1月26日発売。唯一の単体移植にあたる。 --PS2オリジナルの隠し要素としてボスキャラクター用の「魔」と、動物キャラクター用の「獣」に加え、エディットでシステムを組み合わせて変えられる「祭」の追加スピリッツや、新たな追加キャラクター((羅刹ガルフォード・黒子・パピー・裏ミナなど、主に既存キャラクターの別バージョン。))が使用できるサプライズがある。 --後に廉価版も発売された…が、現在買うならば後述の『六番勝負』の方が良いだろう。 -2014年11月19日よりPS3向けゲームアーカイブスで本作(PS2単体版)が配信されている。こちらも単体版準拠のため、『六番勝負』の追加要素は無い。 ---- *サムライスピリッツ 六番勝負 【さむらいすぴりっつ ろくばんしょうぶ】 |ジャンル|格闘アクション|CENTER:&amazon(B0018TNQEE)&amazon(B0019TYKFM)| |対応機種|プレイステーション2((『NEOGEOオンラインコレクション』の一ラインナップ。))&br()Wii|~| |発売元|SNKプレイモア|~| |開発元|Terminal Reality|~| |発売日|2008年7月24日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】2009年6月18日/1,980円(税別)|~| |備考|Wii版にのみオリジナルミニゲーム収録|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D『サムスピ』シリーズの総集編&br()NG版旧作5本+PS2版『剣サム』''改良版''&br()『零』まではNG版のベタ移植&br()ハブられた『零スペ』|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[NEOGEOオンラインコレクションシリーズ]]''| ---- **概要(六番勝負) 江戸時代を舞台とした剣戟格闘ゲーム『サムライスピリッツ』2Dシリーズから~ 『[[初代サムライスピリッツ>サムライスピリッツ]]』『[[真>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[斬紅郎無双剣>サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[天草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[零>サムライスピリッツ零]]』『天下一剣客伝』の6作を収録したオムニバス作品。~ 何故か『[[零SPECIAL>サムライスピリッツ零SPECIAL]]』のみ収録されていない((『絶命奥義』を始めとする残虐表現が原因でネオジオ移植にあたり、一騒動起きた事が原因とされている。詳しくは当該項目を参照。))((一応、オープニングデモに当作でのBGMが使われていたり、一部のbgmが収録されているなど全く無視されているわけでもない。))。 ---- **特徴(六番勝負) -『初代』から『零』まではネオジオ版のベタ移植を収録。 --さらにプラクティスモードやキャラクターカラーエディットも新たに収録されている。 --BGM音源もオリジナルとアレンジのどちらかに変更可能。 -『天下一剣客伝』のみ、基板がネオジオ互換のMVSでなくATOMISWAVEであるためか、''AC版ではなくPS2版からの移植''となっている。&br()そのため、PS2単品版の追加要素(スピリッツやキャラクター)を全て収録。 --さらに、''PS2単品版の隠し要素は最初から解禁済み''になっている上に、独自の追加要素として、''キャラクターボイスは『零SPECIAL』以前の旧CVのものがデフォルトになり、本来の新CVと切替可能になっている。''また、この旧CVボイスは過去作の流用ではなく''新規収録''の物である。 ---…なのだが、残念ながら一部のキャラクターは設定に関係なく元の新CVのままなど問題がある((4作目から登場した風間兄弟には存在するのに、2作目からのチャムチャム、および3作目からの緋雨閑丸と花諷院骸羅には何故か無い。また、『零』から登場したキャラクターには旧CVが収録されていないのだが、リムルルは『零・零SP』でCVを担当した生天目仁美氏が担当している。)) -PS2版はマルチマッチングBBによるオンライン対戦に対応(現在は終了)。 --ちなみに、上記の単品版とはオンラインサーバーが当初は別々であった。 --ハードスペックの関係で『斬紅郎無双剣』以降はローディングが発生する。 -Wii版はオンライン非対応の代わりに、Wiiリモコンの動作感知を使ったミニゲームを収録。 --また、Wii版はクラシックコントローラやネオジオスティック2だけでなくリモコン横持ちとヌンチャクでも遊ぶことができる。 ---もっとも絶対的にボタン数が少ない以上「遊べないことはない」レベルなので、クラコンかスティック推奨ではあるのだが…。 ---特に『天下一剣客伝』ではリモコンの動作感知をも操作に組み込まれているため、コマンド入力が一番し辛くなってしまっている。 --PS2よりもハードスペックが上なためローディングは『零』のみ発生する。 ---- **評価点(六番勝負) -コストパフォーマンスが非常に良い。 --5,000円台でシリーズ6本が遊べられるのはかなりお得。廉価版の定価はさらに半額以下の破格の値段である''2,000円台。'' --また、旧作についても移植度が特に高いネオジオ版である事も好評。 ---これはネオジオ以外でのハードによる移植版がスペック上の都合などから劣化点を含んでしまっている事も大きい。 ---さらに言うと、『零』はバーチャルコンソールなどでネオジオ版の配信もされていない。 --もっとも現在は品薄なのか、PS2廉価版でも中古価格が初版の定価とほぼ同じとなっている。それを顧みてもお得であるが。 ---- **問題点(六番勝負) -『天下一』がPS2版ベースなのに対し、『初代』~『零』までは基本的にネオジオ版のベタ移植であるため、過去の家庭用版での追加要素が無い事。 --これが影響するのはボスキャラクターの使用可否で、以前の家庭用では使えたボスキャラクターが今作では使えない。&br()例えば『初代』は天草、『真』はミヅキ、『天』は斬紅郎、『零』は夢路・三九六・我旺が使用不可。 ---特に『零』については同ハードのPS2で単体版が過去に発売されており、そちらでは夢路と三九六が使用可能になっていたため劣化と取られることも。 -今作『六番勝負』収録の『零』はBGMをアレンジに切り替えても一部楽曲がオリジナルのままになっているという不具合がある。また、「斬紅郎無双剣」の1ラウンド目開幕時のBGMも同様の不具合がある。 --一方でPS2版『零』はロード時間が長いという問題点があったが、『六番勝負』では単体版よりは改善されて許容範囲内となっている(それでも多少テンポは悪い)。 -強制でフィルターがかかっていてかなり画質がボケているなどの欠点もある。 -2Dサムスピシリーズのうち、『零SPECIAL』のみが未収録である事。 --ゼロスぺはシリーズの中で極めて優秀な対戦バランスを持っていると評されるだけに未収録なのが惜しまれる。 ---- **その他(六番勝負) -上記で挙げた通り本作は事実上、過去のPS2版『天下一剣客伝』の完全版に相当する。 --しかしPS2版『剣サム』から2年弱しての発売である上に、上記のとおりPS2版単体には無い追加要素や旧作5本込みなどがあるため、既にPS2版剣サムを買った人からは苦言が出る事となった。 -ネオジオ版の初代から『天草降臨』まで単品でバーチャルコンソールで配信されている影響なのか、何故かWii版のみ廉価版が発売されていない。 -海外版の『SAMURAI SHODOWN ANTHOLOGY』は、2009年にPSP版も発売されている。 --当初は日本でもPSP版の発売予定があったものの、最終的には発売中止となった。こちらもPS移植版の初代から『天草降臨』までがゲームアーカイブスで配信されていたり、ネオジオ版の『初代』が『SNKアーケードクラシックスvol.1』で単品移植がなされている関係で需要が見込めないと判断されたのだろうか。 --なお、当初は海外版の公式サイトに『零SPECIAL』の画面写真が告知されていたことがあり、一時期収録が噂されたが、実際の製品版ではやはり収録されなかった。 --解析により『V Special』のデータそのものは収録されている事が分かっている。 ---- **総評(六番勝負) 『零SPECIAL』が入ってないなどの指摘はあるが、やはりシリーズのほとんどを1本でプレイできるのは大きい。~ シリーズに興味を持ち、初めて触れるなら迷わず購入な一作といえるだろう。 ---- **余談(六番勝負) -現在は『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』が発売されたが、そちらには収録されていない『天下一剣客伝』が本作には入っている事から、本作の価値が失われたわけではない。 --そもそも、''『~ネオジオコレクション』は当初よりMVS/AESでリリースされたシリーズ作のみの収録を謳っているので、AC版の時点で基板がATOMISWAVEだった『天下一剣客伝』が収録されていないのは致し方のない話''なのである。
本ページではアーケードゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』とオムニバスソフト『サムライスピリッツ 六番勝負』の2つについて紹介しています。 ---- #contents ---- *サムライスピリッツ 天下一剣客伝 【さむらいすぴりっつ てんかいちけんかくでん】 |ジャンル|格闘アクション|&amazon(B000BX2Q62)| |対応機種|アーケード(ATOMISWAVE)|~| |販売元|SNKプレイモア|~| |開発元|悠紀エンタープライズ|~| |稼動開始日|2005年9月14日|~| |移植|【PS2】2006年1月26日/6,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】2007年1月25日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス&br;2014年11月19日/1,000円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D侍魂シリーズの集大成だが異色&br()話題の中心はいろは&br()残虐演出は皆無&br()声優陣が総入れ替え(六番勝負で復活)&br()現在の2Dシリーズ最終作|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| ---- **概要 江戸時代を舞台とした武器による真剣勝負という世界観、一撃必殺の威力を持つ強斬りを主軸とした緊張感ある駆け引きなどで人気を博した格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』シリーズ。~ 本作はそのシリーズの「最終作」として発売された集大成的な作品。~ 通称は『天下一''剣''客伝』から一文字取った「剣サム」((「天サム」は『サムライスピリッツ ''天''草降臨』のことを指すので注意。))。 今まで2D作品本編に登場したキャラクターは黒子とパピー以外全員が登場((あくまで本編に登場したキャラのみであり、クロスオーバー作品で2Dドット化された色やアスラは残念ながら参戦できなかった。))。~ 初期の作品で登場し削除されたキャラクターもドットを変えて再登場し、さらに本作オリジナルの新キャラクターも登場し、使用可能なキャラクターは35人にもなっている。~ 歴代キャラ総出演という点で『KOF'98』『2002』『ハイパーストリートファイターII』のような、いわゆる「お祭りゲー」のクオリティを期待したシリーズファンは多かったことだろう。 ---- **ゲーム内容 -これまでの怒りゲージは「スピリッツゲージ」という名称になり、各スピリッツ(後述)の漢字一文字がゲージの端に付く。 -剣気ゲージは続投。スピリッツにより基本値とスピリッツゲージMax時の上限増加量が異なる。 -ボタンはA~Eの5つあり、Aが弱斬り、Bが中斬り、Cが強斬り、Dが蹴り、Eが特殊(回避など)。 -キャラクター選択後に「スピリッツ」を選択する。~ 「''怒''」「''真''」「''斬''」「''天''」「''零''」「''剣''」の6種類あり、怒から零はそれぞれ『サムライスピリッツ』『[[真サムライスピリッツ>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[サムライスピリッツ零]]』を模したシステムとなっている。「剣」は本作オリジナル。 #region(各スピリッツ詳細) --「''怒''」:避けなどの特殊行動がなくゲージ技も出せないが、一度だけ攻撃に耐え(いわゆるスーパーアーマー)強斬り以上の威力を叩き出す「超斬り」が使用可能に。またゲージMAXによる剣気増加が非常に大きく、溜まると攻撃力が二倍近くに超強化される。 ---怒りMAX、剣気最大、後の先(カウンター)の超斬りの威力は凄まじく、『サムライスピリッツ零』を彷彿とさせる。 --「''真''」:試合毎に一度だけ秘奥義が使え((後述の「剣」スピリッツ時とは違い、体力や怒りゲージ等の条件制約は一切なし。ただし、コマンドが「真」スピリッツ専用のものになり、長く難しくなる。))、短時間だけ無敵になるぬいぐるみ化が可能。ゲージ技が武器飛ばし技から武器破壊技となり、替わりの武器が現れるまで時間がかかるので相手の素手時間が必然的に長くなる。また、伏せ・下段避け・前転・後転を使用可能。 --「''斬''」:空中での特殊ボタン入力でわずかな時間だけ空中ガードが可能。地上で避け・回り込みと任意に怒り溜めが可能になり、残り体力僅かで常時ゲージMaxとなる。 --「''天''」:連斬と避け・回り込みが可能。 ---連斬は始動技からタイミングよくボタンを入力していくことで連続ヒットし、キャンセルして各種ゲージ技や必殺技に繋げたり、最後まで出し切ってゲージを溜めることができる。コンボ拒否の「怒り爆発」とそこからの「一閃」も使える。 --「''零''」:特殊行動は、飛び込み・伏せ・下段避け・前転・後転。一定条件下で相手の速度を減少させる「無の境地」と、天と同じく「怒り爆発」と『一閃』が使用可能。 --「''剣''」:ゲージが他と大きく異なり、攻撃することで溜まり、MAXになっても時間経過での初期化がないストック制となる。その代わりMAXでも剣気がほとんど上昇しない。回避動作(後方スライド・伏せ・下段避け)に残像が付き、これに相手の攻撃が重なると「見切り」が成立し一瞬相手の動きが止まる。見切り成立で体力バーと重なった秘奥義ゲージが上昇し、体力が秘奥義ゲージ以下なら秘奥義が使える様になる(使用後は初期値に戻る)。ゲージを一定値消費して「中下段問わず防ぎ、削りも無効」の「完全ガード」が使用可能。 #endregion ---- **評価点 -集大成だけあって何といっても登場キャラクターの多さ。初期の作品で登場した面々を含め全42名という大ボリュームはファンには嬉しい。さらにバランスが良くないとはいえ6種類のスピリッツの組み合わせもあり、同じキャラでもいろいろな楽しみ方ができる。 -''CPU戦の難易度がシリーズの中でも低い'' --『零』及び『零SPECIAL』がかなりの高難易度だった事に対する反省なのか、CPUの強さはマイルドになっている。 --飛脚がアイテムを投げ入れる要素が復活。食べ物による体力回復や、爆弾によるガード崩しが可能。 --スピリッツシステムの影響もあって「(プレイヤー側が)できる事が多い」のも難易度低下の一因と言える。 --中ボスは天草、ミヅキ、斬紅郎、我旺のいずれかが現れるが、裏コマンドで好きな相手を選択可能。 --ラスボスは広範囲かつ多段ヒットする必殺技を多く持つが、(たまに超反応をしてくるが)全体的に見るとそこまで理不尽なボスではない。やりこんでいって隙をつくことができれば、勝率はグンと上がるため程よい難易度と言える。 //これ問題点か?難易度が高くなったならともかく、ヌルゲーになったわけでもないのに低くなった事を問題点とするのは如何なものか //むしろ評価点だと思うので、こちらに移行しました ---- **賛否両論点 ''本作の象徴「いろは」''~ -新キャラクターの1人「いろは」が「サムライスピリッツの集大成」という背景をそっちのけでプレイヤーの人気を掻っ攫って行くことに。 --その見た目を一言で言えば「和風エロメイド」であり、外見通りにある青年((開幕演出の「こちらを向いて」三つ指を立ててお辞儀をするという動きから察するに、ある青年=「いろはをプレイヤーキャラに選んだプレイヤーのこと」というメタ演出になっているのではないかと言われている。))を「旦那様」と呼んで仕えている。モチーフは昔話「鶴の恩返し」であり、その正体は鶴の化身である。 ---更にゲーム中でも、彼女のステージだけBGMが''演歌''になる。歌手には伊吹友里氏を起用しており、歌詞もいろはに合わせて考えられており、非常に存在をプッシュされている。 --詳細は後述するが性能は優秀で、本作屈指の強キャラ。 --CVは''アダルトゲーム界で''有名な新堂真弓氏。実に位置付けが良く分かる人選である。 ---家庭用の初回版特典に彼女のフィギュアがついたり、携帯電話向けに彼女が主役のゲームが作られたり、サムライスピリッツの代表キャラクターとして他の作品に客演登場したり…と、『サムスピ』というゲームそのものの見方を捻じ曲げるほどの魔力を持ったキャラクターとなった。その結果として他の女性キャラクターが割を食う形に。 ---『クイーンズゲイト』のモデルに選ばれ、さらにPSPソフト『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも出演。他にもミナとチャムチャムが出演している。 -ちなみに他の新キャラクターたちはことごとく空気。アメリカ大統領候補だったりカラクリ人形だったり''お祭りおじさん''だったりと個性自体は強いのだが…。 ''なぜか1人だけ扱いの悪い三九六''~ -今作は「御前試合の優勝者は願いが叶う((一応、優勝者に対する幕府からの褒賞として「大願成就」があるという設定なのだが、物騒だったりスケールが大き過ぎたりと幕府の手に負えない願いが多過ぎるせいか、実際に幕府が願いを叶えるために動くシーンはそれほどない。))」という設定を下敷きにしているため、基本的にエンディングでは操作キャラクターの願いが叶う展開となる。 --悪役サイドの連中でも「世界を滅ぼす(天草など)」「みんなを食う(腐れ外道)」という物騒な願い事が成功し、アースクエイクでさえ「宝目当てで魔界行き」とバッドエンドかと思いきや「奇跡的に生還し大金持ちになった」と当人にはめでたい最後なのだが、なぜか萬三九六のみ「優勝したのは寝込んだ際の夢でした」というがっかりオチ。 ---確かに彼も悪役キャラの1人だが、上述した通りそういったキャラも願いを叶えているので余計に目立つ形となってしまった。 ---- **問題点 ''あまりよくないゲームバランス''~ -むしろ、前作よりも悪化してしまった感じがある。 --起き攻めや受け身狩りのし易さとそれらへの対抗策、後述の強スピリッツや有利なシステム・バグの相性の部分が総じて大きいため、弱いキャラクターは誰に対しても万遍なく弱く、強いキャラクターはとことん強い傾向にある。 #region(強キャラ) -''強キャラ'' --いわゆる「5強」は真鏡名ミナ・いろは・天草四郎時貞・風間火月・緋雨閑丸。最近の研究では「飛び引っ掻き」と「パクパク・ガブル」の組み合わせによる、避けにくいガード不能を仕掛けられる「チャムチャム」も強キャラに食い込みそうな勢い。 --いろはは2段ジャンプを標準装備している上、空中でも出せる飛び道具も持っていて、空中制御の利きにくいサムスピのセオリーを覆す立ち回りができる。地上でも長くて速い蹴り攻撃により、接近戦で相手の攻撃を潰しつつ先手を取りやすい。 ---更に武器飛ばし技が投げ技であるため後述のバグを活かし易く、相手にそれを防ぐために受け身を強制させて有利な展開にできる。ゲージがストックされる剣スピリッツと非常に相性が良い。防御面は体力が低めという弱点はあるものの、無敵対空を持っているためそれでも強い。 --真鏡名ミナは圧倒的なシューティングゲーム性能を持ち相手を寄せ付けない戦い方が特徴。それでいて火力もかなり高め。秘奥義と武器飛ばしを絡めた極めてガードしにくい上下択、ガード不能まで持っており逆転性も充分。 ---キャラコンセプト上接近戦は苦手なはずなのだが、なぜか近距離技の判定がやたらと強いため、実戦ではそこまで苦手とは言い難い。おまけに画面端から一気に中央まで移動する脱出技さえ持っている。一部キャラ(外道や骸羅など)は体力を犠牲にして画面端に追い詰めても、ちょっと読み違えただけで簡単に逃げられてしまい、可哀相になるほど。こちらも秘奥義が条件次第だが何度も使える剣スピリッツとの相性が良い。 ---前作までで目立っていた防御力の薄さは、ゲーム全体の火力の低下により結果的に補われている。 --天草四郎時貞はほぼ出し得の「汝、暗転入滅せよ」だけで勝てそうな勢い。 ---高速で空中から突進してくる上、ガード方向を左右に揺さぶれ、当たるとダウン→起き攻めで再度「汝、暗転入滅せよ」→またダウン、以下ループ。一部キャラは壁を背にしていてもめくられる理不尽性能。因みに空中からの突進タイミングは操作側から調整可能。従って一度空中に留まるところを攻撃しようとすると逆にこちらが食らう羽目に。 ---ガードに成功しても極めて反撃しにくく、確定反撃のないキャラクターがいるのはおろか、ちょっと反撃に躊躇すると逆にガードした側が攻撃を喰らってしまう始末。体力勝ちしているときはそのまま空中で待機できるなど、いろいろぶっ壊れている。 ---それを抜きにしても数々の絡め手を持ち、逢魔刻の表裏揺さぶりからの戒烈掌崩しなども強力。遠・近二つのモード切り替えがやや面倒だが、逆に言えばどの距離でも戦え、立ち回りも万全。キャラ性能が高いためにどのスピリッツでもその強みを生かせる。 --風間火月は僅かな隙で各種必殺技を強化する炎をストックする「災炎」が強力。これの3段掛けを連斬キャンセル必殺技で連続技としてぶち込めるため、高火力と安定性の高さが光る。火月は連斬始動技がリーチ長め、隙無し、投げ無敵ありと優遇されており、元々高性能な連斬が他キャラよりも更に優れている。「火月と言えば天スピリッツ、天スピリッツと言えば火月」というのは剣サムプレイヤーの共通認識といえる。 ---無敵技こそ持たないが、起き攻めの強いこのゲームにおいてそれを無効化する独自技「炎返し((災炎ストックを犠牲にして、ダウン中に爆発を起こし当たった相手を吹っ飛ばせる。))」を持つため、守りも悪くない。 --緋雨閑丸はシリーズ恒例狂落斬の強力な一発と、このゲームでは貴重な無敵対空、素早い踏み込みと中下段の崩しによる「火力と守りと立ち回りの高すぎるバランス」を持った器用万能キャラ。 ---本作は意図的に「無敵技を少な目に調整」されており、数えるほどのキャラしか持っていないのだが、彼は''3つも''所持している。ここまで無敵技を持っているのは一人だけ。 ---狂落斬以外の単発火力はそこまで高くないものの、コンボの締めに使う技がどれも強制ダウンなのでペースを握ったまま継続しやすい。こちらも天草と同じくキャラ性能自体が高いため、どのスピリッツとも相性が良い。 #endregion #region(弱キャラ) -''弱キャラ'' --我らがダークヒーローの''牙神幻十郎は一気に最弱候補''に。 ---全体的に技の硬直が長くなり、火力も低下、主力技の一つであるコマンド投げ「雫刃」が失われてしまった点などが挙げられる。 ---後に挙げられる声優の変更によりドスの効いた渋く重い声もやたらとギャーギャーわめく小悪党めいたものになってしまった。今作で演じた大川透氏は実力派の声優なのだが、演技指導が悪かったのだろうか…? --前々作『零』では最強クラスだった徳川慶寅や新キャラの大統領候補アンドリュー、一部でカルト的人気を持つタムタムも最弱候補。 ---これらのキャラはとにかく火力が低く、対空が貧弱。差し合いも辛く、起き攻めに対しての対抗策が少なかったり食らい判定が大きい等の特徴が共通している。 #endregion -''バグを含めた、理不尽な戦法が多い'' --代表的なバグとして、「追い打ち攻撃を受けた後の起き上がりに投げられ判定があるため、コマンド投げを重ねられると確定してしまう」「画面が暗転静止している時も飛び道具は止まらずに動き続ける(=予めガードしていないと当たってしまう)」「ある条件を満たすと、ダウン追い討ちの飛び道具の攻撃力が一閃に化ける(通称:境地一閃)」などがある。 ---上記のいろはやミナはこれらを利用した武器飛ばし確定状況が作り出しやすく、格差をさらに広げる一因となっている。 --これまでのシリーズに比べると火力が減った代わりに、起き攻めが非常に強い傾向にあり、不利な読み合いを強いられる局面が多い。そういったキャラクターを相手に一度転んでしまうと「ずっと相手のターン」にされて負けてしまう可能性が高い。 ---以前のシリーズまであった移動起き上がりや時間差起き上がりがなくなり、ダウン時間が大幅に増加。間合いやタイミングの調整や、設置技や自己強化技を使用する時間が十分にある。さらにゲーム全体で無敵技を持つキャラがかなり少なく、割り込まれる心配が少ない。 ---2種類ある受け身を取ったとしても、投げか打撃どちらかに無防備な性能である。ダウン側がどんな行動をしても明確な不利を背負わされるので理不尽に感じられることも少なくない。 -''スピリッツ間の格差'' --特殊なシステムのないスタンダードなものほどメリットが少ない。スピリッツはそれぞれゲージの溜まり方や特殊行動、技の基本威力等が違うのだが… ---この内、隙が少なく各種必殺技やゲージ技に繋げやすい連斬と設置技が裏回りで表裏二択の攻撃手段に化ける「天」、ゲージがストック制になるため、ゲージ技が格段に当てやすくなる上に防御関係が充実している「剣」が強スピリッツとされている。 ---ゲージを使う「武器飛ばし技」を当てると大ダメージに加えて相手の武器を落とし、後の状況で非常に大きなアドバンテージを得ることができる。「ゲージは被ダメでのみ増え、かつ時間制限のある怒り状態でのみゲージ技が出せる」のが旧作であったが、制約が大きい為狙える時間が限られがちであった。 ---しかし「天」と「剣」はどちらのスピリッツも攻撃によってゲージが増えるため、必然的にゲージ保持時間が長くなり、狙える機会が増えるのである。 ---従って、これらのスピリッツと相性の良いキャラがとことん強くなってしまっている。「零」はやはりストック制の無の境地がそこそこ強いものの、それ以外の「怒」「真」「斬」は選ぶメリットが少なく、ガチ対戦ではほぼ使われない。 -''演出面の傾向の変化'' --数々の残虐表現で物議を醸した『零SPECIAL』からの反動と、本作の根幹のストーリーが江戸幕府の御前試合になっていたり、開発中のタイトルが「サムライスピリッツ祭」と言うのもあってか、演出ががらりと変わってしまった。 ---ダメージ演出は血飛沫一つ飛ばない仕様に。そのせいか家庭版の対象年齢もBに下がった。 ---エフェクト類も半透明処理がかけられるなどしており、従来の作品とは雰囲気が大きく異なる。 --ステージの雰囲気も陰鬱なものから一転、人の賑わう明るいものに変更されている。一応初代や『真』にもそのようなステージはあったが、今作はほぼ全てのステージがこのような雰囲気のため目立っている。 --サムライスピリッツの象徴的なナレーション「いざ、尋常に」が外人訛りになるという妙な演出も。 ---擁護すると、これはシリーズでも特定のキャラの声優がナレーションを担当しているというのもあり、それが今回の声優変更と重なってしまっただけという見方もできる((斬紅郎無双剣 ⇒ 覇王丸 天草降臨 ⇒ 柳生十兵衛等。おそらく今作はガルフォード。))。 --キャラクターイラストも『零』で担当していたたっくん氏が再び担当しているが、今までの作品に比べると色調が非常に明るく彫りが薄いため違和感が激しい。 -''ゲーム性の大きな変化'' --サムスピなのに一撃のダメージが少ない。特に強斬りは従来の作品では体力の1/3、怒り状態ならキャラクターによっては5割位は減らせるのが普通なのだが、今作では多くてもせいぜい1/4。 ---その代わりに連続技が入りやすく、ジリジリした差し合いも少ない近年の一般的な格闘ゲームに近いものとなっている。 ---例外的に「怒」スピリッツの固有システムである「超斬り」は従来の大斬りのような威力を発揮する。ただしこちらは隙も大きくリスクが高いシステムとなっている。 --ゲーム性がころころ変わるシリーズとは言え、サムスピの醍醐味と言えば「一撃必殺のバッサリ感」や「差し合い重視のゲームバランス」と言った声が大きく、その根幹を揺るがす様な変化は古参プレイヤーからの落胆を受ける事になった。 ---逆に、普通の格ゲープレイヤーからは「どんどん攻めていけて楽しい」と好評の声があり、賛否両論。 ---- **総評 格闘ゲームとしての出来は良くなかなかやりがいがあるゲームなのだが、それまでのシリーズと雰囲気が大きく異なる事や粗いバランス面など無視できない点も多く目立っている。~ 当初「シリーズ完結作」と銘打たれていたのもあり、いろいろと賛否が絶えないゲームになった。 ---- **余談 -本作から約2年後に新作として『サムライスピリッツ閃』の稼働が始まったため、結局シリーズ完結作とはならなかった。 --もっともその『閃』は久々の3D作品のため、本作が「純粋なドットグラフィックの2D作品として最後」である事は変わってないが。 --その後、2019年6月27日発売の『[[SAMURAI SPIRITS>SAMURAI SPIRITS (2019)]]』(AC/PS4/One/Switch/Win)はグラフィックこそ3Dだが、システム面に関しては2Dのシステムを踏襲した、いわゆる「2.5Dタイプ」になっており、タイトルも初代と同じということから原点回帰の一作となっている。 -「いろは」にばかり話題が集中し、悠紀エンタープライズの%%斜め上な%%センスが必要以上に現れた。 --ちなみに悠紀エンタープライズは後に''あの''『アルカナハート((スク水ランドセル小学生の大道寺きら、裸Yシャツのアンジェリア・アヴァロンなど、ぶっ飛んだキャラクターが登場している全キャラ女性の格闘ゲーム。大半は制服なり礼服なり、フォーマルな格好のキャラクターなのだが…。))』を開発する会社である。今となっては''その片鱗は既に現れていた''と言わざるを得ない。 ---開発を担当した部署は後に「エクサム」として独立し、以降の格闘ゲームは全てそちらから発売している。 ---- **PS2版 -SNKプレイモアより2006年1月26日発売。唯一の単体移植にあたる。 --PS2オリジナルの隠し要素としてボスキャラクター用の「魔」と、動物キャラクター用の「獣」に加え、エディットでシステムを組み合わせて変えられる「祭」の追加スピリッツや、新たな追加キャラクター((羅刹ガルフォード・黒子・パピー・裏ミナなど、主に既存キャラクターの別バージョン。))が使用できるサプライズがある。 --後に廉価版も発売された…が、現在買うならば後述の『六番勝負』の方が良いだろう。 -2014年11月19日よりPS3向けゲームアーカイブスで本作(PS2単体版)が配信されている。こちらも単体版準拠のため、『六番勝負』の追加要素は無い。 ---- *サムライスピリッツ 六番勝負 【さむらいすぴりっつ ろくばんしょうぶ】 |ジャンル|格闘アクション|CENTER:&amazon(B0018TNQEE)&amazon(B0019TYKFM)| |対応機種|プレイステーション2((『NEOGEOオンラインコレクション』の一ラインナップ。))&br()Wii|~| |発売元|SNKプレイモア|~| |開発元|Terminal Reality|~| |発売日|2008年7月24日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】2009年6月18日/1,980円(税別)|~| |備考|Wii版にのみオリジナルミニゲーム収録|~| |判定|なし|~| |ポイント|2D『サムスピ』シリーズの総集編&br()NG版旧作5本+PS2版『剣サム』''改良版''&br()『零』まではNG版のベタ移植&br()ハブられた『零スペ』|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[NEOGEOオンラインコレクションシリーズ]]''| ---- **概要(六番勝負) 江戸時代を舞台とした剣戟格闘ゲーム『サムライスピリッツ』2Dシリーズから~ 『[[初代サムライスピリッツ>サムライスピリッツ]]』『[[真>真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』『[[斬紅郎無双剣>サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』『[[天草降臨>サムライスピリッツ 天草降臨]]』『[[零>サムライスピリッツ零]]』『天下一剣客伝』の6作を収録したオムニバス作品。~ 何故か『[[零SPECIAL>サムライスピリッツ零SPECIAL]]』のみ収録されていない((『絶命奥義』を始めとする残虐表現が原因でネオジオ移植にあたり、一騒動起きた事が原因とされている。詳しくは当該項目を参照。))((一応、オープニングデモに当作でのBGMが使われていたり、一部のbgmが収録されているなど全く無視されているわけでもない。))。 ---- **特徴(六番勝負) -『初代』から『零』まではネオジオ版のベタ移植を収録。 --さらにプラクティスモードやキャラクターカラーエディットも新たに収録されている。 --BGM音源もオリジナルとアレンジのどちらかに変更可能。 -『天下一剣客伝』のみ、基板がネオジオ互換のMVSでなくATOMISWAVEであるためか、''AC版ではなくPS2版からの移植''となっている。&br()そのため、PS2単品版の追加要素(スピリッツやキャラクター)を全て収録。 --さらに、''PS2単品版の隠し要素は最初から解禁済み''になっている上に、独自の追加要素として、''キャラクターボイスは『零SPECIAL』以前の旧CVのものがデフォルトになり、本来の新CVと切替可能になっている。''また、この旧CVボイスは過去作の流用ではなく''新規収録''の物である。 ---…なのだが、残念ながら一部のキャラクターは設定に関係なく元の新CVのままなど問題がある((4作目から登場した風間兄弟には存在するのに、2作目からのチャムチャム、および3作目からの緋雨閑丸と花諷院骸羅には何故か無い。また、『零』から登場したキャラクターには旧CVが収録されていないのだが、リムルルは『零・零SP』でCVを担当した生天目仁美氏が担当している。)) -PS2版はマルチマッチングBBによるオンライン対戦に対応(現在は終了)。 --ちなみに、上記の単品版とはオンラインサーバーが当初は別々であった。 --ハードスペックの関係で『斬紅郎無双剣』以降はローディングが発生する。 -Wii版はオンライン非対応の代わりに、Wiiリモコンの動作感知を使ったミニゲームを収録。 --また、Wii版はクラシックコントローラやネオジオスティック2だけでなくリモコン横持ちとヌンチャクでも遊ぶことができる。 ---もっとも絶対的にボタン数が少ない以上「遊べないことはない」レベルなので、クラコンかスティック推奨ではあるのだが…。 ---特に『天下一剣客伝』ではリモコンの動作感知をも操作に組み込まれているため、コマンド入力が一番し辛くなってしまっている。 --PS2よりもハードスペックが上なためローディングは『零』のみ発生する。 ---- **評価点(六番勝負) -コストパフォーマンスが非常に良い。 --5,000円台でシリーズ6本が遊べられるのはかなりお得。廉価版の定価はさらに半額以下の破格の値段である''2,000円台。'' --また、旧作についても移植度が特に高いネオジオ版である事も好評。 ---これはネオジオ以外でのハードによる移植版がスペック上の都合などから劣化点を含んでしまっている事も大きい。 ---さらに言うと、『零』はバーチャルコンソールなどでネオジオ版の配信もされていない。 --もっとも現在は品薄なのか、PS2廉価版でも中古価格が初版の定価とほぼ同じとなっている。それを顧みてもお得であるが。 ---- **問題点(六番勝負) -『天下一』がPS2版ベースなのに対し、『初代』~『零』までは基本的にネオジオ版のベタ移植であるため、過去の家庭用版での追加要素が無い事。 --これが影響するのはボスキャラクターの使用可否で、以前の家庭用では使えたボスキャラクターが今作では使えない。&br()例えば『初代』は天草、『真』はミヅキ、『天』は斬紅郎、『零』は夢路・三九六・我旺が使用不可。 ---特に『零』については同ハードのPS2で単体版が過去に発売されており、そちらでは夢路と三九六が使用可能になっていたため劣化と取られることも。 -今作『六番勝負』収録の『零』はBGMをアレンジに切り替えても一部楽曲がオリジナルのままになっているという不具合がある。また、「斬紅郎無双剣」の1ラウンド目開幕時のBGMも同様の不具合がある。 --一方でPS2版『零』はロード時間が長いという問題点があったが、『六番勝負』では単体版よりは改善されて許容範囲内となっている(それでも多少テンポは悪い)。 -強制でフィルターがかかっていてかなり画質がボケているなどの欠点もある。 -2Dサムスピシリーズのうち、『零SPECIAL』のみが未収録である事。 --ゼロスぺはシリーズの中で極めて優秀な対戦バランスを持っていると評されるだけに未収録なのが惜しまれる。 ---- **その他(六番勝負) -上記で挙げた通り本作は事実上、過去のPS2版『天下一剣客伝』の完全版に相当する。 --しかしPS2版『剣サム』から2年弱しての発売である上に、上記のとおりPS2版単体には無い追加要素や旧作5本込みなどがあるため、既にPS2版剣サムを買った人からは苦言が出る事となった。 -ネオジオ版の初代から『天草降臨』まで単品でバーチャルコンソールで配信されている影響なのか、何故かWii版のみ廉価版が発売されていない。 -海外版の『SAMURAI SHODOWN ANTHOLOGY』は、2009年にPSP版も発売されている。 --当初は日本でもPSP版の発売予定があったものの、最終的には発売中止となった。こちらもPS移植版の初代から『天草降臨』までがゲームアーカイブスで配信されていたり、ネオジオ版の『初代』が『SNKアーケードクラシックスvol.1』で単品移植がなされている関係で需要が見込めないと判断されたのだろうか。 --なお、当初は海外版の公式サイトに『零SPECIAL』の画面写真が告知されていたことがあり、一時期収録が噂されたが、実際の製品版ではやはり収録されなかった。 --解析により『V Special』のデータそのものは収録されている事が分かっている。 ---- **総評(六番勝負) 『零SPECIAL』が入ってないなどの指摘はあるが、やはりシリーズのほとんどを1本でプレイできるのは大きい。~ シリーズに興味を持ち、初めて触れるなら迷わず購入な一作といえるだろう。 ---- **余談(六番勝負) -現在は『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』が発売されたが、そちらには収録されていない『天下一剣客伝』が本作には入っている事から、本作の価値が失われたわけではない。 --そもそも、''『~ネオジオコレクション』は当初よりMVS/AESでリリースされたシリーズ作のみの収録を謳っているので、AC版の時点で基板がATOMISWAVEだった『天下一剣客伝』が収録されていないのは致し方のない話''なのである。

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