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*ときめきメモリアル 【ときめきめもりある】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3813&file=tokimeki.jpg,height=160)|&amazon(B0000AFZLS)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2&br()プレイステーション|~|~| |発売・開発元|コナミ|~|~| |発売日|【PCE】1994年5月27日&br()【PS】1995年10月13日|~|~| |定価|【PCE】8,800円(税抜)&br()【PS】6,800円(税抜)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ときめきメモリアルシリーズリンク>ときめきメモリアルシリーズ]]''| ---- #center{※''画像はPCE版とPS版です。また、本稿は主にその両方についての記述です。''} ---- #contents(fromhere) ---- **概要 恋愛シミュレーションのパイオニアであり、金字塔。ときめきメモリアルシリーズの第一作目。~ ギャルゲーファンならずともその名を知る人は数多い、同ジャンルの代名詞的存在といえる。 もともと、アーケードの冷え込みによるSTGの不調や家庭用作品の質低下、不法コピーの横行で劣勢に追い込まれていた当時のコナミが、「PCエンジンだったら売れなくても…」という諦めムードで作ったイロモノ的ゲームであった。~ 当然低予算だったため、当時の水準でもグラフィックの質はそう高くなく、ファミ通クロスレビューでも低得点((ファミコン通信(当時)は異常なほどPCEを嫌悪しており、クロスレビューでも常に飛び抜けて低得点を付けていた。))。他メディアでも騒がれるほどの作品ではなかった。~ だが電撃PCエンジン(現・電撃G's magazine)の''「悪魔のゲーム」''とまで表現した程の強烈なプッシュ、当時勃興したパソコン通信での口コミ等からジワジワと売れ出したという経緯がある((当時のネットの狂いっぷりについて「超クソゲー」(大田出版)に、当事者からのドキュメントが載っている。))。 作り込みは凄まじく、当時としては異例のフルボイス収録など、その斬新さ、面白さはそれ以上のものだった。~ 後続のギャルゲーの見本となり、また本作で初めてギャルゲーに触れたプレイヤーへ与えた影響は計り知れない。 //7776の27点でしたが、1994年基準では低いのでしょうか。 //[[ときメモ会議室>http://www.netcity.or.jp/OTAKU/univ/kyoshitsu/tokimemo/tokimemo.html]])。 **ゲーム内容 ***基本的な流れ -主人公はきらめき高校の生徒として、憧れの幼馴染、藤崎詩織から卒業式の日に告白されることを目標に、3年間自己研鑽をしていく。基本的には、日曜日の夜にその週の予定を決め、休日は平日同様コマンドを実行したり電話をしたりして、また次の週へ……という繰り返しとなる。 -女の子の電話番号を知っていれば、休日に電話をかけ、デートの約束をすることができる。デートでは三択の選択肢が表示され、それによって女の子の好感度を上げていく。 --女の子の電話番号は友人の早乙女好雄から電話で聞き出すことができ、またその際好感度のチェックもできる。 -EDは、イベント消化率やデート回数、パラメータに関わらず、卒業式の時点でときめき度(好感度)が最高のヒロインに決まる。フラグなどは気にする必要はない。 --とはいえ、イベントを全て見たいならそれなりのプレイが必要となる。 -登場するヒロインには一人につき参照パラメータが設定されており、その値によって登場したり好感度に影響したりする。要するに、「女の子の好きなタイプに合わせる」ので、パラメータが攻略に深く関わってくる。そもそも、参照パラメータが一定値に達していないと、そのキャラのEDを迎えられない。 --また、後述の爆弾システムの特性上、ヒロインの登場を抑えることが重要になり得るので、登場条件を満たさないようなパラメータ調整も求められる。 ---ただしメインヒロインの藤崎詩織は全パラメーターを要求する為、嫌でも他のヒロインが登場する。出現させない方法もあるにはあるが、ほぼ裏技の部類である((ヒロインが登場するのは「参照能力が上がる行為を平日に(言い換えれば学校で)行った場合」なので、平日は常に「休息」して休日に能力を上げるようにすれば、ヒロイン11名(隠しキャラを除く)の内7名を登場させない事ができる。また3年目になればヒロインは増えなくなるので完全に自由になる。))。 --その他、一部のデート選択肢は関連パラメータによってヒロインに与える印象が変わる。 ---特に「容姿」(身だしなみ)は一定以上無いと((ただし、そんなに高い数値ではない。))デートで顔をあわせた瞬間に帰られてしまう。 -ヒロイン候補は「藤崎詩織」「如月未緒」「紐緒結奈」「片桐彩子」「虹野沙希」「古式ゆかり」「清川望」「鏡魅羅」「朝日奈夕子」「美樹原愛」「早乙女優美」「館林見晴」の12人。詩織と優美は強制的に登場する。それ以外のヒロインは特定の条件を満たすことで出会うことができるが、見晴は隠しキャラ扱いである。 --所属部活候補が1つしかない、古式と清川は詩織と部活が被ると存在自体が消滅する((詩織の所属部は誕生日で決まる。))((プレイヤーキャラは幼馴染の「詩織」と兄の好雄と区別する必要のある「優美ちゃん」以外は「苗字+さん」と呼ぶ。))。逆に爆弾防止の為に態と消滅させるプレイヤーも居たが…。 --また、主人公のライバル的存在である「伊集院レイ」は典型的なキザでナルシストキャラだが、ある条件を満たすと…? ***爆弾システム -本作最大の特徴である。このシステムは、ヒロインの不満度が高くなると好感度チェックの名前に爆弾が付き、さらに一定値まで上がると爆発。爆発した女の子ばかりかそれ以外の女の子全員の好感度が激減するというもの。一度爆発すると他キャラにも爆弾が付き、さらに爆発するとまた他キャラへと連鎖反応を起こす事もあり、攻略が困難になることもある。 --定期的にデートを申し込んでいれば爆弾の発生は遠のく。爆弾爆発を阻止するためのデートを特に爆弾処理と呼んだりする。 --爆弾が発生してなお放置されると、そのヒロインが怒りの形相で現れる警告イベントが発生するが、このイベントが発生する前に処理するくらいでなければ爆発を防げない。 --ヒロインに対し冷たい態度を取れば当然相手は傷つくが、別のヒロインと仲良くしても傷つく。残念ながら誰も傷つけず本命まっしぐら、は不可能である。 --その為、如何にヒロインの登場を抑えるか、ヒロインに爆弾を付かせずにプレイするか、という戦略が重要である。 --一方で、好感度一位がエンディング条件であることから、目的以外のヒロインの好感度を下げる為に意図的に爆発させるテクニックもある。 --ちなみに隠しキャラは爆弾の影響を受けない。と言うか爆弾自体が存在しない。 --PS版と移植の際にPS版がベースになったWindows版のみ、ラスト2ヶ月は爆弾が発生しても爆発しないという一種の難易度緩和措置が取られている。他の版にこの仕様はないので注意。&br()またPS版以降は爆弾発生から警告までの時間が短くなり、結果として警告から爆発までに若干余裕が出来た。 --爆弾発生の速さはヒロインによって異なり、[(速い)鏡>優美>紐緒>清川>如月>美樹原>朝日奈>詩織>片桐>虹野>古式(遅い)]の順となっている。 ***その他 -所々でイベントが発生するだけで実質ストーリーは皆無に近いが、その分自由度が高く、様々な縛りプレイも可能。また、それにより「プレイする毎に違う高校生活」という効果も生み出している。 -全キャラフルボイス。CD-ROM中心の後期PCエンジンソフトはボイス有りのものは多いが、フルボイスは珍しい。 --ただし、前述のように低予算ゆえ((コナミは「イメージの付いていない人を選んだ」としている。))新人や当時はあまり売れていなかった声優を起用。演技レベルは高くない。 ---移植の度に新録している為、演技が上達しており「昔のぎこちない方が良かった」と言う声もある。 ---声優に対する追っ駆けまで現れ、実態を理解していない報道機関が「人気声優を集めて大ヒット」と報道した事がある。正しくは「ときメモの大ヒットで人気声優になった」である。 ---ちなみに、モブキャラである男子生徒や不良などのボイスは主にスタッフが担当しており、いずれも凄まじい棒読みである。 -ミニゲームにオリジナルのSTGが収録。このクオリティが異常に高く、アーケードで名を馳せたコナミの技術を窺うことができる。あくまでミニゲームの為1ステージしかないが。 -メインヒロインの藤崎詩織は一見受けの良さそうな「幼馴染み」であるが、主人公の能力値によって接する態度を大きく変えるために非難されることがある。 --「一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし……」の迷言はあまりにも有名([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm278835]])。ちなみに家は隣同士である。別に嫌われていなくてもこんな言葉で下校の誘いをかわされる。 //((まぁリアルに考えると当然の反応だが。意中でもない異性と「二人で」帰る女子高生は遊び人か(男友達と女友達が同じ扱いの)幼稚キャラである。))。 //幼馴染なんだから、男友達と同等以上の扱いでは? &br()だが、こっちの能力が上がってくればむしろ詩織からついてくる。別に詩織に限ったことでもないのだが、顔合わせの機会が多いため態度の違いがいやでも目立つ。 ---なお爆弾連爆などの事故か、デートの約束をわざとブッチしまくるくらいやらないと、参考動画レベルで嫌われるのは難しい。 --それでも人気投票で常に上位なのは、やはりメインヒロインゆえの為せる業か((ただし、シリーズ作品では『3』や『4』のようにメインヒロインの人気が低かったり他のヒロインに喰われたりして立場がなくなっているものもあるが。尤も『3』『4』のヒロインは「影が薄い」のが問題だったのに対し、詩織は(たとえ悪女扱が理由だろうと)「濃いキャラ」と言う違いがある。))。 ---ちなみに1,2位は「頑張っている人を応援するのが好きな」虹野沙希と「主人公に一途な恋をしている」館林見晴で争っていた。3位を詩織と「ちょっと変人だけど気さくな芸術家」片桐彩子が争っており、3本の『[[ときめきメモリアルドラマシリーズ]]』では1巻が沙希、2巻が彩子、3巻は見晴と詩織がメインヒロインに選ばれた。 -セガサターン版には「卒業の日に主人公から女の子に告白する」という他機種版にない独自要素がある。 --もっとも「女の子から告白される」のを目的にしないとゲーム性が変わってしまうが((特に好感度を抜かれやすい詩織。))。 --登場済のヒロインなら誰でも告白できるが、好感度が低い相手にあえて告白したときの反応はどれもヒドイものばかりなので、ある意味必見。詩織ならば「あなたとは幼馴染みってだけでも嫌なのに……」と言ってくる([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm272173]])。念のため補足するが、相手の反応は好感度によって複数パターン存在し、普通にプレイすればたとえ駄目でももう少しやんわりと断られるので誤解無きよう。 --告白に成功しても「男から告白したのでは伝説の木の加護が無いから心配」(要約)と主人公に言われてしまう。エンディングの曲と演出も違う物になる。 ---ただし、「逆告白するヒロイン=机の中に手紙を入れたヒロイン」であった場合は、探し回る途中で「もしやさっきの手紙…」と発し、従来の「伝説の木の下での告白」に切り換わる。 **問題点 -発売当初から突っ込まれていたことだが、グラフィックの出来が良くない。特にキャラクターに顕著。 --94年当時でも古臭いキャラグラフィック。一枚絵はそこそこ綺麗なのだが、彩色も人によってはどぎつい印象を受けるかもしれない。キャラデザインを手がけた小倉雅史氏は決して下手というわけではないのだが…((元々は背景画などの担当だったらしく『ときめきメモリアル プライベートコレクション』にて人物画をほとんど描いたことがなかったと答えている。))。いずれにせよ、人を選ぶグラフィックである。 --後のPS版もグラフィックに関してはほぼ同クオリティ((OPムービーを高解像度で見る裏技があるのだが、そのクオリティでやってくれれば…))。改善はSS版を待たねばならず、総入れ替えがおこなわれたのは96年のSFC版である([[参考画像>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3813&file=PS_SFC_hikaku.jpg]])。 ---続編の『[[ときめきメモリアル2]]』ではキャラデザインを一新。大いに歓迎されたが、一部の初代ファンの不興を買い、未だに『2』を認めないというファンも存在する。 -自由度が高いのはいいが、それゆえ最初は迷いやすく、適当にパラメータを上げて手のつけられない状態に陥ることが多い。 --プロローグでは主人公が「詩織を攻略するのが目的」という趣旨の発言をしており、最初から詩織の電話番号を知っているが、~ むしろメインヒロインの詩織は''「ラスボス」''と言われるほど難易度が高い。 --しかも当初売れるとは思われていなかった為、攻略本はPS移植を待たなければならなかった。 -限定版と通常版に分けて発売するいわゆる「限定版商法」や、ファン向けのCDなどのグッズを大量に売り出す「キャラクターグッズ商法」。全体的に割高で、ファン以外にはハードルの高いものになってしまった。 --PS移植時には限定版が売り切れ後にプレミア価格で取引されるといった事も見られた。 -多くのユーザーには「新しいもの」として受け入れられたが、“能力値で恋愛をする”というシステムには、「打算的」という声や育成ゲームに付きまとう冗長さに対する批判もあった。 --もっとも、現在主流であるADV中心の方向にも批判が無いわけではない為((「都合の良い女」が多すぎて「ご都合主義」だと批判されたり。))、どちらが良いとはいいきれない。 ---- **総評 非パソコンユーザーには無縁だった「恋愛シミュレーション」という新しいジャンルを紹介、なお且つ確立した。さらに、本作自体も高いゲーム性を持った良質な作品であることから、本作をギャルゲー最高傑作に推す声も少なくない。~ PCゲームで好評を博していた『同級生』や『[[卒業 ~Graduation~]]』から、前者からは恋愛要素、後者からは育成要素についての影響を色濃く受けている。故に本作の独自性はゲーム業界全体として見れば低い((あの模倣などに異様に厳しいコナミが、後に乱発された類似作に対して訴えていない点からも、自覚している模様。))が、本作が画期的だった所は、それらを一つにそつなくまとめ上げたという点と、PCエロゲ・ギャルゲーのヒット作を家庭用機に持ち込んだ点(余談にて記述)にある。~ 自分で自分のパラメータを上げ、女の子から告白&bold(){される}ように努力するというシステムは当時としては画期的であり、また当シリーズが後続のギャルゲーとも一線を臥すものとなった理由でもある。 ギャルゲーファンのみならず是非とも触って頂きたい作品であるが、今ならゲームアーカイブスで続編ともども配信中である。また、家庭用ならば特に理由がない限りセガサターン版が良い。インターフェースの強化や追加要素など、まさに完全版と呼ぶに相応しい内容となっている。 ---- **移殖版 PCエンジン版が出た翌年、PSへの移植『&b(){ときめきメモリアル ~Forever with you~}』が発売された。 -オリジナルの評価が高く、さらに前評判と相まって、ギャルゲー史上稀に見る大ヒットを記録する(その記録は未だに破られていない)。~ そのヒットから、このPS版は後の移植やリメイク、引いてはシリーズの礎となった。単純に『ときメモ』というと、PS以降を指すことが多い。 -PS、SSの他、SFC、Windows 95/98、AC、GBC、携帯アプリ、PSP(UMD・ゲームアーカイブス)と数多くの機種に移植されている。 --SFC版は立ち絵が描き直されているほか、映画とコンサートの演目及び一部テキストがPCエンジンと同一である。また入学式は新規のデモが使われているが、エンディングのグラフィックはPCエンジン版準拠となっている。 --GBC版はスポーツ編およびカルチャー編と分割されて発売され、藤崎詩織に関するイベント追加、新たなヒロインがスポーツ編には1人・カルチャー編には2人追加されている。 --PSP(UMD)版はほとんどPS版のベタ移植で、追加要素は皆無に等しい。中古でも価格が高めで、おとなしくゲームアーカイブス版を購入した方が安上がりである。 ---ただし、『[[ときめきメモリアル4]]』でとあるアイテムを入手したい場合はUMD版のセーブデータが必要になる。 //---ちなみに、ファミ通のクロスレビューは32点。音源の強化、難易度緩和措置、インターフェイスの向上こそ図られたものの根本のゲームシステムは変わっていない。にもかかわらず殿堂入りしたあたりファミ通の手のひら返しと言わざるを得ない。 //--尤も当時(PCE版ヒット前)の風潮ではギャルゲーと言うだけで低く見られていた為ファミ通に限った話ではない。多数のコナミファンも「あのコナミが」と(悪い意味で)言っていたのだから((『ワンダーモモ』発売時のナムコにも似た様な話があった。))。つまり電撃PCEに先見の明があったと言う方が正しいだろう((CD-ROM2によりキャラゲーが多かったPCEの専門誌と言う点もあったろうが。))。なお電撃PCEの後継誌である電撃Gsは完全に(コンシューマー用の)ギャルゲー専門誌である。 **その後 -PS版の大ヒットをきっかけにゲーム市場は俄かにギャルゲーブームに沸き、さまざまな影響の下で多くの作品が生まれる。こうして、PCゲームの一ジャンルに過ぎなかったギャルゲーは、広く認知されていった。『[[サクラ大戦シリーズ]]』等と共に当時のギャルゲーを代表する作品とされている。 --本作のヒットで、育成シミュレーション型のギャルゲーが濫造されることとなった。これらの形態のゲームは、ブーム終息後シナリオ型のギャルゲー(主にアダルトゲームからの移植)に取って代わられる事になる。 --ブーム中には''藤崎詩織バーチャルアイドル計画''、''ギャルゲー初の実写映画化''等の企画が次々と打ち出され、ゲーム原作のメディアミックス展開としては、当時最大規模を誇っていた。 --詩織バーチャルアイドル化計画のデビューシングル「教えてMr.Sky」は作曲に財津和夫、作詞に森雪之丞、B面は尾崎亜美が手がけるなど、凄まじいバックアップで為された。結果収録されたアルバムは''ゲームのキャラソンで初めてオリコン10位以内に入る(最高9位)快挙を遂げている。'' --1997年公開の実写映画は「藤崎詩織という名前の女の子」が出るだけのゲームとは全く関係ない作品になってしまった。出来も芳しくない。後に「ちゅらさん」などで知られる脚本家・岡田惠和がシナリオを担当していたり、広瀬香美が音楽を担当していたりと、スタッフは恵まれていたのだが…。 ---また、当時全く無名だった''吹石一恵が詩織役でデビューを果たした''のは、案外知られていない。 -スピンオフのアドベンチャーゲーム『[[ときめきメモリアルドラマシリーズ]]』を''小島組(現・小島プロダクション)が製作''している。 -同社パズルゲーム『対戦ぱずるだま』及び『対戦とっかえだま』のキャラをときメモキャラに変えたスピンオフ作も登場。本編でもラスボスと揄揶されていた詩織が、詩織以外のキャラでプレイした場合、本当の意味でラスボスとして登場する。 -『実況パワフルプロ野球』のサクセスモード導入当時のコンセプトが「野球版『ときメモ』」だったり、『[[みつめてナイト]]』など、同社の他ゲームにも影響を与えている。 --[[パワプロクンポケットシリーズ]]は、完全にギャルゲー扱いされている。 --その後も同社アーケードゲーム『FIGHTING武術』では、あるキャラクターにきらめき高校の制服が導入された他、『[[ラブプラス]]』などにも小ネタとして登場したりする。 -アーケードには『[[ときめきメモリアル ~おしえてYour heart~]]』が登場。プレイヤーのときめき度を測る為の脈拍センサーを搭載しデート中の1シーンを実際にプリントしてくれる。後にWindowsにも移植された。 **余談 -実は初期開発段階では、複数のヒロイン候補からプレイヤーが選んで攻略するのではなく、純粋に藤崎詩織だけを攻略する作品で他のヒロインはお邪魔キャラだった((スタッフも、詩織以外はお邪魔キャラと呼んでいたと発言している。))。参考にされた『同級生』が「50人いたヒロインを減らし、ストーリー性をつけた」のと対照的である。 --実際に詩織の攻略時には大抵のキャラが攻略のお邪魔キャラとなってしまう。 -総評の「PCエロゲ・ギャルゲーのヒット作を家庭用機に持ち込んだ点」について --今でこそパソコンからのエロゲやギャルゲーのコンシューマへの移植が盛んだが、当時は一般ゲーム以外の移植はほぼ全く無く、大きな壁があった。情報的にもそれぞれの専門誌はあったが、インターネットも総合的な情報誌もなかったため隔絶していた。よって本ゲームは、コンシューマ機だけ持っている人や当時18歳以下の人には革新だったが、パソコン・コンシューマ両方を持っていたユーザーから見れば斬新ではない。 -1994年(PS版は95年)が舞台にしては、異常に時代遅れな(おおよそ80年代的な)設定、ファッションセンス、言葉遣い、アイドル歌謡チックなOP・EDは、よく批判やネタにされる。 --スタッフによると、これは80年代に高校時代を過ごした(当時20代の)人をメインターゲットとしている為。あくまで青春時代を懐かしむ(やり直したいと思う)オッサン向けゲームであり、現役高校生がやるゲームでは無いとのこと。 --本作を中心とした当時のギャルゲーブームの作品はこの路線までも模倣されており、どこか時代錯誤的なものが多い。 --舞台年は機種ごとに異なっており、『2』のスピンオフ作品でも99年に入学した『2』キャラと同い年という設定になっている。ただ、後に『4』で『1』の年代設定がPCE版準拠とされてしまったため、いくつかの矛盾が生じている。 -その知名度の高さ、付随するネタ性から、ギャルゲーの中でもパロディにされることが多い。特に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場した『どきどきメモリアル』は、恐らく最も有名な本作のパロディだろう((『突撃パッパラ隊』でも同じく『どきどきメモリアル』と言う名のゲームが登場している。))。 --ちなみに、アニメ版『こち亀』の『どきメモ』メインヒロイン早乙女沙織((登場人物の「早乙女」優美と虹野「沙」希、藤崎詩「織」が元ネタ。))の声は、本作の館林見晴と同じだったりする。また、『2』で実装されるEVSを予言していたりと、中々に興味深い。 -PCE版が発売された同日にはPCEのライバルともいえるMDのキラーソフト『[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ3]]』が出ていたため話題性を奪われてしまった。 -本作と同時期にPCEにおいて徳間書店から、本作と似たような恋愛シミュレーションである『初恋物語』が発売され、出来も決して悪くは無かったのだが、本作の出来があまりにも突出し過ぎていた為に、話題を完全に持っていかれてしまうという不運に遭ってしまった。当事の電撃PCエンジンのレビューにおいても「及第点だが、どうしてもときめきメモリアルと比較すると見劣りしてしまう」「発売時期が悪過ぎた」と同情的な評価がなされていた。 -本作には番長とのRPG型バトルイベントがある。パラメータが攻撃力と防御力に反映され、部活によって使える奥義異なる。 -1996年に本作の改造セーブデータを入れたメモリーカードを販売していた業者がコナミに訴えられ、2001年にコナミに賠償金を支払う判決が確定した。その後、これ以降のシリーズではパラメーターを上げる裏技は実装されなくなった。(通称「ときメモ事件」) --この事件以降、コナミは著作権尊守の姿勢を厳命に打ち出て二次創作に対して高圧的な態度で規制を振りかざすようになり、大きな批判を浴びるようになっていった。~ 皮肉なことに、この姿勢が後年の『[[ときめきメモリアルONLINE]]』において、スクリーンショット利用規約の厳格すぎる規定によるゲームの盛り上がりの沈静化を招き、その他の様々な問題も相まって、わずか1年4ヶ月足らずでのサービスの早期終了という顛末で、公式自らが墓穴を掘る格好となってしまった。 -1997年に本作の18禁同人誌アンソロジーがコナミに抗議されて絶版となった。また、1998年には本作の藤崎詩織をモチーフとした同人18禁OVAをコナミが訴え、ビデオ業者側が賠償金を支払う事件が起こっている((ただしこれは「OPムービーのラストシーンを作中で無断使用した」という理由が大きく、二次創作行為自体を訴えたわけではない。))。この影響でときメモ関連の同人誌が急速に姿を消し、人気に水を刺す結果になってしまった。 --ヒロインの清純なイメージを守るためという理由、そして版権ものの同人誌自体がグレーゾーンであることを考えれば企業としては当然の対応ではあるが、上述のときメモ事件の翌年でコナミが著作権に過剰なまでに固執しだすようになった時期でもあったため、対応に関して否定的意見も見られた。 -ゲームラボ2014年3月号に特集が載っていたがPSP版がスルーされていたそうな。%%ベタ移植だから省いたのかもしれないが%% ----
*ときめきメモリアル 【ときめきめもりある】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3813&file=tokimeki.jpg,height=160)|&amazon(B0000AFZLS)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2&br()プレイステーション|~|~| |発売・開発元|コナミ|~|~| |発売日|【PCE】1994年5月27日&br()【PS】1995年10月13日|~|~| |定価|【PCE】8,800円(税抜)&br()【PS】6,800円(税抜)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ときめきメモリアルシリーズリンク>ときめきメモリアルシリーズ]]''| ---- #center{※''画像はPCE版とPS版です。また、本稿は主にその両方についての記述です。''} ---- #contents(fromhere) ---- **概要 恋愛シミュレーションのパイオニアであり、金字塔。ときめきメモリアルシリーズの第一作目。~ ギャルゲーファンならずともその名を知る人は数多い、同ジャンルの代名詞的存在といえる。 もともと、アーケードの冷え込みによるSTGの不調や家庭用作品の質低下、不法コピーの横行で劣勢に追い込まれていた当時のコナミが、「PCエンジンだったら売れなくても…」という諦めムードで作ったイロモノ的ゲームであった。~ 当然低予算だったため、当時の水準でもグラフィックの質はそう高くなく、ファミ通クロスレビューでも低得点((ファミコン通信(当時)は異常なほどPCEを嫌悪しており、クロスレビューでも常に飛び抜けて低得点を付けていた。))。他メディアでも騒がれるほどの作品ではなかった。~ だが電撃PCエンジン(現・電撃G's magazine)の''「悪魔のゲーム」''とまで表現した程の強烈なプッシュ、当時勃興したパソコン通信での口コミ等からジワジワと売れ出したという経緯がある((当時のネットの狂いっぷりについて「超クソゲー」(大田出版)に、当事者からのドキュメントが載っている。))。 作り込みは凄まじく、当時としては異例のフルボイス収録など、その斬新さ、面白さはそれ以上のものだった。~ 後続のギャルゲーの見本となり、また本作で初めてギャルゲーに触れたプレイヤーへ与えた影響は計り知れない。 //7776の27点でしたが、1994年基準では低いのでしょうか。 //[[ときメモ会議室>http://www.netcity.or.jp/OTAKU/univ/kyoshitsu/tokimemo/tokimemo.html]])。 **ゲーム内容 ***基本的な流れ -主人公はきらめき高校の生徒として、憧れの幼馴染、藤崎詩織から卒業式の日に告白されることを目標に、3年間自己研鑽をしていく。基本的には、日曜日の夜にその週の予定を決め、休日は平日同様コマンドを実行したり電話をしたりして、また次の週へ……という繰り返しとなる。 -女の子の電話番号を知っていれば、休日に電話をかけ、デートの約束をすることができる。デートでは三択の選択肢が表示され、それによって女の子の好感度を上げていく。 --女の子の電話番号は友人の早乙女好雄から電話で聞き出すことができ、またその際好感度のチェックもできる。 -EDは、イベント消化率やデート回数、パラメータに関わらず、卒業式の時点でときめき度(好感度)が最高のヒロインに決まる。フラグなどは気にする必要はない。 --とはいえ、イベントを全て見たいならそれなりのプレイが必要となる。 -登場するヒロインには一人につき参照パラメータが設定されており、その値によって登場したり好感度に影響したりする。要するに、「女の子の好きなタイプに合わせる」ので、パラメータが攻略に深く関わってくる。そもそも、参照パラメータが一定値に達していないと、そのキャラのEDを迎えられない。 --また、後述の爆弾システムの特性上、ヒロインの登場を抑えることが重要になり得るので、登場条件を満たさないようなパラメータ調整も求められる。 ---ただしメインヒロインの藤崎詩織は全パラメーターを要求する為、嫌でも他のヒロインが登場する。出現させない方法もあるにはあるが、ほぼ裏技の部類である((ヒロインが登場するのは「参照能力が上がる行為を平日に(言い換えれば学校で)行った場合」なので、平日は常に「休息」して休日に能力を上げるようにすれば、ヒロイン11名(隠しキャラを除く)の内7名を登場させない事ができる。また3年目になればヒロインは増えなくなるので完全に自由になる。))。 --その他、一部のデート選択肢は関連パラメータによってヒロインに与える印象が変わる。 ---特に「容姿」(身だしなみ)は一定以上無いと((ただし、そんなに高い数値ではない。))デートで顔をあわせた瞬間に帰られてしまう。 -ヒロイン候補は「藤崎詩織」「如月未緒」「紐緒結奈」「片桐彩子」「虹野沙希」「古式ゆかり」「清川望」「鏡魅羅」「朝日奈夕子」「美樹原愛」「早乙女優美」「館林見晴」の12人。詩織と優美は強制的に登場する。それ以外のヒロインは特定の条件を満たすことで出会うことができるが、見晴は隠しキャラ扱いである。 --所属部活候補が1つしかない、古式と清川は詩織と部活が被ると存在自体が消滅する((詩織の所属部は誕生日で決まる。))((プレイヤーキャラは幼馴染の「詩織」と兄の好雄と区別する必要のある「優美ちゃん」以外は「苗字+さん」と呼ぶ。))。逆に爆弾防止の為に態と消滅させるプレイヤーも居たが…。 --また、主人公のライバル的存在である「伊集院レイ」は典型的なキザでナルシシストキャラだが、ある条件を満たすと…? ***爆弾システム -本作最大の特徴である。このシステムは、ヒロインの不満度が高くなると好感度チェックの名前に爆弾が付き、さらに一定値まで上がると爆発。爆発した女の子ばかりかそれ以外の女の子全員の好感度が激減するというもの。一度爆発すると他キャラにも爆弾が付き、さらに爆発するとまた他キャラへと連鎖反応を起こす事もあり、攻略が困難になることもある。 --定期的にデートを申し込んでいれば爆弾の発生は遠のく。爆弾爆発を阻止するためのデートを特に爆弾処理と呼んだりする。 --爆弾が発生してなお放置されると、そのヒロインが怒りの形相で現れる警告イベントが発生するが、このイベントが発生する前に処理するくらいでなければ爆発を防げない。 --ヒロインに対し冷たい態度を取れば当然相手は傷つくが、別のヒロインと仲良くしても傷つく。残念ながら誰も傷つけず本命まっしぐら、は不可能である。 --その為、如何にヒロインの登場を抑えるか、ヒロインに爆弾を付かせずにプレイするか、という戦略が重要である。 --一方で、好感度一位がエンディング条件であることから、目的以外のヒロインの好感度を下げる為に意図的に爆発させるテクニックもある。 --ちなみに隠しキャラは爆弾の影響を受けない。と言うか爆弾自体が存在しない。 --PS版と移植の際にPS版がベースになったWindows版のみ、ラスト2ヶ月は爆弾が発生しても爆発しないという一種の難易度緩和措置が取られている。他の版にこの仕様はないので注意。&br()またPS版以降は爆弾発生から警告までの時間が短くなり、結果として警告から爆発までに若干余裕が出来た。 --爆弾発生の速さはヒロインによって異なり、[(速い)鏡>優美>紐緒>清川>如月>美樹原>朝日奈>詩織>片桐>虹野>古式(遅い)]の順となっている。 ***その他 -所々でイベントが発生するだけで実質ストーリーは皆無に近いが、その分自由度が高く、様々な縛りプレイも可能。また、それにより「プレイする毎に違う高校生活」という効果も生み出している。 -全キャラフルボイス。CD-ROM中心の後期PCエンジンソフトはボイス有りのものは多いが、フルボイスは珍しい。 --ただし、前述のように低予算ゆえ((コナミは「イメージの付いていない人を選んだ」としている。))新人や当時はあまり売れていなかった声優を起用。演技レベルは高くない。 ---移植の度に新録している為、演技が上達しており「昔のぎこちない方が良かった」と言う声もある。 ---声優に対する追っ駆けまで現れ、実態を理解していない報道機関が「人気声優を集めて大ヒット」と報道した事がある。正しくは「ときメモの大ヒットで人気声優になった」である。 ---ちなみに、モブキャラである男子生徒や不良などのボイスは主にスタッフが担当しており、いずれも凄まじい棒読みである。 -ミニゲームにオリジナルのSTGが収録。このクオリティが異常に高く、アーケードで名を馳せたコナミの技術を窺うことができる。あくまでミニゲームの為1ステージしかないが。 -メインヒロインの藤崎詩織は一見受けの良さそうな「幼馴染み」であるが、主人公の能力値によって接する態度を大きく変えるために非難されることがある。 --「一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし……」の迷言はあまりにも有名([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm278835]])。ちなみに家は隣同士である。別に嫌われていなくてもこんな言葉で下校の誘いをかわされる。 //((まぁリアルに考えると当然の反応だが。意中でもない異性と「二人で」帰る女子高生は遊び人か(男友達と女友達が同じ扱いの)幼稚キャラである。))。 //幼馴染なんだから、男友達と同等以上の扱いでは? &br()だが、こっちの能力が上がってくればむしろ詩織からついてくる。別に詩織に限ったことでもないのだが、顔合わせの機会が多いため態度の違いがいやでも目立つ。 ---なお爆弾連爆などの事故か、デートの約束をわざとブッチしまくるくらいやらないと、参考動画レベルで嫌われるのは難しい。 --それでも人気投票で常に上位なのは、やはりメインヒロインゆえの為せる業か((ただし、シリーズ作品では『3』や『4』のようにメインヒロインの人気が低かったり他のヒロインに喰われたりして立場がなくなっているものもあるが。尤も『3』『4』のヒロインは「影が薄い」のが問題だったのに対し、詩織は(たとえ悪女扱が理由だろうと)「濃いキャラ」と言う違いがある。))。 ---ちなみに1,2位は「頑張っている人を応援するのが好きな」虹野沙希と「主人公に一途な恋をしている」館林見晴で争っていた。3位を詩織と「ちょっと変人だけど気さくな芸術家」片桐彩子が争っており、3本の『[[ときめきメモリアルドラマシリーズ]]』では1巻が沙希、2巻が彩子、3巻は見晴と詩織がメインヒロインに選ばれた。 -セガサターン版には「卒業の日に主人公から女の子に告白する」という他機種版にない独自要素がある。 --もっとも「女の子から告白される」のを目的にしないとゲーム性が変わってしまうが((特に好感度を抜かれやすい詩織。))。 --登場済のヒロインなら誰でも告白できるが、好感度が低い相手にあえて告白したときの反応はどれもヒドイものばかりなので、ある意味必見。詩織ならば「あなたとは幼馴染みってだけでも嫌なのに……」と言ってくる([[参考動画>http://dic.nicovideo.jp/v/sm272173]])。念のため補足するが、相手の反応は好感度によって複数パターン存在し、普通にプレイすればたとえ駄目でももう少しやんわりと断られるので誤解無きよう。 --告白に成功しても「男から告白したのでは伝説の木の加護が無いから心配」(要約)と主人公に言われてしまう。エンディングの曲と演出も違う物になる。 ---ただし、「逆告白するヒロイン=机の中に手紙を入れたヒロイン」であった場合は、探し回る途中で「もしやさっきの手紙…」と発し、従来の「伝説の木の下での告白」に切り換わる。 **問題点 -発売当初から突っ込まれていたことだが、グラフィックの出来が良くない。特にキャラクターに顕著。 --94年当時でも古臭いキャラグラフィック。一枚絵はそこそこ綺麗なのだが、彩色も人によってはどぎつい印象を受けるかもしれない。キャラデザインを手がけた小倉雅史氏は決して下手というわけではないのだが…((元々は背景画などの担当だったらしく『ときめきメモリアル プライベートコレクション』にて人物画をほとんど描いたことがなかったと答えている。))。いずれにせよ、人を選ぶグラフィックである。 --後のPS版もグラフィックに関してはほぼ同クオリティ((OPムービーを高解像度で見る裏技があるのだが、そのクオリティでやってくれれば…))。改善はSS版を待たねばならず、総入れ替えがおこなわれたのは96年のSFC版である([[参考画像>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3813&file=PS_SFC_hikaku.jpg]])。 ---続編の『[[ときめきメモリアル2]]』ではキャラデザインを一新。大いに歓迎されたが、一部の初代ファンの不興を買い、未だに『2』を認めないというファンも存在する。 -自由度が高いのはいいが、それゆえ最初は迷いやすく、適当にパラメータを上げて手のつけられない状態に陥ることが多い。 --プロローグでは主人公が「詩織を攻略するのが目的」という趣旨の発言をしており、最初から詩織の電話番号を知っているが、~ むしろメインヒロインの詩織は''「ラスボス」''と言われるほど難易度が高い。 --しかも当初売れるとは思われていなかった為、攻略本はPS移植を待たなければならなかった。 -限定版と通常版に分けて発売するいわゆる「限定版商法」や、ファン向けのCDなどのグッズを大量に売り出す「キャラクターグッズ商法」。全体的に割高で、ファン以外にはハードルの高いものになってしまった。 --PS移植時には限定版が売り切れ後にプレミア価格で取引されるといった事も見られた。 -多くのユーザーには「新しいもの」として受け入れられたが、“能力値で恋愛をする”というシステムには、「打算的」という声や育成ゲームに付きまとう冗長さに対する批判もあった。 --もっとも、現在主流であるADV中心の方向にも批判が無いわけではない為((「都合の良い女」が多すぎて「ご都合主義」だと批判されたり。))、どちらが良いとはいいきれない。 ---- **総評 非パソコンユーザーには無縁だった「恋愛シミュレーション」という新しいジャンルを紹介、なお且つ確立した。さらに、本作自体も高いゲーム性を持った良質な作品であることから、本作をギャルゲー最高傑作に推す声も少なくない。~ PCゲームで好評を博していた『同級生』や『[[卒業 ~Graduation~]]』から、前者からは恋愛要素、後者からは育成要素についての影響を色濃く受けている。故に本作の独自性はゲーム業界全体として見れば低い((あの模倣などに異様に厳しいコナミが、後に乱発された類似作に対して訴えていない点からも、自覚している模様。))が、本作が画期的だった所は、それらを一つにそつなくまとめ上げたという点と、PCエロゲ・ギャルゲーのヒット作を家庭用機に持ち込んだ点(余談にて記述)にある。~ 自分で自分のパラメータを上げ、女の子から告白&bold(){される}ように努力するというシステムは当時としては画期的であり、また当シリーズが後続のギャルゲーとも一線を臥すものとなった理由でもある。 ギャルゲーファンのみならず是非とも触って頂きたい作品であるが、今ならゲームアーカイブスで続編ともども配信中である。また、家庭用ならば特に理由がない限りセガサターン版が良い。インターフェースの強化や追加要素など、まさに完全版と呼ぶに相応しい内容となっている。 ---- **移殖版 PCエンジン版が出た翌年、PSへの移植『&b(){ときめきメモリアル ~Forever with you~}』が発売された。 -オリジナルの評価が高く、さらに前評判と相まって、ギャルゲー史上稀に見る大ヒットを記録する(その記録は未だに破られていない)。~ そのヒットから、このPS版は後の移植やリメイク、引いてはシリーズの礎となった。単純に『ときメモ』というと、PS以降を指すことが多い。 -PS、SSの他、SFC、Windows 95/98、AC、GBC、携帯アプリ、PSP(UMD・ゲームアーカイブス)と数多くの機種に移植されている。 --SFC版は立ち絵が描き直されているほか、映画とコンサートの演目及び一部テキストがPCエンジンと同一である。また入学式は新規のデモが使われているが、エンディングのグラフィックはPCエンジン版準拠となっている。 --GBC版はスポーツ編およびカルチャー編と分割されて発売され、藤崎詩織に関するイベント追加、新たなヒロインがスポーツ編には1人・カルチャー編には2人追加されている。 --PSP(UMD)版はほとんどPS版のベタ移植で、追加要素は皆無に等しい。中古でも価格が高めで、おとなしくゲームアーカイブス版を購入した方が安上がりである。 ---ただし、『[[ときめきメモリアル4]]』でとあるアイテムを入手したい場合はUMD版のセーブデータが必要になる。 //---ちなみに、ファミ通のクロスレビューは32点。音源の強化、難易度緩和措置、インターフェイスの向上こそ図られたものの根本のゲームシステムは変わっていない。にもかかわらず殿堂入りしたあたりファミ通の手のひら返しと言わざるを得ない。 //--尤も当時(PCE版ヒット前)の風潮ではギャルゲーと言うだけで低く見られていた為ファミ通に限った話ではない。多数のコナミファンも「あのコナミが」と(悪い意味で)言っていたのだから((『ワンダーモモ』発売時のナムコにも似た様な話があった。))。つまり電撃PCEに先見の明があったと言う方が正しいだろう((CD-ROM2によりキャラゲーが多かったPCEの専門誌と言う点もあったろうが。))。なお電撃PCEの後継誌である電撃Gsは完全に(コンシューマー用の)ギャルゲー専門誌である。 **その後 -PS版の大ヒットをきっかけにゲーム市場は俄かにギャルゲーブームに沸き、さまざまな影響の下で多くの作品が生まれる。こうして、PCゲームの一ジャンルに過ぎなかったギャルゲーは、広く認知されていった。『[[サクラ大戦シリーズ]]』等と共に当時のギャルゲーを代表する作品とされている。 --本作のヒットで、育成シミュレーション型のギャルゲーが濫造されることとなった。これらの形態のゲームは、ブーム終息後シナリオ型のギャルゲー(主にアダルトゲームからの移植)に取って代わられる事になる。 --ブーム中には''藤崎詩織バーチャルアイドル計画''、''ギャルゲー初の実写映画化''等の企画が次々と打ち出され、ゲーム原作のメディアミックス展開としては、当時最大規模を誇っていた。 --詩織バーチャルアイドル化計画のデビューシングル「教えてMr.Sky」は作曲に財津和夫、作詞に森雪之丞、B面は尾崎亜美が手がけるなど、凄まじいバックアップで為された。結果収録されたアルバムは''ゲームのキャラソンで初めてオリコン10位以内に入る(最高9位)快挙を遂げている。'' --1997年公開の実写映画は「藤崎詩織という名前の女の子」が出るだけのゲームとは全く関係ない作品になってしまった。出来も芳しくない。後に「ちゅらさん」などで知られる脚本家・岡田惠和がシナリオを担当していたり、広瀬香美が音楽を担当していたりと、スタッフは恵まれていたのだが…。 ---また、当時全く無名だった''吹石一恵が詩織役でデビューを果たした''のは、案外知られていない。 -スピンオフのアドベンチャーゲーム『[[ときめきメモリアルドラマシリーズ]]』を''小島組(現・小島プロダクション)が製作''している。 -同社パズルゲーム『対戦ぱずるだま』及び『対戦とっかえだま』のキャラをときメモキャラに変えたスピンオフ作も登場。本編でもラスボスと揄揶されていた詩織が、詩織以外のキャラでプレイした場合、本当の意味でラスボスとして登場する。 -『実況パワフルプロ野球』のサクセスモード導入当時のコンセプトが「野球版『ときメモ』」だったり、『[[みつめてナイト]]』など、同社の他ゲームにも影響を与えている。 --[[パワプロクンポケットシリーズ]]は、完全にギャルゲー扱いされている。 --その後も同社アーケードゲーム『FIGHTING武術』では、あるキャラクターにきらめき高校の制服が導入された他、『[[ラブプラス]]』などにも小ネタとして登場したりする。 -アーケードには『[[ときめきメモリアル ~おしえてYour heart~]]』が登場。プレイヤーのときめき度を測る為の脈拍センサーを搭載しデート中の1シーンを実際にプリントしてくれる。後にWindowsにも移植された。 **余談 -実は初期開発段階では、複数のヒロイン候補からプレイヤーが選んで攻略するのではなく、純粋に藤崎詩織だけを攻略する作品で他のヒロインはお邪魔キャラだった((スタッフも、詩織以外はお邪魔キャラと呼んでいたと発言している。))。参考にされた『同級生』が「50人いたヒロインを減らし、ストーリー性をつけた」のと対照的である。 --実際に詩織の攻略時には大抵のキャラが攻略のお邪魔キャラとなってしまう。 -総評の「PCエロゲ・ギャルゲーのヒット作を家庭用機に持ち込んだ点」について --今でこそパソコンからのエロゲやギャルゲーのコンシューマへの移植が盛んだが、当時は一般ゲーム以外の移植はほぼ全く無く、大きな壁があった。情報的にもそれぞれの専門誌はあったが、インターネットも総合的な情報誌もなかったため隔絶していた。よって本ゲームは、コンシューマ機だけ持っている人や当時18歳以下の人には革新だったが、パソコン・コンシューマ両方を持っていたユーザーから見れば斬新ではない。 -1994年(PS版は95年)が舞台にしては、異常に時代遅れな(おおよそ80年代的な)設定、ファッションセンス、言葉遣い、アイドル歌謡チックなOP・EDは、よく批判やネタにされる。 --スタッフによると、これは80年代に高校時代を過ごした(当時20代の)人をメインターゲットとしている為。あくまで青春時代を懐かしむ(やり直したいと思う)オッサン向けゲームであり、現役高校生がやるゲームでは無いとのこと。 --本作を中心とした当時のギャルゲーブームの作品はこの路線までも模倣されており、どこか時代錯誤的なものが多い。 --舞台年は機種ごとに異なっており、『2』のスピンオフ作品でも99年に入学した『2』キャラと同い年という設定になっている。ただ、後に『4』で『1』の年代設定がPCE版準拠とされてしまったため、いくつかの矛盾が生じている。 -その知名度の高さ、付随するネタ性から、ギャルゲーの中でもパロディにされることが多い。特に『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場した『どきどきメモリアル』は、恐らく最も有名な本作のパロディだろう((『突撃パッパラ隊』でも同じく『どきどきメモリアル』と言う名のゲームが登場している。))。 --ちなみに、アニメ版『こち亀』の『どきメモ』メインヒロイン早乙女沙織((登場人物の「早乙女」優美と虹野「沙」希、藤崎詩「織」が元ネタ。))の声は、本作の館林見晴と同じだったりする。また、『2』で実装されるEVSを予言していたりと、中々に興味深い。 -PCE版が発売された同日にはPCEのライバルともいえるMDのキラーソフト『[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ3]]』が出ていたため話題性を奪われてしまった。 -本作と同時期にPCEにおいて徳間書店から、本作と似たような恋愛シミュレーションである『初恋物語』が発売され、出来も決して悪くは無かったのだが、本作の出来があまりにも突出し過ぎていた為に、話題を完全に持っていかれてしまうという不運に遭ってしまった。当事の電撃PCエンジンのレビューにおいても「及第点だが、どうしてもときめきメモリアルと比較すると見劣りしてしまう」「発売時期が悪過ぎた」と同情的な評価がなされていた。 -本作には番長とのRPG型バトルイベントがある。パラメータが攻撃力と防御力に反映され、部活によって使える奥義異なる。 -1996年に本作の改造セーブデータを入れたメモリーカードを販売していた業者がコナミに訴えられ、2001年にコナミに賠償金を支払う判決が確定した。その後、これ以降のシリーズではパラメーターを上げる裏技は実装されなくなった。(通称「ときメモ事件」) --この事件以降、コナミは著作権尊守の姿勢を厳命に打ち出て二次創作に対して高圧的な態度で規制を振りかざすようになり、大きな批判を浴びるようになっていった。~ 皮肉なことに、この姿勢が後年の『[[ときめきメモリアルONLINE]]』において、スクリーンショット利用規約の厳格すぎる規定によるゲームの盛り上がりの沈静化を招き、その他の様々な問題も相まって、わずか1年4ヶ月足らずでのサービスの早期終了という顛末で、公式自らが墓穴を掘る格好となってしまった。 -1997年に本作の18禁同人誌アンソロジーがコナミに抗議されて絶版となった。また、1998年には本作の藤崎詩織をモチーフとした同人18禁OVAをコナミが訴え、ビデオ業者側が賠償金を支払う事件が起こっている((ただしこれは「OPムービーのラストシーンを作中で無断使用した」という理由が大きく、二次創作行為自体を訴えたわけではない。))。この影響でときメモ関連の同人誌が急速に姿を消し、人気に水を刺す結果になってしまった。 --ヒロインの清純なイメージを守るためという理由、そして版権ものの同人誌自体がグレーゾーンであることを考えれば企業としては当然の対応ではあるが、上述のときメモ事件の翌年でコナミが著作権に過剰なまでに固執しだすようになった時期でもあったため、対応に関して否定的意見も見られた。 -ゲームラボ2014年3月号に特集が載っていたがPSP版がスルーされていたそうな。%%ベタ移植だから省いたのかもしれないが%% ----

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