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*'''GRAN TURISMO 2''' 【ぐらんつーりすも つー】 |ジャンル|カーライフシミュレーター|&amazon(B00005OVU9)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 2枚|~| |発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント&br()ポリフォニー・デジタル|~| |発売日|1999年12月11日|~| |定価|7,140円|~| |廉価版|PS one Books:2002年12月5日/2,205円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[グランツーリスモシリーズリンク>グランツーリスモシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -「レースゲーム」ではなく、「ドライビングシミュレーター」として新たなジャンルを築いた大ヒット作『[[グランツーリスモ]]』の続編。 -前作と同じく「アーケードモード」と「グランツーリスモモード」の二種類のモードから遊べる。 --ゲーム自体の大容量化に伴い、それぞれのモードは別々のディスクを入れて遊ぶようになった。 --ちなみに、シリーズ恒例のかっこいいオープニングが収録されているのはアーケードディスクのみ。 ---- **特徴・評価点 ***大幅に増えた収録車種 -前作の100車種から、本作ではその5倍である500車種600グレードの車両が登場。登場メーカーも総勢40社以上となった。 --国内では軽自動車メーカーとして有名なスズキやダイハツの車両が登場。 ---アルトワークス、ワゴンR、ミラ、ムーヴといった現在もモデルチェンジを続けている大衆車が多数登場。~ 激しいレースに堪える性能ではないが、馴染み深い車をゲーム中でもそのまま運転できるのはこのシリーズならではの特徴となっていく。 ---また、カプチーノやミゼットIIのような特徴的な車も登場。これらの車両によるワンメイクレースのイベントもある。 --チューニングメーカーによるチューンドカーが初登場。 ---「トミーカイラ・ZZII」や「トムス・ANGEL T01」など、製品化には至らなかったチューニングメーカーオリジナル車両も登場している。 --海外メーカーが本格的に登場。ロータス・ミニ・アルファロメオ・ルノー・プジョー・フォードなど、名立たる有名メーカーが数多く登場している。 ---特にドイツのメーカーはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、オペルと乗用車を生産しているメーカーのほぼ全てが登場。~ 高級スポーツカーの代名詞の一つ「ポルシェ」の車両も、ポルシェ車をチューンして販売しているメーカー「RUF」の車両が登場している。 ---なお、本作に登場した全てのメーカーが本作以降にも出ているわけではなく、「ベクター」や「ヴェンチュリー」等の海外製スーパーカーは本作限りの登場となっている。 -既存メーカーの最新モデル・往年の名車の追加 --パッケージを飾る「ホンダ・S2000」などの当時最新のスポーツカーや、エコカーとして有名な「トヨタ・プリウス」の初代モデルが登場した。 --往年の旧車は、国内では「トヨタ・2000GT」やハコスカこと「日産・スカイライン GT-R KPGC10」、国外では「シェルビー・コブラ」や「フィアット・500」等。 ---なお、2000GTやハコスカはディーラーの中古車ディーラーで購入できるが、たまにしか売り出されない上に値段も高いという高嶺の花。 ---ちなみに外車勢の旧車は中古ではなく新車として購入する事になる。 -各メーカーのレーシングカーの追加 --また、前作に登場するレーシングカーは、あくまで「実車っぽいGTオリジナルのレーシングカー」だったのに対し、本作は多数の実在レーシングカーが収録された。~ 「フォード・エスコート」等WRCの新旧参戦車、「ホンダ・無限 NSX」等全日本GT選手権(JGTC)の参戦車、「トヨタ・GT-ONE」等ル・マン24時間耐久レースLMPクラスのマシンが登場した。 ---更に、本作のみの特徴としてシルエットフォーミュラの車両も「日産・スカイライン R30」の1台だけながら収録されている。 --実在車両をル・マン仕様に改造した架空のレース仕様車「LMエディション」や、レーシングモディファイによりピュアレーシングカー仕様に変更可能な市販車も順当に増加。~ 車両によってはエアロ装着やワイドボディ化、デザインが数種用意されていたり、前作からデザインが変更されて更に元ネタに近づいていたりと、相変わらず非常に芸が細かい。 ---その元ネタに至っては、JGTC・JTCC・BTCC・FIA-GT・スーパー耐久・ワンメイクレース・WRC・国内ラリー、旧車もSCCA・日本GP・Gr.4仕様等、見ていて飽きない。~ その多種多彩なレーシングカーを取材する徹底振りは前作から更に進化しており、関心と感動を与えてくれるだろう。そしてその元ネタを探したコアなファンもいるとか… ---だが、一方でレースカーのベース車であるにも関わらずモディファイ不可のスポーツカー((一例としてチューナー系の車種の殆どや、「三菱・ランサーエボリューションII」「ランチア・デルタ コレッツィオーネ」「フォード・RS200」等の一部メーカー純正車が該当。))も増えた。「RUF」に至っては全車がモディファイ不可である。 --今作ではピュアレーシングカーやレーシングモディファイ施工車はレーシングカーである事を示す為、車名に「R」の記号が追加される。 ---なお本作を最後に『[[GT5>グランツーリスモ5]]』までレーシングモディファイが削除された((結局の所、『6』では再び削除された。))為、様々なデザインのレーシングカーが見れるのも本作の長所の1つである。 ***コースの追加 -シリーズで初めて実在するサーキットである「ラグナ・セカ」が登場。「ツインリンクもてぎ」のオーバルコースも、架空コース「スーパースピードウェイ」として間接的に登場((コースの形状が酷似している他、スタッフロールでは取材協力欄に「ツインリンクもてぎ」の名が表記されている。))。 --この他に純粋なサーキット施設ではない、ローマやシアトル等の実在する公道を本格的なサーキットとした市街地コースも本作から登場、本作以降はシリーズのお約束となった。 -未舗装道路で走るダートコースが追加。ダートタイヤを装着可能な車両でのみ走ることができる。 --ダートは滑りやすくドリフト走行しやすい特徴がある為、通常の舗装道路とは異なる感覚で走ることができる。 ***セッティング・挙動 -挙動プログラムの進化により、前作にはなかった「リミテッド・スリップ・デフ(LSD)」などのアシスト機能を作動させるセッティングが追加された。 --うまくセッティングするとコーナリング時などで加速力や安定性を高めるといった役割を持つ為、セットアップの幅が広がった。 -「コントロールタイヤ」が登場。 --通常のタイヤは遊びやすくする為か実際のタイヤよりグリップ力が高く設定されている。一方でこちらは「現実のタイヤを再現した」という名目でグリップ力が低くなっている。 --攻略する分には全く必要なく、現実の車の挙動をより体感したい人向けのチューニングと言える。 //-挙動と関係ない所ではホイールの交換が行えるようになった。多数のホイールメーカーによりデザインされたホイールが付け替えられる。 -タイヤも前作の前後セット販売ではなく、種類やコンパウンド別に購入可能となった。 --「前レーシング・ソフト/後レーシング・ハード」は勿論の事、極端な話「前レーシング・スーパーソフト/後コントロール」と言った前後のコンパウンド別のセットアップも可能となった。 ***グランツーリスモモードの新要素 -レースイベントの量が単純に増加。様々なコース、様々な車両とレースを行うことができる。 -特定の車種でしか参戦できないワンメイクレースが登場。 --日本人にはあまり馴染みのないクルマのワンメイクもあり、また中古車でしか入手できない車種によるワンメイクもあるなどやりこみ要素もあり。 -ライセンスに「国際C級」「国際B級」が追加され、全5段階に。さらに細かくテクニックを勉強することが可能に。 --さらに「国際A級」をクリアすると「スーパーライセンス((実際に国際自動車連盟(FIA)が発給しているライセンスの一つ。F1に参戦する為に必須な資格で、取得には様々な要件が求められる。))」が追加される。 ---こちらは決められたコースとマシンで1周タイムアタックを行うという内容。通常のレースに参加する分にはスーパーライセンスが必要なレースはなく、腕試し的な要素が強い。 -ホイールショップが追加。殆どの車が利用可能で、実在メーカー((BBS、エンケイ、レイズ、ブリヂストン、ファルケン、スピードライン、ダンロップ、OZ Racing、ヨコハマホイールの9つ。))の多数あるホイールから、1つを選んで購入&愛車に装着できる。 --一度変えると純正ホイールに戻せない欠点があるものの、ホイール変更による性能変化は無い。より現実での車に似せてみる等、純粋にプレイヤー好みに変更可能である。 ---- **問題点 -UI・パフォーマンスの問題 --グラフィックや挙動が進化した一方で、画質や音質が前作よりやや劣化。挙動再現の為の計算量の増加にハードパワーを割いたのが原因と言われている。 ---一方でCPU車両の挙動は前作とあまり差がない。常に纏まって走り、直線後のコーナーでは減速しきれずに壁に激突またはコースアウトしやすい点も相変わらずである。 --ガレージは1つのセーブデータにつき100台までという非常に辛い制限がある。本作の収録車種は500車種、レーシングモディファイした車両を含めるとそれ以上なので、明らかに少なすぎ。 ---賛否両論よりではあるが、セーブ・ロード時間もやや長くなっている。ロード機能に関しては意図せぬ上書きを防ぐ為、起動時に自動で行われるように改善されてはいるのだが…。 -ダートの挙動再現性は疑問。明らかに滑りすぎ((いくらハイパワーなラリーカーが砂利道を走行しても、本作のように「常に」滑りながらコーナリングするというのはまずありえないことである。))で、その挙動はラリーカーというよりむしろ競艇やスケートに近く、完走するだけで苦行という酷いレベル。 --MR車に至ってはジャンピングスポットでいとも簡単に姿勢を崩してしまいコースによってはロクに走れなくなる。 --ついでにダートとターマック(舗装路)の混走ステージでは、「摩擦係数が低くて滑るダート」と「やたらとアンダーステアが出て全く曲がらないターマック」の二重苦。 --デジタルコントローラによるパッド操作が基本で、路面グリップに比して細かいハンドリングやアクセル操作が困難なことが一因。 --加えてダートイベントは1対1のレースとなり、複数台とのレースは不可能。 -ハイパワーFR車やMR車の操作も非常に困難で、普通にプレイするとコースの中に留まっているのが精一杯という状態に。 --これも上記のダートと同じくパッドでの細かい操作が難しいことによる。よほどの上級者でない限り、高馬力レースは4WD車を使いたくなるだろう。 --なお本作からホイールスピンを制御できる「トラクションコントロール(TCS)」が搭載されているが、本当に作動しているかどうか分からないくらいTCSの利きが弱い((TCSをMAXに設定してもタイヤスモークが減るだけで殆ど挙動が変わらない。))。 ---さすがにゲーム性を損ねていた為か、3以降はダート車とハイパワーFR車・MR車の挙動、およびトラクションコントロールの利き具合が大幅に見直された((GT3公式ガイドブックでホンダの関係者が「(GT2に比べて)ずいぶん乗りやすくなりましたね」という趣旨のコメントをしている。))。 -''一部重大なバグがある。'' --代表的なのが「ガレージの一番上の車両がいつの間にかバグる」というバグ。発生するとバグ車両はスペックが変な数値になり、コース内で垂直飛びするなどレースでもまともに走れなくなる。~ 発生条件は完全には解明されておらず、対策は「ガレージの一番上に大事なマシンを置かない」という程度しかない((バグ車両は主に「NO NAME NO NAME」や「RX-7 A-Spec LM Edition」という名前で出現する。また、色が暗い青緑の物を選ぶとフリーズする。))。このバグに関しては[[ここ>http://www.geocities.co.jp/MotorCity/9653/]]に詳細な記述がある。 ---''後期ロットや廉価版では修正されている''のだが、現在中古に前期ロットが出回っているので、バグのあるバージョンを買ってもおかしくない状況にある。 -''一部の車両に設定・数値ミスが存在する。'' --あまりに膨大な車種数の為か、「トヨタ・スターレット」ではグレード名が混同((本来はターボ仕様の存在しないKP61型の車名が、次モデルであるEP71型のターボ仕様の流用となっている。))され、一部車種では駆動方式ミス((「日産・スカイライン 280 typeMR」や、JGTCのスカイラインGT-Rは、説明文で後輪駆動と明記されている割に4WDとなっている。))、スペックのミスや入れ違い((ダイハツの新車ディーラーで売られているミラは、それぞれのスペックが入れ替わっている。))がある。 ---馬力設定ミスの最たる例が「ランチア・デルタS4」。実際には500~600ps程度である所、今作では400ps以下になってしまっている((WRCの歴史の中でも“狂気”と言われたグループBで最強クラスの性能を誇ったモンスターマシンなのだが、明らかにモンスターには程遠い性能になっている。))。 --全日本GT選手権の車両も本来なら約480ps程度なのだが、本作では600~700psを誇る大出力レーシングカーになっている((GT500車両は公称以上のスペックを持っているとされ、ゲーム内でそれを再現した可能性があるが、真相は不明。後のシリーズでは総じて500ps台に修正されている。))。この他にはモータースポーツ・エリーゼ等が該当。 --ピュアレーシングカーや一部のロードゴーイングカー(以下:スペシャルモデル)はノーマルタイヤ(所謂「市販車のタイヤ」)のグリップ力が異常に高く、コーナリング速度も明らかに速い。 ---それもその筈、「スペシャルモデルの『ノーマルタイヤ』のグリップ力は、ゲーム中で最も曲がるタイヤ『レーシング・スーパーソフト』と同等」なのである((スペシャルモデルにスポーツタイヤを履かせると更にグリップ力が上がる。ダートとコントロールタイヤは、市販車とスペシャルモデルによるグリップ力の差は無い。))。~ 故に市販車にフルチューンとレーシングモディファイを施してセッティングをスペシャルモデルのソレに合わせても、タイヤがノーマルだと大してコーナリングは速くならない。 ---そして本作のスペシャルモデルは全てのタイヤがセットでついてくる((今シリーズのレーシングカーは基本的に初期装備のコンパウンド以外のタイヤは別途購入する必要があり、作品によってはノーマルタイヤも含む低グリップのタイヤが装着不可の車種もある。))。こうしたタイヤの謎仕様は本作限りとなっている。 -チューンアップ内容も効果が現実に近づいた為、変化率が目に見えて落ちた項目が多い。 --前作の軽量化&レーシングモディファイは大幅な軽量化が可能であったが、今作では軽量化される重量が半分程度((一例として車重が1500Kg台の車両にレーシングモディファイを施しても1300Kg前後と約220Kgしかそぎ落としてくれない。))に抑えられている。 --エンジンパワーもターボ車をフルチューンしても400ps前後しかパワーアップしない車種も少なくない。 ---一例として「トヨタ・スープラ A70」は3L、2.5L共に前作までの600ps以上から、それぞれ425ps、450psまでしか上昇しなくなった((本車両に搭載されている1JZ-GTEもチューニング次第でやろうと思えば500ps以上は軽くひねり出せる上に設計の古い7M-GTEUも耐久性は兎も角パワーを上げようと思えばもっと出る。恐らくフルチューン時の馬力上限の調整とは思われるが前作の異様な軽量化は兎も角、現実でも可能な事をそうした調整で押さえつけるのは甚だ疑問が残る。))。 ---そうした事からフルチューンとモディファイを施しても今作のGT300(このカテゴリーの車両も上記の通り数値ミスが見られるが)に対して分が悪い車にしか仕上がらない車種も多い。 ---一方で前作にも収録されていた外車勢は劇的な軽量化が出来なくなった代わりに、それらを相殺するかの様にエンジンパワーがより伸びる様になった。 -セッティング内容も一部不便になった所がある。 --前作のターボ車はターボチューンをLv1以上施すと「ブースト圧を下げる事でパワーを落とす」という半ばエアリストリクターじみたブースト調整が出来た。~ 今作ではその機能が削除され、馬力制限のレースに出場する際にはタービンのレベルを下げざるを得ず、尚且つアバウトな調整しか出来なくなってしまった。~ そうした事からブースト調整なら許容範囲ギリギリまで調整出来たものがパーツのレベルを下げる事で必要以上にパワーダウンを強いられる事態も起きた。 --ギアレシオの調整もギア比のグラフ表示が削除された事で、きめ細かい設定が困難になった。 ---今作ではオートセットが搭載された事で初心者でもギア比の調整が容易にはなった。が、パワーバンドを有効に使おうとすると途端に面倒になっている。 ---- **総評 今作ならではの問題点も幾つか見られるものの、前作から大幅なボリュームアップと更に細かな作り込みを施され、順当進化を遂げた続編。~ シルエットフォーミュラや豊富なレーシングモディファイ対応車両など、本作ならではの魅力があり、車好きならば20年を経た現在でも楽しめるだろう。~ DL配信が無い為に入手は中古の現品のみしかないのが難点とはいえ、シリーズを語る上で欠かせない作品として、是非手に取ってもらいたい名作である。 ---- **余談 -''説明書の収録車種一覧に掲載されているがゲーム中には登場しない車種がある。'' --前作に登場した「ニスモ・GT-R LM」はデータ自体は完全に収録されているのだが、何故かゲーム中には一切登場しない。 ---海外版では日産ディーラーから普通に購入可能で、レーシングモディファイも前作同様に可能。この謎仕様は後期ロットや廉価版でも未修正である。 --「メルセデス・ベンツ CLK-GTR」「メルセデス・ベンツ CLK DTM2000」はプレス用に配布された開発中の写真には確認できたが、後に削除されたらしく製品版では全バージョンで登場しない。 ---理由については1999年ル・マン24時間耐久レースにて発生した「メルセデス・ベンツ CLR」による大事故を配慮したものと思われる。事故の詳細については各自調べていただきたい。~ その後、問題が収束したと判断されたのか2004年の『[[GT4>グランツーリスモ4]]』にて両車とも無事収録を果たしている((なお、大事故を起こした「メルセデス・ベンツ CLR」については現在でもシリーズには収録されておらず、また今後収録される可能性も限りなく低いと思われる。))。 ----
*'''GRAN TURISMO 2''' 【ぐらんつーりすも つー】 |ジャンル|カーライフシミュレーター|&amazon(B00005OVU9)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 2枚|~| |発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント&br()ポリフォニー・デジタル|~| |発売日|1999年12月11日|~| |定価|7,140円|~| |廉価版|PS one Books:2002年12月5日/2,205円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[グランツーリスモシリーズリンク>グランツーリスモシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -「レースゲーム」ではなく、「ドライビングシミュレーター」として新たなジャンルを築いた大ヒット作『[[グランツーリスモ]]』の続編。 -前作と同じく「アーケードモード」と「グランツーリスモモード」の二種類のモードから遊べる。 --ゲーム自体の大容量化に伴い、それぞれのモードは別々のディスクを入れて遊ぶようになった。 --ちなみに、シリーズ恒例のかっこいいオープニングが収録されているのはアーケードディスクのみ。 ---- **特徴・評価点 ***大幅に増えた収録車種 -前作の100車種から、本作ではその5倍である500車種600グレードの車両が登場。登場メーカーも総勢40社以上となった。 --国内では軽自動車メーカーとして有名なスズキやダイハツの車両が登場。 ---アルトワークス、ワゴンR、ミラ、ムーヴといった現在もモデルチェンジを続けている大衆車が多数登場。~ 激しいレースに堪える性能ではないが、馴染み深い車をゲーム中でもそのまま運転できるのはこのシリーズならではの特徴となっていく。 ---また、カプチーノやミゼットIIのような特徴的な車も登場。これらの車両によるワンメイクレースのイベントもある。 --チューニングメーカーによるチューンドカーが初登場。 ---「トミーカイラ・ZZII」や「トムス・ANGEL T01」など、製品化には至らなかったチューニングメーカーオリジナル車両も登場している。 --海外メーカーが本格的に登場。ロータス・ミニ・アルファロメオ・ルノー・プジョー・フォードなど、名立たる有名メーカーが数多く登場している。 ---特にドイツのメーカーはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、オペルと乗用車を生産しているメーカーのほぼ全てが登場。~ 高級スポーツカーの代名詞の一つ「ポルシェ」の車両も、ポルシェ車をチューンして販売しているメーカー「RUF」の車両が登場している。 ---なお、本作に登場した全てのメーカーが本作以降にも出ているわけではなく、「ベクター」や「ヴェンチュリー」等の海外製スーパーカーは本作限りの登場となっている。 -既存メーカーの最新モデル・往年の名車の追加 --パッケージを飾る「ホンダ・S2000」などの当時最新のスポーツカーや、エコカーとして有名な「トヨタ・プリウス」の初代モデルが登場した。 --往年の旧車は、国内では「トヨタ・2000GT」やハコスカこと「日産・スカイライン GT-R KPGC10」、国外では「シェルビー・コブラ」や「フィアット・500」等。 ---なお、2000GTやハコスカはディーラーの中古車ディーラーで購入できるが、たまにしか売り出されない上に値段も高いという高嶺の花。 ---ちなみに外車勢の旧車は中古ではなく新車として購入する事になる。 -各メーカーの新旧レーシングカーの追加 --また、前作に登場するレーシングカーは、あくまで「実車っぽいGTオリジナルのレーシングカー」だったのに対し、本作は多数の実在レーシングカーが収録された。~ 「フォード・エスコート」等WRCの参戦車、「ホンダ・無限 NSX」等全日本GT選手権(JGTC)の参戦車、「トヨタ・GT-ONE」等ル・マン24時間耐久レースLMPクラスのマシンが登場。 ---更に、本作のみの特徴としてシルエットフォーミュラの車両も「日産・スカイライン R30」の1台だけながら収録されている。 --実在車両をル・マン仕様に改造した架空のレース仕様車「LMエディション」や、レーシングモディファイによりピュアレーシングカー仕様に変更可能な市販車も順当に増加。~ 車両によってはエアロ装着やワイドボディ化、デザインが数種用意されていたり、前作からデザインが変更されて更に元ネタに近づいていたりと、相変わらず非常に芸が細かい。 ---その元ネタに至っては、JGTC・JTCC・BTCC・FIA-GT・スーパー耐久・ワンメイクレース・WRC・国内ラリー、旧車もSCCA・日本GP・Gr.4仕様等、見ていて飽きない。~ その多種多彩なレーシングカーを取材する徹底振りは前作から更に進化しており、関心と感動を与えてくれるだろう。そしてその元ネタを探したコアなファンもいるとか… ---だが、一方でレースカーのベース車であるにも関わらずモディファイ不可のスポーツカー((一例としてチューナー系の車種の殆どや、「三菱・ランサーエボリューションII」「ランチア・デルタ コレッツィオーネ」「フォード・RS200」等の一部メーカー純正車が該当。))も増えた。「RUF」に至っては全車がモディファイ不可である。 --今作ではピュアレーシングカーやレーシングモディファイ施工車はレーシングカーである事を示す為、車名に「R」の記号が追加される。 ---なお本作を最後に『[[GT5>グランツーリスモ5]]』までレーシングモディファイが削除された((結局の所、『6』では再び削除された。))為、様々なデザインのレーシングカーが見れるのも本作の長所の1つである。 ***コースの追加 -シリーズで初めて実在するサーキットである「ラグナ・セカ」が登場。「ツインリンクもてぎ」のオーバルコースも、架空コース「スーパースピードウェイ」として間接的に登場((コースの形状が酷似している他、スタッフロールでは取材協力欄に「ツインリンクもてぎ」の名が表記されている。))。 --この他に純粋なサーキット施設ではない、ローマやシアトル等の実在する公道を本格的なサーキットとした市街地コースも本作から登場、本作以降はシリーズのお約束となった。 -未舗装道路で走るダートコースが追加。ダートタイヤを装着可能な車両でのみ走ることができる。 --ダートは滑りやすくドリフト走行しやすい特徴がある為、通常の舗装道路とは異なる感覚で走ることができる。 ***セッティング・挙動 -挙動プログラムの進化により、前作にはなかった「リミテッド・スリップ・デフ(LSD)」などのアシスト機能を作動させるセッティングが追加された。 --うまくセッティングするとコーナリング時などで加速力や安定性を高めるといった役割を持つ為、セットアップの幅が広がった。 -「コントロールタイヤ」が登場。 --通常のタイヤは遊びやすくする為か実際のタイヤよりグリップ力が高く設定されている。一方でこちらは「現実のタイヤを再現した」という名目でグリップ力が低くなっている。 --攻略する分には全く必要なく、現実の車の挙動をより体感したい人向けのチューニングと言える。 //-挙動と関係ない所ではホイールの交換が行えるようになった。多数のホイールメーカーによりデザインされたホイールが付け替えられる。 -タイヤも前作の前後セット販売ではなく、種類やコンパウンド別に購入可能となった。 --「前レーシング・ソフト/後レーシング・ハード」は勿論の事、極端な話「前レーシング・スーパーソフト/後コントロール」と言った前後のコンパウンド別のセットアップも可能となった。 ***グランツーリスモモードの新要素 -レースイベントの量が単純に増加。様々なコース、様々な車両とレースを行うことができる。 -特定の車種でしか参戦できないワンメイクレースが登場。 --日本人にはあまり馴染みのないクルマのワンメイクもあり、また中古車でしか入手できない車種によるワンメイクもあるなどやりこみ要素もあり。 -ライセンスに「国際C級」「国際B級」が追加され、全5段階に。さらに細かくテクニックを勉強することが可能に。 --さらに「国際A級」をクリアすると「スーパーライセンス((実際に国際自動車連盟(FIA)が発給しているライセンスの一つ。F1に参戦する為に必須な資格で、取得には様々な要件が求められる。))」が追加される。 ---こちらは決められたコースとマシンで1周タイムアタックを行うという内容。通常のレースに参加する分にはスーパーライセンスが必要なレースはなく、腕試し的な要素が強い。 -ホイールショップが追加。殆どの車が利用可能で、実在メーカー((BBS、エンケイ、レイズ、ブリヂストン、ファルケン、スピードライン、ダンロップ、OZ Racing、ヨコハマホイールの9つ。))の多数あるホイールから、1つを選んで購入&愛車に装着できる。 --一度変えると純正ホイールに戻せない欠点があるものの、ホイール変更による性能変化は無い。より現実での車に似せてみる等、純粋にプレイヤー好みに変更可能である。 ---- **問題点 -UI・パフォーマンスの問題 --グラフィックや挙動が進化した一方で、画質や音質が前作よりやや劣化。挙動再現の為の計算量の増加にハードパワーを割いたのが原因と言われている。 ---一方でCPU車両の挙動は前作とあまり差がない。常に纏まって走り、直線後のコーナーでは減速しきれずに壁に激突またはコースアウトしやすい点も相変わらずである。 --ガレージは1つのセーブデータにつき100台までという非常に辛い制限がある。本作の収録車種は500車種、レーシングモディファイした車両を含めるとそれ以上なので、明らかに少なすぎ。 ---賛否両論よりではあるが、セーブ・ロード時間もやや長くなっている。ロード機能に関しては意図せぬ上書きを防ぐ為、起動時に自動で行われるように改善されてはいるのだが…。 -ダートの挙動再現性は疑問。明らかに滑りすぎ((いくらハイパワーなラリーカーが砂利道を走行しても、本作のように「常に」滑りながらコーナリングするというのはまずありえないことである。))で、その挙動はラリーカーというよりむしろ競艇やスケートに近く、完走するだけで苦行という酷いレベル。 --MR車に至ってはジャンピングスポットでいとも簡単に姿勢を崩してしまいコースによってはロクに走れなくなる。 --ついでにダートとターマック(舗装路)の混走ステージでは、「摩擦係数が低くて滑るダート」と「やたらとアンダーステアが出て全く曲がらないターマック」の二重苦。 --デジタルコントローラによるパッド操作が基本で、路面グリップに比して細かいハンドリングやアクセル操作が困難なことが一因。 --加えてダートイベントは1対1のレースとなり、複数台とのレースは不可能。 -ハイパワーFR車やMR車の操作も非常に困難で、普通にプレイするとコースの中に留まっているのが精一杯という状態に。 --これも上記のダートと同じくパッドでの細かい操作が難しいことによる。よほどの上級者でない限り、高馬力レースは4WD車を使いたくなるだろう。 --なお本作からホイールスピンを制御できる「トラクションコントロール(TCS)」が搭載されているが、本当に作動しているかどうか分からないくらいTCSの利きが弱い((TCSをMAXに設定してもタイヤスモークが減るだけで殆ど挙動が変わらない。))。 ---さすがにゲーム性を損ねていた為か、3以降はダート車とハイパワーFR車・MR車の挙動、およびトラクションコントロールの利き具合が大幅に見直された((GT3公式ガイドブックでホンダの関係者が「(GT2に比べて)ずいぶん乗りやすくなりましたね」という趣旨のコメントをしている。))。 -''一部重大なバグがある。'' --代表的なのが「ガレージの一番上の車両がいつの間にかバグる」というバグ。発生するとバグ車両はスペックが変な数値になり、コース内で垂直飛びするなどレースでもまともに走れなくなる。~ 発生条件は完全には解明されておらず、対策は「ガレージの一番上に大事なマシンを置かない」という程度しかない((バグ車両は主に「NO NAME NO NAME」や「RX-7 A-Spec LM Edition」という名前で出現する。また、色が暗い青緑の物を選ぶとフリーズする。))。このバグに関しては[[ここ>http://www.geocities.co.jp/MotorCity/9653/]]に詳細な記述がある。 ---''後期ロットや廉価版では修正されている''のだが、現在中古に前期ロットが出回っているので、バグのあるバージョンを買ってもおかしくない状況にある。 -''一部の車両に設定・数値ミスが存在する。'' --あまりに膨大な車種数の為か、「トヨタ・スターレット」ではグレード名が混同((本来はターボ仕様の存在しないKP61型の車名が、次モデルであるEP71型のターボ仕様の流用となっている。))され、一部車種では駆動方式ミス((「日産・スカイライン 280 typeMR」や、JGTCのスカイラインGT-Rは、説明文で後輪駆動と明記されている割に4WDとなっている。))、スペックのミスや入れ違い((ダイハツの新車ディーラーで売られているミラは、それぞれのスペックが入れ替わっている。))がある。 ---馬力設定ミスの最たる例が「ランチア・デルタS4」。実際には500~600ps程度である所、今作では400ps以下になってしまっている((WRCの歴史の中でも“狂気”と言われたグループBで最強クラスの性能を誇ったモンスターマシンなのだが、明らかにモンスターには程遠い性能になっている。))。 --全日本GT選手権の車両も本来なら約480ps程度なのだが、本作では600~700psを誇る大出力レーシングカーになっている((GT500車両は公称以上のスペックを持っているとされ、ゲーム内でそれを再現した可能性があるが、真相は不明。後のシリーズでは総じて500ps台に修正されている。))。この他にはモータースポーツ・エリーゼ等が該当。 --ピュアレーシングカーや一部のロードゴーイングカー(以下:スペシャルモデル)はノーマルタイヤ(所謂「市販車のタイヤ」)のグリップ力が異常に高く、コーナリング速度も明らかに速い。 ---それもその筈、「スペシャルモデルの『ノーマルタイヤ』のグリップ力は、ゲーム中で最も曲がるタイヤ『レーシング・スーパーソフト』と同等」なのである((スペシャルモデルにスポーツタイヤを履かせると更にグリップ力が上がる。ダートとコントロールタイヤは、市販車とスペシャルモデルによるグリップ力の差は無い。))。~ 故に市販車にフルチューンとレーシングモディファイを施してセッティングをスペシャルモデルのソレに合わせても、タイヤがノーマルだと大してコーナリングは速くならない。 ---そして本作のスペシャルモデルは全てのタイヤがセットでついてくる((今シリーズのレーシングカーは基本的に初期装備のコンパウンド以外のタイヤは別途購入する必要があり、作品によってはノーマルタイヤも含む低グリップのタイヤが装着不可の車種もある。))。こうしたタイヤの謎仕様は本作限りとなっている。 -チューンアップ内容も効果が現実に近づいた為、変化率が目に見えて落ちた項目が多い。 --前作の軽量化&レーシングモディファイは大幅な軽量化が可能であったが、今作では軽量化される重量が半分程度((一例として車重が1500Kg台の車両にレーシングモディファイを施しても1300Kg前後と約220Kgしかそぎ落としてくれない。))に抑えられている。 --エンジンパワーもターボ車をフルチューンしても400ps前後しかパワーアップしない車種も少なくない。 ---一例として「トヨタ・スープラ A70」は3L、2.5L共に前作までの600ps以上から、それぞれ425ps、450psまでしか上昇しなくなった((本車両に搭載されている7M-GTEU/1JZ-GTEエンジンは、現実ではチューニング次第で500ps以上を軽くひねり出せる怪物エンジンである。))。 ---そうした事からフルチューンとモディファイを施しても今作のGT300(このカテゴリーの車両も上記の通り数値ミスが見られるが)に対して分が悪い車にしか仕上がらない車種も多い。 ---一方で前作にも収録されていた外車勢は劇的な軽量化が出来なくなった代わりに、それらを相殺するかの様にエンジンパワーがより伸びる様になった。 -セッティング内容も一部不便になった所がある。 --前作のターボ車はターボチューンをLv1以上施すと「ブースト圧を下げる事でパワーを落とす」という半ばエアリストリクターじみたブースト調整が出来た。~ 今作ではその機能が削除され、馬力制限のレースに出場する際にはタービンのレベルを下げざるを得ず、尚且つアバウトな調整しか出来なくなってしまった。~ そうした事からブースト調整なら許容範囲ギリギリまで調整出来たものがパーツのレベルを下げる事で必要以上にパワーダウンを強いられる事態も起きた。 --ギアレシオの調整もギア比のグラフ表示が削除された事で、きめ細かい設定が困難になった。 ---今作ではオートセットが搭載された事で初心者でもギア比の調整が容易にはなった。が、パワーバンドを有効に使おうとすると途端に面倒になっている。 ---- **総評 今作ならではの問題点も幾つか見られるものの、前作から大幅なボリュームアップと更に細かな作り込みを施され、順当進化を遂げた続編。~ シルエットフォーミュラや豊富なレーシングモディファイ対応車両など、本作ならではの魅力があり、車好きならば20年を経た現在でも楽しめるだろう。~ DL配信が無い為に入手は中古の現品のみしかないのが難点とはいえ、シリーズを語る上で欠かせない作品として、是非手に取ってもらいたい名作である。 ---- **余談 -''説明書の収録車種一覧に掲載されているがゲーム中には登場しない車種がある。'' --前作に登場した「ニスモ・GT-R LM」はデータ自体は完全に収録されているのだが、何故かゲーム中には一切登場しない。 ---海外版では日産ディーラーから普通に購入可能で、レーシングモディファイも前作同様に可能。この謎仕様は後期ロットや廉価版でも未修正である。 --「メルセデス・ベンツ CLK-GTR」「メルセデス・ベンツ CLK DTM2000」はプレス用に配布された開発中の写真には確認できたが、後に削除されたらしく製品版では全バージョンで登場しない。 ---理由については1999年ル・マン24時間耐久レースにて発生した「メルセデス・ベンツ CLR」による大事故を配慮したものと思われる。事故の詳細については各自調べていただきたい。~ その後、問題が収束したと判断されたのか2004年の『[[GT4>グランツーリスモ4]]』にて両車とも無事収録を果たしている((なお、大事故を起こした「メルセデス・ベンツ CLR」については現在でもシリーズには収録されておらず、また今後収録される可能性も限りなく低いと思われる。))。 ----

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