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*ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~ 【ふぁんたしーすたーつー かえらざるときのおわりに】 |ジャンル|RPG|CENTER:&image(526675_2184_front.jpg,height=160)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4680&file=526675_2184_front.jpg]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4680&file=526675_2184_back.jpg]]| |対応機種|メガドライブ|~| |メディア|6MbitROMカートリッジ|~| |発売元|セガ・エンタープライゼス|~| |発売日|1989年3月21日|~| |定価|8,800円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2008年1月29日/700Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ファンタシースターシリーズリンク>ファンタシースターシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 プラットフォームをメガドライブ(以下MD)に移した『ファンタシースター』旧シリーズの第2作目。「シビアな展開を持つSFストーリー」という作風により、以降のシリーズの方向性を決定づけたともいえる。 //箇条書きのマークが見づらいので除去。また余談的内容は余談項目に移動 **ストーリー 前作『ファンタシースター』から1000年後。マザーブレインと呼ばれる巨大コンピュータによる管理のもと、アルゴル太陽系は繁栄を極め、人々は豊かな生活を送っていた。~ そんなあるとき、アルゴル太陽系第2惑星・モタビアの各地でバイオモンスターが大量発生し人々を脅かすようになる。~ 州政府のエージェントであるユーシスは、異変を解決すべく、義理の妹ネイを連れて旅に出るのだった。 **評価点 -プラットフォームをMDに移したことによりグラフィックレベルが格段に向上。旧シリーズの戦闘システムの基本がここで確立した。 --テクニックの基本的な命名法則も確立し、アイコンを用いたインタフェースの採用で遊びやすさも向上した。 --敵のアニメーションも大幅に進化。当時のCMでも売りにしていただけあってなかなかにいい動きをしている。また、本作では味方の攻撃グラフィックも追加され、戦闘の見せ方も格段に向上。 ---また敵の戦闘アニメーションも、長すぎる敵がほとんどいなくなり、戦闘のテンポも大きく改善された。 --やや慣れが必要だが、セミオート戦闘もなかなか快適。 --音楽担当はBØこと上保徳彦氏。氏の担当したBGMは名曲が多く、後のシリーズにもアレンジバージョンが採用されるなど評価が高い。 ---ただ、当時はなにがなんでもドラムを刻む性分だったらしく、悲劇的なシーンであろうと異なる作品であろうと、氏の手がけたBGMは強調されたドラム音がついてまわる。~ もっともこの点に関しては、MD初期タイトルのBGMを担当することが多かったため、音源ドライバの洗練度や使いかたの習熟度といった事情もあるだろう。実際、本作の後に発売された「ソーサリアン」における氏の担当分では、この傾向はみられなくなっている。 --戦闘曲が通常戦闘と中ボス用の2つしかないが、ダークファルス~最後の最後に現れる黒幕とのシーンにバッチリマッチしていてよくある「大ボス曲が無い」((ファイナルファンタジーIやII、真・女神転生I等))が当てはまらない。特に黒幕は戦闘シーンでないにもかかわらず「遣る瀬無さと物悲しさと、失望感、虚無感」等、各キャラクターの台詞と共にこれだけのBGMのシンクロはなかなかおめにかかれない。 -キャラクターデザインは前作の少女マンガ的な作画からアニメタッチになり、男子プレイヤーに受け入れやすくなっている。 -パーティメンバーは8人に増え、バリエーションが豊富に。キャラクターの能力にもかなり特徴があり、能力的な個性も強い。 --キャラクター人気はかなり高く、後にMDの『ゲーム図書館』にて、[[パーティーメンバー全員のショートストーリーが配信されていた>ファンタシースターII テキストアドベンチャー/ファンタシースターアドベンチャー]]ほど((後にMEGA-CDの『ゲームのかんづめ』及びPS2の『ファンタシースターコンプリートコレクション』に全て収録されている。))。 -本作から3Dダンジョンを廃し、全て2D画面で行動することになった。その代わり移動画面で二重スクロール機能を駆使し、立体感のあるダンジョンを演出している。 //--しかしながらこの二重スクロールの移動画面が逆に足かせにもなっている。詳細は後述。 -ストーリーは王道であった前作とは異なり、かなり影のあるストーリー展開で進行する。 --ストーリー的には、序盤から鬱展開が頻発し、中盤では怒涛の悲劇的展開の連続、さらに黒幕の意外な正体と絶望感・虚無感にあふれたエンディングは今でもファンの間で語り草となっている。この一抹の寂寥感を残す暗いシナリオは、以降のシリーズタイトルでも継承された作品が多い。 **問題点 -ダンジョンの難易度が異常なまでに高く、戦闘の難易度もきわめて高い。 --構造はそれほど複雑ではないのだが、道幅が広すぎ、先が見えない。 --階層はそれほど多くないが、シューターや階段・落とし穴の繋がりが非常に複雑で、外れのルートをグルグル回らされるような構造になっているものが多い。一応基本的に重要アイテムは正解のルート上に配置してあるのだが、もちろんそんな説明はどこにもないのでそれに気付けるプレイヤーはごく少数だろう。 --序盤のまだ弱い時期に潜入するダンジョンに、全体攻撃を連発してくる敵が頻出しており、まだダンジョンの難易度は全編通して非常に高い。 ---中盤以降は全体ダメージを与えてくる敵が複数で出現する事もあり、先手を取られると回復が追い付かなくそのまま全滅、というケースも多々。特に終盤出現する「ギ・ル・ザーク」が危険((全体40ダメージ前後の攻撃に加えて直接攻撃力も雑魚敵で一番高い。))。 --敵の強さと経験値のバランスがあまり良くない。倒しづらい敵ほど報酬が少ない、なんて事はざら。 ---デゾリス星フィールド全域に出現する「ミネラロジスト」は倒すのに時間がかかる上に報酬がしょっぱい。これでいて2~3ターン以内でさほど被害がなく倒せる「ムソオル」や「カオスソーサラー」の方が経験値が高いのだから気が削がれる。 --戦闘から逃げられるかどうかは、敵固有の逃走確率のみで決まるため、プレイヤーキャラのレベルは一切関係ない。しかも強敵ほど逃走確率が低く設定されている傾向にあるため、逃げつつ進むという方法も取りにくい。 --画面スクロールがキャラ中心ではなく、かなり画面端までいかないとスクロールしない。 ---そのため前方の視界が狭くなり、ストレス・難易度上昇要因になっている。 --また移動画面では、二重スクロールで天井の配管や濃霧の表現があるが、一部ダンジョンではそれにより、通路が視認しづらくなっている現象も発生している。 --敵の攻撃で受けたダメージ量が表示されない。 --構造のいやらしさ以前に、そもそも入り口がわからない(わかりにくい)ダンジョンがある。マルエラツリーのあるウーゾやダムで使うカードのあるコントロールタワーなど、入り口と判別できるものがなかったり(漠然としたヒントがあるにはあるが)、デゾリス星におけるクレバスのように、かなり注視しないと入り口がわかりにくかったりする。 ---前者は各地に散在する通常のマップパーツそのもので、入り口を示すグラフィックがなく、後者は入り口のグラフィックこそあるものの、周囲に溶け込んでしまっている。 -当時発売されていた攻略本が事もあろうに全ての本にてダンジョンのマップミスがあり、難易度を違う所で引き上げていたというのもある。 -移動速度が遅い --マップの広さが3倍なのに、移動速度は同じファミコンのドラゴンクエスト…といえばイメージできるだろうか。 --街中では宿泊施設やセーブでの往復でストレスがたまり、ダンジョン内では高いエンカウント率が、さらに高く感じられる。 --ストレスに感じるプレイヤーが多かったためか、~コレクションやリメイク版では、移動速度が上がり、プレイしやすくなった。 -仲間の加入方法にも問題あり。 --ほかのRPGのように、特定のイベントを経由して新規の仲間が加入するのではなく、ストーリーが進んだ時点で''自宅にもどると新たな仲間が訪ねてくる''という方式のため、いつ加入するのかわかりづらいうえ、わざわざスタート地点の街にある自宅に戻らなければならない。 ---基本的には、新しい街に到達後、自宅に戻ると、新たな仲間が訪ねてくる仕様になっている。 -仲間の性能もバランスが悪い。 --バイオモンスターに強いヒューイは、前半こそ使えても、後半でメカが出現するあたりから役たたずになってしまう。その逆として、メカに強いカインズは、バイオモンスターが出没する前半では役たたずだが、最初のうちに鍛えておかなければ、後半ではレベルが低すぎて役たたずになる。 ---結果、どんな敵にも安定して強いルドガー・アーミアと、他1名(回復役のアンヌか、素早さを活かしたアイテム係のシルカ)で鉄板という編成に。 ---いちおうフォローしておくと、終盤に出現する魔物系の敵は、対生物専用・対機械専用のテクニックがどちらも効果を発揮するので、ヒューイはTPの高さを活かし、全体即死攻撃を利用した雑魚殲滅に、カインズは対機械専用の高威力テクニックを利用し、高耐久力の敵に対処(ボス相手ならTPが続く限りアーミアより有用)できる。 **総評 MDのローンチ時期に発売されたRPGとしては水準以上の出来であり、本シリーズの世界観や作風、キャラクター性を確立した、ひとつのマイルストーンとなった作品。グラフィックのクオリティやストーリーの評価も非常に高く、登場するパーティーメンバーも、いまなお根強い人気を誇るなど、本作が築き上げた功績は非常に大きい。 それだけに、短い開発期間の影響により、((開発期間はほぼ半年。これはデバッグも含んでいるので実際にはもっと短い。))ゲームバランスの調整が不十分となってしまい、難易度が理不尽に上昇してしまった点が惜しまれる。 **余談 -本作は当初、マークIII/マスターシステム向けとして制作されていたが、その途中でセガの主力ハードがMDに移行したため、同ハード用のタイトルへと変更されることになった。 --それにともない、本作はMDを普及させるための重要な牽引役も担うこととなり、発売日については、絶対厳守が命じられていた。~ そのため、ハードウェアの変更が決まってから企画の練り直しやデバッグも含め、わずか半年間という驚異的なハードスケジュールで制作がおこなわれたというエピソードがある。 --また、本作はRPGに二重スクロールを採用した初の作品であることも指摘しておく。 -1→2において、何故かパルマとモダビアの位置が入れ替わっている。これに関して語られたのは後々という、まさに後付け設定。 -他のRPGが、HPがゼロになったキャラを復活させるのが「蘇生」であるのに対し、このゲームの場合「死体から作るクローン」、つまり「生き返ってはいない」。同じ記憶と同じ姿をしたアカの他人という事である。 -エンディングと同時に起こった黒幕との戦いに関しては、長らく語られなかったが、近年になって、主人公たちの勝利で幕を閉じたことが公式に明かされた。 -パーティーメンバーのひとりであるネイは、その悲劇的な境遇からシリーズ随一の人気を誇り、以降の作品にも、武具の名前や重要なキーワードとして登場することになる。 -バックアップ修復機能が搭載されているといわれているが、ファミコンとは異なり、MDは端子接触面が非常に安定しているため、データを消失したプレイヤーがおらず、いまだに満足のいく確証は得られていない。((蛇足だが、次回作のⅢではとある操作をするとバックアップが飛ぶ事がある。)) -雑魚敵は、かならず1系統につき3種が設定されている(1種類だけ中ボス扱い)が、出現テーブルの設定ミスにより「バンリーダー」という敵のみ、日本版では出現しない(海外版では出現する)。 -RPGとしては珍しくポーズでき、更にポーズ中にボタン押しで「コマ送り」と「スローモーション」させる機能がある。現在においても、数あるRPGの中でこのような仕様を持つ作品は非常に稀である(プレイにあたって有用とは言えないが)。((ただし、ポーズ中のコマ送り等を利用して画面を切り替えると、BGMがポーズ時点のまま鳴り続けるという仕様があり、フィールドBGMのまま戦闘に突入したり、ショップBGMのまま街中を歩く事ができる、という小ネタがある)) -先述の問題点にもあるが、ゲーム外の事でもあるが数冊発売された攻略本全てにマップの間違いがあり、それも「3冊が間違っている箇所が同じダンジョンではなくそれぞれ違う」となっていた。これは当時の攻略本が「メーカーからの資料を貰う」ではなく、執筆者が実際にゲームをやりながら画面写真を撮影しつつ、ダンジョンを紙に描きおこして地道に描いていくスタイルだったのが一般的だったのが原因。 --おかげで、ダンジョン攻略の難易度の高さもあり「攻略本を全冊買う」という人も。 -当初の主人公はPS1のルツがなる予定だった。ユーシスに変更されたのはPS1の時点で「キャラが弱かった」為……。因みに、シナリオはそんな変わってはいない。((「ファンタシースターの世界 ファンタシースターを作った人たち(徳間書店)」より。)) -辛口批評で有名なTACO-X氏が攻略本の中でこのPSIIを絶賛していた。ただし、[[女神転生II>デジタル・デビル物語 女神転生II]]もそうだったが他媒体では絶賛してもクロスレビューは言うほど高くない。
*ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~ 【ふぁんたしーすたーつー かえらざるときのおわりに】 |ジャンル|RPG|CENTER:&image(526675_2184_front.jpg,height=160)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4680&file=526675_2184_front.jpg]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4680&file=526675_2184_back.jpg]]| |対応機種|メガドライブ|~| |メディア|6MbitROMカートリッジ|~| |発売元|セガ・エンタープライゼス|~| |発売日|1989年3月21日|~| |定価|8,800円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2008年1月29日/700Wiiポイント|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ファンタシースターシリーズリンク>ファンタシースターシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 プラットフォームをメガドライブ(以下MD)に移した『ファンタシースター』旧シリーズの第2作目。「シビアな展開を持つSFストーリー」という作風により、以降のシリーズの方向性を決定づけたともいえる。 //箇条書きのマークが見づらいので除去。また余談的内容は余談項目に移動 **ストーリー 前作『ファンタシースター』から1000年後。マザーブレインと呼ばれる巨大コンピュータによる管理のもと、アルゴル太陽系は繁栄を極め、人々は豊かな生活を送っていた。~ そんなあるとき、アルゴル太陽系第2惑星・モタビアの各地でバイオモンスターが大量発生し人々を脅かすようになる。~ 州政府のエージェントであるユーシスは、異変を解決すべく、義理の妹ネイを連れて旅に出るのだった。 **評価点 -プラットフォームをMDに移したことによりグラフィックレベルが格段に向上。旧シリーズの戦闘システムの基本がここで確立した。 --テクニックの基本的な命名法則も確立し、アイコンを用いたインタフェースの採用で遊びやすさも向上した。 --敵のアニメーションも大幅に進化。当時のCMでも売りにしていただけあってなかなかにいい動きをしている。また、本作では味方の攻撃グラフィックも追加され、戦闘の見せ方も格段に向上。 ---また敵の戦闘アニメーションも、長すぎる敵がほとんどいなくなり、戦闘のテンポも大きく改善された。 --やや慣れが必要だが、セミオート戦闘もなかなか快適。 --音楽担当はBØこと上保徳彦氏。氏の担当したBGMは名曲が多く、後のシリーズにもアレンジバージョンが採用されるなど評価が高い。 ---ただ、当時はなにがなんでもドラムを刻む性分だったらしく、悲劇的なシーンであろうと異なる作品であろうと、氏の手がけたBGMは強調されたドラム音がついてまわる。~ もっともこの点に関しては、MD初期タイトルのBGMを担当することが多かったため、音源ドライバの洗練度や使いかたの習熟度といった事情もあるだろう。実際、本作の後に発売された「ソーサリアン」における氏の担当分では、この傾向はみられなくなっている。 --戦闘曲が通常戦闘と中ボス用の2つしかないが、ダークファルス~最後の最後に現れる黒幕とのシーンにバッチリマッチしていてよくある「大ボス曲が無い」((ファイナルファンタジーIやII、真・女神転生I等))が当てはまらない。特に黒幕は戦闘シーンでないにもかかわらず「遣る瀬無さと物悲しさと、失望感、虚無感」等、各キャラクターの台詞と共にこれだけのBGMのシンクロはなかなかおめにかかれない。 -キャラクターデザインは前作の少女マンガ的な作画からアニメタッチになり、男子プレイヤーに受け入れやすくなっている。 -パーティメンバーは8人に増え、バリエーションが豊富に。キャラクターの能力にもかなり特徴があり、能力的な個性も強い。 --キャラクター人気はかなり高く、後にMDの『ゲーム図書館』にて、[[パーティーメンバー全員のショートストーリーが配信されていた>ファンタシースターII テキストアドベンチャー/ファンタシースターアドベンチャー]]ほど((後にMEGA-CDの『ゲームのかんづめ』及びPS2の『ファンタシースターコンプリートコレクション』に全て収録されている。))。 -本作から3Dダンジョンを廃し、全て2D画面で行動することになった。その代わり移動画面で二重スクロール機能を駆使し、立体感のあるダンジョンを演出している。 //--しかしながらこの二重スクロールの移動画面が逆に足かせにもなっている。詳細は後述。 -ストーリーは王道であった前作とは異なり、かなり影のあるストーリー展開で進行する。 --ストーリー的には、序盤から鬱展開が頻発し、中盤では怒涛の悲劇的展開の連続、さらに黒幕の意外な正体と絶望感・虚無感にあふれたエンディングは今でもファンの間で語り草となっている。この一抹の寂寥感を残す暗いシナリオは、以降のシリーズタイトルでも継承された作品が多い。 **問題点 -ダンジョンの難易度が異常なまでに高く、戦闘の難易度もきわめて高い。 --構造はそれほど複雑ではないのだが、道幅が広すぎ、先が見えない。 --階層はそれほど多くないが、シューターや階段・落とし穴の繋がりが非常に複雑で、外れのルートをグルグル回らされるような構造になっているものが多い。一応基本的に重要アイテムは正解のルート上に配置してあるのだが、もちろんそんな説明はどこにもないのでそれに気付けるプレイヤーはごく少数だろう。 --序盤のまだ弱い時期に潜入するダンジョンに、全体攻撃を連発してくる敵が頻出しており、まだダンジョンの難易度は全編通して非常に高い。 ---中盤以降は全体ダメージを与えてくる敵が複数で出現する事もあり、先手を取られると回復が追い付かなくそのまま全滅、というケースも多々。特に終盤出現する「ギ・ル・ザーク」が危険((全体40ダメージ前後の攻撃に加えて直接攻撃力も雑魚敵で一番高い。))。 --敵の強さと経験値のバランスがあまり良くない。倒しづらい敵ほど報酬が少ない、なんて事はざら。 ---デゾリス星フィールド全域に出現する「ミネラロジスト」は倒すのに時間がかかる上に報酬がしょっぱい。これでいて2~3ターン以内でさほど被害がなく倒せる「ムソオル」や「カオスソーサラー」の方が経験値が高いのだから気が削がれる。 --戦闘から逃げられるかどうかは、敵固有の逃走確率のみで決まるため、プレイヤーキャラのレベルは一切関係ない。しかも強敵ほど逃走確率が低く設定されている傾向にあるため、逃げつつ進むという方法も取りにくい。 --画面スクロールがキャラ中心ではなく、かなり画面端までいかないとスクロールしない。 ---そのため前方の視界が狭くなり、ストレス・難易度上昇要因になっている。 --また移動画面では、二重スクロールで天井の配管や濃霧の表現があるが、一部ダンジョンではそれにより、通路が視認しづらくなっている現象も発生している。 --敵の攻撃で受けたダメージ量が表示されない。 --構造のいやらしさ以前に、そもそも入り口がわからない(わかりにくい)ダンジョンがある。マルエラツリーのあるウーゾやダムで使うカードのあるコントロールタワーなど、入り口と判別できるものがなかったり(漠然としたヒントがあるにはあるが)、デゾリス星におけるクレバスのように、かなり注視しないと入り口がわかりにくかったりする。 ---前者は各地に散在する通常のマップパーツそのもので、入り口を示すグラフィックがなく、後者は入り口のグラフィックこそあるものの、周囲に溶け込んでしまっている。 -当時発売されていた攻略本が事もあろうに全ての本にてダンジョンのマップミスがあり、難易度を違う所で引き上げていたというのもある。 -移動速度が遅い --マップの広さが3倍なのに、移動速度は同じファミコンのドラゴンクエスト…といえばイメージできるだろうか。 --街中では宿泊施設やセーブでの往復でストレスがたまり、ダンジョン内では高いエンカウント率が、さらに高く感じられる。 --ストレスに感じるプレイヤーが多かったためか、~コレクションやリメイク版では、移動速度が上がり、プレイしやすくなった。 -仲間の加入方法にも問題あり。 --ほかのRPGのように、特定のイベントを経由して新規の仲間が加入するのではなく、ストーリーが進んだ時点で''自宅にもどると新たな仲間が訪ねてくる''という方式のため、いつ加入するのかわかりづらいうえ、わざわざスタート地点の街にある自宅に戻らなければならない。 ---基本的には、新しい街に到達後、自宅に戻ると、新たな仲間が訪ねてくる仕様になっている。 -仲間の性能もバランスが悪い。 --バイオモンスターに強いヒューイは、前半こそ使えても、後半でメカが出現するあたりから役たたずになってしまう。その逆として、メカに強いカインズは、バイオモンスターが出没する前半では役たたずだが、最初のうちに鍛えておかなければ、後半ではレベルが低すぎて役たたずになる。 ---結果、どんな敵にも安定して強いルドガー・アーミアと、他1名(回復役のアンヌか、素早さを活かしたアイテム係のシルカ)で鉄板という編成に。 ---いちおうフォローしておくと、終盤に出現する魔物系の敵は、対生物専用・対機械専用のテクニックがどちらも効果を発揮するので、ヒューイはTPの高さを活かし、全体即死攻撃を利用した雑魚殲滅に、カインズは対機械専用の高威力テクニックを利用し、高耐久力の敵に対処(ボス相手ならTPが続く限りアーミアより有用)できる。 **総評 MDのローンチ時期に発売されたRPGとしては水準以上の出来であり、本シリーズの世界観や作風、キャラクター性を確立した、ひとつのマイルストーンとなった作品。グラフィックのクオリティやストーリーの評価も非常に高く、登場するパーティーメンバーも、いまなお根強い人気を誇るなど、本作が築き上げた功績は非常に大きい。 それだけに、短い開発期間の影響により、((開発期間はほぼ半年。これはデバッグも含んでいるので実際にはもっと短い。))ゲームバランスの調整が不十分となってしまい、難易度が理不尽に上昇してしまった点が惜しまれる。 **余談 -本作は当初、マークIII/マスターシステム向けとして制作されていたが、その途中でセガの主力ハードがMDに移行したため、同ハード用のタイトルへと変更されることになった。 --それにともない、本作はMDを普及させるための重要な牽引役も担うこととなり、発売日については、絶対厳守が命じられていた。~ そのため、ハードウェアの変更が決まってから企画の練り直しやデバッグも含め、わずか半年間という驚異的なハードスケジュールで制作がおこなわれたというエピソードがある。 --また、本作はRPGに二重スクロールを採用した初の作品であることも指摘しておく。 -アルゴル太陽系シリーズのCMでは、本作のみ実際のゲーム画面のみで構成されている。 -1→2において、何故かパルマとモダビアの位置が入れ替わっている。これに関して語られたのは後々という、まさに後付け設定。 -他のRPGが、HPがゼロになったキャラを復活させるのが「蘇生」であるのに対し、このゲームの場合「死体から作るクローン」、つまり「生き返ってはいない」。同じ記憶と同じ姿をしたアカの他人という事である。 -エンディングと同時に起こった黒幕との戦いに関しては、長らく語られなかったが、近年になって、主人公たちの勝利で幕を閉じたことが公式に明かされた。 -パーティーメンバーのひとりであるネイは、その悲劇的な境遇からシリーズ随一の人気を誇り、以降の作品にも、武具の名前や重要なキーワードとして登場することになる。 -バックアップ修復機能が搭載されているといわれているが、ファミコンとは異なり、MDは端子接触面が非常に安定しているため、データを消失したプレイヤーがおらず、いまだに満足のいく確証は得られていない。((蛇足だが、次回作のⅢではとある操作をするとバックアップが飛ぶ事がある。)) -雑魚敵は、かならず1系統につき3種が設定されている(1種類だけ中ボス扱い)が、出現テーブルの設定ミスにより「バンリーダー」という敵のみ、日本版では出現しない(海外版では出現する)。 -RPGとしては珍しくポーズでき、更にポーズ中にボタン押しで「コマ送り」と「スローモーション」させる機能がある。現在においても、数あるRPGの中でこのような仕様を持つ作品は非常に稀である(プレイにあたって有用とは言えないが)。((ただし、ポーズ中のコマ送り等を利用して画面を切り替えると、BGMがポーズ時点のまま鳴り続けるという仕様があり、フィールドBGMのまま戦闘に突入したり、ショップBGMのまま街中を歩く事ができる、という小ネタがある)) -先述の問題点にもあるが、ゲーム外の事でもあるが数冊発売された攻略本全てにマップの間違いがあり、それも「3冊が間違っている箇所が同じダンジョンではなくそれぞれ違う」となっていた。これは当時の攻略本が「メーカーからの資料を貰う」ではなく、執筆者が実際にゲームをやりながら画面写真を撮影しつつ、ダンジョンを紙に描きおこして地道に描いていくスタイルだったのが一般的だったのが原因。 --おかげで、ダンジョン攻略の難易度の高さもあり「攻略本を全冊買う」という人も。 -当初の主人公はPS1のルツがなる予定だった。ユーシスに変更されたのはPS1の時点で「キャラが弱かった」為……。因みに、シナリオはそんな変わってはいない。((「ファンタシースターの世界 ファンタシースターを作った人たち(徳間書店)」より。)) -辛口批評で有名なTACO-X氏が攻略本の中でこのPSIIを絶賛していた。ただし、[[女神転生II>デジタル・デビル物語 女神転生II]]もそうだったが他媒体では絶賛してもクロスレビューは言うほど高くない。

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