「スパルタンX」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

スパルタンX - (2023/10/30 (月) 00:29:33) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

#contents() ---- *スパルタンX 【すぱるたんえっくす】 |ジャンル|アクション|~| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|アイレム|~| |発売日|1984年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 ジャッキー・チェン主演のカンフー映画「スパルタンX」を題材としたアクションゲーム。~ しかし共通点はタイトルとキャラクターの名前ぐらいで、映画とはほぼ関係ない内容になっている。 ---- **特徴 「主人公のトーマスが恋人のシルビアを謎の男ミスターXの手から取り戻すため5階建ての塔を登る」というストーリー。~ 雑魚敵をなぎ倒しつつ先に進み、各階を守るボスを倒して階段を昇るとステージクリア。最上階にはミスターXが待ち受けており、彼を倒すとシルビアを救出して1周クリア。 -操作は格闘ゲーム風になっており、2つあるボタンでパンチ、キックを出せる。レバー上でジャンプし、下でしゃがむ。パンチはリーチが短い代わりにボスへのダメージが大きく、雑魚敵撃破時にキックの倍の得点が得られる。キックはその逆。 --ジャンプ中およびしゃがみ中でも技は出せる。当然ながら使いこなせなければ先へは進めない。 ---AC版はある程度左右に移動しながら上を入力しないと、前ジャンプが出ない仕様になっている。 --道中には様々な敵やトラップが待ち受けている。奇数階は左スクロールで、偶数階は右スクロールになっている。 --2周目以降は一度に出現する雑魚敵の数が増え、動きも速くなって難易度が上昇する。 #region(敵一覧) ''ザコ敵''~ -つかみ男 --トーマスに向かって一直線に突進し、組みかかって体力を奪う。組み付かれたらレバガチャで振り払える。 -ナイフ投げ --トーマスと距離を置くように動き、ナイフを上下どちらかに投げて攻撃してくる。攻撃を二回当てないと倒せず、後半になるとナイフのスピードや威力が上がり、さらに2人組で挟み打ちを仕掛けてくる難敵。 -トムトム --2面から登場。つかみ男と同様の動きだが、稀にトーマスの技の射程外からジャンプアタックを仕掛けてくる。ただし、このジャンプアタックは立つかジャンプするとノーダメージで迎撃が可能。また、背が低いためにしゃがんで攻撃しないと倒せない。 -2階のトラップ --落下後に毒蛇が出てくる「蛇壺」、同じく落下後に龍が出てきて火を吹く「龍の球」、宙にしばらく浮いた後炸裂する「くす玉」の3つ。いずれも特定のタイミングで攻撃を加えれば発動を阻止可能、かつ得点が入る。 -毒蛾 --4階に出現する。壁に空いた穴から出て突進攻撃を仕掛けてくるが、フワフワ浮いているため攻撃を当てづらい。 ''ボス敵''~ -棒術使い --1階のボス。手にした棒で撃ちかかってくるためリーチが長いが、懐が無防備。 -ブーメラン使い --2階のボス。ブーメランを最大2つまで投げてくる。やはり懐は無防備なので、いかにブーメランをかい潜りつつ近づくかがカギ。 -怪力男 --3階のボス。動きは非常に鈍いが、その代わり名前の通りに攻撃力が凄まじく高く、一撃で体力半分~8割近く持っていかれる。 -妖術使い --4階のボス。火の弾を投げて攻撃してくる。他にも「頭を攻撃すると首が取れる(ただしノーダメージ。少し経つと復活)」、「分身して挟み打ちを仕掛けてくる」「龍などを出現させる」といった多彩な技を持つ。なおしゃがみパンチ以外は効かないので注意。 -ミスターX --最上階のボス。トーマスと同様にパンチとキックで攻撃するが、トーマスの攻撃を受け流す性能が非常に高い強敵。 #endregion ~ ---- **評価点 -とにかく雑魚敵をなぎ倒すのが気持ちいい。 --雑魚敵は一度に多く襲いかかる代わりに一撃で倒せるためとにかくテンポがよく、爽快感もバツグン。敵キャラクターも個性豊かで、各ステージでそれぞれボスが異なるというのも当時ではまだ珍しかった。 -コミカルな演出。 --主人公のトーマスを含めた全てのキャラクターは倒されると、専用の仰け反りポーズを取って落下する。トーマスがやられたり、各階のボスを倒すと「ボゥーン~」という音とともに落下するなど、そのポーズが妙に味がある。 -BGMは曲数こそ少ないがカンフーらしい雰囲気で、口ずさみたくなる独特の中毒性を持っている。 -当時としては珍しい豊富な合成音声。 --トーマスは攻撃する度に「ホッ」「アチョー」「オリャー」と叫び、さらにボスキャラクターに倒されると「ウワッハッハッハ」と笑われるなど非常に印象的で、声真似をするユーザーも多かった。 ---- **問題点 -最初は簡単だが、1周目の4面以降からかなり難しくなる。 --敵が段々と早くトリッキーな動きをするようになって強化されるのに対し、主人公の性能は全く変化しないため。その上に時間制限もあるのでゆっくりしてはいられない。 -内容が映画の『スパルタンX』と全く関係ない。 --主人公がトーマス、ヒロインがシルビアという以外は全く設定が一致していないし、ストーリーの内容も全く違う。各階の敵を倒して最上階を目指すという内容はどちらかというとブルース・リーの『死亡遊戯』である。しかしイラストはどう見てもジャッキー。 --これはAC版製作時に、映画の内容を把握せずに先行してゲームを作ったため。((原作映画は84年8月に香港で公開、日本公開が12月でこのゲームのリリースも12月なので、ゲームのスタッフが原作を見てから開発を開始しても間に合うかは微妙なところ。))また、香港映画は盗作を防ぐために脚本をきっちり作らずアドリブで内容を変えていくため、初期設定とかけはなれた可能性も指摘される。 ---- **総評 シンプルな内容ながら、パンチのみクリア、ノーダメージクリアやハイスコアチャレンジなどのやりこみ要素も適度に含まれており、それなりの熱中度で楽しめる良作である。 ---- *ファミコン版 |ジャンル|アクション|#image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/174000289.jpg,width=200)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|320KbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|1985年6月21日|~| |定価|4,900円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- **概要(FC) オリジナルはアイレムがリリースしたアーケードゲームであったが、諸般の事情によりFC版は任天堂が開発・販売を担当した。~ 業務用基板とFCではハード性能が違いすぎるためグラフィック面などでは劣化しているが、そこは操作性の改善などのアレンジが効いている。 **評価点(FC) -操作感がAC版より軽くなり、前ジャンプが助走なしで出せるようになるなどAC版よりも軽快になった。 -『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の各種BGMで知られる近藤浩治氏がBGMアレンジを担当。FCながらAC版に忠実なアレンジに仕上がり、合成音声も再現。 --ヒット音が軽快な上にアクションに応じてアチョーといった声を発するので連続して敵を倒す爽快感はかなりのもの。 ---当時のFCソフトとしては合成音声の種類や使用頻度が圧倒的に多くゲームの爽快感につながっている。ボスの笑い声等、思わずマネしたくなるような中毒性も秘めている。 --しかもAC版はボスの笑い声が全て一緒だったが、3面ボスは他のキャラクターよりも低いトーンに、4面ボスは他のキャラクターよりも高いトーンになるなどより個性豊かになっている。 -つかみ男を倒した人数が12の倍数になる時にジャンプキックで倒すと5000点が入るなどFC版独自の要素もある。 **問題点(FC) -オープニング((シルビアがさらわれる場面及びミスターXからの挑戦状))が削除。タイトル画面が素っ気ないものになった。 -最終ボスのミスターXの強さが調整。どちらかというと弱体化した。 --AC版ではパターンを掴まないと厄介な強敵だったが、FC版は攻撃を出す瞬間にスキがあり、そこを狙って攻撃すればガードされなくなった。 ---タイミングをつかめば、飛び蹴りを2回連続で当てて瞬殺も可能。 --しゃがみキック連打だけでもうまくいけばハメ倒せるようになった。ただし飛び蹴りをくらう可能性もあり、万能ではない。 -外部コントローラが正常に機能しない。 **総評(FC) 当時のFCブームも手伝って、売り上げは約142万本という大ヒットを記録。本家であるAC版を上回る人気と知名度を獲得したといっても過言ではないだろう。~ 版権作品という事もあり、バーチャルコンソールでの配信が難しいであろうことが惜しまれる。 ---- **余談 -コロコロコミック連載の漫画「ファミコンロッキー」にて、「24周するとシルビアが襲い掛かってくる」というイベントが掲載され広まったことでも有名。実際にはこれはデマなのだが、24周クリアは非常に難しいため当時の子供たちはなかなか達成できず、気づかない者も多かった。 --なお24周である理由は「X」がアルファベットの24番目なため。 ---ちなみに周回を表す数字は10周目から「A」になるので、「X」は33周目ということになり、24周目というのがそもそも間違いである。 --実際に「救出対象が襲い掛かってくる」という要素を搭載しているゲームにPC版『[[カラテカ]]』が挙げられる。 -MSXでも1985年にアスキーから発売されたが『聖拳アチョー』に改題されている。これはMSXで映画公開時のタイアップ作として『スパルタンX』の名を冠したゲームがポニーキャニオンから出ていたため((正式タイトルは『ジャッキー・チェンのスパルタンX』。実はこっちの方が原作に忠実。面白さは別として。))、権利関係の都合で変更せざるを得なくなったのが理由。 -上記の通りAC版はアイレム制作であったが、任天堂の宮本茂氏がどうしてもFCでスパルタンXをやりたいとアイレムと交渉していた。そして交渉の最中にアイレムの親会社の判断でアイレムの担当者に何の相談も無く突然OKが出てしまい、任天堂はアイレムに借りを作ることになってしまった。気まずい形になったものの宮本茂氏が悪いというわけではないため宮本氏とアイレムとの関係は良好なままだったとのこと。 --その後アイレムは『[[ジッピーレース]]』を機にFC参戦することになるが、そのときにアイレムから「カセット上部に発光ダイオードをつけて目立つようにする」という提案があり、借りを作っていた任天堂は断り切れなかった。 ---なお発光ダイオードつきのソフトは初期の6作品のみであり、その作品も後期に作られたカセットには発光ダイオードが付いていない。 -本作のNES版は『KUNG-FU』((読み方はクンフーではなくカンフーが正しいとの事))のタイトルで発売されている。((海外AC版と海外CS移植版は『KUNG-FU MASTER』)) --日本でもファミコン後期にこのタイトルで再販されたが、改題版はファミコン屈指のプレミアソフトとなっている。 -海外では『KUNG-FU MASTER』のタイトルで発売された。AC版はデータイーストUSAがディストリビューターとして流通させている。違いは著作権表記にPARAGON FILMSと東和プロモーションの記述がない他は日本版と同じ。 --移植についてはNES以外のCS機やホビーパソコンに移植されており、ATARI2600、ATARI7800、AppleII、コモドール64、アムストラッドCPC、ZXスペクトラムといった機種で発売された。 -発売当初はCMは存在せず、およそ3ヵ月後にして[[スーパーマリオブラザーズ]]との同時CMを組まれている。 -当時のFCでは珍しかった笑い声による演出はプレイヤーにも印象的だったようで、例えば2000年出版の岩波ジュニア新書『将棋とチェスの話』でも「あのいやらしい嘲笑の侮辱にかっとなり、異様なファイトを燃やして怪老人(引用者註:1階ボスの棒術使い)成敗に挑んだ挑戦者も少なくないはずです。」などと言及されている。~ なお、これらの笑い声は海外版『[[リンクの冒険]]』や『[[パンチアウト!!]]』にも流用されている。 -バラエティー番組『ウチのガヤがすみません!』(2017年 9月19日の放送)にて自作ゲームをリリースしている、お笑いコンビマヂカルラブリーの[[野田クリスタル>野田ゲーシリーズ]]により佐藤健が主人公の本作にソックリなゲーム、『''タケルタンX''』が登場した。 -このゲームの開発に関わった現・株式会社ディンプス社長である西山隆志氏曰く「この頃から[[ストリートファイター]]の想いがあり、最後のボスとの一対一がストリートファイターの原型ですかね」とのこと。 -2005年初頭にパチンコとして出ているが、こちらは本元の映画のみのためゲームとは直接関係ない。 --因みに販売したのはアイレムが開発を手掛けていた三洋物産((長きに亘りシリーズで看板機種として使われた『海物語シリーズ』や『大工の源さん』シリーズで有名。))ではなく奥村遊機。 **その他の移植版 -アーケード版の完全移植は1996年4月にPSとSSで発売した『[[アイレム アーケード クラシックス]]』に収録されている。 --PS版は2010年10月からゲームアーカイブスで配信されたが、版権物故か翌2011年8月に配信終了している。 **続編 -GBでも1990年に発売されているが(こちらはアイレム制作)、内容はさらに映画からかけ離れ「主人公トーマスを操作して謎の富豪ザップ・モーガンの野望を阻止する」というもの。ステージはすべて右スクロールで、前半のステージは屋外。敵の種類は増加しアイテムも追加され、ファミコン版とは全く別物のゲームとなっている。 -1991年にはアイレムからファミコンで『スパルタンX2』が発売されている。主人公は捜査官の「ジョニー・スパルタン」で、敵は麻薬シンジケートと、&bold(){もはや設定どころか主人公の名前すら映画とは全く関係ない}作品になっている。オリジナル作品に関する版権表記が一切なく、正式な続編であるかも怪しい。こちらもVCになるのは絶望的だろう。 --最終ステージ突入時の会話で別名を名乗っている前作の主人公と判明する。 -1988年に稼働したアイレムのアーケードゲーム『[[ビジランテ]]』は本作の操作体系やアクションをもとに作られている。 ----
#contents() ---- *スパルタンX 【すぱるたんえっくす】 |ジャンル|アクション|~| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|アイレム|~| |発売日|1984年12月|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 ジャッキー・チェン主演のカンフー映画「スパルタンX」を題材としたアクションゲーム。~ しかし共通点はタイトルとキャラクターの名前ぐらいで、映画とはほぼ関係ない内容になっている。 念のため述べておくと原作映画の題名は直訳すると「美味しい屋台」となりカンフー映画っぽくないため~ 固有名詞になるように「強そうな単語+何かアルファベット」として「スパルタンX」と邦題が付けられた。~ このため原作映画にも本作にもXという要素はない。((原作映画で主人公の持つ屋台が「スパルタン号」なのでそちらは原作が由来。)) ---- **特徴 「主人公のトーマスが恋人のシルビアを謎の男ミスターXの手から取り戻すため5階建ての塔を登る」というストーリー。~ 雑魚敵をなぎ倒しつつ先に進み、各階を守るボスを倒して階段を昇るとステージクリア。最上階にはミスターXが待ち受けており、彼を倒すとシルビアを救出して1周クリア。 -操作は格闘ゲーム風になっており、2つあるボタンでパンチ、キックを出せる。レバー上でジャンプし、下でしゃがむ。パンチはリーチが短い代わりにボスへのダメージが大きく、雑魚敵撃破時にキックの倍の得点が得られる。キックはその逆。 --ジャンプ中およびしゃがみ中でも技は出せる。当然ながら使いこなせなければ先へは進めない。 ---AC版はある程度左右に移動しながら上を入力しないと、前ジャンプが出ない仕様になっている。 --道中には様々な敵やトラップが待ち受けている。奇数階は左スクロールで、偶数階は右スクロールになっている。 ---偶数階の前半は人間の敵が出現せず、トラップを突破する形式になっている。 --2周目以降は一度に出現する雑魚敵の数が増え、動きも速くなって難易度が上昇する。 #region(敵一覧) ''ザコ敵''~ -つかみ男 --トーマスに向かって一直線に突進し、組みかかって体力を奪う。組み付かれたらレバガチャで振り払える。 -ナイフ投げ --トーマスと距離を置くように動き、ナイフを上下どちらかに投げて攻撃してくる。攻撃を二回当てないと倒せず、後半になるとナイフのスピードや威力が上がり、さらに2人組で挟み打ちを仕掛けてくる難敵。 -トムトム --2面から登場。つかみ男と同様の動きだが、稀にトーマスの技の射程外からジャンプアタックを仕掛けてくる。ただし、このジャンプアタックは立つかジャンプするとノーダメージで迎撃が可能。また、背が低いためにしゃがんで攻撃しないと倒せない。 -2階のトラップ --落下後に毒蛇が出てくる「蛇壺」、同じく落下後に龍が出てきて火を吹く「龍の球」、宙にしばらく浮いた後炸裂する「くす玉」の3つ。いずれも特定のタイミングで攻撃を加えれば発動を阻止可能、かつ得点が入る。 -毒蛾 --4階に出現する。壁に空いた穴から出て突進攻撃を仕掛けてくるが、フワフワ浮いているため攻撃を当てづらい。 ''ボス敵''~ -棒術使い --1階のボス。手にした棒で撃ちかかってくるためリーチが長いが、懐が無防備。 -ブーメラン使い --2階のボス。ブーメランを最大2つまで投げてくる。やはり懐は無防備なので、いかにブーメランをかい潜りつつ近づくかがカギ。 -怪力男 --3階のボス。動きは非常に鈍いが、その代わり名前の通りに攻撃力が凄まじく高く、一撃で体力半分~8割近く持っていかれる。 -妖術使い --4階のボス。火の弾を投げて攻撃してくる。他にも「頭を攻撃すると首が取れる(ただしノーダメージ。少し経つと復活)」、「分身して挟み打ちを仕掛けてくる」「龍などを出現させる」といった多彩な技を持つ。なおしゃがみパンチ以外は効かないので注意。 -ミスターX --最上階のボス。トーマスと同様にパンチとキックで攻撃するが、トーマスの攻撃を受け流す性能が非常に高い強敵。 #endregion ~ ---- **評価点 -とにかく雑魚敵をなぎ倒すのが気持ちいい。 --雑魚敵は一度に多く襲いかかる代わりに一撃で倒せるためとにかくテンポがよく、爽快感もバツグン。敵キャラクターも個性豊かで、各ステージでそれぞれボスが異なるというのも当時ではまだ珍しかった。 -コミカルな演出。 --主人公のトーマスを含めた全てのキャラクターは倒されると、専用の仰け反りポーズを取って落下する。トーマスがやられたり、各階のボスを倒すと「ボゥーン~」という音とともに落下するなど、そのポーズが妙に味がある。 -BGMは曲数こそ少ないがカンフーらしい雰囲気で、口ずさみたくなる独特の中毒性を持っている。 -当時としては珍しい豊富な合成音声。 --トーマスは攻撃する度に「ホッ」「アチョー」「オリャー」と叫び、さらにボスキャラクターに倒されると「ウワッハッハッハ」と笑われるなど非常に印象的で、声真似をするユーザーも多かった。 ---- **問題点 -最初は簡単だが、1周目の4面以降からかなり難しくなる。 --敵が段々と早くトリッキーな動きをするようになって強化されるのに対し、主人公の性能は全く変化しないため。その上に時間制限もあるのでゆっくりしてはいられない。 -内容が映画の『スパルタンX』と全く関係ない。 --主人公がトーマス、ヒロインがシルビアという以外は全く設定が一致していないし、ストーリーの内容も全く違う。各階の敵を倒して最上階を目指すという内容はどちらかというとブルース・リーの『死亡遊戯』である。しかしイラストはどう見てもジャッキー。 --これはAC版製作時に、映画の内容を把握せずに先行してゲームを作ったため。((原作映画は84年8月に香港で公開、日本公開が12月でこのゲームのリリースも12月なので、ゲームのスタッフが原作を見てから開発を開始しても間に合うかは微妙なところ。))また、香港映画は盗作を防ぐために脚本をきっちり作らずアドリブで内容を変えていくため、初期設定とかけはなれた可能性も指摘される。 ---- **総評 シンプルな内容ながら、独特のBGMや個性豊かなギミック・ボスなど魅力があり、パンチのみクリア、ノーダメージクリアやハイスコアチャレンジなどのやりこみ要素も適度に含まれており、それなりの熱中度で楽しめる良作である。 ---- *ファミコン版 |ジャンル|アクション|#image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/174000289.jpg,width=200)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|320KbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|1985年6月21日|~| |定価|4,900円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- **概要(FC) オリジナルはアイレムがリリースしたアーケードゲームであったが、諸般の事情によりFC版は任天堂が開発・販売を担当した。~ 業務用基板とFCではハード性能が違いすぎるためグラフィック面などでは劣化しているが、そこは操作性の改善などのアレンジが効いている。 **評価点(FC) -前ジャンプが助走なしで出せるようになるなど、操作性がAC版よりも軽快になった。 -『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の各種BGMで知られる近藤浩治氏がBGMアレンジを担当。FCながらAC版に忠実なアレンジに仕上がり、合成音声も再現。 --ヒット音が軽快な上にアクションに応じてアチョーといった声を発するので連続して敵を倒す爽快感はかなりのもの。 ---当時のFCソフトとしては合成音声の種類や使用頻度が圧倒的に多くゲームの爽快感につながっている。ボスの笑い声等、思わずマネしたくなるような中毒性も秘めている。 --しかもAC版はボスの笑い声が全て一緒だったが、3面ボスは他のキャラクターよりも低いトーンに、4面ボスは他のキャラクターよりも高いトーンになるなどより個性豊かになっている。 -つかみ男を倒した人数が12の倍数になる時にジャンプキックで倒すと5000点が入るなどFC版独自の要素もある。 **問題点(FC) -オープニング((シルビアがさらわれる場面及びミスターXからの挑戦状))が削除。タイトル画面が素っ気ないものになった。 --ただし、演出面においてAC版で存在していた要素がFC移植に当たって削られるケースは本作に限ったことではない((オープニングやエンディングデモ、ネームエントリーの削除などは他メーカーのFC移植作品でも普通にみられる。))。容量の都合もあるため、仕方ない点である。 -最終ボスのミスターXの強さが調整。どちらかというと弱体化した。 --AC版ではパターンを掴まないと厄介な強敵だったが、FC版は攻撃を出す瞬間にスキがあり、そこを狙って攻撃すればガードされなくなった。 ---タイミングをつかめば、飛び蹴りを2回連続で当てて瞬殺も可能。 --しゃがみキック連打だけでもうまくいけばハメ倒せるようになった。ただし飛び蹴りをくらう可能性もあり、万能ではない。 //-外部コントローラが正常に機能しない。 //非公式のデバイスでは動作保証されないってのは当時でも当然のことで、ソフト側の問題点とするのはおかしい。もしソフトのせいで動かないことが立証されてるというんならソースを示してね。 **総評(FC) 当時のFCブームも手伝って、売り上げは約142万本という大ヒットを記録。本家であるAC版を上回る人気と知名度を獲得したといっても過言ではないだろう。~ 版権作品という事もあり、配信が難しいであろうことが惜しまれる。 ---- **余談 -コロコロコミック連載の漫画『ファミコンロッキー』は実機には存在しない創作技や嘘仕様が多数登場し、その中で本作にて「24周するとシルビアが襲い掛かってくる」というイベントが掲載され広まったことでも有名。 --同作の他のネタ同様にこれも嘘なのだが、24周クリアは非常に難しいため当時の子供たちはなかなか達成できずネットも無い時代だったので真偽も分からず、本当だと信じていた者も多かった。当時のファミコン関連のイベントの出場者にすら信じられ、ファミコン名人として知られる毛利名人もイベントでその事を言われたという逸話があるほどだった((本作に限らず他のネタも信じられており、イベントで毛利名人が『スターフォース』のデモプレイを行なった際にも「ファミコンロッキーの現象が見られなかった」という理由で拍手が少なかった、という何とも言い難いエピソードすらある。))。 ---作中ではこのボス化したシルビアはミスターXよりも遥かに強いという設定であり、''大真面目に攻略の模様''を描いていたので確かに実機で確認していなければ虚偽だと気付けないような内容になっていた。また、24周目には雑魚敵の動きも変わるという「いかにも」な表現(無論、実機には無い)も説得力を持たせていたと思われる。 --同作は最初は普通にゲーム攻略法や裏技を紹介する方向性で執筆されたが地味だったので、漫画としての派手さを求めた編集者が嘘でもいいから大袈裟に描くように指示した結果、このような作風となった。「24周すると襲ってくるシルビア」もその一環である。 --なお24周である理由は「X」がアルファベットの24番目なため。『スパルタンX』には''恐るべきXの謎''が秘められており、X周である24周目こそがXの謎(=本当のミスターXとはシルビアである)を解き明かす「''真のスパルタンX''」である…という設定であった。 ---ちなみに周回を表す数字は10周目から「A」になるので、より正確にゲーム表記に倣うなら「X」周とは33周目であるが、漫画内では周回表記については一切触れられていない((劇中ではそもそも「周」ではなく「面」と表している。))のでそこは考慮していない模様。著者自身、取り上げたゲームの半分は最終面に辿り着けなかった((漫画は大抵そのゲームの最終面で決着を付ける内容だったが、漫画執筆とゲーム攻略を並行するというタイトな生活に加え、高難易度ゲームが多くインターネットも無い当時では全てのゲームを自力で攻略して漫画化するなど到底不可能であったため。))ので妄想で描いたと明かしているので、そもそも表記が変わるところまでも確認していないと思われる。 ---余談だが、漫画の中ではシルビアを倒すと「敗北したシルビアが''壁を突き破って塔から落下していく''」という特殊演出が入っていた。実機のゲーム画面からはちょっと想像しにくい派手な演出である。 --実際に「救出対象が襲い掛かってくる」という要素を搭載しているゲームにPC版『[[カラテカ]]』が挙げられる。 -MSXでも1985年にアスキーから発売されたが『聖拳アチョー』に改題されている。これはMSXで映画公開時のタイアップ作として『スパルタンX』の名を冠したゲームがポニーキャニオンから出ていたため((正式タイトルは『ジャッキー・チェンのスパルタンX』。実はこっちの方が原作に忠実。面白さは別として。))、権利関係の都合で変更せざるを得なくなったのが理由。 -上記の通りAC版はアイレム制作であったが、任天堂の宮本茂氏がどうしてもFCでスパルタンXをやりたいとアイレムと交渉していた。そして交渉の最中にアイレムの親会社の判断でアイレムの担当者に何の相談も無く突然OKが出てしまい、任天堂はアイレムに借りを作ることになってしまった。気まずい形になったものの宮本茂氏が悪いというわけではないため宮本氏とアイレムとの関係は良好なままだったとのこと。 --その後アイレムは『[[ジッピーレース]]』を機にFC参戦することになるが、そのときにアイレムから「カセット上部に発光ダイオードをつけて目立つようにする」という提案があり、借りを作っていた任天堂は断り切れなかった。 ---なお発光ダイオードつきのソフトは初期の6作品のみであり、その作品も後期に作られたカセットには発光ダイオードが付いていない。 -本作のNES版は『KUNG-FU』((読み方はクンフーではなくカンフーが正しいとの事))のタイトルで発売されている。((海外AC版と海外CS移植版は『KUNG-FU MASTER』)) --日本でもファミコン後期にこのタイトルで再販されたが、改題版はファミコン屈指のプレミアソフトとなっている。 -海外では『KUNG-FU MASTER』のタイトルで発売された。AC版はデータイーストUSAがディストリビューターとして流通させている。違いは著作権表記にPARAGON FILMSと東和プロモーションの記述がない他は日本版と同じ。 --移植についてはNES以外のCS機やホビーパソコンに移植されており、ATARI2600、ATARI7800、AppleII、コモドール64、アムストラッドCPC、ZXスペクトラムといった機種で発売された。 -発売当初はCMは存在せず、およそ3ヵ月後にして[[スーパーマリオブラザーズ]]との同時CMを組まれている。 -当時のFCでは珍しかった笑い声による演出はプレイヤーにも印象的だったようで、例えば2000年出版の岩波ジュニア新書『将棋とチェスの話』でも「あのいやらしい嘲笑の侮辱にかっとなり、異様なファイトを燃やして怪老人(引用者註:1階ボスの棒術使い)成敗に挑んだ挑戦者も少なくないはずです。」などと言及されている。~ なお、これらの笑い声は海外版『[[リンクの冒険]]』や『[[パンチアウト!!]]』にも流用されている。 -バラエティー番組『ウチのガヤがすみません!』(2017年 9月19日の放送)にて自作ゲームをリリースしている、お笑いコンビマヂカルラブリーの[[野田クリスタル>野田ゲーシリーズ]]氏により佐藤健氏が主人公の本作にソックリなゲーム、『''タケルタンX''』が登場した。 -このゲームの開発に関わった現・株式会社ディンプス社長である西山隆志氏曰く「この頃から[[ストリートファイター]]の想いがあり、最後のボスとの一対一がストリートファイターの原型ですかね」とのこと。 -2005年初頭にパチンコとして出ているが、こちらは本元の映画のみのためゲームとは直接関係ない。 --因みに販売したのはアイレムが開発を手掛けていた三洋物産((長きに亘りシリーズで看板機種として使われた『海物語シリーズ』や『大工の源さん』シリーズで有名。))ではなく奥村遊機。 **その他の移植版 -アーケード版の完全移植は1996年4月にPSとSSで発売した『[[アイレム アーケード クラシックス]]』に収録されている。 --PS版は2010年10月からゲームアーカイブスで配信されたが、翌2011年8月に配信終了している。 //--PS版は2010年10月からゲームアーカイブスで配信されたが、版権物故か翌2011年8月に配信終了している。 //同日にPS Storeにて大半のアイレム作品が配信終了しており、単に版権作品だからという理由とは思えないので一部削除。 **続編 -GBでも1990年に発売されているが(こちらはアイレム制作)、内容はさらに映画からかけ離れ「主人公トーマスを操作して謎の富豪ザップ・モーガンの野望を阻止する」というもの。ステージはすべて右スクロールで、前半のステージは屋外。敵の種類は増加しアイテムも追加され、ファミコン版とは全く別物のゲームとなっている。 -1991年にはアイレムからファミコンで『スパルタンX2』が発売されている。主人公は捜査官の「ジョニー・スパルタン」で、敵は麻薬シンジケートと、&bold(){もはや設定どころか主人公の名前すら映画とは全く関係ない}作品になっている。オリジナル作品に関する版権表記が一切なく、正式な続編であるかも怪しい。こちらも配信は絶望的だろう。 --最終ステージ突入時の会話で、別名を名乗っている前作の主人公と判明する。 --2016年末にJNNEXよりリリースされた、『retro-bit GENERATIONS(レトロビットジェネレーション)』という内蔵型ゲーム機に『クンフーマスター2』というタイトルで収録されている。しかし、選択して起動すると''タイトル画面のロゴが『スパルタンX2』となっており、まんま国内版である''。 ---[[こちらの記事>https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/wakiba/find/1038631.html]]ではアイレム他、複数の会社から版権使用許諾契約を交わしているとの事だが…。 -1988年に稼働したアイレムのアーケードゲーム『[[ビジランテ]]』は本作の操作体系やアクションをもとに作られている。 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: