「STEINS;GATE」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

STEINS;GATE - (2022/06/17 (金) 08:53:07) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*STEINS;GATE 【しゅたいんず・げーと】 |ジャンル|>|想定科学アドベンチャー|&amazon(B002CZOW28)&amazon(B002CZOW1O)| |対応機種|>|Xbox 360|~| |発売元|>|5pb.|~| |開発元|>|5pb.&br;ニトロプラス|~| |発売日|>|2009年10月15日|~| |定価|通常版|6,800円|~| |~|限定版|8,800円|~| |廉価版|>|プラチナコレクション|~| |~|>|2011年6月16日/3,800円|~| |備考|>|移植版(Win/PSP/PS3/PSV)&br;の情報は本文に記載|~| |~|>|''ネタバレ回避を強く推奨''|~| |判定|>|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|>|CENTER:''[[科学アドベンチャーシリーズ]]''| ''※本作は移植が非常に多岐に亘る為、基本情報欄は360版のみに絞りました。'' //基本情報表に移植版を記載する場合は、機種別一覧と良作一覧に本項へのリンクを作ってください。 //iOS版は当wikiの取り扱い対象外につき、基本情報欄には載せられません。 ---- ~ #center{&size(18){'''神をも冒涜する12番目の理論'''&br;'''それは、 俺たちが手にした偶然の産物'''}} ~ ---- #contents(fromhere) ---- **概要 5pb.とニトロプラスのコラボレーション企画「科学シリーズ」の第2弾。~ 数多の偶然によって出来上がってしまった「タイムマシン」を巡る、人類の未来を委ねられてしまった中二病青年の物語が秋葉原を舞台に繰り広げられる。 前作『[[CHAOS;HEAD]]』と同じ世界観だが、前作のネタはシナリオの本筋にほとんど関係ない。~ 基本的にはオーソドックスなアドベンチャーゲームだが、選択肢ではなく携帯電話の操作によってストーリーの展開が変わる。~ ''未プレイの者に対してネタバレ回避が広く推奨される''作品である。~ 以下の文にも多数のネタバレが含まれているため、目を通す際は充分に注意されたい。 コミカライズ等のメディアミックスを見る事はおろか、ネットで情報を検索する事すらあまり推奨されていない。~ 特筆すべきは、''公式サイトがネタバレ満載''で未プレイ者の閲覧が推奨されていない珍しい作品でもある。~ 複数の魅力的な女性キャラクターが登場し、その中のひとりに焦点を当てたルート(サブシナリオ)も用意されている。~ そのため、広義の「ギャルゲー」に該当すると言える。しかし恋愛的な要素以上に、そのストーリーとSFギミックが高く評価されている作品である。 //口コミに関しては余談と被るのでこちらを削除 ---- **ストーリー >秋葉原を拠点とする総勢3人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーである厨二病の大学生 岡部倫太郎。~ 彼は、研究所のメンバー(ラボメン)である橋田至や幼馴染でもある椎名まゆりと共に、日々ヘンテコな発明を繰り返していた。~ ある日岡部は過去に携帯メールを送ることができる装置すなわち「''タイムマシン''」を偶然に作り上げた。~ しかしそれは大きな悲劇を招いてしまう。~ 悲劇を回避して世界を救うために、岡部は果てしない苦闘を続ける…。 ---- **特徴 -主人公「岡部倫太郎」の一人称ADVである。 -''フォーントリガー'' --本作では本編中に選択肢が存在しない。代わりに携帯電話に出る・出ない、メールの返事を選択する・返事しないなどという選択で物語が分岐していく。 -物語のジャンルとしては、いわゆる「時間ループもの」に該当する。 --時間ループの発生に一応の科学理論的裏付けがあること、それが主人公によって能動的に引き起こされる点が特徴的と言える。 --ループを繰り返す中で複数のヒロインたちの「ルート」に入り個別エンディングを見ることになる。それらすべてを経た末に、真の結末にたどり着くという構成となっている((個別エンディングは一つを除いて見る必要なくトゥルーエンドルートに直接行くことは可能である。))。 **評価点 -99%の科学と1%のファンタジー。 --本作のテーマである「タイムトラベル理論」に説得力をつける為、出来る限りのリアリティを出している。具体的には最初にタイムマシンの現実的な問題((人間が光速で動く必要がある。星すら吸い込む強力なブラックホールの重量に耐える必要があるなど。))を説明し、存在を否定するが、その後偶然にもその問題を突破できる方法を見つけるという一連の流れは非常に現実的かつ説得力があると評価されている。 --さらにタイムトラベルについても、よくあるSF作品のように何のリスクもなしできるというわけでなく、時空移動という高エネルギー運動による人体への物理的な障害や「親殺しのパラドックス((自分の親を殺害したら未来の自分はどうなるのか?という思考問題))」への解消も主人公たちが解決策を発見する。だが、だからと言ってタイムトラベルの恩恵を直に受けるということはなく、非常にリアルである。 ---現実にあるタイムトラベル理論はもちろん、その周辺の用語に至るまで現実のものを用いている。また、かつて話題になった「[[ジョン・タイター>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC]]」事件や[[実在する欧米の研究機関>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%8E%9F%E5%AD%90%E6%A0%B8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%A9%9F%E6%A7%8B]](流石に名前は少し変えてあるが)が話の中核になっている。 --特に店舗名まで含めてすさまじく現実に忠実な秋葉原の町並みは圧巻。 --「SF好き」「科学好き」にも満足できる作りとなっている。 -絶賛される声優陣 --実力派の声優を抑えており、どのキャラも演技力を評価されている。中でも主人公を演じた宮野真守氏のギャグ・シリアスあらゆるシーンにおける熱の入れ様は、スタッフから「''宮野さんあっての『シュタインズ・ゲート』''」とのお墨付きを貰うほど。 -主題歌・BGM --主題歌の「スカイクラッドの観測者」は本作の企画・原案者である5pb.代表取締役・[[志倉千代丸氏>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%97%E5%80%89%E5%8D%83%E4%BB%A3%E4%B8%B8]]によって作詞作曲されているため、ネタバレ満載となっている。ちなみにやり込めばOPの演出も実はネタバレがかなり入ってることがわかる。クリア後に聞くと想像以上にマッチしていることが分かる。 --初見ではまず気付かない(わからない)ので安心して欲しい。一応、目を凝らして画像を見たりしない方が良いだろう。 ---ただし、Win版のPV「A.R.」の画像は''物語中盤のとあるシーンの大きなネタバレが全画面で表示される''(背景画像をよく見ると''終盤のネタバレまでしている'')。 ---もちろん、これを見たから全くゲームが楽しめないと言う訳ではないが、クリア前は見ない事を推奨する。 --一方、BGMは『[[infinity>infinityシリーズ]]』シリーズでおなじみの元KID社員・[[阿保剛>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E4%BF%9D%E5%89%9B]]氏によるもの。ポップで日常アニメ調のBGMから、シリアスな部分に流れるしんみりとした冷酷な曲。アクションシーンではサスペンスのようなハラハラBGMなどどれも高評価。特にタイトルBGMである「GATE OF STEINER」が高く評価されている。 ---ちなみに、サウンドテストモードが有るにも拘らず本作のサントラ発売時は各地で即日売り切れになった。 -止め時が見つからない構成力 --海外ドラマを参考にして作られているため、絶妙な「山場」で章区切りがされる。『涼宮ハルヒ』シリーズに代表される王道的な男女サークルの日常物から物語は始まる。科学・SFネタを雑談・考証からのタイムマシン製造。それから始まるSFのストーリーが展開される。この間に多くの伏線が貼られており、話が大きく動く後半で回収されるが、非常に巧妙。前半だけだと非日常系のラノベ調のシナリオであるが、後半のシリアスな展開の落差は大きい。 --タイムマシンを使用する内に徐々不穏な空気となる怪しい描写も物語を進めたくなる一因。 --後半からはガラッと空気が一変。「世界線」「因果律」「運命」などのキーワードを中心に岡部を非常にえぐる展開となる。特に6章以降は徹夜プレイ者が続出したとか --基本的にメインルートは一本道で、ギャルゲーというよりは一昔前のアドベンチャーゲームに意図的に似せてある。 -キャラクター --キャラクターデザインはネット上で人気デザイナーの『[[ブラック★ロックシューター>ブラック★ロックシューター THE GAME]]』などで知られるhuke氏氏。個性的な絵柄と色彩でキャラクターがやや写実的にデザインされており、氏のキャラデザインは独特な目の描き方とテクスチャが特徴で独特のデザインとなっている。 ---この絵師を選んだのは「もっとユーザーの層を広げたい。いい意味でギャルゲーっぽくしたくない」という意図的なものだったらしい。 --サブカルがテーマの一つである本作で、あえて王道のアニメ調の外したデザインは意外にマッチしている。また、テーマがオタク寄りであるが、このポップクールなデザインであるためオタク要素に詳しくなくても受け入れやすくなっている。 -強烈な感情移入度 --上記の声優の演技や構成力はもちろん、本作独自のシステム「''フォーントリガー''」もそれに拍車をかけている。 --本編からはメールを見る、見ないという動作を含まれておりキャラ同士のメールのやりとり、文体というのも本編の魅力一つである。 --またそんな日常的なやり取りの携帯電話から不穏な空気が生まれる展開があり、ぞくっとさせてくれる。 ---ただ選択肢を選ばされるのではなく''どうしても携帯をいじる必要がある''というところがポイントであり、たった1通のメールで過去が改変されそれまでの思い出が「なかった事」になる重大な選択肢では「自分で選んでいる」という感情が湧く。 ---本編には関係ないが、携帯電話の壁紙や着信音は多数用意されており、自分の好みに合わせてカスタマイズが可能となっている。特定の条件を満たすと壁紙・着信音にも新しいものが追加されるなど、細かい作りこみも光る。 --辛い展開になると「自分が選択したせいでこうなった」という思いも強く抱く事になり、ベストエンドまでのモチベーションが上がる。その中でも「地下鉄」「ゲル○○」「手紙」の3つは、その衝撃的な内容からプレイヤーの強烈なトラウマとなっている。 ---中でも「ゲル○○」は特定の行動を取らないと見られないイベントなので、気付かないまま進める可能性も高いが、その分イベント内容は本当に強烈。任意イベントという事で余計に「自分の選択のせい」という感覚を味わう事になる。 -トゥルーエンド --上記の心を抉る展開。鬱内容。トラウマを乗り越えた先に見えるトゥルーエンドは非常に感動をもたらせてくれる。 --最後に残った伏線と展開、そして絶望。それからの岡部の復活からタイムトラベルはバトル漫画のような熱さをもたらせてくれる。その結果にたどり着いたエンディングは正しく感動の一言である。特に最後の台詞と伏線はまさしく本編の締めとしてふさわしいものとなっている。 --知らぬ間に貼られていた伏線の鮮やかな回収は「''記憶を消してもう一度プレイしたい''」と、ある意味本シリーズの前身とも言えるinfinityシリーズの『[[Ever17 -the out of infinity-]]』に似た評価をされる事も。 ---詳細は伏せるが、主人公が最終章で行う事も『Ever17』に通じるものがある。 -TIPS --『[[428>428 ~封鎖された渋谷で~]]』などでお馴染みの用語集。作中用語からネットスラングまで幅広く取り揃えている。ご丁寧に中二病関係の用語解説までされており、その筋の人にはたまらないだろう。 --判らない事があればいつでも参照できる。また、基本的な事はTIPSに委ねて長い説明を省いている為、物語のテンポも損なっていない。勿論、必要不可欠な説明はちゃんとストーリー中にしてくれる。 ---- **賛否両論点 -ゲーム前半より、以下に列挙する様々な要因から来るハードルの高さから、人を選ぶ傾向がある。そのため、「合う」人であれば下記の大部分は気にならないと思われるが、逆に「合わない」人は気になって仕方ないだろう。 --COLOR(red){''主人公・岡部倫太郎の中二病言動がとにかく痛々しくウザい。''} ---自らを「''狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真''」と名乗り、携帯電話を片手に「''―それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択か。エル・プサイ・コングルゥ''」とノリノリで独り言。こんな言動を延々と続けるわけで、初見でウザさを覚えないわけが無い。 ---加えて宮野の熱演もありセリフが一々伸ばしたり、溜めたりするなどテンポを悪くしている。例えば「狂気のマッドサイエンティスト」の台詞を声の当て込みを文字にすると「''きょよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおきぃいいいいのぉおおおおおおおおお……………………………マッドサイエンティスト''」と言うなど冗長に感じる部分もある。 ---しかし、設定面でもテーマ性でも「岡部が中二病である必然性」はしっかり存在する。話が大きく動き出す中盤からは中二病状態で無くなり、最終盤でまた元に戻ってしまうのだが、そこまで彼の物語を追ってきたプレイヤーであればウザさを感じるどころかむしろ「鳳凰院凶真」が格好よくすら見えてしまうだろう。 ---岡部は「物語の最初と最後とでは、振舞いは同じでも印象が変化していく人物」として描かれており、エンディングまで進めればその意味がよく判る。 ---ちなみにシナリオ担当の林直孝氏によると、岡部が中二病なのは本作のテーマの一つが「中二病ってイイじゃん」であり、中二病で世界が救えるという物語を表現したかった為らしい((志倉氏の原案の段階では普通の理系青年で、結構真面目な科学者タイプのキャラだったとの事である。))。前述のように終盤はその傾向が顕著に表れている。また、前作『CHAOS;HEAD』には「中二病を捨てて、現実を見ようよ」というテーマもあったので、それに対するアンチテーゼも込めているという。 ---岡部以外のキャラもやたらと濃く、「立ち絵のあるモブキャラ」は皆無。いかにもギャルゲ的な女子(''男の娘含む'')が多いのに恋愛沙汰はほとんど無し、と色々な意味でギャルゲーっぽくない。 --過剰とも言えるネットスラング。 ---登場キャラの多くがオタクもしくは匿名掲示板ユーザーであり、人によっては平気でネットの流行語をべらべらしゃべる。その手の言葉に慣れていない人にとっては苦痛。 ---特に橋田至(通称ダル)という岡部の親友は日常的にネットスラングを使い「~だお」とやる夫のような口調で喋るのがデフォ。容姿も典型的な「ピザオタ」である。彼を演じる関智一氏の怪演も合わさり、非常に印象に残りやすい。 --難解な科学知識。 ---文系、下手したら理系の人間にすら非常に分かりにくい。一応、TIPSでフォローされているがそれでも厳しい。 ---原案の志倉氏、脚本の林氏共に相当勉強したらしく、これでもかと言うほど詰め込まれている。 ---ただし、「99%の科学と1%のファンタジー」を謳っている通り、現実の科学で考えると明らかに不自然な、と言うか意図的に変更している点も多い((ファンタジー要素が強い前作『CHAOS;HEAD』と世界観の共通している事も、『STEINS;GATE』が現実とやや異なる世界観である事を示している。))。そもそも、現実の天才科学者であってもタイムトラベル理論を証明出来ていない訳で、一介のシナリオライターに完璧な理論が構築出来るはずもない。 ---本作より未来の時間から、理屈も説明もない超能力アイテムが持ち込まれる描写がある。 ---ようは、無理に理解しようとせず「SFっぽい雰囲気を楽しむ」くらいの心がけのほうが良いと思われる。作中で述べられる理論についても、完璧に理解する必要は全くない。 //--ギャルゲっぽいADVなのにギャルゲっぽくないキャラデザ。 //---本作のキャラデザインを担当したのはMGSシリーズのサブキャラクターデザイン、『[[ブラック★ロックシューター>ブラック★ロックシューター THE GAME]]』などで知られるhuke氏。氏のキャラデザインは独特な目の描き方とテクスチャが特徴。 //---この絵師を選んだのは「もっとユーザーの層を広げたい。いい意味でギャルゲーっぽくしたくない」という意図的なものだったらしい。 //---後術の通り結果的に売れ行きが好調であったことから、この手のゲームに馴染みがないユーザーにとっても大きく裾野を広げられたというべきだろう。 //本作はギャルゲーではないし否の部分があると思えない。 ---- **問題点 -シナリオ面における問題点 --一部回収されていない伏線がある。 ---「90%回収してネット上の議論のためにいくつか回収しなかった」とコメントされているが…。 --設定面で細かい矛盾がちらほらある。 ---血縁関係であるはずの人物同士の血液型が合わないという点は、後に血液型が修正された。 ---とあるキャラを妊娠中だった頃の母親にDメールを送って性別を改変出来るのがおかしい点は、ドラマCDで理由が補完された。 ---ブラックホールを通すことで送受信するデータ容量(パケット容量)を圧縮する点は、前作のセナルート同様に現実ではありえないデジタルな法則が働く世界というメタを匂わすもの(ゲーム冒頭のアルパカマンも単にミスリードさせるものではあるものの同様の意図がある)。この作品の世界のブラックホールはZIP圧縮などのようにデータ圧縮が可能で、その圧縮データはネット回線を通してダウンロード可能で、しかも解凍ソフトなどにかけなくても自然にデータ解凍される、そういう世界という設定なのである。なお独自設定多数の小説版では、ネット回線のほうが特殊でブラックホール内でのみ起きる特殊な事象を維持したままダウンロードできる量子通信という設定にしていた。 ---既に捕捉されてから結構な日数が経過済みのDメールを消去して世界線を変える点は、ファンの間ではまだ機関の者の目に触れてなかったのではという考察も多かったが、後に出た資料集での公式回答は「Dメールは因果から外れたものなのでそれを消去する行為も因果を無視した改変が起きる」という内容でファンを落胆させた((ただし、これはこの件に限らずDメール関連の因果律変動の基礎ルールである。またファンの考察も資料集スタッフのコメントに書かれているようにそれだけでは他の世界線理論に反する可能性もあるため、一概には言えない。))。 --一部ルート #region(ネタバレ注意) --フェイリスルートでは岡部が不幸な未来を変える為にフェイリス以外全員知り合いで無くなるルートがある。かなり大幅な変動であり、世界線はΩ世界線というマイナスの値を示す世界線にも関わらずα世界線にしか存在しないダイバージェンスメーターがある。 --またフェイリスルートでの秋葉原から萌え文化がいなくなる大幅な改変に関しては世界線の幅が短すぎるという意見もある(ただし、α世界線は「未来でSERNがディストピアを作る」という条件さえ満たせばよく、世界線の大変動に関わる2000年における改変であるため、設定的には数値の変化は大きい方である)。 #endregion -桐生萌郁について --ラボメンの中で唯一彼女だけ専用のルートがなく、本編で浮いている感じは否めない。当人のシナリオは存在するが、その前に通過した3人のヒロイン(+α)と違ってそこでの分岐は特殊イベントが見られるか否かなのでどちらを選んでもストーリーに変化は無い。 ---そのため、彼女のことも掘り下げられておらず、動機や行動理念や背景もあるにはあるが描写不足。 ---要望があったのかは不明だが、ファンディスクの『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』では萌郁ルートが存在する。 ---ちなみにゲーム、アニメ版、漫画版(本編を描いたコミックアライブ版)とでは、萌郁のシナリオにおける彼女の末路こそ同じだがそこに至る経緯は何故か全て異なっている。 --トゥルーエンディングでも彼女についてはやや強引な扱いになっている。 #region(ネタバレ注意) ---トゥルーエンドでは彼女はラボメンに加えられている。詳細は避けるが、本編では彼女は危険な立ち位置であり、トゥルーエンドの世界線でも完全にシロとは言い切れない。 ---特段岡部との和解の描写も無いのにラボメンになっているのも違和感を覚える。 #endregion -テキストに若干量の誤字がある。有料ダウンロードコンテンツを適用する事で(演出強化のついでに)大部分が修正される。 --メインヒロイン2名に比べて、その他サブヒロインたちの描写量が少ない。 ---上記の通り大筋は一本道のシナリオであり、サブヒロインのEDはメインルートから分岐する形になるため、仕方ないと言えば仕方ないのだが。 ---しかも一部のエンドは「幸せそうに見えても、実はどう考えてもバッドエンド」だったりする。 //具体的に言うとるかEDの事。他のヒロインEDはいずれも「大団円ではないが岡部の選択で勝ち取ったエンディング」と言えるが、るかEDはSERNについて完全放置なので「るかと共に生きていく」と言う勝ち取った結果さえいずれ覆される可能性が高い(まゆりEDは一応解決、フェイリスEDは世界線大幅変動、鈴羽EDは解決に向かうシーンで終了なので問題ない) --ご都合主義の傾向がある上に、やり尽くされている感のあるタイムトラベル・ループジャンルなので、このジャンルに親しんだプレイヤーにとっては、途中でストーリーの展開がある程度まで予想できてしまう。 ---個々の小エピソード内では予想外の展開もあるのだが、メインストーリーに斬新などんでん返しを期待すると、肩透かしを食らう。 ---全体的な雰囲気から、洋画の名作「[[バタフライ・エフェクト>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88_(%E6%98%A0%E7%94%BB)]]」を思い出す人も多いとか。作中でもSF用語としてだがこの単語が多用されるため、意識している可能性は高い。 ---一部のエンディングの内容はバタフライ・エフェクトのスタッフが「全てを振り出しに戻す行為」「(主人公が)何も学んでいない」と言って没にしたエンディングそのまんまである。 -システム面の問題点 --オートセーブ、任意セーブ共に個別に削除が不可能なため、特に前者は周回プレイを繰り返すとトゥルーエンドへ向かうフラグを立てた状態なのか、そうでないのかが非常に解りにくい。どうしても消したい場合はXbox360本体の管理画面から一括で削除するしかないが、システムデータとセーブデータは分別されていない為、プレイ時間やクリアフラグ等も全て消える。「セーブデータ(記憶)も無かった事にしてはいけない」という事なのだろうか。 -フォーントリガーの問題点 --メールを返信する際、送信前にキャンセルすることが出来ない。選択肢が複数あるような場合、自分が送る文面を見比べて決めようと思ったら一度送信してからデータをロードしてやり直すしかない。 --「特定のセリフが表示されている間に、電話をかける(メールを出す)と分岐」と言うシーンで、どの台詞までが分岐可能かが分からない。そのため、電話をかけたいと思っていても、意図せず分岐範囲が過ぎてしまい電話がかけられない事態が少なからず発生する。分岐可能範囲に突入した時点ですぐに電話をかければ分岐を逃す事はないのだが、そうすると今度は台詞が中途半端になってしまう。 ---バックログから任意の場所に戻れるようになっているのでそれほどの手間は掛からないが、それでも手間は手間である。何より、後者は重要なシーンで発生する事も多いので、シナリオへの没入感を下げてしまう。 --メール返信で選んだ選択肢によってどんなメールを出すか、そしてどんなメールが帰ってくるか、どのようにシナリオが分岐するか、が非常に分かり難くなっている。ノーヒントで目的の分岐に到達するのはかなり難しく、特にトゥルーエンドは攻略サイトがほぼ必須。 ---その一方で、選択次第では1周目から(意図せず)いきなりトゥルールートに行けてしまう事もある。そんな事になってしまったら、諦めて「それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だった」とでも思うしかない。 //---一応、不正解の場合はメールがそこで途切れるので、"よくわからんがメールが途切れない選択肢を選び続ける"ということに気づけばトゥルールートにはいけるため攻略サイト必須は言いすぎである。 //途切れない不正解ルートとかもある(7章とか)し、そもそもどれがフラグか分からんから、やっぱ攻略サイト必須だと思う。そもそも「メールが分岐になっている」と言う事自体がわかりにくい --総じて、「ゲームのシステム」としてはやや不便なシステムである。そもそもの所、斬新なシステムに見えて結局「選択肢を選んで分岐」と言う物であり、普通のアドベンチャーの選択肢とほとんど変わりがない。 ---このシステムの主眼は前述した通り「携帯をいじる事で主人公への感情移入度を上げる」所にあり、「ゲーム性」よりも「シナリオ性」に寄ったシステムと言える。ただそれゆえに、テンションを下げかねない前述の仕様はなかなか痛い所。 -CGコンプリート --大半は普通にゲームを進めていく中で取れるが、問題は多くのユーザーが最後に残すCGイラストである。 --詳細は避けるがあるキャラの無残な姿が描かれている。このCGは気分が悪くなる事請け合いの、かなりショッキングな内容。タチの悪い事に、回収ルートはゲームのシステム上分かりにくい位置にあるため、全てを終えた後で最後に見る事になりやすく、通常よりも一層心が抉られた人も。 ---- **総評 硬派なストーリーが魅力の正統派SFドラマ。そのストーリーやSFギミックは多くのプレイヤーを魅了し、ネットを中心に話題を呼んで大きな盛り上がりを見せた。~ 「ループする時間と改変される世界」というアイデアを表現するにあたって、周回プレイ・シナリオ分岐型ADVという物語形式が効果的に活用されており、小説や映画では味わえない迫真の演出効果と感情移入効果をプレイヤーにもたらした。~ 一篇のSFドラマとしてみれば、古典的とすら言える王道な内容である。だがそこにギャルゲー的なエッセンスと現代オタク的な感性を加味することで、本作ならではの新鮮な味わいが生み出されている。~ SFマニアだけでなく、読み応えのある骨太な物語を求めるすべての人にお勧めしたい名作である。もちろん、女の子キャラの可愛らしさや独特の魅力がある絵柄に魅かれてプレイするというのも、一向にアリだろう。 ---- **移植版 -''Win版''(発売:ニトロプラス)2010年8月28日 --シナリオは360版とまったく同じだが「グラフィックが無かった脇役キャラに立ち絵CGが用意される」「イベントCGの追加」「新曲を用いたPVを収録」などの演出強化が行われている。 ---これらの演出強化は、以後の移植版すべてに反映されている。 --ただし発売当初は深刻なバグが多数存在していた。その後修正パッチが配布されたが、それでもまだ若干残っている状態である(特にエンディングでヒロインが振り向くシーンでエラー落ちが発生しやすいため、「振り向き落ち」などと呼ばれている)。 --PC版独自の特典としてキャラクターの立ち絵を変更する「まゆりのトゥットゥルー光線が発動!?能力の効果によってコスプレせざるをえない!パッチ」(通称コスパッチ)が配布された。当初は予約限定の特典だったが、後に発売された廉価版には最初から適用されている。コスプレは立ち絵のあるキャラ全員に適用され、かなりはっちゃけた内容となっている。 --ちなみに360版ユーザーに対しては、360版をWin版と同等にパワーアップさせるDLC「演出強化パック」を有料配信(400MSP)することでフォローがなされた。廉価版「プラチナコレクション」では、最初からこれが適用されている。 --現在のPC(Windows)版は後述のSteam配信版が別に展開されている。Steam版はフルHDに対応しているのでコスパッチにこだわりがないならそちらをお勧めする。 -''PSP版''(発売:角川書店)2011年6月23日 --最初から演出強化がなされている上に、新規OP・ED曲を収録。目立ったバグもない。PSPの仕様上、実績機能は無くなっている。 //PSP版は結構処理落ちする。 -''iOS版''(発売:5pb.)2011年8月25日 --フォーントリガーの操作法がスマートフォン端末向けに変更されており、リアルな操作感覚を味わえる。 --iPad対応版は、タイトルに「HD」がつく別アプリ扱い。 -''PS3版''(発売:5pb.)2012年5月24日 --『比翼恋理のだーりん』PS3版と同時発売。新規OP・ED曲も収録。二本組の『STEINS;GATE ダブルパック』も発売された。 -''PSV版''(発売:5pb.)2013年3月14日 --『比翼恋理のだーりん』PSV版と同時発売。ダブルパックも発売。PS3版準拠の移植。 -''PS4版''(発売:5pb.)2015年12月10日 --『[[STEINS;GATE 0]]』各機種版の初回同梱特典で、フルHDリマスター版。単品での発売はされていない。 -''Steam版''(発売:Spike Chunsoft)2016年9月9日 --上記PS4版をベースにしたPC移植版であり、日本語・英語の字幕切り替えあり。Steam実績およびトレーディングカード対応。日本ストアからも購入可能で、現時点における最終完全版。 -''PS4/PSV/Switch/Steam『STEINS;GATE ELITE』''(発売:5pb.(CS版) / Spike Chunsoft(Steam版))&br;2018年9月20日(CS版) / 2019年2月20日(Steam版) --リメイク版。『やるドラシリーズ』のように、テキストに合わせてアニメーションで進行していく。映像の多くはアニメ版の流用だが、新規アニメも描き下ろされている。 ---- **スピンオフ・続編作品 『[[科学アドベンチャーシリーズ]]』を参照。 ---- **余談 -2010年7月30日にTCG『Lycee』に5pb.が参戦。本作も収録作品の中に含まれた。 --さらにTCG『プリズムコネクト』と『Chaos TCG』にも参戦している((前者にはアニメ版の参戦で後者ではニトロプラス作品のひとつとしての扱い。))。 --『[[ファントムブレイカー]]』シリーズに牧瀬紅莉栖が参戦。''それ自体に''批判意見は見られない。 -2011年4月より本作のTVアニメ版が放送された。アニメでも岡部倫太郎のウザさは健在である。 --さらにTVアニメの後日談となるオリジナルストーリーの劇場版が、2013年4月に公開された。 --2015年7月に再放送されたが、その際に23話終盤の展開が『STEINS;GATE 0』に繋がるように改変されており話題を呼んだ((この再放送版23話は「第23話(β)」と呼ばれBD-BOXなどにも初回放送版とあわせて収録されている。初回放送版が封印された訳ではなく、第23話(β)から『STEINS;GATE 0』を経て初回放送版である第23話(SG)に戻ってくるという構成である。))。 -作中で何度も登場する「世界線」はたまに本作が元ネタと思われる事があるが、本来は相対性理論などで提唱されている概念であり、ざっくり言うと「四次元時空の中で、ある粒子が動く経路」のことである。 --本作ではそこから転じて「過去から未来までを含んだ1通りの世界の歴史」という意味で使用されているが、「パラレルワールド」や「異なる歴史」と言った意味合いでは以前からSF作品で使用される事もあった((実際のジョン・タイターもパラレルワールドを「world line」と表現している。))。 --しかし本作で有名になって以降、SF関連に限らずこう言った用途で使用される事が多くなった。 ---今となっては「違う歴史を歩んだ世界」や、創作物における「本来の物語とは違う展開」、「現実世界だが実際とは何かが異なる世界観」などの「if」を全部ひっくるめて「〇〇の世界線」と呼ぶ人が増えており、ファンタジー作品やネット記事などでもこの意味で当然のように使われたりする。時には[[こんな有名シリーズの作品>キングダム ハーツIII]]で使用されていたり、「official髭男dism」の大ヒット曲「Pretender」の歌詞でも使用されていたりする。((因みに、official髭男dismのボーカルである藤原聡氏は本作品の大ファンであることを公言している。また、Pretenderのジャケットも本作品を意識したビジュアルとなっている。)) ---中には単純な別世界や、関係無い作品すらをも「別の世界線」などと呼ぶ乱用に近い使い方をする人すらもいる。それだけ本作の影響は大きかったと思われる。 --ただし、ストーリーを見れば判る通り本作中における「世界線」は厳密にはパラレルワールドとは異なる、本作特有の設定である。 -2020年、岡部役の宮野氏が主演を務めるワンカット長回しドラマ『[[U.F.O.たべタイムリープ>https://www.youtube.com/watch?v=a5u2i_kzDbM]]』が公開された。 --本作の如く、主人公がタイムリープを繰り返す内容だが、タイトルの通り「''日清焼きそばU.F.O.が食べられず何度もリープしてしまう''」というシュールギャグドラマである(主人公曰く「なんてしょうもないリープ」)。 --作中には随所に宮野氏関連のネタが仕込まれているのだが、本作のネタも勿論ある。本作プレイヤーなら一目瞭然だろう。また、このドラマの中でもやはり「世界線」という単語が出てくる。 ---- **口コミの変遷 -発売前後はさほど大きな期待はなく、静かな流れだった。 --この背景には大作『[[アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団]]』の発売と被った事、前作の時点で人を選ぶ内容だった事等様々な要因がある。 -発売から数週間するとネット上での口コミが広がっていった。 --[[Amazon>https://www.amazon.co.jp/dp/B002CZOW28]]等のレビュー項目では多くのユーザーが高評価を付ける。 --[[ゲーム雑誌のHPで、超ロングインタビューを試みるところも。>https://dengekionline.com/elem/000/000/212/212275/]] --しかし、ニッチジャンル故に''ファミ通本誌でレビューすらしてくれなかった''(一応、ファミ通Xboxでは高評価)。 --その後、ユーザー投票でその年の良作を決めるファミ通アワード2009で優秀賞に選ばれる。 -初週1万本で2010年1月には出荷数5万を超えたと言う脅威のジワ売れ。 --一見少なく思えるが、360ソフトは初週に総売上の9割以上を売り上げるのが普通である。まして360のADVゲームは「2万売れれば大ヒット」と言われているので、いかに口コミ評価が凄かったかがわかる。 --結果として発売1ヶ月で売り切れ続出、中古にも出回りにくいという事態に。 //検索用 //シュタゲ
*STEINS;GATE 【しゅたいんず・げーと】 |ジャンル|>|想定科学アドベンチャー|CENTER:&amazon(B002CZOW28)&amazon(B002CZOW1O)| |対応機種|>|Xbox 360|~| |発売元|>|5pb.|~| |開発元|>|5pb.&br;ニトロプラス|~| |発売日|>|2009年10月15日|~| |定価|通常版|6,800円|~| |~|限定版|8,800円|~| |廉価版|>|プラチナコレクション|~| |~|>|2011年6月16日/3,800円|~| |備考|>|移植版(Win/PSP/PS3/PSV)&br;の情報は本文に記載|~| |~|>|''ネタバレ回避を強く推奨''|~| |判定|>|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|>|CENTER:''[[科学アドベンチャーシリーズ]]''| ''※本作は移植が非常に多岐に亘る為、基本情報欄は360版のみに絞りました。'' //基本情報表に移植版を記載する場合は、機種別一覧と良作一覧に本項へのリンクを作ってください。 //iOS版は当wikiの取り扱い対象外につき、基本情報欄には載せられません。 ---- ~ #center{&size(18){'''神をも冒涜する12番目の理論'''&br;'''それは、 俺たちが手にした偶然の産物'''}} ~ ---- #contents(fromhere) ---- **概要 5pb.とニトロプラスのコラボレーション企画「科学シリーズ」の第2弾。~ 数多の偶然によって出来上がってしまった「タイムマシン」を巡る、人類の未来を委ねられてしまった中二病青年の物語が秋葉原を舞台に繰り広げられる。 前作『[[CHAOS;HEAD]]』と同じ世界観だが、前作のネタはシナリオの本筋にほとんど関係ない。~ 基本的にはオーソドックスなアドベンチャーゲームだが、選択肢ではなく携帯電話の操作によってストーリーの展開が変わる。~ ''未プレイの者に対してネタバレ回避が広く推奨される''作品である。~ 以下の文にも多数のネタバレが含まれているため、目を通す際は充分に注意されたい。 コミカライズ等のメディアミックスを見る事はおろか、ネットで情報を検索する事すらあまり推奨されていない。~ 特筆すべきは、''公式サイトがネタバレ満載''で未プレイ者の閲覧が推奨されていない珍しい作品でもある。~ 複数の魅力的な女性キャラクターが登場し、その中のひとりに焦点を当てたルート(サブシナリオ)も用意されている。~ そのため、広義の「ギャルゲー」に該当すると言える。しかし恋愛的な要素以上に、そのストーリーとSFギミックが高く評価されている作品である。 //口コミに関しては余談と被るのでこちらを削除 ---- **ストーリー >秋葉原を拠点とする総勢3人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーである厨二病の大学生 岡部倫太郎。~ 彼は、研究所のメンバー(ラボメン)である橋田至や幼馴染でもある椎名まゆりと共に、日々ヘンテコな発明を繰り返していた。~ ある日岡部は過去に携帯メールを送ることができる装置すなわち「''タイムマシン''」を偶然に作り上げた。~ しかしそれは大きな悲劇を招いてしまう。~ 悲劇を回避して世界を救うために、岡部は果てしない苦闘を続ける…。 ---- **特徴 -主人公「岡部倫太郎」の一人称ADVである。 -''フォーントリガー'' --本作では本編中に選択肢が存在しない。代わりに携帯電話に出る・出ない、メールの返事を選択する・返事しないなどという選択で物語が分岐していく。 -物語のジャンルとしては、いわゆる「時間ループもの」に該当する。 --時間ループの発生に一応の科学理論的裏付けがあること、それが主人公によって能動的に引き起こされる点が特徴的と言える。 --ループを繰り返す中で複数のヒロインたちの「ルート」に入り個別エンディングを見ることになる。それらすべてを経た末に、真の結末にたどり着くという構成となっている((個別エンディングは一つを除いて見る必要なくトゥルーエンドルートに直接行くことは可能である。))。 ---- **評価点 -99%の科学と1%のファンタジー。 --本作のテーマである「タイムトラベル理論」に説得力をつける為、出来る限りのリアリティを出している。具体的には最初にタイムマシンの現実的な問題((人間が光速で動く必要がある。星すら吸い込む強力なブラックホールの重量に耐える必要があるなど。))を説明し、存在を否定するが、その後偶然にもその問題を突破できる方法を見つけるという一連の流れは非常に現実的かつ説得力があると評価されている。 --さらにタイムトラベルについても、よくあるSF作品のように何のリスクもなしできるというわけでない。時空移動という高エネルギー運動による人体への物理的な障害や「親殺しのパラドックス((自分の親を殺害したら未来の自分はどうなるのか?という思考問題))」という問題があり、その問題も主人公たちが解決策を発見するという流れである。さらに、タイムトラベルの恩恵を直に受けるということはなく、SF作品にあるご都合主義的な物が少ないのが特徴である。 ---現実にあるタイムトラベル理論はもちろん、その周辺の用語に至るまで現実のものを用いている。また、かつて話題になった「[[ジョン・タイター>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC]]」事件や[[実在する欧米の研究機関>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%8E%9F%E5%AD%90%E6%A0%B8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%A9%9F%E6%A7%8B]](流石に名前は少し変えてあるが)が話の中核になっている。 --特に店舗名まで含めてすさまじく現実に忠実な秋葉原の町並みは圧巻。 --「SF好き」「科学好き」にも満足できる作りとなっている。 -絶賛される声優陣 --実力派の声優を抑えており、どのキャラも演技力を評価されている。中でも主人公を演じた宮野真守氏のギャグ・シリアスあらゆるシーンにおける熱の入れ様は、スタッフから「''宮野さんあっての『シュタインズ・ゲート』''」とのお墨付きを貰うほど。 -主題歌・BGM --主題歌の「スカイクラッドの観測者」は本作の企画・原案者である5pb.代表取締役・[[志倉千代丸氏>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%97%E5%80%89%E5%8D%83%E4%BB%A3%E4%B8%B8]]によって作詞作曲されているため、ネタバレ満載となっている。ちなみにやり込めばOPの演出も実はネタバレがかなり入っていることがわかる。クリア後に聞くと想像以上にマッチしていることが分かる。 --初見ではまず気付かない(わからない)ので安心して欲しい。一応、目を凝らして画像を見たりしない方が良いだろう。 ---ただし、Win版のPV「A.R.」の画像は''物語中盤のとあるシーンの大きなネタバレが全画面で表示される''((背景画像をよく見ると、なんと終盤の重大なネタバレまでしている。))。 ---もちろん、これを見たから全くゲームが楽しめないと言う訳ではないが、クリア前は見ない事を推奨する。 --一方、BGMは『[[infinity>infinityシリーズ]]』シリーズでおなじみの元KID社員・[[阿保剛>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E4%BF%9D%E5%89%9B]]氏によるもの。ポップで日常アニメ調のBGMから、シリアスな部分に流れるしんみりとした冷酷な曲。アクションシーンではサスペンスのようなハラハラBGMなどどれも高評価。特にタイトルBGMである「GATE OF STEINER」が高く評価されている。 ---ちなみに、サウンドテストモードが有るにもかかわらず本作のサントラ発売時は各地で即日売り切れになった。 -止め時が見つからない構成力 --海外ドラマを参考にして作られているため、絶妙な「山場」で章区切りがされる。『涼宮ハルヒ』シリーズに代表される王道的な男女サークルの日常物から物語は始まる。科学・SFネタを雑談・考証からのタイムマシン製造。それから始まるSFのストーリーが展開される。 --この間に多くの伏線が張られており、話が大きく動く後半で回収されるが、非常に巧妙。前半だけだと非日常系のラノベ調のシナリオであるが、後半のシリアスな展開の落差は大きい。 --岡部はタイムマシンを使用してしまうが、その内に徐々不穏な空気となる怪しい描写になる。だが、岡部は好奇心は止めることができずどんどんと不穏な世界観へと進んでいってしまう。この岡部の心情とプレイヤーの心情が非常にマッチして、感情移入していってしまう。 --後半からはガラッと空気が一変。「世界線」「因果律」「運命」などのキーワードを中心に岡部を非常にえぐる展開となる。特に6章以降は徹夜プレイ者が続出したとか --基本的にメインルートは一本道で、ギャルゲーというよりは一昔前のアドベンチャーゲームに意図的に似せてある。 -キャラクター --キャラクターデザインはネット上で人気デザイナーの『[[ブラック★ロックシューター>ブラック★ロックシューター THE GAME]]』などで知られるhuke氏。 --個性的な絵柄と色彩でキャラクターがやや写実的にデザインされており、氏のキャラデザインは独特な目の描き方とテクスチャが特徴で独特のデザインとなっている。 ---この絵師を選んだのは「もっとユーザーの層を広げたい。いい意味でギャルゲーっぽくしたくない」という意図的なものだったらしい。 --サブカルがテーマの一つである本作で、あえて王道のアニメ調の外したデザインは意外にマッチしている。また、テーマがオタク寄りであるが、このポップクールなデザインであるためオタク要素に詳しくなくても受け入れやすくなっている。 -フォーントリガーを利用された強烈な感情移入度 --上記の声優の演技や構成力はもちろん、本作独自のシステム「''フォーントリガー''」もそれに拍車をかけている。 --本編からはメールを見る、見ないという動作を含まれておりキャラ同士のメールのやりとり、文体というのも本編の魅力の1つである。 --また、そんな日常的なやり取りの携帯電話から不穏な空気が生まれる展開があり、ぞくっとさせてくれる。 ---ただ、選択肢を選ばされるのではなく''どうしても携帯をいじる必要がある''というところがポイントであり、たった1通のメールで過去が改変されそれまでの思い出が「なかったこと」になる重大な選択肢では「自分で選んでいる」という感情が湧く。 ---加えて携帯電話が使えない場面は使えないというリアルティがある設定も評価される。 ---本編には関係ないが、携帯電話の壁紙や着信音は多数用意されており、自分の好みに合わせてカスタマイズが可能となっている。特定の条件を満たすと壁紙・着信音にも新しいものが追加されるなど、細かい作りこみも光る。 --辛い展開になると「自分が選択したせいでこうなった」という思いも強く抱くことになり、ベストエンドまでのモチベーションが上がる。その中でも「地下鉄」「ゲル○○」「手紙」の3つは、その衝撃的な内容からプレイヤーの強烈なトラウマとなっている。 ---中でも「ゲル○○」は特定の行動を取らないと見られないイベントなので、気付かないまま進める可能性も高いが、その分イベント内容は本当に強烈。任意イベントということで余計に「自分の選択のせい」という感覚を味わうことになる。 -トゥルーエンド --上記の心を抉る展開。鬱内容。トラウマを乗り越えた先に見えるトゥルーエンドは非常に感動をもたらせてくれる。 --最後に残った伏線と展開、そして絶望。それからの岡部の復活からタイムトラベルはバトル漫画のような熱さをもたらせてくれる。その結果にたどり着いたエンディングは正しく感動の一言である。特に最後の台詞と伏線はまさしく本編の締めとしてふさわしいものとなっている。 --知らぬ間に張られていた伏線の鮮やかな回収は「''記憶を消してもう一度プレイしたい''」と、ある意味本シリーズの前身とも言えるinfinityシリーズの『[[Ever17 -the out of infinity-]]』に似た評価をされる事も。 ---詳細は伏せるが、主人公が最終章で行う事も『Ever17』に通じるものがある。 -TIPS --『[[428>428 ~封鎖された渋谷で~]]』などでお馴染みの用語集。作中用語からネットスラングまで幅広く取り揃えている。ご丁寧に中二病関係の用語解説までされており、その筋の人にはたまらないだろう。 --判らない事があればいつでも参照できる。また、基本的な事はTIPSに委ねて長い説明を省いているため、物語のテンポも損なっていない。もちろん、必要不可欠な説明はちゃんとストーリー中にしてくれる。 ---- **賛否両論点 -ゲーム前半より、以下に列挙する様々な要因から来るハードルの高さから、人を選ぶ傾向がある。そのため、「合う」人であれば下記の大部分は気にならないと思われるが、逆に「合わない」人は気になって仕方ないだろう。 --COLOR(red){''主人公・岡部倫太郎の中二病言動がとにかく痛々しくウザい。''} ---自らを「''狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真''」と名乗り、携帯電話を片手に「''―それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択か。エル・プサイ・コングルゥ''」とノリノリで独り言。こんな言動を延々と続けるわけで、初見でウザさを覚えないわけが無い。 ---これは評価点の裏返しだが宮野氏の熱演もあり、セリフが一々伸ばしたり溜めたりするなどテンポを悪くしている。例えば「狂気のマッドサイエンティスト」の台詞を声の当て込みを文字にすると「''きょよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおきぃいいいいのぉおおおおおおおおお……………………………マッドサイエンティスト''」と言うなど冗長に感じる部分もある。 ---しかし、設定面でもテーマ性でも「岡部が中二病である必然性」はしっかり存在する。話が大きく動き出す中盤からは中二病状態で無くなり、最終盤でまた元に戻ってしまうのだが、そこまで彼の物語を追ってきたプレイヤーであればウザさを感じるどころかむしろ「鳳凰院凶真」が格好よくすら見えてしまうだろう。 ---このように、岡部は「物語の最初と最後とでは、振舞いは同じでも印象が変化していく人物」として描かれており、エンディングまで進めればその意味がよく判る。 ---ちなみに、シナリオ担当の林直孝氏によると、岡部が中二病なのは本作のテーマの1つが「中二病ってイイじゃん」であり、中二病で世界が救えるという物語を表現したかった為らしい((志倉氏の原案の段階では普通の理系青年で、結構真面目な科学者タイプのキャラだったとの事である。))。前述のように終盤はその傾向が顕著に表れている。また、前作『CHAOS;HEAD』には「中二病を捨てて、現実を見ようよ」というテーマもあったので、それに対するアンチテーゼも込めているという。 ---岡部以外のキャラもやたらと濃く、「立ち絵のあるモブキャラ」は皆無。いかにもギャルゲ的な女子(''男の娘含む'')が多いのに恋愛沙汰はほとんど無し、と色々な意味でギャルゲーっぽくない。 --過剰とも言えるネットスラング。 ---登場キャラの多くがオタクもしくは匿名掲示板ユーザーであり、人によっては平気でネットの流行語をべらべらしゃべる。その手の言葉に慣れていない人にとっては苦痛。 ---特に橋田至(通称ダル)という岡部の親友は日常的にネットスラングを使い「~だお」とやる夫のような口調で喋るのがデフォ。容姿も典型的な「ピザオタ」である。彼を演じる関智一氏の&s(){熱のこもりすぎた}怪演も合わさり、非常に印象に残りやすい。 --難解な科学知識。 ---文系、下手したら理系の人間にすら非常に分かりにくい。一応、TIPSでフォローされているがそれでも厳しい。 ---原案の志倉氏、脚本の林氏共に相当勉強したらしく、これでもかと言うほど詰め込まれている。 ---ただし、「99%の科学と1%のファンタジー」を謳っている通り、現実の科学で考えると明らかに不自然な、と言うか意図的に変更している点も多い((ファンタジー要素が強い前作『CHAOS;HEAD』と世界観の共通している事も、『STEINS;GATE』が現実とやや異なる世界観である事を示している。))。そもそも、現実の天才科学者であってもタイムトラベル理論を証明出来ていない訳で、一介のシナリオライターに完璧な理論が構築出来るはずもない。 ---本作より未来の時間から、理屈も説明もない超能力アイテムが持ち込まれる描写がある。 ---ようは、無理に理解しようとせず「SFっぽい雰囲気を楽しむ」くらいの心がけのほうが良いと思われる。作中で述べられる理論についても、完璧に理解する必要は全くない。 --オタクの聖地が舞台、そして主人公を始めとする登場人物の多くがオタクという点からか、アニメやゲームのパロディネタが多い。未来ガジェット研究室の発明品も露骨なほどのパロディとなっている。 ---それも普通のパロディではなく、例えば「''[[機動勇者ガンパム>ガンダムシリーズ]]の兵器から名前を取った『ビット粒子砲』''」など、元ネタを作中世界に落とし込んでそれを主人公らがパロっているという扱いであり、さしずめパロディのパロディという形を採っている。現実でネットミーム化したものを同じ要領で持ち込んでいるパロディもある。 ---雰囲気作りには一役買っているが、それだけに元ネタに思い入れの強い人はただのパロディよりも反感を抱いても不思議はない。 //--ギャルゲっぽいADVなのにギャルゲっぽくないキャラデザ。 //---本作のキャラデザインを担当したのはMGSシリーズのサブキャラクターデザイン、『[[ブラック★ロックシューター>ブラック★ロックシューター THE GAME]]』などで知られるhuke氏。氏のキャラデザインは独特な目の描き方とテクスチャが特徴。 //---この絵師を選んだのは「もっとユーザーの層を広げたい。いい意味でギャルゲーっぽくしたくない」という意図的なものだったらしい。 //---後術の通り結果的に売れ行きが好調であったことから、この手のゲームに馴染みがないユーザーにとっても大きく裾野を広げられたというべきだろう。 //本作はギャルゲーではないし否の部分があると思えない。 ---- **問題点 -シナリオ面における問題点 --一部回収されていない伏線がある。 ---「90%回収してネット上の議論のためにいくつか回収しなかった」とコメントされているが…。 --設定面で細かい矛盾がちらほらある。 ---血縁関係であるはずの人物同士の血液型が合わないという点は、後に血液型が修正された。 ---とあるキャラを妊娠中だった頃の母親にDメールを送って性別を改変出来るのがおかしい点は、ドラマCDで理由が補完された。 ---ブラックホールを通すことで送受信するデータ容量(パケット容量)を圧縮する点は、前作のセナルート同様に現実ではありえないデジタルな法則が働く世界というメタを匂わすもの((ゲーム冒頭のアルパカマンも単にミスリードさせるものではあるものの同様の意図がある。))。 ---この作品の世界のブラックホールはZIP圧縮などのようにデータ圧縮が可能で、その圧縮データはネット回線を通してダウンロード可能で、しかも解凍ソフトなどにかけなくても自然にデータ解凍される、そういう世界という設定なのである。 ---なお独自設定多数の小説版では、ネット回線のほうが特殊でブラックホール内でのみ起きる特殊な事象を維持したままダウンロードできる量子通信という設定にしていた。 ---既に捕捉されてから結構な日数が経過済みのDメールを消去して世界線を変える点は、ファンの間ではまだ機関の者の目に触れていなかったのではという考察も多かったが、後に出た資料集での公式回答は「Dメールは因果から外れたものなのでそれを消去する行為も因果を無視した改変が起きる」という内容でファンを落胆させた((ただし、これはこの件に限らずDメール関連の因果律変動の基礎ルールである。またファンの考察も資料集スタッフのコメントに書かれているようにそれだけでは他の世界線理論に反する可能性もあるため、一概には言えない。))。 --一部ルート #region(ネタバレ注意) --フェイリスルートでは岡部が不幸な未来を変える為にフェイリス以外全員知り合いで無くなるルートがある。かなり大幅な変動であり、世界線はΩ世界線というマイナスの値を示す世界線にもかかわらずα世界線にしか存在しないダイバージェンスメーターがある。 --またフェイリスルートでの秋葉原から萌え文化がいなくなる大幅な改変に関しては世界線の幅が短すぎるという意見もある((ただし、α世界線は「未来でSERNがディストピアを作る」という条件さえ満たせばよく、世界線の大変動に関わる2000年における改変であるため、設定的には数値の変化は大きい方である。))。 #endregion -桐生萌郁について --ラボメンの中で唯一彼女だけ専用のルートがなく、本編で浮いている感じは否めない。当人のシナリオは存在するが、その前に通過した3人のヒロイン(+α)と違ってそこでの分岐は特殊イベントが見られるか否かなのでどちらを選んでもストーリーに変化は無い。 ---そのため、彼女のことも掘り下げられておらず、動機や行動理念や背景もあるにはあるが描写不足。 ---要望があったのかは不明だが、ファンディスクの『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』では萌郁ルートが存在する。 ---ちなみにゲーム、アニメ版、漫画版(本編を描いたコミックアライブ版)とでは、萌郁のシナリオにおける彼女の末路こそ同じだがそこに至る経緯は''何故か全て異なっている''。2巻以降はほぼアニメに忠実だった漫画版ですらもここは独自展開となっている((ゲームの委細は省くとして、アニメではある人物に射殺されるのに対し、漫画ではその人物の自殺を止めようとして銃弾に当たるという最期を迎える。))。 --トゥルーエンディングでも彼女についてはやや強引な扱いになっている。 #region(ネタバレ注意) ---トゥルーエンドでは彼女はラボメンに加えられている。詳細は避けるが、本編では彼女は危険な立ち位置であり、トゥルーエンドの世界線でも完全にシロとは言い切れない。 ---特段岡部との和解の描写も無いのにラボメンになっているのも違和感を覚える。 #endregion -テキストに若干量の誤字がある。有料ダウンロードコンテンツを適用する事で(演出強化のついでに)大部分が修正される。 --メインヒロイン2名に比べて、その他サブヒロインたちの描写量が少ない。 ---上記の通り大筋は一本道のシナリオであり、サブヒロインのEDはメインルートから分岐する形になるため、仕方ないと言えば仕方ないのだが。 ---しかも一部のエンドは「幸せそうに見えても、実はどう考えてもバッドエンド」だったりする。 //具体的に言うとるかEDの事。他のヒロインEDはいずれも「大団円ではないが岡部の選択で勝ち取ったエンディング」と言えるが、るかEDはSERNについて完全放置なので「るかと共に生きていく」と言う勝ち取った結果さえいずれ覆される可能性が高い(まゆりEDは一応解決、フェイリスEDは世界線大幅変動、鈴羽EDは解決に向かうシーンで終了なので問題ない) --ご都合主義の傾向がある上に、やり尽くされている感のあるタイムトラベル・ループジャンルなので、このジャンルに親しんだプレイヤーにとっては、途中でストーリーの展開がある程度まで予想できてしまう。 ---個々の小エピソード内では予想外の展開もあるのだが、メインストーリーに斬新などんでん返しを期待すると、肩透かしを食らう。 ---全体的な雰囲気から、洋画の名作「[[バタフライ・エフェクト>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88_(%E6%98%A0%E7%94%BB)]]」を思い出す人も多いとか。作中でもSF用語としてだがこの単語が多用されるため、意識している可能性は高い。 ---一部のエンディングの内容はバタフライ・エフェクトのスタッフが「全てを振り出しに戻す行為」「(主人公が)何も学んでいない」と言って没にしたエンディングそのまんまである。 -システム面の問題点 --オートセーブ、任意セーブ共に個別に削除が不可能なため、特に前者は周回プレイを繰り返すとトゥルーエンドへ向かうフラグを立てた状態なのか、そうでないのかが非常に解りにくい。 --どうしても消したい場合は360本体の管理画面から一括で削除するしかないが、システムデータとセーブデータは分別されていないため、プレイ時間やクリアフラグ等も全て消える。 ---これは、「セーブデータ(記憶)も無かったことにしてはいけない」ということなのだろうか。 -フォーントリガーの問題点 --メールを返信する際、送信前にキャンセルすることが出来ない。選択肢が複数あるような場合、自分が送る文面を見比べて決めようと思ったら一度送信してからデータをロードしてやり直すしかない。 --「特定のセリフが表示されている間に、電話をかける(メールを出す)と分岐」と言うシーンで、どの台詞までが分岐可能かが分からない。そのため、電話をかけたいと思っていても、意図せず分岐範囲が過ぎてしまい電話がかけられない事態が少なからず発生する。分岐可能範囲に突入した時点ですぐに電話をかければ分岐を逃す事はないのだが、そうすると今度は台詞が中途半端になってしまう。 ---バックログから任意の場所に戻れるようになっているのでそれほどの手間は掛からないが、それでも手間は手間である。何より、後者は重要なシーンで発生する事も多いので、シナリオへの没入感を下げてしまう。 --メール返信で選んだ選択肢によってどんなメールを出すか、そしてどんなメールが帰ってくるか、どのようにシナリオが分岐するか、が非常に分かり難くなっている。ノーヒントで目的の分岐に到達するのはかなり難しく、特にトゥルーエンドは攻略サイトがほぼ必須。 ---その一方で、選択次第では1周目から(意図せず)いきなりトゥルールートに行けてしまう事もある。そんな事になってしまったら、諦めて「それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だった」とでも思うしかない。 //---一応、不正解の場合はメールがそこで途切れるので、"よくわからんがメールが途切れない選択肢を選び続ける"ということに気づけばトゥルールートにはいけるため攻略サイト必須は言いすぎである。 //途切れない不正解ルートとかもある(7章とか)し、そもそもどれがフラグか分からんから、やっぱ攻略サイト必須だと思う。そもそも「メールが分岐になっている」と言う事自体がわかりにくい --総じて、「ゲームのシステム」としてはやや不便なシステムである。そもそもの所、斬新なシステムに見えて結局「選択肢を選んで分岐」と言う物であり、普通のアドベンチャーの選択肢とほとんど変わりがない。 ---このシステムの主眼は前述した通り「携帯をいじる事で主人公への感情移入度を上げる」所にあり、「ゲーム性」よりも「シナリオ性」に寄ったシステムと言える。ただそれゆえに、テンションを下げかねない前述の仕様はなかなか痛い所。 -CGコンプリート --大半は普通にゲームを進めていく中で取れるが、問題は多くのユーザーが最後に残すCGイラストである。 --詳細は避けるがあるキャラの無残な姿が描かれている。このCGは気分が悪くなる事請け合いの、かなりショッキングな内容。タチの悪い事に、回収ルートはゲームのシステム上分かりにくい位置にあるため、全てを終えた後で最後に見る事になりやすく、通常よりも一層心が抉られた人も。 ---- **総評 硬派なストーリーが魅力の正統派SFドラマ。そのストーリーやSFギミックは多くのプレイヤーを魅了し、ネットを中心に話題を呼んで大きな盛り上がりを見せた。~ 「ループする時間と改変される世界」というアイデアを表現するにあたって、周回プレイ・シナリオ分岐型ADVという物語形式が効果的に活用されており、小説や映画では味わえない迫真の演出効果と感情移入効果をプレイヤーにもたらした。~ 一篇のSFドラマとしてみれば、古典的とすら言える王道な内容である。だがそこにギャルゲー的なエッセンスと現代オタク的な感性を加味することで、本作ならではの新鮮な味わいが生み出されている。~ SFマニアだけでなく、読み応えのある骨太な物語を求めるすべての人にお勧めしたい名作である。もちろん、女の子キャラの可愛らしさや独特の魅力がある絵柄に魅かれてプレイするというのも、一向にアリだろう。 ---- **移植版 -''Win版''(発売:ニトロプラス)2010年8月28日 --シナリオは360版とまったく同じだが「グラフィックが無かった脇役キャラに立ち絵CGが用意される」「イベントCGの追加」「新曲を用いたPVを収録」などの演出強化が行われている。 ---これらの演出強化は、以後の移植版すべてに反映されている。 --ただし発売当初は深刻なバグが多数存在していた。その後修正パッチが配布されたが、それでもまだ若干残っている状態である((特にエンディングでヒロインが振り向くシーンでエラー落ちが発生しやすいため、「振り向き落ち」などと呼ばれている。))。 --Win版独自の特典としてキャラクターの立ち絵を変更する「まゆりのトゥットゥルー光線が発動!?能力の効果によってコスプレせざるをえない!パッチ」(通称コスパッチ)が配布された。当初は予約限定の特典だったが、後に発売された廉価版には最初から適用されている。コスプレは立ち絵のあるキャラ全員に適用され、かなりはっちゃけた内容となっている。 --ちなみに、360版ユーザーに対しては、360版をWin版と同等にパワーアップさせるDLC「演出強化パック」を有料配信(400MSP)することでフォローがなされた。廉価版「プラチナコレクション」では、最初からこれが適用されている。 --現在のWin版は後述のSteam配信版が別に展開されている。Steam版はフルHDに対応しているのでコスパッチにこだわりがないならそちらをお勧めする。 -''PSP版''(発売:角川書店)2011年6月23日 --最初から演出強化がなされている上に、新規OP・ED曲を収録。目立ったバグもない。PSPの仕様上、実績機能は無くなっている。 //PSP版は結構処理落ちする。 -''iOS版''(発売:5pb.)2011年8月25日 --フォーントリガーの操作法がスマートフォン端末向けに変更されており、リアルな操作感覚を味わえる。 --iPad対応版は、タイトルに「HD」がつく別アプリ扱い。 -''PS3版''(発売:5pb.)2012年5月24日 --『比翼恋理のだーりん』PS3版と同時発売。新規OP・ED曲も収録。二本組の『STEINS;GATE ダブルパック』も発売された。 -''PSV版''(発売:5pb.)2013年3月14日 --『比翼恋理のだーりん』PSV版と同時発売。ダブルパックも発売。PS3版準拠の移植。 -''PS4版''(発売:5pb.)2015年12月10日 --『[[STEINS;GATE 0]]』各機種版の初回同梱特典で、フルHDリマスター版。単品での発売はされていない。 -''Steam版''(発売:Spike Chunsoft)2016年9月9日 --上記PS4版をベースにしたPC移植版であり、日本語・英語の字幕切り替えあり。Steam実績およびトレーディングカード対応。日本ストアからも購入可能で、現時点における最終完全版。 -''PS4/PSV/Switch/Steam『STEINS;GATE ELITE』''(発売:5pb.(CS版) / Spike Chunsoft(Steam版))&br;2018年9月20日(CS版) / 2019年2月20日(Steam版) --リメイク版。『やるドラシリーズ』のように、テキストに合わせてアニメーションで進行していく。映像の多くはアニメ版の流用だが、新規アニメも描き下ろされている。 ---- **スピンオフ・続編作品 『[[科学アドベンチャーシリーズ]]』を参照。 ---- **余談 -2010年7月30日にTCG『Lycee』に5pb.が参戦。本作も収録作品の中に含まれた。 --さらにTCG『プリズムコネクト』と『Chaos TCG』にも参戦している((前者にはアニメ版の参戦で後者ではニトロプラス作品のひとつとしての扱い。))。 --『[[ファントムブレイカー]]』シリーズに牧瀬紅莉栖が参戦。''それ自体に''批判意見は見られない。 -2011年4月より本作のTVアニメ版が放送された。 --媒体や放送形態に合わせたアレンジも見受けられるが基本的に原作に忠実で、本作のトゥルーエンドに至るまでのストーリーを全24話で上手くまとめている。そしてアニメでも''岡部倫太郎のウザさ''は健在である。寧ろ、ゲームと違って終始姿が映り、動きも相俟ってゲームよりも格段にウザさ(と終盤の格好良さ)が増している。 ---BD/DVD最終巻には、特典映像として本編の後日談となる第25話が特典映像として収録されている。しかしレンタルの方には未収録で、d-アニメストアなどの配信サービスでも配信されなかった。 --さらにTVアニメの1年後を描くオリジナルストーリーの劇場版が、2013年4月に公開された。 --2015年7月に再放送されたが、その際に23話終盤の展開が『STEINS;GATE 0』に繋がるように改変されており話題を呼んだ((この再放送版23話は「第23話(β)」と呼ばれBD-BOXなどにも初回放送版とあわせて収録されている。初回放送版が封印された訳ではなく、第23話(β)から『STEINS;GATE 0』を経て初回放送版である第23話(SG)に戻ってくるという構成である。))。 -作中で何度も登場する「世界線」はたまに本作が元ネタと思われる事があるが、本来は相対性理論などで提唱されている概念であり、ざっくり言うと「四次元時空の中で、ある粒子が動く経路」のことである。 --本作ではそこから転じて「過去から未来までを含んだ1通りの世界の歴史」という意味で使用されているが、「パラレルワールド」や「異なる歴史」と言った意味合いでは以前からSF作品で使用される事もあった((実際のジョン・タイターもパラレルワールドを「world line」と表現している。))。 --しかし本作で有名になって以降、SF関連に限らずこう言った用途で使用される事が多くなった。 ---今となっては「違う歴史を歩んだ世界」や、創作物における「本来の物語とは違う展開((いわゆる、正史から外れたパラレル作品など。))」「現実世界だが実際とは何かが異なる世界観」などの「IF」を全部ひっくるめて「〇〇の世界線」「異なった世界線」などと表する人が激増しており、SF作品や個人の文章はおろかファンタジー作品や公式なネット記事などですらもこの意味で当然のように使われたりする。上述の通り、かつては本作を含む一部のSF作品で使われていた表現だが、現在ではそれらを示す共通語だと思っている人も少なくない。単純に「世界観」との混同もよく見受けられる。''当Wikiを含めて''。 ---時には[[こんな有名シリーズの作品>キングダム ハーツIII]]で使用されていたり、「official髭男dism」の大ヒット曲「Pretender」の歌詞でも使用されていたりする((元より「Pretender」自体、ジャケットが本作のそれを意識していたりとオマージュ的要素を含んでおり、ボーカルである藤原聡氏も本作品の大ファンであることを公言している。))。 ---中には単純な別世界や、関係無い作品すらをも「別の世界線」などと呼ぶ人すらもいる。流石に全く無関係の作品間を「世界線」で結びつけるのはもはや乱用だが。 --ただし、ストーリーを見れば判る通り本作中における「世界線」は厳密にはパラレルワールドとは異なる、本作特有の設定である。言ってしまえば『∀ガンダム』の「黒歴史」のように、広く使われるうちに本来の意味とは異なったニュアンスに変化し、それが定着した言葉とも言える。 -2020年、岡部役の宮野氏が主演を務めるワンカット長回しドラマ『[[U.F.O.たべタイムリープ>https://www.youtube.com/watch?v=a5u2i_kzDbM]]』が公開された。 --本作の如く、主人公がタイムリープを繰り返す内容だが、タイトルの通り「''日清焼きそばU.F.O.が食べられず何度もリープしてしまう''」というシュールギャグドラマである(主人公曰く「なんてしょうもないリープ」)。 --作中には随所に宮野氏関連のネタが仕込まれているのだが、本作のネタももちろんある。本作プレイヤーなら一目瞭然だろう。また、このドラマの中でもやはり「世界線」という単語が出てくる。 ---- **口コミの変遷 -発売前後はさほど大きな期待はなく、静かな流れだった。 --この背景には大作『[[アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団]]』の発売と被った事、前作の時点で人を選ぶ内容だった事等様々な要因がある。 -発売から数週間するとネット上での口コミが広がっていった。 --[[Amazon>https://www.amazon.co.jp/dp/B002CZOW28]]等のレビュー項目では多くのユーザーが高評価を付ける。 --ゲーム雑誌のHPで、超ロングインタビューを試みるところも([[参照>https://dengekionline.com/elem/000/000/212/212275/]])。 --しかし、ニッチジャンル故に''ファミ通本誌でレビューすらしてくれなかった''(一応、ファミ通Xboxでは高評価)。 --その後、ユーザー投票でその年の良作を決めるファミ通アワード2009で優秀賞に選ばれる。 -初週1万本で2010年1月には出荷数5万を超えたと言う脅威のジワ売れ。 --一見少なく思えるが、360ソフトは初週に総売上の9割以上を売り上げるのが普通である。まして360のADVゲームは「2万売れれば大ヒット」と言われているので、いかに口コミ評価が凄かったかがわかる。 --結果として発売1ヶ月で売り切れ続出、中古にも出回りにくいという事態に。 //検索用 //シュタゲ

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: