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あつまれ!パワプロクンのDS甲子園 - (2015/08/12 (水) 14:05:54) の最新版との変更点

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*あつまれ!パワプロクンのDS甲子園 【あつまれ!ぱわぷろくんのでぃーえすこうしえん】 |ジャンル|育成シミュレーション野球ゲーム(公式サイトより)|&amazon(B000FIIEJ6)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|512MbitDSカード|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント(パワプロプロダクション)|~| |発売日|2006年8月3日|~| |定価|5,229円(税込)|~| |廉価版|コナミ・ザ・ベスト:2007年7月26日/2,940円(税込)|&amazon(B000R3P4WE)| |判定|なし|~| |ポイント|前作『パワポケ甲子園』のアッパーバージョン&br()「あつまれ!」の冠に恥じずWi-Fi対応要素は充実&br()前作ではやや薄口だった各種イベントはいろんな意味でパワポケ的に強化&br()初回版はバグで豊富な収集要素が活かせない&br()ホームラン出ねえ。外野前進最強。そんな野球である&br()実はパワポケシリーズの作品ではない&br()|~| |>|>|CENTER:''[[実況パワフルプロ野球シリーズリンク>実況パワフルプロ野球シリーズ]]''| #contents() //2014/1/13 初版作成 //ちゃんと句点は入れてくださいよ。 //申し訳ない。次があるならそれに活かします //評価点に実況関係を追加。問題点の野球部分に追記。その他日本語の修正等々を行いました //追記部分等々に誤字があったため修正しました。申し訳ありません。今後見直しはきちんと行います。 *概要 -前作パワポケ甲子園をベースに大幅な要素追加を施した事実上の前作の続編で完全版。完全版らしく内容も盛りだくさんである。 --その中の一つとして、「監督モード」という自らが監督となって選手のスカウトや育成を行うという、のちの本家シリーズの「栄冠ナイン」や[[熱闘!パワフル甲子園]]に繋がるモードを搭載した。 ---ついでにシナリオもパワポケシリーズに近づいた。ただし全体的には本家ほど濃さも黒さもない。もちろん例外はあるが…。 --また、Wi-Fi通信による育成中のリアルタイムネット対戦対応というパワポケシリーズどころか本家と比較してもかなり画期的な要素を搭載。 --更には、サクセスを通じて各県の特産品および玩具やアニメDVD等のオタクアイテムを収集する要素もある。 ---これだけを見るとかなり期待感が持てそうな感じではあるのだが……。詳しくは後述。 --余談だが、本作はパワポケシリーズのスタッフが関わって制作はされているものの形式上パワポケシリーズとは無関係の作品である((前作同様、パワポケシリーズ本編とのストーリー的なつながりは一切ない。))。ただし、本稿では便宜上パワポケシリーズの一つとして取り扱う。 ---パワポケシリーズのスタッフが関わっているとは言っても、シリーズ主要スタッフの大部分は本作制作にノータッチである((一応、井上・東山両氏といった最初期スタッフのうちの数名は制作に関わっている。))。 ---スタッフクレジット内でもパワポケチーム関係者個人の名前はあるものの、制作:パワポケチームの表記はない。 *ストーリー **キャプテンモード --2年生の夏の大会も終わった頃。野球部員の主人公はある日の夜、謎の占い師に『あなたは野球部のキャプテンになり甲子園で大活躍する』と焚き付けられる。奇しくも、ちょうど翌日は野球部新キャプテンの任命日であった。 --しかし、彼の淡い期待とは裏腹にキャプテンに任命されたのは彼の友人である「降坂」であった。申し分ない実力の持ち主である彼のキャプテン就任には、とうの主人公でさえ納得せざるを得なかったのである。 --占いの結果とは裏腹に、主人公はこのまま野球部の一部員として埋没していくだけかに思われたが……。 **監督モード --主人公は、仕事もなく、金にも窮乏していつも腹をすかせているうだつの上がらない男であった。 --ある日、彼の住むアパートが火事に遭い、彼は住む家を失ってしまう。 --仕事どころか家も失い途方に暮れる主人公のもとにかかってきたのは一本の電話。それは彼の友人である「小山田」からのものであった --仕事を用意したと言う彼のもとへ向かった主人公が見たのは真新しい校舎が眩しい新設校であった。小山田の用意した仕事とは、主人公の野球経験を買っての寮住み込みでの野球部監督業であった。 --こうして、野球に関わって生きることを諦めていた主人公の第二の野球人生が始まった。再び甲子園という場所を目指す、その長く苦しく、そして輝かしい旅が今始まる。 -その他のモードについてはストーリーは存在しないため割愛。 *システム -ここでは、本作の2大モードであるキャプテンモードと監督モードのシステムを中心に解説する。 --なお、本作の能力値成長システムは変化球を除いた全ての能力値が所定の内部数値が溜まった時点でダイレクトに上下するシステムとなっている(変化球は経験点を使用)。初期のパワプロシリーズにやや近い仕様。 ---この仕様は主人公のも含めた全キャラ共通。 ---特殊能力の取得はイベントないし特定の練習における練習回数ボーナスにより取得するシステムである。特殊変化球取得についても同様。 **キャプテンモード -各種の練習や仲間たちとの私的な交流を通じ自身や仲間を成長させ、甲子園に出場することが本モードの目的。 --春あるいは夏の甲子園大会に出場できなかった場合、ゲームオーバーとなる。主人公の「マジメ度」というパラメータが0になってもゲームオーバー。 -本モード最大の特徴として「スカウトシステム」が存在する。これは仲間やマネージャーに依頼し野球部に入ってもらえそうな人物を探してもらうというシステム。 --正直なところ本モードの初期部員は「ザコ選手」((固有キャラの抽選に外れた際の穴埋め要員。各種のプラス補正はかかるがそれらをもってしてもなお総じてかなりの低能力。))を始めとして能力が低めなことが多いため、チーム強化にスカウトは欠かせない。 ---中にはスカウトでしか入部しない、強い選手であれば文字通りのチートクラスな超強力能力を持った「スカウト選手」も存在する。 ---あるいは、ひとりないし仲間と出かけた時にもスカウトイベントが発生することもある。 --スカウトシステムは主人公がキャプテンにならないと開放されないので、開始直後は使えない。 --その他、女の子たちとのデートなど本家的な要素も存在する。 -なお、本モードは2年目の9月から開始され、カレンダーは一日刻みで進行する。 **監督モード -こちらのクリア条件は2種類あり、それぞれ「甲子園に一度でも出場した上で監督評価を0にすること」「十年目の夏の大会を終了すること」となる。 --ゲームオーバー条件は「一度も甲子園に出場しないうちに監督評価が0になること」の一点のみ。正直なところ、キャプテンモードよりはゲームオーバーになりにくい。 -本モードでは主人公である野球部監督に「こづかい」が存在し、それを使って各種の買い物や部員への施しを行っていく。 --マイナスになってもゲームオーバーにはならないが、マイナスの間はどこかに出かけることはできなくなる。 -キャプテンモードとは違い本モードにスカウトシステムは存在せず部員の更新は年度ごとの新入部員入部のみであるが、キャプテンモードのスカウト部員も普通に入部してくる。 -詳細は後述するが、本モードにおいては彼女攻略的なことはできない。 -本モードでは月曜と土曜のみコマンド入力が可能であり、その間の日は自動スキップされる。 --ただし、自動スキップされる日でもランダムイベント等の各種イベントは発生する。 **その他全般 -Wi-Fi選手権モード --「選手権ポイント」という本モード独自のポイントを試合により貯めていき選手を強化していくモード。名前の通りWi-Fi対戦対応である。 ---一応、一人プレイにも対応。その場合はwi-fi対戦時よりも入手できる選手権ポイントが少なくなるが…。 ---新規チームのみならずキャプテンモードや監督モードで作ったチームを使ってもプレイできるが、その場合試合で入手できる選手権ポイントは新規チームより格段に少なくなる。 --余談ではあるが、本モードのナビゲーターを務めるのは前作に登場したマネージャーのうちのひとりである「新城美沙」であり、勝ち抜いていくと僅かながら彼女との絡みが発生したりする。 ---余談の余談として、彼女の名を冠した写真集やDVDが本作のコレクションアイテム内に存在することを考えると、本作での彼女はそれなりに名の通ったモデルなのかもしれない。 -記念館 --各モードで鑑賞済みのアルバム閲覧モードや、コレクションアイテムの鑑賞や一度聞いたBGMの視聴ができる「マイルーム」モードが存在。入部させたことのある仲間の詳細を見ることができる「選手名鑑」もある。 -通信広場 --ローカルおよびWi-Fi通信に対応したもので、箱庭型のフィールド内でパワポケくん型定形アバターを移動させて同時接続している他のプレイヤーとのチャットが可能。 ---チャットは定型文・自由入力のどちらにも対応。あらかじめ用意されたものではあるがボイスも出る。 ---他にも、本モードも含めた各モードで手に入る専用ポイントを使ったプレイヤー間のコレクションアイテムのトレードも可能((トレードは現物どうしで行われ、ポイントは現物に設定されたランク差の補正に使用される仕組み。))。 ---本モードはおそらく本作の目玉の一つと目されており、実際にDSソフトの通信要素としては色々と力の入った出来ではあったが……。 ---コレクションアイテム収集時のバグのため、大きな交流要素であるトレードシステムが実質有名無実化したのが非常に痛かった。バグの詳細については後述。 -通常の野球試合等、その他のモードについてはの詳細は割愛。 *評価点 **キャプテンモード -それなりに充実した各種のストーリーライン --メインストーリーにおいては、前述のとおり本作キャプテンモードの主人公は最初はキャプテンではなく、諸般の事情により途中からキャプテンを引き継ぐこととなる。 ---最初からキャプテンでありその後は部内に関してはほぼ順風満帆でその後もイベントらしいイベントはライバルとの関わりだけという前作の主人公とはだいぶ違う立場である。 ---彼の友人であり最初のキャプテンである「降坂」に起こった出来事と、それを通じた彼の変節や周囲の人物たちとの関わりがメインストーリーの見どころの一つとなっている。後述の問題もあるが…。 ---全体的には挫折からの再起を描いた無難な青春モノとしてまとまってはいる。パワポケ的な黒さは薄い(多少下ネタはあるが)。 --彼女候補は3人と少ないがイベント自体はなかなかバラエティ豊か。 ---内容はオーソドックスな恋愛物語から、アレなパワポケ臭の漂うシナリオなど幅は広い。 ---前作の彼女候補は見た目や性格の違いこそ存在するもののシナリオらしい個別シナリオが存在しなかったため、前作との比較において純粋な改良点と言えるだろう。 -ひととおりは整備されたシステム周り --前作をベースに細かい改良・機能追加等が施されており、基本的なプレイをするぶんにはそれほど問題のないシステムである。当たり前のことではあるが、ストレスを感じにくいという点では評価に値するだろう。 ---もっとも、イベント短縮機能がほとんど役に立たない等の問題もあるにはあるが。 --前作と比較してのからの大きな改良点としては、電話番号を入手しさえすれば任意のタイミングで彼女候補をデートに誘えるようになったことだろうか。 ---特にマネージャーズに関しては定期イベントで確実に電話番号をもらえるため、電話番号の入手に悩む必要がない。 ---前作では任意で彼女候補とのデートに持ち込めず、デートの約束を取り付けられるランダムイベントの発生を待つほかないという攻略に対してリアルラックを過多に要求する仕様であった。 ---前作は彼女にできるまでの期間が区切られた時限式の彼女候補が多かったことを考えればまさに二重苦の仕様であったが、本作の仕様変更により攻略がだいぶ楽になったと言える。 ---もともと本家ではそういうシステムであるので、本来そうであって当然と言えるシステムではあるのだが。前作が不自由すぎただけで…。 --もっとも、それで楽になったのはマネージャーズの彼女候補攻略だけであり、残り1名はその仕様変更をもってしてもなお極悪な攻略難易度なのだが……。詳しくは後述。 **監督モード --純粋な監督の視点で高校野球を楽しめるのはパワプロシリーズでは本作が初。 ---本作の影響かは分からないが前述のとおり後に本家でも似たようなモードが搭載されたことを考えると、本モードはおそらく当時のKONAMI内でも画期的なシステムではあったのだろう。 //そういえば、当時高校野球シミュレーションってこれとか前作より前に出たフリーゲームが流行ってたなあ…… --前述のとおり主人公の赴任した学校は新設校という設定なので、最初は1年生しかおらずマネージャーもいない。このあたりも微妙に後作に通ずる部分がある。 ---ちなみに野球部部長はシリーズおなじみのメガネ君のひとり「小山田」である。人望が下がりやすいのがメガネ君らしいというかなんというか……。 -モードの終了後、それまで部に在籍したことのある選手を選んでアレンジチームとして登録できる。 --各年度の優秀選手を選りすぐったオールスターを作ることももちろん可能。これをするとデフォルト登録されている代表校たちのチームランクを簡単に超える。 -散発的ながら年度ごとのイベントも存在するので、特に初回プレイでは長い期間プレイしてもだれにくいと思われること。 --最長10年というプレイ期間の都合もあり本家はもとよりキャプテンモードよりも密度は薄いが、部分部分ではそれなりにパワポケシリーズらしいイベントはある。 ---9年目からは急展開が始まり、結果次第でその後のメインキャラクターたちの行く末に大きな影響を与える。このあたりはパワポケシリーズらしい。 **その他全般 -試合にパワプロシリーズのような実況がついた --パワプロシリーズと比較しての実況パターンはやはりあまり多いとは言えないが、本作の発売時期がDS初期ということを考えれば頑張っているほう。 ---本家シリーズと違い170km/h超の最高球速を持つ現実にいたら化け物レベルの選手も作成可能な本作であるが、そんなありえない球速でもきちんと実況が驚いた様子で数値を告げてくれるのはパターンが少ないなりに芸が細かいところである。 --後述のつまらない試合の苦痛の軽減にも多少ながら役には立ってくれている。 -アルバムモードの追加 --これにより、各モードで一度見た後日談をいつでも見直せるようになった。 --そもそも前作ではアルバムモードどころかアルバム付きエンディング自体が存在しなかったので、よりパワポケらしくなったと言えるだろう。 -タイトルの「あつまれ!」の部分に恥じないネット対応部分の充実 --ゲームをWi-Fi接続しておけば、キャプテンモードおよび監督モードでリアルタイムに対戦ができる。 ---サクセス中にリアルタイムネット対戦ができるのはシリーズでも前例がなく、実験的・挑戦的かつ画期的なシステムと言えるだろう。その是非はともかく。 ---本作のネット対戦システムはプレイヤーが能動的に相手を選べるようなシステムではなく、サーバー側が同じWi-Fi接続中のプレイヤーを検索し、その相手との対戦を適時サクセスのスケジュール中に挟み込むという形で対戦相手が決定される仕組みである。 ---監督モードの際は通常では日数送りがされるだけの日にも挟み込まれるため、コマンド消費をすることなく育成に不可欠な実戦数を増やせるので育成にとっては重要。負ければもちろんマイナスの影響は出るので手放しにメリットとは言えないが。 ---動作自体は通信環境によってはややラグが発生するなどややもっさり気味だが、そこまで悪くはない。 --それ以外にも、前述のとおり本作にはWi-Fi対応の様々なモードがあり、Wi-Fiシステムを使った遊びの充実ぶりでは本家パワポケシリーズよりも上と言えるだろう。 -豊富なコレクションアイテムの収集要素 --収集要素とは言ってもアイテムごとのビジュアルや説明文はなく文字のみではあるが、とにかく種類が豊富である。 ---地域の特産品や野球の技術書といった比較的真面目なものから各種のホビーのようなネタ的なアイテムも多く、非常に集めて楽しい((ムカイ伝、極上メイデン、宇宙戦艦ヤマダなどの色々とアレな名前がところ狭しと並ぶのはある意味爽快ですらある。))。 ---それだけに『バグさえなければ』という声は多い。詳しくは問題点の項にて。 -サウンドスタッフは本家パワポケと共通のため、BGMは良曲が多い。大会予選BGM「背水の戦い」はそれらの中でも特に評価が高い。 --前述のとおり、一度聞いたBGMは記念館モードのマイルームでいつでも視聴可能。 *賛否両論点 **キャプテンモード -イベントにおける降坂の存在 --一連の強制連続イベントにおける全体的な骨子となるのが主人公よりもむしろ彼となっており、人によっては「もう降坂が主人公でいいんじゃないかな」と思ってしまうかもしれない。それほど目立つ。 ---一応主人公は主人公で色々あったりはするのだが、その大半が降坂絡みだったりするので降坂が主人公を食っていると言っても過言ではないだろう。正直、主人公は彼女攻略くらいでしか主人公していない。 ---主人公のライバル西崎も主人公と降坂の共通の友人兼ライバルという立ち位置であり、なおさらストーリーにおける主人公の存在価値が低くなっている。 ---参考までに、前作のライバルキャラであった五十嵐は主人公以外との絡みはなく、純粋に主人公のライバルであった。 -しかも、彼にはただの脇役・主人公の引き立て役と考えるにはさらに恵まれている事実もあったりする。 #region(そんな彼のさらに恵まれているところ(ネタバレ)) -彼は主人公があるマネージャー(彼女攻略対象)以外のキャラを彼女にすると最終的にはそのマネージャーとくっつく。おまけにその状態でのアルバム付き。 --このあたりも賛否が別れるところではあろう。そのマネージャーが最初は主人公になびいていたことを考えると余計に。同じ主人公の友人ポジションなのに女っ気ゼロのメガネ君が不憫すぎる。 #endregion **監督モード -全体的に難度が低い --予算・指導力・人望といったチーム力に大きく直結するパラメータを運任せながら任意で上げる方法が存在する((キャプテンモードでも本モードでそれができる場所に行くことはできるが、それらのパラメータを上げることはできない。))。当然、早くやればやるほどその後の展開は有利になる。 ---その方法の使用はあくまでも任意であるので、嫌なら使わないこともできる。 --キャプテンモードと違い試合時には選手への大まかな指示しかできないものの、攻撃では「ミート打ち」、守備では「外野前進」+「勝負」を選んでいれば運は絡むものの大抵の場合はなんとかなる。 ---詳しくは後述するが、簡単なのはワンプレイが長い本モードにおけるアルバム集めのための周回作業が楽になるという点ではメリットかもしれない。 ---条件によって選手が指示を聞かなかったり、そもそも指示が出せるようになる前の自動試合部分で大差がついてたりする場合もあるため負ける時は負けるが。 ---シリーズを通しても初めて搭載されたモードであるので、色々調整不足なところがあったのかもしれない。 **その他全般 -シナリオの黒さが本家パワポケシリーズに近づいた --本作は形式上とはいえパワポケシリーズとは無関係のソフトであり、もともとパワポケシリーズのシナリオの黒さ自体がやや人を選ぶものであるのでここでは賛否両論としておく。 ---もっとも、このゲームの購入層の大部分はパワポケシリーズのファンであろうが。 --キャプテンモードにおける彼女候補「白神先生」のシナリオで特にそれが顕著。 #region(開けたら真っ黒。重大なネタバレにつき注意) -養護教諭としてキャプテンモード主人公の高校に赴任してきた彼女ではあるが、その経緯がとても黒い。 //保険医というのは文脈から推測するとおそらく「保険室の先生」のことを指しているのでしょうが、保険室の先生の立場は「養護教諭」であるのが正しいです。保険医とは別物です。 --研修医の時代に教育担当の医者(男性・既婚者)と関係を持ち、その後彼が彼女との関係をうやむやにしようとして圧力をかけたため病院に居場所がなくなり主人公の高校へ逃げてきたという次第である。 ---ゲーム内では終始ぼかされた表現にとどまってはいるが、「よくCERO:Aで出せたな」というレベルである。パワポケシリーズでは今更なツッコミではあるが。 ---ぼかされた表現のためどちらから関係を持ちかけたのかは不明だが、テキストから推測すると件の医者が彼女を何らかの方法でだまして関係を持ったと考えられる。 ---ちなみに医者の子供は妊娠済みで、主人公はそれを承知で彼女を真正面から受け止めようとする。その結末についてはぜひとも実際にプレイして確かめてほしい。 -監督モードでも彼女は登場するが、こちらではキャプテンモードほど黒くはない。 --ただし子供は誕生済みながら父親については終始はぐらかされている。 --一応監督モードでも彼女の個別エンディングは存在する。そういう意味では恵まれているのかもしれない。 #endregion --シリーズによくあることではあるが、人が死ぬようになった(前作は死人ゼロ)。ただし本家のように非現実的な死に方はしない。 //前作にも共通するシリーズ全般の問題のため、前作の記事ができるまでの暫定記載 -チームの面子が固定化しやすい --本作は「栄冠ナイン」等とは違い選手の能力(名前と顔も)は選手ごとに固定されている。 ---そのため、使える選手はいつでも強く、そうでない選手はいつでもそのままなので強いチームを目指そうとするとどうしても毎回選手構成が似たようになってしまう。 ---逆に言えば、ある程度プレイすれば名前を見ただけで選手の能力が大体把握できるため分かりやすいといえば分かりやすいが。 ---一応、後述のゲームバランスのため弱い選手を集めても自動試合でもない限りはどうにかはなるのだが、完全に趣味の領域である。 ---自分の苗字と同じ苗字の選手が雑魚だと微妙に悲しかったりする。 *問題点 **キャプテンモード -サブイベントに関しては本当にどうでもいい内容が多く、パワポケシリーズらしからずあまり印象に残るものがない。 --一応、パワポケシリーズおなじみの「ドリル」ネタがあったり「のりか」がほんの少しだけ出たりはするのだが。 --地味に前作からイベントが追加されたり削除されたりもしているが、ほとんど分からない程度の違いしかなかったりするため大幅に強化されたメインシナリオと比べるとどうしても見劣りしてしまう。 -彼女候補数がやや少ない --本モードでの彼女候補は3名((参考までに、前作の彼女候補は最大5名である。))。本作は一応パワポケシリーズとは関係ないことになっているので本家のような濃密なギャルゲ的なものを望むこと自体があれなのかもしれないが。 ---ただし、前述のとおり前作の彼女候補は存在感があまりなかったので、数が少ない分イベント的に強化されて内容の密度自体はかなり上がってはいるとも言える。 ---前作の彼女候補は大多数がランダムでの登場のうえ出現するのはワンプレイ中最大3名までであるのに対し、本作ではマネージャーの2名は最初に必ず登場するようになったので改善している点もある -彼女候補「白神先生」の攻略難易度が極悪 #region(苦行の内容。攻略上のネタバレが多分に含まれ、かつ冗長気味なため格納) -まず、電話番号を入手する条件が「10月~12月の間に3回怪我をし、その後に発生するランダムイベントを待ちそのイベント中特定の選択肢を選ぶ」といった内容なのだが……。 --本作は怪我する確率が低め(体力0で最大故障率の練習をしても25%程度)なうえに日数経過で体力が回復する仕様なので、かなり怪我をしにくい。 --普通に進めれば1回も怪我しないで終わるのが当たり前の世界なので、それを3回、しかも3ヶ月という短い期間の間に連続で行うのはかなり難度が高い。 ---怪我の治療中も容赦なく体力は回復するうえ、さらに怪我が治った後のただでさえ短い制限期間の中でまた体力を減らす作業から始めないとならず、非常に辛い。 ---途中で挟まる秋季大会の日にも体力は回復し、さらに大会の試合日は体力も減らずランダムイベントの発生も起こらないので大会を真面目にやっている余裕などない。野球ゲームなのに……。 ---一応、その作業負担を低減する方法は存在するが、それをもってしてもそうそう怪我はしないのである。 ---怪我後のランダムイベントについては発生確率はそれほど低くなく、電話番号入手についてもそうそう入手しそこなうこともない選択肢内容であるのは救いであろうか。ランダムなので来ない時は来ないが。 -運良く電話番号を入手できても、アルバム登録のためには最低限6月中旬までに全てのデートイベントをこなさなくてはならない。 --その所要回数と言えば最低のべ19回と非常に多いため、チーム強化も自身の強化もそっちのけでデートを繰り返す必要がある。 --上記に加えて攻略に際しては特定のデート回数で特定のデートスポットを順番に回っていく必要があるため、前述の電話番号入手条件と相まってもはや攻略本なしでは攻略の入り口に立つことすら不可能なレベル。 ---「最低でも6ヶ月超あるなら余裕じゃないか」と思う方もいるかもしれないが、このゲームの仕様はそんなに甘くはないのである。 -この極悪さにさらに追い打ちをかけるのが、本作の「デートは基本1週間1回までで、実行は即日ではなく翌週以降。なおかつ試合等の定期イベントが入る日はデートの約束を断られる」という仕様である。 --これらに加えてイベントだけで一日が終わるタイプの強制イベントも期間中ちょくちょく挟まるため、実際にデートに使える日数は更に少ない。 ---その少なさたるや、電話番号を入手した時点~タイムリミットの6月中旬までの残りの期間からマイナス2ヶ月分程度の日数を引いた程度の日数しか使えないほどの少なさである。 ---19回のデートに必要な所要期間が1ヶ月をざっくり4週と考えても約5ヶ月かかるということを踏まえると、この期間の短さが少しでもお分かりいただけるのではないだろうか。 ---よって、前述の10月~12月という電話番号の入手猶予はイベント満了のためにはさらに短く、最遅でも11月の中旬には電話番号を入手しないとその後デートに全力を費やしてもほぼ時間切れ確定である。 -そして苦労の末にイベントを満了しても、夏の甲子園で優勝しなければアルバム登録はされない。 --もっとも、これは彼女固有の問題ではなく、本モードの彼女攻略におけるアルバム登録には基本的に全彼女共通で夏の甲子園優勝が必須条件となってはいるのだが。 --おそらくはデートにそれまでの全てを費やしているはずなのでチーム力は非常に低くならざるを得ず、そんな状態で甲子園の強敵たちに立ち向かっていくのは野球部分が簡単とは言えそれなりに難度は高い。 --しかもそんな先生に限ってアルバムが2種類あり、どちらも甲子園優勝しないと登録されないというマゾ仕様である。 -本家パワポケシリーズとは違いリセット許容回数は無限なもののリセットペナルティ自体は存在しており、しかもリセットの通算回数に比例してペナルティが増大していくシステムなのも攻略難度の高さに拍車をかけている。 --リセットペナルティで減少する数値の中には、0になると強制ゲームオーバーとなる「マジメ度」も含まれている。しかもマジメ度は攻略に必須のデートによってもモリモリ減っていくので更に厳しい。 -余談ではあるが、マネージャーのひとり「このみ」の攻略に際しても、発生率がさほど高くなく、なおかつ発生猶予期間が厳しめのランダムイベントを何度かこなさないといけない厳しい仕様となっている。 --もっとも、最初から確実に登場するうえに電話番号も早い段階で確実に入手できるため白神先生よりははるかにマシな攻略難易度である。 ---先生と違いエンディングも一種類のみなので、アルバム埋めのために苦行を複数回繰り返さなくてもいいという点も大きい。 #endregion --パワポケシリーズ経験者であれば『パワポケ6』の「秋本彩」のアルバムを全部埋めるくらいの攻略難易度と思えば分かりやすいかもしれない。それくらいの極悪さである。 -1プレイが長い --2年8月から3年8月までのまるまる1年間を1日1コマンドで進めていくため、本家パワポケと比較すると1プレイが非常に長い。 --パワポケでも1日1コマンドの作品は存在するが、期間自体が短かったり2ヶ月ほど飛ばしたりするなど長くなりすぎないよう調整されている。 --アルバムなどの収集要素の存在を考えると本作の長さはやはりマイナスだろう。 **監督モード -彼女攻略はできない --一応女性キャラは登場しており、十年目まで満了すればそれまでのイベント結果しだいで女性キャラたちとの最終結果が二つに分岐はする。 ---ただ、内容的には彼女攻略といった感じには程遠い。そもそも好感度の数値自体が存在しないといった体なので、キャプテンモードと同じノリを期待すると肩透かしを食う。 ---途中で女子マネージャーが入部してきたりもするが、彼女たちには大したイベントはない((それどころか、マネージャーのひとりは部員と結婚する。))。一名除いてアルバムもない(内容的に主人公は絡まない)。いい大人の主人公と現役JKのマネージャーが親密になるのはCERO:A的に色々と問題があるのかもしれないが……。 -投手が監督の指示を聞きにくい --監督モードの選手パラメータには「天狗レベル」というものがあり、これが高いと選手が試合中に監督の指示を聞きにくくなる(他には能力も上がりにくくなる)というものであるのだが……。 ---これが投手の場合はとにかくすぐ上がる。下げても試合があればあっという間に上がるので、特にチームのエースピッチャーは天狗レベルが常時マックスなのが日常であり、指示をあまり聞かなくなってしまう。 --特に、守備の際投手に投げるコースを指示できないのは影響が大きい。 ---本作は手動操作時に投手のスタミナがとにかく減りやすく、無駄球を投げるとあっという間にスタミナが枯渇する。 ---おまけにコントロールのあまり高くないピッチャーだとおまかせでは割と簡単に四球を出すので、負の無限ループに陥りやすくなり苦しくなる。打つ方の影響はそこまででもないのだが。 ---ではコンピュータはどうかというと、コンピュータの操作チームのコントロールはそこそこ以上を保っていることが多く、またスタミナも高い選手が多いのでこちらが相手投手を打ち込みでもしない限り滅多にそういうことにはならない。理不尽である。 --逆に専任野手は天狗レベルが下がりやすい傾向にあるので、天狗レベルの初期値が高い選手でもなければそういうことにはなりにくい。仮になっても影響は少ないのであまり問題にはならない。 **野球部分 -明らかに調整不足で完成度が低い。 --まず、とにかくホームランが出ない。甲子園はおろか地方球場レベルでもそれは顕著。 ---パワーAのパワーヒッター持ちがスローボールを思いっきり引っ張ってやっと地方球場の観客席に入るか入らないかのレベル。それより広い甲子園であれば言うまでもない。 ---そのため強振はほぼ使い物にならない。安定して勝利を求めるならミート打ち一択である。 --打球速度が遅いので、外野はよほど深い位置に上がったフライでなければ前進守備でも余裕で頭上越えのフライに追いつけるうえ、前進守備ならポテンヒットも防げる。 ---かなり出にくいとはいえ、外野前進であれば条件によっては『パワポケ7』でおなじみセンター前ヒット2塁封殺も出る。 ---そのため、外野守備は前進守備一択で安定。これについては公式ガイドブックにも外野の頭を越されることなど滅多にないから前進守備が良いと記載されているほど。 ---逆にコンピュータに外野前進をされると途端にヒットが出にくくなる。打者のパワーが低いと外野前進を行いやすくなるため、ある程度パワーは上げておいた方がいい。 ---余談だが、野手のベースランが遅く、かつ守備シフトが入力後一瞬でシフトの定位置に移動するという本家前半ナンバリングタイトルの守備仕様と同様の仕様である都合上、バントは奇襲かエンドランででも使わないと走者はほぼ確実に進塁先で封殺される。 --十字ボタンでミートカーソルを動かすことを前提としているからか、球速の体感速度は遅い。150km/h超の表示でもかなり遅く感じるレベル。 ---なので、手動でカーソルを合わせやすく、ミート打ちと併用すると慣れれば簡単にヒットが出る。 --キャッチャー後方とバックフェンスの間が異常に狭く、三塁走者がパスボールやワイルドピッチで本塁に突っ込んでも余裕でアウトにされる。 ---当然、キャッチャーファールフライもめったに出ない。 --極端な話、ミートカーソル、あとはパワーと走力を多少上げておけば後の野手能力は上げる必要皆無なレベルである。センターラインに関しては守備も上げておくとポテンヒットや内野安打、打球の頭上超えを多少防ぎやすくはなるが。 ---投手能力に関しては、とりあえずスタミナとコントロールさえ上げておけばあとは守備シフトの調整で守備は何とかなる。球速や変化球など飾り。 -コンピュータの決定する自動オーダーでは打撃力が重視されている(公式攻略本より)らしく、守備位置がめちゃくちゃに配置されている。 --本来の適正ポジションと全く関係のない守備位置に選手が配置されているのは日常茶飯事で、ひどいときには投手能力のない野手を投手として配置していたりする。 ---毎回そんな適当さで試合前のオーダーが決定されるので、試合前にいちいち守備位置にあわせたポジションチェンジを手動で行わなければならず非常に煩わしい。 ---これはコンピュータの担当チームでも同様であり、なおかつ本作のコンピュータは投手交代時でもなければ積極的な守備位置修正を行ってこないため、特にセンターラインの守備担当が本来の適正ポジションでない選手だとあからさまにヒットが出やすくなり、本作の難易度の低さに拍車をかけている。 -初回版では試合中に特定の選手が打球を処理するとフリーズするバグが存在する(ベスト版では修正)。 --セーブせずにリセットするとペナルティを受ける仕様と相まってプレイヤーには大きなストレスとなる。 -上記以外にも書ききれないほどの問題点があるが、とにかく野球部分は全体的に完成度が劣悪でプレイしていてあまり楽しくなく、勝つ事自体は簡単なので作業的になりやすい。 --もっとも、簡単にクリアできるというのは人によっては利点となり得る部分ではあるが。 --前述のとおり、監督モードでもミート打ちと外野前進が猛威を振るう。それでいいのだろうか。 **その他 -監督モードをクリアするとコレクションルームに収集された特産品等の収集物が全て消えるというバグがある(ベスト版では修正)。 --目玉要素の一つがこの体たらくであるので初回版の発売当初は真っ先に本作批判の槍玉として挙げられており、実際に本作の評価を大きく下げる一因ともなった。 *総評 -前作から大幅進化した内容で画期的な部分もあり内に秘めたポテンシャルは高かったが、致命的なバグ(初回版のみ)の存在と各所の調整不足により良作とは言いがたい出来になってしまった惜しい一品である。 --ただし、バグ部分を除けば満場一致のクソというほどひどい出来でもないのは救いであろうか。 --パワポケとしては明らかに薄味で、かと言って野球部分の出来が良いわけでもないどっちつかずの作品となってしまっている。 --本作の評価・売上を反映してか、パワポケ甲子園シリーズは今作の後にはリリースされていない。 ---補足しておくと、後にDSで出た[[熱闘!パワフル甲子園]]と本作とは色々な意味で別物である。実際に両方共プレイすればそれはよく理解できるだろう。 --ベスト版ではコレクション消滅バグや試合中のフリーズが修正されているので、今から買うならそちら一択である。そもそも初回版は中古ですらあまり見なくなっている。 ---バグ修正以外の部分については初回版とまったく同様であることには留意のこと。 *余談 -本作の公式攻略本が存在するが、登録条件が非常に分かりにくいものが複数ある本作アルバムモードのアルバム登録条件についてはほとんど記載が無いため、その点においては非常に不評である。 --一応全てのアルバム登録条件は攻略本以外の部分で判明してはいるが、折角の攻略本なのでアルバム登録条件も全て載せていただきたかったところではある。 ---本家パワポケシリーズの攻略本ではアルバム登録条件は一部例外を除いて基本的にフル公開されていることを考えるとなおさら……。
#contents() ---- *あつまれ!パワプロクンのDS甲子園 【あつまれ!ぱわぷろくんのでぃーえすこうしえん】 |ジャンル|育成シミュレーション野球ゲーム(公式サイトより)|&amazon(B000FIIEJ6)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|512MbitDSカード|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント(パワプロプロダクション)|~| |発売日|2006年8月3日|~| |定価|5,229円(税込)|~| |廉価版|コナミ・ザ・ベスト:2007年7月26日/2,940円(税込)|&amazon(B000R3P4WE)| |判定|なし|~| |ポイント|前作『[[パワポケ甲子園]]』のアッパーバージョン&br()「あつまれ!」の冠に恥じずWi-Fi対応要素は充実&br()前作ではやや薄口だった各種イベントはいろんな意味でパワポケ的に強化&br()初回版はバグで豊富な収集要素が活かせない&br()ホームラン出ねえ。外野前進最強。そんな野球である&br()実はパワポケシリーズの作品ではない&br()|~| |>|>|CENTER:''[[実況パワフルプロ野球シリーズリンク>実況パワフルプロ野球シリーズ]]''| **概要 -前作『[[パワポケ甲子園]]』をベースに大幅な要素追加を施した事実上の前作の続編で完全版。完全版らしく内容も盛りだくさんである。 --その中の一つとして、「監督モード」という自らが監督となって選手のスカウトや育成を行うという、のちの本家シリーズの「栄冠ナイン」や[[熱闘!パワフル甲子園]]に繋がるモードを搭載した。 ---ついでにシナリオもパワポケシリーズに近づいた。ただし全体的には本家ほど濃さも黒さもない。もちろん例外はあるが…。 --また、Wi-Fi通信による育成中のリアルタイムネット対戦対応というパワポケシリーズどころか本家と比較してもかなり画期的な要素を搭載。 --更には、サクセスを通じて各県の特産品および玩具やアニメDVD等のオタクアイテムを収集する要素もある。 ---これだけを見るとかなり期待感が持てそうな感じではあるのだが……。詳しくは後述。 -本作はパワポケシリーズのスタッフが関わって制作はされているものの形式上パワポケシリーズとは無関係の作品である((前作同様、パワポケシリーズ本編とのストーリー的なつながりは一切ない。))。ただし、本稿では便宜上パワポケシリーズの一つとして取り扱う。 --パワポケシリーズのスタッフが関わっているとは言っても、シリーズ主要スタッフの大部分は本作制作にノータッチである((一応、井上・東山両氏といった最初期スタッフのうちの数名は制作に関わっている。))。 --スタッフクレジット内でもパワポケチーム関係者個人の名前はあるものの、制作:パワポケチームの表記はない。 **ストーリー ***キャプテンモード --2年生の夏の大会も終わった頃。野球部員の主人公はある日の夜、謎の占い師に『あなたは野球部のキャプテンになり甲子園で大活躍する』と焚き付けられる。奇しくも、ちょうど翌日は野球部新キャプテンの任命日であった。 --しかし、彼の淡い期待とは裏腹にキャプテンに任命されたのは彼の友人である「降坂」であった。申し分ない実力の持ち主である彼のキャプテン就任には、とうの主人公でさえ納得せざるを得なかったのである。 --占いの結果とは裏腹に、主人公はこのまま野球部の一部員として埋没していくだけかに思われたが……。 ***監督モード --主人公は、仕事もなく、金にも窮乏していつも腹をすかせているうだつの上がらない男であった。 --ある日、彼の住むアパートが火事に遭い、彼は住む家を失ってしまう。 --仕事どころか家も失い途方に暮れる主人公のもとにかかってきたのは一本の電話。それは彼の友人である「小山田」からのものであった --仕事を用意したと言う彼のもとへ向かった主人公が見たのは真新しい校舎が眩しい新設校であった。小山田の用意した仕事とは、主人公の野球経験を買っての寮住み込みでの野球部監督業であった。 --こうして、野球に関わって生きることを諦めていた主人公の第二の野球人生が始まった。再び甲子園という場所を目指す、その長く苦しく、そして輝かしい旅が今始まる。 -その他のモードについてはストーリーは存在しないため割愛。 **システム -ここでは、本作の2大モードであるキャプテンモードと監督モードのシステムを中心に解説する。 --なお、本作の能力値成長システムは変化球を除いた全ての能力値が所定の内部数値が溜まった時点でダイレクトに上下するシステムとなっている(変化球は経験点を使用)。初期のパワプロシリーズにやや近い仕様。 ---この仕様は主人公のも含めた全キャラ共通。 ---特殊能力の取得はイベントないし特定の練習における練習回数ボーナスにより取得するシステムである。特殊変化球取得についても同様。 ***キャプテンモード -各種の練習や仲間たちとの私的な交流を通じ自身や仲間を成長させ、甲子園に出場することが本モードの目的。 --春あるいは夏の甲子園大会に出場できなかった場合、ゲームオーバーとなる。主人公の「マジメ度」というパラメータが0になってもゲームオーバー。 -本モード最大の特徴として「スカウトシステム」が存在する。これは仲間やマネージャーに依頼し野球部に入ってもらえそうな人物を探してもらうというシステム。 --正直なところ本モードの初期部員は「ザコ選手」((固有キャラの抽選に外れた際の穴埋め要員。各種のプラス補正はかかるがそれらをもってしてもなお総じてかなりの低能力。))を始めとして能力が低めなことが多いため、チーム強化にスカウトは欠かせない。また、威圧感や超特殊能力を持っている強力な部員は最初からいないので、スカウトで運よく引き当てるしかない。 ---中にはスカウトでしか入部しない、強い選手であれば文字通りのチートクラスな超強力能力を持った「都道府県限定のスカウト選手」も存在する。 ---あるいは、ひとりないし仲間と出かけた時にもスカウトイベントが発生することもある。 --スカウトシステムは主人公がキャプテンにならないと開放されないので、開始直後は使えない。 -血液型について --本作では部員や彼女候補に血液型が設定されており、最初に主人公の血液型を決めることができる。血液型には相性がありA型とO型、B型とAB型の組み合わせは相性が良く、逆にA型とB型、O型とAB型の組み合わせは相性が悪い。 -その他、女の子たちとのデートなど本家的な要素も存在する。 -なお、本モードは2年目の9月から開始され、カレンダーは一日刻みで進行する。 ***監督モード -こちらのクリア条件は2種類あり、それぞれ「甲子園に一度でも出場した上で監督評価を0にすること」「十年目の夏の大会を終了すること」となる。 --ゲームオーバー条件は「一度も甲子園に出場しないうちに監督評価が0になること」の一点のみ。正直なところ、キャプテンモードよりはゲームオーバーになりにくい。 -本モードでは主人公である野球部監督に「こづかい」が存在し、それを使って各種の買い物や部員への施しを行っていく。 --マイナスになってもゲームオーバーにはならないが、マイナスの間はどこかに出かけることはできなくなる。 -キャプテンモードとは違い本モードにスカウトシステムは存在せず部員の更新は年度ごとの新入部員入部のみであるが、キャプテンモードのスカウト部員も普通に入部してくる。 -詳細は後述するが、本モードにおいては彼女攻略的なことはできない。 -本モードでは月曜と土曜のみコマンド入力が可能であり、その間の日は自動スキップされる。 --ただし、自動スキップされる日でもランダムイベント等の各種イベントは発生する。 ***その他全般 -Wi-Fi選手権モード --「選手権ポイント」という本モード独自のポイントを試合により貯めていき選手を強化していくモード。名前の通りWi-Fi対戦対応である。 ---一応、一人プレイにも対応。その場合はWi-Fi対戦時よりも入手できる選手権ポイントが少なくなるが…。 ---新規チームのみならずキャプテンモードや監督モードで作ったチームを使ってもプレイできるが、その場合試合で入手できる選手権ポイントは新規チームより格段に少なくなる。 --余談ではあるが、本モードのナビゲーターを務めるのは前作に登場したマネージャーのうちのひとりである「新城美沙」であり、勝ち抜いていくと僅かながら彼女との絡みが発生したりする。 ---余談の余談として、彼女の名を冠した写真集やDVDが本作のコレクションアイテム内に存在することを考えると、本作での彼女はそれなりに名の通ったモデルなのかもしれない。 -記念館 --各モードで鑑賞済みのアルバム閲覧モードや、コレクションアイテムの鑑賞や一度聞いたBGMの視聴ができる「マイルーム」モードが存在。入部させたことのある仲間の詳細を見ることができる「選手名鑑」もある。 -通信広場 --ローカルおよびWi-Fi通信に対応したもので、箱庭型のフィールド内でパワポケくん型定形アバターを移動させて同時接続している他のプレイヤーとのチャットが可能。 ---チャットは定型文・自由入力のどちらにも対応。あらかじめ用意されたものではあるがボイスも出る。 ---他にも、本モードも含めた各モードで手に入る専用ポイントを使ったプレイヤー間のコレクションアイテムのトレードも可能((トレードは現物どうしで行われ、ポイントは現物に設定されたランク差の補正に使用される仕組み。))。 ---本モードはおそらく本作の目玉の一つと目されており、実際にDSソフトの通信要素としては色々と力の入った出来ではあったが……。 ---コレクションアイテム収集時のバグのため、大きな交流要素であるトレードシステムが実質有名無実化したのが非常に痛かった。バグの詳細については後述。 -通常の野球試合等、その他のモードについてはの詳細は割愛。 **評価点 ***キャプテンモード -それなりに充実した各種のストーリーライン --メインストーリーにおいては、前述のとおり本作キャプテンモードの主人公は最初はキャプテンではなく、諸般の事情により途中からキャプテンを引き継ぐこととなる。 ---最初からキャプテンでありその後は部内に関してはほぼ順風満帆でその後もイベントらしいイベントはライバルとの関わりだけという前作の主人公とはだいぶ違う立場である。 ---彼の友人であり最初のキャプテンである「降坂」に起こった出来事と、それを通じた彼の変節や周囲の人物たちとの関わりがメインストーリーの見どころの一つとなっている。後述の問題もあるが…。 ---全体的には挫折からの再起を描いた無難な青春モノとしてまとまってはいる。パワポケ的な黒さは薄い(多少下ネタはあるが)。 --彼女候補は3人と少ないがイベント自体はなかなかバラエティ豊か。 ---内容はオーソドックスな恋愛物語から、アレなパワポケ臭の漂うシナリオなど幅は広い。 ---前作の彼女候補は見た目や性格の違いこそ存在するもののシナリオらしい個別シナリオが存在しなかったため、前作との比較において純粋な改良点と言えるだろう。 -一通りは整備されたシステム周り --前作をベースに細かい改良・機能追加等が施されており、基本的なプレイをするぶんにはそれほど問題のないシステムである。当たり前のことではあるが、ストレスを感じにくいという点では評価に値するだろう。 ---もっとも、イベント短縮機能がほとんど役に立たない等の問題もあるにはあるが。 --前作と比較してのからの大きな改良点としては、電話番号を入手しさえすれば任意のタイミングで彼女候補をデートに誘えるようになったことだろうか。 ---特にマネージャーズに関しては定期イベントで確実に電話番号をもらえるため、電話番号の入手に悩む必要がない。 ---前作では任意で彼女候補とのデートに持ち込めず、デートの約束を取り付けられるランダムイベントの発生を待つほかないという攻略に対してリアルラックを過多に要求する仕様であった。 ---前作は彼女にできるまでの期間が区切られた時限式の彼女候補が多かったことを考えればまさに二重苦の仕様であったが、本作の仕様変更により攻略がだいぶ楽になったと言える。 ---もともと本家ではそういうシステムであるので、本来そうであって当然と言えるシステムではあるのだが。前作が不自由すぎただけで…。 --もっとも、それで楽になったのはマネージャーズの彼女候補攻略だけであり、残り1名はその仕様変更をもってしてもなお極悪な攻略難易度なのだが……。詳しくは後述。 ***監督モード --純粋な監督の視点で高校野球を楽しめるのはパワプロシリーズでは本作が初。 ---本作の影響かは分からないが前述のとおり後に本家でも似たようなモードが搭載されたことを考えると、本モードはおそらく当時のKONAMI内でも画期的なシステムではあったのだろう。 //そういえば、当時高校野球シミュレーションってこれとか前作より前に出たフリーゲームが流行ってたなあ…… --前述のとおり主人公の赴任した学校は新設校という設定なので、最初は1年生しかおらずマネージャーもいない。このあたりも微妙に後作に通ずる部分がある。 ---ちなみに野球部部長はシリーズおなじみのメガネ君のひとり「小山田」である。人望が下がりやすいのがメガネ君らしいというかなんというか……。 -モードの終了後、それまで部に在籍したことのある選手を選んでアレンジチームとして登録できる。 --各年度の優秀選手を選りすぐったオールスターを作ることももちろん可能。これをするとデフォルト登録されている代表校たちのチームランクを簡単に超える。 -散発的ながら年度ごとのイベントも存在するので、特に初回プレイでは長い期間プレイしてもだれにくいと思われること。 --最長10年というプレイ期間の都合もあり本家はもとよりキャプテンモードよりも密度は薄いが、部分部分ではそれなりにパワポケシリーズらしいイベントはある。 ---9年目からは急展開が始まり、結果次第でその後のメインキャラクターたちの行く末に大きな影響を与える。このあたりはパワポケシリーズらしい。 ***その他全般 -試合にパワプロシリーズのような実況がついている --パワプロシリーズと比較しての実況パターンはやはりあまり多いとは言えないが、本作の発売時期がDS初期ということを考えれば頑張っているほう。 ---本家シリーズと違い170km/h超の最高球速を持つ現実にいたら化け物レベルの選手も作成可能な本作であるが、そんなありえない球速でもきちんと実況が驚いた様子で数値を告げてくれるのはパターンが少ないなりに芸が細かいところである。 --後述のつまらない試合の苦痛の軽減にも多少ながら役には立ってくれている。 -アルバムモードの追加 --これにより、各モードで一度見た後日談をいつでも見直せるようになった。 --そもそも前作ではアルバムモードどころかアルバム付きエンディング自体が存在しなかったので、よりパワポケらしくなったと言えるだろう。 -タイトルの「あつまれ!」の部分に恥じないネット対応部分の充実 --ゲームをWi-Fi接続しておけば、キャプテンモードおよび監督モードでリアルタイムに対戦ができる。 ---サクセス中にリアルタイムネット対戦ができるのはシリーズでも前例がなく、実験的・挑戦的かつ画期的なシステムと言えるだろう。その是非はともかく。 ---本作のネット対戦システムはプレイヤーが能動的に相手を選べるようなシステムではなく、サーバー側が同じWi-Fi接続中のプレイヤーを検索し、その相手との対戦を適時サクセスのスケジュール中に挟み込むという形で対戦相手が決定される仕組みである。 ---監督モードの際は通常では日数送りがされるだけの日にも挟み込まれるため、コマンド消費をすることなく育成に不可欠な実戦数を増やせるので育成にとっては重要。負ければもちろんマイナスの影響は出るので手放しにメリットとは言えないが。 ---動作自体は通信環境によってはややラグが発生するなどややもっさり気味だが、そこまで悪くはない。 --それ以外にも、前述のとおり本作にはWi-Fi対応の様々なモードがあり、Wi-Fiシステムを使った遊びの充実ぶりでは本家パワポケシリーズよりも上と言えるだろう。 -豊富なコレクションアイテムの収集要素 --収集要素とは言ってもアイテムごとのビジュアルや説明文はなく文字のみではあるが、とにかく種類が豊富である。 ---地域の特産品や野球の技術書といった比較的真面目なものから各種のホビーのようなネタ的なアイテムも多く、非常に集めて楽しい((ムカイ伝、極上メイデン、宇宙戦艦ヤマダなどの色々とアレな名前がところ狭しと並ぶのはある意味爽快ですらある。))。 ---それだけに『バグさえなければ』という声は多い。詳しくは問題点の項にて。 -サウンドスタッフは本家パワポケと共通のため、BGMは良曲が多い。大会予選BGM「背水の戦い」はそれらの中でも特に評価が高い。 --前述のとおり、一度聞いたBGMは記念館モードのマイルームでいつでも視聴可能。 -サクセスの最初で高校の名前や校旗を自分で設定できる。 -作成した選手をアレンジする時に顔を変えることができ、その種類が豊富。 --中には彼女候補などの女性キャラの顔も。 **賛否両論点 ***キャプテンモード -イベントにおける降坂の存在 --一連の強制連続イベントにおける全体的な骨子となるのが主人公よりもむしろ彼となっており、人によっては「もう降坂が主人公でいいんじゃないかな」と思ってしまうかもしれない。それほど目立つ。 ---一応主人公は主人公で色々あったりはするのだが、その大半が降坂絡みだったりするので降坂が主人公を食っていると言っても過言ではないだろう。正直、主人公は彼女攻略くらいでしか主人公していない。 ---主人公のライバル西崎も主人公と降坂の共通の友人兼ライバルという立ち位置であり、なおさらストーリーにおける主人公の存在価値が低くなっている。 ---参考までに、前作のライバルキャラであった五十嵐は主人公以外との絡みはなく、純粋に主人公のライバルであった。 -しかも、彼にはただの脇役・主人公の引き立て役と考えるにはさらに恵まれている事実もあったりする。 #region(そんな彼のさらに恵まれているところ(ネタバレ)) -彼は主人公があるマネージャー(彼女攻略対象)以外のキャラを彼女にすると最終的にはそのマネージャーとくっつく。おまけにその状態でのアルバム付き。 --このあたりも賛否が分かれるところではあろう。そのマネージャーが最初は主人公になびいていたことを考えると余計に。同じ主人公の友人ポジションなのに女っ気ゼロのメガネ君が不憫すぎる。 #endregion ***監督モード -全体的に難度が低い --予算・指導力・人望といったチーム力に大きく直結するパラメータを運任せながら任意で上げる方法が存在する((キャプテンモードでも本モードでそれができる場所に行くことはできるが、それらのパラメータを上げることはできない。))。当然、早くやればやるほどその後の展開は有利になる。 ---その方法の使用はあくまでも任意であるので、嫌なら使わないこともできる。 --キャプテンモードと違い試合時には選手への大まかな指示しかできないものの、攻撃では「ミート打ち」、守備では「外野前進」+「勝負」を選んでいれば運は絡むものの大抵の場合はなんとかなる。 ---詳しくは後述するが、簡単なのはワンプレイが長い本モードにおけるアルバム集めのための周回作業が楽になるという点ではメリットかもしれない。 ---条件によって選手が指示を聞かなかったり、そもそも指示が出せるようになる前の自動試合部分で大差がついてたりする場合もあるため負ける時は負けるが。 ---シリーズを通しても初めて搭載されたモードであるので、色々調整不足なところがあったのかもしれない。 ***その他全般 -シナリオの黒さが本家パワポケシリーズに近づいた --本作は形式上とはいえパワポケシリーズとは無関係のソフトであり、もともとパワポケシリーズのシナリオの黒さ自体がやや人を選ぶものであるのでここでは賛否両論としておく。 ---もっとも、このゲームの購入層の大部分はパワポケシリーズのファンであろうが。 --キャプテンモードにおける彼女候補「白神先生」のシナリオで特にそれが顕著。 #region(開けたら真っ黒。重大なネタバレにつき注意) -養護教諭としてキャプテンモード主人公の高校に赴任してきた彼女ではあるが、その経緯がとても黒い。 //保険医というのは文脈から推測するとおそらく「保険室の先生」のことを指しているのでしょうが、保険室の先生の立場は「養護教諭」であるのが正しいです。保険医とは別物です。 --研修医の時代に教育担当の医者(男性・既婚者)と関係を持ち、その後彼が彼女との関係をうやむやにしようとして圧力をかけたため病院に居場所がなくなり主人公の高校へ逃げてきたという次第である。 ---ゲーム内では終始ぼかされた表現にとどまってはいるが、「よくCERO:Aで出せたな」というレベルである。パワポケシリーズでは今更なツッコミではあるが。 ---ぼかされた表現のためどちらから関係を持ちかけたのかは不明だが、テキストから推測すると件の医者が彼女を何らかの方法でだまして関係を持ったと考えられる。 ---ちなみに医者の子供は妊娠済みで、主人公はそれを承知で彼女を真正面から受け止めようとする。その結末についてはぜひとも実際にプレイして確かめてほしい。 -監督モードでも彼女は登場するが、こちらではキャプテンモードほど黒くはない。 --ただし子供は誕生済みながら父親については終始はぐらかされている。 --一応監督モードでも彼女の個別エンディングは存在する。そういう意味では恵まれているのかもしれない。 #endregion --シリーズによくあることではあるが、人が死ぬようになった(前作は死人ゼロ)。ただし本家のように非現実的な死に方はしない。 //前作にも共通するシリーズ全般の問題のため、前作の記事ができるまでの暫定記載 -チームの面子が固定化しやすい --本作は「栄冠ナイン」等とは違い選手の能力(名前と顔も)は選手ごとに固定されている。 ---そのため、使える選手はいつでも強く、そうでない選手はいつでもそのままなので強いチームを目指そうとするとどうしても毎回選手構成が似たようになってしまう。 ---逆に言えば、ある程度プレイすれば名前を見ただけで選手の能力が大体把握できるため分かりやすいといえば分かりやすいが。 ---顔が同じで髪色が違う選手が多いというのも手抜き感がある。 ---一応、後述のゲームバランスのため弱い選手を集めても自動試合でもない限りはどうにかはなるのだが、完全に趣味の領域である。 ---自分の苗字と同じ苗字の選手が雑魚だと微妙に悲しかったりする。よくある名前(佐藤、鈴木など)だと尚更。 **問題点 ***キャプテンモード -サブイベントに関しては本当にどうでもいい内容が多く、パワポケシリーズらしからずあまり印象に残るものがない。 --一応、パワポケシリーズおなじみの「ドリル」ネタがあったり「のりか」がほんの少しだけ出たりはするのだが。 --地味に前作からイベントが追加されたり削除されたりもしているが、ほとんど分からない程度の違いしかなかったりするため大幅に強化されたメインシナリオと比べるとどうしても見劣りしてしまう。 -血液型の存在について --特に優遇されているのがO型。部員は全体的にA型が多く好感度が上げやすいためマイナスイベントが起こりにくく、更に野球超人伝が簡単に手に入る彼女がA型なため他と比べて圧倒的有利である。その為、超特殊能力を持った強い選手を育成する場合はO型一択となる。 --逆に冷遇されているのがB型であり、部員の好感度を上げにくく、&bold(){AB型の彼女は存在しない}ため最初に選ぶメリットはほとんどない。 --監督モードでは無意味なため、ただの飾りと化している。 --上記のような差別点が生まれるなら最初から設定しなかった方がいいのではという意見も多い。 -彼女候補数がやや少ない --本モードでの彼女候補は3名((参考までに、前作の彼女候補は最大5名である。))。本作は一応パワポケシリーズとは関係ないことになっているので本家のような濃密なギャルゲ的なものを望むこと自体があれなのかもしれないが。 ---ただし、前述のとおり前作の彼女候補は存在感があまりなかったので、数が少ない分イベント的に強化されて内容の密度自体はかなり上がってはいるとも言える。 ---前作の彼女候補は大多数がランダムでの登場のうえ出現するのはワンプレイ中最大3名までであるのに対し、本作ではマネージャーの2名は最初に必ず登場するようになったので改善している点もある -彼女候補「白神先生」の攻略難易度が極悪 #region(苦行の内容。攻略上のネタバレが多分に含まれ、かつ冗長気味なため格納) -まず、電話番号を入手する条件が「10月~12月の間に3回怪我をし、その後に発生するランダムイベントを待ちそのイベント中特定の選択肢を選ぶ」といった内容なのだが……。 --本作は怪我する確率が低め(体力0で最大故障率の練習をしても25%程度)なうえに日数経過で体力が回復する仕様なので、かなり怪我をしにくい。 --普通に進めれば1回も怪我しないで終わるのが当たり前の世界なので、それを3回、しかも3ヶ月という短い期間の間に連続で行うのはかなり難度が高い。 ---怪我の治療中も容赦なく体力は回復するうえ、さらに怪我が治った後のただでさえ短い制限期間の中でまた体力を減らす作業から始めないとならず、非常に辛い。 ---途中で挟まる秋季大会の日にも体力は回復し、さらに大会の試合日は体力も減らずランダムイベントの発生も起こらないので大会を真面目にやっている余裕などない。野球ゲームなのに……。 ---一応、その作業負担を低減する方法は存在するが、それをもってしてもそうそう怪我はしないのである。 ---怪我後のランダムイベントについては発生確率はそれほど低くなく、電話番号入手についてもそうそう入手しそこなうこともない選択肢内容であるのは救いであろうか。ランダムなので来ない時は来ないが。 -運良く電話番号を入手できても、アルバム登録のためには最低限6月中旬までに全てのデートイベントをこなさなくてはならない。 --その所要回数と言えば最低のべ19回と非常に多いため、チーム強化も自身の強化もそっちのけでデートを繰り返す必要がある。 --上記に加えて攻略に際しては特定のデート回数で特定のデートスポットを順番に回っていく必要があるため、前述の電話番号入手条件と相まってもはや攻略本なしでは攻略の入り口に立つことすら不可能なレベル。 ---「最低でも6ヶ月超あるなら余裕じゃないか」と思う方もいるかもしれないが、このゲームの仕様はそんなに甘くはないのである。 -この極悪さにさらに追い打ちをかけるのが、本作の「デートは基本1週間1回までで、実行は即日ではなく翌週以降。なおかつ試合等の定期イベントが入る日はデートの約束を断られる」という仕様である。 --これらに加えてイベントだけで一日が終わるタイプの強制イベントも期間中ちょくちょく挟まるため、実際にデートに使える日数は更に少ない。 ---その少なさたるや、電話番号を入手した時点~タイムリミットの6月中旬までの残りの期間からマイナス2ヶ月分程度の日数を引いた程度の日数しか使えないほどの少なさである。 ---19回のデートに必要な所要期間が1ヶ月をざっくり4週と考えても約5ヶ月かかるということを踏まえると、この期間の短さが少しでもお分かりいただけるのではないだろうか。 ---よって、前述の10月~12月という電話番号の入手猶予はイベント満了のためにはさらに短く、最遅でも11月の中旬には電話番号を入手しないとその後デートに全力を費やしてもほぼ時間切れ確定である。 -そして苦労の末にイベントを満了しても、夏の甲子園で優勝しなければアルバム登録はされない。 --もっとも、これは彼女固有の問題ではなく、本モードの彼女攻略におけるアルバム登録には基本的に全彼女共通で夏の甲子園優勝が必須条件となってはいるのだが。 --おそらくはデートにそれまでの全てを費やしているはずなのでチーム力は非常に低くならざるを得ず、そんな状態で甲子園の強敵たちに立ち向かっていくのは野球部分が簡単とは言えそれなりに難度は高い。 --しかもそんな先生に限ってアルバムが2種類あり、どちらも甲子園優勝しないと登録されないというマゾ仕様である。 -本家パワポケシリーズとは違いリセット許容回数は無限なもののリセットペナルティ自体は存在しており、しかもリセットの通算回数に比例してペナルティが増大していくシステムなのも攻略難度の高さに拍車をかけている。 --リセットペナルティで減少する数値の中には、0になると強制ゲームオーバーとなる「マジメ度」も含まれている。しかもマジメ度は攻略に必須のデートによってもモリモリ減っていくので更に厳しい。 -余談ではあるが、マネージャーのひとり「このみ」の攻略に際しても、発生率がさほど高くなく、なおかつ発生猶予期間が厳しめのランダムイベントを何度かこなさないといけない厳しい仕様となっている。 --もっとも、最初から確実に登場するうえに電話番号も早い段階で確実に入手できるため白神先生よりははるかにマシな攻略難易度である。 ---先生と違いエンディングも一種類のみなので、アルバム埋めのために苦行を複数回繰り返さなくてもいいという点も大きい。 #endregion --パワポケシリーズ経験者であれば『パワポケ6』の「秋本彩」のアルバムを全部埋めるくらいの攻略難易度と思えば分かりやすいかもしれない。それくらいの極悪さである。 -1プレイが長い --2年8月から3年8月までのまるまる1年間を1日1コマンドで進めていくため、本家パワポケと比較すると1プレイが非常に長い。 --パワポケでも1日1コマンドの作品は存在するが、期間自体が短かったり2ヶ月ほど飛ばしたりするなど長くなりすぎないよう調整されている。 --アルバムなどの収集要素の存在を考えると本作の長さはやはりマイナスだろう。 ***監督モード -彼女攻略はできない --一応女性キャラは登場しており、十年目まで満了すればそれまでのイベント結果しだいで女性キャラたちとの最終結果が二つに分岐はする。 ---ただ、内容的には彼女攻略といった感じには程遠い。そもそも好感度の数値自体が存在しないといった体なので、キャプテンモードと同じノリを期待すると肩透かしを食う。 ---途中で女子マネージャーが入部してきたりもするが、彼女たちには大したイベントはない((それどころか、マネージャーのひとりは部員と結婚する。))。一名除いてアルバムもない(内容的に主人公は絡まない)。いい大人の主人公と現役JKのマネージャーが親密になるのはCERO:A的に色々と問題があるのかもしれないが……。 -投手が監督の指示を聞きにくい --監督モードの選手パラメータには「天狗レベル」というものがあり、これが高いと選手が試合中に監督の指示を聞きにくくなる(他には能力も上がりにくくなる)というものであるのだが……。 ---これが投手の場合はとにかくすぐ上がる。下げても試合があればあっという間に上がるので、特にチームのエースピッチャーは天狗レベルが常時マックスなのが日常であり、指示をあまり聞かなくなってしまう。 --特に、守備の際投手に投げるコースを指示できないのは影響が大きい。 ---本作は手動操作時に投手のスタミナがとにかく減りやすく、無駄球を投げるとあっという間にスタミナが枯渇する。 ---おまけにコントロールのあまり高くないピッチャーだとおまかせでは割と簡単に四球を出すので、負の無限ループに陥りやすくなり苦しくなる。打つ方の影響はそこまででもないのだが。 ---ではコンピュータはどうかというと、コンピュータの操作チームのコントロールはそこそこ以上を保っていることが多く、またスタミナも高い選手が多いのでこちらが相手投手を打ち込みでもしない限り滅多にそういうことにはならない。理不尽である。 --逆に専任野手は天狗レベルが下がりやすい傾向にあるので、天狗レベルの初期値が高い選手でもなければそういうことにはなりにくい。仮になっても影響は少ないのであまり問題にはならない。 -ライバル監督が理不尽 --自分の車を傷つけられて近くにいた主人公に濡れ衣を着せたり(理事長が代わりに払うが給料が天引きされる)、荷物運びを手伝おうとしたら壊してしまい弁償する羽目になるといった腹が立つ展開が多い。 ---夏の地方大会の最後で戦うことができるが、途中で負けた場合は会うことができないので余計に歯痒い。 -特訓で習得できる特殊能力がランダム。 --超特殊能力やムービングファストなど強力なものを習得すれば嬉しいが、回復や持続などペナントの存在しない本作では無意味な特殊能力を習得することも。 -プレイ時間がとても長い --十年目までプレイする場合、スムーズに進めていくと一週間近くかかるほどであり、途中で飽きてしまうことも。 ***野球部分 -明らかに調整不足で完成度が低い。 --根本的に前作『パワポケ甲子園』からは変化球の追加と外野フライのカメラワーク、UI以外はほとんど調整が入っていない。 --まず、とにかくホームランが出ない。甲子園はおろか地方球場レベルでもそれは顕著。 ---パワーAのパワーヒッター持ちがスローボールを思いっきり引っ張ってやっと地方球場の観客席に入るか入らないかのレベル。それより広い甲子園であれば言うまでもない。 ---そのため強振はほぼ使い物にならない。安定して勝利を求めるならミート打ち一択である。 --打球速度が遅いので、外野はよほど深い位置に上がったフライでなければ前進守備でも余裕で頭上越えのフライに追いつけるうえ、前進守備ならポテンヒットも防げる。 ---かなり出にくいとはいえ、外野前進であれば条件によっては『パワポケ7』でおなじみセンター前ヒット2塁封殺も出る。 ---そのため、外野守備は前進守備一択で安定。これについては公式ガイドブックにも外野の頭を越されることなど滅多にないから前進守備が良いと記載されているほど。 ---逆にコンピュータに外野前進をされると途端にヒットが出にくくなる。打者のパワーが低いと外野前進を行いやすくなるため、ある程度パワーは上げておいた方がいい。 ---余談だが、野手のベースランが遅く、かつ守備シフトが入力後一瞬でシフトの定位置に移動するという本家前半ナンバリングタイトルの守備仕様と同様の仕様である都合上、バントは奇襲かエンドランででも使わないと走者はほぼ確実に進塁先で封殺される。 --十字ボタンでミートカーソルを動かすことを前提としているからか、球速の体感速度は遅い。150km/h超の表示でもかなり遅く感じるレベル。 ---なので、手動でカーソルを合わせやすく、ミート打ちと併用すると慣れれば簡単にヒットが出る。 --キャッチャー後方とバックフェンスの間が異常に狭く、三塁走者がパスボールやワイルドピッチで本塁に突っ込んでも余裕でアウトにされる。 ---当然、キャッチャーファールフライもめったに出ない。 --極端な話、ミートカーソル、あとはパワーと走力を多少上げておけば後の野手能力は上げる必要皆無なレベルである。センターラインに関しては守備も上げておくとポテンヒットや内野安打、打球の頭上超えを多少防ぎやすくはなるが。 ---投手能力に関しては、とりあえずスタミナとコントロールさえ上げておけばあとは守備シフトの調整で守備は何とかなる。球速や変化球など飾り。 -コンピュータの決定する自動オーダーでは打撃力が重視されている(公式攻略本より)らしく、守備位置がめちゃくちゃに配置されている。 --本来の適正ポジションと全く関係のない守備位置に選手が配置されているのは日常茶飯事で、ひどいときには投手能力のない野手を投手として配置していたりする。 ---毎回そんな適当さで試合前のオーダーが決定されるので、試合前にいちいち守備位置にあわせたポジションチェンジを手動で行わなければならず非常に煩わしい。 ---これはコンピュータの担当チームでも同様であり、なおかつ本作のコンピュータは投手交代時でもなければ積極的な守備位置修正を行ってこないため、特にセンターラインの守備担当が本来の適正ポジションでない選手だとあからさまにヒットが出やすくなり、本作の難易度の低さに拍車をかけている。 -初回版では試合中に特定の選手が打球を処理するとフリーズするバグが存在する(ベスト版では修正)。 --セーブせずにリセットするとペナルティを受ける仕様と相まってプレイヤーには大きなストレスとなる。 -ムービングファストとツーシームが強すぎる。 --多少能力が低くても、ムービングファストまたはツーシームを投げているだけで打者をゴロに終わらせるほど強力である。 --逆に言えば対戦校にその能力を持った投手がいると手強いのだが。 -サクセスの試合終了後に勝手に「四球」や「三振」等のマイナス能力を習得してしまう。 --特に序盤はコントロールやミートが低いのでより覚えてしまいがちである。 -キャンプモードに該当する練習モードが搭載されていない。 -上記以外にも書ききれないほどの問題点があるが、とにかく野球部分は全体的に完成度が劣悪でプレイしていてあまり楽しくなく、勝つ事自体は簡単なので作業的になりやすい。 --もっとも、簡単にクリアできるというのは人によっては利点となり得る部分ではあるが。 --前述のとおり、監督モードでもミート打ちと外野前進が猛威を振るう。それでいいのだろうか。 -そもそも、本作の発売時点で『[[パワポケ8>パワプロクンポケット8]]』で既に3Dポリゴンで野球部分が実装されている。&br() 確かに『パワポケ8』の野球部分はまだまだ調整不足で完成度には難があったが、それでもDSで既に3Dポリゴンでの野球が登場していた時代で、GBAの『[[パワポケ6>パワプロクンポケット6]]』とほぼ同レベルの2Dグラフィックで制作したのにはいささか疑問が残る。 ***その他 -監督モードをクリアするとコレクションルームに収集された特産品等の収集物が全て消えるというバグがある(ベスト版では修正)。 --目玉要素の一つがこの体たらくであるので初回版の発売当初は真っ先に本作批判の槍玉として挙げられており、実際に本作の評価を大きく下げる一因ともなった。 -選手や高校の登録可能数がそれほど多くなく、意外とすぐに埋まりがち。 **総評 -前作から大幅進化した内容で画期的な部分もあり内に秘めたポテンシャルは高かったが、致命的なバグ(初回版のみ)の存在と各所の調整不足により良作とは言いがたい出来になってしまった惜しい一品である。 --ただし、バグ部分を除けば満場一致のクソというほどひどい出来でもないのは救いであろうか。 --パワポケとしては明らかに薄味で、かと言って野球部分の出来が良いわけでもないどっちつかずの作品となってしまっている。 **余談 -本作の評価・売上を反映してか、パワポケ甲子園シリーズは今作の後にはリリースされていない。 --補足しておくと、後にDSで出た[[熱闘!パワフル甲子園]]と本作とは色々な意味で別物である。実際に両方共プレイすればそれはよく理解できるだろう。 --ベスト版ではコレクション消滅バグや試合中のフリーズが修正されているので、今から買うならそちら一択である。そもそも初回版は中古ですらあまり見なくなっている。 ---バグ修正以外の部分については初回版とまったく同様であることには留意のこと。 -本作の公式攻略本が存在するが、登録条件が非常に分かりにくいものが複数ある本作アルバムモードのアルバム登録条件についてはほとんど記載が無いため、その点においては非常に不評である。 --一応全てのアルバム登録条件は攻略本以外の部分で判明してはいるが、折角の攻略本なのでアルバム登録条件も全て載せていただきたかったところではある。 ---本家パワポケシリーズの攻略本ではアルバム登録条件は一部例外を除いて基本的にフル公開されていることを考えるとなおさら……。

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