「グラディウス外伝」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
グラディウス外伝」を以下のとおり復元します。
*グラディウス外伝
【ぐらでぃうすがいでん】
|ジャンル|シューティング|#amazon(B0000C9JCE)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|コナミ|~|
|開発元|コナミコンピュータエンタテイメント東京|~|
|発売日|1997年8月28日|~|
|価格|5,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[グラディウスシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
-プレイステーションで発売された家庭用オリジナルタイトル。
--グラディウスシリーズとしては『III』以来8年ぶりの新作であった。(アーケード作品の『IV』に先駆けて発売されている)
--アーケードでは実装しづらい奇抜なアイデアの数々と、熟成された2D技術による高い完成度を誇る。
--ハード性能の向上により従来のシリーズで問題視されていた処理落ちやチラツキが完全に解消され、基本難易度の取っ付き易さ、高次周での練られたギミック変化により間口の広さと奥深さを大幅に向上した、『グラディウス』の名に相応しい完成度となった。
--また、“外伝”の通りいくつもの実験的な要素が取り入れられている。
----
**特徴
-四機の個性的な機種から自機を選択できるほか、独自の新装備も満載。
--従来作の装備は発射角や組み合わせが違うだけ、という既存装備のアレンジが多かったが、本作ではほぼ全ての機体が独自の装備を持っている。
--また、全ての機体でミサイル/ダブル/レーザー枠が2段階パワーアップ出来るようになっている。
---従来はAC版『III』のスプレッドガン、FC版『II』のオプション等、極一部の装備に限られていた。

#region(選択できる四機)
-『ビックバイパー』(ミサイル・ダブル・レーザー)
--おなじみ主役機であり標準装備機体。モチーフカラーは青。LV2でミサイルは地面を貫通し、ダブルは斜め上に加え真後ろにも弾を出し、レーザーは光線が長くなる。クセがなく使いやすい兵装と、ダブルLV2使用時の安定感が魅力。
--パロディウスを含め続編を重ねる度に弱体化していたが、本作では2段パワーアップの恩恵により屈指の強機体に生まれ変わり、主役機の輝きを取り戻している。欠点は各武装ともLV1だと頼りない事。
--ダブルの性能は歴代最強で、圧倒的な攻撃範囲と連射力により状況を選ばずに運用できる。レーザーの威力も十二分に高い。初心者向けでありながら高次周でも十分戦っていける。
-『ロードブリティッシュ』(2WAYミサイル・リップルレーザー・ディスラプター)
--『沙羅曼蛇』における相方機体。モチーフカラーは赤。貫通力重視の新装備ディスラプターの搭載により、ビックバイパーとの明確な差別化が図られた。LV2でミサイルは地を這うようになり、リップルは残像が発生し攻撃判定が強化、ディスラプターは極太光線に変化する。
--前方制圧力に優れる反面、後方をカバーする武装を唯一持たない事と前方以外への火力不足から最弱とされ、スタッフから「報われない機体」と言われてしまった。
--リップルレーザーの火力はかなり高いのだが、一方地形に対する当たり判定が大幅に大きくなり地面に食われやすくなった。そのために地形が入り組んでいる箇所では非常に苦戦を強いられる。一方、ディスラプターは貫通性能が非常に優秀だが攻撃力・連射力が低く、扱いづらい。
---あと、両武装とも弾がオレンジ系の色なので、敵弾が見えにくくなるのが地味に痛い。
-『ジェイドナイト』(スプレッドボム・ラウンドレーザー・パルスレーザー)
--初登場機体。モチーフカラーは緑。ラウンドレーザーは自機(またはオプション)を中心に円形に広がるレーザー。パルスレーザーは『III』のツインレーザーと同じ。LV2でボムは分裂弾になり、ラウンドレーザーは範囲が拡大、パルスレーザーは弾数が2列から3列になる。
--支援用の特殊兵装を有し、中でもラウンドレーザーによる道中の制圧力と、高威力のスプレッドボムが売り。その一方で対空火力が最低の為、オプションを駆使して補う必要がある玄人向けの機体。
--ラウンドレーザーは攻撃範囲に癖があるものの使いこなせば道中で中々の活躍を見せる。しかしスプレッドの性能は今一つでパルスレーザーの連射力もそれほど優秀ではなく、総じて火力に欠ける。
-『ファルシオンβ』(ローリングミサイル・オートエイミング・グラビティバレット)
--初登場機体。モチーフカラーは紫。ローリングミサイルは地形に当たると前後に分裂して這っていくミサイル。オートエイミングはサーチ機能を持つ速射弾、グラビティバレットは高威力広範囲の爆発力を持つ。ミサイルはLV2で移動範囲が拡大し、オートエイミングはサーチ範囲が拡大、グラビティは攻撃範囲が拡大する。
--接近戦に特化しており、自動で敵を狙うオートエイミングや圧倒的火力のグラビティバレットで敵をねじ伏せる。ビックバイパーと比肩する強機体であるが、射程の短さが災いする場面では苦戦を強いられやすい。
--ビックバイパーと比べるとやや癖が強いものの、高次周での強さは抜群。難点の攻撃範囲もオプションとオートエイミングを駆使してカバー可能。ただしミスからの立て直しは厳しい。
#endregion

--「?枠」の防御装備も、おなじみシールドとフォースフィールドに加え、地形接触死を防ぐ「ガード」と3秒だけ完全無敵になる「リミット」が追加。防御面もバリエーション豊富に。
---リミットにより、地形を通り抜ける戦法が可能に。
--ちなみにIIIにあった「!枠」は無い。
-パワーアップゲージの順序を変更できる「ゲージエディット」機能
--ゲージのスピードからシールドまでも好きなようにカスタムできる。これにより、従来のグラディウスにないアグレッシブな復活パターンを作る事も可能。
--本作は全体的にパワーアップカプセルが多めに手に入るため、ミスした後の復活が従来作に比べかなり容易で、特にシールドを最初または二番目に持ってくる攻略法が人気。
-二人同時プレイ
--外伝らしい仕様の一つで、機体の組み合わせにより幅広い戦略が可能。2Pで同機体を選択した場合は片方のモチーフカラーが変更される。
--大抵のシューティングゲームでは二人同時プレイが出来ても装備の画一化や、限られたパワーアップアイテムの取り合いによりその魅力を十二分に発揮できていなかったが、本作は機体(装備)の差別化、潤沢なパワーアップカプセルの入手等によりこれらの問題を払拭している。
--また、ミスした時にもパワーアップカプセルが5つも出るので攻略難易度を大幅に下げる事ができる。

**評価点
-システム周りの向上。概要にもあるように処理落ち等が解消されて遊び易くなり、特徴にもあるように様々な新機軸が追加されている。

-シリーズやジャンルのお約束に縛られず、かつグラディウスとしての統一感を損なわない多彩なステージギミックの数々。
--最初のステージは「雪原」。III系の砂漠とは対照的だが、序盤ステージ伝統の軽快で爽やかなBGMとマッチした銀世界で迎えられる。
--その後は、「どこかIIを髣髴させるスクラップ地帯で、歴代シリーズボスの残骸や中破機が攻撃を仕掛けてくるステージ」、「敵・味方を問わずレーザーを予想外の方向へ屈折させるクリスタルステージ((但しファルシオンβのみはグラビティバレット装備のため屈折しない。))」、「IIIを髣髴させる山岳地帯…と思いきや、突如後方に大型ブラックホールが出現し地形を崩壊させながら呑み込んでいくステージ」、「高速スクロールで壁をぶち抜きながら突き進むボスと戦い、そのまま要塞ステージへ突入」などなど飽きさせない。
--特にいずれも従来のシリーズを踏襲つつ新たな要素を取り入れている部分が評価できる。例えばモアイステージも一見伝統的なステージだが、モアイの残骸にも判定があり、また目からレーザーを照射するモアイも登場する((レーザー照射中に破壊した場合、レーザー照射は止まらず倒れる方向に薙ぎ払われたりする))。細胞ステージでは出現したパワーアップカプセルを持ち逃げしようとする細胞がいたり、地形に根を張って揺れ動く敵などが存在する。
--SFCの流れを汲む回転機能を用いた演出も進化しており、一面のザコからグルグル回っている所など表現の進化を感じざるを得ない。
---本作の演出具合は同社SFCシューティング『アクスレイ』を彷彿とさせるものがある。二足歩行メカも登場。
-個性的な各ステージボスも健在である。
--シリーズお馴染みの雑魚を大型化・大幅強化したボスや、四方を囲み画面ごと大回転するビッグモアイを始め、有機的・生物的なボスは勿論、グラディウスらしいコアを持つボスも複数登場。ステージ3にて待ち構える、本作のビッグコア系の先鋒である「シャイニングコア」は、七色に遷移する弾幕とレーザーの照射と同時に機体や発信部を動かす従来にはない演出でシリーズプレイヤーを圧倒した。
--また、ステージ2では上下の進行ルートによって''2種類のボスが存在する''。どちらも個性的なボスだが、機体による有利不利も踏まえて選択攻略する事が可能。
--恒例のボスラッシュもバリエーションに富んだボス達が勢揃い。
---レーザー発射の反動で本体ごと回転を始める「レーザーテトラン」、上下の両サイドに「デス」を装着し実質3つの破壊対象がある「デスダブル(パラサイトコア)」、小型3機による各々のフォーメーションを持つ「トリプルコア」、同社の『トライゴン』のプレイヤー機を模した「デルタトライ」、奇抜な動きと軽快に子機を射出する「ジャグラーコア」、名前の通り凶悪に改修されたと思しき「ネオビッグコア」が待ち受ける。
---特徴を詳しく挙げればきりがないが、例えばデルタトライには原典と思われるトライゴンのドラゴンレーザーやライトニングソードがダイナミックに表現されており、馴染みあるプレイヤーにとっては感動モノである。また2周目以降はネオビッグコアが更に攻撃が追加され凶悪化する上、ボスラッシュの最後尾に強烈なインパクトを持つ隠しボス「ヘブンズゲート」も追加される。
--各ボスの攻撃エフェクトや効果音のほとんどに固有のものが用意されている点も評価が高く、攻略していて楽しいボスが非常に多い。

***音楽
-ハードでCD音源を使えるため当然ながら表現力が大幅に増加し、さらにステージモチーフとの一体感を重視した構成になっている。また、従来のシリーズと比べ、メインテーマのモチーフを前面に出している珍しい作風になっており、オープニングや2周目以降の空中戦、高速ステージなどで分かりやすい共通フレーズが用いられている。
--特徴的なものでは、雪原でオーロラが掛かると同時に解放されるシンセフィルターとそこへ被さる疾走感あるベースライン、透明感とスピード感を醸し出す高速アルペジオのクリスタルステージ、オーケストラヒットとサンプリングボイスで妖しさを増したモアイステージ、空中戦から要塞突入への流れと曲調をシンクロさせた最終ステージ前半など。
--ボスラッシュは前半戦・後半戦の二曲構成になっているが、この内前半戦はシリーズとしては珍しく((といっても本シリーズのボスラッシュBGMは元々個性的なものが多いが))、哀愁漂うフレーズが特徴的である。
-ただし、従来のシリーズとは作風がかなり異なるため、否定的な意見がないこともない。
-システムボイスは男性タイプと女性タイプの2種類から選択可能。女性のシステムボイスはシリーズでもかなり珍しい。
--こちらもディスク媒体による容量増加の恩恵を受けて種類が大幅に増加。ゲーム開始時のボイスが難易度毎に用意されてたりと中々凝った作り。
----
**賛否両論点
-ビッグコア系のボスのデザインは少々独特である。鋭角的なスタイルだったり、露出しているコア部周りのデザインで従来のシリーズと少々毛色が異なる。ネオビッグコアなど、シリーズと比較すると派手なカラーリングである点もビッグコア系デザインとしては好みが分かれる。
--他にも、デスダブル戦にて単体の「デス」はスピンしながら登場する為、立体的な形状が描写されるが、後の『V』とは解釈が異なり厚みのある筒に近い形状になっている。
//--これまでのシリーズのはるか未来という設定からか、他作品のように「ボスとしては」旧作のボスが再登場ということもなく、唯一デス(デスダブル)のみが登場。ボスラッシュステージで過去ボスが1体だけで他はすべて新ボスというのは後の『IV』と同様である。
//---ただしステージ2に攻撃してくるステージギミックとして過去ボスの残骸が多数登場したり、同ステージのコアボスを破壊するとコアからゼロスフォースが現れる(IVでも類似した演出がある)、最終ステージのラストでは『沙羅曼蛇』シリーズからのおなじみのボスが顔見世するなどステージギミックや演出としては頻繁に使用されている。
//↑↑過去作の再登場云々程度なら外伝としてはさほど問題点という程ではないと思う

----
**問題点
-攻略難易度に癖が強い。
--様々なシステムを盛り込んだのは大きな評価点と言えるが、機体によっては火力がやや過剰気味。ゲージエディットでリミットを最初に持ってきたり、二人同時プレイによってボスの難易度も大幅に下がり、選択によって難易度が天と地ほどの差に開いてしまう。
--機体解説でも触れたが、ロードブリティッシュは火力と攻撃範囲の両面で難があり、前述の方法を駆使しても苦戦を免れない。
-武器の描写で敵の姿や弾が隠れてしまう。
--特にロードブリティッシュのディスラプター、ファルシオンβのグラビティバレットが該当する。それぞれレベル2時は描画範囲が広めで、エフェクトによって敵弾はおろか敵本体まで覆われてしまうのは非常に惜しい点である。

-ロゴデザインが微妙。
--「GRADIUS」という英字と「外伝」という漢字の組み合わせだが、そのデザインセンスが…。「良作なんだからもっとカッコいいデザインにすればいいのに…」とファンからは惜しまれた。
-スタッフロールが日本語ゴシック体フォントという空気を読まないエンディング。
--後のPSP『[[グラディウス ポータブル>グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE]]』では、従来シリーズのフォントを使用した英語に変更されている。~
ただしこれはPSP版の新規スタッフロールに差し替えられたためであり、オリジナルスタッフの名前は削除されてしまっている。

----
**総評
アイデアとギミックを詰め込んだ傑作である。~
ただ発売当時は、ゲーム雑誌のスクリーンショットなどでは悲しいほど迫力が伝わらず、「ちょっと解像度が上がっただけのグラディウスIII」「今更2Dシューティング」にしか見えなかったため、美麗な3Dゲームなどの影に隠れてしまった。~
皮肉な事に正式ナンバリングである『[[グラディウスIV>グラディウスIV -復活-]]』が微妙な出来であったため後に再評価される。

----
**余談
-本作の問題点ではないが、プレイステーションのゲームであるため、一部の後期生産型を除くPS2での互換プレイでは特定箇所で支障が出る。
--具体的にはブラックホールステージが終始処理落ちでゆったりとしたスピードになってしまう(プレイできないほどではないが、難易度は大幅に下がる)。これは『[[第4次スーパーロボット大戦]]』と同じ現象である。
-ゲームをスタート画面で放置するとデモ画面が始まり、各機の各武装の説明をしてくれる。
--のだが、なぜか''ファルシオンβのみデモの途中で撃墜されてしまい、武装の説明を最後まで見ることが出来ない。''
---ちなみにその後はきちんとスタート画面に戻る為、ゲームが進行不可になるということはない。
---この現象はPSoneBookバージョンでようやく修正されたが、PSP版では廉価版準拠ではないためかやはり発生してしまう。
---もっともファルシオンβの説明は4回目のデモまでゲームを放置する必要がある為、普通にゲームをプレイしていた場合はまず気づくことがない仕様である。
-『[[グラディウス ポータブル>グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE]]』にパック移植されているが、そちらでは二人同時プレイができない。二人同時プレイをしたい場合は、仕方がないのでPS版で遊ぶこと。
--設定で処理落ちをオンにしていると元のPS版にはなかった処理落ちが発生するので、設定で処理落ちをオフにすることをおすすめする。
--国内版に限り、画面のフラッシュのフェードイン・フェードアウトが機能せず、画面が真っ白になってしまう移植ミスが存在する。全体的にはPSP版は劣化移植とみて差し支えない。
-この作品で登場した自機4機とボスのデルタトライは遊戯王OCGでカード化された。
--ちなみにデルタトライは、過去のコナミのアーケード用シューティングゲーム『[[トライゴン]]』の自機「スーパー戦闘機」がモチーフとなっており、攻撃もトライゴンのドラゴンレーザー・ライトニングソードを使用してくる。倒すとドラゴンレーザーで自決するのは、かつての主人公機としてのプライドか、それとも敵の手に落ちたことの自責の念なのか。
---さらに余談になるが、このドラゴンレーザー自爆はちゃんとモチーフがあり、元ネタのトライゴンで「ボスの体力を削る→ドラゴンレーザー使用→使用直後に体当りして自爆→暗転寸前に残ったドラゴンレーザーでボス撃破→復活地点に戻されるがボスの撃破点は入る」という、ハイスコアを狙う上で必須の残機潰しテクニックがあったのである。
----

復元してよろしいですか?