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DS電撃文庫シリーズ - (2012/12/08 (土) 01:16:30) の編集履歴(バックアップ)


DS電撃文庫シリーズ

【でぃーえすでんげきぶんこしりーず】

ジャンル サウンドノベル



対応機種 ニンテンドーDS
発売元 メディアワークス
開発元 不明
発売日 アリソン/いぬかみっ!:2006年12月7日
イリヤの空、UFOの夏:2007年1月11日
イリヤの空、UFOの夏II:2007年10月25日
定価 いぬかみっ!:4,470円
他:3,360円(税込)
ポイント 原作ほぼそのまま
ぬぐいきれない割高感
中途半端な所でシリーズ終了

概要

  • 日本のライトノベル業界の中でもトップクラスの売り上げを誇るメディアワークス(現:アスキー・メディアワークス)の「電撃文庫シリーズ」。本シリーズはそんな電撃文庫シリーズの中でも人気の高い作品をDSのサウンドノベルにした作品群である。
    • 各作品の作者とイラストレーターは以下の通り。なお、作品名をクリックすればWikipedeaの該当記事にジャンプする。各作品の概要についてはそちらを参照されたし。

アリソン 作:時雨沢恵一、絵:黒星紅白
いぬかみっ! 作:有沢まみず、絵:若月神無
イリヤの空、UFOの夏 作:秋山瑞人、絵:駒都えーじ

  • なお、『BACCANO!』も『DS電撃文庫ADV バッカーノ!』として存在するが、タイトルにもある通りこれはアドベンチャーであり、ゲームシステムなど実質別物なのでこの記事では扱わない。

評価点

  • どの作品もストーリー、イラスト共に非常に安定して高レベル。
    • いずれも電撃文庫を代表する知名度の高い作家、絵師でありその面白さはそのまま落とし込まれている。
      • 特にイラストには注目したい。文章の背景に場面に合わせた様々なフルカラーのイラストがついている。
      • 文章を消して背景だけ見ることもできる。なかなか親切。
  • 小説ではできない表現が多数盛り込まれており、決して丸写しではない。
    • 特に効果音とBGMは絶対に小説では付随しえない代物である。これらの使い方についても特に場面を外したところは見受けられない。  
      • 他にも飛行機の爆音が響く場面では画面が揺れるなど、臨場感をもたらす表現は多い。
  • ミニゲームや、カード集めなどのオマケもある。
    • そこまでボリュームがあるわけではないが、息抜きにはちょうどいいだろう。
      • カードは各作品の文章中のキーワードをなぞることで入手できる。簡単な解説もついており世界観の理解に役立つ。
      • カードを使ったカードバトルもできる。異なる作品間でも可能。
  • 書き下ろしの追加シナリオあり。
    • これに関しても評価は高い。

問題点

  • 値段が高い。
    • 一般的なDSのゲームよりは安価とはいえ、実質文庫本1冊分の内容しかないのに3,000円~4,000円強という設定は、少々厳しいものがある。
      • あくまで「サウンドノベル」なので分岐などは一切ない。グラフィック、サウンドの追加があるとはいえ内容そのものは文庫版と全く同じである。
      • 書き下ろしの追加シナリオやミニゲームも、所詮はおまけなのでそこまで分量があるわけでもない。純粋に小説だけ楽しみたいなら文庫版の方が経済的であろう。
  • 作品間の扱いの格差。
    • 同時発売の『アリソン』と『いぬかみっ!』だが、いぬかみっ!はフルボイスにも関わらずアリソンの方はボイスがない。さらに『イリヤの空、UFOの夏』についてもボイスなし。このためかいぬかみっ!のみ定価が1,000円ほど高い。
      • 「アリソンは当時アニメ化されていなかったから…」という言い訳はあるが、それならなぜアリソンを選んだのか、という疑問が出てくる。
      • 同じ時雨沢恵一&黒星紅白のコンビならば時雨沢氏のデビュー作であり、現在もシリーズが続いている『キノの旅』の方が知名度も人気も上回っている。
        さらに2003年にはWOWOWでアニメ版が放映されており、2005年・2007年には劇場版も作られている。つまりこちらなら問題なくフルボイス版を作れたはず。一話完結型のスタイルも電子書籍との相性がいい。
      • ちなみにイリヤの空、UFOの夏については2005年にOVA版が出ているので擁護不可能。そこは定価を1,000円高くしてでもフルボイスにしておくのが、ファンサービスではないだろうか。
  • システム面にやや不備あり。
    • 文章送りスピードを「速い」にしても文章の進むスピードはややゆっくりしている。演出を飛ばすこともできない。
    • バックログ機能は搭載されているが、文の単位ごとでなく一定の区切りごとにしか遡れない。
      • 特にカード集めに失敗したときに同じ演出を何度も見せられりするので、ストレスが溜まる。

総評

本作は「サウンドノベル」を名乗っているが、名作『かまいたちの夜』のようなシナリオ分岐はなく、ほぼおまけつきの電子書籍のようなものである。
その観点から見れば少なくとも完全に破綻しているような酷い出来ではない…のだがゲームとしてもファンアイテムとしてもどこか物足りない一面があるのは確か。
結局シリーズは5本(続編のイリヤの空、UFOの夏IIと番外編のバッカーノを除けばたった3作品)出ただけで以降の音沙汰はなく、シリーズは完全に終了したものと思われる。

余談

  • 同じ電撃文庫シリーズに関わるDSのゲームとして『電撃学園RPG CROSS of VENUS』が存在する。
    • やはり電撃を代表する人気作品群だけあり、本シリーズの作品は全作登場…かと思いきやアリソンだけデータベースにしかいない。代わりに登場するのはキノの旅のキノ(メインキャラの一人)。やはり電撃編集部もこちらのほうが人気があると判断したのだろうか。
  • なお、上のパッケージを見れば分かるが、このシリーズは4作品しかないにもかかわらずCERO:Z以外の全ての判定が揃っている。確かにお色気シーンや銃撃シーンは作品によってその密度は大きく異なるが、ここまで判定がバラバラなシリーズも珍しい。
    • ちなみにアリソンはCERO:A判定。…この作品も一応人が撃たれて死ぬシーンあるのだが…。