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ストリートファイター リアルバトル オン フィルム - (2019/09/15 (日) 05:47:26) の編集履歴(バックアップ)


ストリートファイター リアルバトル オン フィルム

【すとりーとふぁいたー りあるばとる おん ふぃるむ】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム

※セガサターン版


※プレイステーション版
対応機種 セガサターン
プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 カプコン
発売日 【SS】1995年8月11日
【PS】1995年8月12日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 バカゲー
ポイント 見た目に反して格ゲーとしてはそれなりの出来
神秘すぎる 武士 (サムライ)キャプテン・サワダ
ストリートファイターシリーズリンク


概要

1994年に公開された、対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターII(以下、ストII)』を原作としたアメリカ実写映画、『ストリートファイター』(以下、映画)の映像を使用した作品。
略称としては「RBOF(「Real Battle On Film」より)」がよく用いられる。
本作の発売前に1995年5月30日からアーケードで稼働を開始した『ストリートファイター ザ・ムービー』(以下、『ザ・ムービー』)と使用している映像素材はほとんど同じだが、ゲームとしての中身は全くの別物。
ちなみに、『ザ・ムービー』の開発はカプコンではなく、『Time Killers』『Blood Storm』などを開発していたアメリカのインクレディブルテクノロジーズ社が担当*1

『ザ・ムービー』はもはや一般のイメージにある『ストII』などのイメージとはあまりにもかけ離れたゲーム内容となっていた。
例えば空中コンボが叩き込み放題であったり、戦闘中に全キャラクター体力回復が図れたり、一部の必殺技のコマンドが奇怪そのものであったりなどした上に、キャラクター周りも眼帯を外して怪光線を放つサガット等々『ストII』の名残が全く見られない崩壊ぶり*2を理由に大多数の『ストリートファイター』シリーズファンからはそっぽを向かれ早々と撤去されることとなった。

その為、本作は『ザ・ムービー』の移植ではなく、改めて日本のカプコンが『スーパーストリートファイターIIX(以下、スパIIX)』のシステムをベースにして作り直した作品となった*3
動きは『ザ・ムービー』に比べるとかなりカクカクになっているが、プレイに支障が出るほどではなく、従来のシリーズファンに馴染みのシステムを搭載し、見た目に反して落ち着いたゲームとなっている。
また、『ザ・ムービー』で散々ネタにされた俳優自身が演じた声*4に関しても日本の声優が吹き替えを行ったものになっており、勝利デモでも喋るようになった。

なお、本作は冒頭にある通り、アメリカ映画版をベースにしているために、一部キャラクターの名称が変更されている*5

『ストII』における
キャラクターの立ち位置
日本版名 本作における名前
黒人のボクサー M(マイク)・バイソン バルログ
スペインの闘士 バルログ ベガ
シャドルーの総帥 ベガ M*6・バイソン

本項では上記3名はゲーム同様に映画の表記に準じるものとする のでご容赦願いたい。


キャラクター一覧

大元となっている映画における設定に準拠しているが、その設定が『ストII』や『スーパーストリートファイターII(以下、スパII)』と異なる所があるために簡単に説明を入れる。
なお、キャラクター名の横の名前は映画(および『ザ・ムービー』や本作)で演じた俳優名。少々縦長となるので、クリックしてご覧頂きたい。

+ 映画及び本作のキャラクター概要
  • ウィリアム・F・ガイル(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)
    • 連合軍の大佐(『ストII』ではアメリカ空軍の少佐)で、主人公的扱いとなっている。
      • 『ストII』ではガイルは「名」であるが、映画の設定の場合はガイルは「姓」の扱いとなる。
  • キャミィ・ホワイト(カイリー・ミノーグ)
    • ゲームでは『スパII』以降に登場したキャミィ。『スパII』では英国特殊工作部隊デルタレッド所属だったが、映画ではガイル大佐の部下の扱い。階級は中尉。
      • 映画のストーリーを追体験出来る「ムービーバトルモード」ではガイルのサポート役としてナビゲートする。
  • キャプテン・サワダ(沢田謙也*7)
    • 映画オリジナルキャラクターで、ガイル大佐の部下。階級は大尉。映画中ではガイル大佐とは別の部隊を率いて、影から作戦を手助けしていた。
      • 後述するが本作で一番ぶっ壊れているキャラクターであり、「このゲームはサワダのためにある」とまで言うファンもいるほど。
  • チュンリー・ザン(ミンナ・ウェン)
    • 原作の春麗で、インターポールの刑事であった『ストII』と違い、テレビ局のリポーターとして登場。しかしその正体はバイソンを倒すべく結成されたレジスタンスのリーダー。
      • バイソンに父親を殺された過去を持ち、その復讐を果たすためにガイルたちの連合軍とは別に独自で作戦を進める。なお、「ザン(臧)」姓は映画オリジナルの設定となっている。
    • 余談になるが、本作のチュンリーの勝利ポーズは2つあるが、そのうちのひとつがその場で踊るというものになっている。
      • しかし、その動きがあまりにも珍妙なため、『ドラゴンクエスト』シリーズの特技になぞらえて「不思議な踊り」などと言われることがある。
  • エドモンド・本田(ピーター・トゥイアソソポ)
    • チュンリーのレジスタンスに与し、バイソンを追い詰める作戦に参加している。
      • 元スモウレスラーで自身を廃業に追い込んだバイソンに対する復讐を果たすべく、テレビ局の撮影クルーとしてチュンリーに従い、計画を進めている。
  • バルログ(グランド・ブッシュ)
    • ボクサー。『ストII』では四天王の一角という扱いであったが、映画では本田同様にテレビ局のカメラマンとしてチュンリーに従うレジスタンスの一員。
      • 本田と同じく、自身をボクサー廃業に追いやったバイソンに恨みを持っている設定のため、四天王扱いではない。
  • リュウ・ホシ(バイロン・マン)
    • 本作は「ライユー」ではなく、ちゃんと「リュウ」と呼んでもらえる。また、「ホシ(星)」姓は映画オリジナルの設定となっている。
      • 『ストII』同様に流浪の格闘家ではあるが、映画ではケンと組んで義賊として悪人相手に詐欺を働いたりなどの小さな悪事で生計を立てており、主人公扱いではなくなっている。
    • 余談だが、リュウといえば『ストII』のキャッチコピーとしても用いられた「俺より強い奴に会いに行く」の台詞が有名だが、本作の取扱説明書に書かれたリュウの台詞は「俺より強い奴に会わせてくれ…」と微妙に他力本願になっており、時折ネタにされることがある。
  • ケン・マスターズ(ダミアン・チャパ)
    • リュウと組んで悪事を働く詐欺師。
      • 本作では俳優の演技の関係で通常技のリーチがリュウよりも短い。
    • 説明書ではキャラクター紹介がリュウの隣に配置されており、リュウの「俺より強い奴に会わせてくれ…」の隣で「強いぜ、俺は…」と、まるでリュウと会話しているかのような台詞が書かれている。
  • カルロス・ブランカ(ロバート・マンモン)
    • 『ストII』のブランカだが、下記にあるように『ストII』のそれとは設定が異なる。『ザ・ムービー』では登場しなかったが、本作で使用可能となった。
      • 映画ではガイルの親友・チャーリー*8が、ダルシム博士*9の手によって改造された姿という設定になっている。
  • ベガ(ジェイ・タバーレ)
    • 仮面と爪の人。ただし本作では仮面は着けていない。
      • 『ストII』では四天王の一角という扱いだが、映画のサガット配下の闇の格闘家という設定を受けて四天王扱いではなくなっている。
  • ザンギエフ(アンドリュー・ブライアンスキー*10)
    • 映画のバイソン軍の幹部という設定を受け、本作では四天王扱いとなっている。力と正義感の強い男だが脳筋と言っていいほどに頭が弱く、バイソンに騙されて彼の悪事に手を貸している。
      • 余談だが、映画のキャスティングのほとんどに疑問符を投げかける意見が多い中でザンギエフだけは『ストII』と瓜二つと言われるほどに似ており、その事がよくネタにされる。一例として、『ザ・ムービー』が稼働開始する直前のゲーメストにおいて「ザンギコンテストでもやったのか?」と書かれた。
  • ディー・ジェイ(ミゲール・ヌネズ・ジュニア)
    • ザンギエフ同様、映画のバイソン軍の幹部という設定を受け、本作では四天王扱いとなっている。お気楽なひょうきん者だが、身の危険を感じるとすぐに逃げる。バイソンに従っているのは金払いが良いからであり、忠誠心があるわけではない。
      • 『ザ・ムービー』では登場しなかったが、本作で使用可能になった。
  • ヴィクター・サガット(ウエス・ステュウディ)
    • 『ストII』のサガットでこちらも四天王扱いだが、映画ではバイソンと手を組む闇の武器商人の首領という設定。
  • バイソン将軍(ラウル・ジュリア*11、ダーコ・タスカン*12)
    • 赤い服の軍人。武装国家・シャドルーを影で操る武装集団「バイソン軍」の首領であり、本作の最終ボス。
      • ムービーバトルモードでは一度倒したあと、映画同様にパワーアップ(本作ではスーパーコンボゲージが常時最大)して甦る。
  • 豪鬼(アーニー・レイズ・シニア*13)
    • 映画には未登場。AC版『ザ・ムービー』では海外版に準拠した「Akuma(アクマ)」という名前になっていたが、本作では日本版に準拠した「Gouki(豪鬼)」となっている。
      • 所謂アーケードモードに当たる「ストリートバトルモード」では特定条件を満たすと、最終ボスのバイソンと差し替えで登場*14、戦う事になる他、プレイヤーの腕前を判定する「トライアルバトルモード」では最終ボスとして登場する。
      • 初登場の『スパIIX』ではスーパーコンボゲージがなかったが、本作ではスーパーコンボゲージがあり、他のキャラクターには1種類しかないスーパーコンボが豪鬼だけは「滅殺豪波動」と「滅殺豪昇龍」の2種類実装されているために一層凶悪になった。
      • 隠しコマンドによってプレイヤーも使用出来るが、無論、様々な弱体化を施されている。また、勝利デモのセリフは『スパIIX』にあった古風な言い回しではなく、残虐的なセリフも見られる。
+ 豪鬼使用コマンド

いずれもストリートバトルモードのキャラクター選択時に入力するもので、入力の猶予はおよそ2秒程*15
入力に成功するとキャラクターグラフィックが砂嵐の奥に人影が見えるものになるので、そのままキャラクターを決定する。

機種 コマンド
セガサターン 上、B、下、Z、右、X、左、Yの順に素早く入力。
プレイステーション 上、R1、下、L2、右、L1、左、R2の順に素早く入力。

なお、AC版『ザ・ムービー』に登場したブレード達シャドルー兵士団や、映画には登場していたサンダー・ホークとダルシム博士は、本作ではプレイアブルキャラクターとしては登場しない。
ちなみにゲームはおろか、映画ですらフェイロンが削除されているのは、元はジャッキー・チェンがフェイロンとして出演するはずだったのだが、カネコがジャッキーのゲーム化権を独占していた関係で没になってしまい、その流れでフェイロン自身の出番もなくなってしまったため*16
出典の「映画批評・底抜け超大作」では「ジャッキーが出演していれば戦闘シーンが面白くなっていたのに」とぼやいていた*17

参考:NCによる原作映画レビュー

評価点

いち格ゲー作品としての評価点

  • 見た目のイロモノっぷりに反してまともな格ゲーとして成立している。
    • ファンの中でも評価の高い『スパIIX』をベースにしていることもあってか、見た目で敬遠されがちだが格闘ゲームとして十分にプレイに耐えうるものになっている。
      • 当時は『スパIIX』が3DOにしか移植されていなかったという背景もあり、本作を『スパIIX』の代替としてプレイしていたユーザーもそれなりの数であったと言われる。*18
      • SS・PSともに『ストリートファイター』シリーズはまだ移植作品がなく、本作が最初のストリートファイターであったため注目された。なお、これの次に出たのが『ストリートファイターZERO』である。
  • スーパー必殺技の実装。
    • 後に「EX必殺技」などと呼ばれるようになる強化必殺技で、スーパーコンボゲージが半分以上貯まっている時に「対応技のコマンド+ボタン2つ同時押し(PP or KK)」でゲージを消費して出すことが出来る。

ボーナスコンテンツ

  • 主題歌のビデオクリップが収録されている。
    • ゲーム内で条件を満たすと映画のエンディングテーマである、CHAGE&ASKAが歌う「SOMETHING THERE」の、映画のシーンを挟んだ特別編集版PVが1曲分まるごと鑑賞できるようになる。
    • 海外版では編集なしで純粋にオリジナルのままで「SOMETHING THERE」の映像が収録されている。

BGM

  • 『ストII』らしいかと言われると困るものの、曲単独で見ると完成度が高い。
    • ステージの雰囲気に合った曲が多い上に、曲そのものも質が高い。
  • また、PS版もSS版も音楽CDとしても使えるため、CDプレーヤーに入れるとゲーム中のBGMを再生出来る。
    • もちろん、データ部分があるため、再生するトラックを間違えると大変なことになりかねないので気をつける必要がある。

問題点

スーパー必殺技のシステム

  • 「スーパーコンボゲージが半分以上貯まっている時に~」と書いた通りでスーパーコンボゲージをおよそ半分消費して本来は繰り出すが、一度ゲージがMAXになると、スーパーコンボでゲージを消費しない限り、スーパー必殺技がゲージ消費無しで連発出来るようになってしまう。
    • これにより、一部のキャラクターではゲージを溜めたらスーパー必殺技の飛び道具を連発するなどといった戦術が成立してしまうことになる。

ムービーバトルモード

  • 映画版をモチーフにした所謂ストーリーモードで、途中には選択肢によるルート分岐が存在し、選んだルートによって戦う敵が変わる。
    • シナリオの終着点は同じだが、そこに至るためのルートは大きく枝分かれしており、ルートによってはかなりの長丁場になってしまうこともあり得るのだが、途中セーブが出来ない。
    • また、やられてもゲームオーバーにはならず、勝たないと進まないイベントの場合は制限時間内であれば何度でも自動コンティニューで再戦になる。
      • そのため、途中で一旦止めることが出来ず、結果としてモードを抜けるにはさっさとクリアするか制限時間の50分経過を待つか、はたまた諦めてリセットするかしかなく、不満意見に繋がっている。
  • あくまで映画の追体験なので仕方ないとも言えるが、ガイルしか操作出来ない点も不満意見として挙がることがある。

オプション設定をメモリーカードに保存出来ない

  • ハイスコアや前述のビデオクリップが閲覧出来る状態は保存出来るのだが、ゲーム難易度やボタン配置といったオプション設定はメモリーカードで保存出来ず、起動する度に変更をする必要がある。
    • アーケードスティックなどでプレイをする場合、スティックのボタン配置にもよるが、大体は起動する度にまずは設定をし直すことになるだろう。

神秘の武士(サムライ)、キャプテン・サワダ

+ 長くなるため、クリックで展開

本作をバカゲーたらしめている要素の大半を占めるのが、「神秘の 武士 (サムライ)」(取説のキャッチコピー)ことキャプテン・サワダである。
とは言え、『ザ・ムービー』および映画ではガイルの部下の日本人*19というだけのほとんど目立たない地味なキャラクター*20であったのだが、本作では他のキャラクターが軒並み『ストII』や『スパIIX』などになぞらえた落ち着いた性能に収まったのに対し、彼だけは映画オリジナルのキャラクターということもあってか、奇妙な技を携えての登場となった。
更に、技名や演出のネタへの走りっぷりが強烈なこともあって、他に類を見ないインパクトを与えた。
中でも特に有名なのが必殺技「 獄殺自爆陣 (ごくさつじばくじん)」とスーパーコンボ「カミカゼアタック」の2つであろうが、それ以外の技も演出やネーミングセンスなどのあらゆるところにつっこみ所が満載である。

+ その技の数々
沢田スペシャル'95
連続入力技。コマンド追加入力受付のタイミングがやや変則的で難易度は高いながらも決まれば大ダメージで、使いこなせれば「ジャンプ強キック→しゃがみ中キック→沢田スペシャル'95」というシンプルなコンボひとつで5割近い体力を奪える。
スーパー必殺技で出した場合は追加入力が不要になり、必ずワンセット出し切ってくれる。
ただし、手動入力では多少ながら出すタイミングをずらすことが出来るが、スーパー必殺技の場合は状況に関係なく一定の間隔で連続攻撃を繰り出すため、使い所が悪いと逆に大きな隙を晒して反撃を受ける危険が高まってしまうリスクもある。
百殺 (ひゃくさつ)イズナ切り
連続でオーラを纏った手刀を繰り出す。波動拳コマンドで出し、その後はボタン連打で手刀を出し続けるという変則的な百裂系の技。
忍法神隠し
移動技。印を結んでテレポートする。モーションが非常に短く隙が小さい。逃げ回りながら一回につきスーパーコンボゲージが1/4も溜められるためゲージ溜めの手段としてかなり優秀。
獄殺自爆陣
通称ハラキリ。「ハラキリッ!」のかけ声と共に生々しい音を立てて腹をかっ捌き飛び出た血で攻撃する。取扱説明書でも「命がけの大技さ!」と解説されている*21。が、本当にダメージを負うわけではなく性能も優秀なため実際はむしろローリスク。
性質は、ヨガフレイムのような俗に言う「飛ばない飛び道具」で、相手の飛び道具を消す事ができる。血はサワダを覆うように前方斜め上に弧を描いた形になるので対空技としても意外と使える。
スーパー必殺技で出すと血が金色になり、相手の飛び道具を跳ね返せるようになる。
後に『ストリートファイター5』が発売された際、公式サイトのシャドルー格闘家研究所に取り上げられ、まさかの本編シリーズ内に設定が組み込まれたのだが、そこでも「「獄殺自爆陣」は必見だが 真似はしてはいけない 」とこの技が触れられている。
カミカゼアタック
通称カミカゼ。「カミカゼッ!」のかけ声と共に両手を掲げたポーズに移行してそのまま敵に突っ込むのだが、突っ込んでいる間はハイパーアーマーで攻撃を潰されることはない上に、攻撃判定は掲げた腕の掌の部分にまで及ぶのでジャンプでも回避しづらく、加えてガードされてもサワダが先に動けるため、反撃を受ける危険がほぼないという、外見のネタ度に反して極めて優秀な性能を誇る技*22
本作にはスーパーコンボフィニッシュ時にカプコンゲームではおなじみのあけぼのフィニッシュの背景をバックに各キャラが専用ボイスを一言言い放つという仕様があるが、サワダのそれは「バンザーイ!」で、始動ボイスと合わさると「カミカゼ、バンザーイ!」にしか聞こえず、聞いた者に残す印象は強い。
余談になるが、このボイスからしても第二次世界大戦(太平洋戦争)中、敗戦を確信した大日本帝国軍が用いた玉砕攻撃を元ネタにしているのが明らかである。連合軍ではこの玉砕攻撃を「Banzai Charge(バンザイ・チャージ)」や「Banzai Attack(バンザイ・アタック)」と呼んでいたこともあってか、海外版では技名が「Kamikaze Banzai(カミカゼ・バンザイ)」となっている。

取扱説明書の紹介が「奇抜な技で注目を集めたい君に適したミラクル・ニューファイターだ」だったり獄殺自爆陣説明の全文が「ハラキリで血を飛び散らせる命がけの大技さ!当たった敵を転ばせることが可能だ!」だったりと一人だけノリが異質、かつ具体的な事はサッパリで、プレイせずにこれだけ読んだ人間にただのバカゲーorクソゲーと認識させてしまうのに十分なものがある*23
家庭用機オンリーでありながらとにかく凄まじい存在感で当時のゲーマーの記憶に残り、その影響で同じ映像素材を使っている、AC版『ザ・ムービー』に対しても「サワダがハラキリで攻撃したりカミカゼでバンザイして特攻かけたりするゲーム」と勘違いしている者も少なくなかったりする((ちなみにAC版『ザ・ムービー』のサワダはサワダ以外のキャラの方が色物過ぎる故に、「飛び道具を跳ね返せる攻撃を持っている」ことや前述の「タイムオーバー負けを喫すると切腹する」ことを除けば「比較的普通のキャラ」というポジション。”「RBOF」は「サワダが色物」、「ザ・ムービー」は「サワダ以外が色物」"という見解 はこういった理由から来ている。))

だが、(主にハラキリとカミカゼのせいで)完全なるイロモノ…もとい、「外国人が思い描く間違った日本人」そのものとしての地位を確立しているサワダだが、実際に使ってみると必殺技の特徴は本作に出せなかったフェイロンとダルシムをほどよく混ぜてさらに+αしたといった感じ*24でなかなかバランス良く出来ている。
更には「沢田スペシャル'95」の追加入力の難易度が高いという難点*25こそあれ、性能面では特別クセがなく意外と扱いやすい初心者向けキャラクターであったりもする*26

また、概要に書いた通りキャラクターの声は日本の声優が当てているのだが、サワダの声を当てているのは檜山修之氏*27で、彼の熱いボイスで上のように「ハラキリッ!」やら「カミカゼッ!」など叫ぶものだから印象にも強く残り、ただでさえ技の段階でもインパクトが強かったサワダを更に強烈に印象付けてしまっている。

+ サワダの勝利デモの台詞について

サワダの勝利デモの台詞も相当にネタとして強烈(に見えてしまう)ものになっている。
ゲーム中では中途半端に漢字が使われていたりと読み辛いことこの上ないため、ここでは全て漢字に置き換えた方が妥当な所は置き換えている。

故郷のみんな、俺はまた勝ったぜ!
数少ないまともに解釈出来るセリフ。 しかし、戦闘中のサワダを見ていると故郷の人達は関わり合いになりたくないのでは無いかという気もする…。
これがサワダ流ケンカ殺法だぜ!
腹を切るわ忍術使うわ直立不動(足すら動かさない)でスライドしながら前方に突っ込むわ…サワダ流ケンカ殺法恐るべし。
俺の弟子にならないかい?
腹は切りたくないです。と言うか、弟子を取ってたのか、お前。
やっぱり、銃よりこっちがいいねえ!
恐らくは銃でドンパチするよりもインファイトの殴り合いの方が良いと言いたいのだろうが、どうしてもハラキリのインパクトが強すぎてドンパチするより腹を切る方が良いと言っているように聞こえてしまう
東洋の神秘、思い知ったか!
東洋の神秘スゲー!…と言うか、東洋の人々をお前と一緒にするな
それとも自分こそが東洋の神秘だと言いたいのか、それはそれで勘弁してくれ。

そんな色々な意味でネタとして突き抜けたキャラクター性故に本作自体が「サワダのためのゲーム」「サワダゲー」とも言われることもある。
これに絡んで、ニンテンドーDS用ソフト『SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS』においてプロデューサーのFALCOON(ファルコン)がカプコン側キャラクターのひとりとして使いたいと申し出たものの、版権等の問題でお流れになってしまったという逸話も残っている。

後に、PS3およびPSP用ソフト『まいにちいっしょ』内のコンテンツ、『トロステーション』第766回「キャプテン・サワダの護身術入門」や第886~887回「ラーメン屋さん見学にあの人登場」、および後継作品の『週刊トロ・ステーション』第16回「キャプテンの上海夜話」などでも登場し、特に『トロステーション』第887回では彼がトンカチでもなかなか割れない骨を手刀で砕いているシーンが披露された。
基本的に人間ゲストが複数回登場することがめったに無い同作において、これ程の登場回数はまさに異例と言える扱いである。


総評

見た目…と言うよりはサワダのイロモノっぷりが全てをかっ攫ってしまっているゲームではあるが、実際の対戦格闘ゲームとしてもスーパー必殺技に関するシステムに難こそあれど、特別破綻してしまっている点はなく無難に遊べるゲームとなっている。

しかし、アーカイブス化は前述の『カードファイターズDS』ではないが版権の問題もあって難しいとする意見もよく見られ、中古として入手するにも意外と品薄なのか入手が難しかったりするが、実写化されたキャラクターにどうしようもないレベルでの拒絶反応がある、または格ゲーがそもそも苦手などでもなければ、ネタとしてプレイしてみる価値はあると言える。
だが、当時は『スパIIX』の代替としての価値もあったが、今となっては『ハイパーストリートファイターII』があるためにむしろ『ザ・ムービー』のような別ベクトルで突き抜けているゲーム性のない(=無難に纏まりすぎている)本作の評価は完全にサワダ一点になってしまっているのも事実であり、それ故に正当な評価をされない不遇な作品であるとも言えよう。


+ 当時のTVCM