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【あーまーど・こあ ねくさす】
ジャンル | 3D戦闘メカアクション | |
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売・開発元 | フロム・ソフトウェア | |
発売日 | 2004年3月18日 | |
定価 | 8,190円 | |
廉価版 | PlayStation2 the Best:2004年8月5日/3,990円 | |
分類 | 黒歴史 | |
ポイント |
熱管理シミュレータ 調整不足な新要素と仕様変更でファン離れが発生 続投の多いデザイン、不便になった各システムetc OPムービーは相変わらず高品質 |
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アーマード・コア シリーズ 作品リンク |
アーマード・コアとは、様々なパーツを組み替えて作り上げた自分だけのオリジナルロボット=アーマード・コアを乗りこなすレイヴン(傭兵)となり、企業からの依頼を引き受けて資金を稼ぎ、時には他のACと衝突しながら、荒廃した世界を生き抜く3Dアクション・シューティングである。
各作品において様々な問題が発生しつつも、どの作品もゲームとしての完成度は比較的高く、クソゲーとは明らかに一線を画す良作であることは確かであった。しかし、前作『3サイレントライン』では大量のパーツ増加に伴って対戦でのバランスが悪化し、一部のファンから批判の声が上がっていた。
そして2004年。タイトルにナンバーが付いておらず、プロデューサも名作『2アナザーエイジ』を担当した鍋島氏に変更される事となった『アーマード・コア ネクサス(NX)』の発表である。多くのレイヴンが発売を心待ちにしていた。
大幅な仕様変更と新要素が投入されたものの、そのほとんどが調整不足気味のシロモノであり、或いは変更や追加そのものに疑問を呈したプレイヤーが続出した。
本作で最も批判が集中したのが熱量の仕様変更である。
熱暴走とは、『2』から導入された、外気温や敵攻撃によって機体温度が一定値を超えている間、機体の耐久力が減少し続けるシステムを指す。このダメージは装甲に関係なく被るため、冷却装置や与える熱量の多い武器の選択などの戦略性の拡大に一役買っている。
だが、本作はこのシステムに大幅な仕様変更が入り、後述する様々な問題を併発したために「熱管理シミュレータ」と揶揄される事となる。
勿論、これが全ての原因というわけではない。例えばブースタには発する熱量の低いパーツもあるが、それらは例外なく出力や燃費に劣るため厳しい被弾のリスクを伴うし、旧作に比べラジエータの通常時消費エネルギーが軒並み1000以上増加(*3)しており、これによってエネルギー周りの性能が著しく低下した事で熱暴走のペナルティが数値以上に重い効果を持つ事になる。こういった様々な要因が、熱暴走の仕様と複雑に絡み合っているのである。
発熱も従来通りの被弾、加えてオーバード・ブーストの予備熱なども並行して発生するため、良く言えば慎重な構築・行動が求められる、悪く言えば制限ばかりかけられ爽快感を欠く仕様変更となっている。
致命的なものは少ないが、一部バランスに重大な打撃を与えているバグ(あるいは理不尽な仕様)が存在する。
そこにあったのはファンの求めていた続編ではなかった。
新規プレイヤーの開拓に意欲的な姿勢が見える一方、事前体験会におけるファンからのクレームを無視して未修正のまま発売してしまった事は褒められたことではない。
本シリーズはいわゆる一人プレイ派や対戦派の他にも様々なユーザー層が存在し、それはアリーナを楽しむ層であったり、高速機動戦や空中戦を求める層であったり、破壊や制圧による爽快感を楽しんだり、シナリオを求めていたりと多種多様である。それらのファンに長年支えられていたシリーズであっただけに、新規層開拓とファン離れを発生させた本作の功罪は極めて大きい。
公式でも『3』『SL』と順調にPSP移植された所で、本作を差し置いて続編『LR』の移植版が発売されてしまった事からも、本作の立場は非常に厳しいものにあると言わざるを得ない所である。
ただし、アクションゲーム市場として視野を広げた場合、致命的なバグを持たず、依然として高い品質を保持しているゲームではある。本シリーズのような絶妙な機体の構築によるロボットへの浪漫と硬派な世界観を持つゲームは他になく、また批判点で挙げられた各項目を見て分かる通り、本作への批判は大半が過去シリーズ作品との比較に因る為、シリーズ新規参入プレイヤーからの視点、ならびに作品単体の品質から本作をクソゲーに分類するのは早計と言える。