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ニンジャガイデン3 - (2017/07/17 (月) 09:53:06) の編集履歴(バックアップ)


ニンジャガイデン3(NINJA GAIDEN 3)

【にんじゃがいでんすりー】

ジャンル アクションアドベンチャー
ハックアンドスラッシュ


対応機種 プレイステーション3
Xbox360
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(Team NINJA)
発売日 2012年3月23日
定価 7,800円(税抜)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
分類 黒歴史
ポイント システムの改変
たった3つしかない武器
単調な敵AI
忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ


概要

  • 早矢仕洋介率いる新生TeamNINJA開発のニンジャガイデンシリーズの3作目。人を斬る重みを追求し、「断骨」「介錯」という新システムが搭載されている。
    • 斬ることに重点を置いているため武器は「刀」1本のみ。ただ、DLCで「爪」と「大鎌」を追加することができる。
  • 『NINJA GAIDEN 2』で好評を博した「欠損」「滅却」システムが廃止されたり、シリーズの売りであった「絶技」システムが全く別のものに変化している等、改変点も多い。
  • オンラインによる対戦・協力プレイに対応している。ただしプレイには有料のオンラインパスが必要。
  • 新チーニンによる完全新作のニンジャガイデンはこの『3』が初。
  • このシリーズの産みの親である板垣伴信氏は『NINJA GAIDEN 2』の発売後に退社しており、この作品には全く関わっていない。

システム

  • 基本的なシステムに関しては『NINJA GAIDEN』の記事を参照。 断骨
  • いわゆるQTEでコンボ中に敵の出血量、プレイヤーであるリュウが浴びた返り血の量に応じて一定確率で発生し、ボタン入力に成功すると敵を瀕死状態にする。
    • 敵が出血していればしているほど、リュウの浴びた返り血が多いほど発生確率が上昇する。リュウの返り血は、一定時間経過したり、敵から攻撃を受けると減っていく。
  • 断骨直後のコンボが他の敵に当たると更に断骨が発生する連鎖断骨(通称連骨)がおこなえる。

介錯

  • 断骨などによって瀕死状態になった敵にトドメを刺すシステム。前作の欠損した敵にトドメを刺す滅却と用途は同じ。介錯すると後述する忍法を使用するための「気力ゲージ」が溜まり、リュウに返り血が付着する。
  • 介錯しなくても敵は時間経過で死亡する。

絶技

  • 敵を倒すたびに武器が赤く染まってゆき、ある段階まで武器が赤くなると発動可能になる。
  • 絶技を発動すると、周囲の敵を次々に斬り裂き、一撃で葬り去っていく。ある程度倒すと絶技終了し武器の色も元に戻る。
  • 凄まじい威力を持つ必殺技であるが、一度使うと再び武器を赤く染めるまで使用不能になってしまう。また戦闘が終了すると、武器の色は元に戻り、再び次の戦闘で赤く染めないと使用できない。

忍法

  • 敵を倒したり、介錯を行うことで気力ゲージが溜まり、最大まで溜まると「忍法」が発動可能になる。
  • 忍法を発動すると、周囲の敵を全て一撃で倒すことができる。巻き込んだ敵の数に応じて体力が回復する
  • 戦闘終了時の気力ゲージの量に応じても、体力が回復する。その際、ゲージは0になる。

スライディング

  • 『1』『2』における裏風とほぼ同義。違いはスライディング自体に攻撃判定があること。
  • 上手く当たれば相手を浮かせたり、無防備な状態にすることができる。スライディングからコンボに移行することも可能。

オンライン

  • 本作でシリーズで初めてオンラインを使用したマルチプレイヤーバトルが可能になった。オンラインでは自分の分身を作成してプレイ可能。外見は自由にカスタマイズでき、変更できるのは、使用する刀、装束の色、鉢金(頭部に装備する防具)、腕の防具、背中に背負う漢字の5種類。以下がオンラインのモードである
    • Clan Battle
      • 4対4で戦うチーム戦。制限時間5分内に最も多くのポイントを獲得したチームが勝者となる。
      • 戦闘中に、各プレイヤーに個別に密命が与えられることがある。特定の技で敵を倒せ、自分を倒した敵に復讐せよ、といったオーソドックスな指令のほかに、自分のチームを裏切る、全プレイヤーが敵になるバトルロワイヤルに突入する、といった密命も存在する。裏切りが発生すると、対戦バランスは5人対3人になり、少ない側は非常に不利になる。しかし、その間は相手を倒したときに獲得できるポイントがアップするので、大量のポイントを手に入れて一気にトップを目指すチャンスでもある。
      • また追加DLCで稀にリュウ・ハヤブサが敵として乱入してくるようになった。その強さは圧倒的でプレイヤーを恐怖に陥れる。
    • NINJA TRIALS
      • 本編を進めることで選択可能。様々なミッションをこなしていくモード。オンラインでの協力プレイも可能だが、一人で遊ぶことも可能。

評価点

美麗なグラフィック

  • 初代から一貫してグラフィックは良質。

BGM

  • 特にタイトル画面で流れる曲の評価が高い。
    • 人を斬る重み()にこだわった結果、効果音はそこそこ気持ちいい。

新規プレイヤーに対する配慮

  • アクションが苦手な人向けの難易度「HERO」の搭載。ピンチになるとオートガード・オート回避が発動する。
  • 低難易度ならボタン連打でもそれなりに見栄え良く戦えるゲームシステム。
  • チャプター開始時のロードは若干長いが、チャプター中のロードは殆ど無く快適。
  • マップは1本道で、お遣い要素は無い。またR3ボタンで先へ進む方向を示してくれるので迷うことはまずない。

アクション

  • 追加されたモーションには、空中で3回飛燕→冥府落としや、空中から一気に敵を突き刺す攻撃などは好評。
  • 冥府落としや飯綱落としから直接着地攻撃に派生できるようになったりと、一概に改悪点ばかりではない。
  • 空中から直接冥府落としが使用可能になった。もっとも強制首欠損ではなくなっているが。
  • 飛燕が強化され、向きに関係なく出せるようになったほか、ヒットすれば相手を1発で瀕死にすることが可能になった。
    • ただし、超反応ガードや回避されるようになっているため、工夫しないと当り辛くなっている。

問題点

武器が刀(+爪、大鎌)だけ

  • 発売前から物議を醸した点。
  • 『1』『2』共に武器の数は多く、それぞれで全く異なった動きが楽しめた。『3』で更に武器の数が増えるのかと思いきやまさかの全削除。
    • かといって龍剣のアクションが大きく増えたわけでもない。純粋な劣化といえる。
  • 実際はDLC含み使用可能武器は3つある。しかしDLC配信の告知がされるまでは使用可能な武器は「刀」のみというスタンスだった。しかもアンロック。
  • 武器が少ないため実行できるアクションの数も少なく、戦闘の自由度も過去作に比べて低くなっている。

アクション

  • 硬直が長すぎる、動きが緩慢など、前作までをプレイすれば思い通りに動かせず違和感を覚えること必至。
    • こちらの仰け反りによる硬直も非常に長くなっており、敵の攻撃速度は据え置きなため、理不尽な被弾や起き攻めが非常に多い。
  • 風路があまりにも出にくい。同時押しの受付時間が短いだけでなく敵を踏みづらくなっている。
    • 本作の風路は飛燕に派生するための生命線となる技であり、これが出にくいのはあまりにも致命的といえる。
    • 首切り投げの削除
    • aC忍者龍剣伝で登場しDOA・ニンジャガイデンに輸入されたアクション。武器を用いない純粋な投げ技で『1』『2』共に使い勝手の良いアクションだった。
    • 装備品に関係なく発動でき、発生が非常に早く、投げ技であるためガードされない。難点は空中弱攻撃に化けやすいこと。
    • こちらも欠損・滅却と同様に廃止が嘆かれた。

敵AIがお粗末

  • クリアさせる気のない凶悪な敵AIがニンジャガの売りであったが、そのAIの内容が単調過ぎる。
  • 攻撃面はただ投げの頻度が高く、遠距離技がしつこいだけ。防御面も特定の行動にスーパーアーマーを付与しただけ。
  • どの敵も同じ攻略法で対処可能。数発止めヒットアンドアウェイ戦法、手裏剣・風路で足止めからの飛燕、着地回転強からの飯綱落とし、遠距離からの弓…最高難易度の敵もこのいずれかで何とかなる。
    • 厳密には、そうせざるを得ない。長いコンボは高確率で回避・ガードされるため、少ない手数で敵を倒せる飛燕・飯綱に頼らないと攻略が難しい。
  • 初心者からは投げがしつこい・スパアマが理不尽、上級者からは行動がワンパターンすぎてつまらないと、批判を浴びている。

クナイクライム・ムササビダイブの存在意義

  • どちらもただのQTE同然の移動技であり、前者は登るだけ、後者は降りるだけ。QTEに近いため、これを利用した戦闘テクニックも存在しない。
    • 特にクナイクライムは頻繁に発生する上、登り切るのに要する時間が長いためゲームのテンポを悪くさせてしまっている。
      • 一見飛鳥返しで登れそうな場所でも発生するが、その場所では飛鳥返しは不可。

断骨、介錯システム

  • 発生タイミングは任意ではないため、長いコンボ、かっこいいコンボをする最中に発動してしまうこともあり、コンボの楽しみを削いでしまう。
  • 断骨を任意のタイミングで決められる裏技が存在してしまっている(通称スライディング断骨)。
+ スライディング断骨

  • 狙える敵は限られているものの、この裏技のせいでただでさえ大味なゲームバランスが更に酷くなってしまった。
    • リーチの長い大鎌で、スライディング→断骨→連鎖断骨→・・・と繰り返すだけで戦闘が終わってしまう。ミスしてもまたスライディングから始めれば良い。
  • 介錯も前作の滅却のようにゲームにうまく馴染んでいるとは言いがたい。
    • 2であれば、敵は部位欠損すると戦闘力が下がるが、それでも攻撃は行ってくるし、場合によっては大ダメージの投げ技を仕掛けてくる危険もあるため、滅却で一撃で倒すことが重要となるようにシステムが組まれているのだが、今作は瀕死になった敵は介錯しなくても時間経過で死亡し、攻撃もしてこないので、わざわざ倒しにいく意味が薄く、気力ゲージ回収程度しかメリットがない。

無敵時間や当たり判定などの調整不足

  • 代表的なのは刀装備の介錯始動技(縦斬り)。この技は高確率で外れる。
  • 加えて『2』の滅却始動技にはモーション終わりまで無敵時間が設定されていたが、本作にそれはない(かなり短めになっている)。
  • 結果、介錯始動技が外れる→硬直中に投げを喰らう、という非常に理不尽な目に合う。
    • 高難度であればあるほど無敵時間の重要性は高まるため、この仕様に泣かされたプレーヤーは多い。
  • 捌きも無敵時間が大幅に削られており、成功しても被弾するという意味不明な現象が起こる。
    • また、強捌きは反撃まで長すぎるため当たらないことが多い。

賛否両論点

欠損・滅却システムの廃止

  • バイオレンスな描写は人を選ぶが、『2(Σ2)』においては概ね好評だったシステム。
  • それだけに廃止を嘆くシリーズファンが多かった。一応、滅却システムが「介錯」という形で受け継がれているため、完全に消滅した訳ではない。

絶技システムの改変

  • 上述の変更で、必要ないときに発動可能になったり、逆に必要なときに発動できなかったりする。
  • 演出も単調な「ワープ攻撃」で派手さがなくなってしまった(大鎌は例外)。
  • 威力が大ダメージから一撃必殺になる、ワープ攻撃ゆえ遠距離の敵も始末できるなどパワーアップした部分もあるのだが、この仕様変更を残念がるファンは多い。
    • といっても、規定数の敵を確殺することが可能ということは、逆に言えば規定数以上の敵を攻撃できなくなり弱体化したともいえるため一概に強化点とは言い難い。
+ 『2』までの絶技 ※ゴア表現有・苦手な人は要注意

回復アイテムがない

  • 忍法が回復を兼ねているため、回復アイテムが存在しない。
  • 低難易度では大して気にならないが、高難易度ではこの仕様を理不尽に感じるプレイヤーも居る。

リュウ・ハヤブサについて

  • 今作はスタッフ達が「人間リュウ・ハヤブサを描く」とコメントしており、過去シリーズに比べて人間性がかなり異なっている。
  • 「アンマスク」を謳い文句にしているように、リュウが覆面を脱いで素顔を晒したり、他人とコミュニケーションを取る場面が多い。
  • 寡黙だった『1』『2』に比べてかなり印象が異なるため、「こんなのリュウじゃない…」と困惑・落胆するファンも。
  • ただ、リュウ・ハヤブサはDOAシリーズにも登場しており、そちらの彼も見れば人間性が異なるとは言い難く*1あくまでも口数の少なかったNINJA GAIDENシリーズだけを見た際の違和感だということは記しておきたい。
  • また、今作のプロデューサーであり現TeamNINJAリーダーの早矢仕氏がディレクター兼プロデューサーの立場で製作指揮を行ったDSの「NINJA GAIDEN Dragon Sword」でも、リュウは比較的他人とコミュニケーションをとる場面もあり、やや今作の片鱗が見えるなど、『1』『2』の監督である板垣氏の描くリュウ像と早矢仕氏のリュウ像の違いが現れているといえる。

ストーリー

  • 公式でストーリーに力を入れている旨の発言をしているが、実際のところイベントシーンの量はあまり多くない。
  • 命乞いをする敵兵士を斬るイベントや、リュウが呪いに蝕まれ苦しむイベントが劇中で何度か発生する。
    • どちらも戦闘中または戦闘後に発生するため、上述したクナイクライム・ムササビダイブと共にゲームのテンポを悪くさせてしまっている。
  • リュウが人殺しの業に思い悩むというテーマがあるようだが、後半になってもそういった行為に対するリュウ自身の回答は明確に描写されず投げっぱなしであったり、単純に完成度も高いとは言えない。
    • とはいえ、もともとシリーズ通してシナリオにはあまり力を入れていないので、気にしない人間もいるなど賛否はある。

総評

ゲーム自体は低難易度でプレイするなら特に問題ない出来である。
被ダメージの量も少なく、敵AIの理不尽さも目立たない。コンボも自由に組め、良質なグラフィック・BGMも相まってそれなりに遊べる。ややボリューム不足な感は否めないが。

しかし、一周だけではなく何周もしてやり込もうと思った場合、随所に見られるつくりの粗さが目に付く。特に『2(Σ2)』の続編として見た場合には酷いことこの上ない。
「絶技」「忍法」「首切り投げ」「欠損・滅却」等、当たり前のようにできたことのほとんどができなくなっており、自由度は激減。戦闘はただ飯綱落とし・飛燕を繰り返すだけの作業で、ニンジャガの魅力だったはずの戦闘が退屈なものになってしまっている。
新規プレイヤーにとっても、ただ投げを繰り返すだけの敵AIや、理不尽なスーパーアーマーは間違いなくプレイの障害となるだろう。

最初こそ演出や新システムの目新しさから面白そうな印象を受けるが、数時間やればすぐにアクションとしての欠陥の多さに気付くはず。
『1』『2』がスルメのようにやればやるほど面白みが増していくゲームだとすれば、『3』はガムのようにやるたびに楽しさが薄れていくゲームである。


余談

  • ファミ通クロスレビューでの評価は36点でプラチナ殿堂入り(『2』は34点)。
  • 『メタルギアライジング リベジェンス』の開発者である稲葉敦志はツイッターにて、「『ニンジャガイデン3』はどうしようもないクソゲー。」とツイートしている。
    • ニンジャガイデンシリーズと同作を比較する意見に対するツイートであり、「(『3』とは)比べて欲しくない。」とも語っている。