「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児 - (2018/01/13 (土) 11:29:56) の編集履歴(バックアップ)


注意:ここでは、オリジナルのSFC『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児』(不安定)を中心に解説し、併せてMD移植版(判定なし)についても補足する。


クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児

【くれよんしんちゃん あらしをよぶえんじ】

ジャンル アクション。ま、要するに冒険ゲームだな。
(SFC版パッケージ裏のしんのすけの発言による)

対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 さんえる
発売日 1993年7月30日
定価 9,500円(税別)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント アクションとミニゲームの難度差
子供にはきつすぎるミニゲー周り
ザコ敵扱いの友達
もうあきらめるかい?
クレヨンしんちゃんゲームリンク
対応機種 メガドライブ
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 マーバ
開発元 シムス
発売日 1994年3月11日
定価 8,800円(共に税別)
判定 なし
ポイント ゲームバランスを改善
全体的に遊びやすくなった

ここでは主に改変前となるスーパーファミコン版について説明します



概要

当時アニメが大人気・社会現象にまでなった『クレヨンしんちゃん』を原作としたアクションゲーム。
スーパーファミコン用として発売され、後にBGM・ミニゲームの変更、若干の難度低下を施しメガドライブにも移植される。
当時としては珍しくサンプリングによるボイスを多数収録し、カセットなのにしんのすけがアニメと同じ声でベラベラ話す、というのがウリの1つだった。SFC版のパッケージでは「テレビアニメそのまんまのオラの声も聞けるぞ。」とストレートに、MD版のパッケージでは調子付いて「テレビアニメそのままのオラの セクシーな 声が聞けるゾ。」と各々しんのすけが語る形式で紹介された。

ゲーム内容と主な問題点

設定とシステム周りだゾ

  • 「春」「夏」「秋」「冬」をテーマにした4ステージ内に各5エリア、全20エリアで構成。
    • 「夏」は肝試し、「冬」は雪降りしきる町内をモチーフにしているように、季節感をイメージしたものとなっている。
    • が、「春」はまだしも「秋」はなぜかしんのすけの夢の中での話で、しんのすけの大好きなヒーロー番組の主人公・アクション仮面が悪の組織のメケメケ団につかまってしまい、しんのすけがアジトに侵入し助けに行くという内容。当然季節感のかけらもない。
      • 「スポーツの秋ということで町内全体で開催されるスポーツ大会」「紅葉の森を舞台にお使い」など、季節感あるシチュエーションはいくらでもあるのだが。
  • 説明書のみさえによると「いじめっ子やお友達の攻撃をかわしながら、いろんなカードを探すゲーム。」
    • ステージにより異なるが、しんのすけを操作し3場面程度のマップを駆けずり回りながら、民家や店などに入り会話シーンを見つつフラグを立て、クリアアイテムとなっているカードを入手するとクリア。または特定の敵キャラクターを退治した後に現れるか、道中に浮いているカードを入手しゴール地点へ移動するとクリア。
      • カードは上記のイベント進行用のほか、無敵や画面内の敵を全滅させるなどゲーム進行を有利にするためのカードもあり、こちらはステージで幾つか手に入る。
    • 敵と接触するとライフが1つ減り(画面右上のしんのすけの表情が変わる)、3回受けてしまうと残機が1つ減り、残機を全て失うとそのステージの一つ前のエリアからやり直しになる。
    • 各エリアには制限時間があるが、制限時間が一定(半分程度)以上残っていれば1UPできる。
    • 初期の原作によく出てきた2人組のいじめっ子に混じってなぜか風間くん、マサオくん、ボーちゃん、ネネちゃんが特に理由もなく敵として設定されており、触れただけでダメージを受ける。場合によっては何度もしんのすけに近づいて来ては積極的に攻撃を仕掛けてくる。またクリアに必要なカードを特定の敵キャラを倒して入手しなければならない場面もある為、しんのすけから攻撃を仕掛けないとゲームクリアは不可。
      • しんのすけからダメージを受けた(倒された)際には、「ひるんだ表情を見せた後に走って逃げて行く」というアクションゲームとしては珍しい演出が例外なくとられている。
    • フラグ立てがややきついという意見も。2ステージのきもだめしは入口と出口の法則に気づかないと同じ場所を延々と回ることとなる。
  • 会話シーンのメッセージスキップができない。アクションシーンとの画面切り替えも間があり、地味にストレスがたまる。
    • MD版ではこの点は改善された。
  • 長々とダレる内容にも関わらず、セーブやパスワードによる中断機能はない。
    • ミニゲームの難度もあって、ただでさえ高い難易度が理不尽なまでに上がっている。せめてパスワードがあれば評価はもっと上がったはず。

オラのアクションだゾ

  • 通常の攻撃手段はYボタンで行う「でんぐり返し」と、Xボタンで行うジャンプからの「踏みつけ」、Aボタンで行う足元に落ちている物を使っての「投げ」がある。
    • その他の攻撃手段としては、カードで呼び出せるシロ自体に攻撃判定がある。
    • しかし、これらのアクションに今ひとつ爽快感がない。走り始める際に微妙なウェイトがかかるなど、動きがぎくしゃくしており直感的な操作が出来ない。あまり派手なアクションがないのも残念。
    • アニメで見るイメージほどしんのすけが軽快に動いてくれないのは、気になる人は気になるところだろう。
      • もっとも、本作の発売は『クレヨンしんちゃん』劇場版アニメ第一作の上映とほぼ同時で、当時は現在しんのすけに見られるような5歳児とは思えない身体能力のイメージはあまり無い。これをこの時代のゲームに要求するのは酷ではある。
      • とは言え、そういった当時の描写を鑑みても、いちゲームとして見てややもっさりしている感は否めず、基礎的なアクションでの問題点からは外れ得ない。
    • そして「でんぐり返し」及び「投げ」は、攻撃前後の無防備時間が長い上に攻撃範囲もそう広くないためかなり使い辛く、実際は「踏みつけ」以外で攻撃することはまずない。
      • 天井の低い通路を進む際など、稀に「でんぐり返し」が役立つこともないではないが、存在意義の薄さは免れない。
    • 敵の攻撃を受けた後の無敵時間が短く、3回攻撃を受けると1ミスとなってしまう。しんのすけ側の動かしづらさと一度に登場する敵の多さの関係上、道中の難易度は体感以上に高い。
      • 天使のカードを使えば回復が可能だが、天使のカードは他のカードと比べて入手率が若干低めで、そう頻繁に入手できるものではない。
    • Yボタンで攻撃、Xボタンでジャンプ、Bボタンで伏せなど、アクションゲームの慣例を無視したボタン操作。さらにオプションでの変更もできない。
      • MD版はCボタン(右ボタン)でジャンプ、Bボタン(真ん中ボタン)ででんぐり返し、Bボタン二度押しで伏せとアクションゲーム然とした配置となっており、オプションで変更もできる。
    • こちらはもっさりした動きと妙なボタン配置を抱えているのに敵、とりわけボスクラスは動きが速い。
    • 特に、頻繁にワープを使う3面ボス「モンキッキ」は攻撃するタイミングを合わせにくく、爆弾を多数投下してくるため非常に強い。
      • 攻撃を受ける→無敵時間が異常に短い→敵が寄ってくる→また攻撃を受ける、のハマりが多い。

難関のミニゲームだゾ

  • 各ステージの、3エリア目及び5エリア目(最終エリア)のクリア後にはミニゲームが挿入されるのだが、出るミニゲームが揃いも揃って難易度がやたら高い
    • 3エリア目のミニゲームは成功・失敗に関わらず特にボーナスもペナルティもない完全なおまけなのだが、SFC版ではステージ最後のミニゲームはクリア必須。失敗すると残機を一つ失ってやり直し。
    • 残機を全て失った際のペナルティも全く同じで、道中ステージをモノにしてもミニゲームがクリア出来ず何時までも先に進めないという事態が頻発する。
      • ステージ3に至っては前述のモンキッキ戦もやり直すハメになってしまう鬼畜仕様。クリアしても特に恩恵は無く、楽しいガス抜きな筈のミニゲームが、ひたすらプレイヤーの残機と心を折りかかる鬼門にしかなっていない。
    • 各ミニゲーム開始時には、「よくきけよ このゲームは しっぱいすると のこりの しんのすけの かずが ひとり へるんだ」というそこはかとなく物騒な忠告をされる。
      • ただし、後述のように専用のミニゲームモードで練習することはできる。
  • 5エリア目のミニゲーム(クリア必須)
    • 1ステージ目「カード探しゲーム」
      • 父・ひろしが「「あ」ではじまる物は何だ?」と頭文字でカードを指定するので、それに対応するカードを選ぶ。
      • 時間内に24枚のカードを全て取ればクリアだが、"組長"や"カンタムロボ"、"男の約束"などクレヨンしんちゃん独特の固有名詞があるため、原作を見ていないと分からない事も。
      • 仕方ないことではあるが、かなり初期の頃をベースにしているので、前述の「男の約束」など、今のアニメではまず使われない用語が出てくる。カンタムロボの絵は現在と全然違う(写真の左から2列目、下から2段目がソレ。緑色ですらない)*1
      • なお、ひろしがゲーム中で出てくるのはここだけ。
  • 2ステージ目「旗上げゲーム」
    • アクション仮面の指示(ボイスはない。テキストが流れる)に従って赤白の旗上げを行い、CPUであるよしなが先生と対決して2本先取するというもの。
    • ゲーム自体は単純だが、判定がシビアな上にCPUがかなり強い。子供相手に大人げない、よしなが先生。ここで詰まったプレイヤーも多いはず。また、時間が経つにつれBGMが早くなっていくため非常に焦ってくる。
    • 稀にアクション仮面が指示を誤って仕切り直しになるのだが、その後は最高速レベルにスピードアップする。こうなるとほぼ運ゲー。
  • 3ステージ目「神経衰弱ゲーム」
    • 盤面に縦3列、横6列で18枚のカードが並べられる。お手つき回数を指定回数以内に収めながら、神経衰弱の要領で全てのカードを取れればクリア*2
    • お手つき回数は最初に3枚のカードから選択して決められるが、運が良くても3回しか貰えず、下手をすると1回きりになる事も
    • 一応、カードは必ず簡単なパターンに沿って配置されているので、そのパターンを見抜けば十分クリアはできる。ただし、どのようなパターンで置かれているか調べるにはお手つきを必要とすることが殆どである。
    • パターンがあることをゲーム中でヒントとして教えてくれることもない。ミニゲームモードで何度も遊んでいればそのうち分かることではあるのだが。
  • 最終ステージ「スライドパズルゲーム」
    • いわゆる15パズル。15枚のパネルをスライドさせて絵柄が完成するよう並べ直す。位置が合っている場合はパネルに色がつく。制限時間は5分。
    • 15パズルというものは、「やり方を知っていれば1~2分でできるが、逆にやり方を知らなければ時間をかけても完成は困難」という二面性を持つパズルである。このゲームの対象世代である子供に自力で15パズルの解法を見つけさせるのはかなり厳しいものがあり、それまでの壁を越えてもここで詰まるプレイヤーが多数いた。
    • 絵柄のパターンは3種あるが、シロの絵柄はピースの色が似たりよったりであるため、難易度は更に上がる。
    • このステージは出題者が 組長 園長先生で、制限時間が迫る度にカウントダウンしてくるのだが、最後の方になると「もうあきらめるかい?」と真顔で言ってくる*3。なにもこんな所で組長しなくても…
    • 絵の完成形から高速でバラバラにスライドされる過程をその場で見ることができるため、現在ならば解き方を知らなくてもデジタルカメラやスマートフォンさえあればビデオで撮影→すぐ再生モードにして少しずつ巻き戻しながらそれを見て解いていく、という荒技もあるにはある。制限時間内までに完成させるとなると案外時間ギリギリになるが。そもそもゲームに、ましてや子ども向けのそれにここまでやる必要性を持たせるのもどうなのだろうか。
    • ただ、パネルが正解の位置に来た時のみカラーになるようになっており、一応の配慮はなされていると考えることもできる。
  • 3エリア目のミニゲームはこちら。これらは残機に影響することはないが、やはり全体的に難易度が高い。
    • 1ステージ目「ジャンケン追いかけっこゲーム」
      • いわゆる「グリコ」のゲーム。CPUのみさえとジャンケンをして、勝った方は出した手に応じて決まった分だけ先に進める。しんのすけはスタート時点で10歩ほど前にいるので、追いつかれる前にゴールの家まで逃げ込めば勝ち。
      • クレヨンしんちゃんに合わせて、進む距離は「グリグリこうげき(グー)」「チョコビー(チョキ)」「パンパンマン(パー)*4」となっている。
      • 完全な運ゲーだが、リスクが少なく期待値も高いパーを出し続けていれば勝つのは難しくない。子供にそこまでの知恵が働くかは微妙だが、チョキが明らかに損なのは少し遊べばわかる子はわかるだろう。
  • 2ステージ目「水泳大会ゲーム」
    • レースゲーム。Aボタン連打で前に進む。途中にはスピードが上がるスクリューや足ヒレ、進行を止める渦潮や泡があるので、上下にコースを変更してうまく進みトップを目指す。
    • ある程度ガチな連打を要求される。頑張って連打してもなかなか速く泳げない上、初っ端からCPUたちから文字通り置いてけぼりをくらいそのままビリになった人も多いのでは。
  • 3ステージ目「給食運びゲーム」
    • ボタンを1回押すごとに少しずつしんのすけが前に進んでいく。前を歩く風間くんと後ろを歩くマサオくんにぶつからないようにしながら給食を教室まで運ぶゲーム。
    • 後ろのマサオくんが曲者で、かなりギリギリまで近寄られることも多々あり非常に難しい。慣れても失敗する時はする。
    • 水泳大会ゲームと違い、Aボタンは押しっぱなしでないとスムーズに進むことができない。同じ感覚でボタンを連打しようものなら一瞬でマサオくんに追突される。
    • また、ミスした際に出てくる会話が長めで、ミニゲームモードで遊ぶ際にやり直す気が削がれやすい。
    • 原作2巻で同じように給食を運ぶエピソードがあり、このミニゲームのモチーフになっている。有名なネタである『前が見えねェ』が登場したのもこのエピソード。*5
  • 最終ステージ「しんちゃんを探せゲーム」
    • 指定されたポーズ・服装のしんのすけを覚え、それと同じものをモザイクの掛かった画面に点在するしんのすけ達の中から見つけ出すゲーム。
    • モザイクは徐々に晴れていくが、制限時間が来る前に完全に晴れることはない。制限時間もそう長くはないので焦る。
    • 画面は広めで、上下左右にスクロールさせて探さなければならない。しんのすけの数も多い。服の色違いなども混ざっている。
  • なお、2ステージ目(肝試し)では各エリアのクリア後に「スロットマシンゲーム」が挟み込まれる。
    • 絵柄を揃えるとカードなどが貰えるほか、一部の絵柄では残り残機を増やせる。外れてもデメリットはない。
    • ただし、絵柄に関わらず適当に押して揃えることはかなり困難である。絵柄の並びを覚えて、更に目押しすればなんとかといったところ。
  • 流石に問題視されたのか、MD版では神経衰弱ゲームとスライドパズルゲームが無くなり、ステージ最後のゲームは失敗してもペナルティなどもなく先に進め、成功した場合には1機増えるなど大幅に緩和され、よりボーナスゲームらしくなっている。
    • ただしエリアクリア後、ボーナスゲームの「おめかしゲーム」が挿入されることがある。幼稚園に行く準備として4段のタンスに入っている3つの服の順番を覚えて正しい順に選択するものだが、選択方法はスロット形式なので目当ての段を選択するのは無理に近く、やらされ感が強い。

      固有名詞いっぱいのカード探しゲーム

      MD版のみのおめかしゲーム

賛否両論点

  • シロの散歩セット、きもだめしのお札、アクション仮面の変身セットなど、イベント用の道具類までもがすべてカードで表現されている。上記の仕様と合わせアクションシーン内のイベント進行が無理矢理かつ不自然に感じることも。
    • あるエリアでは「幼稚園でマサオくんが待っている」ことを知るとマサオくんが出てくるのだが、彼を見つけても会話シーンが挿入されるわけでもなく、ボールを投げつけてくる彼を倒すことによりクリア必須のカードが入手できる。当然ボールに当たるとダメージ。
    • 他のあるエリアでは「工事現場にシロを連れている子がいる」ことを知るとネネちゃんが(ry… シャボン玉遊びをしている彼女を(ry… 。シロを保護していたであろうネネちゃんはしんのすけに無言のまま襲われ、見た目通り涙目である。
      • しかも行方不明となったシロをさがす筋書きなのにシロはクリア条件を満たすカード扱い。なぜカードにこだわるのだろう?
    • 4ステージではカードを探しながら雪合戦大会との設定なので友達の敵キャラ扱いはまだいいとしても、それまでのステージと同様にゲーム内での説明はやはり放棄されている。さらに一部エリアでカードを入手するためにはすでにカードを拾っていた友達を無言でボコってカードを奪わなければならない
      • アーケードのクイズクレヨンしんちゃん(タイトー)はきちんと会話の後にクイズになるのに、これは酷い。

        ネネちゃんを攻撃して逃げたシロの「カード」を入手するしんのすけ

評価点

  • グラフィックや音楽は非常に良好。
    • それぞれのキャラクターの描写は非常に上質で、アニメで出てくるキャラ達がそのまま動いて操作していると言っても過言ではないほど。
      • 登場する敵キャラについて、いじめっ子たちとは別にしんのすけの友達は1つの画面に同じキャラが複数出現しないようになっているなどの気配りも見られる。
      • それぞれのステージの背景も作り込まれている。
    • 技術力の低いメーカーではサンプリングボイスが割れていたり不明瞭な場合がよくあるが、SFC版のサンプリングボイスは明瞭。MD版はハードの制約上若干ガビガビだが強い違和感はない。
      • 当時のカートリッジメディアおよび容量では短い掛け声数種が限界と思われていたため、フルボイスで再生されるオープニングデモや豊富な掛け声はまるでCD-ROM機のようだと評価された。
      • しんのすけのボイスは特に豊富。掛け声などは勿論会話の節々で「妖怪ケチケチオババ」「しなぞろえの悪い店だなぁ」などの台詞も用意されており、ファンなら笑えるだろう。
    • 効果音もアニメでゲンコツを食らった時のあの音がダメージ音として採用されている等、雰囲気は素晴らしい。
    • BGMはオープニング曲以外オリジナル。ほのぼの系中心でゲームの雰囲気と合致している。
      • 4つのステージと、エリア最後のミニゲームはそれぞれ違うBGMが用意されている。曲のクオリティも中々のもの。
      • オープニングは当時アニメの主題歌だったB.B.クイーンズ『夢のEndはいつも目覚まし!』がインストで使われている。
      • MD版ではCM入りのジングルが原曲になっている。SFC版はかなりアレンジされている。
  • オープニングデモや会話シーンの内容は原作をよく再現しており、ファンなら思わず笑えることうけあい。
    • 隣のおばさんやネネちゃんのママといったおなじみのキャラから、地獄のセールスレディ売間久里代などマニアックなキャラもしっかり登場する。
    • 住人との会話シーンは、建物を出入りすることで数パターンに内容が変化し、その内容も面白いので特に意味がなくても何度も入りたくなる。
      • 風間くんやネネちゃんなどのお友達がいる建物もあり、その時はアクションシーンでのボコりっぷりがウソのように普通に友達として会話する。
  • ミニゲームモードも搭載されており、スロットを除く全てのミニゲームをプレイすることができる。
    • クリアしなくても遊べるので、難しいミニゲームの練習はここで可能である。
    • 基本的にミニゲーム終了後は成功失敗問わずにメニュー画面に戻るが、SFC版ではアクションシーンでクリア必須のミニゲームが何故かこのモードでも残機制になっているため失敗して残機を全て失うとゲームオーバーになる。(コンティニューの選択肢も出るがどちらを選んでも他のミニゲーム同様にメニュー画面に戻る)
    • この時代にありがちな連打ばかりに偏ったミニゲームでなく、様々な内容のゲームが用意されているのは評価できる。
    • ゲーム本編では多くのしんのすけの残機を奪った鬼畜なミニゲームも、このモードなら気軽に楽しめる…かもしれない。

総評

ビジュアルやBGM、原作の再現性などは良好でファンサービスにも余念が無く、キャラゲーとしては間違いなく及第点以上。ゲーム部分も力そのものはかなり入っている。
しかし、完全にバランス調整や仕様が一昔前のゲーマー向けと言わざるを得ないものとなっており、操作性やクリア条件などにも難があり取っ付きづらさが目立ち、評価を落としてしまった。

売りであるグラフィックや会話などを楽しもうにもそれに至るまでの操作方法、フラグ立てのお使いメインとなるアクションシーンの単調さが足かせとなり、プレイヤーのやる気を削いでいく。
特にミニゲームの難易度は、魔界村シリーズのような高難度ゲームをクリア出来るようなゲーマーならともかく、対象年齢である子供にとってはあまりに過酷過ぎる。

あくまで子供向けという事で、操作体系の取っ付きやすさやある程度の難易度の低下などといった面にも力を入れていれば間違いなく良作キャラゲーとして受け容れられたであろうと思うと、惜しい一作である。

プレイするなら操作等のシステム面、ミニゲームの仕様とも大幅に改善されたMD版をお勧めする。

余談

  • 『週刊ファミコン通信』(現・ファミ通)のクロスレビューでは、辛口批評家のTACOXに3点を付けられた。総評は6463だが褒められた点は前述のボイスくらいで、「変に難しいところがある」「メインターゲットの幼児でもストレスが溜まりそう」「原作を知ってて当然のルールが鼻に付く」「いくらなんでもこの操作性はない」「町人に当たっただけで死ぬとは…」など、全員がゲーム内容への不満を漏らした。
    ただしMD版では改善が施された結果、点数および評価が上がり、佳作キャラゲーの扱いを受けた。
  • その後、3DSで発売された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ! 』では、初回封入特典として本作をダウンロードできるコードが付属されている。
    • 基本的な内容はSFC版と変わっていないものの、難易度を下げた「かんたんモード」が追加されている。
    • ……が、かんたんモードとは「初期段階の残り人数(残機数)が9になる」というだけである。
      • コンティニュー後の残り人数は2のままなので、恩恵は最初にゲームオーバーになるまでしか受けられない。
    • ちなみに、上記の公式サイトの紹介ページでも「マサオくんやカザマくんたちカスカベ防衛隊も敵として登場!?」と突っ込まれている。
      • 原作や発売当時のアニメと違い、現在の彼等はしんのすけの親しい友人として強く描かれいる為、現在の目線から本作を見るとそう突っ込まれるのも致し方ない…かもしれない。
      • ついでに作品のノリも今のアニメなどとはだいぶ変わっている為、原作や当時のアニメを知らない子供がプレイすると違和感を覚えるかもしれない。

プレイ動画