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ザ・警察官 新宿24時 - (2020/04/21 (火) 20:20:44) の編集履歴(バックアップ)


本項では『ザ・警察官 新宿24時』『ザ・警察官2 全国大追跡スペシャル』について解説します。
判定はどちらも「ゲームバランスが不安定」です。


ザ・警察官 新宿24時

【ざ けいさつかん しんじゅくにじゅうよじ】

ジャンル ガンシューティング
※PS2移植版
対応機種 アーケード
使用基板 VIPER
販売・開発元 コナミ
稼働開始日 1 2000年
2 2001年
判定 全作 ゲームバランスが不安定
ポイント 足腰のスタミナ必須
厳しい時間制限と敵配置
誤射で更に追い詰められる
「プレイヤー殉職!」


概要

大量の拳銃の密輸を目論む指定暴力団「極道会」との対決を描いたガンシューティングゲーム。
プレイヤーは拳銃で画面上に出てくる組員を倒して…もとい、逮捕していく。
前半5面は東京都新宿が舞台に、後半4面は拳銃の輸入元であるアメリカが舞台となる。全9面。面の最後には特別指名手配犯(ボス敵)がいる事もある。

2001年には続編の『ザ・警察官2 全国大追跡スペシャル』が稼動開始。こちらは前作の新宿を含めた全国6都市を舞台に、香港マフィア「龍頭」と極道会の勢力抗争を鎮圧していく。


特徴

基本的な内容

  • ゲーム内容は俗に「警察24時」と言われる、全国の警察官の活動を描いたドキュメンタリー番組をモチーフにしている。
  • プレイヤーの姿勢を感知するセンサーを備えており、プレイヤーの身体の動きに合わせて、ゲーム内での視点が変わる斬新なシステムが取り入れられている。
    • 画面上にはプレイヤーが隠れるべき方向が矢印で指示される。「←」の場合なら身体を左に傾けて、「↓」の場合ならしゃがむと隠れる事が出来、その間は敵からの攻撃を一切受けず、同時に弾数もリロードされる。
  • プレイヤーには「階級」が設定されており、最初は巡査からスタートする。
    • ミスせずにシーンをクリアすると徐々に階級(ランク)が上がる。特定の階級に到達すると、制限時間延長や残機増加といった恩恵が得られる。
      • ランクが最高の「警視総監」になると残機が100人追加されるという、一見ふざけたようなボーナスを獲得できる。だが……

『2』での変更点

  • プレイヤーキャラクターを「制服警官」「婦人警官」(5発装填の回転式拳銃)、「私服警官(刑事)」(前作と同じ8発装填の拳銃)、「特殊急襲部隊」(12発装填の短機関銃)の4人から選択可能に。
    • 隠しキャラも前作の舞台だったアメリカからの応援と言う設定の「ヤンキー刑事」や「金髪美女刑事」、某宇宙刑事風味な「メタル刑事」、更には「ピンク婦警」と豊富に。
  • ステージ構成も、プレイヤーの任意で二番目のステージをどこの都市にするか選べるようになった。
    • 最初は極道会組事務所からスタートし、札幌・新宿・名古屋・大阪・神戸・博多の6都市をクリアしていく。最終ステージは難波駅前か梅田のどちらかに分岐するようになっている。
    • 通常時の最終ステージは難波駅前だが、梅田に分岐できれば「一斉検挙作戦完了!!(=真のエンディング)」となる。分岐条件は「オレンジ色のマーカー」が付いた特殊な敵を3人倒…逮捕する事。
      出現するとすぐ逃走する上に、出現中に誤射や殉職をしてしまうと消滅してしまう為かなり難しい。
  • ナレーションが前作から変更されている。これについての詳細は後述する。

評価点

  • 実際にプレイヤーの体を動かして視点操作やリロード、敵弾回避を行うガンシューティングというのは中々に貴重。
    • これによって、あたかも自分が作中世界で極道会と戦っているかのような臨場感を味わえる。
    • 運動量としても相当なものであり、特に太腿の筋肉を鍛えられる。近場に筐体があるか、或いは後述の家庭用移植版を持っているのであればダイエットに是非。
  • 所謂「警察24時」の雰囲気はかなり再現できている。
    • ゲーム開始時などに流れるナレーションは、この手の番組でおなじみ田中信夫氏が担当。この時点でピンとくる人にとっては非常に納得のいくキャスティングだとも言えよう。
      • 『2』のナレーションは小林清志氏に変更されている。氏のナレーションだとSASUKEや平成ゴジラシリーズ予告編の印象が強いか。最新情報は公開してくれないので悪しからず。
    • 前半ステージでもある新宿の町並みも、多少のアレンジこそあるもののかなり丁寧に再現されている。野外の看板にはモザイクがかけられていたりと、その辺りもテレビ番組風になっている。
    • プレイ中には無線による会話や、組員への投降を促すアナウンスが流れるが、此方の雰囲気も実にそれっぽい。
    • ステージボスとなる特別指名手配犯が登場した際には、なんと目に線が引かれたボスの手配写真が画面に表示され、ゲーム中でもボスの顔面にモザイクが掛かる。
      雰囲気の再現としては完璧なのだが、ガンシューという割には非常にシュールな光景である。
    • BGMはBEMANIシリーズや『サイレントスコープ』でおなじみのJimmy Weckl氏が作曲。何れも元ネタ番組に用いられそうな曲調でゲームにもマッチしている。
      • 特に通常ステージのBGMはプレイヤーの殉職数や誤射数に応じて、勇壮さのあるテーマ曲、緊張感を煽る曲と、曲調の全く違うBGMが流れるという拘りっぷりである。
  • 思わず笑えてしまうバカゲー要素も散見される。
    • 現実の警察では発砲した時点で出世ルートから脱落するケースが殆どなのだが、本作プレイヤーは極道会の構成員相手にガンガン拳銃をぶっ放して(ノーミスであれば、という前提は付くが)恐るべき速度で出世していく。
      最高ランクになれば「現場で極道会組員相手に拳銃を撃ちまくる警視総監」というシュール極まりない光景だって見れてしまう。こいつおまわりさんです。
    • 上述通り後半面はアメリカが舞台となるのだが、その際の流れが「極道会メンバーが海外へ逃亡→国際捜査課に連絡→そのまま飛行機でアメリカへ渡り、現地警察と合流し極道会リトルトーキョー支部と銃撃戦」というもの。
      タイトルの新宿は何処行ったとか、国際捜査課に外国での逮捕権あるのかとかツッコミ所満載だが気にしたら負け…なのだろうか。
    • 一般人や同僚を撃った場合はペナルティが科せられタイムロスとなるのだが、その際の演出が「一般市民誤射!」といったナレーションと共に不祥事を起こした内容の新聞記事が晒し上げられる。
      また被弾した場合には「プレイヤー殉職!」のナレーションと共に殉職する演出まで用意されている。そこまでやるかと言わざるを得ない。
    • AC版では隠しコマンドの入力・PS2版では一定条件で使用できる「私服警官」は「白スーツ・アフロヘア・グラサン」と出るゲームを間違えたとしか思えない外見である。
  • 『2』ではプレイヤーキャラの個性が異様に濃くなった。
    • デフォルトキャラの内、主人公格である「刑事(私服警官)」ですらアフロヘアーでスーツ姿というクサい見た目。因みに彼はその見た目とキャラ付けから、一部ファンの熱狂的な支持を集めたという。
    • 隠しキャラもアメリカンなルックスの刑事いかにもな特撮ヒーロー風の刑事と、もはや「日本の実録警察番組をモチーフにしたゲーム」とはかけ離れた面子になってしまっている。
      • バカゲー要素が強化された、と見るのであれば立派な評価点であろう。多分。

問題点

異常なまでに高い難易度。

  • 敵に撃たれれば一撃でミスとなり、殉職回避にはプレイヤーの身体を動かす必要がある為、体力が無いと後半戦はきついものがある。
    • 敵の隙を突いて立って攻撃、危なくなったらしゃがんで隠れつつリロード、というやや特殊な操作方法が要求される。
      「攻撃を物陰などで回避し、隙があれば出て射撃」という流れはナムコの『タイムクライシス』に似ているが、こちらにはペダルは無く必然的にしゃがむ→立つという動作を身体全体で何度も繰り返す事になる。
    • 本作でのゲームオーバー条件は「残機が全て無くなる」「制限時間がゼロ(タイムオーバー)」のいずれかであり、うち後者の条件が非常に厄介。
      • 制限時間がやたら厳しく、シーンクリア時における残り時間の回復量が3秒程度と非常に少ない*1。更に新宿東口辺りからは、ボスを除いて全て1秒もしくは2秒しか回復しない。
        身体的な疲労も重なるとシーン間の経過時間も増えやすいため、焼け石に水も同然。なので効率良く敵を倒せなければすぐに時間切れとなり、ゲームオーバーとなってしまう。
        そうなれば警視総監となった際に得られる「残機100人」ボーナスもパァになってしまう為、意味を成しているとは言いにくい。
    • プレイヤーの移動=シーンクリアではないことに注意。シーンによっては長い物も多く、そもそも残り時間回復までが遠いと感じることさえある。
      • 以上は『2』にて少し緩和されている。シーンクリアで2,3秒程度しか回復しないのは前作同様だが、代わりに1つ1つのシーンのスパンが短くなり、残り時間が減り続ける状況は減った。
    • ステージ中には組員の他に一般人や同僚の警官が存在し、誤って撃ってしまうと上述の演出付きペナルティが課せられる。この演出によるタイムロスが結構長い為、可能な限り誤射は避けたいところではあるのだが…。
      • 敵組員と一般人・同僚警官を区別する手段としては、敵組員にのみ光る円のマーカーが付けられており、これで判断が可能。しかし前半の舞台である新宿ステージは全て夜間ステージとなっており、画面は常に薄暗い。
        マーカーがあったとしても薄暗い画面に加え、ステージ内をうろつく一般人が異常なほど多い為視認しづらい。組員の出現位置を暗記でもしない限り非常に誤射してしまいやすい。
      • ちなみに一般人を誤射した場合は階級が1段階落ちる。また被弾した場合は初期状態まで落とされてしまう。此方はタイムロスと比べるとそこまで痛くはないが。
  • しかし上述した難度も実はまだマシな方であり、AC版では隠しコマンド*2の入力・PS2版では一定条件でプレイできる『リアルモード』はまさに容赦の無い苛烈な難度になっている。
    • 内容はというと「敵の存在を示す赤マーカーが消える」「敵の銃弾が実弾並の速さに固定、命中精度も格段に上昇し、しかも登場直後に発砲してくる」「殉職直後も敵の動きが止まらない」…
      と、文字通りに「リアル」な難易度となっている。本作…と言うよりむしろガンシューティングゲーム全般を極めた方向けの超高難易度モードなのである。
    • 勿論『2』でもリアルモードが搭載されており、此方も一切の容赦が見られない難度となっている。また隠しコマンドも微妙に変更されている*3

総評

警察密着ドキュメンタリー番組の雰囲気に加え、実際に身体を動かし敵弾を回避する事で得られる臨場感。
これでゲーム的な意味においても、体力的な意味においてもプレイヤー殉職!となりかねない難易度の問題さえ無ければガンシュー史、いやアーケードゲーム史に残る快作として評価可能であったのだが…。
体力については本作の臨場感を味わう為にも止むを得ない部分があるが、せめて異様なほど厳しい制限時間だけでも何とかならなかったのだろうか。

しかしながら、人によってはその欠点も気にならなくなる程度に「勢い」と「情熱」を込めて世に出された作品である事は確か。
プレイする機会を得られたならば、腰を据えて…もとい、太腿を鍛えて極道会検挙に挑戦してみてほしい。

ただし『2』は家庭用移植もなされておらず、プレイする為のハードルは『1』以上に高くなってしまっているのが残念な限りである。


家庭用移植

  • 稼働から約1年後の2001年11月15日に、PS2に移植された。お値段は6,800円。「人工網膜センサーキャプチャーアイ」と「ハイパーブラスター」に対応。
    • 「人工網膜センサーキャプチャーアイ」を使うことでAC版同様の操作ができる。全般的な移植度は概ね良好。但し「ハイパーブラスター」以外のガンコントローラーには非対応である点に注意。
      • ちなみにこの「キャプチャーアイ」なのだが、なんとこれだけで本ソフトが一本買えてしまうようなお値段だったりする。またキャプチャーアイの対応ソフトは本作1本のみ。後に発売されたEye Toyは非対応。
    • PS2コントローラーでプレイすると、『左スティックでカメラ操作』『右スティックで照準操作』を同時にやる必要があるので非常にプレイしにくい。
      また、カメラと照準どちらもスティックを離すと初期位置(照準は画面真ん中)に戻るので敵の位置によっては微調整もやる羽目に。
    • 家庭用という事で自主規制したのか、刺青の入った敵組員がTシャツ姿に変更されている。一方で新宿の街の看板にあったモザイクが無くなっている。
    • 「アナザーストーリーモード」という形で下記『POLICE 911』が収録されており、メインストーリーモードを1度クリアするとプレイ可能になる。
    • チャレンジモードやトレーニングモード、オリジナルのミニゲームも数種収録。ミニゲームの中には何故か巨大化した警官がリング弾を吐くモアイと戦うといったものも。
    • 家庭用移植ならではの要素として、特定の条件を満たすとゲームオプション設定に様々な設定項目が追加される。
      • この追加された設定項目を有効活用すれば、メインストーリーやアナザーストーリーでのプレイが(多少は)楽になる…筈。*4

余談

  • インターネットランキングが開催されていた。『新宿24時』では全ステージクリアのタイムを、『2』では各ステージ毎のクリアタイムを競う。
  • 本シリーズの海外版として『POLICE 911』という作品が発売されている。
    • 海外版はステージ進行が「アメリカ→新宿」と日本版とは逆に進む形になるが、アメリカ側に追加ステージ(倉庫街)がある為全10面構成*5となっており、指名手配犯の出現場所やステージの順番も一部変更されている。
      • 海外版ではいきなり日本版での後半ステージに挑む形となるが、本作の難易度はステージ毎の差は殆ど無い(というか国内版でも最初から難しい)為、余り問題にはならない様子。
    • プレイヤーもロス市警の警官という設定で、無線やナレーションも全て英語に吹き替えられている。
      • 当然後半ステージでは「極道会リトルトーキョー支部の犯人が日本へ逃亡→国際捜査課へ連絡→そのままプレイヤーが来日」する。
        場合によってはロス市警のコミッショナーが日本へやってきて新宿で極道会と銃撃戦を繰り広げるというハリウッド映画顔負けのトンでも展開に。
    • 勿論続編も『POLICE911 2』として発売されている。
      • 進行順は国内版のものと同一だが、一部ステージの名称が異なる等細かい変更点が存在している。
  • ゲーム中の残弾は「オートマチック拳銃のマガジン内にある弾丸」という形で表現されているが、実際にプレイヤーキャラが使用している拳銃は回転式のニューナンブ。この点についてはたまにツッコミが入る事がある。
    • なお、マガジン付のリボルバー拳銃は実在する。だからどうしたという話だが。
  • 実は本作ステージボスの特別指名手配犯は、その大半が本作プロデューサーを始めとするゲームスタッフ本人だったりする。
    • このことから「コナミの正体は極道会」と揶揄するネタも一部において見られる。極道会呼ばわりですら生温く思えるのはきっと気のせい。
    • 勿論Jimmy Weckl氏も犯人Bとして作中に登場している。親分ってそういう意味じゃねーから!
  • 本作の辺りからコナミはゲーム機のリースを手がけ、このザ・警察官も取り扱われていた。
    • このリース料が8対2の8がコナミの取り分で、残りの2をディストリビューターと顧客が分けるのだが、例えば10000円売上があったら8000円がコナミ。残り2000円をディストリビューターが1600円、顧客が400円と、あまりにも旨味の無いリース展開だった。

その後の展開

  • 関連作品として2人同時での対戦プレイが可能な『セイギノヒーロー』が存在しており、最初の秋葉原ステージはこの作品の続編を思わせるような作りになっている。
    • 本作と比較すると最初の被弾のみ無効化、被弾時の殉職の演出こそあるもののペナルティとしては階級が1つ下がるだけなど、(被弾に関しては)初心者に対して少しだけ優しくなっている。
    • 人感センサー要素は廃され「銃を画面外に向けて防御」と、ゲームそのものは本作よりも『タイムクライシス』に酷似してしまった。
    • 効率よく敵を倒さないと即時間切れ=ゲームオーバーという仕様は本作そのまま。
      • しかも此方はボスキャラクターの当たり判定が非常に小さい事もあって余計に戦闘が長引きやすく、制限時間という面においては難易度が更に上がってしまっている。
  • 本作筐体を流用した『モーキャプボクシング』なる作品も存在している。
    • その名の通り、本作同様の人感センサーによる操作が特徴。プレイするときに装着する付属のグローブはとても重く、本作以上にプレイヤーのリアル体力が試される仕様となっている*6