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スター・ウォーズ エピソードI レーサー - (2021/02/28 (日) 15:50:56) の編集履歴(バックアップ)


STAR WARS EPISODE1 RACER

【すたー・うぉーず えぴそーどわん れーさー】

ジャンル レースゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
Nintendo Switch(海外のみ)
PlayStation 4(海外のみ)
Xbox One(海外のみ)
発売元 【N64】任天堂
【Switch/PS4/One】Aspyr
開発元 LucasArts
発売日 【N64】1999年7月21日
【Switch/PS4】2020年6月23日
【One】2020年10月27日
定価 7,140円(税込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント キャラゲーとしては及第点以上の出来
ジェダイ専用ゲーム
プレイヤーはアナキンになれるのか?
賞金が「1回」しか得られないのが最大の問題点
スター・ウォーズゲームリンク


概要

1999年7月21日、六部作構想を予定されていた、今や世界中にその名を轟かせる名作スペース・オペラ『スター・ウォーズ』最初のエピソード、「ファントム・メナス」が公開された。当時最新のCGと数々の名優の起用にスター・ウォーズ・ファンだけでなく世界中が狂喜し、世界中が16年ぶりのスター・ウォーズに今一度熱狂した。
そのさなか、多くの人々がエピソード1の人気に便乗し、多数の関連商品が発売された。
このゲームもそんな作品の一つであり、エピソード1の中でも大きな役割を占める名シーン「ポッドレース」に焦点を当てたゲームとなっている。
なお海外ではWindows*1, Mac, ドリームキャスト, ゲームボーイカラー版も発売されているが、GBC版のみ見下ろし型のレースゲーム(任天堂&パックスソフトニカによる日本開発)となっている。


ポッドレースとは?

ポッドレースとは、リパルサー・リフトによって浮遊するコクピットを二つのジェット・エンジンで牽引した乗り物「ポッドレーサー」を用いて行われるレースのこと。
アナキンの故郷タトゥイーンではメジャーな娯楽(賭博の対象)で、劇中で行われたポッドレース界でもかなり有名なレース「ブーンタ・イヴ・クラシック」は、アナキンの自由を賭けた映画前半の大きな見どころになっている。
このポッドレースは様々な地域で行われており、他の星にも有名なレースやコースが存在し、レーサーたちにも様々な来歴があるという、このポッドレースだけでもひとつ作品が作れそうなくらい裏設定が作りこまれているのも特徴*2


ゲームの特徴

このゲームはポッドレースの特性を忠実に再現した内容となっており、プレイヤーはレーサー及びポッドを選択し、銀河系で行われる数々のレースに挑んでいく。

  • レース以外の特徴
    • プレイヤーはレースを3位以内でクリアするごとに賞金を獲得でき、レースによっては新しいレーサー(ポッド)を入手できる。その賞金でプレイヤーはポッド用のパーツやピット・ドロイド*3を購入し、ポッドを強化することができる。
    • パーツを購入するのは、もちろんアナキンの主人にしてパーツ屋を営むワトーの店。ワトーは新品のパーツも売ってくれるが、他にも耐久度に難がある代わりに安価なジャンク・パーツも売ってくれる。
    • レースのシリーズは4種類あり、最初は「アマチュア・ポッドレーシングシリーズ」にしか挑めないが、勝ち抜いていくことで「セミプロ・ポッドレーシングシリーズ」「銀河系ポッドレーシングシリーズ」そしてもっとも難しい「招待試合ポッドレーシングシリーズ」に挑める。
  • レース関連
    • このゲームは、レースゲームとしては使用するボタンがけっこう多い。
+ 操作
  • アクセルとブレーキの他にも、かなりの操作が要求される。
    • ブースト(レバー前)機体の速度が最大になっている状態でレバーを前に傾けると機体が加速し、さらにこの状態でスピードメーターに黄色いランプがともると、アクセルを再度踏み込んでブーストを使い加速することが可能。ブースト中は旋回性能が落ちポッドがクラッシュしやすくなる上、ポッドが加熱され、放っておくとエンジンファイヤーを起こしてしまう。
      • レース中に修理可能。ポッドレーサーの冷却性能の強化によりブースト時間を延ばす事が出来る。
    • 機体を浮かせる(レバー後)エンジンを少し高めに浮かせることで、ジャンプ台などで高く飛ぶことが可能。
    • 修理(Rボタン)傷付いたポッドを走行中に修理するコマンド。修理中は速度が落ちる。修理はポッドの一つの部位しかすることはできず、例えばポッドの二箇所が壊れている場合、先に一箇所を修理してからもう一箇所を続けて修理する。要は壊れている箇所が多いほど長い間、修理ボタンのホールドが必要になる。
    • 機体を傾ける(左右C)機体を左右に傾ける。狭い場所を潜り抜ける場合に使用する。
    • 挑発(Rボタンを二回連続で押す)自機の搭乗者のセリフが聞ける。ベーシック(英語)からダグ語、ハットランゲージまであらゆるセリフを喋ってくれる。また、原作再現としてセブルバは挑発とともにエンジンから火炎放射を放つ事が出来る。この炎の触れたポッドはエンジンファイヤーを起こすのだ。
  • 各機体には耐久度があり、壁や敵ポッドにぶつかるとダメージを受ける。また、巨大な機体はカーブの際に自身の機体を傾けて地面に擦ったり、ダメージを受ける場合もある。
  • 左右のポッドの前・真ん中・後ろと耐久値が独立している。部位の何処かのダメージが一定に達すると警告され、最終的にクラッシュする。
  • 壁に激突した際の角度が悪かったり、コースから外れたりしてもポッドはクラッシュしてしまう。が、リタイアにはならず、復帰の手順を経てレースに復帰する。また、片方のポッドのみが強い衝撃を受けると片方だけ破壊される場合もあり、その際もしばらくは走行できるが、すぐに爆発・クラッシュしてしまう。
  • ドリフトなど、レースゲームおなじみの操作も可能。

評価点

  • ポッドレースの忠実な再現・そして発展
    • このゲームはポッドレースに特化したゲームであるため、その再現度は非常に高い。ポッドレーサーのフワフワとした挙動やスピード感、アナキンのレーサーのエアブレーキを始めとした各ポッドごとの細かい動作なども再現している。効果音も原作の音源を使用しているのか、聞き覚えのある音がちらほら。
    • 原作のアナキンよろしく速度の低下にやきもきしつつ機体を応急修理したり、ジャンプ台を使って超長距離を滑空したり、直線を800km/h以上の速度で爆走するのはこのゲームでしか味わえない楽しみだろう。
    • なんと、セブルバのポッドの違法火炎放射器も使用可能。原作の彼よろしくライバルを脱落させながらトップを目指す…というなりきりプレイもできる。
  • 豊富なコース
    • 計21+4箇所のレース場はどれもよく作りこまれている。ギミックやショートカットコースも多彩で、タイムアタック派にはたまらないだろう。
  • 多彩なレース参加者
    • 主人公アナキンからライバルのセブルバは勿論、レース前の選手入場にしか姿を見せなかったチョイ役まで完全に網羅している所は賞賛に価するだろう。
      • それでも足りなかったのかオリジナルキャラまでいる。元の世界観を壊さないデザインは流石といったところか。
+ 全選手、入場!!
  • 映画に登場したレーサーは全員が参戦(機体は映るが本人が描かれていなかったり、カットシーンに登場したレーサーも含む)
    パイロット 解説
    アナキン・スカイウォーカー 言わずもがなの主人公、ポッドレーサーはバランス型
    セブルバ アナキンのライバル、荒くれ者のダグ族。ポッドレーサーの違法火炎放射機も再現
    アーク ”バンピー” ルース 劇中未登場。アナキンに怯える三流レーサー。ポッドレーサーの性能も悪い。ダッド・ボルトとクラッシュしリタイア
    ちなみに説明書には「全くポンコツのポッドレーサー」とまで書かれてしまっている
    イラン・マック 劇中未登場。父を殺したオルダー・ビードを狙う、復讐に燃えるパイロット。5位入賞
    エーブ・エンドコット 劇中未登場。そこそこの腕前を誇るレーサー。映画では一周目の終わりにアナキンに抜かれる。4位入賞
    オディ・マンドレル 向こう見ずのスピード狂。映画では2周目前にピットインするも、ピット・ドロイドがエンジンに吸い込まれ、事実上リタイア
    オルダー・ビード 劇中未登場。暗殺稼業の傍らレースに参加する犯罪者。セブルバ暗殺を狙う。任務は失敗したが3位入賞を果たした
    ガスガノ セブルバの次に人気の高い優勝候補。映画では中盤でアナキンに抜かれてしまうも、2着でゴール
    クレッグ・ホールドファスト 映画DVDに収録されているカットシーンにのみ登場。セブルバ機の火炎放射でエンジンを焼かれ大破・リタイア
    ダッド・ボルト セブルバの部下の妨害専門レーサー。映画では最序盤でアナキンに抜かれてしまう。3周目でルースとクラッシュしリタイア
    ティント・パガリス 大型のポッドレーサーを駆る優秀なパイロット。映画では2周目半ばにタスケン・レイダーにポッドを射抜かれ墜落・リタイア
    ネヴァ・キー 劇中未登場。エンジンとコクピットが一体化した特異なポッドレーサーを駆るパイロット。2周目でコースを離脱し、そのまま行方不明に
    ベン・クワディナロス スタートすらできずに大破した、4つのエンジンに牽引されたポッドレーサーを駆るビギナー
    ボールズ・ロア 劇中未登場。本業はグリミック歌手で、ポッドレースは趣味。機体は最高速度に特化している。6位入賞
    マース・グワオ 最大級のサイズのポッドレーサーを駆る。映画では2周目後半、セブルバにエンジンに金属片を投げ入れられ大破・リタイア
    マホニック グラン族のパイロット。映画では最序盤でセブルバに壁面に叩きつけられ、大破・リタイア
    ラッツ・タィレル 妻子持ちの小柄なパイロット。映画では1周目中盤の鍾乳洞で激突、死亡
    ワン・サンデッジ 劇中未登場。優勝に執念を燃やす老練のレーサー。オルダーの雇い主。3周目でサンドクロウラーと激突、リタイア
    この他、設定のみ存在したキャラクターとしてファド・サン、"ブルズアイ"ナヴィア、トイ・ダンプナー、スライド・パラミタ、ボジー・バランタが参戦。 さらに、ゲームオリジナルとしてサイ・ユンガ、ジンリーソが参戦。
  • また、原作ファンへのファンサービスも忘れない。
    • コース外に現れる共和国クルーザーや通商連合の輸送船、ジャワのサンドクローラー、ジャンク屋にちょくちょく現れるC-3POやジャー・ジャー・ビンクス、R2-D2がその代表例。
    • 「銀河系ポッドレーシングシリーズ」の最後のレースにして、映画で描かれた「ブーンタ・イヴ・クラシック」のコースの再現度は非常に高い。タスケンの雄叫びまで聞こえてくるし、タスケンの銃撃も再現。
    • 声優は全て原作準拠。Zボタンを押しながらレースを始める事でなんと自分のキャラクターと敵パイロットとの掛け合いまで見れるのだ。

問題点

  • レース賞金の支給形体
    • こんなに原作再現もしており、スピード感あふれる素晴らしいゲームだというのに、これがすっかりダメにしてしまっている。
    • ある意味このゲーム最大の問題点とでも言えるだろうか。
    • レースに1~3位で入賞すると賞金が得られることは特徴の項に書いたが、一回のレースで賞金を得られるのは一回きりで、それはクリア後も変わらない。そのためうかつに二位、三位でレースをクリアし続けていると賞金がたまらず、マシンを改造する事ができない。
    • この賞金のシステムのせいで、ゲームをクリアしてしまうとそれ以上賞金が手に入らないという非常に困った事態になる。そしてこの賞金のシステムとパーツ関連の仕様の相乗効果が、このゲームの難易度を大きく引き上げてしまっている。
  • パーツ購入の仕様
    • 機体のパーツはレースを経るごとに劣化していき、ポッドの性能も落ちていく。*4これを止めるためには新しいパーツを買えばいいのだが…。
    • ワトーのショップで購入できるのは「現在のパーツより古いパーツか新しいパーツ」のみ。つまり、今と同じパーツを買って性能を維持することはできず、機体を保つためには必然的に新しいパーツを買いつづけなければいけない
    • 前述の賞金問題と合わせると非常に困った事態になる。最悪の場合詰みゲーになってしまい、データを消してやり直さなければならない可能性もある。
  • ポッドレーサーのパイロットたちはレース中にセリフを喋ってくれるのだが、ほとんどのキャラが同じセリフを吐く。
    • いうなれば「同じ台本を使いまわしている」感じ。人によってイントネーションなどは異なるが、セリフはほぼ同じである。
    • また、彼らの言語はいわゆる「ベーシック(標準語。つまりは英語)」だけではなく、ダグ語やハットランゲージであるためプレイヤーには聞き取れないのも人によってはマイナスかもしれない。
  • 原作再現のしすぎ
    • 上の説明に書いたように、評価点でもあるが、逆に問題点に感じる人も。ポッドレースには「コースが複雑かつポッドが高速なため、人間以上の反射神経が求められる」という設定がある*5。このゲームは、後半から「その点まで再現したんじゃないか?」と言われるほどの高難度へと突入する。
    • 前半の「アマチュア」の中盤辺りからその兆候が現れはじめる。中々に回避するのが難しい隕石の中を走り抜けたり(勿論触れればダメージ)、かなり余裕はあるもののコース中央に触れたら一撃でクラッシュとなるアンチ・エナジーバインダー・ビームが設置されていたり、狭いコースや障害物など、完走を妨げる障害が増え始める。だが、ここまではまだ何度かトライ&エラーを繰り返せば楽に勝ち上がれる。
    • 後半のコースは「回頭性能の低いポッドだと詰みかねない連続カーブ」「迷路状に入り組んだ分かれ道*6」「周囲に防護柵のない空中コース」「理不尽な回転ゲート」「落ちるとクラッシュは免れない、マグマ溜りの落とし穴」など、慣れたプレイヤーですら苦戦必至のコースが続出する。露骨に殺しにかかるコースを突破するには、コースを脳裏に刻みこむことと、巧みな反射神経が要求される。
    • このため、結果的にコントロール性能と回頭性能に優れたポッドを使わないと後半戦はとても厳しい展開になる。速度特化系ポッドは多くの場合立ち上がりが遅くコーナリング能力も劣るため、クラッシュからの立て直しに難儀するというデメリットもあり、全体的にネヴァ・キーやブルズアイ等の小型で、最高速度よりもコーナリング性能に優れたポッドが有利なのは否めない。
    • 後半になればなるほどコースはより長く、複雑になっていく。勝ち抜いていけば行くほど、プレイヤーには反射神経の他にも長く持続する集中力も求められる。
    • 難易度が特に酷いのが招待試合ポッドレーシングシリーズの二つ目のコース、「アビス」。
      • このコースは上下二段構成になっている部分が多いのだが、問題は最初の二段部分。上の階層に比べて下の階層は二倍くらいの遠回りになっており、うかつに落ちるとほぼ敗北が確定してしまう。しかも上階層のコースには下階層に落ちるのを防止する柵はなく、下から上に上がる手段も存在しない。加えて上階層の通路の判定はシビアで、少し逸れただけで落ちる。CPUは低レベルでも正確に上通路を選んで走行するため運に任せることもできない。
      • 一応突入部分の急カーブ以降は直線と緩めのカーブが続くので、うまく曲がれれば何とかなる。よって「急減速→ノロノロカーブ→再加速」の流れで確実に曲がっていかねばならないのだが、カーブ中に敵ポッドとの衝突でたたき落とされる場合も。これを三周スタート地点直後に繰り返すハメになるのだ。外道というほかない。
    • 他、「ブーンタ・クラシック」もタスケンの妨害やコースに点在する障害物、コーナーのすぐ先に突如現れるジャワのサンドクロウラーなど、負けず劣らずの外道なコース構成。
      • 多くのプレイヤーが「このコースを二度もクリアしたアナキンはおかしい」と思ったことだろう*7

総評

「プレイヤーはアナキンになれるか、或いはアナキンを超えられるか」。これがこのゲームを楽しめるかのボーダーラインと言ってもいい。終盤のコースの難易度は軒並み高く、並のプレイヤーならば終盤で投げることは必至である。
加えて賞金の支給システムが大きな問題となっており、初心者にとことん優しくない仕様となっている。
しかしポッドレースの再現度やそのゲーム性などはかなり評価でき、ポッドレース好きやコアなSWファンなら、完全クリアできるかは別として楽しむことはできるだろう。
君の好きなレーサーそしてパイロットで、アナキン、そしてセブルバの鼻を明かしてやろう。


「Start your engines!!」



志を継ぐもの

同じポッドレースのゲームは、これ以外にも存在する。

  • SEGA スター・ウォーズ レーサー アーケード
    • セガお得意の大型筐体を使ったレースゲーム。使用基板は『電脳戦機バーチャロン フォース』でも使われていたSEGAHIKARU。当時としては珍しいネットワークランキング機能を搭載し、劇中の操作に近い感覚でポッドを動かせるインターフェースを搭載した意欲作だったが、大型筐体故に各地のゲーセンに浸透せず、現在国内でのプレイは絶望的である。
  • Star Wars: Racer Revenge
    • 国内未発売*8。エピソード2公開中に発売したらしく、EP2当時の青年アナキンを主人公にした外伝という設定の模様。