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ポポロクロイス はじまりの冒険 - (2014/03/29 (土) 11:36:24) の編集履歴(バックアップ)


ポポロクロイス はじまりの冒険 

【ぽぽろくろいす はじまりのぼうけん】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 ジーアーティスツ
発売日 2002年6月20日
定価 通常版:5,800円/プレミアムボックス:7,800円
廉価版 PlayStation2 the Best
2003年1月16日/3,000円
2005年2月24日/1,800円
分類 クソゲー
ポイント 世代交代したが、評価はいまひとつ
システム大幅劣化
何もかも薄くなった
異常なほどのロードの長さ
ココロほぐすRPG
ピエトロ世代ファンには黒歴史
ポポロクロイス物語シリーズリンク

概要

プレイステーションで発売され好評を博した『ポポロクロイス物語』の続編で、外伝『ポポローグ』を含めるとシリーズ4作目。
開発当時、『ポポロクロイス物語III』として公開された映像で、2Dから3Dへの移行や初代キャラクターの降板が明かされ、当時のファンは期待と不安感が混在する複雑な心境にあった。
その後体験版が公開され、その未完成さにファンの不安が高まるなか、前作から2年の期間を経て『ポポロクロイス はじまりの冒険』は発売された…。

あらすじ

むかしむかし。まだ、妖精が森にあふれ、世界が精霊に満ちていたころ。
ある所に、ポポロクロイスという小さな王国がありました。

竜と人間の血を引くポポロクロイスのピエトロ王子は、その数奇な運命に導かれ、数々の冒険に出かけました。
そして旅先で巡り合った勇気ある仲間たちとともに、幾多の災危からポポロクロイス王国を救ったのです。
世界を混沌の闇に包むバルバランの復活を阻止したピエトロ王子は、やがて立派な国王となり、妖精王の娘ナルシアを王妃に迎えました。

そして月日は流れ、二人の間にはピノンという名のかわいい王子が生まれました。

問題点

異常に長いロード

まずこのゲームの問題点で語らなければいけないのは、その異様に長いロードであろう。

  • 前作までは2D作品だけあってロード時間など皆無に近かったが、今作は3Dを導入した弊害なのか、戦闘、ムービー、セーブなどで長いロードを要するようになった。
  • 特に戦闘時のものは酷く、戦闘スタートまでに10秒以上かかり、通常攻撃するたび3秒程度の画面暗転とロードを始め(特技を使うと更に長くなる)
    経験値計算でも3秒固まり、戦闘終了時も10秒以上のロードを始めるという徹底ぶりである
  • 過去作と違い、エンカウントを無効にする魔法がないのでロード回避不可。エンカウントを低下させるアクセサリーはあるが、手に入るのがあまりに終盤なのでほぼ意味無し。
  • HDDインストールが可能で、それをすると半分近いロード時間となる。が、できる環境の人は少ないため実質ロード地獄。
  • このロードのおかげで、ゲームクリアを投げた者も少なくない。

カメラ視点の問題

  • マップ探索時の視点の調整もあまり褒められたものでは無い。
  • カメラがやたら操作キャラクターに寄り過ぎている。しかもカメラがこれ以上近づくことがあっても離れることは無い
    • 狭い場所に入るとカメラが寄り過ぎて、操作キャラクターの現在位置がわからなくなる事もしばしば…。
  • 壁など近くにオブジェクトがあるとカメラが引っかかりまくる。酷い時は見えもしない天井に引っかかったり、滅茶苦茶。
  • 視点変更のボタン配分が、右に向く(L2ボタンor左スティックを左)、左に向く(R2ボタンor左スティックを右)という普通と逆の配置であり、直感的に操作しにくい。
    また上下の視点変更が無く、常時やや俯瞰視点なので、少し段差があるとその先が全く見えなくなる
    • この雑なカメラ視点のせいで、個人差はあるが3D酔いしやすい。

フィールド関連

  • 3D化の影響でフィールドや建物が複雑な上長く、雑なカメラ視点も相まって非常に迷いやすい。
  • そのくせマップはかなり大まかなものしかなく、しかもファントネシア(ダンジョン)にいたってはマップすら存在しない
    • ダンジョンやフィールドの詳細なエリアマップなどは存在せず、ファントネシアを除いた作中で移動できる場所の大まかな位置関係が分かるだけのものしかない。
      • ただし、歴代のシリーズでもダンジョン攻略に重点を置いた「ポポローグ」(それもダンジョン内に限る)以外で詳細なマップが用意されていたことは無かった。
    • そして前述の戦闘ロード時間の長さもあるため、プレイ時間よりも迷う時間とロードの方が長いと言われることも…。
    • 行動範囲がファントネシアを除くとポポロクロイス城からフローネルの森までと激減した。過去作が「冒険」だとすれば、今作は「散歩」レベルである。
  • その代わりにポポロクロイス城下町とタキネン村の距離が非常に長くなった。前作までは町を出て平坦な道を経由してすぐに行けるものであったが、今作ではなぜか渓谷を超えなければならず、タキネン村及びフローネルの森は森と言うより山になっている。
    • もっとも、このあたりを旧作に忠実にするとただでさえ薄いボリュームがさらに減ることだろう…。
  • 全体的に地理や地形、建物が変化している。これにより過去作の知識を活かしてマップ代わりにする事もできない。

エレメントの問題

  • 今作の新要素に『エレメント』というものが存在しており、マップに落ちているものを集めるのが目的である。(3種類、各100個)
    • 建物の中やダンジョンなどにまんべんなく落ちているので、長いロードや劣悪なカメラに耐えながら探さないといけない。エレメントなしの魔法はほぼ使い物にならないくらい弱いので、集めないとボス戦の難易度が大きく上がる。
    • ピノンは解放した精霊を装備できるのだが、装備した精霊の形がエレメントにそっくりで、入り組んだ場所などでは見間違えやすく、ウザい。
    • 過去作で特技は使えば使うほど強化されるシステムだったのだが、今作ではエレメントの収集数で強化されるので、長いロードも相まって使用頻度がドッと落ちた。

システムの劣化

  • 装備は3つの部位に付けられるが、キャラ別で完全に分けられているうえに5種類だけ。更にキャラの人数は3人しかいない。
    • しかも、後で手に入る装備は前の装備の完全上位互換であるため、新しい装備を手に入れたら入れ替えていくだけで使い分け要素は皆無。せっかく装備品の変更が外見にも反映されるようになったのに…。
      • 一応属性がついた武器もあるのだが、難易度が低いおかげで全く気にしなくても問題はない。
  • 戦闘自体も前作まであった場所移動の要素が廃止され、オリジナリティーの無いものに。
    • 作風の違いはあれど、『PTが横並びで敵と対峙』『ただコマンドを選ぶだけ』『通常攻撃の度に接近しては元の場所に戻る』等、『DQ8』や『FF7』などと似たようなものである。
    • また、通常攻撃すらムービー扱いなので、いちいち暗転→敵の近くに走って攻撃→暗転とテンポが悪い。
  • 特技が3つに減少、技のレベルアップも三段階に減少。その代わり合体技が追加されたが、使い勝手は悪い。
    • 特に三人技は酷く、ロードが長い上に40秒以上のムービーを強制鑑賞させられる(スキップ不可)。そしてMPを大幅消費し、全員行動不能になる。
  • 作戦は一応あるが、「おまかせ」と「自分で操作」の2つのみ。どんな行動をするようにするかは指定できなくなった。
  • アイテムが16種類に減少。シリーズ恒例の笑えるドロップアイテムも無くなった。
  • アイテム・装備品の売却が出来なくなった。これに関連して装備品は1つしか買う事ができない。
  • モンスター数が大幅に減少。しかもただでさえ少ないのに色違いで水増しをする手抜きっぷり。
  • モンスター図鑑の消去。これによりドロップアイテムなどの情報を知る事ができなくなった。
  • シリーズ恒例の「おみやげ」*1コレクションも打ち切られた。元々これは前作主人公ピエトロの趣味と設定されていたため、ピノンが引き継ぐ必要性はないのだが……シリーズファンにとっては寂しい限りである。
    • 一応、わらしべアイテムとしておみやげ品は登場し、ピエトロに渡すと興味深く眺めるといったサブイベントもある。
  • セーブポイントを宿屋から竜の像に変更。宿屋がただの飾りになった。
    • ただしストーリーの進行上、「日数が決まっている・主人公が初代のピエトロよりも幼い」ということを考えれば、外泊はあまりよろしくないといった事情も考えられる。

ストーリー関連

  • ロード時間が長いくせにボリュームは少なめで、ひたすら一直線に行って12時間前後。やる気になれば1日クリアが可能なほど短い。
  • 過去作はストーリー関連がかなり好評であったが、今作ではかなり短い上、不完全燃焼*2に終わっている。
    • どのぐらい短いかというと、作中時間では4日程度の出来事となっている。まさにはじまりの冒険
  • サブイベントも皆無といって良いほど存在しない。過去作品では寄り道要素や、主人公たちの冒険と別に進展しているサブエピソードなども多数用意されており好評だったのだが。
    • 強いて言えば村人と物々交換をする「わらしべイベント」があるが、もちろんこれ一本で前作以前のようなワクワク感を埋め合わせるには至らない。
  • どんなにいいストーリーでもロードでイライラしていると素直に感動できない。

キャラクター関連

  • 過去作では個性的なキャラクターを仲間にできたことが評価されていた。(例)内向的だが一途な森の魔女、年齢不詳でござる口調の騎士、お馬鹿な発明親父
    • しかし、今作では同じ年齢の子供ばかりで、しかも前作のキャラの子供や安易なヒロインの設定流用などひねりが無く、全体的に個性が薄い。
  • 前作までいたキャラが多数登場していない点も批判されている。
    • ただし、パーティーキャラについては放浪癖がある・他国の人間だったりするなどの設定があるため、登場しなくても不思議ではない。また作中では触れられていないが、先代の国王・王妃(今作主人公の祖父母)であるパウロとサニアについては竜の国に居ると言う設定を原作者が明かしている。
    • しかし、やはり旧作ファンの中には過去作のキャラが登場しないことを惜しまれる声も多かった。*3
  • 続投のキャラも年月を経て外見が変わり、出番も少ない。
    • 特に旧作の主人公であるピエトロは元気で可愛い少年から、一気に髭を蓄えた渋いオヤジ(通称:ヒゲトロ)になってしまったため、受け入れられないファンも多かった。
    • 出番は少ないものの、子どもたちを見守る立場として見せ場が無いこともない。
  • 村人なども大きく変化。前作までの雰囲気とは少し違うものに。何年も経っているから仕方がないともいえるが…。

メディアミックスの問題

  • 本作発売からほぼ1年後の2003年10月5日、ポポロクロイス物語のアニメ化としては二作目となる『ポポロクロイス』が放送された。一作目のアニメとは違い、ゲームの内容そのままなのでストーリーだけを楽しむのならこちらを観れば問題ない
    • 更にエピソードやキャラクターが追加された上、次回作『月の掟の冒険』の内容を含んでいるので、本作の欠点の1つ「ボリュームのなさ」が払拭されている。
  • しかしこのアニメ版、『月の掟の冒険』の発売が延期されたせいで発売前のゲームのシナリオをテレビで放送するという珍事が起こった。
  • また、キャラクターの性格が一部、ゲームと違っている。
    • 例えば主人公のピノンはゲームでは優等生だが少しぼーっとしたおとなしいタイプだが、アニメでは頭の回転が早くややひねくれ者で、城にこもって一人で勉強するピノンに学校に行くよう促す家庭教師を言い負かしたり、偉大な功績を持つ父と比べられることを恐れたりと、ゲームよりも良く言えば掘り下げてあり、悪く言えばキツイ味付けがなされている。

その他問題点

  • ゲーム自体の難易度が低い。
    • ザコはごり押しだけで撃破可能。エレメントを集めていれば、ボスもそれほど苦労しないことが多い。
    • さらにステータス異常がかかる攻撃が少ないため、ステータス回復アイテムの出番がほぼない。
  • 過去作では外伝扱いのポポローグを除き、手書きアニメーションムービーが挿入されたが、本作では所謂3Dのデモムービーのみ。
    • 旧作では美麗なアニメーションムービーも持ち味の一つであったため、残念に思うファンが多かった。
  • フィールド移動中、原因不明の処理落ちをする事がある。
  • 移動スピードが遅い。過去作と違い加速ボタンがないので(減速はある)、だだっ広い3Dフィールドをトロトロ移動するしかない。
  • 移動中、仲間や村人が道を塞ぐことがある。押しのけたり出来ないので移動するまで待つ以外にない。
  • 梯子の上り下りの際、仲間が下りてくるまで強制待機状態になる。また下りる時は十字キーを↑から↓へ瞬時に変えなくてはいかず、めんどくさい。
  • クリア後にアルバムモードが開放されるが、作中では装備が見た目に反映されるため、イベントシーンもその時の装備が反映されていたのだが、アルバムモードでは装備が変更されず、必ず初期衣装になる。
    • 続編では改善されたのだが…。

評価点

  • ストーリーはそこそこ良いと言われている。
  • トゥーンレンダリングを用いた違和感のない3Dグラフィックや、ムービーのなめらかで可愛げのある動きは評価できる。
  • 過去作と同じく、福島敦子のほんわかした独特のキャラクターデザイン、イラストが楽しめる。
  • 大塚明夫や南央美など、声優は有名どころを揃えている。
  • 隠し要素として過去作からの続投キャラの日記を調べることで過去作のムービーの一部をより良い画質で見られる。
    • ただし、一部のポイントではストーリーの進度によって見られるムービーが変化するため、時期を逃すと見たいムービーが見られないことがある。また画面端に引用元のロゴが追加されていて若干邪魔くさい。

まとめ

良質なストーリーとスムーズな戦闘を楽しめた過去作とは違い、今作は3D化の影響で異常に長いロードと雑なカメラワークに悩まされるガマンゲーと化しシリーズファンを落胆させた。
薄いストーリー・ヌルい難易度・無個性な新キャラ・システムの劣化など、普通のゲームとしての問題点も多い。 さらに前作までの出来が良かったので、「ココロほぐす」どころか「ココロえぐられた」過去作のファンからはボロクソに貶され、黒歴史クソゲーの称号まで頂く次第。
せめてロード地獄さえ無ければ、今とは少し変わった評価になったであろう…。 数少ない評価点である物語も非常に短く、そして短さ相応にゲームとしてのボリュームも薄い。おかげで「有料体験版」などと揶揄されることもあった。
せめて遊べる部分が少なくともストーリーが長いか、話は短くとも遊びこめるだけの内容であればまだ違っていただろうが…。

ただし、今作がポポロ初体験のユーザーからの評判は悪くないようだ。