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プラネットジョーカー - (2021/02/22 (月) 08:16:10) の編集履歴(バックアップ)


プラネットジョーカー

【ぷらねっとじょーかー】

ジャンル クォータービュー(ドラマティック)シューティングゲーム
対応機種 セガサターン
発売元 ナグザット
開発元 IMP (加賀テック大阪開発部)
発売日 1997年3月7日
定価 5,800円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 通称「 惑星戦士
あらゆる点が低水準
歪んだ世界
太腿なんて飾りです
ゲームとしての体裁は保っているが…
ナグザットSTGシリーズ


概要

  • ナグザットが発売したSTG群の一作である縦スクロールタイプのロボットシューティングゲーム。
    • 主人公を含む三人の少女がロボットに搭乗し、東京を制圧した謎の軍隊を相手に戦うという美少女系SFアニメのような作風であり、オープニングには主題歌付きアニメムービーが入る。
      • アニメーションは、代々木アニメーション学院が担当。
    • ステージ間にはフルボイスによるイベントデモが入り、シューティングながらジャンル名に「ドラマティック」を含むストーリー性の高い作品である。
  • …と書くと面白そうに見えるかもしれないが、その実態はかつてセガサターンにおけるクソゲー四天王の1角と呼ばれたソフトで、「惑星戦士」の異名を持っていた程の代物である。

登場人物

  • サトミ・タカヤマ(声:岩見博子)
    • 今作の主人公。自衛隊特殊部隊第17小隊隊長で階級は少尉。
  • エレン・ロックウェル(声:加藤美由紀)
    • 主人公の部下の一人。元フリーターのアメリカ人。エセ外人喋り。
  • サラ・ユーガ(声:山口未知世)
    • 主人公の部下の一人。元ヨガ講師の典型的なインド人美少女*1。本作の中では声の演技がまともな水準。
  • ミカ・ヤマモト(声:福當亜樹)
    • 主人公の同期。オペレーター兼通信担当。何故か眼鏡の左右どちらかが必ず真っ白に反射している
  • タカオ・タカスギ(声:野上智之)
    • 特殊部隊司令官。主人公達の上司。

問題点

演出上の問題点

  • デモが無駄に長い(スキップは可)上に低品質。
    • デモの大半はキャラのバストアップを表示させ、喋らせるだけというごくごくシンプルなもの。モニターの表現などは無く、本当にただバストアップがゲーム画面中央に被らせられるだけ。何故かキャラの左下が斜めに欠けているが、当初はモニターに映る演出でもあったのだろうか?
      • 表情の変化はあるが種類は少なく、ポーズそのものは固定である。…と思いきや、後述する部下の戦死シーンのみ別のパターンが登場する。ちなみにこれがバストアップの表示される最後のイベントシーンである。
      • 口パクはあるが、台詞に合っていない。
    • 前半と後半の節目でアニメムービー(のような)デモが入るが、動きは少なく、ほぼ一枚絵を複数使って後は口パクだけでそれっぽく見せている程度(PCエンジン時代のムービーのようなもの)。
      • しかも、どの機体を使ってもこのデモシーンではデフォルトの青い機体になっている。機体選択制のゲームをアニメにした弊害である。
    • そしてラスボス撃破後のデモはバストアップも一枚絵も無く、ただ音声が流れるだけ。
  • 自機であるロボットは、複数の機体から選択できるが、色違いの機体にバックパックの形を変えただけ
    • 本編では更に酷くテクスチャが潰れているので本当に区別が付かない。その上太腿のグラフィックが存在しない
    • 因みに機体名は実在するナイフのメーカーの名前をそのまま使用している。…良いのだろうか?
  • 自機の攻撃が酷く、4方向に攻撃出来る機体は前に向けた銃の斜め後ろにまで弾丸が飛んで行く始末。弾丸を発射する際の過剰なエネルギーを後方に排出して攻撃に転用したとも思えなくもないが銃口から出ているのであり得ない
    • それはまだ良い方で後方特化型(敵が後ろから出てくる事はほぼ無い)や撃つだけでピャーピャー鳴りまくるレーザー持ちの機体が居る。広範囲に5連射出来るという一見最強の機体も居るが、処理落ちして攻撃が消滅、敵に当たらない
    • 自機を動かすと攻撃判定やエフェクトがずれまくる、明らかに移動速度があっていない。
    • シルフィード』や『レイストーム』を髣髴とさせる、後方斜め見下ろしの立体的な視点を採用。おかげで直射系ショットが内側に収束するため、どうやっても画面左右の上端に届かないまあ、倒せない敵がいても難易度が低すぎて変わらないけど。
    • 自機のミサイルのグラフィックはアリの行列が這っている様にしか見えず、鳥肌が立ってくる。
  • 時々自機が、90度回転して進行方向を変える。これだけでもシュールだが、発射された弾まで一緒に方向を変える
  • 爆発が無音。ボスも、もっさりした光や炎のエフェクトと静寂と共に沈む。書き文字で表現するとすれば、「ピカー」、「メラー」といったところ。
    • そもそも攻撃が命中しているのかどうかすら画面ではハッキリしない
    • あるボスの死亡演出は、爆発も何もなく、無言でゆっくり画面手前側に歩いてきてフェードアウト、そのまま戻ってこないというもの。何があった
    • 後述する部下の仇であるボスは機体から火を噴くも爆散する事はなくそのまま天に昇って逝く
      • その後で上空からの攻撃(?)で背景の都庁が破壊され、次のイベントにて都庁跡の穴から次のステージへと進む流れになるのでその為なのだろうが、何故そんな事をしたのかの説明は無い*2。もう演出で無理矢理にでも解釈するしかない。
  • 1面と2面のボスは、どちらも一度倒されると画面の奥に消えて行き、またすぐに戻ってくる。別にパワーアップしたわけでもないので1面のボスは外見も攻撃パターンも変化しない。2面のボスは移動パターンが左右逆になるだけ。
  • 5面のボスはタワーに設置された4色のタンク(?)にドッキングして攻撃をしてくるのだが1機が4パターンのタンクを駆使するのではなくどこかに隠れている4機が1機ずつ淡々と撃ってくるだけ。タワーの頂上なので隠れる所も無いはずなのだがどういうわけか空中から出てくる。
    • タンクの色で攻撃パターンが変わると言う事も無く、色違いの4機の敵が順番に現われるだけという奇妙な構成なので撃破シーンを短時間で4回繰り返す
    • そのうち青い敵はタンクから分離して滅茶苦茶に撃ってくるが、それでも適当に動くだけでよけられるのでどうしようもない。タンクを撃てば連動して本体も爆発するが、爆破エフェクトがあるのはタンクだけで本体はいきなり消える。
  • 最終面で中ボスを倒すと、次のボスが現れる。で、そいつを倒すと…それがラスボスだった。主人公もラスボスも一言も喋らず、これがラスボスである事を示すような演出がまるで無い。BGMも直前の中ボスと同じ。
    • ラスボスを倒すと同型機が既に量産されている事が明らかになるが、「今回は主人公の戦いぶりに免じて人類に猶予を与えるが、地上の環境が更に悪化したらいつでも人類を滅ぼす」という形でひとまず戦いが終わる。にも拘わらず「全て終わった」としか報告しない。どこがだ。
  • 高速道路らしき物の上を通過する2面ではスクロールとテクスチャが滅茶苦茶になっており道路が高速で動いている。しかも構造も異常で、どことも繋がっていない道や通行不能な立体交差がある。車も無いので本当に道路なのかも疑わしい。
    • 最初は異常に小さいビル群や看板が並んでいるが、次第に道路しかなくなる。例えや誇張とかではなく本当に道路しかなくなる
    • 道路しか無くなってもやっぱり車や通行人が一切居ないのでただただ灰色の10車線くらいある空間を飛ぶだけになる。
    • 地面が斜めにスクロールしているのに高速道路だけは動かない、どう見ても道路が斜めに飛んでいる。
  • 基本このゲームはサイズ比率がおかしく、道路の一車線が小さなビルと同じ幅。交差点はちょっとしたコンサートホール並みの広さ。そもそもビルが異様に小さすぎる。
    • かと思えば敵の居るビルに限って200階はありそうな高さ、窓も1枚だけで高さ20メートルはありそうな大きさ。
    • そこらに生えてる街路樹(歩道の真ん中に生えている)はビルの5階に届いている大木。
  • 非武装の電車を破壊出来るが、どう見ても運転席が付いている先頭車だけが連結されている。中間車が無く、先頭を破壊しても止まらない。
    • 色合いもデフォルトの灰色に黒で窓を描き足したかのようでおかしい。
    • そもそも敵陣のど真ん中を一般市民用の通勤車両が走っているのがおかしい。
  • 主人公には2人の部下がいるのだが、一緒に戦ってくれるわけでも選択機体によって操作キャラになるわけでもなく、デモ画面にしか出てこない。しかも必ず途中で戦死する。その上、仇と目されるボスは驚異的に弱い。
    • 途中、「この戦いが終わったら飲みに行こう」という死亡フラグを思わせるやり取りがあるのだが、その次のイベントで2人とも速攻で戦死。いくら死亡フラグでも回収が早過ぎである。
    • エセ外人喋りの部下は、仕事後に飲みに行く約束がダメになった事を謝るだけで、自分を倒した敵の情報を教えないまま死亡。
      • 確かにキャラの死亡シーンではよくあるやり取りだが、主人公が状況を伝えるように訴えているにも拘わらず、ただ「気を付けて」と告げるだけ。一応、職業軍人である
      • 具体的には「ごめん…一緒に飲みに行けなくなったよ…」→「何があったの!?現状を報告して!」→「ダメ…、隊長…こいつらには気をつけて…」という流れ。何が「ダメ」だ。報告もできないほど切羽詰まった状況という事かもしれないが、ならば飲みの話をする前に敵の事を伝えるべきではないか。
      • インド人の部下も状況報告が出来ないまま死亡するが、こちらはそんな暇も無く撃墜されたのでまだ納得できる。
    • そもそもの話、部下2人は主人公の後に付いて編隊を組んで飛んでいたはずなのだが、2人を殺した「凄く大きな敵」にそれまでまったく気付かない主人公。何故?
      • そして仇のボス撃破後に主人公が報告する事で初めて本部は2人の死を知る。この時点では妨害電波など通信不可になる理由がある訳でもないのに、何故本部が全く戦況を把握できていないのか*3
    • ちなみに部下2人の死は無線で察するだけで死亡確認はせず、実際に大破した機体や亡骸の回収などの描写は無い。作中の流れからして、「実は生存していた」という事はどちらにせよ無さそうだが。
  • 主人公達の上司である司令官は信じられないほど出番が少ない。ゲーム開始時に任務を伝えるだけで、後の本部とのやり取りは作戦会議も状況の報告も全てオペレーターとしかしない*4
    • 部下の戦死のシーンではモニターに映るオペレーターの後ろに背後霊の如く無言で突っ立っているだけ。完全にホラー背景と化している。
      • 部下2人の訃報を聞いても何か言う訳でもなく、ただ目を閉じるだけ。黙祷でも捧げているのかそれとも出番が無さ過ぎて退屈なので居眠りしているのか。勿論、以降も台詞など無い。
      • 指示を出すのも、部下の戦死やミッション終了の報告を受けるのも、全部オペレーターがやってしまう上、重大な事実が判明する場面でも口を挟む事すらしない為、最早完全に司令官(笑)状態。
    • エンディングでは部下2人が生きていた頃の主人公達の日常が写真として表示されていくのだが、よりによって最初の写真が戦死した2人と司令官が写っているもの。まるで司令官も戦死したみたいに見える。死んでるも同然だったが。
      • スタッフロールの写真にも写っているのは最初のものを含めて僅か2枚。それももう1枚は端の方に小さく、しかも見切れている。勿論、こんな扱いではラストの集合写真になど写るはずもない。
      • そもそも死亡後に仲間の健常だった頃の楽しそうな様子を初めて見せていくというのも後味の悪い演出と言える…が、そこまで感情移入できるゲームかと言うと…
  • ゲーム前半はイベントデモが長く、どうでもいい無駄話まで長々とフルボイスで語る一方、後半になるとイベント自体ほぼ無くなる。
    • 部下が戦死した事と、本部との通信も出来なくなる為なのだが、主人公の独り言や上述した通りラスボス前の演出すらも無く、バランスの悪さを感じさせる。酷い演技の長台詞を聞かされずに済むとも言える。
  • 声優の演技がアレでナニ
    • オペレーターは登場人物の中でも最悪の棒読み。「大根」などと呼ばれる。常に反射する片方の眼鏡レンズも相俟って、本作屈指の脱力キャラと化している。
      • そのくせ台詞量は多めで、エンディングまで出張って来るほど。そしてスタッフロールでもいちいち片反射眼鏡でプレイヤーを苦笑いさせる。
    • 主人公はまだ頑張ってる感はあるものの、鼻の調子が悪いかのように活舌が不安定。あと声が野太くておばさんっぽい。
    • アメリカ人の部下はこれでもかと言う位のエセ外国人喋りがプレイヤーを苛立たせる。そのくせよく喋る。
      • しかし担当声優の加藤女史は現在でもアナウンサーとして活躍しており、本作の声優陣では唯一業界に残っている。演技力と言うより設定が問題の模様。
    • 上述の通りインド人の部下は本作ではまともに聴ける水準。しかし「ビル街」という単語はどう聞いても「ミル貝」にしか聞こえない。
      • ちなみに主人公もビル街をミル貝と言っている。お前らそんなにミル貝が好きか。
    • 本作の目玉にしたかったであろう女性陣がこの調子なのだが、男性陣*5はこれらに比べればまだ安定している。…粗が見えるほど台詞が無い為かもしれないが。
    • ラスボスに至っては、人工知能らしさを出そうとしたのかただでさえ大仰な棒読み演技に加え、男女の声を被せてエフェクトを掛けるという処理が施されているので最早失笑もの。
    • ゲームオーバー時、コンティニューのカウントダウンが日本語で「きゅう、はち、なな…」と読み上げられる。勿論棒読み。途中で主人公の「やらせて下さい!」という声が挟まるのもシュール。
      • そして女性声優陣の声で一斉に「げーむおーばー」(棒読み全開)。

その他の問題点

  • ステージクリア後のスコア計算がやたら遅い。1分近く待たされる事などザラ(スキップは可)。
  • マウス対応とのことだが、ガンシューティングならいざ知らずマウスでシューティングゲームをプレイすること自体無謀
  • ステージは全部で7面あるのだが、イージーモードでは4面をクリアするとゲームオーバーになる
    • ただ、この「簡単な難易度はステージが少ない」という仕様は、同時期のアクションやシューティングには結構あったので本作だけの問題とは言い難い。
    • ちなみにストーリー的には「部下が戦死し、首謀者からラスボスの正体を聞かされた主人公が一人ででもラスボスを倒しに行く」というシーンである事を考えると、無情にも返り討ちに遭ったのだろう。

評価点

  • やはりクソゲーのお約束というべきか、BGMだけはやけに格好いい。ヘボ演出やグラフィックとの温度差が激しいが…。
    • しかしBGMはループせず、途切れて最初からかかり直しになる。
    • 主題歌も曲そのものは悪くはない。
  • とりあえずシューティングとしての体裁は保っている。
  • ストレスのたまる要素(回避不能な理不尽な攻撃、動きにくい自機等)が一切無いのも評価出来る。
    • 縛りありでダラダラプレイしてもノーダメージでクリア可能。それくらい難易度が低い。

総評

あらゆる部分で作りこみの甘さが目に付く作品。その一方で、笑える点を探すのが意外と困難であり、デス様のような超電波級のクソゲーと比べると、今一つ(クソゲーとしては)物足りない印象はある。
このゲームの(クソゲーとしての)レベルが相当なものであるのも事実だが、「プレイヤーがわざと突飛な行動をとる・アイテムを使いまくる」等の自由度も一切無く、クソゲー特有の面白いネタプレイをする事もできない。
いわゆる「つまらないしなにもかもが酷いのだが、全く記憶に残らないし面白い所も無い」という一番厄介なタイプのクソゲーと言える。



余談

  • セガサターンマガジンのレビューにおいても、レビュアーから「作った人たちの顔を是非見てみたい」とまで言われる程の酷評振りだった。
  • ゲームディスクをパソコンに読み込ませると、一枚絵がいくつか用意されていることがわかるが…壁紙にでも使えというのだろうか
  • このゲーム、一言で言えば同人ソフトに近い印象を受けるが、実は当時ナグザットはゲームの制作チームを募集しており、その実験的な試みにより商品化した第1弾のソフトが本作であった。
    • 要はアマチュアの制作チームがナグザットに持ち込んだゲームをそのまま商品化したようなものである。
    • しかし一方で「本作が同人ソフトというのは全くの嘘であり、出来があまりにも悪いので素人の作品という事にしてしまえとの事でそうなった」という説もあるが定かではない。
      • 書籍『超クソゲー』でも取り上げられていたネタだが、出所はここだろうと思われる。信じる信じないは各自で判断すること。