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ファミコンウォーズ - (2017/10/24 (火) 08:23:13) の編集履歴(バックアップ)


ファミコンウォーズ

【ふぁみこんうぉーず】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1.5Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
発売日 1988年8月12日
定価 5,500円
プレイ人数 1~2人
レーティング 【VC】CERO: A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2009年5月19日/500Wiiポイント
【3DS】2012年12月26日/500円
【WiiU】2014年12月3日/514円
判定 良作
ファミコンウォーズシリーズリンク


概要

戦争を題材にした任天堂製のウォー・シミュレーションゲーム。
ストーリーは無い硬派な戦争ゲー。プレイヤーは「レッドスター軍」か「ブルームーン軍」(赤軍・青軍)のどちらかを指揮し、敵軍と戦う。

ルール

  • 戦闘はターン制(ゲーム内では日数として表示される)で、レッドスター軍が先攻、ブルームーン軍が後攻。敵軍の本拠地「基地」を占領するか、敵軍を全滅させれば自軍の勝利。逆の場合は自軍の敗北となる。255ターン経過しても決着がつかなければタイムオーバーとなる。
  • 毎ターン開始時に支給される資金を元手に、自軍の基地周辺にある生産拠点で部隊を生産し、前線に送り込んで敵軍を倒していく。部隊は全部で16種類あり、強力な部隊であるほど生産に必要な資金は多い。展開できる部隊数は48部隊が上限。
  • 1部隊10台(人)で構成される。戦闘で攻撃を受けると台数が減っていき、0になるとマップ上から消滅する。台数の減った同じ部隊同士で「合流」することも可能。ただし10台を超える事はなく、余剰分は消滅してしまう。
  • マップ上の施設(都市、空港、港)を占領するとターンごとの収入が増える。もちろん敵軍の施設を占領すると敵軍の収入を減らすこともできる。このため、ただ敵を倒すだけでなく、施設を効率良く奪取していくことも勝利する上で必要になってくる。
    • 収入以外にも、自軍基地を中心とした3×3マス内にある施設では生産が行える。多くのマップでは元から自軍施設である工場しか配置されていないが、都市などが範囲内に存在するマップもあり、その場合は都市でも生産が行える。 空港や港もこの例に漏れず、3×3マス内に存在する施設でのみそれぞれ航空部隊や海上部隊を生産できる。
    • 基地からの距離に関わらず、自軍施設であれば後述の補給をするための拠点として利用できるため、自走砲などの有射程兵器を配置するのに都合の良い場所にある都市はそれだけ重要度が上がる。
    • 施設の占領を行えるのは歩兵系部隊だけで、人数が少なくなるほど占領にかかるターン数も増える*1ため、打たれ弱い歩兵系部隊をいかに守っていくかも重要になる。占領中の歩兵がいなくなると最初からやり直しになるので、先述の「合流」も活用しながらその部隊を守らなければならない。
    • 本陣である基地に占領をしかける事もできる。敵の基地の占領に成功した場合、戦況に関わらず即座に勝利となる。ただし、他の施設は「歩兵」の他に「戦闘工兵」でも占領が可能だが、基地だけは最も戦闘力に劣る「歩兵」でしか占領できない。
  • 各部隊には「燃料」が設定されており、1マス動く毎に1減っていく。地上部隊は燃料が0になっても最低1マスは動けるが、航空・海上部隊はターン開始時に5消費し、0になると墜落・沈没し、マップ上から消滅する。これを防ぎ、戦闘能力を維持するためには適時補給を行う必要がある。
    • 全体コマンドの1つ「全補給(全補)」は、1日1回だけ行える一括補給。部隊に対応した自軍の施設の上にいるか、補給車に隣接している*2「行動前の」全ての部隊に一括で補給を行う。施設によって補給された部隊は、燃料弾薬の他に損耗した部隊の台数も補充できる(1回の補給につき2台)。
    • 補給車の個別コマンドで補給する事も可能。この場合も補給対象は行動前である必要がある。
    • 当然だが補給するには資金が必要。足りなければ補給できない部隊が出てくる。台数の補充にもきっちりお金はかかる。
    • 補給できない場所で戦闘を繰り返していると早々に弾薬が切れたり台数が減りすぎたりして使い物にならなくなってしまう。敵陣に突撃する先遣部隊なら使い捨てでも構わない場合もあるが、戦線を維持するための要点防衛部隊がそれだと困るので、補給ラインの構築は非常に重要である。
    • 歩兵にも燃料の概念はちゃんとある。切れた時のリスクやかかる資金などは戦車等と全く同じだが、アニメーションをONにしている場合、燃料ではなく食料を補給している。

長所

  • 初心者にも取っ付きやすい分かりやすい世界。
    • 現実の戦争を題材にしたウォー・シミュレーションというと、それらの知識の無いプレイヤーは置いてけぼりになりがち。その点本作は、兵器の名称を「戦闘機」「戦車A」「輸送ヘリ」などとシンプルに据え置き、名前を見ただけでもどのような兵器か把握ができる。
    • グラフィックは全体的にデフォルメされておりファンシーなテイスト。銃と大砲が主役の戦争モノとしては賛否両論あるものの、重厚さを適度に抑え馴染みやすいのも長所である。
      • マップごとの最終結果画面には両軍を率いた将軍の顔、名前、年齢も表示されるが、その顔もやけにコミカル。中には他のゲームのパロディや、その名前や顔はいくら何でもやばいだろ、という御仁も…。
  • じゃんけんのような部隊間の力関係。
    • 歩兵は装甲輸送車に弱く、装甲輸送車は戦車に弱く、戦車は爆撃機に弱く、爆撃機は戦闘機に弱く、戦闘機は対空ミサイルに…といった具合に、どんな部隊にも相性の優劣があり、万能な部隊は無い。味方部隊をどう連携して敵を撃破していくかが重要。
  • 乱数要素を極力排除し、戦闘の結果を容易に予測できる、誤差は+-1の範囲。
    • 特に命中率の撤廃が大きく、シミュレーションRPGでよくある「回避率90%以上なのに被弾!」といった不確定要素が無い。運に左右されない、まさに戦略がものを言うストイックな世界観である。
  • マップ数は17と控えめなものの、マップの大半が山や森に覆われていたり、自軍と敵軍が海によって隔たれていたりとバリエーション豊か。
    • 離島の都市掌握を巡る攻防など、思わぬ場面で熱い展開になることも。
+ 最初から出ている15マップを全てクリアすると
  • 最初から出ている15マップを全てクリアすると、レッドスター、ブルームーンそれぞれの軍に応じた最終マップが出現。強力な敵軍が自軍基地に向かっているという圧倒的に不利な状況から開始する。この条件をはねのけて見事勝利すればエンディングとなる。

短所

  • 戦闘アニメーションはカット不可能。
  • CPUの思考時間が長すぎる。
    • 混戦になってくると、一部隊を動かすのにも平気で数秒の思考が入る。前述の戦闘アニメも手伝って、本作の最終マップはべらぼうな時間がかかる。その半分以上はプレイヤーは眺めていることしかできない敵ターン。
  • ユニット間の格差
    • 命中率の撤廃が結果的に性能や費用対効果の差を拡大させておりバランスは良いとは言えない。特に隣接しなくても遠距離攻撃ができるユニットの場合、相手から反撃を受ける事が無いので、一方的に相手だけを損耗させられる。
+ 今作で強いユニット
  • 歩兵(コスト1000)
    • 海以外ならどこでも移動できて占領が可能だが攻撃力、防御力ともに最弱レベル…のはずだがコストが安い事から、例え全滅するまで無補給で突撃させても大抵は元が取れるという驚異のコストパフォーマンスを誇るユニット。
    • 直接攻撃をしてくる部隊であればどの敵に対しても一応攻撃や反撃が可能であり、燃料・弾薬は最も多いため、壁や削りとして積極的に使える。
  • 戦闘工兵(コスト2000)
    • 生産に必要な資金は歩兵に次いで二番目の安さであるにも関わらず、戦車並のパンチ力。2~3部隊で集中砲火を行えばあろうことか本作最強の戦艦や戦闘機の相手も立派にこなせる。欠点は基地の占領ができない事と全部隊最低の移動力2だが、この短所は輸送ユニットを併用すれば容易に解決可能。
      • 最大の欠点は所持弾薬の少なさと思われる。基地を占領できる状況ならば大抵敵側は追い詰められておりユニットを壊滅させるほうが早く終戦させられるからである。…この問題もコストパフォーマンスの良さのおかげでひたすら生産して使い潰すような運用だと問題になりにくい。 この2ユニットは歩兵なので打たれ弱いという欠点もあるにはあるが、安価で生産可能な上前述の合流を生かしやすいのでなかなかの粘り強さ。打たれ弱いといっても1戦闘くらいなら大抵生き残れるしその際に敵側のユニットを1~3機程道連れにしてくれるので結果的にこちらのほうが得をすることが多い。
  • 装甲輸送車(コスト4200)
    • 陸上輸送ユニット。歩兵を乗せて移動が可能。陸上ユニット中最高レベルの移動力を誇り歩兵に対しては圧倒的な強さを持つ。
      • 歩兵の欠点である移動力の低さをカバーし、かつ歩兵が唯一、一方的に損害を被る天敵ユニットである。1戦闘で歩兵を壊滅状態に追いやり、こちらはあまり損害がない。コストもさほど高くはない。
  • 輸送ヘリ(コスト4000)
    • 空挺輸送ユニット。戦闘機、海上部隊、対空の地上部隊にはめっぽう弱いが、歩兵や輸送部隊に対してはそれなりに戦う事ができ、苦手とする部隊以外からは損害は受けにくい為、歩兵を降ろした後で、橋の上などに配置して敵の侵攻を防いだり、敵の占領部隊や戦車に対して積極的に攻撃する事で占領の妨害、弾薬を無駄使いさせる等の単純だが強力な戦法が取れてしまう。生産費用も低い為に合流も生かせる。
      • 移動できない地形が存在しないのもポイントで奇襲や救援等の行動も行いやすい。
  • 揚陸艦(コスト18500)
    • 海上輸送ユニット。海しか移動できずコストも高めだが爆撃機と戦艦以外からほとんどダメージを受けず、上記のユニットが苦手とする海、空ユニットにダメージを与えられる。
      • 苦手とする爆撃機に対してはこちらからもダメージを与えられるので少なくとも一方的な損害にならない、戦艦は直接攻撃を行えないので、懐に踏み込めれば一方的に攻撃できるのがポイント。やはりコストに見合った働きはしてくれる。
      • 因みにAIは陸地に接する揚陸艦に戦車Aで攻撃してくるが揚陸艦のほうが強い…最終局面の追い込み殲滅で敵分散のための囮として便利。

輸送ユニットもある程度の戦闘力を持ち、それらは全て歩兵達の欠点(戦闘力と移動力の低さ)をカバーできる。 その為に歩兵と戦闘工兵を大量生産し輸送ユニットで前線に送り込み、破壊されるまで戦闘を行うと言ったゴリ押し戦法でも大抵のマップがクリアできてしまう。

  • 自走砲A(コスト13000)
    • 射程3~5と圧倒的な広範囲の間接攻撃ユニット。占領した後方の都市などに配置して前線に砲撃の雨を降らせるのがこのユニットの役割。移動力も十分あり、戦艦にもそこそこ効くので攻撃力のカバーや後方守備には最適。戦艦は陸へ移動できず移動後攻撃できないのでたとえ削り合いでもこちらは補給体制を整えられる。コストもこちらの方が安いのでやはり使い勝手は良い。
      • 空ユニットに関しては無力だがあちらは間接攻撃が不可能なので踏み込まれる前に戦闘工兵で壁を作って数でゴリ押せば対処可能。
  • 戦艦(コスト28800)
    • 海上限定の強化された自走砲A。どのユニットにもかなりの損害を与えられて海上を移動できるので思わぬところから砲撃が可能。直接攻撃ができないので揚陸艦に踏み込まれると脆い、港以外での補給には補給車が必要等欠点もあるが攻撃力と範囲の高さは魅力。
  • 補給車(コスト3000)
    • 攻撃力皆無の燃料、弾薬補給ユニット。上記の間接攻撃ユニットは移動後攻撃が不可能で砲撃ポイントを順次変えていく必要に迫られる。当然都市などの補給可能地点に常に陣取れるとは限らないので補給を行えるこのユニットの重要性は意外と高い。

これらのユニットは攻撃までに時間がかかるし上手くタイミングを読まないと移動させるだけで終わってしまう危険をはらんでいる。 しかしこちらが損害を受けずに一方的に戦力を削り取れるというのは戦力上極めて重要な要素であり、やはり強力なユニットであるのは否定できない。

  • 3つ目のマップが序盤のマップとは思えない高難易度。
    • 相手側の島へは歩兵(戦闘工兵含む)と航空ユニットしか送り込めず、モタモタしてるとそれぞれ戦車・自走砲と対空ミサイルの餌食になってしまいなかなか攻め込めなくなるため。
  • 初期のカセットではセーブデータが消えやすい。クリアmapが増えセーブデータのデータ量が大きくなるとリセットボタンを押しただけで消える事もある。さらにセーブデータは一個しか作れない。

総評

現在でも趣を変えて存続しているシリーズだけあって、一作目にしてかなり完成されたシステム。
バーチャルコンソール版は「高速モード*3」が実装されている。セーブデータが消える心配もないので、こちらもオススメできる。

余談

  • 本作といえば有名なのが当時流れていた「あの」テレビCM。「かあちゃん達には内緒だぞ」は当時の流行語となった。
    • ちなみに、このCMは有名な戦争映画「フルメタル・ジャケット」のワンシーンのパロディである。(「かあちゃんたちには~」のフレーズは恐らく初代ゼル伝の『ミンナニナイショダヨ』か)
      「フゥハハー!」やハートマン軍曹などで知られるが、元ネタの方ではとてつもなく卑猥な事を言っていたりする。ゲームとは関係ないので、気になった人は検索。
    • あのテレビCMのフレーズはスーパーファミコンウォーズのタイトル画面でも利用されている。
+ ファミコンウォーズのCM


  • 冷戦時代のこととてウォーゲームでは「デフォルト敵軍=ソ連に見立てて赤色、デフォルト自軍=アメリカに見立てて青色」が慣習だったが本作では子供向け業界のセオリー「子供は赤が好きだからとりあえず赤く塗っとけ」に従ってか逆配色になっている。