「メタルマックス2」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
メタルマックス2 - (2019/10/03 (木) 14:42:32) の編集履歴(バックアップ)
メタルマックス2
【めたるまっくすつー】
ジャンル
|
ロールプレイングゲーム
|
高解像度で見る 裏を見る
|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
8MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
データイースト
|
開発元
|
クレアテック
|
発売日
|
1993年3月5日
|
定価
|
9,500円(税抜)
|
配信
|
バーチャルコンソール:2010年7月13日 【Wii】800Wiiポイント
|
判定
|
良作
|
メタルマックスシリーズリンク
|
概要
-
名作RPG『メタルマックス』の続編。
主人公は戦車を駆って荒廃した世界を巡り、「お尋ねもの」こと凶悪な賞金首を退治するハンターとして生活する。
-
SFCハードに移行し、システムやグラフィック、操作性など様々な面がパワーアップ。
特徴・長所
戦車
-
本シリーズの代表的な要素であり世界の主役。
-
怪物が跳梁跋扈する本シリーズの世界は人間にとって過酷な環境であり、怪物の脅威に対抗すべく、あるいはハンター達が己の生計の為に、もしくは荒廃した土地の走破の為に、戦車を用いることが多い。世界観・ゲームシステム共に非常に大きな意味を持つ。
-
戦車はフレームであるシャシー、エンジン、各種武装などによって構成される。攻撃力として主砲や副砲が重要なのは勿論だが、それらの搭載の為に必要なエンジン出力、積載余剰による装甲タイル、弾薬(特殊砲弾)等々、プレイスタイルに応じた装備換装が可能な他、それぞれのパーツの改造も可能で、それでいてパラメータが単純化されているおかげで直感的にも非常にカスタマイズしやすい。
-
具体例としては、エンジン出力によって総積載量が決定され、その他のパーツ分を差し引いた(浮いた)積載分を実質的なHPとなる「装甲」として装着する。これにより攻撃面と防御面のバランスなどが全てプレイヤー次第となり、文字通り自分好みの戦車にする事が可能である。
-
他にも予備の戦車を一輌まで連れていける「牽引」、金銭を支払って借りられる「レンタルタンク」、戦車の設計など様々なシステムが存在する。
犬
-
本シリーズに常に追従する要素の一つ。文字通り犬であり、ペット的な存在。
本作では、頼れる仲間の一人(一匹)としてパーティーに同行する犬が登場。
『主人公+仲間2人+ペット』というパーティーの基本形式が確立し、以後の作品でも常連になった。
-
当然だが戦車に乗る事はできず、生身の人間と同じプロテクターによる防護しかないものの、戦車並みの強力な武装を装備できる特徴があり、高い戦闘力を持つ。
-
成長に関しても人間とは異なるシステムを持っており、集中的に強化したりといったプレイも容易。
-
行動はAIで自動的に決定される。
世界
-
荒廃した世界でも人々は逞しく生活しており、様々な街が勃興している。街には前述した戦車のインフラが整備されている他、大きな街ではハンター達のためのハンターオフィスや、戦車用の装備が大々的に売り出され活気付いている。
-
高架橋に出来た町「アズサ」、かつての遊覧船に出来た町「スワン」、刑務所の町「デスクルス」など、個性的なものも多い。
-
特にデスクルスで体験する「ドラム缶運び」はシリーズ屈指の迷イベントで人気高い。攻略後に聞ける「おしてもいいんだぜ!なつかしいドラムかんをよ!」といった迷台詞が忘れられないプレイヤーは数知れず。 日λ...
-
過酷な世界にもかかわらず、何故か消耗品の無人自動販売機が各地に配備されており、印象深い。
-
あちこちで跋扈する怪物たちの中にはシリーズ恒例の賞金首が存在。
-
名前から想像できる通り、撃破によって高額な褒賞金を得る事ができ、ゲームの主目的の一つとなる。
-
数は前作から増えており、シナリオ上仇敵となるテッドブロイラーもこの賞金首の中の一人。
-
賞金首以外にも「今週のターゲット」として既存の雑魚敵が追加報酬の対象となり、撃破数に応じて資金稼ぎが可能。ハンター稼業を楽しめる。
-
登場する怪物たちが武装しているのも特徴の一つ。
-
現実の動物や空想の怪物に大砲や銃を装備したスタイルが多くを占める。中には戦闘終了後のフィールド上に即席のダメージゾーンを生成したりするものや、プレイヤー側と同じく高い防御力を持つ戦車タイプのものも存在する。
-
海洋を縦横無尽に泳ぎ回りNPCとも因縁深い「U-シャーク」、荒廃した世界でなお走り続ける「野バス」など、個性豊かで印象深いものも多い。
-
前作では固定敵や賞金首のみであったが、本作では敵組織の下っ端や賞金首の部下など、人間系の雑魚敵が出現するようになっている。
システム
-
コマンドバトル式のRPGでありながら、戦闘の進行について独特なシステムが採用されている。
-
モードA/アニメーション描写を省略し、メッセージ表示のみの簡略化スタイル。
-
モードB/デフォルト設定で、一般的なゲームのスタイル。個々の行動が順番に描写される。
-
モードC/戦闘描写を一斉に表示し、その後結果をメッセージで表示する。
-
モードD/モードCからメッセージ表示を省略したスタイル。情報が一切遮断される為、プレイヤーが主観的に状況を判断しなければならない。
-
中でもモードCは、状況次第では弾・ミサイル・爆弾・レーザーなどが一度に飛び交う非常に爽快なスタイルで、経過が把握しにくい難点はあるものの擬似的にリアルな戦闘を体感できるため人気が高い。
-
システム面で様々な設定がカスタマイズできる。
-
メッセージスピード、カーソルスピード、コマンドスピードなどの他、コマンド画面のボタン配置を変更することが出来る。特に戦闘時に多用する副砲のボタンをデフォルトの位置に配置したり、特定のアイテムを任意のボタンにショートカット設定を振り分けたり等、設定次第で非常に快適なプレイングが可能になる。
-
システム画面では、所有している戦車の装備やアイテムをいつでも操作可能。離れた場所に置いている戦車の装備変更やアイテムのスイッチも変更可能。
-
アイテムは本作でも個性的なものが並ぶ。
-
冒険を有利に進められるものから、中にはなんの意味もないアクセサリまで多種多様。フィールド上にも多数埋まっており、同じ場所でもくまなく探せばちょっとしたものが手に入るなど世界観を上手く表現している。中には戦車が埋まっている事も。
-
計12枚のICチップで複数の効果を齎す「LOVEマシーン」、敵に撃ち込んでマーキングし、逃げたり逃げられたりしてもマップ画面から追跡できる「シグナル弾」「シグナル探知機」、酒場に売却可能なおつまみ等、これでもかと言わんばかりに多数の要素が詰め込まれている。
-
また、屋内など戦車を運用できないシーンのために人間用の装備アイテムも多数用意されている。こちらも脆弱な生身の人間でも高い防御力を保証し、独特な使い捨ての仕様を持つ「プロテクター」といった装備が用いられており、世界とゲームバランスを両立している。
-
自己満足アイテムのインテリアも送り先が増え、種類も豊富になっている。特に「金食い虫」はゴールドを与えることで巨大化していき、成虫にまで育てるとNPC化して家の中をウロウロ動くようになるというペット枠。
-
クルマ以外の乗り物として「船」が導入された。戦車ごと乗り込むことが可能であり、水上でも戦車戦を繰り広げられる。
-
水上戦で全滅してしまうと、戦車は船ごと沈没してしまう。特定の町に存在する「サルベージ屋」に依頼して、ポイントを指定した上で引き上げてもらう事となる。
-
船が沈没していなくてもサルベージ屋は利用可能で、たまに換金用アイテムなどが入手できる。ちょっとしたお遊び要素。
-
ミニゲーム
-
前作のフロッグレース改め「ゲコゲコ大作戦」の他、新たに「戦車でバンバン」が追加。
-
簡易なシューティングゲームで、戦車や空飛ぶ円盤に当てると賞金額が上がり、逆に歩行者や救急車に当てると賞金が減額されるというもの。
シナリオ
-
冒険の目的は明確には定められておらず、プレイヤーが自由にシナリオを楽しむ事が出来る。
-
とはいえ、出で立ちの動機はちゃんと定められている。両親と育ての親であるマリアをグラップラー(凶悪な犯罪組織、ないし無法集団と所属する兵士の総称)に殺された為、その仇討ちが理由となる。
-
物語冒頭から冒険の方向性を決定付ける「テッドブロイラー」はシナリオ上の最終目標に位置するが、その登場の仕方や台詞回し、圧倒的な強さから非常にインパクトが強い。一部のファンからは「テッド様」と呼ばれ今尚人気高い。
-
強さに関しては戦車が使えないのは調整ミスという噂まで出た程で、その凶悪さでファンの語り草となっている。
-
熱バリア無しでの撃破が当時のゲーム雑誌にやり込みネタとして投稿されたり、次回作以降に「戦車が自動帰還するシステム」が搭載される等、本作の鬼畜仕様が後のシリーズまで大きな影響を与えたと見るファンも多い。
-
デコゲーの個性的な台詞回しは健在。
-
「遺伝子の欠片まで焼き尽くしてやる」「汚染された海で獲れたピチピチの奇形魚」等。
BGM
-
前作に引き続き門倉聡氏が作曲を担当している。
-
恒例「お尋ね者との戦い」もグレードアップしたほか、最初の町の曲とは思えぬほど哀しげな「忘れ得ぬ人」、哀愁漂うフィールド曲「錆びた荒野」、回想シーンで流れる「スクラップタウン」など、シリアスな作風にあわせた悲壮感漂う曲が多くなっている。
短所
-
システム関連
-
システムそのものは快適だが、個性的なアイテムや様々な属性、オプション装備の仕様など、全体的に説明不足な部分が多く、雑誌や冊子の攻略情報が無いとかなり厳しい難易度を強いられる。
-
今週のターゲットはキャラクターのレベルアップによって更新される仕様があり、これに気付けないと活用しにくい。また、戦闘数の限られる固定型の敵がターゲットに指定されてしまうこともある。
-
シグナル弾が意味を成していない。敵そのものではなくエンカウントした地点をマーキングする事が原因で、しかも出現率が上がるわけではない。また、使用してしまうと、後に対象敵を倒した際レアアイテムのドロップがなくなってしまう、致命的なデメリットもある。
-
バランスを崩壊させてしまうほどプレイヤーを有利にする裏技が数種存在する。
-
戦車関連
-
今作も相変わらず序盤で手に入る軽車両が強い。守備力自体は重戦車が高くなるものの、車体重量と守備力を比較すればやはり軽車両の方がバランスが良く、重戦車は趣味の領域となってしまっている。
-
この煽りを受けてしまったのが「ウルフ」と「エレファント」の2台。
-
ウルフは比較的序盤で入手できる重戦車で、終盤まで使っていけるだけのポテンシャルがあるにもかかわらず、シナリオ進行の関係で入手直後は性能を発揮できるエンジンを装備できず、SPと武装の兼ね合いに苦しむ事となる。最初に入手するバギーとのSP差もあって「見てくれだけの使えない戦車」呼ばわりされてしまう事も…
-
エレファントはラストダンジョンの終盤、最高額の賞金首を倒した後で入手する。おそらく大半のプレイヤーは既にカスタマイズされた戦車を所持している筈なので今更感が強く、最悪その場に放置されたりパーツだけ剥がされる事となる。
-
SEも相変わらず使いづらい。前作の欠点である威力の低さ、弾薬費の高さが改善されておらず結局お荷物となる。
-
さらに逆風として、1度使用したら「弾込め」に時間がかかるとして数ターン使用不能になるという仕様がある(1発しか撃てないATMミサイルと、弾込め不要のATMひぼたんのみ例外)。
-
今作では迎撃システムやバースト(1ターン2回砲撃)の追加で主砲がパワーアップしており、ますますSEの立場が無い。
-
No.2戦車「装甲車」の入手場所がほぼノーヒント。
-
取扱説明書の画面写真にある「スナマミレン」という名前、そしてナンバーの若さから、序盤の砂地にあるであろうことはアタリをつけられるが、その程度の情報しかない。
-
この情報は攻略本にすら掲載されておらず、地雷探知機や金属探知機でしらみ潰しに探すか、当時の雑誌に掲載された情報を頼りにするしか入手法を知る手段がなかった。
-
賞金首関連
-
一部の賞金首の出現率がとてつもなく低い。また、それぞれ貴重なアイテムを持っているものが多く、しかも攻撃を当てた回数によってドロップアイテムが変化する上、ドロップ率が設定されている。
-
中にはどっちのドロップ品も「プレイ中一個しか手に入らない貴重品」である賞金首もおり、この仕様のためアイテムコンプリートは不可能となっている。
-
幾つかの賞金首はシナリオの要所に固定されている。倒さないと先に進めない、船が使えないなど『イベントフラグ的に関連性を持っている』ことや、『必ず通過する地点』に高すぎる確率で現れたりする。このためルート通りに進まざるを得ない事が多く、実際の冒険の自由度はやや低い。
-
全体的な賞金額が前作より低め。前作の最高額は20万Gだが、今作の最高額は6万G。
-
ラスボスの存在が今一つ希薄。
-
目的が不明瞭な上、主人公の目的と交差していないため戦う理由がない。実際、対峙してもプレイヤー側が打倒を望まない限り生かして帰してくれる。宿敵テッドブロイラーの直後な事もあってついでに倒す程度の印象しかない。このため、ラスボスを倒して始まるエンディングが唐突で蛇足感が漂う。
-
一応、憎むべきグラップラーの上司(の、上司)的存在であるはずだが、描写としてはテッドブロイラーが一方的に崇拝しているだけで人間狩りの指揮をしていた演出がなく、指揮していたと仮定してもこれを妨害しているプレイヤーを見逃すのは矛盾がある。
-
その他
-
データ上にのみ存在しているがゲーム中では入手できない「205ミリひぼたん」という大砲がある。このためどこかに埋まっていないか誰か落とさないか徹底的に調べ尽くして時間を無駄にした人もいた。
-
戦車装備を変化させる裏技を使えば一応入手可能ではある。
-
「ブルベロス2号」という敵が、実際はどこにも出現しない。ゲーム中で今週のターゲットになることはあるし、攻略本にも存在を記されているのだが…。
総評
新ハードに移行し、グラフィックや描写の滑らかさが飛躍的に上昇した本作は正統な続編として高い完成度を誇る。
その異質なシステムに最初は戸惑う事もあるだろうが、「戦車」、そして「犬」、ちりばめられた多種多様なギミック、質の高いBGM、硬派な世界観、バランスの良いやり込み要素など、様々な要素が絡み合い昇華した様は『メタルマックス』の名を継ぐに相応しいと言える出来である。
キャッチコピー通り、「竜退治に飽きた人」に。SFCを代表する異種RPGの一つとして、是非とも手に取って頂きたい一作である。
その後の展開
-
2003年に『メタルマックス2改』としてGBA移植版が発売されているが…。
-
「あそこの 移植には てを だすなよ わかぞう!」
-
2010年7月、SFC版がWiiバーチャルコンソールにて配信。
-
2011年12月、DSにてリメイク版の『メタルマックス2: リローデッド』が発売。『3』のシステムを継承・改良している他、『2』からは一部変更点がある(アズサの新幹線が200系→E5系「はやぶさ」カラーになっている等。ゲーム発売当時の北陸新幹線における最新の車両がモデルとなっている)。