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メタルマックス2 - (2013/10/14 (月) 09:16:29) の編集履歴(バックアップ)


メタルマックス2

【めたるまっくすつー】

ジャンル ロールプレイングゲーム
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対応機種 スーパーファミコン
発売元 データイースト
開発元 クレアテック
発売日 1993年3月5日
価格 9,500円(税抜)
配信 バーチャルコンソール:2010年7月13日/800Wiiポイント
分類 良作
メタルマックスシリーズリンク

概要

  • 当時最も有名とされたドラゴンクエストシリーズに対するアンチテーゼのキャッチコピーを持つ名作RPG『メタルマックス』の続編。
    主人公は戦車を駆って荒廃した世界を巡り、「お尋ねもの」こと凶悪な賞金首を退治するハンターとして生活する。
  • SFCハードに移行し、システムやグラフィック、操作性など様々な面がパワーアップ。

特徴

戦車

  • 本シリーズを語る上で外せない要素、それが戦車である。荒廃した世界に跳梁跋扈する怪物たちを撃滅する為に欠かせない本シリーズの主役であり、最大のウリ。
    フレームであるシャシーを始め、エンジン、主砲などによって構成され、これらは性能すらも多様にカスタマイズできるのが特徴。
  • 一例として、戦車はエンジン出力によって積める積載量が決定され、浮いた重量分を実質的なHPとなる「装甲」として装着する。
    これにより攻撃面と防御面のバランスなどが全てプレイヤー次第となり、文字通り自分好みの戦車にする事が可能である。
  • クルマ以外の乗り物として「船」が導入された。戦車ごと乗り込むことが可能であり、水上でも戦車戦を繰り広げられる。

  • 前述の戦車ほどではないが、本シリーズに常に追従する要素の一つ。犬とは文字通り犬であり、主人公のペット的な存在であり、そして高い戦闘力を持つ頼れる仲間の一人(一匹)である。犬は、戦車のように装甲を装着する事はできず、生身の主人公たちと同様プロテクターなどの防具によって身を守るが、攻撃においては戦車の主砲も顔負けな兵器を装備し、その強力な攻撃力でパーティーを支援する。
  • 行動はAIで自動的に決定される。

戦闘アニメーション

戦闘アニメーション表示に4タイプが用意されている(いつでも好きな時に切り替えが可能)。

  • モードA/アニメーション描写を省略し、メッセージ表示のみ。
  • モードB/デフォルト設定で、一般的なゲームのスタイル。個々の行動が順番に描写される。
  • モードC/戦闘描写を一斉に表示し、その後結果をメッセージで表示する。状況次第では、弾、ミサイル、爆弾、レーザーなどが一度に飛び交う非常に爽快なスタイル。経過が把握しにくい難点はあるが、擬似的にリアルな戦闘を体感できるため人気高い。
  • モードD/モードCからメッセージ表示を省略したスタイル。情報が一切遮断される為、プレイヤーが主観的に状況を判断しなければならない。ある意味男らしいモード。

  • 荒廃した世界でも人々は逞しく生活しており、様々な街が勃興している。例を挙げると、高架橋に出来た町「アズサ」、かつての遊覧船に出来た町「スワン」、刑務所の町「デスクルス」など、個性的なものも多い。
    • アズサの高架の上は線路であり、取り残された新幹線には人が住み着いている。名前と言い元ネタは狩人のあの曲であろう。
    • デスクルスで体験する「ドラム缶運び」はメタルマックスシリーズを代表する、屈指の迷イベント。
      • その人気は今なお非常に高く、メタルマックス2といえばテッド様を差し置いてこのイベントをあげる人も居るほど。
      • 実際にどのようなイベントなのかは、詳細を言葉で伝えるのは無粋の極みなので是非実際にプレイしてみていただきたい。
      • デスクルス攻略後に聞ける「おしてもいいんだぜ!なつかしいドラムかんをよ!」という台詞もドラム缶愛好家たちの心を掴んで話さない迷言といえるだろう 日λ...

アイテム

  • 本作でも個性的なアイテムが並ぶ。冒険を有利に進められるものから、中にはなんの意味もないアクセサリまで多種多様。
  • また、フィールド上には様々なアイテムが埋まっており、同じ場所でもくまなく探せばちょっとしたものが手に入るなど世界観を上手く体現している。中には戦車が埋まっている事も。
  • 多種多様なアイテムを売る無人の自動販売機も特徴的。
  • 本作で有名なアイテムの一つに「LOVEマシーン」が存在する。L、O、V、E各文字にそれぞれ1から3まで、計12枚のICチップがあり、この組み合わせで効果を発揮する。使用回数制限がない他、一部のボスを撃破するのに非常に有用な為に通常の攻略でも欠かせないと評されるほどの優れもの。チップの収集といったプレイヤーのやり込み要素をも刺激する。効果としては属性攻撃に対する耐性などのバリアの他、キャラクターの名前を変更といった一風変わった効果まで様々である。
  • シグナル弾とシグナル探知機が登場。敵に撃ち込むとマーキングが可能で、逃げたり逃げられたりしてもマップ画面から追跡できる。
    • ただし、撃ち込んだ敵を倒した時に弾を回収するだけになり本来のドロップがなくなるという大きな欠点がある。

BGM

  • 前作に引き続き門倉聡が作曲を担当している。恒例「お尋ね者との戦い」もグレードアップしたほか、最初の町の曲とは思えぬほど哀しげな「忘れ得ぬ人」、哀愁漂うフィールド曲「錆びた荒野」、回想シーンで流れる「スクラップタウン」など、シリアスな作風にあわせた悲壮感漂う曲が多くなっている。

システム

  • キャラクターの移動速度が速い。これは戦車に乗っても同じ。
  • システム面で様々な設定がカスタマイズできる。
    • メッセージスピード、カーソルスピード、コマンドスピードなどを始め、コマンド画面のボタン配置を変更することも出来る。特に戦闘時は多用する副砲のボタンをデフォルトの位置に配置しておけば、一々選択する手間が省けるためとても便利。
    • 特定のアイテムは任意のボタンにショートカット設定を振り分けることが可能。移動アイテムである「ドッグシステム」の使用を割り振れば、ボタン一発でどこの町でも飛んでいけるようになり、これまたとても便利。
    • システム画面では、所有している戦車の装備やアイテムをいつでも操作可能。パーティーメンバーが使用しておらず、離れた場所に置いている戦車の装備変更やアイテムのスイッチすらも変更可能である。
  • これらの要素から総合的なプレイのテンポがよく、操作面でストレスを感じることはまずない。

その他

  • 冒険の目的は明確には定められておらず、プレイヤーが自由にシナリオを楽しむ事が出来る。冒険への出で立ちには両親と育ての親であるマリアをグラップラー(凶悪な犯罪組織、ないし無法集団と所属する兵士の総称)に殺された為、その仇討ちが動機となる。
  • デコゲーの個性的な台詞回しが健在。「遺伝子の欠片まで焼き尽くしてやる」とか、「汚染された海で獲れたピチピチの奇形魚」とか。
  • 賞金首も前作より増えている。仇敵であるテッドブロイラーとの戦いはある意味最終決戦より力が入る。
  • ハンターオフィスでは賞金首の情報を得られるほか、「今週のターゲット」として特定の雑魚敵を倒した場合に限り追加報酬が得られる。敵はいままでに遭遇した種類の中からランダムに決定され*1、パーティーのだれかがレベルアップすると変更される。

短所

マニア心をくすぐる構成の為、難易度はそれなりに高めで、あえてわざと崩したようなバランスも散見される。

  • アイテムの説明、LOVEマシン、今週のターゲットの仕様など説明不足な部分が多く、雑誌や冊子の攻略情報が無いとかなり厳しい難易度を強いられる。そのためルート通りに進まざるを得ない事も多く、ドラクエに代表されるRPGに対するアンチテーゼの意味がやや薄れてしまっている。
    • 前作よりもイベントに重点を置かれているため、要所要所に固定の賞金首中ボスが配置されており、賞金首を倒すのもスルーするのもプレイヤー次第…とは行かなくなった。特定の賞金首は倒さないと先に進めない、船が使えないなどイベントフラグ的に関連性を持っていることや、必ず通過する地点に高すぎる確率で現れたりする。後述のテッドブロイラーも同様。
  • 犬が弱く、手間隙をかけて育てないと強敵との戦いではあまり頼りにならない。
    • 逆に言えば手間隙さえかければ一応チート級のステータスを獲得できるが、それでもラスボス戦で生き残らせるのは運が絡む。
  • シグナル弾が実は完全に役立たず。敵そのものではなくエンカウントした地点をマーキングする上、そこにいっても出現率が上がるわけではない。これを撃ち込んで1ターン浪費するぐらいなら主砲をぶっ放した方が得という有様。しかもシグナル弾は売れないし捨てられない。レアアイテムのドロップもなくなる。
  • 今週のターゲットはキャラのレベルアップごとに設定される。逆に言えば何匹倒してもレベルアップしてしまうと水泡に帰す。また、戦闘数の限られる固定型の敵がターゲットに指定されてしまうこともある。
  • バランスを崩壊させてしまうほどプレイヤーを有利にする裏技が数種存在する(貴重なアイテムの複数入手、資金荒稼ぎ、本来入れない場所に戦車で侵入etc)。よく言えば本作の自由度やカスタマイズの高さに貢献したもといえるが、悪く言えばゲームバランスを一気につまらなくしてしまうともいえる(本記事では詳細については触れないので、知りたいプレイヤーは専門の攻略サイトを参照されたし)。
  • 一部の賞金首の出現率がとてつもなく低い。やり込み要素とも連動しているため一概に短所という訳ではないが、出現率に加えて情報の少なさが足を引っ張っているものも存在するため、やはり攻略情報は必須。
  • 賞金首は貴重なアイテムを持っているものが多く、しかも戦闘経過によってドロップアイテムが変化する上、ドロップ率が設定されている。たった一度しか入手機会のない様々なアイテムが完全に運に左右されてしまう。
  • ラスボスの存在が今一つ希薄。
    • 征服や改革などには一切興味がなく、ひたすら自分の欲のためだけに行動している。最終決戦で対峙してもプレイヤー側が打倒を望まない限り生かして帰してくれる。ただ、賞金首でもなく、これといって害悪でもないので、言ってしまえばプレイヤーが狩る動機が無い。後述するテッドブロイラーの強烈な印象もあり、ついでに倒す程度の印象しかない。
    • 一応、憎むべきグラップラーの上司(の、上司)的存在であるはずだが、描写としてはテッドブロイラーが一方的に崇拝しているだけで、これといって人間狩りに関する総指をしていた演出はない。そうであればテッドブロイラーやグラップラーを駆逐したプレイヤーは邪魔以外何者でもないのだが、前述の通り特に執着もなく見逃してくれる。
    • このため、ラスボスを倒して始まるエンディングがしっくり来ない。

テッドブロイラー

OPイベントから物語上重要な位置を占める、演出としてもプレイヤーの挑戦心をより一層強めてくれる本作の重要なボスキャラクター。
MAPの関係上、戦車が入れない場所での戦闘になるのでプレイヤーは激烈な攻撃を生身で対処しダメージを与えていく必要がある。
実は戦車が使えないのは調整ミスという噂まで出たほどで、その強さ&アツさはファンの語り草。
ちなみにッドロイラーと言う名前は非常に間違われやすい。

  • 行動パターンは二種類の炎攻撃(全体、単体に2回 追加ダメージ有り)、物理攻撃の「モヒカンスラッガー」のみだが順当にイベントを進めていた場合くらったらほぼ即死、良くて瀕死級の威力を持つ。更に他の四天王と同じく戦車と同じ防御補正がかかっている。
    • もし正攻法倒そうと思うのならば対白兵戦用の準備や「LOVEマシン」を用いた熱バリアが必須であるが、LOVEマシンを熱バリアに設定するセッティング、チップはゲーム中ノーヒント。しかも熱バリアでは「モヒカンスラッガー」が防げない為、言い換えれば熱バリアを用意してようやくまともに戦えるという事。RPGにありがちな「レベルを上げれば何とかなる」という甘い考えは通じない。
    • 熱バリア無しでの撃破は当時のゲーム雑誌にやり込みネタとして投稿されたほど。
  • 一定のダメージを与えると「まんたーんドリンク!」の掛け声と共に一度だけHPが全回復するという、DQIIのシドー以来の絶望感をプレイヤーに味わわせてくれる。
    • 実は「まんたーんドリンク!」は掛け声だけであり、実際は回復していない。ただの驚かしなのだが、その内容があまりにもシャレになっていない上テッドブロイラーならなんとなくやりそうな雰囲気もあいまって、初見のプレイヤーはまずその心を大破させられる。
  • テッドブロイラーのいるダンジョンの雑魚敵がこれまた強敵ぞろいで、たどり着く前に全滅することもザラ。加えてメタルマックスシリーズでは全滅時は戦車が全滅場所に置きっ放しになる仕様となっているため、テッドブロイラーとの戦闘や直前の雑魚戦で全滅した場合はラスダンまでいちいち戦車を取りに戻らなくてはならない。
    • この鬼畜仕様のためか、次回作の『メタルマックスリターンズ』以降は「戦車が自動帰還するシステム」が必ず用意されており、白兵戦ボスも(裏ボスを除けば)概ね凶悪性が緩めになっている。
  • しかしこのテッドブロイラー戦、攻略法を何も知らないプレイヤーにしてみれば「やり込むつもりも無いのにやり込み要素クラスの死闘に挑む」or「ノーヒントではまず分からない攻略法をなんとかノーヒントで探しだす」のどちらかを強いられる訳で、重大な欠点とも言える。
    • 一歩間違えれば、ラスト前に極限難易度の攻略を強いられる重大なクソゲーとして語り継がれていた可能性さえある。ある程度その手の難解さに寛容だった時代、(そもそもテッドブロイラー戦の為に用意された訳ではないと思われる)LOVEマシンに熱バリアが存在した幸運、そして何よりテッドブロイラーと言うキャラにこれほどの魅力があるからこそ許されている、奇跡的な成功とも言える。
  • また、この「テッドブロイラー戦」を過ぎてしまうとシナリオに蛇足感が漂う難点があり、エンディングが前作同様あまり派手でない終わり方となっている事もあって終焉部分の印象がやや薄いという弊害も。

総評

新ハードに移行し、グラフィックや描写の滑らかさが飛躍的に上昇した本作は正統な続編として高い完成度を誇る。
その異質なシステムに最初は戸惑う事もあるだろうが、「戦車」、そして「犬」、ちりばめられた多種多様なギミック、質の高いBGM、硬派な世界観、バランスの良いやり込み要素など、様々な要素が絡み合い昇華した様は『メタルマックス』の名を継ぐに相応しいと言える出来である。
キャッチコピー通り、「竜退治に飽きた人」に。SFCを代表する異種RPGの一つとして、是非とも手に取って頂きたい一作である。


その後の展開

  • 後の2003年6月20日に『メタルマックス2改』としてGBA移植版が発売されているが…。
    • あそこの 移植には てを だすなよ わかぞう!
  • ひぼたん。それはコアプレイヤーをニヤリとさせる魔性の一言。
  • 2010年7月、SFC版がWiiバーチャルコンソールにて配信される。