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サムライスピリッツ 天下一剣客伝 - (2016/12/01 (木) 10:42:13) の編集履歴(バックアップ)


本ページではアーケードゲーム『サムライスピリッツ 天下一剣客伝』とオムニバスソフト『サムライスピリッツ 六番勝負』の二つについて紹介しています。



サムライスピリッツ 天下一剣客伝

【さむらいすぴりっつ てんかいちけんかくでん】

ジャンル 格闘アクション
対応機種 アーケード(ATOMISWAVE)
販売元 SNKプレイモア
開発元 悠紀エンタープライズ
稼動開始日 2005年9月14日
移植 プレイステーション2:2006年1月26日/6,800円(税別)
廉価版 2007年1月25日/2,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス:2014年11月19日/1,000円(税込)
レーティング CERO:B
判定 なし
ポイント 2D侍魂シリーズの集大成だが異色
話題の中心はいろは
残虐演出は皆無
声優陣ほぼ全て入れ替え(六番勝負では復活)
現在の2Dシリーズ最終作
サムライスピリッツシリーズリンク

概要

  • 江戸時代を舞台とした武器による真剣勝負という世界観、一撃必殺の威力を持つ強斬りを主軸とした緊張感ある駆け引きなどで人気を博した格闘ゲーム『サムライスピリッツ』シリーズ。本作はそのシリーズの「最終作」として発売された集大成的な作品。
    • 通称は『天下一客伝』から一文字取った「剣サム」。なお「天サム」は『草降臨』のことを指すので注意。
  • 今まで2D作品に登場したキャラクターは黒子とパピー以外全員が登場。初期の作品で登場し削除されたキャラクターもドットを変えて再登場し、更に本作オリジナルの新キャラクターも登場。使用可能なキャラクターは35人にもなっている。
  • 歴代キャラ総出演という点で『KOF'98』や『2002』、バージョン入り乱れで戦えるという点で『ハイパーストリートファイターII』のような、所謂「お祭りゲー」のクオリティを期待したシリーズファンは多かったことだろう。 しかし…。

本作の象徴「いろは」

  • 新キャラクターの一人「いろは」が「サムライスピリッツの集大成」という背景をそっちのけでプレイヤーの人気を掻っ攫って行くことに。
    • その見た目を一言で言えば「和風エロメイド」、外見通りにある青年*1を「旦那様」と呼んで仕えている。モチーフは昔話「鶴の恩返し」であり、その正体は鶴の化身である。
      • 更にゲーム中でも、彼女のステージだけBGMが演歌になる。歌手には伊吹友里氏を起用しており、歌詞もいろはに合わせて考えられており、非常に存在をプッシュされている。
    • 詳細は後述するが性能は優秀で、本作屈指の強キャラ。
    • CVはアダルトゲーム界で有名な新堂真弓氏。実に位置付けが良く分かる人選である。
      • 家庭用の初回版特典に彼女のフィギュアがついたり、携帯電話向けに彼女が主役のゲームが作られたり、サムライスピリッツの代表キャラクターとして他の作品に客演登場したり…と、サムスピというゲームそのものの見方を捻じ曲げるほどの魔力を持ったキャラクターとなった。その結果として他の女性キャラクターが割を食う形に。
      • 『クイーンズゲイト』のモデルに選ばれ、更にPSPソフト『クイーンズゲイト スパイラルカオス』にも出演。他にもミナとチャムチャムが出演している。
  • ちなみに他の新キャラクターたちはことごとく空気。アメリカ大統領候補だったりカラクリ人形だったりお祭りおじさんと個性は強いのだが…。

ゲームバランス

  • あまり良くない。むしろ前作よりも悪化してしまった感じがある。弱いキャラクターは誰に対しても万遍なく弱く、強いキャラクターはとことん強い傾向にある。
  • 強キャラ
    • 所謂「5強」は真鏡名ミナ・いろは・天草四郎時貞・風間火月・緋雨閑丸。最近の研究では飛び引っ掻きとパクパク・ガブルの組み合わせによる避けにくいガード不能を仕掛けられるチャムチャムも強キャラに食い込みそうな勢い。
    • いろはは2段ジャンプを標準装備している上、空中でも出せる飛び道具も持っていて、空中制御の利きにくいサムスピのセオリーを覆す立ち回りができる。地上でも長くて速い蹴り攻撃により、接近戦で相手の攻撃を潰しつつ先手を取りやすい。防御面は薄いが、それでも強い。
    • 真鏡名ミナは圧倒的なシューティングゲーム性能を持ち相手を寄せ付けない戦い方が特徴。それでいて火力もかなり高め。おまけに秘奥義と武器飛ばしを絡めた極めてガードしにくい上下択まで持っており逆転性も充分。前作までで目立っていた防御力の薄さはゲーム全体の火力の低下により補われた。
    • 天草四郎時貞は「汝、暗転入滅せよ」を出しているだけで勝てそうな勢い。高速で空中から突進してくる上、ガード方向を左右に揺さぶれ、当たるとダウン→起き攻めで再度「汝、暗転入滅せよ」→またダウン、以下ループ。ガードに成功しても極めて反撃しにくく、確定反撃のないキャラクターがいるのはおろか、ちょっと反撃に躊躇すると逆にガードした側が攻撃を喰らってしまう始末。遠・近二つのモード切り替えがやや面倒だが、どの距離でも戦え、立ち回りも万全。
    • 風間火月、緋雨閑丸はそれぞれ強力な一発があり、その他の性能も悪くない。
  • 弱キャラ
    • 我らがダークヒーローの牙神幻十郎は一気に最弱候補に。全体的に技の硬直が長くなり、火力も低下、主力技の一つであるコマンド投げ「雫刃」が失われてしまった点などが挙げられる。
    • 前作主人公の徳川慶寅も最弱候補。
  • バグを含めた、理不尽な戦法が多い。上記のいろはやミナはバグを利用した武器飛ばし確定状況が作り出しやすく、格差をさらに広げる一因となっている。
    • これまでのシリーズに比べると火力が減った代わりに、起き攻めが非常に強い傾向にあり、不利な読み合いを強いられる局面が多い。そういったキャラクターを相手に一度転んでしまうと「ずっと相手のターン」にされて負けてしまう可能性が高い。
  • CPU戦の難易度はシリーズの中でも低い。
    • 『零』及び『零SPECIAL』がかなりの高難易度だった事に対する反省なのか、CPUの強さはマイルドになっている。
    • ラストボスは広範囲かつ多段ヒットする必殺技を多く持つが、そこまで理不尽な超反応ではない。

シリーズ異色の特徴

  • 数々の残虐表現で物議を醸した『零SPECIAL』からの反動と、本作の根幹のストーリーが江戸幕府の御前試合になっていたり、開発中のタイトルが「サムライスピリッツ祭」と言うのもあってか、演出ががらりと変わってしまった。
    • ダメージ演出は血飛沫一つ飛ばない仕様に。そのせいか家庭版の対象年齢もBに下がった。
    • ステージの雰囲気も陰鬱なものから一転、人の賑わう明るいものに変更されている。一応、初代や『真』にも、そのようなステージが無いわけでもないのだが…。
    • サムライスピリッツの象徴的なナレーション「いざ、尋常に」が外人訛りになるという妙な演出も。
    • キャラクターイラストも『零』で担当していたたっくん氏が再び担当しているが、今までの作品に比べると色調が非常に明るく彫りが薄いため違和感が激しい。
  • ゲーム性の大きな変化。
    • サムスピなのに一撃のダメージが少ない。特に強斬りは体力の1/3、怒り状態ならキャラクターによっては5割位は減らせるのが普通なのだが、今回はせいぜい1/4。
      • その代わりに連続技が入りやすく、ジリジリした差し合いも少ない近年の一般的な格闘ゲームに近いものとなっている。
      • 例外的に「怒」スピリッツの固有システムである「超斬り」は従来の大斬りのような威力を発揮する。
    • ゲーム性がころころ変わるシリーズとは言え、サムスピの醍醐味と言えば「一撃必殺のバッサリ感」や「差し合い重視のゲームバランス」と言った声が大きく、その根幹を揺るがす様な変化は古参プレイヤーの怒りを買う事になった。
      • 逆に、普通の格ゲープレイヤーからは「どんどん攻めていけて楽しい」と好評の声があり、賛否両論。
  • パラレルワールドという設定とはいえ、全体的にEDが無茶苦茶。一応「そのキャラが満足のいく結果を得る」という点は共通しているが…。
    • 過去作の設定無視だったり(リムルル、右京など)、ギャグ同然(炎邪・水邪・おちゃ麿呂など)だったりする。
    • 曖昧な関係が続いていたガルフォードとナコルルが、ナコルル・羅刹ガルフォード・パピーEDで結ばれたのは物議を醸しだした。
      • 一応、リムルルや通常ガルフォードEDでは結ばれてはいないのだが…
    • 一方で、ミヅキや羅刹丸や腐れ外道などの一部の悪役キャラクターのEDはキャラクターに合っているとは言え、非常に陰惨。
    • ただし、破沙羅やミナと言った今まで報われなかったキャラクターにはハッピーエンドが用意されているため、一概に悪いとは言えないが。
    • 意外な部分では、アースクェイクや我旺は偉大な功績を挙げる大人物となる。
  • 声優はほぼ全キャラクター入れ替え。具体的に言うと炎邪、水邪、夢路以外全員。
    • 一部では『零SPECIAL』騒動のせい、スケジュールのせい、本作はパラレルワールドだから、作風の一新も兼ねてなど多数の噂もあるが真偽は不明。
    • 担当声優はアイムエンタープライズ所属が多く、キャラクターのイメージに沿わないというわけでもない。リムルル役の釘宮理恵氏などはうまくハマっている。
      • だが、声がキャラクターのイメージを形作っていたと言っても過言ではない幻十郎やナコルルも変更されたのはファンにとっては厳しいものがある。
    • 後述するPS2・Wiiの『六番勝負』収録版では、一部のキャラクターを除き、『零SPECIAL』以前のCVにも変更可能になった。

評価点

  • 集大成だけあって何といっても登場キャラクターの多さ。初期の作品で登場した面々を含め全42名という大ボリュームはファンには嬉しい。

総評

  • なかなかやりがいがあるゲームだが、「(当時は)シリーズ完結作」と銘打たれていたのもあり、いろいろと賛否が絶えないゲームになった。
  • なお、結局本作から約2年後に新作として『サムライスピリッツ閃』の稼働が始まったため、完結作とはならなかった。
    • 『閃』は久々の3D作品のため、本作が2D作品として最後である事は変わってないのだが。
  • 「いろは」にばかり話題が集中し、悠紀エンタープライズの斜め上なセンスが必要以上に現れた。
    • ちなみに悠紀エンタープライズは後にあの『アルカナハート』*2を開発する会社である。今となってはその片鱗は既に現れていたと言わざるを得ない*3

家庭用移植

  • プレイステーション2版(2006年1月26日発売、SNKプレイモア)
    • 唯一の単体移植にあたる。PS2オリジナルの隠し要素としてボスキャラクター用の「魔」、動物キャラクター用の「獣」、エディットでシステムを変えられる「祭」の追加スピリッツや、新たな追加キャラクター(羅刹ガルフォード、黒子、パピー、裏ミナなど、主に既存キャラクターの別バージョン)が使用できるサプライズがある。
    • 後にベスト版も発売された。……が、現在買うならば後述の六番勝負の方が良いだろう。
  • 2014年11月19日よりPS3向けゲームアーカイブスで本作(PS2単体版)が配信されている。単体版準拠のため、六番勝負版の追加要素は無い。

サムライスピリッツ 六番勝負

【さむらいすぴりっつ ろくばんしょうぶ】

ジャンル 格闘アクション


対応機種 プレイステーション2*4
Wii
発売元 SNKプレイモア
開発元 Terminal Reality
発売日 2008年7月24日
定価 4,800円(税別)
廉価版 【PS2】NEOGEOオンラインコレクション THE BEST
2009年6月18日/1,980円(税別)
判定 なし
ポイント 2Dサムスピシリーズ総集編
ネオジオ版旧作5本+剣サム改良版
ハブられた零スペ
サムライスピリッツシリーズリンク
NEOGEOオンラインコレクションシリーズリンク

概要(六番勝負)

江戸時代を舞台とした剣戟格闘ゲーム『サムライスピリッツ』2Dシリーズから
初代サムライスピリッツ』『』『斬紅郎無双剣』『天草降臨』『』『天下一剣客伝』の6作を収録したオムニバス作品。
何故か『零SPECIAL』のみ収録されていない*5*6

特徴(六番勝負)

  • 『初代』から『零』まではネオジオ版のベタ移植を収録。
    • さらにプラクティスモードやキャラクターカラーエディットも新たに収録されている。
    • BGM音源もオリジナルとアレンジのどちらかに変更可能。
  • 『天下一剣客伝』のみ、基板がネオジオ互換のMVSでなくATOMISWAVEであるためか、AC版ではなくPS2版からの移植となっている。
    そのため、PS2単品版の追加要素(スピリッツやキャラクター)を全て収録。
    • さらに、PS2単品版の隠し要素は最初から解禁済みになっている上に、独自の追加要素として、オプションにてキャラクターボイスを『零SPECIAL』以前の旧CVに変更可能になった。また、このボイスは流用ではなく新規収録の物である。
      • ただし一部のキャラクターには無いなど問題がある*7
  • PS2版はマルチマッチングBBによるオンライン対戦に対応(現在は終了)。
    • ちなみに、上記の単品版とはオンラインサーバーが当初は別々であった。
  • Wii版はオンライン非対応の代わりに、Wiiリモコンの動作感知を使ったミニゲームを収録。
    • また、Wii版はクラシックコントローラやネオジオスティック2だけでなくリモコン横持ちとヌンチャクでも遊ぶことができる。
      • 「遊べないことはない」レベルなので、クラコンかスティック推奨ではあるのだが。
      • 特に『天下一剣客伝』ではリモコンの動作感知をも操作に組み込まれているため、コマンド入力が一番し辛くなってしまっている。

好評点(六番勝負)

  • コストパフォーマンスが非常に良い。
    • 5,000円台でシリーズ6本が遊べられるのはかなりお得。廉価版の定価はさらに半額以下の破格の値段である2,000円台
    • また、旧作についても移植度が特に高いネオジオ版である事も好評。
      • これはネオジオ以外でのハードによる移植版がスペック上の都合などから劣化点を含んでしまっている事も大きい。
      • さらに言うと、『零』はバーチャルコンソールなどでネオジオ版の配信もされていない。
    • もっとも現在は品薄なのか、PS2廉価版でも中古価格が初版の定価とほぼ同じとなっている。それを顧みてもお得であるが。

不評点(六番勝負)

  • 『天下一』がPS2版ベースなのに対し、『初代』~『零』までは基本的にネオジオ版のベタ移植であるため、過去の家庭用版での追加要素が無い事。
    • これが影響するのはボスキャラクターの使用可否で、以前の家庭用では使えたボスキャラクターが今作では使えない。
      例えば『初代』は天草、『真』はミヅキ、『天』は斬紅郎、『零』は夢路・三九六・我旺が使用不可。
      • 特に『零』については同ハードのPS2で単体版が過去に発売されており、そちらでは夢路と三九六が使用可能になっていたため劣化と取られることも。
        また、今作『六番勝負』収録の『零』はBGMをアレンジに切り替えても一部楽曲がオリジナルのままになっているという不具合がある。
        ただしPS2版『零』はロード時間が長いという問題点があったが、『六番勝負』では改善されている。
  • 2Dサムスピシリーズのうち、『零スペシャル』のみが未収録である事。
    • シリーズの中で極めて優秀な対戦バランスを持っていると評されるだけに未収録なのが惜しまれる。
    • 作品自体は未収録だが、本作には同作のOP曲を始め、一部のBGMが収録されている。

その他(六番勝負)

  • 上記で挙げた通り本作は事実上、過去のPS2版『天下一剣客伝』の完全版に相当する。
    • しかしPS2版剣サムから2年弱しての発売である上に、上記のとおりPS2版単体には無い追加要素や旧作5本込みなどがあるため、既にPS2版剣サムを買った人からは苦言が出る事となった。
  • 何故かWii版のみ廉価版が発売されていない。
    • ただし、上述のとおり現在は両機種とも市場価格がほぼ変わらなくなっている。
  • 海外版の『SAMURAI SHOWDOWN ANTHOLOGY』は、2009年にPSP版も発売されている。
    • 当初は日本でもPSP版の発売予定があったものの、最終的には発売中止となった。
    • なお、当初は海外版の公式サイトに『零スペシャル』の画面写真が告知されていたことがあり、一時期収録が噂されたが、実際の製品版ではやはり収録されなかった。

総評(六番勝負)

零スペシャルが入ってないなどの指摘はあるが、やはりシリーズのほとんどを1本でプレイできるのは大きい。シリーズに興味を持ち、初めて触れるなら迷わず購入な一作といえるだろう。