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クラッシュ・バンディクー3 ブッとび!世界一周 - (2016/09/13 (火) 11:56:11) の編集履歴(バックアップ)


クラッシュ・バンディクー3 ブッとび!世界一周

【くらっしゅ・ばんでぃくーすりー ぶっとび!せかいいっしゅう】 

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 Naughty Dog(ノーティドッグ)
発売日 1998年12月17日
定価 5,040円
配信 ゲームアーカイブス:2007年9月27日/600円(PSVITAでは配信停止)
分類 良作
クラッシュ・バンディクーシリーズリンク


概要

人気アクションゲームであるクラッシュ・バンディクーシリーズの3作目。
本作は世界中を駆け回り、時空さえも超えてしまうという、副題の通りブッとんだ内容となっている。


ストーリー

パワーストーンを守り、ニトラス・ブリオのビーム砲でコルテックスの宇宙要塞を破壊し、世界を救ったクラッシュ。
だが、平和な日々は長くは続かなかった。悪運だけは強いコルテックスはまたも生きていたのだ。
世界征服の夢を捨てきれないコルテックスは新しい参謀、エヌ・トロピーの発明で時代をさかのぼり、パワーストーンを手に入れようとしていた。
このままパワーストーンを奪われたら世界はコルテックスのものになってしまう。

そんなある日、突然タスマニア島に不気味な笑いが轟く。アクアクはその笑いで何かを察する。
「また冒険の旅に出なければならないようじゃ」時空を超えての世界の旅はこうして始まった。


特徴・評価点

  • アクションが強化された。ボスを倒すごとに、「スーパーボディープレス」「ダブルジャンプ」「たつまきスピンアタック」「リンゴバズーカ」「スピードシューズ」が使えるようになる。
    • 今までは無報酬だったボス戦が、よりフロア*1の節目としての機能を果たすようになった。
    • 「ダブルジャンプ」を使えば、ハイジャンプよりもさらに高く飛ぶことができるようになり、あらゆる場面で役に立つ。
    • 「たつまきスピンアタック」は長時間のスピンを可能にした。
      • 一定時間スピンを維持することで、今まで対処しにくかった「連続して襲ってくる敵」を容易に処理できる。
      • ジャンプ中に行うことで滞空時間を延ばし、落ちやすい穴を確実に渡れるようになる。
    • 「リンゴバズーカ」は射撃武器であり、クラッシュの攻撃能力を大幅に向上させる。
      • 無制限に使用可能・射程はほぼ視界全体・クラッシュのアクションでは倒す方法に制約がある敵の大部分を問答無用で倒せるという性能。
      • ダイヤ集めには抜群の性能を誇る。テクニックがなければ壊せないはずの箱を容易に壊したり、箱を壊すのを邪魔している敵やニトロ箱を事前に排除したりすることで、苦労しながらやっとの思いでクリアしたステージでも容易に再クリア・ダイヤ回収ができる。
      • ただし、リンゴバズーカを実戦投入出来るフロア5は「リンゴバズーカを使う事を前提にしたギミック・バランス」が登場しており、ステージラストのニトロ爆破スイッチがなくなっている事もある(ニトロはバズーカで壊せという事だろう)。決して終盤ステージの難易度を下げている要素にはなっていない。
      • 一番のやりこみ要素であるタイムアタックではロスが大きすぎて使いものにならない。タイムアタックを始めるための時計アイテムは先へ進み過ぎると消滅するため先にステージを進めてバズーカで敵を排除してからスタートという事も出来ない。せいぜい開幕時に少し奥の所からリンゴバズーカを放って始めるくらい。このため上級者のやりこみへの意欲を削ぐようなことにはならない。
      • ちなみに攻略本のインタビュー曰く、「手こずったモンスターを簡単に倒せる快感をユーザーに味わってもらいたかったので。こういうアレンジ、すばらしいことなんじゃないでしょうか」らしい。
    • これによって基本的な部分の難易度は下がった。
      • ただし、パーフェクトクリアのためにはスライディング→ダブルジャンプ→たつまきスピンアタックを連続で、タイミングよく行うことを求められるなど、部分的に難易度が上がった箇所もある。
      • また、シリーズ特有の前後左右に容赦なく落ちる不安定な足場や倒し方に工夫がいる敵などは健在のため、難易度がガタガタに下がっているということはない。旧作のファンでも十分に楽しめる。
  • 一度クリアしたステージで、タイムアタックモードを遊べるようになった。
    • ただステージを駆け抜ければいいというものではなく、ステージの随所にある「時間を止めてくれる箱」を壊していくことが重要である。1秒箱から3秒箱まで存在。
    • ミスしても残機は減らない。また、途中でやり直すことができる。
    • 規定タイムを上回るとトロフィーが獲得できる。サファイア・ゴールド・プラチナの3種類が用意されている。最初に表示される規定タイムはサファイアのものだが、タイムが表示されていない上位トロフィーでも規定タイムを上回れば獲得できる。
      • サファイア:下位トロフィー。時間に余裕があるので、焦らずステージクリアを優先しても簡単に獲得できる。隠しステージの出現、真ED、達成率100%を目指す場合はサファイアでよい。このため、初心者でも何とか真EDを見られるようになっている。
      • ゴールド:上位トロフィー。サファイア獲得で規定タイムを見られる。獲得には「事前の入念な研究・練習」か「ステージを通して僅かなロスも生まないゲームの腕」のどちらかが必要。完全制覇(ポケステを使用しない場合の最高の達成率である105%)に必要。
      • プラチナ:最上位トロフィー。ゴールド獲得とラスボス撃破で規定タイムを見られる。ゴールドの項目で説明した両方の要素を持っていても殆ど余裕のないやりこみの極致。達成率には影響しないので、これを獲得するかどうかはプレイヤーの自由。
      • トロフィーの獲得が隠しステージ出現の条件であり、タイムアタックという性質も相まって抜群のやりこみ甲斐。
      • 前述の「スピードシューズ」は文字通りクラッシュがダッシュできる様になるシロモノ。しかし実は取らなくてもさらに速い走法がある為、プラチナを取るのにこれが必要と言う訳ではまったくない。
    • 余談だが、このタイムアタックモードの仕組みはほぼそのまま『クラッシュ・バンディクー レーシング』に受け継がれる*2。規定タイムの絶妙さもそのままであり、スタッフが自分たちのゲームについてよく把握できていることを窺わせる。
  • ステージの種類が大幅に増加した。
    • 構成自体は既存のものに近くとも、ギミックや背景が変更されておりマンネリ感を覚えにくい。
    • ステージに合わせ、敵の種類も増加。前作と同じく、なぜか多くの敵が作業員、研究員という眼鏡面だが。
    • アトランティスの水中ステージ・カリブの海上ステージ・アメリカ西部のレース・世界大戦時代のシューティングなど、様々なステージが追加された。
      • 特に後者2つはただゴールを目指すのではなく、「1位になる」「体力が尽きる前に大型敵機を全て撃墜する」という一風変わったもの。
      • これに伴い、プレイヤーが乗る乗り物の種類も増えた。
  • 3種類のステージでココ*3を使えるようになった。
    • ただし本人のアクションはなく、虎のプーラ、水上ボート、戦闘機など何かしらの乗り物に乗る。
    • 戦闘機によるボスステージも1つ割り当てられており、従来作とはうって変わって物語の中心人物の一人となった。
  • 仕様変更により便利になった部分がある。文にすると小さなことのようだが、以下はいずれもゲーム中に数え切れないほど行う基本的な部分であり、ゲームのテンポは非常に良くなっている。
    • シマ箱で1回跳ねるごとに出てくるリンゴが1個から2個になった。
    • △ボタンを押したときやボーナスステージの中で壊した箱の数を確認できる*4のだが、本作では今まで壊した箱の数に加えてステージ中の箱の総数も確認できるようになった。
    • 全てのワープルームが1枚のマップに収められたため、フロア間の移動が格段に快適になった。
  • やられアクションが豊富
    • アクションゲームの中でも独特なのが、前作と同じく敵にやられた時のクラッシュのリアクションが豊富で面白いという点である。
    • 中にはグロテスクなやられ方もあるが、クラッシュが巨人に殴られカメラ画面までぶっ飛ばされる、針が刺さって風船のようにしぼむ、野外でズボンを斬られてパンツ一丁にされる*5といった見てて笑えるようなものも多く、わざと敵にやられてリアクションを楽しむことさえできる。
  • ゲームを進める度におまけムービーが観られる。クラッシュ、ココ、コルテックス、アクアクの四種類があり、どれもユニークで面白い。特にアクアクのムービーは必見。
  • ポケットステーションの「どこでもクラッシュくん」も、音ゲー・アクション・パズルなどバリエーション豊富。アクアクのアドバイスを聞き返す事も出来る。

賛否両論点

  • タイムアタックの存在。
    • 本作の主なやり込み要素となっており、ソフトとしての寿命を延ばすことに成功している。
    • しかし、前作は真EDを目指す上でパワーストーンとダイヤを集めればそのステージは終わりだったのに対し、今作は全ステージのタイムアタックに挑戦し、トロフィーを獲得しなければならない。
      • つまり、全ステージをさらに1周分クリアしなければならない。1回のプレイで、トロフィーとそれ以外のアイテムの同時獲得は不可能なため。
      • 人によっては水増し感を覚えたり、やり込みプレイの強要と捉えられる可能性がある。
      • ゲーム開始から真ED到達までの所要時間は前作の倍以上。
    • とは言え、初心者に対する配慮は存在するので、辛うじて初心者泣かせのシステムにはなっていない。
      • 真EDにはサファイアを集めればよいだけなので、実力不足でそこまで辿り着けないという状況にはなりにくい。
      • 完全制覇にはゴールドが必要ではあるが、おまけ的な演出があるに過ぎない。
  • 乗り物ステージの増加。
    • ステージの多様性が強化されており、マンネリ感の払拭に役立っている。
    • 一方で、従来のようなクラッシュによる任意スクロールステージが相対的に減少しており、自由度が若干低下した。

問題点

  • ステージを始めるには、ステージに対応するボタンを踏んで出現するワープゾーンに飛び込む必要があるのだが、ボタン同士の間隔がきわめて短いので、意図しないステージを出現させてしまう場合がある。
  • 一部の隠しステージの入り方がほぼノーヒント。アクアクが教えてくれることもあるが、一回きりのため聞き逃すと大変。
  • 真EDが投げっぱなし。
    • 従来通り、ダイヤなどもコンプリートした状態でラスボスを倒すと真EDが見られるのだが、その内容が投げっぱなし。人によっては「意味不明」との意見も。
+ 具体的に
  • クラッシュ&アクアクに敗北したウカウカが封印される事を恐れ、タイムネジネジマシンを暴走させて空間を飲み込む。
    • その後クラッシュ家にてアクアクがクラッシュとココに解説する。「タイムネジネジマシンは自分の中に飲み込まれてしまったようじゃな」とのこと。更に「危なかったのぅ」「そういえばあの連中はどうなったんじゃのぅ?ゲートの中でどうなってるかワシには想像もつかんわい」という投げっぱなしっぷり。
  • そしてウカウカは赤ん坊になった(?)コルテックスとエヌ・トロピーに奪い合われ引っ張りまわされるというよくわからない映像が挿入されそのままクレジットへ移行。
    「その仮面をこっちへよこちぇ!これちゃえあれば、世界征服ができるのらああああ!!」
    • つまりどういうことなの?
+ (推論を含めた)ムービー解説
  • 一見すると訳のわからない内容だが、実は序盤から伏線を張っている。
    • タイム・ネジネジマシンはエヌ・トロピーが作った物で、メンテナンスは彼一人が行っている事がゲーム中で明言されており、フロア3で彼を撃破した直後のムービーで、ウカウカは「エヌ・トロピーを倒したらこの機械は暴走してしまう」、コルテックスは「とても精密な機械で、エヌ・トロピーが定期点検出来なくなった今、どんな事になるか」とプレイヤーに警鐘を鳴らしている。
    • そして、最終決戦の際中枢部に何度もコルテックスを叩きつけた結果マシンは案の定暴走。タイムゲートは装置自体を飲み込んでいく。「また封印されるのは金輪際嫌じゃあ」と逃れようとしたウカウカも吸い込まれてしまう。(ウカウカが封印を恐れて意図的に暴走させたのではない)
    • 間一髪で逃れたクラッシュ達は生還する(この際古代中国からプーラを、ジュラ紀のアマゾンからベイビーTを連れてきた事が確認できる)が、タイムゲートに取り込まれてしまったコルテックスとエヌ・トロピーは赤ん坊となり、あちこちから蒸気が噴きあがる大地でウカウカを巡り争い続ける。
  • しかし、「タイムゲート内の大地(どことなくジュラ紀ステージのデザインに似ている)には何か意味があるのか」、「何故二人は赤ん坊になったのか」、「そもそも先の戦闘で行方不明になったはずのエヌ・トロピーが何故あの場にいるのか」といった重要な説明はやはり投げっぱなしである。
    • エヌ・トロピー撃破時に体の機械が壊れてワープする演出がある事から「胴体の時計は小型のネジネジマシンだ」とする説がある。クラッシュに倒されたエヌ・トロピーが壊れた小型タイムゲートに巻き込まれて赤ん坊化し、後の戦いでコルテックスとウカウカが本体の暴走に巻き込まれ、同じタイムゲートに閉じ込められた、とする解釈が海外ファンの間でなされているが、結局は推論でしかない。
  • また、暴走フラグを示唆するムービーも、短い上に先述のゲーム開始から真EDまでの所要時間が増えている関係で内容をすっかり忘れ去られてしまう事が多く、このEDを更に理解の難しい物にさせている要因の一つとなっている。
  • ゲーム内要素にはあまり影響しないが、攻略率を最大(110%)にするにはポケットステーションが必要。
    • ゲームアーカイブスでは再現不可能。以前はPSVitaでポケットステーションを再現出来ていたが、現在本作はPSVitaに対応しておらず、ダウンロード出来ない。もちろん、PSPのゲームアーカイブスではポケステを使えないのも変わらない。

総評

僅か一年でアクション・ステージ・UIの全てを進化させて帰ってきたクラッシュバンディクーシリーズ。
全ての新要素が初心者・上級者の双方にとってプラスとなっており、誰でも奥深いアクションを楽しめるゲームとなっている。
人を選びがちなアクションというジャンルにおいては、このような作品はほんの一握りである。

名目上はまだシリーズ半ばの作品なのだが、実質的にはシリーズの集大成にして最高傑作と呼べる作品である。
前作の大ヒットもあったため、累計販売本数91万本とシリーズ最高の売り上げを記録した。
現在ではゲームアーカイブスで簡単に購入できるので、興味がある方には是非プレイしてもらいたい。 ただし、PSVitaにおける配信は停止しているので注意。


余談

  • クラッシュ3は日本版と米国版は難易度が低く、欧米版は難易度が高めになっている。
    • 欧米版では敵の数が増えていたり一部敵の仕様が変更されており、タイムアタックの基準タイムが日本版より早い。
  • ステージ15にいる巨人作業員は海外版だと「DOUBLE HEADER」という名前で、何と双頭である。