「ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~ - (2019/02/07 (木) 01:02:25) の編集履歴(バックアップ)


ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~

【ふぁんたしーすたーつー かえらざるときのおわりに】

ジャンル RPG
高解像度で見る
裏を見る
対応機種 メガドライブ
メディア 6MbitROMカートリッジ
発売元 セガ・エンタープライゼス
発売日 1989年3月21日
定価 8,800円
配信 バーチャルコンソール
2008年1月29日/700Wiiポイント
判定 良作
ファンタシースターシリーズリンク


概要

プラットフォームをメガドライブ(以下MD)に移した『ファンタシースター』旧シリーズの第2作目。「シビアな展開を持つSFストーリー」という作風により、以降のシリーズの方向性を決定づけたともいえる。

ストーリー

前作『ファンタシースター』から1000年後。マザーブレインと呼ばれる巨大コンピュータによる管理のもと、アルゴル太陽系は繁栄を極め、人々は豊かな生活を送っていた。
そんなあるとき、アルゴル太陽系第2惑星・モタビアの各地でバイオモンスターが大量発生し人々を脅かすようになる。
州政府のエージェントであるユーシスは、異変を解決すべく、義理の妹ネイを連れて旅に出るのだった。

評価点

  • プラットフォームをMDに移したことによりグラフィックレベルが格段に向上。旧シリーズの戦闘システムの基本がここで確立した。
    • テクニックの基本的な命名法則も確立し、アイコンを用いたインタフェースの採用で遊びやすさも向上した。
    • 敵のアニメーションも大幅に進化。当時のCMでも売りにしていただけあってなかなかにいい動きをしている。また、本作では味方の攻撃グラフィックも追加され、戦闘の見せ方も格段に向上。
      • また敵の戦闘アニメーションも、長すぎる敵がほとんどいなくなり、戦闘のテンポも大きく改善された。
    • やや慣れが必要だが、セミオート戦闘もなかなか快適。
    • 音楽担当はBØこと上保徳彦氏。氏の担当したBGMは名曲が多く、後のシリーズにもアレンジバージョンが採用されるなど評価が高い。
      • ただ、当時はなにがなんでもドラムを刻む性分だったらしく、悲劇的なシーンであろうと異なる作品であろうと、氏の手がけたBGMは強調されたドラム音がついてまわる。
        もっともこの点に関しては、MD初期タイトルのBGMを担当することが多かったため、音源ドライバの洗練度や使いかたの習熟度といった事情もあるだろう。実際、本作の後に発売された「ソーサリアン」における氏の担当分では、この傾向はみられなくなっている。
  • キャラクターデザインは前作の少女マンガ的な作画からアニメタッチになり、男子プレイヤーに受け入れやすくなっている。
  • 本作から3Dダンジョンを廃し、全て2D画面で行動することになった。その代わり移動画面で二重スクロール機能を駆使し、立体感のあるダンジョンを演出している。
  • ストーリーは王道であった前作とは異なり、かなり影のあるストーリー展開で進行する。
    • ストーリー的には、序盤から鬱展開が頻発し、中盤では怒涛の悲劇的展開の連続、さらに黒幕の意外な正体と絶望感・虚無感にあふれたエンディングは今でもファンの間で語り草となっている。この一抹の寂寥感を残す暗いシナリオは、以降のシリーズタイトルでも継承された作品が多い。

問題点

  • ダンジョンの難易度が異常なまでに高く、戦闘の難易度もきわめて高い。
    • 構造はそれほど複雑ではないのだが、道幅が広すぎ、先が見えない。
    • 階層はそれほど多くないが、シューターや階段・落とし穴の繋がりが非常に複雑で、外れのルートをグルグル回らされるような構造になっているものが多い。一応基本的に重要アイテムは正解のルート上に配置してあるのだが、もちろんそんな説明はどこにもないのでそれに気付けるプレイヤーはごく少数だろう。
    • 序盤のまだ弱い時期に潜入するダンジョンに、全体攻撃を連発してくる敵が頻出しており、まだダンジョンの難易度は全編通して非常に高い。
    • 戦闘から逃げられるかどうかは、敵固有の逃走確率のみで決まるため、プレイヤーキャラのレベルは一切関係ない。しかも強敵ほど逃走確率が低く設定されている傾向にあるため、逃げつつ進むという方法も取りにくい。
    • 画面スクロールがキャラ中心ではなく、かなり画面端までいかないとスクロールしない。
      • そのため前方の視界が狭くなり、ストレス・難易度上昇要因になっている。
    • また移動画面では、二重スクロールで天井の配管や濃霧の表現があるが、一部ダンジョンではそれにより、通路が視認しづらくなっている現象も発生している。
    • 敵の攻撃で受けたダメージ量が表示されない。
    • 構造のいやらしさ以前に、そもそも入り口がわからない(わかりにくい)ダンジョンがある。マルエラツリーのあるウーゾやダムで使うカードのあるコントロールタワーなど、入り口と判別できるものがなかったり(漠然としたヒントがあるにはあるが)、デゾリス星におけるクレバスのように、かなり注視しないと入り口がわかりにくかったりする。
      • 前者は各地に散在する通常のマップパーツそのもので、入り口を示すグラフィックがなく、後者は入り口のグラフィックこそあるものの、周囲に溶け込んでしまっている。
  • 当時発売されていた攻略本が事もあろうに全ての本にてダンジョンのマップミスがあり、難易度を違う所で引き上げていたというのもある。
  • 移動速度が遅い
    • マップの広さが3倍なのに、移動速度は同じファミコンのドラゴンクエスト…といえばイメージできるだろうか。
    • 街中では宿泊施設やセーブでの往復でストレスがたまり、ダンジョン内では高いエンカウント率が、さらに高く感じられる。
    • ストレスに感じるプレイヤーが多かったためか、~コレクションやリメイク版では、移動速度が上がり、プレイしやすくなった。
  • 仲間の加入方法にも問題あり。
    • ほかのRPGのように、特定のイベントを経由して新規の仲間が加入するのではなく、ストーリーが進んだ時点で“自宅にもどると新たな仲間が訪ねてくる”という方式のため、いつ加入するのかわかりづらいうえ、わざわざスタート地点の街にある自宅に戻らなければならない。
      • 基本的には、新しい街に到達後、自宅に戻ると、新たな仲間が訪ねてくる仕様になっている。
  • 仲間の性能もバランスが悪い。
    • バイオモンスターに強いヒューイは、前半こそ使えても、後半でメカが出現するあたりから役たたずになってしまう。その逆として、メカに強いカインズは、バイオモンスターが出没する前半では役たたずだが、最初のうちに鍛えておかなければ、後半ではレベルが低すぎて役たたずになる。
      • 結果、どんな敵にも安定して強いルドガー・アーミアと、他1名(回復役のアンヌか、素早さを活かしたアイテム係のシルカ)で鉄板という編成に。
      • いちおうフォローしておくと、終盤に出現する魔物系の敵は、対生物専用・対機械専用のテクニックがどちらも効果を発揮するので、ヒューイはTPの高さを活かし、全体即死攻撃を利用した雑魚殲滅に、カインズは対機械専用の高威力テクニックを利用し、高耐久力の敵に対処(ボス相手ならTPが続く限りアーミアより有用)できる。

総評

MDのローンチ時期に発売されたRPGとしては水準以上の出来であり、本シリーズの世界観や作風、キャラクター性を確立した、ひとつのマイルストーンとなった作品。グラフィックのクオリティやストーリーの評価も非常に高く、登場するパーティーメンバーも、いまなお根強い人気を誇るなど、本作が築き上げた功績は非常に大きい。 それだけに、短い開発期間の影響により、*2ゲームバランスの調整が不十分となってしまい、難易度が理不尽に上昇してしまった点が惜しまれる。

余談

  • 本作は当初、マークIII/マスターシステム向けとして制作されていたが、その途中でセガの主力ハードがMDに移行したため、同ハード用のタイトルへと変更されることになった。
    • それにともない、本作はMDを普及させるための重要な牽引役も担うこととなり、発売日については、絶対厳守が命じられていた。
      そのため、ハードウェアの変更が決まってから企画の練り直しやデバッグも含め、わずか半年間という驚異的なハードスケジュールで制作がおこなわれたというエピソードがある。
    • また、本作はRPGに二重スクロールを採用した初の作品であることも指摘しておく。
  • 他のRPGが、HPがゼロになったキャラを復活させるのが「蘇生」であるのに対し、このゲームの場合「死体から作るクローン」、つまり「生き返ってはいない」。
  • エンディングと同時に起こった黒幕との戦いに関しては、長らく語られなかったが、近年になって、主人公たちの勝利で幕を閉じたことが公式に明かされた。
  • パーティーメンバーのひとりであるネイは、その悲劇的な境遇からシリーズ随一の人気を誇り、以降の作品にも、武具の名前や重要なキーワードとして登場することになる。
  • バックアップ修復機能が搭載されているといわれているが、ファミコンとは異なり、MDは端子接触面が非常に安定しているため、データを消失したプレイヤーがおらず、いまだに満足のいく確証は得られていない。
  • 雑魚敵は、かならず1系統につき3種が設定されている(1種類だけ中ボス扱い)が、出現テーブルの設定ミスにより「バンリーダー」という敵のみ、日本版では出現しない(海外版では出現する)。
  • RPGとしては珍しくポーズでき、更にポーズ中にボタン押しで「コマ送り」と「スローモーション」させる機能がある。現在においても、数あるRPGの中でこのような仕様を持つ作品は非常に稀である(プレイにあたって有用とは言えないが)。*3