【ふぁーくらい すりー】
狂気に満ちた無慈悲な楽園
2008年に発売された『FARCRY 2』から約4年ぶりとなる『ファークライ』シリーズ第3作。南国の島を舞台にしたオープンワールド制FPS。プレイヤーは主人公のジェイソンとなり、海賊バースの軍団に立ち向かう。
FPSではあるが、ファースト・パーソン・アドベンチャーというジャンル名やキャッチコピー「FPSであることは手段でしかない」の通り、銃による撃ち合いだけが目的ではなく、広大な島を自由に冒険が出来るうえ、武器やアイテム、金銭の入手、スキル習得によるプレイヤーの個性付けも自由度が高い。サブクエストやミニゲームも数多く用意されている。
アメリカ人青年ジェイソン・ブロディは兄弟や仲間達と共に、インド洋と太平洋の境目にある南国にバカンスに訪れた。ある日スカイダイビングを楽しんでいた彼らは誤って、残忍な海賊のバース一味が暴力で支配する孤島「ルークアイランド」に着陸してしまう。
海賊に捕まってしまったジェイソンは、優秀な予備役軍人である兄グラントの先導で牢を抜け出すが、他の仲間との合流は叶わず、グラントも追ってきたバースの銃弾に倒れてしまう。悲痛な叫びを上げるジェイソンに、バースはなぶり殺すための僅かな猶予を与え、「逃げてみろ」と嘲笑する。ジェイソンは銃弾の飛び交う夜のジャングルを逃げ惑い、やがて突然途切れた道から谷川へ転落し、意識を失う。
目覚めたジェイソンは、見知らぬ男の介抱を受けていた。男は治療だけでなく、ジェイソンの左腕に古風な文様のタトゥーを施していた。デニスと名乗った男は、タトゥーは島に伝わる戦士の証であり、ジェイソンに力を授けるだろうと言う。バース一味と対立する部族ラクヤットの一員であるデニスは、ジェイソンの手助けをする替わりに、戦士として力を貸して欲しいと請うのだった。軍も警察も存在しない絶海の孤島で、海賊から仲間を救い出すには、デニスと部族の助けを借りるしかない。戦士の証を腕に、ジェイソンの戦いが始まった。
徐々に明かされていく孤島の真実。そして過酷な戦闘とサバイバルの先にジェイソンを待ち受けるものは…?
美しいグラフィックで隅々まで造りこまれた広大な環境、そこを舞台にした膨大なボリューム、ストレスの少ない親切なゲームデザインは評価すべき点だが、できることのバリエーションの少なさから飽きが早い、作業感が強いといった点はマイナス。マルチプレイの不備やフリーズバグなどの粗もある。
全体には丁寧に作られており、漫然と探索を楽しむオープンワールドゲームとしても高いクオリティを持っている。現在はベスト版やPC版が安く手に入るので、興味があるならばプレイしてみてはいかがだろうか。